JP3146142B2 - 難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性ポリエチレ
ンテレフタレート系樹脂組成物に関し、更に詳しくは、
難燃性、引張強度などの機械的強度、滞留熱安定性に優
れ、耐湿熱性と流動性とをバランス良く兼ね備えた、難
燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートは、機械的
特性、電気的特性などに優れるため、従来から繊維、フ
ィルム、成形用材料などとして広く用いられている。特
にガラス繊維をはじめとする繊維強化材を配合すること
により機械的強度、熱的特性が大幅に向上するため、こ
うして得られる強化組成物は、いわゆる機能部品用素材
として好適である。
【0003】近年、とりわけ電気あるいは電子部品分野
で、火災に対する安全性の要求が高まり、この要求を満
たさんとして樹脂の難燃化が行われ、例えば有機ハロゲ
ン化合物あるいは高分子ハロゲン化合物などが添加され
ている。さらに、このような難燃材料が利用される、電
気あるいは電子部品の一部には直接あるいは間接的に水
あるいは水蒸気と接する部材もあり、このような分野で
は、高温高湿度下にさらされても機械的強度などの急激
な低下のない高い耐湿熱性も、難燃性に加え要求されて
いる。
【0004】熱可塑性ポリエステルの難燃化について
は、例えば特開昭50−35257、特開昭62−15
256にはハロゲン化エポキシ化合物を添加する方法、
特開昭59−149954には高分子量のハロゲン化ビ
スフェノールA型フェノキシ樹脂を添加する方法、特開
昭50−92346にはハロゲン化ポリスチレン樹脂を
添加する方法などが提案されている。
【0005】更に、ポリエチレンテレフタレートの耐湿
熱性改善にはカルボジイミド化合物を添加する方法が古
くから知られており、難燃性付与と共に耐湿熱性を改善
する方法には、例えば、特開昭59−129253には
高分子ハロゲン化ビスフェノールA型共重合フェノキシ
樹脂と共にエポキシ化合物及び/又はカルボジイミド化
合物を添加する方法が提案されている。
【0006】一方、このような難燃性材料が利用され
る、電気あるいは電子部品は通常、比較的薄肉の部分か
ら厚肉の部分が混在しているので、良好な成形品を得る
ためには、薄肉部でも良好な成形流動性を有し、さらに
厚肉部でも良好な離型性を持つ材料が必要であり、生産
性向上のための成形ハイサイクル化の要求に対しても良
好な離型性が求められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、難燃剤
としてハロゲン化エポキシ化合物を用いた場合、該難燃
剤はポリエチレンテレフタレート系樹脂との反応性を有
するため、高温での成形時に反応により樹脂の流動性が
悪化するといった問題がある。
【0008】かかる問題を解決せんとして本発明者ら
は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂に、ゲルマニウ
ム触媒を用いて重合されたものを用い、かつ難燃剤とし
て特定骨格を有するエポキシ当量1500〜2500の
ハロゲン化エポキシ化合物を用いることにより、流動性
と耐湿熱性の両方を改善できることを見い出し先に特許
出願した(特願平7−180666)。しかしながら、
このような樹脂組成物を用いた場合、高温で長時間滞留
させるような特殊な成形条件で成形を行うと、配合剤の
一部が分解し、フラッシュなどの成形不良が発生する傾
向が見られることが判明した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決すべく、さらに鋭意検討を行った結果、ゲル
マニウム系化合物を触媒として用い製造した特定のポリ
エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル樹脂を
用い、これに特定骨格を有するエポキシ当量2600〜
6000のハロゲン化エポキシ化合物、酸化アンチモン
を併用添加することにより、難燃性、機械的強度、滞留
熱安定性に優れ、耐湿熱性と流動性とをバランスよく兼
ね備えた樹脂組成物が得られることを見い出した。さら
には、珪酸塩化合物、珪酸から選ばれる無機化合物を用
いることにより、射出成形などで成形する際、離型性が
良好で成形のハイサイクル化が可能な難燃性ポリエチレ
ンテレフタレート系樹脂組成物が得られることを見い出
し、本発明に到った。
【0010】即ち本発明の第1は、(A)ゲルマニウム
系化合物を触媒として用いて製造された、エチレンテレ
フタレート単位を主たる構成成分とするポリエチレンテ
レフタレート系熱可塑性ポリエステル100重量部に対
し、(B)下記一般式(III)
【0011】
【化3】
【0012】(式中、Xは水素原子またはハロゲン原
子、YはC1 〜C10のアルキレン基、C2 〜C10のアル
キリデン基、C3 〜C10のシクロアルカン基、カルボニ
ル基、−O−、−S−、−SO2 −、または直接結合
を、nは数平均重合度で6〜20を示す)で示される骨
格を有し、ハロゲン化率が10重量%以上で、かつエポ
キシ当量が2600〜6000であるハロゲン化エポキ
シ化合物10〜60重量部、(C)酸化アンチモン化合
物0.1〜20重量部、及び(D)強化充填剤0〜15
0重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂組成物を内容とするものである。
【0013】さらに本発明の第2は、(A)ゲルマニウ
ム系化合物を触媒として用いて製造された、エチレンテ
レフタレート単位を主たる構成成分とするポリエチレン
テレフタレート系熱可塑性ポリエステル100重量部に
対し、(B)下記一般式(IV)
【0014】
【化4】
【0015】(式中、Xは水素原子またはハロゲン原
子、YはC1 〜C10のアルキレン基、C2 〜C10のアル
キリデン基、C3 〜C10のシクロアルカン基、カルボニ
ル基、−O−、−S−、−SO2 −、または直接結合
を、nは数平均重合度で6〜20を示す)で示される骨
格を有し、ハロゲン化率が10重量%以上で、かつエポ
キシ当量が2600〜6000であるハロゲン化エポキ
シ化合物10〜60重量部、(C)酸化アンチモン0.
