JP3302381B2 - フルオラン化合物の結晶、該化合物の結晶性溶媒和物、およびそれらの製造法、ならびにそれらを含有する記録材料 - Google Patents

フルオラン化合物の結晶、該化合物の結晶性溶媒和物、およびそれらの製造法、ならびにそれらを含有する記録材料

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JP3302381B2 JP16293791A JP16293791A JP3302381B2 JP 3302381 B2 JP3302381 B2 JP 3302381B2 JP 16293791 A JP16293791 A JP 16293791A JP 16293791 A JP16293791 A JP 16293791A JP 3302381 B2 JP3302381 B2 JP 3302381B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感圧記録材料、感熱記
録材料等の記録材料に用いられる発色性化合物として有
用なフルオラン化合物の結晶および結晶性溶媒和物、該
結晶および該結晶性溶媒和物の製造方法、ならびに該結
晶および該結晶性溶媒和物を含有する記録材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、無色ないし淡色の電子供与性化合
物(発色性化合物)と有機もしくは無機の電子受容性物
質(顕色剤)との呈色反応を利用し、圧力、熱または電
気等の外部エネルギーの媒介により、伝達される情報を
記録する方式として、感圧記録、感熱記録および通電感
熱記録等がある。これらの記録方式には、発色性化合物
として、フルオラン化合物が広く用いられている。従
来、フルオラン化合物としては、例えば、式(A)、
(B)、(C)および(D)の化合物が知られている。
【化43】 (特公昭48-43296号公報)
【化44】 (特公昭48-43296号公報) (特開昭60-202155 号公報)
【化45】 (特公昭51-23204号公報)
【化46】 (特開昭61-264058 号公報)
【0003】しかし、式(A)の化合物は、感圧記録材
料として使用するには、カプセルオイルに対する溶解度
が極めて低いという欠点があり、また感熱記録材料とし
て使用するには、例えば、ビスフェノールA等の顕色剤
と混合すると、それ自体灰色ないし黒灰色に着色し、こ
れを紙に塗布すると、灰色ないし黒灰色に着色(地汚
れ)した紙しか得られないという欠点があった。また、
式(B)、(C)および(D)の化合物は感熱記録材料
として使用するには、発色する温度が高すぎるため、現
在、より高速且つ高密度に記録しようとする要望に適合
した十分な性能とは言えず、より低温で速やかに発色す
る発色性化合物が強く望まれていた。さらに式(B)、
(C)および(D)の化合物もカプセルオイルに対する
溶解度が低く、感圧記録材料に用いるには十分な性能を
有しているとは言い難い。
【0004】一般式(1)
【化47】 で表されるフルオラン化合物に関しても、例えば、一般
式(1)において、R1
【化48】 基である化合物〔式(1−a)の化合物〕および
【化49】 基である化合物〔式(1−b)の化合物〕が、特開昭60
-47068号公報に示唆されており、さらに式(1−b)の
化合物は具体的に説明されている。
【化50】
【化51】 しかしながら、この公報に記載されている方法のように
一般式(1)のフルオラン化合物を含水メタノールより
析出させて得られる式(1−b)の化合物は、実質的に
無定型(アモルファス)であり、嵩密度は低く、取扱い
に際して空気中へ飛散し、また輸送性、作業性および計
量性等の点で、実用上問題があった。
【0005】また(1−a)の化合物も同様の方法で製
造すると、やはり嵩密度が低く、取扱い難いものであっ
た。式(1−a)および(1−b)のフルオラン化合物
を用いた感圧または感熱記録紙に関しては、特開昭61-7
4883号公報に開示されているが、使用されているフルオ
ラン化合物は無定型であるのか、または結晶であるのか
の区別がなされておらず、十分に開示がなされていな
い。すなわち、上述したように、特開昭60-47068号公報
に記載されている方法により製造される式(1−a)お
よび(1−b)のフルオラン化合物は、実質的に無定型
であり、この無定型のものを発色性化合物として用い、
顕色剤として、例えば、ビスフェノールAを使用して感
熱記録紙を作成すると、未発色部(地肌)の白色度が悪
く(地汚れ)、実用上大きな問題であった。
【0006】また、一般式(1)においてR1 が、
【化52】 基である化合物〔式(1−c)の化合物〕および
【化53】 基である化合物〔式(1−d)の化合物〕は特開昭60-1
41762 号公報に示唆されているものの、
【化54】
【化55】 式(1−c)および(1−d)の化合物に関する具体的
な記載は全くなされていない。
【0007】さらに、式(1−c)及び(1−d)のフ
ルオラン化合物を、例えば、含水メタノールより析出し
て得られる化合物は、実質的に無定型(アモルファス)
であり、嵩密度が低く取扱い難いものであった。式(1
−d)のフルオラン化合物を用いた感熱記録シートに関
しては、同じく特開昭61-74883号公報に提案されている
が、使用されているフルオラン化合物は無定型(アモル
ファス)であるのか、または結晶であるのかの区別がな
されておらず、十分に開示がされていない。すなわち、
式(1−c)および(1−d)の無定型(アモルファ
ス)のものを用い、顕色剤として、例えば、ビスフェノ
ールAを使用して感熱記録紙を作成すると、紙の未発色
部(地肌)の白色度が悪く(地汚れ)、実用上大きな問
題であった。
【0008】一般式(1)で表されるフルオラン化合物
と芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、またはケ
トン系溶媒とから構成される結晶性溶媒和物に関して
は、特開昭60-47068号公報、特開昭61-74883号公報およ
び特開昭60-141762 号公報においては全く開示されてい
ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の一般式(1)で表されるフルオラン化合物について、
感圧、感熱記録材料用の発色性化合物として優れた特性
を有し、取扱い上の欠点が改善された、一般式(1)で
表されるフルオラン化合物の結晶および結晶性溶媒和物
を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の課
題を解決すべく一般式(1)で表される化合物に関し鋭
意検討した結果、一般式(1)で表される化合物には、
従来知られていない結晶が存在すること、また芳香族炭
化水素系溶媒、アルコール系溶媒またはケトン系溶媒と
結晶性溶媒和物を形成すること、これらの結晶および結
晶性溶媒和物は、従来知られていた無定型(アモルファ
ス)のものに比べ嵩密度が高く、取扱い上の作業性が良
好であること、更に、これらの結晶および結晶性溶媒和
物が感圧、感熱記録材料等の記録材料用の発色性化合物
として優れた性能を有することを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、一般式(1)
【化56】 (式中、R1
【化57】 を示す)で表されるフルオラン化合物の結晶である。ま
た、一般式(1)で表されるフルオラン化合物と、芳香
族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒またはケトン系溶
媒とから構成されるフルオラン化合物の結晶性溶媒和物
である。更には該結晶および該結晶性溶媒和物の製造方
法、ならびに該結晶および該結晶性溶媒和物を含有する
記録材料である。
【0012】本発明にかかわる一般式(1)で表される
フルオラン化合物は、具体的には式(1−a)、(1−
b)、(1−c)および(1−d)で表される化合物で
ある。
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】 式(1−a)、(1−b)、(1−c)または(1−
d)で表されるフルオラン化合物は、式(2−a)、
(2−b)、(2−c)または(2−d)で表される安
息香酸誘導体と、
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】 一般式(3)
【化66】 (式中、R2 は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す)
で表されるジフェニルアミン誘導体を、例えば、濃硫
酸、発煙硫酸を添加した濃硫酸、ポリリン酸、五酸化リ
ン、無水塩化アルミニウム等の脱水縮合剤の存在下、特
に好ましくは、濃硫酸中で反応後、アルカリ性とするこ
とにより製造される。脱水縮合反応は、通常、0〜 100
℃の反応温度で、数時間ないし 100時間実施される。反
応温度は、反応を特に濃硫酸中で行う場合には、0 〜50
℃の温度が特に好ましい。反応時間は、反応温度に左右
されるので、十分な時間を費やして反応させる。また脱
水縮合後、通常実施するアルカリ処理は、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム水等により、pHを9〜12にし、0
〜 100℃の温度範囲で行うのが好ましい。この際、水以
外のベンゼン、トルエン等の有機溶媒の共存下にアルカ
リ処理を行ってもよい。
【0013】本発明のフルオラン化合物の結晶および結
晶性溶媒和物は、上記の一般的な反応方法により生成す
るフルオラン化合物を、以下の方法で結晶として析出さ
せることにより得られる。以下、本発明のフルオラン化
合物の結晶および結晶性溶媒和物について詳細に説明す
る。
【0014】先ず、本発明のフルオラン化合物の結晶に
ついて説明する。本発明のフルオラン化合物の結晶は、
後述する様に一般式(1)で表されるフルオラン化合物
を含有する、含水率が50重量%以下の有機極性溶媒溶液
から結晶として析出させ単離する方法、あるいは一般式
(1)で表されるフルオラン化合物の無定型(アモルフ
ァス)を含水率が50重量%以下の有機極性溶媒中に溶解
した後、結晶として析出させる方法によって製造される
が、一般式(1)においてR1
【化67】 基である式(1−a)で表されるフルオラン化合物、
【化68】 1
【化69】 基である式(1−b)で表されるフルオラン化合物、
【化70】 1
【化71】 基である式(1−c)で表されるフルオラン化合物、
【化72】 およびR1
【化73】 基である式(1−d)で表されるフルオラン化合物に
は、
【化74】 それぞれ特有の結晶型が存在する。
【0015】特に、式(1−a)で表されるフルオラン
化合物には、2種類の結晶型(結晶変態)が存在する。
すなわち、Cu−Kα線によるX線回折法における回折
角(2θ)6.4 °に強いピークを示すX線回折図により
特徴づけられる結晶〔以後、この結晶を(1−a)−1
型結晶と称する〕とCu−Kα線によるX線回折法にお
いて回折角(2θ)20.3°および20.5°に強いピークを
示すX線回折図により特徴づけられる結晶〔以後、この
結晶を(1−a)−2型結晶と称する〕との結晶型の異
なる2種の結晶が存在する。
【0016】式(1−b)で表されるフルオラン化合物
の結晶は、Cu−Kα線によるX線回折法における回折
角(2θ)7.1 °、18.5°、20.0°、20.5°および21.4
°に強いピークを示すX線回折図により特徴づけられる
