JP3133431B2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えばカーエアコン
用凝縮器やラジエーター等に用いられる熱交換器であっ
て特に筒状ヘッダーを備えたいわゆるヘッダータイプの
熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、カーエアコン用の凝縮器に用い
られるこの種の熱交換器として、図６に示すように、複
数の偏平チューブ（１）が相互間にフィン（２）を介在
配置された状態で厚さ方向に積層されると共に、これら
各チューブ（１）の左右両端が左右一対の筒状ヘッダー
（５）（６）に連通接続され、かつこれら両ヘッダー
（５）（６）にそれぞれ熱交換媒体出入口用パイプ
（７）（８）が連通接続されたいわゆるマルチフロー型
と称される熱交換器が知られている。

【０００３】ところで、この種の熱交換器には、これを
カークーラー用コンデンサとして車体に取付けたり、あ
るいはこれに付属部品を取付ける等のためにヘッダー
（５）（６）に取付用金具（110)(111）が取り付けられ
るものである。

【０００４】この種の取付用金具（110)(111）として
は、例えば図８に示すように、ヘッダー（５）（６）の
外周面にしっくりと適合する対応形状の横断面切欠き円
周形状を呈する抱持片（112a) と、その対向縁の全長に
亘って互いに平行状に延設された対向する延設片（112
b)(112b) と、前記抱持片（112a）の上下両端部に外方
突出状に取り付けられた上下一対の取付用片（114)(11
4) とで構成されたものが既知である。しかしてこの取
付用金具（110)(111) は、図６および図７に示すよう
に、その抱持片（112a) をヘッダー（５）（６）に嵌合
配置させて延設片（112b) (112b)をチューブ（１）の両
側に沿接させた状態とし、ボルト等の締結部材（Ｂ）を
一方の延設片（112b）から他方の延設片（112b）に向か
って挿通させて両延設片（112b）（112b）を締結固定
し、要すればヘッダー（５）（６）、フィン（２）等と
ろう付一体化する。

【０００５】かかるヘッダー抱持形式の取付用金具にあ
っては、これをヘッダー（５）（６）に取り付ける場
合、熱交換媒体出入口用パイプが設けられていない方の
端部側から軸線を一致させた状態で差し込むようにして
嵌め込んで、上述のように締結固定することにより容易
に取り付けることができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱交換
媒体出入口用パイプが左右いずれか一方のヘッダーの上
下に取り付けられたタイプの熱交換器にあっては、その
一方のヘッダーに対して上述のようなヘッダー抱持形式
の取付用金具を取り付けようとしても出入口用パイプが
邪魔になってヘッダー端部から差し込むように嵌合配置
することはできないし、かといってこれをヘッダー側方
から強制的に嵌合させることも極めて困難である。

【０００７】一方、その取付用金具を熱交換器の前後で
分割してこれらを組み合わせることによって締結固定す
ることも考えられるが、これでは部品点数が増大して取
り付けまでの部品管理が面倒なものとなるばかりか、前
後の部品が別々であることより両者のセッティング作業
を適正かつ迅速に行いにくく作業性が悪いという問題点
があった。

【０００８】この発明は、上記のような問題点に鑑みて
なされたもので、熱交換媒体入口用パイプおよび同出口
用パイプの双方が設けられたヘッダーに対しても、ヘッ
ダー抱持形式の取付用金具を容易に取付けることのでき
る生産性の向上された熱交換器を提供することを目的と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】而して、この発明におい
ては、取付用金具として、ヘッダーにその側方から強制
嵌合可能な程度の一対の短尺抱持部材とこれらを連接す
る部材とで構成し、その短尺抱持部材をヘッダーにその
側方から強制嵌合して取付けるようにしたものである。

【００１０】即ち、この発明は、複数の偏平チューブ
（１）が相互間にフィン（２）を介在させた状態で厚さ
方向に積層配置されると共に、これらチューブ（１）の
両端部が左右一対の筒状ヘッダー（５）（６）に連通接
続され、かつ左右いずれか一方のヘッダーの上下に熱交
換媒体出入口用パイプ（７）（８）が側方突出状に設け
られ、更に該ヘッダー（５）（６）に取付用金具（１
０）（１１）が取り付けられた熱交換器において、上記
取付用金具（１０）（１１）が、ヘッダー（５）（６）
に対しその側方から抱持状態に強制嵌合しうる、上下に
離間状に配置された一対の短尺ヘッダー嵌合部（１２）
（１２）と、これらヘッダー嵌合部（１２）（１２）に
おける断面一部切欠き円形状のヘッダー抱持部（１２
ａ）の周方向の一部を一体につないだ細帯状の連結片
（１３）とを有し、該取付金具（１０）（１１）の一方
が、上下の前記熱交換器媒体出入口用パイプ（７）
（８）間の位置においてそのヘッダー嵌合部（１２）
（１２）をヘッダー（５）に側方から強制的に嵌合配置
せしめることにより取付けられていることを特徴とする
熱交換器を要旨とする。