1〜20重量部、(D)強化充填剤0〜150重量部、
及び(E)珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれ
る少なくとも1種の無機化合物0.1〜60重量部を配
合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組
成物をそれぞれ内容とするものである。
【0016】本発明に用いられる(A)ポリエチレンテ
レフタレート系熱可塑性ポリエステルは、ゲルマニウム
系化合物を触媒として、酸成分としてテレフタル酸また
はそのエステル形成能を有する誘導体を用い、グリコー
ル成分としてエチレングリコールまたはそのエステル形
成能を有する誘導体を用いて得られるエチレンテレフタ
レート単位を主たる構成成分とするポリエステル樹脂で
ある。
【0017】触媒として用いられるゲルマニウム系化合
物としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム酸化
物、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテト
ライソプロポキシド等のゲルマニウムアルコキシド、水
酸化ゲルマニウム及びそのアルカリ金属塩、ゲルマニウ
ムグリコレート、塩化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウム
等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて
用いられる。かかるゲルマニウム系化合物の中では、反
応性や取り扱いの容易さなどの点からゲルマニウム酸化
物が好ましく、二酸化ゲルマニウムが特に好ましい。
【0018】かかるゲルマニウム化合物の添加量は、得
られる(A)ポリエチレンテレフタレート系熱可塑性ポ
リエステルに対して0.005〜0.1重量%が好まし
く、より好ましくは、0.01〜0.05重量%であ
る。0.005重量%未満では、ポリエチレンテレフタ
レート系樹脂の重合が進行しにくく、また0.1重量%
を越えると、得られた樹脂に多くのゲルマニウム系触媒
が残存するため好ましくない副反応が生じる場合があ
る。また、添加時期は重合反応開始前の任意の時点でよ
い。
【0019】また、このポリエチレンテレフタレート系
熱可塑性ポリエステルには、難燃性や流動性、離型性、
機械的特性等を損なわない範囲で、共重合可能な公知の
成分が使用できる。該成分としては炭素数8〜22の2
価以上の芳香族カルボン酸、炭素数4〜12の2価以上
の脂肪族カルボン酸、更には炭素数8〜15の2価以上
の脂環式カルボン酸などのカルボン酸類及びこれらのエ
ステル形成性誘導体、炭素数3〜15の脂肪族化合物、
炭素数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜40の芳香
族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する化
合物類、及びこれらのエステル形成性誘導体などが挙げ
られ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。
【0020】具体的には、カルボン酸類としては、テレ
フタル酸以外に、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタンアン
トラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボ
ン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−
ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、ト
リメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、デカヒドロナフタレンジカルボン酸などのカルボン
酸又はそのエステル形成能を有する誘導体が挙げられ、
水酸基含有化合物類としては、エチレングリコールの他
に、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサン
ジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオー
ル、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)
プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリス
リトール等の化合物又はそのエステル形成能を有する誘
導体が挙げられる。また、p−オキシ安息香酸、p−ヒ
ドロキシエトキシ安息香酸のようなオキシ酸及びこれら
のエステル形成性誘導体、ε−カプロラクトンのような
環状エステル等も使用可能である。更に、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレ
ンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/
又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコー
ル、ビスフェノールのエチレンオキシド付加重合体、ビ
スフェノールAのプロピレンオキシド付加重合体、ビス
フェノールAのテトラヒドロフラン付加重合体等のポリ
アルキレングリコール単位を高分子鎖中に一部共重合さ
せたものを用いることもできる。これらは単独又は2種
以上組み合わせて用いられる。上記成分の共重合量とし
ては概ね20重量%以下であり、好ましくは15重量%
以下、更に好ましくは10重量%以下である。共重合量
が20重量%を越えると、ポリエチレンテレフタレート
系熱可塑性ポリエステルの優れた特性が失われる傾向が
ある。
【0021】該ポリエチレンテレフタレート系熱可塑性
ポリエステルの固有粘度〔フェノール:1,1,2,2
−テトラクロロエタン=1:1(重量比)混合溶媒を用
い、25℃で測定した〕は0.35以上であり、好まし
くは0.4〜1.20、更に好ましくは0.50〜0.
