JP3105023B2 - フルオラン化合物の結晶、該結晶の製造方法および該結晶を含有する記録材料 - Google Patents

フルオラン化合物の結晶、該結晶の製造方法および該結晶を含有する記録材料

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JP3105023B2 JP03136705A JP13670591A JP3105023B2 JP 3105023 B2 JP3105023 B2 JP 3105023B2 JP 03136705 A JP03136705 A JP 03136705A JP 13670591 A JP13670591 A JP 13670591A JP 3105023 B2 JP3105023 B2 JP 3105023B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感圧記録材料、感熱記
録材料等の記録材料に用いられる発色性化合物として有
用なフルオラン化合物に関し、さらに詳しくは、フルオ
ラン化合物の結晶、該結晶の製造方法および該結晶を含
有する記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無色ないし淡色の電子供与性化合
物(発色性化合物)と有機もしくは無機の電子受容性物
質(顕色剤)との呈色反応を利用し、圧力、熱または電
気などの外部エネルギーの媒介により、伝達される情報
を記録する方式として、感圧記録、感熱記録および通電
感熱記録などがある。
【0003】これらの記録方式には、発色性化合物とし
て、フルオラン化合物が広く用いられている。
【0004】式 (1)
【化5】
【0005】で表されるフルオラン化合物は、特開昭60
-47066号公報に発色性化合物として記載されている化合
物であるが、該公報に記載されている融点は 101〜103
℃である。このものを記録材料、例えば、感熱記録材料
用の発色性材料として使用し、顕色剤、例えば、ビスフ
ェノールAと混合すると、それ自体黒灰色に着色し、こ
れを紙に塗布すると黒灰色に着色 (地汚れ) した紙しか
得られず、さらに保存安定性 (耐光性等) も悪いと言う
欠点があり、実用性に乏しいものであった。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上
述の式 (1) で表されるフルオラン化合物の記録材料用
発色材料としての欠点を改善し、感圧・感熱記録材料
用、特に感熱記録材料用として優れた特性を有する式
(1) で表されるフルオラン化合物を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の欠
点を改善すべく、式(1)の化合物を用いた記録材料、
とくに感熱記録材料の特性を鋭意検討した結果、式
(1)の化合物には従来知られている融点よりも高融点
を示す安定な結晶が存在すること、この結晶が感圧・感
熱記録用発色材料として優れた性能を有すること、およ
びこの結晶を単離する方法を見出し、本発明を完成し
た。
【0008】すなわち、本発明は式(1)
【化6】 で表されるフルオラン化合物の結晶であり、また、この
フルオラン化合物の結晶を製造する方法である。さら
に、この結晶を含有する記録材料である。本発明の式
(1)で表されるフルオラン化合物の結晶は、記録材料
用の発色性化合物として優れた性能を有する。
【0009】式(1)のフルオラン化合物は、式(2)
の安息香酸誘導体と一般式(3)のジフェニルアミン誘
導体を、
【0010】
【化7】
【化8】 (式中、R は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す)例え
ば、濃硫酸、発煙硫酸を添加した濃硫酸、ポリリン酸、
五酸化リン、無水塩化アルミニウム等の脱水縮合剤の存
在下、とくに好ましくは、濃硫酸中で反応させた後、ア
ルカリ性とすることにより製造される。脱水縮合反応
は、通常、0〜100 ℃の反応温度で、数時間ないし100
時間実施される。
【0011】反応温度は、反応を特に濃硫酸中で行なう
場合、0〜50℃の温度が特に好ましい。反応時間は、反
応温度に左右されるので、十分な時間を費やして反応さ
せる。また脱水縮合後、通常実施するアルカリ処理は、
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水等により、pHを9
