JP3138732B2 - 一体化再生型固体高分子型燃料電池の酸素極用触媒 - Google Patents

一体化再生型固体高分子型燃料電池の酸素極用触媒

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JP3138732B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一体化再生型固体
高分子型燃料電池の酸素極用触媒、一体化再生型固体高
分子型燃料電池の酸素極、及び一体化再生型固体高分子
型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】固体高分子電解質膜を用いる電気化学プ
ロセスは、エネルギー変換効率が高く、省エネルギーで
クリーンな極めて優れたエネルギー変換システムであ
る。特に、固体高分子水電解や固体高分子型燃料電池
は、水素エネルギーシステムの根幹を担う基本技術とし
て期待されているが、その実用化のためには、コスト低
減が強く望まれている。
【0003】一体化再生型燃料電池とは、通常は別々の
セルで運転されている燃料電池と水電解を、同一のセル
で運転できるようにしたものであり、これによりシステ
ムの大幅なコストダウンが期待されている。しかしなが
ら、固体高分子水電解セルの酸素発生極に用いられるイ
リジウムは、酸素発生反応には活性を示すものの、燃料
電池の酸素極反応(酸素還元)についての活性は白金と
比較して劣っており、一方、固体高分子型燃料電池の酸
素極に用いられる白金は、酸素還元反応には優れた活性
を示すものの、水電解の酸素発生反応に対する活性はイ
リジウムと比較して劣るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
酸素発生反応に対する触媒活性と酸素還元反応に対する
触媒活性の両方に優れ、一体化再生型燃料電池用の酸素
極用触媒として優れた特性を発揮し得る触媒材料を提供
することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した如
き課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、イリジウムに水
酸化物イオンが配位したイリジウム錯イオンを含有する
水溶液から、水酸化イリジウム水和物を沈殿析出させ、
これを比較的低温の空気中で焼成して得られるイリジウ
ム化合物は、優れた触媒活性を有する高比表面積の粒子
となり、これを白金微粒子と混合することによって、酸
素発生反応と酸素還元反応の両反応に対する活性に優れ
た触媒が得られることを見出した。更に、イリジウム錯
体を含有する水溶液中に白金微粒子を分散させ、この水
溶液中から水酸化イリジウム水和物を沈殿析出させ、こ
れを焼成することによって、イリジウム化合物の微粒子
が白金微粒子に均一に分散担持された高活性な触媒とな
り、この触媒は、一体化再生型燃料電池用の酸素極用触
媒として、より一層優れた特性を発揮できることを見出
し、ここに本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、下記の一体化再生型固体
高分子型燃料電池の酸素極用触媒、一体化再生型固体高
分子型燃料電池の酸素極、及び一体化再生型固体高分子
型燃料電池を提供するものである。 1.イリジウムに水酸化物イオンが配位したイリジウム
錯イオンを含有する水溶液から、水酸化イリジウム水和
物を沈殿析出させた後、含酸素雰囲気中で200〜70
0℃で焼成して得られるイリジウム化合物と、白金微粒
子の混合物からなる一体化再生型固体高分子型燃料電池
の酸素極用触媒。 2.イリジウムに水酸化物イオンが配位したイリジウム
錯イオンを含有する水溶液中に白金微粒子を分散させた
分散液から、水酸化イリジウム水和物を沈殿析出させた
後、含酸素雰囲気中で200〜700℃で焼成して得ら
れる、イリジウム化合物を担持した白金微粒子からなる
一体化再生型固体高分子型燃料電池の酸素極用触媒。 3.イリジウムに水酸化物イオンが配位したイリジウム
錯イオンを含有する水溶液が、水酸化アルカリ水溶液に
イリジウム錯体を添加するか、又はイリジウム錯体を含
有する水溶液に水酸化アルカリ化合物を添加して得られ