95である。0.35未満では機械的強度が不充分であ
り、また1.20を越えると成形性の低下が見られるの
で好ましくない。該ポリエチレンテレフタレート系熱可
塑性ポリエステルは単独、又は共重合成分及び/又は固
有粘度の異なるものを2種以上混合して用いられる。
【0022】ポリエチレンテレフタレート系熱可塑性ポ
リエステルの製造方法は、用いる触媒以外は特に限定さ
れず、公知の重合方法を用いることができる。例えば、
まず、テレフタル酸とエチレングリコールとを無触媒又
は触媒の存在下に直接エステル化させる方法、テレフタ
ル酸ジメチルとエチレングリコールとを触媒の存在下に
エステル交換させる方法などによって低重合度の重合体
を合成し、次いでこの低重合度の重合体とゲルマニウム
系化合物とを、例えば約250〜300℃程度の温度、
例えば1Torr以下の真空下に保ち、溶融重縮合ある
いは固相重縮合によって縮合重合を行い、ポリエチレン
テレフタレート系熱可塑性ポリエステルを製造する方法
を挙げることができる。
【0023】低重合度の重合体を縮合重合させる際に、
ゲルマニウム系化合物以外の化合物、例えばアンチモン
系触媒などを用いて重合されたポリエチレンテレフタレ
ート系熱可塑性ポリエステルを用いた場合、高温高湿度
下に保持されたときの機械的強度などの低下が大きく耐
湿熱性が充分でない上、流動性も大巾に低下するため好
ましくない。
【0024】なお、ポリエチレンテレフタレート系熱可
塑性ポリエステルを製造する際には、着色、熱劣化、酸
化劣化などを抑制するなどの目的でフェノール系酸化防
止剤、燐系化合物または酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤
などの酸化防止剤、熱安定剤、着色防止剤などを反応
前、反応途中あるいは反応終了後に添加してもよい。さ
らに、燐系化合物などの触媒失活剤を反応途中あるいは
反応終了後に添加してもよい。
【0025】本発明には難燃性を付与する目的で特定の
(B)ハロゲン化エポキシ化合物が用いられる。該ハロ
ゲン化エポキシ化合物は、一般式(I)
【0026】
【化5】
【0027】(式中、Xは水素原子またはハロゲン原
子、YはC1 〜C10のアルキレン基、C2 〜C10のアル
キリデン基、C3 〜C10のシクロアルカン基、カルボニ
ル基、−O−、−S−、−SO2 −、または直接結合
を、nは数平均重合度で6〜20を示す)で表される。
該ハロゲン化エポキシ化合物のハロゲン化率は10重量
%以上であり、かつエポキシ当量は2600〜6000
である。該ハロゲン化率は好ましくは20重量%以上、
更に好ましくは25重量%以上である。ハロゲン化率が
10重量%未満の場合は、難燃性が不十分である。該エ
ポキシ当量は好ましくは2620〜5850、さらに好
ましくは2650〜5600である。エポキシ当量が6
000を越えると、難燃性樹脂組成物の耐湿熱性が低下
し、一方、エポキシ当量が2600未満では、高温で長
時間滞留させるような特殊な成形条件で成形を行った際
に、配合剤の一部が分解し、フラッシュなどの成形不良
が発生する。一般式(I)中、nは6〜20である。n
が20を越えると、耐湿熱性が低下し、nが6未満では
滞留成形時に外観が悪化する。一般式(I)中、Xは水
素原子または臭素原子であることが、難燃性の点から好
ましい。さらに好ましくはXは臭素原子である。一般式
(I)中、Yは−C(CH3)2 −であることが、機械
強度の点から好ましい。
【0028】該ハロゲン化エポキシ化合物の使用量は、
そのハロゲン化率、エポキシ当量等によって異なるが、
上記(A)ポリエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリ
エステル100重量部に対して10〜60重量部、好ま
しくは11〜55重量部、更に好ましくは12〜50重
量部である。10重量部未満では難燃性が不充分であ
り、60重量部を越えると難燃性樹脂組成物の流動性の
低下や、得られた成形体の外観が悪化する。
【0029】本発明の組成物には(C)酸化アンチモン
化合物を添加することにより難燃効果が著しく高められ
る。酸化アンチモンとしては、三酸化アンチモン、四酸
化アンチモン、五酸化アンチモンなどが挙げられ、これ
らは単独又は2種以上組み合わせて用いられるが、中で
も耐湿熱性、流動性、機械的強度等の点から、三酸化ア
ンチモンが好ましい。
【0030】該酸化アンチモン化合物の使用量は、
(A)ポリエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエス
テル100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ま
しくは1〜15重量部である。0.1重量部未満では難
燃性が不充分であり、20重量部を越えると該難燃性ポ
リエステル系樹脂組成物の機械的強度が低下する。
【0031】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂組成物は、以上の成分のほかに、更に(D)強
化充填剤を含めた組成物、すなわち強化難燃性ポリエチ
レンテレフタレート系樹脂組成物も包含するものであ
り、公知の強化充填剤がそのまま使用できる。強化充填
剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸
カリウム繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げら
れ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。該強化充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維
等の繊維状強化剤が好ましく、作業性の面から、集束剤