〜12にし、0〜100 ℃の温度範囲で行うのが好ましい。
この際、水以外のベンゼン、トルエン等の有機溶媒の共
存下にアルカリ処理を行ってもよい。
【0012】本発明のフルオラン化合物の結晶は、上記
の反応により得られた生成物をベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール
系溶媒、またはアセトニトリル、ジメチルホルムアミド
等の極性溶媒、あるいはこれらの混合物中から結晶とし
て析出させ、ついで安定な結晶として単離できる。
【0013】また、特に上記溶媒の中でアルコール系溶
媒または極性溶媒は水との混合溶媒として使用しても差
し支えない。この場合、含水率は50重量%以下が好まし
く、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは10重
量%以下である。含水率が50重量%を越えると安定な結
晶を単離することが困難となる。
【0014】結晶を析出させる方法は、溶媒中にフルオ
ラン化合物を一旦完溶させた後、冷却析出させる方法が
多用される。この際、必要により室温以上溶媒の沸点の
範囲で加熱してフルオラン化合物を完溶させてもよい。
完溶後に攪拌下または静置して結晶を析出させる。
【0015】析出した結晶の単離は、特別の方法でなく
ても、公知の方法、例えば、濾過による方法で好適に実
施できる。単離後、さらに必要に応じて含水率が50重量
%以下の有機溶媒 (例えば、上述の有機溶媒) で洗浄ま
たは再度溶解後、結晶として析出させる操作を行っても
よい。
【0016】単離後は通常の方法により乾燥し結晶性フ
ルオラン化合物を得ることができる。式 (1) の化合物
を製造する際に、式 (2) の化合物と一般式 (3) の化
合物とを脱水縮合剤(例えば、濃硫酸)の存在下、脱水
縮合反応させた後、アルカリ水によるアルカリ処理をベ
ンゼン、トルエン等の実質的に水に不溶の有機溶媒共存
下に行なうと、生成した式(1)の化合物は有機溶媒中
に溶解している。したがって、このようなアルカリ処理
を行なった場合には、本発明の式(1)で表されるフル
オラン化合物の結晶は、この有機溶媒溶液を水層と分離
後、このフルオラン化合物を含有する有機溶媒溶液から
結晶として析出させることによっても好適に単離でき
る。
【0017】式(1)と類似構造のフルオラン化合物に
は、一般に結晶型の異なる、いわゆる結晶変態が存在す
ることが知られている(例えば、特開昭60-202155 号公
報、特開昭62-167086 号公報)。本発明の式(1)で表
されるフルオラン化合物の結晶とは式(1)で表される
フルオラン化合物の存在しうる結晶変態も含むものであ
る。
【0018】通常、上記の方法により好適に単離される
本発明の式(1)で表されるフルオラン化合物の結晶の
粉末X線回折図は、第1図に示したように回折角(2
θ)6.9°に強いピーク、19.4°に比較的強いピークを
示している (なお、回折角の表示においては±0.2°程
度の誤差は許容されるものである) 。特開昭60-47066号
公報に開示された単離法により単離した式(1) の化合
物は、第2図の通りの粉末X線回折図であり、結晶化度
の低い実質的に無定型(アモルファス)であることを示
している。
【0019】すなわち、本発明のフルオラン化合物の結
晶は特開昭60-47066号公報に開示されたものと大きく異
なるものである。さらに、本発明の式(1)で表される
フルオラン化合物の結晶は、融点が159〜161 ℃であ
り、特開昭60-47066号公報に開示されているフルオラン
化合物の融点が101 〜103 ℃であるのにくらべ50℃以上
も高い。
【0020】さらに、本発明の式(1)で表されるフル
オラン化合物の結晶は、上記の無定型(アモルファス)
の式(1)の化合物からも容易に製造することができ
る。すなわち、無定型(アモルファス)である式(1)
の化合物を上記の含水率が50重量%以下、好ましくは
含水率が10重量%以下の有機溶媒中に溶解した後、結
晶として析出させ、単離することによっても好適に製造
することができる。以上のように単離された本発明の式
(1)で表されるフルオラン化合物の結晶は、発色性化
合物として、種々の記録材料に用いることができる。
【0021】本発明の記録材料とは感圧記録材料または
感熱記録材料である。本発明の式(1)で表されるフル