るものである上記項1又は2に記載の酸素極用触媒。 4.水酸化イリジウム水和物を沈殿析出させる方法が、
イリジウム錯イオンを含有する水溶液に酸を添加する方
法である上記項1〜3のいずれかに記載の酸素極用触
媒。 5.還元剤の存在下に水酸化イリジウム水和物を沈殿析
出させる上記項1〜4のいずれかに記載の酸素極用触
媒。 6.焼成温度が300〜500℃である上記項1〜5の
いずれかに記載の酸素極用触媒。 7.白金微粒子が白金黒である上記項1〜6のいずれか
に記載の酸素極用触媒。 8.白金微粒子が担体に担持されたものである上記項1
〜7のいずれかに記載の酸素極用触媒。 9.上記項1〜8のいずれかに記載の触媒を含むガス拡
散電極である一体化再生型固体高分子型燃料電池の酸素
極。 10.上記項9に記載の酸素極を構成要素とする一体化
再生型固体高分子型燃料電池。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の触媒で用いるイリジウム
化合物を得るには、まず、イリジウムに水酸化物イオン
が配位したイリジウム錯イオンを含有する水溶液から、
水酸化イリジウム水和物を沈殿析出させる。
【0008】この様なイリジウムに水酸化物イオンが配
位したイリジウム錯イオンを含有する水溶液は、例え
ば、水酸化アルカリ化合物を含有する水溶液中にイリジ
ウム錯体を添加するか、或いは、イリジウム錯体を含有
する水溶液に、水酸化アルカリ化合物を添加することに
よって調製できる。
【0009】原料として用いるイリジウム錯体として
は、水溶性のイリジウム錯体であればよく、具体例とし
ては、H2[IrCl6]、K2[IrCl6]、Na
2[IrCl6]、(NH42[IrCl6]、H3[Ir
Cl6]、K3[IrCl6]、(NH43[IrCl6
等を挙げることができる。イリジウム錯体の濃度は、
0.005〜0.05モル/l程度とすることが好まし
い。
【0010】水酸化アルカリ化合物としては、例えば、
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を用いることがで
きる。水酸化アルカリ化合物の添加量は、水溶液中の水
酸化アルカリ化合物濃度が0.05〜0.5モル/l程
度であって、イリジウム錯体の7〜10倍モル程度とす
ることが適当である。この様に水酸化アルカリ化合物を
添加することによって、水溶液中で、イリジウムに水酸
化物イオンが6個配位した[Ir(OH)63-が形成
される。この際の液温は、30〜50℃程度とすればよ
く、反応時間は、3〜5時間程度とすればよい。
【0011】次いで、この水溶液に酸を加えて中和する
ことによって、水酸化イリジウムの水和物を沈殿析出さ
せる。酸としては、例えば、過塩素酸水溶液、塩酸、硫
酸等を用いることができる。酸の添加量は、水酸化イリ
ジウム水和物の沈殿が生じるための必要な量とすればよ
く、通常は、水溶液のpHが7.5〜8.5程度となる
量とすればよい。この様にして、イリジウム錯イオンを
含有する水溶液に酸を加えて中和することによって、
[Ir(OH)63-がコロイド状の[Ir(OH)
3(H2O)3]に変換されて沈殿が生じる。
【0012】なお、イリジウム錯体を含有する水溶液を
中和する際に、イリジウム錯体が酸化されて塩化物イオ
ンが混入することを避けるために、空気中等の含酸素雰
囲気中で反応を行う場合には、イリジウム錯体を含有す
る水溶液中に、還元剤を添加することが好ましい。還元
剤としては、形成されるイリジウム化合物中に残留する
ことを避けるために、後述する焼成工程で分解されるも
のが好ましく、例えば、アスコルビン酸等を用いること
ができる。還元剤の配合量については、特に限定的では
ないが、アスコルビン酸を用いる場合には、0.1〜
0.2g/l程度とすることが適当である。また、還元
剤を添加する方法に代えて、窒素等の不活性ガス雰囲気
中で中和反応を行うことによっても、イリジウム錯体の
酸化を抑制することができる。
【0013】この様にして生じた水酸化イリジウム水和
物は、液中の塩化物イオンの混入を防ぐために十分に水
洗し、その後、乾燥して水分を十分除去した後、空気中
等の含酸素雰囲気中で、200〜700℃程度、好まし
くは、300〜500℃程度、更に好ましくは350〜
450℃程度で1〜2時間程度焼成することによって、