にて処理されたチョップドストランドガラス繊維を用い
るのが好ましい。また、樹脂と繊維状強化剤との密着性
を高めるため、繊維状強化剤の表面をカップリング剤で
処理したものが好ましく、バインダーを用いたものであ
ってもよい。
【0032】前記カップリング剤としては、例えばγ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合
物が、またバインダーとしては、例えばエポキシ樹脂、
ウレタン樹脂等が好ましく用いられるが、これらに限定
されるものではない。これらのカップリング剤、バイン
ダーはそれぞれ単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。
【0033】該強化充填剤にガラス繊維を用いる場合、
直径1〜20μm、長さ0.01〜50mm程度が好まし
い。繊維長が短すぎると強化の効果が充分でなく、逆
に、長すぎると押出加工性、成形加工性が悪くなる傾向
がある。
【0034】該強化充填剤の使用量は、(A)ポリエチ
レンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル100重量
部に対して150重量部までであり、好ましくは2〜1
20重量部までであり、更に好ましくは5〜100重量
部である。強化充填剤の使用量が150重量部を越える
と押出加工性、成形加工性が低下するので好ましくな
い。
【0035】更に本発明では、(E)珪酸塩化合物及び
珪酸からなる群から選ばれる1種以上の無機化合物を用
いることにより、離型性を向上させることができ、成形
ハイサイクル化の要求に対して充分満足できる組成物を
得ることができる。該無機化合物の中で、珪酸塩化合物
とは化学組成にしてSiO2 単位を含む粉体状、粒状、
針状、板状などの形状を持つ化合物であって、例えば、
珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウ
ム、タルク、マイカ、カオリン、ハイドロタルサイト、
珪藻土、ベントナイト、モンモリロナイト、クレーなど
が挙げられる。なかでもタルク、マイカ、カオリンが好
ましい。
【0036】該無機化合物の使用量は、ポリエチレンテ
レフタレート系熱可塑性ポリエステル100重量部に対
して、0.1〜60重量部、好ましくは1〜45重量
部、さらに好ましくは3〜30重量部である。使用量が
0.1重量部未満の場合、離型性に対して効果が小さく
なり、60重量部を越えた場合、難燃性樹脂組成物の機
械的強度が低下する。該無機化合物は上記ポリエチレン
テレフタレート系熱可塑性ポリエステルを製造する際、
反応前、反応途中あるいは反応終了後に添加してもよい
し、本発明の組成物を製造する際に難燃剤、酸化アンチ
モンと共に添加しても良い。
【0037】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂組成物には、(F)結晶化促進剤を添加するこ
とにより、更に離型性を向上させると共に、成形体表面
の光沢を向上させることができ、特に低温金型での離型
性及び表面光沢を向上させることができる。該結晶化促
進剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレン
オキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポ
リテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチ
レンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレ
ンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒド
ロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコールある
いはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化
合物といったポリアルキレングリコール類、ポリ−ε−
カプロラクトン等の脂肪族ポリエステル類、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポ
リテトラメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチ
レンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレ
フタレート等のポリエステル系単位と、下記一般式(I
I)
【0038】
【化6】
【0039】(式中、R1 は炭素数2〜5のアルキル基
を、kは5以上の整数で、k個のR1はそれぞれ異なっ
てもよい)および/又は一般式(III)
【0040】
【化7】
【0041】(式中、R2 は炭素数2〜5のアルキル基
を、Zは2価の結合基又は直接結合を表し、m及びnは
それぞれ1以上の整数で且つm+nは3以上の整数を表
し、m及びn個のR2 はそれぞれ異なってもよい)で表
される分子量400以上のポリエーテル単位とからな
る、ポリエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステ
ルよりもガラス転移温度の低いポリエステル−ポリエー
テル共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリ−ε
−カプロラクトン共重合体、ポリテトラメチレングリコ
ール−ポリ−ε−カプロラクトン共重合体などのポリエ
チレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルよりもガ
ラス転移温度の低いポリエステル−脂肪族ポリエステル
共重合体、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジ
オクチルフタレート、トリフェニルホスフェート、ブタ
ン−1,3−ジオールアジペートオリゴマー、ブタン−
1,4−ジオールアジペートオリゴマー、ヘキサン−
1,6−ジオールアジベートオリゴマー、ジブチルセバ
ケート、ジオクチルセバケートといった可塑剤等が挙げ
られ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。結晶化促進剤として有機あるいは高分子化合物のカ
ルボン酸金属塩を用いた場合は、耐湿熱性及び流動性が
低下するので好ましくない。
【0042】上記結晶化促進剤のなかで、機械的強度、
耐熱性やブルーミング性等の点からポリエステル−ポリ
エーテル共重合体が好ましい。該共重合体のポリエステ
ル単位としては、エチレンテレフタレート単位及び/又
はテトラメチレンテレフタレート単位を主たる構成成分
とするポリアルキレンテレフタレートが機械的強度、流
動性や離型性などの点から好ましい。
【0043】また、ポリエーテル単位としては、一般式
(II) および/または一般式 (III)で表される単位であ
って、一般式(II) 中のR1 の具体例としては、例えば
エチレン、プロピレン、イソプロピレン、テトラメチレ
ン基等が挙げられ、一般式 (III)中のR2 の具体例とし
ては、例えばエチレン、プロピレン、イソプロピレン、
テトラメチレン等が挙げられ、更にXの具体例として
は、例えば、−C(CH3 2 −、−CH2 −、−S
−、−SO3 −、−CO−等の2価の結合基、あるいは
直接結合が挙げられる。更に、ポリエーテル単位におい
ては、一般式(II) 中のkは5以上の整数、一般式 (II
I)中のm及びnは1以上の正数であってかつm+nは3
以上である整数を表し、いずれも分子量が400以上の
単位である。ポリエーテル単位の分子量としては、より
好ましくは600〜6000、更に好ましくは800〜
3000である。分子量が400未満では、難燃性樹脂
組成物の離型性や成形体の表面光沢改善の効果が小さ
く、6000を越えると均質な共重合体が得られ難くな
り、難燃性樹脂組成物に添加した場合、機械的強度の低
下などを招くので好ましくない。
【0044】該ポリエーテル単位の具体例としては、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド
・プロピレンオキシド)共重合体、ポリ(エチレンオキ
シド・プロピレンオキシド・テトラヒドロフラン)共重
合体、ビスフェノールAあるいはビスフェノールSなど
のビスフェノール類のエチレンオキシド、プロピレンオ
キシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシド
付加重合体などの残基が挙げられる。これらは、単独あ
るいは2種以上混合して用いられるが、特に、一般式
(III)で表されるポリエーテル単位の1種以上からなる
場合、熱安定性及び得られる難燃性樹脂組成物を低温金
型で成形した場合の離型性及び成形体の表面性などの点
から好ましい。これらの中では、ビスフェノールAのエ
チレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのプロピ
レンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのテトラヒ
ドロフラン付加重合体、ビスフェノールAのエチレンオ
キシド・プロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノー
ルSのエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノールS
のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノールSの
テトラヒドロフラン付加重合体、ビスフェノールSのエ
チレンオキシド・プロピレンオキシド付加重合体などが
好ましく用いられる。
【0045】該共重合体におけるポリエーテル単位の共
重合量は、得られた共重合体100重量%において、3
〜60重量%、好ましくは20〜55重量%、更に好ま
しくは25〜50重量%である。3重量%未満では、低
温金型で成形した際の離型性や表面光沢が不充分であ
り、60重量%を越えると成形体の機械的強度や耐湿熱
性等が低下する傾向がある。
【0046】該共重合体の固有粘度は0.35以上であ
り、好ましくは0.40〜2.00、さらに好ましくは
0.50〜1.50である。固有粘度が0.35未満で
は得られる難燃性樹脂組成物の耐熱性の低下が見られ、
2.00を越えると分散性が低下して、得られる難燃性
樹脂組成物の機械的強度が低下する傾向がある。
【0047】該結晶化促進剤の添加量は結晶化促進剤の
種類及び分子量によっても異なるが、概ね、(A)ポリ
エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル100
重量部に対して0.05〜50重量部であり、例えば、
ポリアルキレングリコール類、脂肪族ポリエステル類、
可塑剤などの低分子量の結晶化促進剤の場合は、0.0
5〜30重量部、上記ポリエステル−ポリエーテル共重
合体あるいはポリエステル−脂肪族ポリエステル共重合
体などの場合は0.5〜50重量部である。更に、ポリ
エステル−ポリエーテル共重合体の添加量において、好
ましくは1〜40重量部、更に好ましくは2〜35重量
部である。添加量が上記の下限量未満では、低温金型で
の離型性や表面光沢が不充分であり、また、上記の上限
量を越えると、難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐熱性
や耐湿熱性等が低下するので好ましくない。