オラン化合物の結晶は、特に感熱記録材料用の発色性化
合物として好適に使用することができる。この場合、単
独で用いることも、更には、例えば、発色の色相などを
調整するために、他の発色性化合物、例えば、トリフエ
ニルメタンラクトン類、フルオラン類、スピロピラン類
等の発色性化合物を所望に応じて混合して用いることも
できる。
【0022】すなわち、式(1)で表されるフルオラン
化合物の結晶を、例えば、感圧記録材料として使用する
時は、それをこの分野で常用される溶剤、例えば、アル
キルベンゼン系(n-ドデシルベンゼン等)、アルキルビ
フェニル系(トリエチルビフェニル、ジイソプロピルジ
フェニル等)、水素化ターフェニル系、アルキルナフタ
レン系(ジイソプロピルナフタレン等)、ジアリールエ
タン系(フェニルキシリルエタン,スチレン化エチルベ
ンゼン等)、あるいは塩素化パラフィン系の各種溶剤の
単独又は混合溶剤に溶解し、該溶液をコアセルベーショ
ン法、界面重合法等の方法で、ゼラチン、メラミン−ア
ルデヒド、又は尿素−アルデヒド樹脂、ポリウレタン、
ポリ尿素、ポリアミド等の隔壁を有するマイクロカプセ
ル中に封入し、得られたカプセルの水分散液を適当な結
着剤(例えば、澱粉糊、ラテックス等)等と共に適当な
支持体(例えば、紙、プラスチックシート、樹脂被膜さ
れた紙等)上に塗布し、感圧記録上用シートとし、使用
することができる。
【0023】もちろん、支持体の片面に上記のカプセル
分散液を塗布し、反対面に顕色剤を主体とする顕色剤塗
液を塗布した、いわゆる中用シート、更には、支持体の
同一面に上記カプセルと顕色剤が混在する塗液を塗布す
るか、カプセル分散液を塗布した上に顕色剤塗液を塗布
するなどして、同一面に上記カプセルと顕色剤を共存さ
せた、いわゆる単体複写シートなどにも使用できる。
【0024】この場合、顕色剤としては、サリチル酸と
フェノール類とアルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒ
ド樹脂) による共重合物、置換サリチル酸(アルキル置
換、アリール置換またはアラルキル置換体の極めて多く
が知られ、例えば、3,5-ジ-α- メチルベンジルサリチ
ル酸がある)、置換サリチル酸とスチレンとの共縮合樹
脂、アルキルフェノール類(例えば、オクチルフェノー
ル)、フェノール−アルデヒド樹脂(例えば、p-フェニ
ルフェノールのノボラック樹脂)またはこれらの金属塩
(例えば、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシ
ウム、スズ、ニッケル等の金属塩)、更には活性白土類
があげられる。
【0025】また、感熱記録材料に用いる時には式
(1)で表されるフルオラン化合物の結晶と顕色剤(例
えば、ビスフェノールAまたはそのハロゲン化物もしく
はアルキル化物、ジヒドロキシジフェニルスルホンまた
はそのハロゲン化物もしくはアルキル化物、ヒドロキシ
安息香酸エステル類、ハイドロキノンモノエーテル類の
ようなフェノール類、サリチル酸誘導体、サリチル酸ア
ミド誘導体、尿素誘導体、チオ尿素誘導体等のような有
機顕色剤、あるいは酸性白土、アタパルガイト、活性白
土、塩化アルミニウム、臭化亜鉛のような無機顕色剤)
の微細水分散液に結着剤(例えば、ポリビニルアルコー
ルまたはその変性物、メチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビ
アゴム、スチレン−無水マレイン酸共重合物の塩また
は、イソブチレン−アクリル酸−無水マレイン酸の共重
合物など)、顔料(タルク、カオリン、炭酸カルシウム
等)、更に、必要に応じ、増感剤(高級脂肪酸アミド
類、芳香族カルボン酸、またはスルホン酸のエステル
類、芳香族ないし芳香族基置換脂肪族エーテル類、また
は芳香族ないし芳香族基置換脂肪族炭化水素等一般に公
知の感熱記録材用増感剤)、その他の添加剤(例えば、
紫外線吸収剤、消泡剤等)を加え、微細分散液とし、適
当な支持体(例えば、紙、プラスチックシート、樹脂被
膜された紙等)上に塗布し、感熱記録材料として使用す
ることができる。勿論、水分散系でなく、溶剤を使用す
る系においても問題なく使用できる。また、その他の発
色性化合物を使用する用途(例えば、示温材料)にも使
用できる。
【0026】本発明のフルオラン化合物の結晶を感圧記
録材料に使用すると、感圧記録材料用の発色性化合物に
強く望まれている重要な特性である、カプセルオイルに