本発明触媒の有効成分とするイリジウム化合物を得るこ
とができる。
【0014】この様にして、イリジウム錯体を含有する
水溶液から穏和な条件下で沈殿析出した水酸化イリジウ
ム水和物を、含酸素雰囲気中で比較的低温度で焼成する
ことによって、比表面積が高く、優れた触媒活性を有す
るイリジウム化合物を得るとができる。形成されるイリ
ジウム化合物は、超微粒子状の化合物が、比較的疎に凝
集した高比表面積の粒子となり、通常は、2次粒子の粒
径が100nm程度以下で、比表面積は20〜50m2
/g程度となる。形成されるイリジウム化合物は、焼成
条件等によって、イリジウム酸化物、イリジウム水酸化
物、金属イリジウム、イリジウム合金、これらの混合物
等になる。本発明では、特に、400℃程度で焼成して
得られる高比表面積の酸化イリジウムを主成分とするイ
リジウム化合物が好ましい。
【0015】焼成後のイリジウム化合物は、乳鉢等を用
いて十分に分散させた後、触媒の有効成分として使用す
ることが好ましい。
【0016】本発明の触媒に配合するもう一方の有効成
分である白金微粒子としては、従来から固体高分子型燃
料電池に使用されている白金触媒と同様の白金微粒子を
用いればよい。本発明では、特に限定的ではないが、高
活性を得るために、高比表面積の白金微粒子が好まし
く、例えば、比表面積が10m2/g程度以上の白金黒
等を好適に用いることができる。
【0017】また、白金微粒子をそのまま用いる他に、
担体上に担持された白金微粒子を用いても良い。担体と
しては、金、ルテニウム、チタン等の酸性雰囲気下で腐
食されない金属の微粒子、炭化チタン、炭化ジルコニウ
ム等の導電性セラミックスの微粒子等を使用できる。こ
れらの担体に白金微粒子を担持させる方法については、
公知の方法に従えばよく、例えば、塩化白金酸エタノー
ル溶液を担体に含浸させた後、水素気流中で100〜3
00℃程度、好ましくは200℃程度で還元することに
よって、担体表面に白金微粒子を析出させることができ
る。担体上への白金微粒子の担持量については、通常、
担体と白金微粒子との合計量を100重量%程度とし
て、1〜20重量%程度とすればよい。担体上に担持さ
れた白金微粒子を用いることによって、白金微粒子の利
用効率が向上し、より少ない白金使用量で十分な触媒活
性を発揮できる。
【0018】本発明の触媒は、上記した方法で得られた
イリジウム化合物と白金微粒子を混合したものであり、
高比表面積のイリジウム化合物と白金微粒子を混合する
ことによって、優れた触媒活性を有するイリジウム化合
物と白金微粒子が均一に分散した混合触媒となり、酸素
発生反応に対する触媒活性と酸素還元反応に対する触媒
活性の両方に優れたものとなる。
【0019】イリジウム化合物と白金微粒子の混合割合
は、イリジウム化合物:白金微粒子(モル比)=1:1
〜1:15程度とすればよく、1:3〜1:10程度と
することがより好ましい。イリジウム化合物と白金粒子
の混合方法については、特に限定はなく、例えば、ボー
ルミル、乳鉢等を用いて均一に混合すればよい。なお、
担体上に担持された白金微粒子を用いる場合には、上記
した混合割合と比べてより少量の白金量で良好な触媒活
性を示すことも可能である。
【0020】また、本発明によれば、上記イリジウム化
合物と白金微粒子を単に混合するだけではなく、白金微
粒子上にイリジウム化合物の微粒子を担持させることに
よって、上記混合触媒と比べて、より一層優れた触媒活
性を有する触媒を得ることができる。
【0021】白金微粒子上にイリジウム化合物を担持さ
せるには、まず、上記したイリジウム化合物微粒子の調
製に用いたものと同様のイリジウム錯体含有水溶液中
に、白金微粒子を分散させた後、上記した方法と同様に
して水酸化イリジウム水和物を沈殿析出させればよい。
白金微粒子は、還元剤を加える前、又は還元剤を加えた
直後に添加すればよい。
【0022】白金微粒子へのイリジウム微粒子の担持量
は、イリジウム微粒子:白金微粒子(モル比)=1:1
〜1:9程度とすることが好ましく、1:4〜1:9程
度とすることがより好ましい。該水溶液中への白金微粒
子の添加量は、目的とする白金微粒子へのイリジウム微
粒子の担持量に応じて決めればよい。
【0023】イリジウムを沈殿析出させる際に使用する
原料成分の種類、水酸化イリジウム水和物を沈殿析出さ