【0048】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂組成物には更に必要に応じて、酸化防止剤など
の熱安定剤を使用することができる。該安定剤として
は、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,
5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オ
クタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ビ
ス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、ト
リス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)イソシアヌレートなどのフェノール系抗酸化剤、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどの燐
系酸化防止剤、ジステアリル−3,3’−チオジプロピ
オネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−
ラウリル−チオプロピオネート)などのチオエーテル系
酸化防止剤などが挙げられ、これらは単独又は2種以上
組み合わせて用いられる。
【0049】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂組成物には、更に紫外線吸収剤、光安定剤、滑
剤、離型剤、可塑剤、核剤、結晶化促進剤、顔料、染
料、帯電防止剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤などの添加
剤を単独又は2種以上組み合わせて使用することができ
る。更に、他の難燃剤、難燃助剤、無機化合物を併用し
てもよい。
【0050】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂組成物には、難燃性、機械的特性、成形性など
の特性を損なわない範囲で、更に他の任意の熱可塑性あ
るいは熱硬化性の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂以外の飽和あるいは不飽和のポリエステル系
樹脂、液晶ポリエステル系樹脂、ポリエステルエステル
エラストマー系樹脂、ポリエステルエーテルエラストマ
ー系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、ゴム質重合体強化スチレン系
樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルホ
ン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフッ素化エチレ
ン系樹脂等を単独あるいは2種以上組み合わせて添加し
てもよい。
【0051】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではな
い。例えば上記に挙げられた成分を予め均一に混合した
後、単軸あるいは多軸の押出機に供給し、240〜34
0℃で溶融混合され、続いて冷却してペレットとして製
造される。
【0052】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるものでは
なく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形
法、すなわち射出成形、中空成形、押出成形、シート成
形、ロール成形、プレス成形、積層成形、溶融キャスト
法によるフィルム成形、紡糸等の各種成形方法が適用で
きる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の記載において、特に断らない限り、「部」
は重量部を、「%」は重量%を意味する。尚、樹脂組成
物の評価は下記の方法で行った。
【0054】評価方法 得られた樹脂組成物を140℃にて4時間以上乾燥した
後、50t射出成形機を用いてシリンダー温度270
℃、金型温度120℃にて射出成形を行い、厚み1/1
6インチ(幅12mm、長さ127mm)バー、ASTM1
号ダンベル試験片を得て、以下の評価を行った。 難燃性:1/16インチバーを用いて、UL94に記載
された垂直燃焼試験法に従い難燃性を評価した。 引張強度:ダンベルをASTM D−638に従い引張
試験を行い、最大強度を求めた。 耐湿熱性:ダンベルを121℃飽和加圧水蒸気下にて3
0時間保持して湿熱処理を行った。湿熱処理前後のダン
ベルをASTM D−638に従い引張試験を行い、最
大強度を求めた。なお、引張強度保持率は以下の式に従
って求めた。 流動性:JIS K−7210に準じ、設定温度280
℃で予熱時間10分にてB法フローを測定し評価した。
【0055】滞留熱安定性:得られた樹脂組成物を14
0℃にて4時間以上乾燥した後、50t射出成形機を用
いてシリンダー温度300℃、金型温度140℃にて厚
み1/4インチ(幅12mm、長さ127mm)のバー
を、1ショットの成形サイクルが10分となるように設
定して射出成形し、得られた成形体のフラッシュ発生状
態などの外観を目視により観察し、次の基準にて判定評
価した。 〇:外観良好、△:若干外観悪い、×:外観悪い。
【0056】離型性:得られた樹脂組成物を140℃に
て4時間以上乾燥した後、50t射出成形機を用いてシ
リンダー温度300℃、金型温度140℃にて厚み1/
4インチ(幅12mm、長さ127mm)のバーを射出成形
したとき、突き出しピンによる窪み、変形などがなく良
好な成形体が得られる最短の冷却時間「限界冷却時間」
を調べ、離型性を評価した。
【0057】表面光沢:得られた樹脂組成物を140℃
にて4時間以上乾燥した後、50t射出成形機を用いて
