JP3098640B2 - ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法 - Google Patents

ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法

Info

Publication number
JP3098640B2
JP3098640B2 JP04361873A JP36187392A JP3098640B2 JP 3098640 B2 JP3098640 B2 JP 3098640B2 JP 04361873 A JP04361873 A JP 04361873A JP 36187392 A JP36187392 A JP 36187392A JP 3098640 B2 JP3098640 B2 JP 3098640B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
human
mmp
antibody
pro
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP04361873A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06213888A (ja
Inventor
保典 岡田
昇 藤本
信子 毛利
栄子 大内
智恵 酒井
秀明 東海
太郎 早川
和士 岩田
Original Assignee
富士薬品工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 富士薬品工業株式会社 filed Critical 富士薬品工業株式会社
Priority to JP04361873A priority Critical patent/JP3098640B2/ja
Publication of JPH06213888A publication Critical patent/JPH06213888A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3098640B2 publication Critical patent/JP3098640B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、医学的生理学的分野に用いられ
るヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼ
(ヒトプロMMP−2)の免疫学的定量法に関する。さ
らに詳しく言えば、本発明はヒト72−kDaゼラチナ
ーゼ/IV型コラゲナーゼ(以下ヒトプロMMP−2と
記す)の特定のアミノ酸配列に対し、あるいは精製ヒト
プロMMP−2に対し特異的に結合するモノクローナル
抗体を用いてヒトプロMMP−2を免疫学的に定量する
方法に関する。
【0002】
【背景技術】細胞外マトリックスは、コラーゲン、プロ
テオグリカン、エラスチン、フィブロネクチンおよびラ
ミニンなとの接着性糖蛋白質から構成されている(下岡
ら,臨床検査,34,1719−1724)。これらマ
トリックス成分の分解には、マトリックスメタロプロテ
アーゼ類(MMPs)が重要な役割を果たしている。そ
の中でプロMMP−2と称される72−kDa(キロダ
ルトン)ゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼは、ヒトリ
ウマチ滑膜細胞(Okadaら,Eur.J.Bioc
hem.,194:721−730,1990)や中島
ら(実験医学,7,32−40(542−550),1
989)によって報告されているように、ヒトA205
8メラノーマ細胞、ラット乳癌細胞、ヒト大腸癌細胞、
H−rasでトランスフォームされたヒト気管支上皮細
胞などにより産生され、酵素的限定分解または、4−ア
ミノフェニル酢酸水銀(APMA)なとのチオール基反
応性有機水銀化合物により活性化され、ゼラチン、IV
型コラーゲンおよびV型コラーゲン、更にプロテオグリ
カンコアたん白質やフィブロネクチン、不溶性エラスチ
ンを分解する活性を有していることが認められている
(Okadaら,Eur.J.Biochem.,19
4:721−730,1990)。
【0003】このように、ヒトプロMMP−2は、ゼラ
チンやIV型コラーゲンを分解する酵素(IV型コラゲ
ナーゼ)として知られているが、Wacherら(J.
Immunol.Meth., 126:239−24
5,1990)は、ヒトMMP−2のN末端の合成ペプ
チドに対するウサギポリクローナル抗体を用いて、サブ
ストレイトキャプチャーイムノアッセイ法により、ヒト
MMP−2を定量している。この方法では、IV型コラ
ゲナーゼの基質(ゼラチン)を固相に吸着させ、検体中
の抗原と反応させ、さらにその抗原に2種類のポリクロ
ーナル抗体を用いて反応を行わせる方法が用いられてい
る。またZuckerら(J.Immunol.Met
h.,148:189−198,1992)は、ヒトM
MP−2に対するウサギポリクローナル抗体と、ヒトM
MP−2に対するマウスモノクローナル抗体を用いて、
サンドイッチタイプEIA法によりヒトMMP−2量を
定量している。この方法では、ウサギポリクローナル抗
体を固相抗体とし、その抗体に検体を加え、検体中の抗
原と反応させ、次にマウスモノクローナル抗体を加えた
後、ビオチン化やぎ抗マウスイムノグロブリンと、アル
カリホスファターゼ標識ストレプトアビジンを用いて反
応を完了させている。しかしながら、これら、従来報告
されている方法ではポリクローナル抗体を使用している
ため精度の点で極めて劣り、反応時間が長く(例えば7
時間あるいは5時間を要する)、また、いずれも2種類
のポリクローナル抗体を使うため定量操作は繁雑とな
り、得られる感度も低い。
【0004】本発明者らは、先にヒトMMP−2ポリペ
プチドに対するモノクローナル抗体を提供することに成
功した(特開平4−183397)。しかしながら、得
られたこのモノクローナル抗体は、免疫原がペプチドで
あるがために、MMP−2に対する親和性が低く、MM
P−2以外のMMPsと交差反応を示すものが多く、ま
た、これらモノクローナル抗体を使用して行ったサンド
イッチアッセイ系の定量法は、いずれも測定感度の低い
ものであった。
【0005】本発明の目的は、ヒトプロMMP−2に対