せる方法等については、上記したイリジウム化合物を作
製する場合と同様とすればよい。
【0024】次いで、上記したイリジウム化合物微粒子
の調製と同様にして、焼成することによって、白金微粒
子上にイリジウム化合物を担持させることができる。得
られた担持物は、白金微粒子上に、高比表面積のイリジ
ウム化合物が均一に分散担持されたものとなり、酸素発
生反応に対する触媒活性と酸素還元反応に対する触媒活
性の両方について、非常に優れた特性を発揮するものと
なる。白金微粒子上に担持されるイリジウム化合物につ
いては、上記した場合と同様に、通常、粒径が100n
m程度以下で、比表面積は20〜50m2/g程度とな
る。
【0025】また、この方法においても、白金微粒子に
代えて、担体上に担持させた白金微粒子を用いることが
できる。この場合に使用できる、担体上に担持させた白
金微粒子は、上述したイリジウム化合物と白金微粒子の
混合物からなる触媒で使用するものと同様でよい。
【0026】以上の方法で得られたイリジウム化合物と
白金微粒子の混合物からなるイリジウム白金触媒、及び
白金微粒子上にイリジウム化合物を担持させたイリジウ
ム白金触媒は、いずれも一体化再生型固体高分子型燃料
電池用の酸素極の触媒として用いることができる。
【0027】該酸素極の構造は、通常のガス拡散電極と
同様の構造とすればよく、本発明のイリジウム白金触媒
を用いる他は、常法に従って作製することができる。例
えば、本発明の触媒を含むシート状のガス拡散電極を作
製するには、イリジウム白金触媒と、ポリテトラフルオ
ロエチレン等のフッ素系樹脂を両者の合計量を100重
量%として、フッ素系樹脂が10〜40重量%程度とな
る割合で混合し、更に、必要に応じて、公知の造孔剤等
を加えた混合物を、シート状に成形し、窒素等の不活性
ガス雰囲気中で320〜380℃程度で焼成することに
よって、20〜200μm程度の厚さの多孔質のシート
状焼結体からなるガス拡散電極を得ることができる。更
に、このガス拡散電極には、一体化再生型固体高分子型
燃料電池において高分子イオン交換膜として使用する固
体高分子電解質と同一又は類似したカチオン伝導性を有
する高分子化合物を含有する分散液を塗布し含浸させて
乾燥することによって、該ガス拡散電極中に固体高分子
電解質成分を拡散させて、電極反応領域を3次元化し
て、電極性能を更に向上させることもできる。
【0028】また、そのほかに、固体高分子電解質と同
一種類の高分子化合物を含有する分散液とイリジウム白
金触媒を混合してスラリー状とし、これを、ポリテトラ
フルオロエチレン等のフッ素系樹脂の基材や固体高分子
電解質膜に塗布し、乾燥することによっても、本発明の
イリジウム白金触媒を含有するガス拡散電極を作製する
ことができる。
【0029】本発明の触媒を用いる一体化再生型固体高
分子型燃料電池は、固体高分子型水電解と固体高分子型
燃料電池の反応を同一の電気化学セルで行うものであ
り、固体高分子電解質膜の両側に、酸素極と水素極とし
て、それぞれガス拡散電極を配置した構造である。該一
体化再生型固体高分子型燃料電池では、酸素極として
は、上記した本発明のイリジウム白金触媒を触媒成分と
するガス拡散電極を用い、水素極としては、白金触媒、
カーボン担持白金触媒等を触媒成分とする公知の構造の
ガス拡散電極を用いればよい。固体高分子電解質膜とし
ても、従来から固体高分子型燃料電池の高分子電解膜と
して知られているカチオン伝導性を示す公知のイオン交
換膜を用いることができ、例えば、ナフイオン、フレミ
オン、アシプレックス等の名称で市販されているものを
使用できる。
【0030】
【発明の効果】本発明のイリジウムと白金の混合触媒
は、酸素発生反応に対する触媒活性と酸素還元反応に対
する触媒活性の両方に優れたものであり、該触媒を用い
たガス拡散電極は、燃料電池の特性を損なうことなく、
水電解電圧を大きく低減することが可能であり、総合的
な触媒活性が優れているために、一体化再生型固体高分
子型燃料電池の特性を大幅に改善することができる。特
に、白金微粒子上にイリジウム化合物の微粒子を担持さ
せた触媒によれば、より一層優れた触媒活性が発揮され
る。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。 実施例1 水酸化ナトリウム6.0gを溶解した蒸留水に塩化イリ