対する溶解度が高く、かつ、発色後の発色像の耐侯性が
優れている。すなわち、本発明の結晶の市販のカプセル
オイルに対する溶解度を式(A) 、(B) および(C)
のフルオラン化合物とそれぞれ比較した結果は、第1表
に示した通りである。
【0027】溶解度は、各オイルに対し、それぞれの化
合物について、その5重量% を一旦、加熱溶解後5℃に
一週間保存した後の結晶析出の有無を示した。
【0028】
【化9】 (特公昭48-43296号公報)
【0029】
【化10】 (特開昭61-264058 号公報)
【0030】
【化11】 (特開昭60-47068号公報)
【0031】
【表1】 表中、○は結晶析出なし、×は結晶析出ありを表す。な
お、SAS-296 は日本石油化学製、KMC-113は呉羽化学製
のカプセルオイルである。
【0032】表1から明らかなように、本発明の結晶は
式(A)、(B)および(C)のフルオラン化合物に比
較して、各オイルに対する溶解度が高い。これは、感圧
記録材料を作る際、カプセルオイル中での保存中に結晶
析出がないこと、さらに、マイクロカプセル化後のマイ
クロカプセル中での結晶析出の恐れがないことを意味
し、本発明の結晶の大きな特徴である。
【0033】又、本発明の結晶を感熱記録材料に使用す
ると、特開昭60-47066号公報記載の方法により製造され
る融点 101〜 103℃を示す式 (1) の化合物を使用した
場合、あるいは公知の式(D)の化合物を使用した場合
にくらべ、例えば、顕色剤としてビスフェノールAを使
用した感熱記録紙の塗布直後の紙の白さ(白色度)また
はその紙の未発色部(地肌)の保存安定性(耐光性、耐
湿熱性)は、表2に示すように非常に優れている。
【0034】
【化12】 (特開昭60-47068号公報)
【0035】
【表2】 結果の判定は目視により行った。塗布直後の評価は、紙
の白色度を調べ、○は白色度の高い感熱記録紙を表し、
×は黒灰色に汚れた感熱記録紙を表わす。耐光試験後の
評価は、日光に10時間暴露した後の未発色部(地肌)の
黄変度を調べ、○はほとんど黄変のない白色度の高い感
熱記録紙を表し、×は著しく黄変或いは黄褐色に変色し
た感熱記録紙を表わす。
【0036】耐湿熱試験後の評価は60℃、90%相対湿度
中で24時間保存後の未発色部の汚れを調べ、○はほとん
ど汚れのない、白色度の高い感熱記録紙を表し、×は著
しく黒灰色に汚れた感熱記録紙を表わす。
【0037】更に、本発明の結晶を感熱記録材料に使用
すると、その発色画像の保存安定性は非常に優れてい
る。例えば、顕色剤として、ビスフェノールAを使用し
作成した感熱記録紙の発色画像の耐水性を発色性化合物
として本発明の結晶を用いた場合、公知の式(E)の化
合物を用いた場合に比べ、その発色画像の耐水性は、表
3に示すように非常に優れている。
【0038】
【化13】 (特開昭59-68373号公報)耐水性試験は、各化合物を用
い作成した感熱記録紙を用い、マクベス反射濃度計(TR
-524型) により測定を行った発色画像濃度0.9 の記録紙
を24時間25℃の水に浸して行った。耐水性試験後の発色
画像濃度と残存率を表3に示した。
【0039】
【数1】
【0040】
【表3】
【0041】表3から明らかなように、式(E)の化合
物を用いて作成した感熱記録紙の発色画像の耐水性は悪
く、目視によると耐水試験後の画像はほとんど消失して
しまっていた。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0043】実施例1 2-(4'-N-イソブチル-N-メチルアミノ-2'-ヒドロキシベ
ンゾイル)安息香酸107gを720gの96%硫酸に10〜15℃で
溶解後、4-メトキシ-2-メチルジフェニルアミン(一般
式〔3〕において、Rがメチル基である化合物)70gを同
温度で加え、10〜15℃で24時間攪拌した。反応混合物を
4000mlの氷水に排出し、析出した固体を集め、水洗後、
その固体を10%NaOH水(1000ml)中に加え、さらにトル
エン1000mlを加えた後、60〜70℃で2時間攪拌した。ト
ルエン層を分離後、温水で中性になるまで水洗後、トル
エン層を分液し、減圧下40℃でトルエンを濃縮し、析出
した結晶を濾過し、少量のトルエンで洗浄した後、メタ
ノールで更に洗浄後、60℃で24時間乾燥を行い、式
(1)で表されるフルオラン化合物126gを無色の結晶と