し、特異的に結合する2種類のモノクローナル抗体を用
いて、被検試料中のヒトプロMMP−2を感度ならびに
精度において優れ、また迅速に定量し得る方法を提供す
ることにある。更に、上記定量法を用い、関節症、甲状
腺機能亢進症、各種癌および転移性癌等の疾患を診断し
得る診断剤を提供することにある。
【0006】
【発明の開示】本発明は、ヒト72−kDaゼラチナー
ゼ/IV型コラゲナーゼに対し、特異的に結合する2種
類のモノクローナル抗体において、固相担体に結合させ
る抗体、あるいは標識物を付与する抗体として、いずれ
か一方にヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲ
ナーゼのN末領域を認識する抗体を用いて、サンドイッ
チ法により、免疫学的にヒトプロMMP−2の測定を行
なうことを特徴とするヒトプロMMP−2の定量法を提
供するものである。
【0007】本発明の方法は、固相担体に結合させる抗
体あるいは標識物を付与する抗体として、それぞれ、ヒ
トMMP−2の異なる抗原決定基に対し特異的に結合す
るモノクローナル抗体を、使用することを特徴とするも
のである。
【0008】本発明の定量方法においては、免疫学的測
定法が用いられるが、その際の固相担体としては、抗体
等タンパク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカー
ボネイト製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製の
ボール、マイクロプレート、スティック、微粒子あるい
は試験管等の種々の材料および形態を任意に選択し、使
用することができる。一方、標識物を付与する抗体とし
ては、抗体含有物を硫安分画した後、DEAE−Sep
hacelの如き、陰イオン交換ゲルおよびIgG画
分、さらにはペプシン消化後還元して得られる特異的結
合部Fab′を用いることができる。これらの場合の標
識物の例としては、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼあるいはβ−D−ガラクトシダーゼ
等)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元素等が
ある。以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明す
る。
【0009】実施例1 抗原の調製 1) ヒトMMP−2ポリペプチドの調製 ヒトMMP−2ポリペプチドは、J.Biol.Che
m.,263,6579−6587,1988に記載の
Wilhelmらのアミノ酸配列を用いた。表1に示し
たヒトMMP−2ポリペプチド(P−1〜P−5)を各
々ペプチドシンセサイザー9600(ミリジエン/バイ
オサーチ)で合成した。なお、各ペプチドC末端にシス
テインを導入した。合成ペプチドの純度が約70%以下
のものは、μBondasphere(5μ、C18−
100Å,ウォーターズ)カラムを用いて高速液体クロ
マトグラフィーにより精製した。
【0010】2) 免疫原の調製 2mg牛血清アルブミン(BSA)を1mlの0.1M
リン酸緩衝液(pH7.0)に溶解したものと1.85
mgN−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸
イミドを200μlのジメチルホルムアミドに溶解した
ものとを混合し、30℃、30分間インキュベーション
した。次に上記の混合液を0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.0)で平衡化したPD−10カラム(セファデック
スG−25M、ファルマシア)に供し、マレイミドが結
合されたBSAを分取し、1.5ml以下に濃縮した。
マレイミドが結合されたBSAに対し50倍モル量の前
記(a)で合成した各ヒトMMP−2ポリペプチドを1
mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した
ものと混合した。4℃、20時間インキュベーション
し、MMP−2ポリペプチド−BSA複合体を調製し
た。
【0011】3) ヒト皮膚線維芽細胞由来プロMMP
−2の調製 (a) 細胞培養 MEM Eagle培地:Minimum Essen
tial Medium Eagle(modifie
d)with Earle’s salts(Flow
Lab.)に重炭酸ナトリウム(24mM)を加え、
1N水酸化ナトリウムあるいは1N塩酸でpHを7.2
にし、0.2μm東洋メンブレンフィルターで除菌濾過
した。使用時に、さらに、非必須アミノ酸を添加し、M
EM Eagle培地とした。
【0012】ヒト皮膚線維芽細胞CCD−41SK(ア
メリカンタイプカルチャーコレクション)を、10%仔
牛胎児血清(FCS)含有MEM Eagle培地で3
7℃、5%炭酸ガス存在下、3〜4日間培養した。培養
上清を捨て、0.1M塩化ナトリウム含有10mMリン
酸緩衝液(pH.4)(PBS)を適量加え緩やかに振
とう洗浄した。次に、0.125%トリプシンおよび
0.01%エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDT
A)を含むPBSを加え、軽くゆすって細胞を培養フラ
スコから剥した後、10%FCS含有MEM Eagl
e培地を適量加えた。遠心後、上清を捨て、10%FC
S含有MEM Eagle培地を適量加え、細胞を懸濁
した。次に、新しい培養フラスコに約2×10個/m
lの細胞を添加し、37℃、5%炭酸ガス存在下、3〜
4日間培養した。
【0013】(b) 細胞刺激 (a)で得られた培養細胞にインターロイキン1α(I
L−1α)を作用させることにより細胞刺激を行う。前
項(a)で培養した培養液をデカントし、次に約100
mlのMEM Eagle培地を加え、ラクトアルブミ
ン水解物(GIBCO)およびIL−1α(Genzy
me)を、各々終濃度0.2%および10U/mlにな
るように加えた。37℃、5%炭酸ガス存在下、7〜1
0日間静置したのち、その培養上清を回収し、ヒトプロ
MMP−2調製用材料とした。
【0014】(c) ヒトプロMMP−2の精製 前項(b)で調製した培養上清に、終濃度80%飽和に
なるように硫酸アンモニウムを加え、撹拌、遠心し、そ