【００１１】

【作用】取付用金具の両短尺ヘッダー嵌合部を、それぞ
れヘッダーの側方から強制嵌合させることにより該金具
がヘッダーに取付けられる。一方のヘッダーの上端側お
よび下端側にそれぞれ側方突出状に熱交換媒体出入口用
パイプが設けられた形式の熱交換器にあっても同様にそ
のヘッダーの側方から取付金具は上述のようにして取付
けられる。

【００１２】

【実施例】以下、この発明をカーエアコン用凝縮器に適
用した図示実施例に基づいて説明する。

【００１３】図１ないし図５において、（Ａ）は熱交換
器本体であり、該本体は水平状態で上下に配置された複
数のアルミニウム製偏平チューブ（１）と、その隣接す
るチューブ（１）（１）間のフィン介在間隙に配置され
たアルミニウム製のフィン（２）を有する。チューブ
（１）はアルミニウム材による偏平状の押出型材をもっ
て構成されたものである。このチューブ（１）はいわゆ
るハモニカチューブと称される多孔型のものを用いても
良い。フィン（２）は蛇行状に曲成したいわゆるコルゲ
ートフィンであり、ろう付によりチューブに接合されて
いる。フィン（２）は、望ましくはルーバーを切り起こ
したものを用いるのが良い。

【００１４】（３）（４）はアルミニウム製のサイドプ
レートである。

【００１５】（５）（６）は左右一対の筒状ヘッダーで
あり、それぞれ一本の断面円形のアルミニウム製パイプ
材をもって形成されたものである。各ヘッダー（５）
（６）には、チューブ挿入孔（5a）（6a）が穿設される
と共に、該孔（5a）（6a）に各チューブ（１）の両端が
挿入され、かつろう付により液密状態に強固に接合連結
されている。かかるろう付に関しては、ヘッダー（５）
（６）を外面にろう材層が被覆形成されたブレージング
シートからなる電縫管により、またフィン（２）をブレ
ージングシートによりそれぞれ形成し、各チューブ
（１）、フィン（２）、サイドプレート（３）（４）お
よびヘッダー（５）（６）を真空加熱炉等において一括
ろう付にて接合一体化するものとなすのが、生産性を向
上する点で望ましい。

【００１６】（７）は熱交換媒体入口用パイプ、（８）
は同出口用パイプ、（９）は左右両ヘッダー内にこれを
長手方向に仕切るために設けられた仕切板であり、熱交
換媒体入口用パイプ（７）から流入した熱交換媒体は熱
交換器本体（Ａ）内の熱交換媒体通路を蛇行状に流通し
て熱交換媒体出口用パイプ（８）から流出し、この間
に、チューブ（１）（１）間に形成されたフィン（２）
を含む空気流通間隙を流通する空気と熱交換を行い、凝
縮するものとなされている。

【００１７】前記左右両ヘッダー（５）（６）には、そ
の上端部および下端部に熱交換器本体（Ａ）を車体等の
取り付け側に取付けるためのアルミニウム合金製の取付
用金具（１０）（１１）が取着されている。

【００１８】上記両取付用金具（１０）（１１）は、左
右対称のものであり、説明の便宜上左側の取付用金具
（１０）についてのみ説明し、右側の取付用金具（１
１）については対応箇所に同一符号を付してその説明を
省略する。

【００１９】図１ないし図５に示すように、この取付用
金具（１０）は、ヘッダー（５）の上部に嵌合固定され
る短尺ヘッダー嵌合部（１２）と同ヘッダー（５）の下
部に嵌合固定される短尺ヘッダー嵌合部（１２）とを有
し、これら両嵌合部（１２）（１２）が細帯状の連結片
（１３）により連接されたものである。

【００２０】上記短尺ヘッダー嵌合部（１２）（１２）
は、いずれもヘッダー（５）の外周面にしっくりと嵌合
する対応形状の横断面一部切欠き円周状のヘッダー抱持
片（１２ａ）とその対向縁から互いに平行状に延設され
た延設片（１２ｂ）（１２ｂ）とからなるものである。
この延設片（１２ｂ）（１２ｂ）には対応位置にボルト
などの締結部材挿通用孔（１２ｃ）（１２ｃ）が穿設さ
れている。一方、ヘッダー抱持片（１２ａ）には、締結
部材挿通用孔（１４ａ）が穿設された外方突出状の取付
用片（１４）が溶接等により取着されている。

【００２１】上記取付用金具（１０）は、短尺ヘッダー
嵌合部（１２）（１２）とこれを連結する連結片（１
３）とを一体成形し、これに取付用片（１４）を溶接等
により接合することにより容易に製造することができる
ものである。