して得た。 融点 159〜161℃ この化合物のトルエン溶液は無色透明であり、シリカゲ
ル上で、速やかに赤味黒に発色した。95%酢酸水溶液中
では455nmと594nmに吸収極大を示した。粉末X線回折図
は図1に示した。
【0044】比較例1 (特開昭60-47066号公報記載の方法による式〔1〕の化
合物の製造) 2-(4'-N-イソブチル-N- メチルアミノ-2'-ヒドロキシベ
ンゾイル)安息香酸 16.4gを150gの96% 硫酸に10〜15℃
で溶解後、4-メトキシ-2- メチルジフェニルアミン10.7
g を同温度で加え、10〜15℃で24時間攪拌した。反応混
合物を氷水 800g に注入後、析出物を濾別、水洗した
後、水800 ml中に入れ、10% NaOH水 200mlを加え、60
〜70℃で2時間攪拌した。固体を濾過し、更に水洗した
後、乾燥した。得られた 24gの乾燥品をエチレングリコ
ール 30g、さらに、60% 含水メタノール 500g から析出
した固体を集め、30℃で乾燥し13.5g の白色固体を得
た。 融点 101〜 103℃ 粉末X線回折図は図2に示した。
【0045】実施例2 実施例1で製造した無定型の式 (1) の化合物10g を80
mlのイソプロパノールに加え、60℃で溶解した。室温ま
で冷却後析出した結晶を濾過し、乾燥した。9gの無色の
結晶を得た。融点 159〜161 ℃粉末X線回折図は図1と
同様であった。
【0046】実施例3 (本発明の結晶を用いた感熱記録紙の作成) 実施例1で得られた結晶10g、10%ポリビニールアルコ
ール水溶液 5g 及び水37.5g の混合物をサンドミルで粒
径3μに微粒化した。一方、ビスフェノールAを同様に
分散し、38%の顕色剤分散液を得た。この顕色剤分散液
65.8g、上記の結晶の水分散液50g、60%軽質炭酸カル
シウム水分散液18.3g、10%ポリビニールアルコール水
溶液88g及び水51.9gを混合した。
【0047】この混合液を白色原紙にワイヤーロッドN
o.10 を用い、塗布後、室温で風乾し、地汚れのない非
常に白い感熱記録紙を得た。この感熱記録紙は加熱によ
り、極めて迅速に、わずかに赤味を帯びた黒色に発色し
た。またこの感熱記録紙を日光に20時間暴露しても未発
色部(地肌)は、ほとんど黄変することなく、白色度の
高いままであった。又、60℃、90%相対湿度中で24時間
保存しても、未発色部は汚れることなく白色度の高いま
まであった(表2)。更にこの感熱記録紙を発色画像濃
度0.9 に発色させ、24時間、25℃の水に浸した後も、発
色画像の残存率は良好であった(表3)。
【0048】比較例2 (比較例1で製造した融点 101〜103 ℃を示す式 (1)
で表されるフルオラン化合物を用いた感熱記録紙の作
成) 実施例3において、実施例1で単離した結晶の代わり
に、比較例1で製造した化合物を用いた他は実施例3に
記載した方法に従い、感熱記録紙を作成したところ塗布
直後の紙はすでに黒灰色に汚れていた。また、この記録
紙を日光に20時間暴露したところ、未発色部は著しく黄
変した。又、60℃、90%相対湿度中で24時間保存したと
ころ未発色部は著しく黒灰色に汚れた(表2)。
【0049】比較例3 (式(D)で表されるフルオラン化合物を用いた感熱記
録紙の作成) 実施例3において、実施例1で単離した結晶の代わり
に、式(D)で表されるフルオラン化合物を用いた他
は、実施例3に記載した方法に従い、感熱記録紙を作成
したところ塗布直後の紙はすでに黒灰色に汚れていた。
また、この記録紙を日光に20時間暴露したところ、未発
色部は著しく黄変した。又、60℃、90%相対湿度中で24
時間保存したところ未発色部は著しく黒灰色に汚れた
(表2)。
【0050】比較例4 (式(E)で表されるフルオラン化合物を用いた感熱記
録紙の作成) 実施例3において、実施例1で単離した結晶の代わり
に、式(E)で表されるフルオラン化合物を用いた他
は、実施例3に記載した方法に従い、感熱記録紙を作成
した。この感熱記録紙を発色画像濃度0.9 に発色させ、
24時間、25℃の水に浸したところ、発色画像濃度は著し
く低下し、画像はほとんど消失してしまっていた(表
3)。
【0051】実施例4 (本発明の結晶を用いた感圧記録紙の作成) 上用(CB)紙、及び下用(CF)紙の作成は以下のように
製造した。すなわち、エチレン−無水マイレン酸共重合
物の10%水溶液100gおよび水240gを混合し、10%水酸化