結晶である〔以後、この結晶を(1−b)−1型結晶と
称する〕。
【0017】式(1−c)で表されるフルオラン化合物
の結晶は、Cu−Kα線によるX線回折法において回折
角(2θ)16.5°および20.4°に強いピーク、11.9°、
17.8°、18.3°、19.2°および20.0°に比較的強いピー
クを示すX線回折図により特徴づけられる結晶である
〔以後、この結晶を(1−c)−1型結晶と称する〕。
【0018】式(1−d)で表されるフルオラン化合物
の結晶は、Cu−Kα線によるX線回折法において回折
角(2θ)16.3°に強いピーク、19.7°、20.1°および
21.4°に比較的強いピークを示すX線回折図により特徴
づけられる結晶である〔以後、この結晶を(1−d)−
1型結晶と称する〕。
【0019】このような一般式(1)で表されるフルオ
ラン化合物の結晶は、前記のように製造された一般式
(1)で表されるフルオラン化合物を含有する、含水率
が50重量%以下の有機極性溶媒溶液から結晶として析出
させ単離する方法により製造される。
【0020】また一般式(1)で表されるフルオラン化
合物の結晶は、一般式(1)で表されるフルオラン化合
物の無定型(アモルファス)を含水率が50重量%以下の
有機極性溶媒中に溶解した後、結晶として析出させる方
法によって製造される。一般式(1)で表されるフルオ
ラン化合物の結晶を製造する際に、有機極性溶媒中の含
水率が50重量%を越えると、一般式(1)で表されるフ
ルオラン化合物が無定型(アモルファス)として析出す
ることがあり好ましくない。
【0021】以下、式(1−a)で表されるフルオラン
化合物の(1−a)−1型結晶および(1−a)−2型
結晶、式(1−b)で表されるフルオラン化合物の(1
−b)−1型結晶、式(1−c)で表されるフルオラン
化合物の(1−c)−1型結晶ならびに式(1−d)で
表されるフルオラン化合物の(1−d)−1型結晶の製
造方法について、それぞれ詳しく説明する。
【0022】式(1−a)で表されるフルオラン化合物
の(1−a)−1型結晶:後で詳細に説明するように、
式(1−a)のフルオラン化合物は、芳香族炭化水素系
溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレンまた
はアニソール中で析出させると、該溶媒との結晶性溶媒
和物を形成し、溶媒中から結晶として析出させることが
できる。この結晶性溶媒和物を次のように処理すること
により(1−a)−1型結晶を得ることができる。すな
わち、式(1−a)のフルオラン化合物の結晶性溶媒和
物を、含水率が50重量%以下の有機極性溶媒中に完溶す
ることなく懸濁させることにより得られる。具体的に
は、式(1−a)のフルオラン化合物の結晶性溶媒和物
を含水率が50重量%以下の有機極性溶媒、例えば、メタ
ノール中、室温付近(0〜40℃)で懸濁し、懸濁物を分
離することにより好適に製造される。
【0023】式(1−a)で表されるフルオラン化合物
の(1−a)−2型結晶: 式(1−a)のフルオラン化合物を含有する、含水率が
50重量%以下の有機極性溶媒溶液から結晶として析出さ
せ単離する方法により製造される。また式(1−a)の
フルオラン化合物の無定型(アモルファス)を含水率が
50重量%以下の有機極性溶媒中に溶解した後、結晶とし
て析出させる方法によって製造される。この際に用いる
含水率が50重量%以下の有機極性溶媒としては、例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン系溶媒、あるいはジメチルホルム
アミドが挙げられる。これらの有機極性溶媒は芳香族炭
化水素系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン
等を含んでいてもよい。しかし、芳香族炭化水素系溶媒
の含有量が多いと結晶性溶媒和物が析出して、目的の
(1−a)−2型結晶に混入してくることがあるので、
通常、好ましくは、有機極性溶媒中の芳香族炭化水素系
溶媒の含有量は10重量%以下である。
【0024】また、同じく(1−a)−2型結晶は、式
(1−a)のフルオラン化合物の結晶性溶媒和物を含水
率が50重量%以下の有機極性溶媒、例えば、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等
のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン系溶媒、あるいはジメチルホルムアミド中に溶
解後、室温付近から溶媒の沸点までの範囲の温度で結晶
として析出させることにより製造される。
【0025】式(1−b)で表されるフルオラン化合物
の(1−b)−1型結晶: 式(1−b)のフルオラン化合物を含有する、含水率が
50重量%以下の有機極性溶媒溶液から結晶として析出さ
せ単離する方法により製造される。また、式(1−b)
のフルオラン化合物の無定型(アモルファス)を含水率
が50重量%以下の有機極性溶媒中に溶解した後、結晶と
して析出させる方法によって製造される。この際に用い
る含水率が50重量%以下の有機極性溶媒としては、例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン系溶媒、あるいはジメチルホルム
アミドが挙げられる。これらの有機極性溶媒は芳香族炭
化水素系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン
等を含んでいてもよい。しかし、芳香族炭化水素系溶媒
の含有量が多いと結晶性溶媒和物が析出して、目的の
(1−b)−1型結晶に混入してくることがあるので、
通常好ましくは、有機極性溶媒中の芳香族炭化水素系溶
媒の含有量は10重量%以下である。
【0026】また、同じく(1−b)−1型結晶は、後
で説明するような、式(1−b)のフルオラン化合物と
芳香族炭化水素系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、
o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、アニソー
ルまたはエチルベンゼンとの結晶性溶媒和物を含水率が
50重量%以下の有機極性溶媒、例えば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアル
コール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトニト
リルまたはジメルホルムアミド中に溶解後、室温付近か
ら有機極性溶媒の沸点までの範囲の温度で、析出させる
ことによっても製造される。
【0027】式(1−c)で表されるフルオラン化合物
の(1−c)−1型結晶: 式(1−c)のフルオラン化合物を含有する、含水率が
50重量%以下の有機極性溶媒溶液から結晶として析出さ
せ単離する方法により製造される。また式(1−c)の
フルオラン化合物の無定型(アモルファス)を含水率が
50重量%以下の有機極性溶媒中に溶解した後、結晶とし
て析出させる方法によって製造される。この際に用いる
含水率が50重量%以下の有機極性溶媒としては、例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン系溶媒またはジメチルホルムアミ
ドが挙げられる。この際、使用する有機極性溶媒は芳香
族炭化水素系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等を含んでいてもよい。しかし、芳香族炭化水素系
溶媒の含有量が多いと結晶性溶媒和物が析出して、目的
の(1−c)−1型結晶に混入してくることがあるの
で、通常、好ましくは、有機極性溶媒中の芳香族炭化水
素系溶媒の含有量は10重量%以下である。
【0028】また、式(1−c)−1型結晶は、後で説
明するような式(1−c)のフルオラン化合物と芳香族
炭化水素系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエンまたはア
ニソールとの結晶性溶媒和物を含水率が50重量%以下の
有機極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸
エチル等のエステル系溶媒、アセトニトリルまたはジメ
チルホルムアミド中に溶解後、室温付近から有機極性溶
媒までの沸点までの範囲の温度で析出させることによっ
ても製造される。以上の(1−a)−2型結晶、(1−
b)−1型結晶および(1−c)−1型結晶を製造する
際、上述の有機極性溶媒が使用できるが、特に好ましく
使用される有機極性溶媒は、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒で
ある。
【0029】式(1−d)で表されるフルオラン化合物
の(1−d)−1型: 式(1−d)のフルオラン化合物を含有する、含水率が
50重量%以下の有機極性溶媒溶液から結晶として析出さ
せ単離する方法により製造される。また、式(1−d)
のフルオラン化合物の無定型(アモルファス)を含水率
が50重量%以下の有機極性溶媒中に溶解した後、結晶と
して析出させる方法によって製造される。この際に用い
る含水率が50重量%以下の有機極性溶媒としては、例え
ば、メタノール、エタノール、n−ブタノール等のアル
コール系溶媒、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
媒、アセトニトリルまたはジメチルホルムアミドが挙げ
られる。しかしながら、有機極性溶媒として、イソプロ
パノール、アセトンまたはメチルエチルケトンを用いる
と、後述したような式(1−d)のフルオラン化合物
と、イソプロパノール、アセトンまたはメチルエチルケ
トンとの結晶性溶媒和物が析出するので好ましくない。
この際、使用する有機極性溶媒は芳香族炭化水素系溶
媒、例えば、ベンゼン、トルエン等を含んでいてもよ
い。しかし、芳香族炭化水素系溶媒の含有量が多いと結
晶性溶媒和物が析出して、目的の(1−d)−1型結晶
に混入してくることがあるので、通常、好ましくは、有
機極性溶媒中の芳香族炭化水素系溶媒の含有量は10重量
%以下である。
【0030】(1−d)−1型結晶は、後で説明するよ
うな式(1−d)のフルオラン化合物と、芳香族炭化水
素系、アルコール系またはケトン系の溶媒、例えば、ベ
ンゼン、トルエン、イソプロパノール、アセトンまたは
メチルエチルケトンとの結晶性溶媒和物を、含水率が50
重量%以下の有機極性溶媒、例えば、メタノール、エタ
ノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒、メチル
イソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエ
ステル系溶媒、アセトニトリルまたはジメチルホルムア
ミド中に溶解後、室温付近から有機極性溶媒の沸点まで
の範囲の温度で、析出させることによっても製造され
る。(1−d)−1型結晶を製造するに当り、用いる有
機極性溶媒は上述の通りであるが、特に好ましい例とし
て、イソプロパノール以外のメタノール、エタノール、
n−ブタノール等のアルコール系溶媒、またはアセト
ン、メチルエチルケトン以外のメチルイソブチルケトン
等のケトン系溶媒を挙げることができる。
【0031】上記の各方法において、一般式(1)で表
されるフルオラン化合物の結晶を製造するに当り、含水
率が50重量%以下の有機極性溶媒の使用量は、一般式
(1)で表されるフルオラン化合物の重量に対して約0.