の沈殿に適量の0.5M塩化ナトリウム、10mM塩化
カルシウム、0.05%ポリオキシエチレンラウリルア
ルコールエーテル(ブリッジ−35)含有50mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH7.0,Tris−Ca Buf
fer)を添加、溶解し、Tris−Ca Buffe
rに対し透析した。透析後の溶液を、Gelatin−
agarose(Sigma)に供し、その吸着たん白
質を5%ジメチルスルホキシド(DMSO)含有Tri
s−Ca Bufferで溶出した。溶出画分はTri
s−Ca Bufferに対し透析した。次に、混在す
るTIMP−2を除去するため、抗ヒトTIMP−2モ
ノクローナル抗体(クローンNo.68−6H4,微工
研寄託番号FERMP−12691)結合Sephar
ose 4Bカラムに供し、その素通り画分を採取し
た。ここで用いた抗TIMP−2モノクローナル抗体
は、ヒトTIMP−2ポリペプチド(DSGNDIYG
NPIKRIQ)に対する抗体で、免疫原のキャリヤー
たん白質としてキーホールリンペットヘモシアニン(K
LH)を用いた以外は、後述する抗ヒトMMP−2ポリ
ペプチドモノクローナル抗体の調製法に従って調製し
た。得られたモノクローナル抗体のうち、クローンN
o.68−6H4からの抗体を抗体結合Sepharo
se 4Bカラムに使用した。
【0015】更に、フィブロネクチンを除去するため、
抗フィブロネクチン抗体(CappeI Lab.)結
合Sepharose 4Bカラムに供し、その素通り
画分を採取した。この画分にはプロMMP−2が含まれ
ており、ドデシル硫酸ナトリウム含有ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動(SDS−PAGE)上、ほぼ単一に精
製されていることが認められた。一方、抗ヒトTIMP
−2抗体(クローンNo.68−6H4)結合Seph
arose 4Bカラムの0.15M塩化ナトリウムお
よび10mM塩化カルシウム含有0.2Mグリシン−塩
酸緩衝液(pH2.5)による溶出画分には、SDS−
PAGE上、プロMMP−2とTIMP−2が存在して
おり、プロMMP−2とTIMP−2の複合体が含まれ
ていたと考察される。モノクローナル抗体作製用ヒトプ
ロMMP−2は、gelatin−agaroseの溶
出画分を使用し、後述の実施例6(b)項記載の1ステ
ップサンドイッチ酵素免疫学的定量(EIA)には、抗
ヒトTIMP−2モノクローナル抗体結合Sephar
ose 4Bカラムおよび抗フィブロネクチン抗体結合
Sepharose 4Bカラムの素通り画分のプロM
MP−2を標準抗原として使用した。
【0016】実施例2 抗ヒトMMP−2ポリペプチド
モノクローナル抗体の作製 (a) 免疫方法および脾臓細胞の調製法 実施例1,2)に記載の方法により調製したポリペプチ
ド−BSA複合体250μgを、完全フロイントアジュ
バンドと共に、8週令Ba1b/c雌マウスの腹腔内に
投与し、初回免疫とした。15日後に、0.1Mリン酸
緩衝液(pH6.0)に溶解したポリペプチド−BSA
複合体200μg、初回免疫したマウスに腹腔内投与
し、追加免疫した。更に38日後に追加免疫時と同様に
ポリペプチド−BSA複合体70μgを静脈内および1
30μgを腹腔内投与し、最終免疫とした。その3日後
に、脾臓を摘出し、脾臓胞懸濁液を調製した。
【0017】(b) 細胞融合 (1) 材料 RPMI 1640培地:RPMI 1640(Flo
w Lab.)に重炭酸ナトリウム(24mM)、ピル
ビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリンGカリウム
(50U/ml)、硫酸ストレプトマイシン(50μg
/ml)および硫酸アカシン(10μg/ml)を加
え、ドライアイスでpHを7.2にし、0.2μm東洋
メンブレンイルターで除菌濾過した。 NS−1培地:上記RPMI 1640培地に除菌濾過
したFCSを15%v/v)の濃度になるように加え
た。
【0018】PEG 4,000溶液:RPMI 16
40培地にポリエチレングリコール4,000(PEG
4,000、Merck&Co.)を50%(w/
w)になるように加え、無血清溶液を調製した。
【0019】8−アザグアニン耐性ミエローマ細胞SP
2(SP2/0−Ag14)との融合は、Select
ed Method in Cellular Imm
unology(eds.B.B.Mishell a
nd S.M.Shiigi)、W.H. Freem
an and Company(1980)、351−
372に記載の0iらの方法を若干改変して行った。
【0020】(2) 細胞融合法 前記(a)で調製した有核脾臓細胞(生細胞率100
%)とミエローマ細胞(生細胞率100%)とを5:1
の割合で融合した。脾臓細胞とミエローマ細胞とを別に
前記のRPMI 1640培地で洗浄し、次に同じ培地
に懸濁し、融合させるため上記の割合で混合した。容量
250mlのポリプロピレン製遠沈管(岩城硝子)を用
い、40mlのRPMI 1640培地中400×g、
10分間遠心分離し、上清を完全に吸出した。沈殿細胞
に37℃加温PEG 4,000溶液6.0mlを穏や
かに撹拌しながら1分間で滴下し、さらに1分間撹拌し
細胞を再懸濁、分散させた。次に37℃加温RPMI
1640培地6.0mlを1分間で滴下した。この操作
をさらに1回繰り返した後、同培地42.0mlを2〜
3分間で常に撹拌しながら滴下し細胞を分散させた。こ
れを400×g、10分間遠心分離し、上清を完全に吸
引除去した。次にこの沈殿細胞に37℃加温NS−1培
地60mlを速やかに加え、細胞の大きい塊を10ml
のピペットを用いて注意深くピペッティングして分散し
た。さらに同培地120mlを加えて希釈し、ポリスチ
レン製96穴マイクロウエル(岩城硝子)にウエル当り
6.0×10個/0.1mlNC細胞を加えた。細胞
を加えた上記のマイクロウエルを7%炭酸ガス/93%
空気中で温度37℃、湿度100%下に培養に付した。
【0021】(c) 選択培地によるハイブリドーマの
選択的増殖 (1) 使用培地 HAT培地:前記(b)で述べたNS−1培地にさらに
ヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン(0.