ナトリウム水溶液でpH4.0 とし、実施例1で得られた結
晶を5重量%溶解したフェニルキシリルエタン(日本石
油化学製 SAS-296)200gを混合し、ホモミキサーで乳化
した後、固形分50%のメチロールメラミン水溶液(三井
東圧化学製ユーラミンT-30)60g を加え、攪き混ぜつつ
55℃に3時間保持し、平均粒径5.0 μのマイクロカプセ
ル分散液を得た。
【0052】このマイクロカプセル分散液100gに、小麦
粉澱粉粒4.0gと20%酸化澱粉糊20gおよび水116gを加え
て分散し、坪量40g/m2の紙に塗布量が固形分で 5g/m2
なるように塗布し、CB紙を得た。一方、CF紙は、顕色剤
として置換サリチル酸とスチレンの共縮合樹脂の亜鉛塩
を用い、少量の高分子アニオン系界面活性剤の存在下、
水中で、サンドグライディングミルで微細化し、固形分
40重量%の水分散液を得た。この水分散液を用い、下記
組成の水性塗料(固形分30%)を作り、坪量40g/m2の上
質紙に乾燥塗布量5.5g/m2 となるように塗布し、CF紙を
作成した。
【0053】水性塗料の組成 固形重量(g) 軽質炭酸カルシウム 100 顕色剤 20 結着剤 酸化澱粉 8 合成ラテックス 8 CB紙のマイクロカプセル塗布面と、CF紙の顕色剤塗布面
が、相対向するように重ね合わせ、筆記、加圧したとこ
ろ、顕色剤塗布面に赤黒の発色像が得られた。この発色
像の耐光性、耐湿性および耐NOX 性は実用上、問題なか
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で製造、単離した式(1)で表
されるフルオラン化合物の結晶のX線回折図である。
【図2】図2は比較例1で製造、単離した融点101 〜10
3 ℃を示す式 (1) で表されるフルオラン化合物のX線
回折図である。各図面において、横軸は回折角(2θ)
を表し、縦軸は回折強度を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 和良 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−47066(JP,A) 特開 昭62−167086(JP,A) 特開 昭60−202155(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 493/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu−Kα線によるX線回折法において
    回折角(2θ)6.9°に強いピーク、19.4°に比
    較的強いピークを示すX線回折図により特徴づけられ、
    かつ融点が159〜161℃である式(1) 【化1】 で表わされるフルオラン化合物の結晶。
  2. 【請求項2】 式 (1) 【化2】 で表されるフルオラン化合物を含有する、含水率が50重
    量%以下の有機溶媒溶液から該化合物を結晶として析出
    させた後、単離することを特徴とする請求項1記載のフ
    ルオラン化合物の結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 フルオラン化合物を含有する、含水率が
    50重量%以下の有機溶媒溶液が、式 (2) の化合物と一
    般式 (3) の化合物とを 【化3】 【化4】 (式中、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示す)脱
    水縮合反応後、有機溶媒存在下にアルカリ処理を行い、
    得られる式(1) で表されるフルオラン化合物を含有す
    る有機溶媒溶液である請求項2記載のフルオラン化合物
    の結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 式(1)で表される無定型のフルオラン
    化合物を含水率が50重量%以下の有機溶媒中に溶解し
    た後、結晶として析出させた後、単離することを特徴と
    する請求項1記載のフルオラン化合物の結晶の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のフルオラン化合物の結晶
    を含有する記録材料。
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