ジウム酸を3.37g投入し、窒素ガスバブリングを行
いながら、40℃で4時間撹拌することによって、[I
r(OH)63-を含有する水溶液を得た。この水溶液
を常温に冷却してアスコルビン酸を0.2g加えた後、
窒素ガスバブリングしながら、溶液のpHが8になるま
で0.1M過塩素酸水溶液を徐々に加えた。そのまま一
昼夜以上放置した後、遠心分離によって、水酸化イリジ
ウム水和物を分離した。この沈殿物を蒸留水で十分に洗
浄し、乾燥、粉砕後、さらに、空気中で400℃で1時
間焼成して、イリジウム化合物を得た。得られたイリジ
ウム化合物は、二次粒子の粒径が約50〜100nmで
比表面積が約40m2/gの酸化イリジウムであった。
【0032】得られたイリジウム化合物を、9倍量(モ
ル比)の高比表面積白金黒(比表面積約26m2/g、J
ohnson Matthey社製)と十分に混合することによって、
イリジウム化合物と白金黒の混合物からなる触媒微粉末
を得た。
【0033】この様にして得たイリジウムと白金黒の混
合触媒微粉末85重量%とポリテトラフルオロエチレン
15重量%からなる混合物を成形し焼成して電極シート
(厚さ0.1mm、直径36.5mm)を作製し、ガス
拡散電極とした。
【0034】このガス拡散電極に、高分子電解質である
ナフィオンの5重量%溶液(Aldrich Chemical社製)を
塗布し、乾燥した。これを酸素極として用い、白金黒7
0重量%とポリテトラフルオロエチレン30重量%から
なる混合物を成形し焼成して得られたシートを水素極と
して用いて、プロトン導電性高分子電解質(ナフィオン
115,デュポン社製)の片面に酸素極を押し当て、も
う一方の面に水素極を押し当てて、160℃、70kg
f/cm2にてホットプレスを1分間行って、ガス拡散
電極・プロトン導電体膜の接合体を作製した。 比較例1 実施例1において酸素極用触媒として用いたイリジウム
化合物と白金黒の混合触媒に代えて、白金黒のみを用い
る以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散電極・プロ
トン導電体膜の接合体を作製した。白金黒の使用量は、
実施例1におけるイリジウム化合物と白金黒の合計量と
同量とした。試験例1 実施例1及び比較例1で作製したガス拡散電極・プロト
ン導電体膜の接合体について、電極面積10cm2のセ
ルに組み込み、燃料電池としての運転では水素極に純水
素を流し、酸素極に純酸素を流して、全圧3.0気圧、
80℃において発電試験を行った。また、水電解装置と
しての運転では、電極に純水を供給しながら、水素極を
電源の負極に接続し、酸素極を電源の正極に接続して通
電し、大気圧下、80℃で電解試験を行った。
【0035】実施例1で作製したガス拡散電極・プロト
ン導電体膜の接合体と比較例1で作製したガス拡散電極
・プロトン導電体膜の接合体について、燃料電池及び水
電解装置として作動させた場合の電流電圧特性を図1に
示す。
【0036】図1より、本発明による白金イリジウム混
合触媒微粉末を用いた実施例1の接合体のガス拡散電極
は、燃料電池作動時の特性を損なわず、水電解電圧を大
きく低減でき、トータルな触媒活性に優れたものであ
り、一体化再生型固体高分子型燃料電池の特性を大きく
改善できることがわかる。 実施例2 水酸化ナトリウム6.0gを溶解した蒸留水に塩化イリ
ジウム酸を3.37g投入し、窒素ガスバブリングを行
いながら、40℃で4時間撹拌することによって、[I
r(OH)63-を含有する水溶液を得た。この水溶液
を常温に冷却後、実施例1で用いたものと同一の高比表
面積白金黒を8.0g加え、十分に分散させた。この白
金黒分散溶液に、アスコルビン酸を0.2g加えた後、
窒素ガスバブリングしながら、溶液のpHが8になるま
で0.1M過塩素酸水溶液を徐々に加えた。そのまま一
昼夜以上放置した後、遠心分離によって、白金−水酸化
イリジウム混合物の沈殿物を分離した。この沈殿物を蒸
留水で十分に洗浄し、乾燥、粉砕後、さらに、空気中で
400℃で1時間焼成することによって、イリジウム化
合物が担持された白金微粒子を得た。生成物は、粒径約
100〜500nmであり、イリジウム:白金(モル
比)=1:4であった。
【0037】実施例1で用いたイリジウム化合物と白金