4重量倍以上が好ましい。該溶媒を多量に使用しても、
特に問題がないが、結晶を析出させるために濃縮等の操
作を行う必要が生じたりするので、溶媒の使用量は一般
式(1)で表されるフルオラン化合物の重量に対して、
通常、約 0.4〜 100重量倍であり、より好ましくは、約
0.5〜50重量倍である。室温から溶媒の沸点までの範囲
の温度で含水率50重量%以下の有機極性溶媒中に析出し
た結晶を、この後公知の方法、例えば、濾過した後、融
点以下の温度で乾燥を行い、目的とする一般式(1)で
表されるフルオラン化合物の結晶を得ることができる。
【0032】次に、本発明の結晶性溶媒和物について説
明する。上述したように、一般式(1)で表されるフル
オラン化合物を芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶
媒またはケトン系溶媒から結晶として析出させると、驚
くべきことに得られる結晶は、一般式(1)で表される
フルオラン化合物が芳香族炭化水素系溶媒、アルコール
系溶媒またはケトン系溶媒を取り込んだ結晶性溶媒和物
である。結晶性溶媒和物を生成する芳香族炭化水素系溶
媒、アルコール系溶媒またはケトン系溶媒としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アニソ
ール、クロルベンゼン、イソプロパノール、アセトンま
たはメチルエチルケトンを例示できる。
【0033】特に式(1−a)のフルオラン化合物の場
合には、ベンゼン、トルエン、o−キシレンまたはアニ
ソールと好ましく結晶性溶媒和物を形成する。式(1−
b)のフルオラン化合物の場合には、ベンゼン、トルエ
ン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチ
ルベンゼン、アニソールまたはクロルベンゼンと好まし
く結晶性溶媒和物を形成する。式(1−c)のフルオラ
ン化合物の場合には、ベンゼン、トルエンまたはアニソ
ールと好ましく結晶性溶媒和物を形成する。式(1−
d)のフルオラン化合物の場合は、ベンゼン、トルエ
ン、イソプロパノール、アセトンまたはメチルエチルケ
トンと好ましく結晶性溶媒和物を形成する。
【0034】一般式(1)で表されるフルオラン化合物
の結晶性溶媒和物において、この溶媒和物を構成するフ
ルオラン化合物と芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系
溶媒またはケトン系溶媒とのモル比は結晶性溶媒和物の
種類により、それぞれ特有の一定の値をとる。これは結
晶性溶媒和物の 1H−NMRの測定を行い、フルオラン
化合物の特定プロトンのシグナルと、芳香族炭化水素系
溶媒、アルコール系溶媒またはケトン系溶媒の特定プロ
トンのシグナルの積分比から求めることができ、更に元
素分析等の他の分析方法によって確認することができ
る。例えば、式(1−a)のフルオラン化合物とトルエ
ンとより構成される式(1−a)のフルオラン化合物の
結晶性溶媒和物の 1H−NMRをDMSO−d6 中で測
定すると、フルオラン化合物の6位のメチル基のシグナ
ルがδ2.21ppm に観測され、またトルエンのメチル基の
ジグナルがδ2.29ppm に観測され、これらのシグナルの
積分比が約2:1であることから、該結晶性溶媒和物を
構成するフルオラン化合物と、トルエンのモル比が約
2:1であることがわかる。
【0035】同様の方法により、式(1−b)のフルオ
ラン化合物とm−キシレンとより構成される結晶性溶媒
和物は、フルオラン化合物とm−キシレンのモル比が約
2:1であり、また式(1−b)のフルオラン化合物と
アニソールとより構成される結晶性溶媒和物は、フルオ
ラン化合物とアニソールのモル比が約2:1である。ま
た式(1−c)のフルオラン化合物と、トルエンとより
構成される結晶性溶媒和物は、フルオラン化合物とトル
エンのモル比が約2:1である。更に、式(1−d)の
フルオラン化合物とトルエンとより構成される結晶性溶
媒和物は、フルオラン化合物とトルエンのモル比が約
2:1であり、式(1−d)のフルオラン化合物とイソ
プロパノールとより構成される結晶性溶媒和物は、フル
オラン化合物とイソプロパノールのモル比が約2:1で
あり、また、式(1−d)のフルオラン化合物とアセト
ンとより構成される結晶性溶媒和物は、フルオラン化合
物とアセトンのモル比が約2:1である。
【0036】また、一般式(1)で表されるフルオラン
化合物の結晶性溶媒和物をCu−Kα線による粉末X線
回折法で測定すると、フルオラン化合物の種類ならびに
芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒またはケトン
系溶媒の種類の違いによって、それぞれ特定の回折角
(2θ)にピークを有する、特徴的なX線回折図を示す
ことから、それぞれの結晶性溶媒和物は、各溶媒を結晶
格子中に取り込んだと考えられる固有の結晶型であるこ
とがわかる。式(1−a)で表されるフルオラン化合物
とベンゼンとより構成される結晶性溶媒和物〔以下、
(1−a)−3型結晶と称する〕の粉末X線回折図は、
図3に示したように、回折角(2θ)18.7°に強いピー
ク、20.3°に比較的強いピークを示す。式(1−a)で
表されるフルオラン化合物とトルエンとより構成される
結晶性溶媒和物〔以下、(1−a)−4型結晶と称す
る〕の粉末X線回折図は、図4に示したように、回折角
(2θ)20.1°および20.4°に強いピーク、7.4 °、1
7.8°および21.5°に比較的強いピークを示す。式(1
−a)で表されるフルオラン化合物とo−キシレンとよ
り構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−a)−5型
結晶と称する〕の粉末X線回折図は、図5に示したよう
に、回折角(2θ)18.4°に強いピーク、16.7°、18.8
°および25.2°に比較的強いピークを示す。式(1−
a)で表されるフルオラン化合物とアニソールにより構
成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−a)−6型結晶
と称する〕の粉末X線回折図は、図6に示したように、
回折角(2θ)18.7°に強いピーク、9.3 °、17.0°、
20.1°および25.6°に比較的強いピークを示す。
【0037】式(1−b)で表されるフルオラン化合物
とベンゼンより構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1
−b)−2型結晶と称する〕の粉末X線回折図は、図8
に示したように、回折角(2θ)20.0°に強いピーク、
21.5°に比較的強いピークを示す。式(1−b)で表さ
れるフルオラン化合物とトルエンとより構成される結晶
性溶媒和物〔以下、(1−b)−3型結晶と称する〕の
粉末X線回折図は、図9に示したように、回折角(2
θ)20.0°に強いピーク、7.2 °、17.8°、20.1°およ
び21.4°に比較的強いピークを示す。式(1−b)で表
されるフルオラン化合物とo−キシレンとより構成され
る結晶性溶媒和物〔以下、(1−b)−4型結晶と称す
る〕の粉末X線回折図は、図10に示したように、回折
角(2θ)19.6°、19.9°、20.2°および21.4°に強い
ピーク、7.2 °に比較的強いピークを示す。式(1−
b)で表されるフルオラン化合物とm−キシレンとより
構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−b)−5型結
晶と称する〕の粉末X線回折図は、図11に示したよう
に、回折角(2θ)19.6°、20.0°および21.3°に強い
ピーク、7.2 °に比較的強いピークを示す。式(1−
b)で表されるフルオラン化合物とp−キシレンとより
構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−b)−6型結
晶と称する〕の粉末X線回折図は、図12に示したよう
に、回折角(2θ)19.9°に強いピーク、7.1 °、20.3
°および21.4°に比較的強いピークを示す。式(1−
b)で表されるフルオラン化合物とエチルベンゼンとよ
り構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−b)−7型
結晶と称する〕の粉末X線回折図は、図13に示したよ
うに、回折角(2θ)20.1°に強いピーク、7.2 °、1
9.6°および21.3°に比較的強いピークを示す。式(1
−b)で表されるフルオラン化合物とアニソールとより
構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−b)−8型結
晶と称する〕の粉末X線回折図は、図14に示したよう
に回折角(2θ)20.1°に強いピーク、14.3°、16.6
°、17.5°および19.6°に比較的強いピークを示す。式
(1−b)で表されるフルオラン化合物と、クロルベン
ゼンとより構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−
b)−9型結晶と称する〕の粉末X線回折図は、図15
に示したように、回折角(2θ)20.0°に強いピーク、
14.6°、18.1°および21.5°に比較的強いピークを示
す。
【0038】式(1−c)で表されるフルオラン化合物
とベンゼンとより構成される結晶性溶媒和物〔以下、
(1−c)−2型結晶と称する〕の粉末X線回折図は、
図17に示したように、回折角(2θ)7.1 °に強いピ
ークを示す。式(1−c)で表されるフルオラン化合物
とトルエンとより構成される結晶性溶媒和物〔以下、
(1−c)−3型結晶と称する〕の粉末X線回折図は、
図18に示したように回折角(2θ)7.1 °および21.4
°に強いピークを示す。式(1−c)で表されるフルオ
ラン化合物とアニソールとより構成される結晶性溶媒和
物〔以下(1−c)−4型結晶と称する〕の粉末X線回
折図は、図19に示したように回折角(2θ)7.2 °に
強いピークを示す。
【0039】式(1−d)で表されるフルオラン化合物
とベンゼンとより構成される結晶性溶媒和物〔以下、
(1−d)−2型結晶と称する〕の粉末X線回折図は図
21に示したように回折角(θ)19.4°に強いピーク、
6.5 °に比較的強いピークを示す。式(1−d)で表さ
れるフルオラン化合物と、トルエンとより構成される結
晶性溶媒和物〔以下(1−d)−3型結晶と称する〕の
粉末X線回折図は図22に示したように回折角(2θ)
6.4 °、16.1°および19.3°に強いピーク、23.8°に比
較的強いピークを示す。式(1−d)で表されるフルオ
ラン化合物とイソプロパノールとより構成される結晶性
溶媒和物〔以下、(1−d)−4型結晶と称する〕の粉
末X線回折図は図23に示したように回折角(2θ)2
0.0°に強いピーク、7.0 °および21.3°に比較的強い
ピークを示す。式(1−d)で表されるフルオラン化合
物とアセトンとより構成される結晶性溶媒和物〔以下、
(1−d)−5型結晶と称する〕の粉末X線回折図は図
24に示したように回折角(2θ)20.1°に強いピー
ク、7.1 °および21.4°に比較的強いピークを示す。式
(1−d)で表されるフルオラン化合物とメチルエチル
ケトンとより構成される結晶性溶媒和物〔以下、(1−
d)−6型結晶と称する〕の粉末X線回折図は図25に
示したように回折角(2θ)、20.0°に強いピーク、7.