4μM)およびチミジン(16μM)を加えた。 HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT
培地と同一組成のものである。
【0022】(2) ハイブリドーマの選択 前記(b)の培養開始後翌日(1日目)、細胞にパスツ
ールピペットでHAT培地2滴(約0.1ml)を加え
た。2、3、5、8、11日目に培地の半分(0.1m
I)を新しいHAT培地で置き換え、14日目に培地の
半分を新しいHT培地で置き換えた。以降3〜4日毎に
培地の半分を新しいHT培地で置き換えた。通常約2週
間で充分なハイブリドーマの生育が観察される。ハイブ
リドーマ生育全ウエルについて次項(d)記載の固相−
抗体結合テスト法(ELISA)により陽性ウエルをチ
ェックした。次にフィーダーとして10個のマウス胸
腺細胞を含むHT培地1mlをポリスチレン製24穴セ
ルウエル(岩城硝子)に加えたものを用い、上記で検出
された各陽性ハイブリドーマの全内容物を移した。これ
を前記(b)におけると同様に7%炭酸ガス存在下、3
7℃で約1週間培養に付した。その間1〜2回各ウエル
の上清0.5mlを新しいHT培地0.5mlと交換し
た。ハイブリドーマの充分生育した時点でELISA法
により陽性を再確認し、それぞれについて次項(e)記
載の限界希釈法によるクローニングを行った。なお、ク
ローニングに使用後の残液をポリスチレン製25cm
組織培養フラスコ(岩城硝子)に移し、凍結保存用試料
を調製した。
【0023】(d) ELISA法による抗ヒトMMP
−2ポリペプチド抗体産生ハイブリドーマの検索 Anal.Biochem.104,205〜214
(1980)に記載のRennardらの方法を若干改
変した方法を用いた。この方法は、ハイブリドーマ抗体
の検出に適している。96穴ミクロタイトレーションプ
レート(FlowLab.)を100ngの各ヒトMM
P−2ポリペプチドでコートし、次に、未コート部分を
1%BSAでブロックした。これに前記(c)で得られ
たハイブリドーマ生育ウエルの上清の一部を加えて室温
で約1時間インキュベートした。2次抗体として西洋わ
さびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン
(Cappel Lab.)を加え、さらに室温で約1
時間インキュベートした。次に基質である過酸化水素と
o−フェニレンジアミンを加え生成した褐色の程度をマ
イクロプレートリーダー(MPR−A4、東洋ソーダ)
を用いて492nmの吸光度を測定し判定した。
【0024】(e) クローニング 前記(c)の操作後、各ウエル中には、2種以上のハイ
ブリドーマが生育している可能性があるので、限界希釈
法によりクローニングを行い、モノクローナル抗体産生
ハイブリドーマを取得する。NS−1培地1ml当りフ
ィーダーとして10個のマウス胸腺細胞を含むクロー
ニング培地を調製し、96穴マイクロウエルの36ウエ
ル、36ウエルおよび24ウエル当り5個、1個および
0.5個のハイブリドーマを加えた。5日目、12日目
に全ウエルに各約0.1mlのNS−1培地を追加し
た。クローニング開始後14〜15日で充分なハイブリ
ドーマの生育が認められ、コロニー形成陰性ウエルが5
0%以上である群についてELISA法を行った。テス
トした全ウエルが陽性でない場合、抗体陽性ウエル中の
コロニー数を確認し、ウエル中に1コロニーが確認され
たウエルを4〜6個選び再クローニングする。最終的に
表2に示したようにヒトMMP−2ポリペプチドに対す
るモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得た。
【0025】(f) モノクローナル抗体の生体外増殖
および生体内増殖 モノクローナル抗体の増殖は常法による。すなわち、得
られた各ハイブリドーマをNS−1培地などの適当な培
養液で培養(生体外増殖)し、その培養上清から10〜
100μg/mlの濃度のモノクローナル抗体を得るこ
とができた。一方、大量に抗体を得るためには脾細胞と
ミエローマ細胞の由来動物と同系の動物(Balb/c
マウス)にマウス1匹当り0.5mlの腫瘍形成促進剤
プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタ
デカン、Aldrich Chem.)を腹腔内投与し
た。1〜3週間後に、各ハイブリドーマ1×10個を
同じく腹腔内投与し、さらにその1〜2週間後に生体内
で産生された4〜7mg/mlのモノクローナル抗体を
含む腹水を得ることができた。
【0026】(g) モノクローナル抗体の重鎖および
軽鎖 前述したELISA法に従って、ヒトMMP−2ポリペ
プチドをコートしたミクロタイトレーションプレート
に、前記(e)で得られた各モノクローンの培養上清を
加えた。次にPBSにより洗浄した後、アイソタイプ特
異的ウサギ抗マウスIg抗体(Zymed Lab.)
を加えた。PBSによる洗浄後、西洋わさびペルオキシ
ダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体を加え、
基質として過酸化水素および2,2′−アジノ−ジ(3
−エチルベンゾチアゾリン硫酸)を用いてそれぞれの重
鎖および軽鎖を判定した。その結果をまとめて表2に示
す。
【0027】(h) モノクローナル抗体の精製 前記(f)で得られた各腹水を40%飽和硫酸アンモニ
ウムで分画した後、IgG1クラスの抗体について0.
5M塩化ナトリウム含有1.5Mグリシン−NaOH緩
衝液(pH8.9)で平衡化したプロテインAアフィゲ
ル(Bio−Rad)カラムに吸着させ、上記洗浄液で
洗浄後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.0)で溶出
することにより精製した。
【0028】実施例3 抗ヒトプロMMP−2モノクロ
ーナル抗体の作製 (a) 免疫方法および脾臓細胞の調製法 実施例1,3)に記載の方法により精製したCCD−4
1SK細胞由来ヒトプロMMP−2,31μgを用いて
実施例2,(a)の方法に従い調製した。なお、この方
法においては、初回免疫後、15日後に0.15M塩化
ナトリウム含有20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に
溶解したヒトプロMMP−2,35μgを腹腔内投与
し、追加免疫した。また、最終免疫として、ヒトプロM
MP−2,40μgを静脈内投与した。
【0029】(b) 細胞融合 前記(a)で調製した有核脾臓細胞(生細胞率100
%)を用いて、前記実施例2,(b)と同様に行った。
【0030】(c) 選択培地によるハイブリドーマの
選択的増殖 前記(b)の培養開始翌日(1日目)、細胞に対し、前
記実施例2,(c)に記載した方法で行った。
【0031】(d) ELISA法による抗ヒトMMP
−2抗体産生ハイブリドーマの検索 前記実施例2,(d)に記載した方法と同様に行った。
この方法においては、96穴ミクロタイトレーションプ
レートを50ngのヒトプロMMP−2でコートした。
【0032】(e) クローニング 前記実施例2,(e)に記載した方法と同様に行った。
最終的に表3に示したCCD−41SK細胞由来ヒトプ
ロMMP−2に対するモノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマを得た。
【0033】(f) モノクローナル抗体の生体外増殖
および生体内増殖 前記実施例2,(f)に記載した方法と同様に行った。 (g) モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖 前述したELISA法に従って、ヒトプロMMP−2を
コートしたミクロタイトレーションプレートに前記