【００２２】上記取付用金具（１０）のヘッダー（５）
への取付は、図１に示すように、先ずヘッダー（５）の
側方から前記両短尺ヘッダー嵌合部（１２）（１２）を
強制的に嵌合配置せしめる。このように短尺ヘッダー嵌
合部（１２）（１２）は、ヘッダー（５）に対してその
側方から強制嵌合せしめるものであるので、その嵌合を
行い得る程度の変形が許容されるものであることが必要
であり、その意味においてできるだけ短尺であることが
好ましい。もっともヘッダー（５）に対する取付け強度
との関係で適当な長さに設定することが必要であること
はいうまでもない。

【００２３】上記両短尺ヘッダー嵌合部（１２）（１
２）は、連結片（１３）によって連接されていることよ
り上記嵌合配置作業を容易に行えるという利点がある。
もっとも、この連結片（１３）は必ずしもヘッダーに対
する取付け強度向上に寄与するものではないので、細帯
状のもので充分である。

【００２４】このようにして嵌合配置した後、一方の延
設片（１２ｂ）の締結部材挿通用孔（１２ｃ）から対応
位置の他方の延設片（１２ｂ）の締結部材挿通用孔（１
２ｃ）に向かってボルト等の締結部材（Ｂ）を挿通して
これを締結することにより両延設片（１２ｂ）（１２
ｂ）をチューブ（１）の両側に挟圧固定する。これによ
り取付用金具（１０）は熱交換器本体（Ａ）に対して充
分な強度をもって取付けられるものとなされるが、要す
れば更にヘッダー（５）、フィン（２）等にろう付け一
体化するようにしても良い。

【００２５】しかして、取付用金具（１０）を介して熱
交換器を車体等の取付け側に取付けたり、あるいは該熱
交換器に付属品等を取付けるようにして使用に供される
ものである。

【００２６】なお、上記実施例においては、一方のヘッ
ダーに熱交換媒体出入口用パイプが設けられたものを示
したが、もちろん上記入口用パイプと出口用パイプがそ
れぞれ別々のヘッダーに取付けられたものにも適用され
るものであり、またカーエアコン用凝縮器以外のラジエ
ーターその他の熱交換器にも適用されるものである。

【００２７】

【発明の効果】この発明に係る熱交換器は、上述のとお
り、取付用金具がヘッダーにその側方から抱持状態に強
制嵌合自在となされた短尺ヘッダー嵌合部を有するもの
であるので、一方のヘッダーの上下両端部に熱交換媒体
出入口用パイプがそれぞれ側方突出状に設けられた形式
の熱交換器にあっても、それらのパイプが邪魔になって
嵌合配置できないというような不都合をなくすことがで
きる。

【００２８】また、該取付用金具のヘッダーへの嵌合配
置を、ヘッダー側方からの強制嵌合により容易に行うこ
とができるので、生産性の向上を図ることができる。

【００２９】更に、取付用金具は、その両短尺ヘッダー
嵌合部がそのヘッダー抱持部の周方向の一部において連
結片によって連接された一体物であるので、取付作業を
手際良く行うことができるのみならず、部品点数が少な
く取付作業に至までの部品管理が容易であるという利点
をも有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる熱交換器の全体正面図であ
る。

【図２】同熱交換器の左側面図である。

【図３】取付用金具をヘッダーから分離した状態を示す
斜視図である。

【図４】図１のIV−IV線の拡大断面図である。

【図５】図１のＶ−Ｖ線の拡大断面図である。

【図６】従来の熱交換器の全体正面図である。

【図７】同熱交換器の左側面図である。

【図８】同熱交換器において取付用金具をヘッダーから
分離した状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 偏平チューブ ２ フィン ５ 筒状ヘッダー ６ 筒状ヘッダー ７ 熱交換媒体入口用パイプ ８ 熱交換媒体出口用パイプ 10 取付用金具 11 取付用金具 12 短尺ヘッダー嵌合部 13 連結片

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の偏平チューブ（１）が相互間にフ
   ィン（２）を介在させた状態で厚さ方向に積層配置され
   ると共に、これらチューブ（１）の両端部が左右一対の
   筒状ヘッダー（５）（６）に連通接続され、かつ左右い
   ずれか一方のヘッダーの上下に熱交換媒体出入口用パイ
   プ（７）（８）が側方突出状に設けられ、更に該ヘッダ
   ー（５）（６）に取付用金具（１０）（１１）が取り付
   けられた熱交換器において、 上記取付用金具（１０）（１１）が、ヘッダー（５）
   （６）に対しその側方から抱持状態に強制嵌合しうる、
   上下に離間状に配置された一対の短尺ヘッダー嵌合部
   （１２）（１２）と、これらヘッダー嵌合部（１２）
   （１２）における断面一部切欠き円形状のヘッダー抱持
   部（１２ａ）の周方向の一部を一体につないだ細帯状の
   連結片（１３）とを有し、該取付金具（１０）（１１）
   の一方が、上下の前記熱交換器媒体出入口用パイプ
   （７）（８）間の位置においてそのヘッダー嵌合部（１
   ２）（１２）をヘッダー（５）に側方から強制的に嵌合
   配置せしめることにより取付けられていることを特徴と
   する熱交換器。