0 °に比較的強いピークを示す。なお、各結晶および結
晶性溶媒和物の粉末X線回折図はCu−Kα線によるX
線回折法で測定したものであり、回折角(2θ)表示に
おいて±0.2 °程度の誤差は許容されるものである。
【0040】一般式(1)で表されるフルオラン化合物
の結晶性溶媒和物は、一般式(1)で表されるフルオラ
ン化合物の結晶または無定型(アモルファス)のもの
を、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒またはケ
トン系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、
アニソール、エチルベンゼン、クロルベンゼン、イソプ
ロパノール、アセトンまたはメチルエチルケトンに溶解
した後析出させ単離することにより製造される。
【0041】該結晶性溶媒和物は、式(1−a)のフル
オラン化合物の場合には、特にベンゼン、トルエン、o
−キシレンまたはアニソールに溶解した後析出させ単離
することにより好適に製造される。また、式(1−b)
のフルオラン化合物の場合には、特にベンゼン、トルエ
ン、o−キシレン、m−キシレン,p−キシレン、エチ
ルベンゼン、アニソールまたはクロルベンゼンに溶解し
た後、析出させ単離することにより好適に製造される。
式(1−c)のフルオラン化合物の場合には、特にベン
ゼン、トルエンまたはアニソールに溶解した後、析出さ
せ単離することにより好適に製造される。式(1−d)
のフルオラン化合物の場合には、特にベンゼン、トルエ
ン、イソプロパノール、アセトンまたはメチルエチルケ
トンに溶解した後、析出させ単離することにより好適に
製造される。
【0042】具体的には、例えば、上述の式(1−a)
のフルオラン化合物とトルエンとより構成させる結晶性
溶媒和物〔(1−a)−4型結晶〕を製造するには、式
(1−a)のフルオラン化合物の結晶または無定型(ア
モルファス)のものを、トルエンに溶解した後、析出さ
せ単離することにより製造する方法がある。上述の結晶
性溶媒和物を製造する際に用いる芳香族炭化水素系溶
媒、アルコール系溶媒またはケトン系溶媒は他の有機溶
媒を含有してもよい。他の有機溶媒としては、例えば、
酢酸エチル等のエステル系溶媒、ジオキサン、テトロヒ
ドロフラン等のエーテル系溶媒またはアセトニトリル等
を挙げることができる。しかしながら、混合溶媒を用い
た場合、目的とする結晶性溶媒和物が析出すると同時
に、他の結晶型のもの、例えば、溶媒和されていない結
晶が析出することもあるので、特に好ましくは、芳香族
炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒またはケトン系溶媒
を単独で使用する。
【0043】一般式(1)で表されるフルオラン化合物
の結晶性溶媒和物を析出させ単離する方法としては、一
般式(1)で表されるフルオラン化合物の結晶または無
定型(アモルファス)のものを芳香族炭化水素系溶媒、
アルコール系溶媒またはケトン系溶媒に溶解させた後、
該溶液を室温付近から溶媒の沸点までの範囲の温度で、
攪拌または静置した状態から析出させる方法が代表的な
例として挙げられる。析出した結晶性溶媒和物を、この
後公知の方法、例えば、濾過した後、融点以下の温度で
乾燥を行い、目的とする結晶性溶媒和物を得ることがで
きる。
【0044】結晶性溶媒和物を製造する際に使用する芳
香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒またはケトン系
溶媒の量は、一般式(1)で表されるフルオラン化合物
の結晶または無定型(アモルファス)の重量に対して、
0.4 重量倍使用することが好ましい。該溶媒を多量に使
用することは特に問題はないが、結晶性溶媒和物を析出
させるために濃縮等の操作を行う必要が生じたりするた
めに、通常、該溶媒の使用量は一般式(1)で表される
フルオラン化合物の結晶または無定型(アモルファス)
の重量に対して約0.4 〜 100重量倍であり、より好まし
くは約0.5 〜50重量倍である。
【0045】また、一般式(1)で表されるフルオラン
化合物を製造する際に脱水縮合反応後のアルカリ処理の
段階において、上述の芳香族炭化水素系溶媒を共存さ
せ、アルカリ処理後、溶媒中に溶解している一般式
(1)で表されるフルオラン化合物を析出させることに
より、直接、芳香族炭化水素系溶媒との結晶性溶媒和物
を製造することもできる。
【0046】表1に、一般式(1)で表されるフルオラ
ン化合物の結晶および結晶性溶媒和物の具体例の融点を
示した。
【表1】
【0047】本発明の一般式(1)で表されるフルオラ
ン化合物の結晶性溶媒和物は、一般式(1)で表される
フルオラン化合物と、芳香族炭化水素系溶媒、アルコー
ル系溶媒またはケトン系溶媒、例えば、ベンゼン、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン、アニソール、クロル
ベンゼン、イソプロパノール、アセトンまたはメチルエ
チルケトンとが、極めて特異的に分子間で相互作用し、
上述のフルオラン化合物が結晶化する際に、上述の溶媒
分子を結晶格子中に取り込んで生成したものと考えられ
る。
【0048】例えば、一般式(1)において、
【化75】 1
【化76】 基であるフルオラン化合物はトルエン中より結晶として
析出させてもトルエンとの溶媒和物を形成しない。R1
【化77】 基であるフルオラン化合物はトルエン中またはイソプロ
パノール中より結晶として析出させても、トルエンとの
溶媒和物またはイソプロパノールとの溶媒和物を形成し
ない。また、R1
【化78】 基であるフルオラン化合物はトルエン中より結晶として
析出させても、トルエンとの溶媒和物を形成しない。以
上のように、特定の構造を有するフルオラン化合物が、
特定の溶媒とのみ極めて特異的に結晶性溶媒和物を形成
することは非常に驚くべき新しい事実である。
【0049】本発明のフルオラン化合物の結晶および結
晶性溶媒和物は発色性化合物として種々の記録材料に用
いることができる。この場合、単独で用いることも、二
種類以上を併せて用いることも、更には、例えば、発色
の色相などの調製のために、他の発色性化合物、例え
ば、トリフェニルメタンラクトン類、フルオラン類、ス
ピロラン類を所望に応じて混合して用いることもでき
る。本発明の記録材料は本発明のフルオラン化合物の結
晶および結晶性溶媒和物を含有する感圧または感熱記録
材料である。
【0050】本発明のフルオラン化合物の結晶および結
晶性溶媒和物を、例えば、感圧記録材料として使用する
時は、それをこの分野で常用される溶剤、例えば、アル
キルベンゼン系(n−ドデシルベンゼン等)、アルキル
ビフェニル系(トリエチルビフェニル、ジイソプロピル
ジフェニル等)、水素化ターフェニル系、アルキルナフ
タレン系(ジイソプロピルナフタレン等)、ジアリール
エタン系(フェニルキシリルエタン、スチレン化エチル
ベンゼン等)あるいは塩素化パラフィン系の各種溶剤の
単独または混合溶剤に溶解し、この溶液をコアセルベー
ション法、界面重合法等の方法で、ゼラチン、メラミン
−アルデヒド、または尿素−アルデヒド樹脂、ポリウレ
タン、ポリ尿素、ポリアミド等の隔壁を有するマイクロ
カプセル中に封入し、得られたカプセルの水分散液を適
当な結着剤(例えば、澱粉糊、ラテックス等)等と共に
適当な支持体(例えば、紙、プラスチックシート、樹脂
皮膜された紙等)上に塗布し、感圧記録上用シートと
し、使用することができる。
【0051】もちろん、支持体の片面に上記のカプセル
分散液を塗布し、反対面に顕色剤を主体とする顕色剤塗
液を塗布した、いわゆる中用シート、更には、支持体の
同一面に上記カプセルと顕色剤が混在する塗液を塗布す
るか、カプセル分散液を塗布した上に顕色剤を塗布する
などして、同一面に上記カプセルと顕色剤を共存させ
た、いわゆる単体複写シートなどにも使用できる。この
場合、顕色剤としては、サリチル酸とフェノール類とア
ルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド)による共重合
物、置換サリチル酸(アルキル置換、アリール置換また
はアラルキル置換体の極めて多くが知られ、例えば、3,
5-ジ−α−メチルベンジルサリチル酸がある)、置換サ
リチル酸とスチレンとの共縮合樹脂、アルキルフェノー
ル類(例えば、オクチクルフェノール) 、フェノール−
アルデヒド樹脂(例えば、p−フェニルフェノールのノ
ボラック樹脂)またはこれらの金属塩(例えば、亜鉛、
マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スズ、ニッ
ケル等の金属塩)、更には活性白土類が挙げられる。
【0052】また、感熱記録材料に用いる時には本発明
の一般式(1)で表されるフルオラン化合物の結晶また
は結晶性溶媒和物と顕色剤(例えば、ビスフェノールA
またはそのハロゲン化物もくしはアルキル化物、ジヒド
ロキシジフェニルスルホンまたはそのハロゲン化物もし
くはアルキル化物、ヒドロキシ安息香酸エステル類、ハ
イドロキノンモノエーテル類のようなフェノール類、サ
リチル酸誘導体、サリチル酸アミド誘導体、尿素誘導
体、チオ尿素誘導体等のような有機顕色剤、あるいは酸
性白土、アタパルガイド、活性白土、塩化アルミニウ
ム、臭化亜鉛のような無機顕色剤)の微細水分散剤液に
結着剤(例えば、ポリビニルアルコールまたはその変成
物、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、スチレン
−無水マレイン酸共重合物の塩またはイソブチレン−ア
クリル酸−無水マレイン酸の共重合物など)、顔料(タ
ルク、カオリン、炭酸カルシウム等)、更に、必要に応
じ、増感剤(高級脂肪酸アミド類、芳香族カルボン酸、
またはスルホン酸のエステル類、または芳香族ないし芳
香族基置換脂肪族エーテル類、または芳香族ないし芳香
族基置換脂肪族炭化水素等一般に公知の感熱記録剤用増
感剤)、その他添加剤(例えば、紫外線吸収剤、消泡剤
等)を加え、微細分散剤とし、適当な支持体(例えば、
紙、プラスチックシート、樹脂皮膜された紙等)上に塗
布し、感熱記録材料として使用することができる。勿
論、水分散系でなく、溶剤を使用する系においても問題
なく使用できる。また、その他の発色性化合物を使用す
る用途(例えば示温材料)にも使用できる。
【0053】
【作用】本発明の一般式(1)で表されるフルオラン化
合物の結晶及び結晶性溶媒和物を感圧記録材料として使
用すると、感圧記録材料用の発色性化合物に強く望まれ
ている重要な特性であるカプセルオイルに対する溶解度
が高く、且つ発色後の発色像の耐候性が優れている。す
なわち、本発明の式(1)で表されるフルオラン化合物
の(1−a)−1型結晶、(1−a)−2型結晶、(1
−a)−3型結晶、(1−a)−4型結晶、(1−a)
−5型結晶、(1−a)−6型結晶、(1−b)−1型
結晶、(1−b)−2型結晶、(1−b)−3型結晶、
(1−b)−4型結晶、(1−b)−5型結晶、(1−
b)−6型結晶、(1−b)−7型結晶、(1−b)−
8型結晶、(1−b)−9型結晶、(1−c)−1型結
晶、(1−c)−2型結晶、(1−c)−3型結晶、