(e)で得られた各モノクローンの培養上清を加え、前
記実施例2,(g)に記載した方法と同様に行った。結
果は表3に示されている。 (h) モノクローナル抗体の精製 前記実施例2,(h)に記載した方法と同様に行った。
【0034】実施例4 抗ヒトMMP−2ポリペプチド
モノクローナル抗体および抗ヒトプロMMP−2モノク
ローナル抗体の選択 (a) 材料の調製 DMEM培地:Dulbecco’s Modifie
d Eagle Medium“Nissui”(日水
製薬)に重炭酸ナトリウム(31mM)およびL−グル
タミン(5mM)を加え、ドライアイスでpH7.2に
調整し、0.2μm東洋メンブレンで除菌濾過した。
【0035】ヒトMMP−2ポリペプチドに対するモノ
クローナル抗体を選択するため、ヒト慢性関節リウマチ
(RA)滑膜細胞を、15%FCS含有DMEM培地で
5%COインキュベーター中、37℃、6〜7日間培
養し、遠心後の細胞を0.2%ラクトアルブミン水解物
および20units/ml Tumor Necro
sis Factor(TNFα.Genzyme)を
含むDMEM培地で懸濁し、同様に6〜8日間培養し
た。遠心後上清を限外濾過あるいは3%トリクロロ酢酸
(TCA)により濃縮し、イムノブロッティング用試料
とした。
【0036】また、前述の実施例1,3)に記載した方
法により調製したCCD−41SK細胞由来ヒトプロM
MP−2をヒトプロMMP−2に対するモノクローナル
抗体を選択するためのイムノブロッティング用試料とし
た。
【0037】また、他のMMPsあるいは他のたん白質
との交差反応を調べるために、ヒト線維肉腫細胞HT−
1080(アメリカンタイプカルチャーコレクション)
を前記NS−1培地で5%COインキュベーター中、
37℃、2〜3日間培養し、遠心後の細胞を2%ラクト
アルブミン水解物および100units/ml TN
Fαを含むRPMI 1640培地で懸濁し、同様に7
〜10日間培養した。700〜800rpm、3分間の
遠心上清を集め、限外濾過あるいは3%TCAにより濃
縮し、イムノブロッティング用試料とした。
【0038】(b) イムノブロッティング 実施例4,(a)で調製した試料をSDS−PAGEに
供した後、細胞工学1&2,1061−1068(19
83)に記載の田部の方法に従ってウエスタンブロッテ
ィングを行い、各モノクローンの培養上清と反応後、ペ
ルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Ca
ppel Lab.)を用い、間接法によりイムノブロ
ッティングを行った。
【0039】その結果、第2表に掲げた抗ヒトMMP−
2ポリペプチドモノクローナル抗体のうち、34−2H
11,34−27A5,35−3F2,39−1H9,
39−4E4,39−11D11,39−12B7,3
9−18F3,42−2H2,42−5D11,42−
14H5,43−3F9,45−2H8,45−6F1
2,45−14A8,45−15F9および45−17
D8の17個のモノクローナル抗体がヒトRA滑膜細胞
由来プロMMP−2と反応した。また第3表に掲げた抗
ヒトプロMMP−2モノクローナル抗体のうち、75−
7F7のみがCCD−41SK細胞由来ヒトプロMMP
−2と反応した。
【0040】ヒトプロMMP−2の分子量は、TNFα
で刺激されたヒトRA滑膜細胞培養液から調製した試料
を用いたイムノブロッティングの結果から、プロMMP
−2が72kDa、APMAにより活性化された活性型
MMP−2が67kDaであった。
【0041】(c) 特異性 各陽性の前記(b)の免疫染色で陽性となった抗ヒトM
MP−2ポリペプチドモノクローナル抗体および抗ヒト
プロMMP−2モノクローナル抗体が各々他のMMPs
または他のたん白質と交差反応するかどうかをみるため
に、TNFαで刺激したヒトRA滑膜細胞およびHT1
080細胞のそれぞれの培養液から調製した試料を用い
てイムノブロッティングにより各モノクローナル抗体の
特異性を調べた(表4)。
【0042】前記(b)の陽性モノクローナル抗体のう
ち、34−2H11,39−1H9および42−14H
5の各モノクローナル抗体は92kDaゼラチナーゼ
(ヒトプロMMP−9)と交差反応を示し、42−2H
2および42−14H5の各モノクローナル抗体は、ヒ
トプロ間質型コラゲナーゼ(ヒトプロMMP−1)およ
びヒトプロストロムライシン−1(ヒトプロMMP−
3)と交差反応を示した。それ以外のモノクローナル抗
体については、他のヒトプロMMPsまたは細胞培養液
中の他のたん白質と反応せず、ヒトプロMMP−2に対
して特異的に反応することが示された。
【0043】更に、特異的に反応することが確認された
もののうち、IgG1抗体で、ヒトプロMMP−2との
反応性の高いものは、43−3F9,42−5D11お
よび75−7F7の3クローンの抗体であることが認め
られた。
【0044】実施例5 酵素標識抗体(IgG−POD
複合体)の調製 1) SH基標識IgGの調製 J.Immunoassay 4,209〜327,1
983に記載のIshikawaらの方法に従って、マ
ウス抗ヒトプロMMP−2IgG−POD複合体を調製
した。ヒトプロMMP−2に対し、反応性が認められた
モノクローナル抗体(IgG:クローンNos.43−
3F9,微工研寄託番号FERM P−13334,4
2−5D11,微工研寄託番号FERM P−1314
6)を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)に対し透析
し、その溶液に含有するIgGに対して100倍モルの
S−アセチルメルカプト無水コハク酸をジメチルホルム
アミド溶液として加え、30℃、30分間インキュベー
ションした。次に、0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH
7.0)100μl、0.1M EDTA溶液(pH
6.0)10μl、1Mヒドロキシルアミン溶液(pH
7.0)100μlを加え、30℃、5分間静置後、5
mM EDTA含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.
0)で平衡化したSephadex G−25でゲル濾
過し、SH基標識マウス抗ヒトプロMMP−2IgGを
得た。
【0045】2) マレイミド標識ペルオキシダーゼ
(POD)の調製 PODを10mg/mlの濃度になるように0.1Mリ
ン酸緩衝液(pH.7.0)に溶解し、そのPOD量に
対して25倍モル量のN−(ε−マレイミドカプロイル
オキシ)コハク酸イミド(EMCS)をジメチルホルム
アミド溶液として加え、30℃、30分間反応させた。
この反応液を0.1Mリ酸緩衝液(pH.6.0)で平
衡化したSephadex G−25カラムでゲル濾過
し、マレイミド標識POD画分を分取した。
【0046】3) IgG−POD複合体の調整 上記1)で調製したSH基標識IgG 1モル、上記
2)で得られたマイミド標識POD約5モルを加え、4
℃、20時間静置した。この混合液を0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.5)で平衡化したU1trogel A
cA 44カラムでゲル濾過し、マウス抗ヒトプロMM
P−2 IgG−POD複合体画分を分取した。BSA
およびクロルヘキシジンを各々0.1%および0.00
1%になるように添加し、4℃で保存した。
【0047】実施例6 ヒトプロMMP−2の定量法 (a) モノクローナル抗体結合担体の調製法 J.Immunoassay 4,209〜327(1
983)に記載のIshikawaらの方法に従って、
マウス抗ヒトプロMMP−2 IgG(クローンNo.