シリンダー温度270℃、金型温度90℃にて平板(厚
み2mm、縦横120mm)を成形し、表面の光沢を目視に
て観察して、次の基準により判定評価した。 ○:良好、△:若干光沢悪い、×:光沢悪い。
【0058】実施例1 二酸化ゲルマニウムを触媒として用いて製造されたポリ
エチレンテレフタレート(1)(固有粘度0.75)1
00重量部に対して、臭素化率約50%、エポキシ当量
約3500のテトラブロモビスフェノールA型エポキシ
化合物であるハロゲン化エポキシ化合物(1)を15
部、五酸化アンチモン(サナフレームAM:讃岐化学株
式会社製商品名)を1部、三酸化アンチモン(酸化アン
チモンC:住友金属鉱山株式会社製商品名)を4部、フ
ェノール系抗酸化剤(アデカスタブAO−60:旭電化
株式会社製商品名)0.35部を予めドライブレンドし
た後、シリンダー温度を260℃に設定したベント付き
2軸押出機(TEX44:日本製鋼所株式会社製商品
名)ホッパーに供給すると共に、ガラス繊維(T−19
5H/PS:日本電気硝子株式会社製商品名)を50部
を途中添加して溶融押出することにより、樹脂組成物を
得た。該樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0059】実施例2 ハロゲン化エポキシ化合物(1)15部を、臭素化率約
50%、エポキシ当量約5200であるテトラブロモビ
スフェノールA型エポキシ樹脂である、ハロゲン化エポ
キシ化合物(2)22部に、酸化アンチモンを三酸化ア
ンチモン(酸化アンチモンC:住友金属鉱山株式会社商
品名)5部に、ガラス繊維50部を60部にそれぞれ変
更し、更に、チオエーテル系酸化防止剤(アデカスタブ
AO−412S:旭電化株式会社製商品名)を0.15
部追加添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成
物を得た。評価結果を表1に示す。
【0060】実施例3〜5 各配合剤を表1に示した量に変更した以外は、実施例1
と同様にして樹脂組成物を得た。ただし、ポリエチレン
テレフタレート(2)は二酸化ゲルマニウムを触媒とし
て用い、製造された固有粘度が0.60のものを用い
た。またPTFEはポリテトラフルオロエチレン樹脂
(ポリフロンF104:ダイキン工業株式会社製商品
名)を用いた。該樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0061】実施例6〜10 各配合剤を表2に示した量に変更し、さらに無機化合物
を添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を
得た。ただし、無機化合物としてタルク(ミクロエース
K−1:日本タルク株式会社製商品名)、マイカ(A−
21S:山口雲母株式会社製商品名)、カオリン(SA
TINTION No.5:ENGELHARD社製商
品名)を用いた。尚、参考までに、無機化合物を含まな
い実施例5の樹脂組成物の評価結果を併せて掲記した。
【0062】比較例1〜11 表3及び表4に示した、ポリエチレンテレフタレート及
び配合剤を用いて実施例1と同様にして樹脂組成物を得
た。ただし、ポリエチレンテレフタレート(3)はアン
チモン化合物を触媒として用い、製造された固有粘度
0.75のもの、ハロゲン化エポキシ化合物(3)は臭
素化率約48%、エポキシ当量1820であるテトラブ
ロモビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフ
ェノールA型フェノキシ樹脂(4)は、臭素化率が約5
0%、末端のエポキシ基を封鎖してエポキシ基を含まな
いものである。また、多官能エポキシ化合物は、油化シ
ェルエポキシ株式会社製のエピコート828を用いた。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】実施例である表1〜2と比較例である表3
〜4を比較して明らかであるように、本発明の組成物は
いずれも難燃性、機械的強度、耐湿熱性、流動性に優
れ、更に、特定の無機化合物を併用することにより、離
型性にも優れていることがわかる。尚、比較例7、11
は多官能エポキシを使用しているため、流動性が大巾に
低下している。
【0068】参考例1 二酸化ゲルマニウムを触媒として製造されたポリエチレ
ンテレフタレートオリゴマー(平均エチレンテレフタレ
ート単位数約5〜8)を3500g、平均分子量約10
00のビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体
を1500g、および、アデカスタブAO−60を25
gを10リットル容積のオートクレーブ(日本耐圧ガラ
ス製)に投入して、窒素気流下で攪拌しながら290℃
まで昇温した後、1Torr以下まで減圧した。1Torr以下
に達してから3時間攪拌した後、窒素で常圧までもどし
重合を終了し、ポリエステル−ポリエーテル共重合体
(1)を得た。得られた共重合体の固有粘度は0.7で
あった。
【0069】参考例2 ポリテトラメチレンテレフタレート(固有粘度0.9)
を3500g、平均分子量約1000のビスフェノール
Aのエチレンオキシド付加重合体を1500g、及び、
アデカスタブAO−60を25gを10リットル容積の
オートクレーブ(日本耐圧ガラス製)に投入して、窒素
気流下で攪拌しながら260℃まで昇温した後、1Torr
以下まで減圧した。1Torr以下に達してから3時間攪拌
した後、窒素で常圧までもどし重合を終了し、ポリエス
テル−ポリエーテル共重合体(2)を得た。得られた共
重合体の固有粘度は0.8であった。
【0070】実施例11 二酸化ゲルマニウムを触媒として用いて製造されたポリ
エチレンテレフタレート(1)100重量部に対して、
ハロゲン化エポキシ化合物(2)を22部、三酸化アン
チモン(酸化アンチモンC:住友金属鉱山株式会社製商