(1−c)−4型結晶、(1−d)−1型結晶、(1−
d)−2型結晶、(1−d)−3型結晶、(1−d)−
4型結晶、(1−d)−5型結晶、および(1−d)−
6型結晶の市販のカプセルオイルに対する溶解度を、既
知の式(A)、(B)、(C)および(D)のフルオラ
ン化合物とそれぞれ比較した結果は表2に示す通りであ
る。
【表2】 溶解度は各オイルに対し、それぞれの化合物のついて、
その5重量%および10重量%を、一旦加熱溶解後、5℃
で一週間保存した後の結晶の析出の有無を示した。表
中、○は結晶析出なし、×は結晶析出ありを示す。な
お、SAS-296 は日本石油化学製、KMC-113 は呉羽化学製
のカプセルオイルである。式(A)の化合物はKMC-113
中の加熱時でも完全に溶解しなかった。
【0054】表2から明らかなように、本発明の一般式
(1)で表されるフルオラン化合物の結晶および結晶性
溶媒和物は、式(A)、(B)、(C)および(D)の
フルオラン化合物に比較して各カプセルオイルに対する
溶解度が高い。これは感圧記録材料を製造する際、カプ
セルオイル中での保存中に結晶析出がないことを意味
し、更にマイクロカプセル化後のマイクロカプセル中で
の結晶析出の恐れがないことを意味し、特に、本発明の
一般式(1)で表されるフルオラン化合物の結晶性溶媒
和物はカプセルオイルに対する溶解速度も非常に速く、
感圧記録材料用の発色性化合物として優れた性質を有し
ている。
【0055】本発明の一般式(1)で表されるフルオラ
ン化合物の結晶および結晶性溶媒和物は、従来知られて
いる一般式(1)で表されるフルオラン化合物の無定型
(アモルファス)のものと比較して嵩密度が高いため、
本発明の結晶および結晶性溶媒和物を製造する際、また
それらを発色性化合物として用いた記録材料を作成する
際において、取扱い上の作業性が良好である。
【0056】本発明の(1−a)−2型結晶、(1−
b)−1型結晶および特開昭60-47068号公報記載の方法
によって製造した融点 114〜117 ℃の無定型の式(1−
b)で表されるフルオラン化合物の嵩密度をそれぞれ表
3に示す。
【表3】 表3に示す様に、本発明の(1−a)−2型結晶および
(1−b)−1型結晶は、特開昭60-47068号公報記載の
方法によって製造した融点 114〜 117℃を示す式(1−
b)のフルオラン化合物の無定型のものに比較して嵩密
度が非常に高い。本発明の一般式(1)で表されるフル
オラン化合物の結晶を感熱記録材料に用いると、一般式
(1)で表されるフルオラン化合物の無定型(アモルフ
ァス)のものと比較して、地汚れのない、白色度の高い
感熱紙が得られる。すなわち、発色性化合物として、本
発明の一般式(1)で表されるフルオラン化合物の(1
−a)−2型結晶、(1−b)−1型結晶、(1−c)
−1型結晶および(1−d)−1型結晶を用い、それぞ
れ顕色剤としてビスフェノールAを使用して感熱記録紙
を作成した。
【0057】一方、比較として特開昭60-47068号公報記
載の方法により製造される式(1−a)、(1−b)、
(1−c)および(1−d)のフルオラン化合物の無定
型(アモルファス)のものを用い、いずれも顕色剤とし
てビスフェノールAを使用して感熱記録紙を作成した。
これらの感熱記録紙の未発色部の地肌の白色度を比較し
た結果を表4に示す。
【表4】 感熱紙の未発色部の地肌の白色度の判定は目視により行
い、 ○は、着色のない(地汚れのない)白色度の高い実用上
問題ない感熱紙を表し、 ×は、黒灰色に着色した(地汚れした)白色度の低い実
用的でない感熱紙を表わす。
【0058】表4から明らかなよう、本発明の一般式
(1)で表されるフルオラン化合物の結晶を感熱記録材
料に用いると、一般式(1)で表されるフルオラン化合
物の無定型(アモルファス)のものと比較して、地汚れ
のない、白色度の高い感熱紙が得られる。
【0059】更に、本発明の式(1)で表されるフルオ
ラン化合物の結晶および結晶性溶媒和物を感熱記録材料
に使用すると、従来知られている式(A)、(B)、
(C)および(D)の化合物を用いた場合に比べ、より
低温で速やかに発色し、高速且つ高密度記録材料が望ま
れている現在、本発明の化合物は極めて優れた性能を有
した発色性化合物であると言える。すなわち、本発明の
式(1)で表されるフルオラン化合物の結晶、(1−
a)−1型結晶、(1−b)−1型結晶、(1−c)−
1型結晶および(1−d)−1型結晶、さらに本発明の
式(1)で表されるフルオラン化合物の結晶性溶媒和
物、(1−a)−4型結晶、(1−b)−3型結晶、
(1−c)−3型結晶および(1−d)−4型結晶を発
色性化合物として用い、顕色剤としてビスフェノールA
を使用して作成した感熱記録紙の各温度における発色濃
度特性を測定した結果を表5に示した。この試験におい
ては、熱傾斜試験器(ローディーアセター)を用いて85
℃、90℃、95℃、 100℃、 110℃、 120℃および 150℃
の各温度で5秒間加熱して、作成した感熱記録紙を発色
させた。発色濃度はマクベス反射濃度計(TR−524
型)を用い測定した。数値が大きい程、濃く発色してい
ることを示している。表5には、本発明の一般式(1)
で表されるフルオラン化合物の結晶と結晶性溶媒和物の
温度に対する発色濃度特性と、比較例として式(A)、
(B)、(C)および(D)の化合物の温度に対する発
色濃度特性を示した。
【表5】 表5から明らかなように、本発明の一般式(1)で表さ
れるフルオラン化合物の結晶および結晶性溶媒和物は式
(A)、(B)、(C)および(D)の化合物に比較し
てより低温で速やかに発色するという極めて優れた特徴
を有している。
【0060】本発明の一般式(1)で表されるフルオラ
ン化合物は、式(A)、(B)、(C)および(D)で
表されるフルオラン化合物とは、フルオラン構造におい
て3位のアミノ基上置換基のみが異なる構造であるが、
上述のように、本発明の一般式(1)で表されるフルオ
ラン化合物の結晶および結晶性溶媒和物は、上述の既知
の化合物に比較してカプセルオイル類に対する溶解性、
熱による発色特性等、発色性化合物として、非常に優れ
た特徴を有している。また、本発明の一般式(1)で表
されるフルオラン化合物の結晶および結晶性溶媒和物
は、一般式(1)で表されるフルオラン化合物の無定型
(アモルファス)のものに比較して、記録材料用の発色
性化合物として、非常に優れた特徴を有している。
【0061】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0062】実施例1〔(1−a)−1型結晶の製造〕 2(4'-N- イソプロピル-N- メチルアミノ-2'-ヒドロキシ
ベンゾイル )安息香酸〔式(2−a)の化合物〕(融点
178 〜180 ℃) 200gを、 800mlの濃硫酸に10℃で溶解
後、4-メトキシ-2- メチルジフェニルアミン〔一般式
(3)においてR2 がメチル基の化合物〕130gを同温度
で加え、10〜25℃で48時間攪拌した。反応混合物を8000
mlの氷水に排出し、析出した固体を集め水洗後、その固
体を20%NaOH水1000ml中に加え、さらにトルエン1000ml
を加えた後、60〜70℃で2時間攪拌した。トルエン層を
分離後、温水で中性になるまで水洗した後、トルエン層
を分液し、減圧下40℃でトルエンを濃縮して結晶を濾過
し少量のトルエンで洗浄した。この結晶は式(1−a)
のフルオラン化合物とトルエンとの結晶性溶媒和物
〔(1−a)−4型結晶である。この結晶を、メタノー
ル1500ml中、室温で1時間スラッジして濾過する操作を
2回行った後、40℃で18時間乾燥を行うことにより、3-
N-イソプロピル-N- メチルアミノ-6- メチル-7- アニリ
ノフルオランの(1−a)−1型結晶212gを、ほとんど
無色の結晶として得た。 融点 127-132℃この結晶のト
ルエン溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに
黒色に発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図を
表1に示した。
【0063】実施例2〔(1−a)−2型結晶の製造〕 2(4'-N- イソプロピル-N- メチルアミノ-2'-ヒドロキシ
ベンゾイル )安息香酸〔式(2−a)の化合物〕100g
を、400ml の濃硫酸に10℃で溶解後、4-メトキシ-2- メ
チルジフェニルアミン65g を同温度で加え10〜25℃で36
時間攪拌した。反応混合物を4000mlの氷水に排出し、析
出した結晶を集め水洗後、その固体を10%NaOH水1000ml
中に加え、さらにトルエン 450mlを加えた後、60〜70℃
で2時間攪拌した。トルエン層を分離後、温水で中性に
なるまで水洗した後、トルエン層を分液し減圧下40℃で
トルエンを濃縮して析出した結晶を濾過し少量のトルエ
ンで洗浄した。この結晶は式(1−a)のフルオラン化
合物とトルエンとの結晶性溶媒和物〔(1−a)−4型
結晶である。この結晶をイソプロパノール 700mlより再
結晶した後、40℃で24時間乾燥して3-N-イソプロピル-N
- メチルアミノ-6- メチル-7- アニリノフルオランの
(1−a)−2型結晶110gを、ほとんど無色の結晶とし
て得た。融点 158-161℃この結晶のトルエン溶液は無色
透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。
Cu−Kα線による粉末X線回折図を表2に示した。
【0064】実施例3〔(1−a)−3型結晶の製造〕 実施例2で製造した3-N-イソプロピル-N- メチルアミノ
-6- メチル-7- アニリノフルオランの(1−a)−2型
結晶10.0gを、ベンゼン20mlに 100℃で加熱溶解させた
後、室温で24時間静置した。析出した結晶を濾過して集
めた後、40℃で24時間乾燥させて、(1−a)−3型結
晶9.4gをほとんど無色の結晶として得た。 融点 118〜
122℃。この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は、無色透
明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。C
u−Kα線による粉末X線回折図を図3に示した。
【0065】実施例4〔(1−a)−4型結晶の製造〕 実施例3において、ベンゼンの代わりにトルエンを用い
る以外は実施例3に記載の方法と同様な方法により(1
−a)−4型結晶をほとんど無色の結晶として得た。
融点 118〜 120℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶
液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発
色した。 Cu−Kα線による粉末X線回折図を図4に
示した。
【0066】実施例5〔(1−a)−5型結晶の製造〕 実施例3において、ベンゼンの代わりにo−キシレンを
用いる以外は実施例3記載の方法と同様な方法により、
(1−a)−5型結晶をほとんど無色の結晶として得
た。融点 113〜 116℃、こ結晶性溶媒和物のトルエン
溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に
発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図を図5に
示した。
【0067】実施例6〔(1−a)−6型結晶の製造〕 実施例3において、ベンゼンの代わりにアニソールを用
いる以外は実施例3に記載の方法と同様な方法により、
(1−a)−6型結晶を、ほとんど無色の結晶として得
た。融点 109〜 113℃、この結晶性溶媒和物のトルエン
溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に
発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図を、図6
に示した。
【0068】実施例7〔(1−b)−1型結晶の製造〕 実施例2において、2-(4'-N-イソプロピル-N- メチルア
ミノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸〔式(2−
a)の化合物〕の代わりに2-(4'-N-sec-ブチル-N- メチ
ルアミノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸〔式(2
−b)の化合物〕(融点 165〜 167℃)を用いる以外は
実施例2に記載の方法と同様な方法により式(1−b)
のフルオラン化合物とトルエンとの結晶性溶媒和物
〔(1−b)−3型結晶〕を製造し、この結晶性溶媒和
物をイソプロパノールより再結晶を行い、3-N-sec-ブチ
ル-N- メチルアミノ-6- メチル-7- アニリノフルオラン
の(1−b)−1型結晶をほとんど無色の結晶として得
た。融点 143〜 146℃、この結晶のトルエン溶液は無色
透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。
Cu−Kα線による粉末X線回折図を図7に示した。
【0069】実施例8〔(1−b)−2型結晶の製造〕 実施例7で製造した3-N-sec-ブチル-N- メチルアミノ-6
- メチル-7- アニリフルオランの(1−b)−1型結晶
10.0gをベンゼン20mlに70℃で加熱溶解させた後、室温
で24時間静置した。析出した結晶を濾過して集めた後、
40℃で36時間乾燥させて(1−b)−2型結晶9.5gをほ
とんど無色の結晶として得た。融点 122〜 126℃、この
結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色透明でありシリカ
ゲル上で速やかに黒色の発色した。Cu−Kα線による
粉末X線回折図を図8に示した。 実施例9〔(1−b)−3型結晶の製造〕 実施例8において、ベンゼンの代わりにトルエンを用い
る以外は実施例8に記載の方法と同様な方法により(1
−b)−3型結晶をほとんど無色透明の結晶として得
た。融点 112〜 114℃、この結晶性溶媒和物のトルエ
ン溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色
に発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図を図9
に示した。
【0070】実施例10〔(1−b)−4型結晶の製
造〕 実施例8においてベンゼンの代わりにo−キシレンを用
いる以外は実施例8に記載の方法により、(1−b)−
4型結晶をほとんど無色の結晶として得た。融点 107〜
123℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色透明
でありシリカゲル上で速やかに黒色に発色した。Cu−
Kα線による粉末X線回折図を図10に示した。
【0071】実施例11〔(1−b)−5型結晶の製
造〕 実施例8においてベンゼンの代わりにm−キシレンを用
いる以外は実施例8に記載の方法により、(1−b)−
5型結晶を、ほとんど無色の結晶として得た。融点 108
〜 125℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色透
明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。C
u−Kα線による粉末X線回折図を図11に示した。
【0072】実施例12〔(1−b)−6型結晶の製
造〕 実施例8においてベンゼンの代わりにp−キシレンを用
いる以外は実施例8に記載の方法により、(1−b)−
6型結晶を、ほとんど無色の結晶として得た。融点 127
〜 131℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色透
明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。C
u−Kα線による粉末X線回折図を図12に示した。
【0073】実施例13〔(1−b)−7型結晶の製
造〕 実施例8においてベンゼンの代わりにエチルベンゼンを
用いる以外は実施例8に記載の方法により、(1−b)
−7型結晶を、ほとんど無色の結晶として得た。融点 1
15〜 120℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色
透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。
Cu−Kα線による粉末X線回折図を図13に示した。
【0074】実施例14〔(1−b)−8型結晶の製
造〕 実施例8においてベンゼンの代わりにアニソールを用い
た以外は実施例8に記載の方法により、(1−b)−8
型結晶を、ほとんど無色の結晶として得た。融点 113〜
115℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色透明
であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。Cu
−Kα線による粉末X線回折図を図14に示した。
【0075】実施例15〔(1−b)−9型結晶の製
造〕 実施例8においてベンゼンの代わりにクロルベンゼンを
用いた以外は実施例8に記載の方法により、(1−b)
−9型結晶を、ほとんど無色の結晶として得た。融点 1
20〜 131℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色
透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に発色した。
Cu−Kα線による粉末X線回折図を図15に示した。
【0076】実施例16〔(1−c)−1型結晶の製
造〕 実施例2において、2-(4'-N-イソプロピル-N- メチルア
ミノ-2'-ヒドロキシベンゾイル安息香酸〔式(2−a)
の化合物〕の代わりに、2-(4'-N-エチル-N- メチルアミ
ノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸〔式(2−
c)〕(融点 172〜175℃)を用いる以外は実施例2に
記載の方法と同様の方法により、式(1−c)のフルオ
ラン化合物とトルエンとの結晶性溶媒和物〔(1−c)
−3型結晶〕を製造し、この結晶性溶媒和物をイソプロ
パノールより再結晶を行い、3-N-エチル-N- メチルアミ
ノ-6- メチル-7- アニリノフルオランの(1−c)−1
型結晶をほとんど無色の結晶として得た。融点 167〜 1
69℃、この結晶のトルエン溶液は無色透明であり、シリ
カゲル上で速やかに黒色に発色した。Cu−Kα線によ
る粉末X線回折図を図16に示した。
【0077】実施例17〔(1−c)−2型結晶の製
造〕 実施例16において製造した3-N-エチル-N- メチルアミ
ノ-6- メチル-7- アニリノフルオランの(1−c)−1
型結晶10.0gをベンゼン20mlに70℃で加熱溶解させた
後、室温で24時間静止した。析出した結晶を濾過して集
めた後、40℃で36時間乾燥させて(1−c)−2型結晶
9.5gをほとんど無色の結晶として得た。融点 134〜 136
℃、この結晶のトルエン溶液は無色透明であり、シリカ
ゲル上で速やかに黒色に発色した。Cu−Kα線による
粉末X線回折図を図17に示した。
【0078】実施例18〔(1−c)−3型結晶の製
造〕 実施例17において、ベンゼンの代わりにトルエンを用
いた以外は実施例17に記載の方法と同様な方法により
(1−c)−3型結晶をほとんど無色の結晶として得
た。融点 124〜 126℃、この結晶性溶媒和物のトルエン
溶液は無色透明であり、シリカゲルで速やかに黒色に発
色した。Cu−Kα線によるX線回折図を図18に示し
た。
【0079】実施例19〔(1−c)−4型結晶の製
造〕 実施例17においてベンゼンの代わりにアニソールを用
いた以外は実施例17に記載の方法と同様な方法によ
り、(1−c)−4型結晶をほとんど無色の結晶として
得た。融点 123〜 126℃、この結晶性溶媒和物のトルエ
ン溶液は無色透明であり、シリカゲルで速やかに黒色に
発色した。Cu−Kα線によるX線回折図を図19に示
した。
【0080】実施例20〔(1−d)−1型結晶の製
造〕 実施例2において、2-(4'-N-イソプロピル-N- メチルア
ミノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸〔式(2−
a)の化合物〕の代わりに2-(4'-N-イソブチル-N- イソ
プロピルアミノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸
〔式(2−d)の化合物〕(融点 182〜 185℃) を用い
る以外は実施例2に記載の方法と同様の方法により式
(1−d)のフルオラン化合物とトルエンとの結晶性溶
媒和物〔(1−d)−3型結晶〕を製造し、該結晶性溶
媒和物をn−ブタノールより再結晶して3-N-イソブチル
-N- イソプロピルアミノ-6- メチル-7- アニリノフルオ
ランの(1−d)−1型結晶をほとんど無色の結晶とし
て得た。融点 172〜 173℃、この結晶のトルエン溶液は
無色透明であり、シリカゲル上で速やかに発色した。C
u−Kα線による粉末X線回折図を図20に示した。
【0081】実施例21〔(1−d)−2型結晶の製
造〕 実施例20で製造した3-N-イソブチル-N- イソプロピル
アミノ-6- メチル-7-アニリノフルオランの(1−d)
−1型結晶10.0g をベンゼン20mlに70℃で加熱溶解させ
た後、室温で24時間静置した。析出した結晶を濾過して
集めた後、40℃で24時間乾燥させて(1−d)−2型結
晶9.5gをほとんど無色の結晶として得た。融点 148〜 1
51℃、この結晶性溶媒和物のトルエン溶液は無色であ
り、シリカゲル上で速やかに発色した。Cu−Kα線に
よる粉末X線回折図を図21に示した。
【0082】実施例22〔(1−d)−3型結晶の製
造〕 実施例21においてベンゼンの代わりにトルエンを用い
る以外は実施例21に記載の方法と同様な方法により、
(1−d)−3型結晶をほとんど無色の結晶として得
た。融点 128〜 130℃、この結晶性溶媒和物のトルエン
溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に
発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図を図22
に示した
【0083】実施例23〔(1−d)−4型結晶の製
造〕 実施例21においてベンゼンの代わりにイソプロパノー
ルを用いる以外は実施例21に記載の方法と同様な方法
により、(1−d)−4型結晶をほとんど無色の結晶と
して得た。融点 136〜 138℃、この結晶性溶媒和物のト
ルエン溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに
黒色に発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図を
図23に示した。
【0084】実施例24〔(1−d)−5型結晶の製
造〕 実施例21においてベンゼンの代わりにアセトンを用い
る以外は実施例21に記載の方法と同様な方法により、
(1−d)−5型結晶をほとんど無色の結晶として得
た。融点 140〜 143℃、この結晶性溶媒和物のトルエン
溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やかに黒色に
発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図を図24
に示した。
【0085】実施例25〔(1−d)−6型結晶の製
造〕 実施例21においてベンゼンの代わりにメチルエチルケ
トンを用いる以外は実施例21に記載の方法と同様な方
法により、(1−d)−6型結晶をほとんど無色の結晶
として得た。融点 118〜 120℃、この結晶性溶媒和物の
トルエン溶液は無色透明であり、シリカゲル上で速やか
に黒色に発色した。Cu−Kα線による粉末X線回折図
を図25に示した。
【0086】実施例26〔(1−a)−4型結晶から
(1−a)−1型結晶の製造〕 実施例4において製造した(1−a)−4型結晶10.0g
を、メタノール 100ml中、室温で2時間攪拌した後、濾
過して結晶を集め、40℃で12時間乾燥させ、(1−a)
−1型結晶8.5gを得た。融点 127〜 132℃。
【0087】実施例27〔(1−a)−5型結晶から
(1−a)−1型結晶の製造〕 実施例26において、(1−a)−4型結晶の代わりに
(1−a)−5型結晶を用いた以外は、実施例26に記
載の方法と同様な方法により、(1−a)−1型結晶を
得た。融点 127〜 132℃
【0088】実施例28〔(1−a)−1型結晶から
(1−a)−2型結晶の製造〕 実施例1で製造した(1−a)−1型結晶20g をn−ブ
タノール 100mlに、加熱溶解後、室温まで冷却して析出
した結晶を炉別し、(1−a)−2型結晶18gを得た。
融点 158〜 161℃
【0089】実施例29〔(1−a)−5型結晶から
(1−a)−2型結晶の構造〕 実施例5で製造した(1−a)−5型結晶10g をアセト
ニトリル80mlに加熱溶解後、室温まで冷却して析出した
結晶を炉別し、(1−a)−2型結晶8.5gを得た。融点
158〜 161℃
【0090】実施例30〔(1−b)−3型結晶から、
(1−b)−1型結晶の製造〕 実施例9で製造した(1−b)−3型結晶20g をn−ブ
タノール(50ml)−イソプロパノール(100ml) の混合溶媒
に加熱溶解後、室温まで冷却して析出した結晶を濾別
し、(1−b)−1型結晶17g を得た。融点 143〜 146
【0091】実施例31〔(1−c)−2型結晶から、
(1−c)−1型結晶の製造〕 実施例17で製造した(1−c)−2型結晶20g をアセ
トン 200mlに加熱溶解後、室温まで冷却して析出した結
晶を炉別し(1−c)−1型結晶16.5g を得た。融点 1
67〜 169℃
【0092】実施例32〔(1−d)−4型結晶から、
(1−d)−1型結晶の製造〕 実施例23で製造した(1−d)−4型結晶10g をn−
ブタノール 120mlに、加熱溶解後、室温まで冷却して析
出した結晶を濾別し、(1−b)−1型結晶8.8gを得
た。融点 172〜 173℃
【0093】比較例1〔特開昭60-47068号公報に記載の
方法による式(1−b)で表されるフルオラン化合物の
製造〕 2-(4'-N-sec-ブチル-N- メチルアミノ-2'-ヒドロキシベ
ンゾイル)安息香酸〔式(2−b)の化合物〕16.4g
を、96% 濃硫酸150gに溶解後、次いで10〜15℃で4-メト
キシ-2- メチルジフェニルアミン10.7g を加え溶解し同
温度で24時間攪拌した。氷水800gに注入した後析出物を
炉別、水洗し、得られた固体を20%NaOH水溶液150ml
に入れアルカリ性とした後、60〜70℃で2時間乾燥し
た。固形分を濾過して、水洗、乾燥した後、エチレング
リコールおよび含水メタノールより再結晶する操作を行
い、式(1−b)で表される3-N-sec-ブチル-N- メチル
アミノ-6- メチル-7- アニリノフルオラン12.0g をほと
んど無色の粉末として得た。融点 114〜 117℃、得られ
た式(1−b)のフルオラン化合物は粉末X線回折の測
定によって無定型(アモルファス)であることがわかっ
た。Cu−Kα線による粉末X線回折図を図26に示
す。
【0094】比較例2〔特開昭60-47068号公報に記載の
方法による式(1−a)で表されるフルオラン化合物の
製造〕 比較例1において、2-(4'-N-sec-ブチル-N- メチルアミ
ノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸の代わりに2-
(4'-N-イソプロピル-N- メチルアミノ-2'-ヒドロキシベ
ンゾイル)安息香酸〔式(2−a)の化合物〕を用いた
以外は、比較例1の方法と同様にして、式(1−a)で
表される3-N-イソプロピル-N- メチルアミノ-6- メチル
-7- アニリノフルオランを得た。融点 113〜 116℃、得
られた式(1−a)のフルオラン化合物は粉末X線回折
の測定によって、無定型(アモルファス)であることが
わかった。Cu−Kα線による粉末X線回折図を図27
に示す。
【0095】比較例3〔特開昭60-47068号公報に記載の
方法による式(1−c)で表されるフルオラン化合物の
製造〕 比較例1において、2-(4'-N-sec-ブチル-N- メチルアミ
ノ-2'-ヒドロキシベンゾイル) 安息香酸の代わりに2-
(4'-N-エチル-N- メチルアミノ-2'-ヒドロキシベンゾイ
ル)安息香酸〔式(2−c)の化合物〕を用いた以外
は、比較例1の方法と同様にして、式(1−c)で表さ
れる3-N-エチル-N- メチルアミノ-6- メチル-7- アニリ
ノフルオランを得た。融点114 〜 117℃、得られた式
(1−c)のフルオラン化合物は粉末X線回折の測定に
よって、無定型(アモルファス)であることがわかっ
た。Cu−Kα線による粉末X線回折図を図28に示
す。
【0096】比較例4〔特開昭60-47068号公報に記載の
方法による式(1−d)で表されるフルオラン化合物の
製造〕 比較例1において、2-(4'-N-sec-ブチル-N- メチルアミ
ノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸の代わりに2-
(4'-N-イソブチル-N- イソプロピルアミノ-2'-ヒドロキ
シベンゾイル)安息香酸〔式(2−d)の化合物〕を用
いた以外は、比較例1の方法と同様にして、式(1−
d)で表される3-N-イソブチル-N- イソプロピルアミノ
-6- メチル-7- アニリノフルオランを得た。融点 115〜
119℃、得られた式(1−d)のフルオラン化合物は粉
末X線回折の測定によって、無定型(アモルファス)で
あることがわかった。Cu−Kα線による粉末X線回折
図を図29に示す。
【0097】実施例33〔比較例1で製造した式(1−
b)のフルオラン化合物の無定型(アモルファス)か
ら、(1−b)−1型結晶の製造〕 比較例1で製造した式(1−b)のフルオラン化合物の
無定型(アモルファス)10g をn−ブタノール 100mlに
100℃で加熱溶解した後、室温で12時間静置した。析出
した結晶を濾過して集めた後、40℃で24時間乾燥させて
(1−b)−1型結晶7.8gをほとんど無色の結晶として
得た。融点 143〜 146℃。
【0098】実施例34〔比較例2で製造した式(1−
a)のフルオラン化合物の無定型(アモルファス)か
ら、(1−a)−2型結晶の製造〕 比較例2で製造した式(1−a)のフルオラン化合物の
無定型(アモルファス)10g をイソプロパノール70mlに
80℃で加熱溶解した後、室温で12時間静置した。析出し
た結晶を濾過して集めた後、40℃で24時間乾燥させて
(1−a)−2型結晶8.0gをほとんど無色の結晶として
得た。融点 158〜 161℃。
【0099】実施例35〔比較例3で製造した式(1−
c)のフルオラン化合物の無定型(アモルファス)か
ら、(1−c)−3型結晶の製造〕 比較例3で製造した式(1−c)のフルオラン化合物の
無定型(アモルファス)10g をトルエン20mlに 100℃で
加熱溶解した後、室温で24時間静置した。析出した結晶
を濾過して集めた後、40℃で24時間乾燥させて(1−
c)−3型結晶9.0gをほとんど無色の結晶として得た。
融点 124〜 126℃。
【0100】実施例36〔比較例4で製造した式(1−
d)のフルオラン化合物の無定型(アモルファス)か
ら、(1−d)−2型結晶の製造〕 比較例4で製造した式(1−d)のフルオラン化合物の
無定型(アモルファス)10g をベンゼン20mlに 100℃で
加熱溶解した後、室温で24時間静置した。析出した結晶
を濾過して集めた後、40℃で24時間乾燥させて(1−
d)−2型結晶9.0gをほとんど無色の結晶として得た。
融点 148〜 151℃。
【0101】実施例37〔(1−b)−1型結晶を用い
た感熱記録紙の作成〕 (1−b)−1型結晶10g 、 10 %ポリビニールアルコ
ール水溶液5g及び水37.5g の混合物をサンドミルで粒径
3μに微粒化した。一方、ビスフェノールAを同様に分
散し、38%の顕色剤分散液を得た。この顕色剤分散液6
5.8g、上記の(1−b)−1型結晶の水分散液50g 、6
0%軽質炭酸カルシウム水分散液18.3g 、10%ポリビニ
ールアルコール水溶液88g 及び水51.9g を混合した。こ
の混合液を白色原紙にワイヤーロッドNo.10 を用い、塗
布後、室温で風乾し、感熱記録紙を得た。この感熱記録
紙は加熱により、極めて迅速に、わずかに赤味を帯びた
黒色に発色した。またこの感熱記録紙の未発色部の紙の
地肌の白色度は式(1−b)のフルオラン化合物の無定
型を用いて作成した感熱記録紙と比較して良好であっ
た。
【0102】実施例38〜61 実施例37において(1−b)−1型結晶の代わりに
(1−a)−1型結晶、(1−a)−2型結晶、(1−
a)−3型結晶、(1−a)−4型結晶、(1−a)−
5型結晶、(1−a)−6型結晶、(1−b)−2型結
晶、(1−b)−3型結晶、(1−b)−4型結晶、
(1−b)−5型結晶、(1−b)−6型結晶、(1−
b)−7型結晶、(1−b)−8型結晶、(1−b)−