75−7F7,微工研寄託番号FERM P−1333
5)を各々0.1%アジ化ナトリウム含有0.1Mリン
酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、100μg/ml
(A280=0.15)の濃度に調整した。そのモノク
ローナル抗体溶液を96穴マイクロプレートにウエル当
り100μlずつ加え、4℃、24時間静置した。次に
モノクローナル抗体溶液を除去し、各々生理食塩液で2
回洗浄後、1%BSA−0.1M塩化ナトリウム含有1
0mMリン酸緩衝液(pH7.0)に浸漬し、4℃で保
存した。
【0048】(b) 1ステップサンドイッチEIA法 1%BSA、0.1M塩化ナトリウムおよび10mM
EDTA含有30mMリン酸緩衝液(pH7.0,緩衝
液A)で希釈した精製ヒトプロMMP−2あるいはヒト
MMP−2を含む検体を96穴ビニルプレート(Fal
con)に各々10μl加えた。次に実施例5で調製し
た酵素標識抗体を1000ng/mlとなるように、緩
衝液Aで希釈し、上記ビニルプレートに各々110μl
ずつ加え混和した。この混合液を前項(a)で調製した
抗体結合プレートに100μl加え、室温で1時間反応
させ、生理食塩液で4回洗浄した。次に0.02%過酸
化水素含有0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH4.
9)に溶解した2mg/ml o−フェニレンジアミン
をウエル当たり100μl加え、室温で30分間反応
後、2N硫酸100μl添加し、反応を停止させた。こ
の反応混液のA492をマイクロプレートリーダー(M
PR−A4 東洋ソーダ)を用いて測定し、検量線より
検体中のヒトMMP−2量を求めた。
【0049】以上の操作法を表5に示す。表5に記載し
たプレート法により、クローンNos. 43−3F
9,42−5D11からのIgG−POD複合体および
前記(a)項で調製した抗体結合担体を用い、1ステッ
プサンドイッチEIAを行った(表6および図1参
照)。どちらの場合も、標準抗原の濃度に依存した吸光
度が得られたが、固相抗体として75−7F7からのI
gG、43−3F9からのIgG−POD複合体(−・
−)の系の方が、固相抗体として75−7F7からのI
gG、42−5D11からのIgG−POD複合体(−
×−)の系より高い吸光度を示すことが認められた。こ
の時、前者のIgG−POD複合体にクローンNo.4
3−3F9からの抗体を用いた系では、標準抗原1−5
00ng/ml(10−5,000pg/well)の
濃度まで直線が認められた。その結果、固相および酵素
標識抗体用モノクローナル抗体として、クローンNo
s.75−7F7および43−3 F9からの抗体を以
下の免疫学的定量法に使用することとした。クローンN
o.43−3F9からの抗体は、ヒトMMP−2ポリペ
プチドのN末端側のペプチドに対するモノクローナル抗
体であるため、ここでは、プロMMP−2の測定系とい
うことができる。
【0050】(c) 緩衝液の選択 1ステップサンドイッチEIA法で用いる緩衝液の検討
を行った。緩衝液として、緩衝液Aと、1%BSA、
0.15M塩化ナトリウムおよび10mM EDTA
含有50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0,緩衝液
B)を用いた。
【0051】実施例6,(b)に記載した方法に従い、
緩衝液Aおよび緩衝液Bで希釈した標準抗原を96穴ビ
ニルプレートに20μl加えた。次に実施例5で調製し
た酵素標識抗体、IgG(クローンNo.43−3F
9)−POD複合体を1000ng/mlになるように
緩衝液Aおよび緩衝液Bで希釈し、上記ビニルプレート
に100μlずつ加え、混合した。この混合液を実施例
6,(a)で調整した抗体結合プレートに100μl加
え、室温で1時間反応させた。以下の操作は実施例6,
(b)に記載した操作と同様に行った。検量線の結果を
表7および図2に示す。緩衝液A(−・−),B(−×
−)どちらの場合も標準抗原の濃度に依存した吸光度が
得られたが、緩衝液Aの方がより高い吸光度を示した。
その結果、以下において緩衝液Aを用いることにした。
【0052】(d) 希釈試験 実施例6,(b)に記載した方法に従い、希釈試験を行
った。緩衝液Aで希釈した標準抗原あるいは1/1〜1
/256倍に倍数希釈した3種類の検体(健常人血清)
を96穴ビニルプレートに10μl加えた。以下の操作
は実施例6,(b)に記載した操作と同様に行い、各々
希釈血清を測定した(表8Aおよび図3参照)。希釈試
験に用いたいずれの血清も充分な直線を示し、回帰直線
もほぼ0点を通った(表8Bおよび図3参照)。
【0053】(e) 同時再現性試験および感度 実施例6,(b)に記載した方法に従い、標準抗原液お
よび検体(健常人血清)について同時再現性試験を行っ
た(表9参照)。標準抗原液の吸光度、血清測定値いず
れのCV値も10%以下であることが認められた。
【0054】標準抗原0ng/mlの吸光度を8回測定
したときの平均(M)と標準偏差(SD)を算出し、M
+2SDに相当する標準抗原濃度を感度とするとき、そ
の感度は約0.24ng/ml(2.4pg/wel
l)であった。
【0055】(f) 添加回収試験 健常人血清10μlに標準抗原液(0、63、250、
500、1000、2000ng/ml)各10μlを
添加したものを検体とし、100μlの酵素標識抗体液
(1100ng/ml)を加えた。o−フェニレンジア
ミン濃度を0.2mg/mlとした他は実施例6,
(b)に記載した操作法と同様にしてプロMMP−2量
を測定し、回収された標準抗原量を算出した(表10参
照)。標準抗原量の平均回収率は99.5%であり、充
分な回収率が得られ、10μl中の抗原量を正確な値と
して読みとり得ることが認められた。
【0056】(g) 1ステップサンドイッチEIA法
による血清中ヒトプロMMP−2量の測定 前記(b)に記載した1ステップサンドイッチEIA法
により、検体として各種疾患の血清プロMMP−2を測
定した(表11および図4参照)。健常人血清(n=2
13)のプロMMP−2値は、570ng/ml±11
8ng/ml(M±SD)であった。甲状腺機能先進
症、原発性肝癌および胆汁性肝硬変患者血清プロMMP
−2濃度は各々749±166ng/ml、686±2
36ng/mlおよび716±135ng/mlであ
り、健常人血清プロMMP−2濃度に比べ有意に高い値
を示した。一方、RA、変形性関節症、胃癌および膵癌
患者血清プロMMP−2濃度は、各々408±139n
g/ml、449±72ng/ml、427±103n
g/mlおよび422±130ng/mlであり、健常
人血清プロMMP−2濃度に比べ有意に低い値を示し
た。なお、慢性膵炎患者血清プロMMP−2濃度は、健
常人のそれと比べて有意差は認められなかった。
【0057】実施例7 血清中抗原の解析 イムノブロッティングにより、検体(血清)中の抗原の
解析を行った。 (a) 材料の調製 検体(健常人血清)を、抗ヒトプロMMP−2モノクロ
ーナル抗体(クローンNo.75−7F7)結合カラム
に供し、Tris−Ca Bufferで充分洗浄後、
その吸着たん白質を8M尿素含有Tris−Ca Bu
fferで溶出した。溶出画分は、PD−10カラムに
よりTris−Ca Bufferに交換したのち、セ
ントリコン10(アミコン)により濃縮し、イムノブロ
ッティング用試料とした。
【0058】(b) イムノブロッティング 前記(a)で調製した血清試料を、SDS−PAGEに
供した後、細胞工学1&2,1061−1068(19
83)に記載の田部の方法に従ってウエスタンブロッテ
ィングを行った。次に、抗ヒトMMP−2 IgG(ク