品名)を5部、参考例1で得たポリエステル−ポリエー
テル共重合体(1)を9部、フェノール系抗酸化剤を
0.35部、チオエーテル系酸化防止剤を0.15部、
ガラス繊維を60部からなる樹脂組成物を実施例1と同
様にして得た。表面光沢の評価結果を表5に示す。
【0071】実施例12〜13 各配合剤を表5に示した量に変更した以外は実施例11
と同様にして樹脂組成物を得た。表面光沢の評価結果を
表5に示す。尚、参考までに、ポリエステル−ポリエー
テル共重合体を含まない実施例2、7の樹脂組成物につ
いても同様に評価し、その評価結果を表5に示す。
【0072】
【表5】
【0073】表5より、ポリエステル−ポリエーテル共
重合体(1)または(2)を添加することにより、低温
金型で成形した場合でも、表面光沢が良好であることが
わかる。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、難燃性、機械的強度、
耐湿熱性と流動性とのバランスに優れ、高温で長時間滞
留させても粘度変化が生じにくく、また特定の無機化合
物を併用することで離型性にも優れ、さらに特定の結晶
化促進剤を配合することにより低温金型で成形した場合
でも表面光沢が良好な、難燃性ポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂組成物を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/04

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゲルマニウム系化合物を触媒とし
    て用いて製造された、エチレンテレフタレート単位を主
    たる構成成分とするポリエチレンテレフタレート系熱可
    塑性ポリエステル100重量部に対し、(B)下記一般
    式(I) 【化1】 (式中、Xは水素原子またはハロゲン原子、YはC1 〜
    C10のアルキレン基、C2 〜C10のアルキリデン基、C
    3 〜C10のシクロアルカン基、カルボニル基、−O−、
    −S−、−SO2 −、または直接結合を、nは数平均重
    合度で6〜20を示す)で示される骨格を有し、ハロゲ
    ン化率が10重量%以上で、かつエポキシ当量が260
    0〜6000であるハロゲン化エポキシ化合物10〜6
    0重量部、(C)酸化アンチモン化合物0.1〜20重
    量部、及び(D)強化充填剤0〜150重量部を配合し
    てなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 (D)強化充填剤が2〜150重量部で
    ある請求項1記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)ゲルマニウム系化合物を触媒とし
    て用いて製造された、エチレンテレフタレート単位を主
    たる構成成分とするポリエチレンテレフタレート系熱可
    塑性ポリエステル100重量部に対し、(B)下記一般
    式(I) 【化2】 (式中、Xは水素原子またはハロゲン原子、YはC1 〜
    C10のアルキレン基、C2 〜C10のアルキリデン基、C
    3 〜C10のシクロアルカン基、カルボニル基、−O−、
    −S−、−SO2 −、または直接結合を、nは数平均重
    合度で6〜20を示す)で示される骨格を有し、ハロゲ
    ン化率が10重量%以上で、かつエポキシ当量が260
    0〜6000であるハロゲン化エポキシ化合物10〜6
    0重量部、(C)酸化アンチモン0.1〜20重量部、
    (D)強化充填剤0〜150重量部、及び(E)珪酸塩
    化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種
    の無機化合物0.1〜60重量部を配合してなる難燃性
    ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (D)強化充填剤が2〜150重量部で
    ある請求項3記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート
    系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 一般式(I)におけるXが臭素原子であ
    る請求項1又は3記載の難燃性ポリエチレンテレフタレ
    ート系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (C)酸化アンチモンが、三酸化アンチ
    モンである請求項1〜5の各項記載の難燃性ポリエチレ
    ンテレフタレート系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (E)無機化合物が、タルク、マイカ及
    びカオリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の珪
    酸塩化合物である請求項3〜6の各項記載の難燃性ポリ
    エチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 更に、(F)結晶化促進剤を0.5〜5
    0重量部配合してなる、請求項1〜7の各項記載の難燃
    性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 (F)結晶化促進剤が、ポリエステル−
    ポリエーテル共重合体である請求項8記載の難燃性ポリ
    エチレンテレフタレート系樹脂組成物。
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