黒の混合物からなる触媒微粉末に代えて、上記したイリ
ジウム化合物が担持された白金を用いる以外は、実施例
1と同様にして、ガス拡散電極・プロトン導電体膜の接
合体を作製した。試験例2 実施例2で作製したガス拡散電極・プロトン導電体膜の
接合体を用いて、上記試験例1と同様にして、燃料電池
及び水電解装置として作動させた場合の電流電圧特性を
求めた。結果を下記図2に示す。図2には、比較例1で
作製したガス拡散電極・プロトン導電体膜の接合体につ
いての試験結果も記載する。
【0038】図2より、イリジウム化合物が担持された
白金微粒子を用いた実施例2の接合体のガス拡散電極
は、燃料電池作動時の特性を損なわず、水電解電圧を大
きく低減でき、トータルな触媒活性に優れたものであ
り、一体化再生型固体高分子型燃料電池の特性を大きく
改善できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1で得られた触媒を用いた
一体化再生型固体高分子型燃料電池を燃料電池及び水電
解装置として作動させた場合の電流電圧特性を示すグラ
フ。
【図2】実施例2及び比較例1で得られた触媒を用いた
一体化再生型固体高分子型燃料電池を燃料電池及び水電
解装置として作動させた場合の電流電圧特性を示すグラ
フ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 4/92 H01M 4/92 8/10 8/10 (56)参考文献 特開 平10−330979(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 38/74 H01M 4/90 - 4/92 H01M 8/10

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イリジウムに水酸化物イオンが配位したイ
    リジウム錯イオンを含有する水溶液から、水酸化イリジ
    ウム水和物を沈殿析出させた後、含酸素雰囲気中で20
    0〜700℃で焼成して得られるイリジウム化合物と、
    白金微粒子の混合物からなる一体化再生型固体高分子型
    燃料電池の酸素極用触媒。
  2. 【請求項2】イリジウムに水酸化物イオンが配位したイ
    リジウム錯イオンを含有する水溶液中に白金微粒子を分
    散させた分散液から、水酸化イリジウム水和物を沈殿析
    出させた後、含酸素雰囲気中で200〜700℃で焼成
    して得られる、イリジウム化合物を担持した白金微粒子
    からなる一体化再生型固体高分子型燃料電池の酸素極用
    触媒。
  3. 【請求項3】イリジウムに水酸化物イオンが配位したイ
    リジウム錯イオンを含有する水溶液が、水酸化アルカリ
    水溶液にイリジウム錯体を添加するか、又はイリジウム
    錯体を含有する水溶液に水酸化アルカリ化合物を添加し
    て得られるものである請求項1又は2に記載の酸素極用
    触媒。
  4. 【請求項4】水酸化イリジウム水和物を沈殿析出させる
    方法が、イリジウム錯イオンを含有する水溶液に酸を添
    加する方法である請求項1〜3のいずれかに記載の酸素
    極用触媒。
  5. 【請求項5】還元剤の存在下に水酸化イリジウム水和物
    を沈殿析出させる請求項1〜4のいずれかに記載の酸素
    極用触媒。
  6. 【請求項6】焼成温度が300〜500℃である請求項
    1〜5のいずれかに記載の酸素極用触媒。
  7. 【請求項7】白金微粒子が白金黒である請求項1〜6の
    いずれかに記載の酸素極用触媒。
  8. 【請求項8】白金微粒子が担体に担持されたものである
    請求項1〜7のいずれかに記載の酸素極用触媒。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の触媒を含
    むガス拡散電極である一体化再生型固体高分子型燃料電
    池の酸素極。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の酸素極を構成要素とす
    る一体化再生型固体高分子型燃料電池。
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