ロー)Nos.43−3F9および75−7F7)−P
OD複合体、抗ヒトTIMP−2 1gG(クローンN
o.67−4H11,微工研寄託番号FERM P−1
2690)−POD複合体の3種を用いて免疫染色を行
った。ここで用いた抗ヒトTIMP−2モノクローナル
抗体(クローンNo.67−4H11)は、ヒトTIM
P−2ポリペプチド(YRGAAPPKQEFLDIE
D)に対する抗体で、免疫原のキャリヤーたん白質とし
てKLHを使用した以外は実施例2の記載方法に従い調
製した。こうして得られたモノクローナル抗体のうち、
クローンNo.67−4H11の抗体を酵素標識抗体と
後述する実施例8,(a)に記載した抗体結合Seph
arose 4Bカラムに使用した。
【0059】結果を図5に示す。43−3F9および7
5−7F7 IgG−POD複合体で染色した場合(各
々レーン1およびレーン2)、72kDa付近に陽性バ
ンドが、また、67−4H11 IgG−POD複合体
で染色した場合(レーン3)、24kDa付近に陽性バ
ンドが確認された。したがって血清中においては、MM
P−2はほとんど潜在(プロ)型として存在し、そのプ
ロMMP−2は単独あるいは、TIMP−2と複合体を
形成して存在することが示唆された。
【0060】実施例8 ヒトTIMP−2添加効果 一定量のプロMMP−2に種々の濃度のTIMP−2を
加えたものを検体とし、1ステップサンドイッチEIA
系に対する影響を調べた。
【0061】(a) ヒト胎盤由来ヒトTIMP−2の
精製 胎盤を細切し、1mM塩化カルシウム、0.1M塩化ナ
トリウム、0.005%ブリッジ−35,1mM N−
エチルマレイミド、5mMEDTA,5mM塩酸ベンズ
アミジン含有20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
4)を加え撹拌し、30分間静置した。その後、高速冷
却遠心機(HITACHI)により、10,000rp
m、4℃、50分間遠心分離を行い、上清を得た。同様
の操作をもう一度繰り返し、上清をプールした。次に、
この上清を抗ヒトTIMP−2モノクローナル抗体(ク
ローンNo.67−4H11)結合Sepharose
4Bカラムに吸着させたのち、1mM塩化カルシウ
ム、0.1M塩化ナトリウム、0.005%ブリッジ−
35含有20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4,緩
衝液C)により、その抗体結合Sepharose 4
B樹脂をガラスフィルター上で洗浄した。更に、緩衝液
Cと1mM塩化カルシウム、0.1M塩化ナトリウム、
0.005%ブリッジ−35含有0.1M酢酸緩衝液
(pH5.5)で交互に洗浄後、樹脂をカラムに詰め直
し、吸着たん白質を1mM塩化カルシウム、0.005
%ブリッジ−35含有0.1Mグリシン−塩酸緩衝液
(pH2.5)で溶出し、直ちに1mM塩化カルシウ
ム、0.005%ブリッジ−35含有3Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)により中和した。次にこの溶出画
分を限外濾過(東洋濾紙UHP−43)により濃縮し、
Ultrogel AcA54(IBF Biotec
hnics)によりゲル濾過した。各フラクションのA
280を測定し、2つ目のピークを集めた。SDS−P
AGE上、得られたヒトTIMP−2は、単一バンドに
精製された。
【0062】(b) ヒトTIMP−2添加効果 プロMMP−2量を一定とし、ヒトTIMP−2をモル
比(TIMP−2/プロMMP−2)が125,25,
1,0.2,0.04,0となるように加えた。反応
後、プロMMP−2量を基準にEDTAを除いた緩衝液
Aにより希釈し、実施例6,(b)に記載した1ステッ
プサンドイッチEIA法によりプロMMP−2量を測定
した(表12参照)。その結果、ヒトTIMP−2添加
量を増やしてもプロMMP−2各濃度のA492値に変
化は認められなかった。従って、このアッセイ系によ
り、プロMMP−2−TIMP−2複合体中のプロMM
P−2もフリーのプロMMP−2と同程度の免疫反応性
で認識できることが判明した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトプロMMP−2の標準曲線を示すグラフで
あり、縦軸は492nmにおける吸光度、横軸はプロM
MP−2濃度(ng/ml)を示す。
【図2】プロMMP−2の1ステップサンドイッチEI
A法に使用する緩衝液の影響を示すグラフであり、縦
軸、横軸はいずれも図1と同様である。
【図3】健常人血清の希釈試験の結果を示すグラフであ
り、縦軸はプロMMP−2量(ng/ml)、横軸は希
釈倍率(倍)を示す。
【図4】各種疾患血清のプロMMP−2測定結果を示す
グラフであり、縦軸はプロMMP−2量(ng/m
l)、横軸は表11に示した各疾患番号を表わす。
【図5】血清中抗原のイムノブロッティングの結果を表
わす図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東海 秀明 富山県高岡市横田本町11番1号 (72)発明者 早川 太郎 愛知県名古屋市天白区向が丘3丁目406 番地 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市五十里東町190番地 (56)参考文献 特開 平2−1553(JP,A) 特開 昭60−2187(JP,A) 特開 平4−183397(JP,A) 特開 平2−1553(JP,A) 特表 平4−501423(JP,A) 特表 平4−505696(JP,A) 実験医学第7巻第5号 P32−40 (1989) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 G01N 33/573 G01N 33/577

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型
    コラゲナーゼに対し、特異的に結合する2種類のモノク
    ローナル抗体において、固相担体に結合させる抗体、あ
    るいは標識物を付与する抗体として、いずれか一方にヒ
    ト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼのN
    末領域を認識する抗体を用いて、サンドイッチ法により
    免疫学的に測定を行なうことを特徴とするヒト72−k
    Daゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの定量法。
  2. 【請求項2】 血清中のヒト72−kDaゼラチナーゼ
    /IV型コラゲナーゼを測定することを特徴とする請求
    項1に記載のヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コ
    ラゲナーゼの定量法。
JP04361873A 1992-12-24 1992-12-24 ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法 Expired - Lifetime JP3098640B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04361873A JP3098640B2 (ja) 1992-12-24 1992-12-24 ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04361873A JP3098640B2 (ja) 1992-12-24 1992-12-24 ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06213888A JPH06213888A (ja) 1994-08-05