9型結晶、(1−c)−1型結晶、(1−c)−2型結
晶、(1−c)−3型結晶、(1−c)−4型結晶、
(1−d)−1型結晶、(1−d)−2型結晶、(1−
d)−3型結晶、(1−d)−4型結晶、(1−d)−
5型結晶、(1−d)−6型結晶を、それぞれ用いた他
は実施例37に記載した方法と同様な方法により、それ
ぞれ感熱記録紙を作成した。それぞれの感熱記録紙は、
加熱により、極めて迅速にわずかに赤味を帯びた黒色に
発色した。
【0103】比較例5〜8 実施例37において(1−b)−1結晶の代わりに、比
較例1〜4で製造した、式(1−b)、(1−a)、
(1−c)および(1−d)で表されるフルオラン化合
物の無定型(アモルファス)のものをそれぞれ用いた以
外は実施例37に記載した方法と同様な方法に従い、感
熱記録紙を作成した。これらの感熱記録紙は、未発色部
の紙の地肌が黒灰色に著しく着色(地汚れ)した。(表
4)更にこれらの感熱記録紙は、日光に暴露することに
より未発色部の紙の地肌が著しく変色した。
【0104】実施例62〔(1−a)−1型結晶を用い
た感圧記録紙の作成〕 上用(CB)紙、及び下用(CF)の紙の作成は以下の
ように製造した。すなわち、エチレン−無水マイレン酸
共重合物の10%水溶液100gおよび水240gを混合し、10%
水酸化ナトリウム水溶液でpH4.0 とし、実施例1で製造
した(1−a)−1型結晶を、5重量%溶解したフェニ
ルキシリルエタン(日本石油化学製SAS-296 )200g を混
合し、ホモミキサーで乳化した後、固形分50%のメチロ
ールメラミン水溶液(三井東圧化学製ユーラミンT-30)
60g を加え、掻き混ぜつつ55℃に3時間保持し、平均粒
径5.0 μのマイクロカプセル分散液を得た。このマイク
ロカプセル分散液100gに、小麦粉澱粉粒4.0gと20%酸化
澱粉糊20g及び水116gを加えて分散し、秤量40g/m2の紙
に塗布量が固形分で5g/m2 となるように塗布し、CB紙
を得た。一方、CF紙は、顕色剤として置換サリチル酸
とスチレンとの共重合樹脂の亜鉛塩を用い、少量の高分
子アニオン系界面活性剤の存在下、水中で、サンドグラ
イティングミルで微細化し、固形分40重量%の水分散液
を得た。この水分散液を用い、下記組成の水性塗料(固
形分30%)を作り、秤量40g/m2の上質紙に乾燥塗布量5.
5g/m2 となるように塗布し、CF紙を作成した。 CB紙のマイクロカプセル塗布面と、CF紙の顕色剤
塗布面が、相対向するように重ね合わせ、筆記、加圧し
たところ、顕色剤塗布面に赤黒の発色像が得られた。こ
の発色像の耐光性、耐湿性、および耐NOX 性実用上、
問題なかった。
【0105】実施例63〜86 実施例62において(1−a)−1型結晶の代わりに
(1−a)−2型結晶、(1−a)−3型結晶、(1−
a)−4型結晶、(1−a)−5型結晶、(1−a)−
6型結晶、(1−b)−1型結晶、(1−b)−2型結
晶、(1−b)−3型結晶、(1−b)−4型結晶、
(1−b)−5型結晶、(1−b)−6型結晶、(1−
b)−7型結晶、(1−b)−8型結晶、(1−b)−
9型結晶、(1−c)−1型結晶、(1−c)−2型結
晶、(1−c)−3型結晶、(1−c)−4型結晶、
(1−d)−1型結晶、(1−d)−2型結晶、(1−
d)−3型結晶、(1−d)−4型結晶、(1−d)−
5型結晶、および(1−d)−6型結晶を、それぞれ用
いた以外は実施例62に記載した方法と同様な方法によ
りそれぞれCB紙とCF紙を作成し、同様にして発色像
を得た。それぞれの発色像の耐光性、耐湿性および耐N
X 性は実用上、問題なかった。
【0106】
【発明の効果】本発明のフルオラン化合物の結晶および
結晶性溶媒和物は、従来知られているフルオラン化合物
と比較して、感圧記録材料用の発色性化合物としてマイ
クロカプセルオイルに対する溶解度が非常に良好であ
り、また感熱記録材料用の発色性化合物として低温での
発色性能(発色感度)が優れている。更に、本発明のフ
ルオラン化合物の結晶および結晶性溶媒和物は、従来知
られているフルオラン化合物の無定型のものに比べて、
嵩密度が高く取扱い上の作業性が良好であり、また記録
材料、特に感熱記録材料用の発色性化合物として使用す
る場合、未発色部(地肌)の白色度が良好であり、産業
利用上有益な発色性化合物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1−a)−1型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図2】(1−a)−2型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図3】(1−a)−3型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図4】(1−a)−4型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図5】(1−a)−5型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図6】(1−a)−6型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図7】(1−b)−1型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図8】(1−b)−2型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図9】(1−b)−3型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図10】(1−b)−4型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図11】(1−b)−5型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図12】(1−b)−6型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図13】(1−b)−7型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図14】(1−b)−8型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図15】(1−b)−9型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図16】(1−c)−1型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図17】(1−c)−2型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図18】(1−c)−3型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図19】(1−c)−4型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図20】(1−d)−1型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図21】(1−d)−2型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図22】(1−d)−3型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図23】(1−d)−4型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図24】(1−d)−5型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図25】(1−d)−6型結晶の粉末X線回折図であ
る。
【図26】比較例1で製造した式(1−b)のフルオラ
ン化合物の粉末X線回折図である。
【図27】比較例2で製造した式(1−a)のフルオラ
ン化合物の粉末X線回折図である。
【図28】比較例3で製造した式(1−c)のフルオラ
ン化合物の粉末X線回折図である。
【図29】比較例4で製造した式(1−d)のフルオラ
ン化合物の粉末X線回折図である。各図面において、横
軸は回折角(2θ)を示し、縦軸は回折強度を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 和良 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−47068(JP,A) 特開 昭60−141762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 11/28 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I−b) 【化1】 で表され、Cu−Kα線によるX線回折法において回折
    角(2θ)7.1°、18.5°、20.0°、20.
    5°および21.4°に強いピークを示すX線回折図で
    特徴づけられるフルオラン化合物の結晶。
  2. 【請求項2】 式(I−b) 【化2】 で表されるフルオラン化合物と、ベンゼン、トルエン、
    o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベ
    ンゼン、アニソールまたはクロルベンゼンとから構成さ
    れるフルオラン化合物の結晶性溶媒和物。
  3. 【請求項3】 式(I−b) 【化3】 で表されるフルオラン化合物、または無定型の該フルオ
    ラン化合物を含水率が5 0重量%以下のアルコール系溶
    媒、ケトン系溶媒またはジメチルホルムアミドから結晶
    として析出させ単離することを特徴とする、Cu−Kα
    線によるX線回折法において回折角(2θ)7.1°、
    18.5°、20.0°、20.5°および21.4°
    に強いピークを示すX線回折図により特徴づけられるフ
    ルオラン化合物の結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 式(I−b) 【化4】 で表されるフルオラン化合物の結晶、または無定型の該
    フルオラン化合物をベンゼン、トルエン、o−キシレ
    ン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、アニ
    ソールまたはクロルベンゼンに溶解した後、析出させ単
    離することを特徴とするフルオラン化合物の結晶性溶媒
    和物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のフルオラン化合物の結晶
    を含有する記録材料。
  6. 【請求項6】 請求項2記載のフルオラン化合物の結晶
    性溶媒和物を含有する記録材料。
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