JP3098640B2 true JP3098640B2 (ja) 2000-10-16

Family

ID=18475139

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04361873A Expired - Lifetime JP3098640B2 (ja) 1992-12-24 1992-12-24 ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3098640B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2864219B2 (ja) * 1995-02-20 1999-03-03 富士薬品工業株式会社 遊離の活性型マトリックスメタロプロテアーゼ類の分別定量法
US7041787B2 (en) 2000-12-29 2006-05-09 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Design and use of advanced zinc chelating peptides to regulate matrix metalloproteinases
US6906036B2 (en) 2001-08-16 2005-06-14 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-aging and wound healing compounds
US7071164B2 (en) 2001-08-16 2006-07-04 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-cancer and wound healing compounds
US7094754B2 (en) 2001-08-16 2006-08-22 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-aging and wound healing compounds
US7186693B2 (en) 2001-08-16 2007-03-06 Kimberly - Clark Worldwide, Inc. Metalloproteinase inhibitors for wound healing
US7148194B2 (en) 2002-12-30 2006-12-12 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Method to increase fibronectin
US7189700B2 (en) 2003-06-20 2007-03-13 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-chrondrosarcoma compounds

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
実験医学第7巻第5号 P32−40(1989)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06213888A (ja) 1994-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09294584A (ja) ヒト腫瘍壊死因子に対するモノクロナール抗体
JPH05184384A (ja) hBNPのC端を認識するモノクロ−ナル抗体
JP2673929B2 (ja) ヒト間質型コラゲナーゼと阻害剤との複合体の免疫学的定量法および臨床診断への応用
JP3098640B2 (ja) ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法
EP0522169B1 (en) Antihuman stromelysin monoclonal antibody and diagnosis of rheumatoid arthritis by enzyme immunoassay
EP0812859B1 (en) ANTIFACTOR Xa-TISSUE FACTOR PATHWAY INHIBITOR COMPLEX MONOCLONAL ANTIBODY AND USE OF THE SAME
JP2949467B2 (ja) 免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量
JPH10287700A (ja) 活性型マトリライシン(mmp−7)に対する抗体及びそれを用いた免疫学的測定法
JP3076640B2 (ja) ヒト92kDaゼラチナーゼの免疫学的定量法
JP3889084B2 (ja) 新規なモノクローナル抗体並びにe−Dダイマー及びe−DD/E複合体の免疫学的測定法
EP0401370B1 (en) Enzyme immunoassay according to sandwich method of human iv-type collagen
JPS63258898A (ja) ヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼に対するモノクロ−ナル抗体、その製造法、該モノクロ−ナル抗体産生ハイブリド−マおよび該モノクロ−ナル抗体を用いたヒト▲膵▼ホスホリパ−ゼa▲下2▼の測定方法
JP2864219B2 (ja) 遊離の活性型マトリックスメタロプロテアーゼ類の分別定量法
JP2609858B2 (ja) コラゲナーゼインヒビターの酵素免疫学的定量法
JPH05304953A (ja) 抗トロンビン結合性物質モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
JP3081638B2 (ja) ヒト72kDaゼラチナーゼに対するモノクローナル抗体およびその利用
JP3017591B2 (ja) 抗ヒトtimp−2モノクローナル抗体の製法およびその利用
WO1998029560A1 (fr) Anticorps monoclonal contre la collagenase 3 et procede de dosage immunologique utilisant cet anticorps
JP2742886B2 (ja) 好中球コラゲナーゼの免疫学的定量法
JPH0677017B2 (ja) ヒト▲iv▼型コラーゲンのサンドイツチ酵素免疫学的定量法
JP3184828B2 (ja) ヒト間質型コラゲナーゼに対するモノクローナル抗体およびその利用
JP3124008B2 (ja) ヒト92kDaゼラチナーゼに対するモノクローナル抗体およびその利用
JP2609908B2 (ja) 慢性関節リウマチ疾患の診断用試薬
JPH03139292A (ja) ヒトインタ―ロイキン―6に対するモノクロ―ナル抗体
JP2617783B2 (ja) 肝臓癌疾患の診断用試薬

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070811

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080811

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130811

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130811

Year of fee payment: 13