JP3017591B2 - 抗ヒトtimp−2モノクローナル抗体の製法およびその利用 - Google Patents
抗ヒトtimp−2モノクローナル抗体の製法およびその利用Info
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Description
ー・オブ・メタロプロテイナーゼ−2(TIMP−2)
に対するモノクローナル抗体に関するものであり、該モ
ノクローナル抗体の製造ならびにそれにより得られたモ
ノクローナル抗体およびそれらモノクローナル抗体を用
いて、ヒトの血液・体液・組織およびヒト由来組織培養
液などに存在するTIMP−2を分析測定する方法に関
する。更に詳しくは、本発明は、抗ヒトTIMP−2モ
ノクローナル抗体ならびにその製造方法およびそのモノ
クローナル抗体を用いるサンドイッチ測定法に基づく酵
素免疫学的測定法によるヒトTIMP−2の高感度に定
量する方法に関するものであって、固相担体に結合させ
る抗体および酵素標識を付与する抗体の2種類の抗ヒト
TIMP−2モノクローナル抗体を用いることを特徴と
するヒトTIMP−2の測定方法に関するものである。
プロテイナーゼ(TIMP−1)はヒトおよびその他動
物の培養細胞(線維芽細胞、腫瘍細胞、軟骨細胞、平滑
筋細胞、内皮細胞など)や血小板、単球、マクロファー
ジ、歯髄などが産生する分子量約30kDaの糖蛋白質
である。従来、TIMP−1は間質コラゲナーゼ活性を
阻害する事からコラゲナーゼ・インヒビターと呼ばれて
いたが、間質コラゲナーゼ以外に種々のメタロプロテイ
ナーゼ(72kDaゼラチナーゼ、92kDaゼラチナ
ーゼ、ストロムライシン)を阻害する事が明らかにな
り、TIMP−1(ティッシュ・インヒビター・オブ・
メタロプロテイナーゼ)と改名された。(Docher
ty,A.J.P.ら、Ann.Rheum.Dis.
49.469〜479、(1990);T.E.Caw
ston:in “Proteinase Inhib
itors”、ed.by A.J.Barrett
ら、Elsevier、Amsterdam,(198
6)p589.参照)。
なるティッシュ・インヒビター・オブ・メタロプロテイ
ナーゼ−2(TIMP−2)と呼ばれるメタロプロテイ
ナーゼ・インヒビターが発見された(Stetler−
Stevenson,W.G.ら、J.Biol.Ch
em.246、17374〜17378、1989;G
oldberg,G.I.ら、Proc.Natl.A
cad.Sci.U.S.A.86、8207〜821
1、1989;Williamson,R.A.ら、B
iochem.J.268、267〜274、1990
参照)。
いは、分子量の他に、Con−A−セファロースカラム
に結合しないということにより区別される。ヒトTIM
P−2はcDNAクローニングによりその一次構造が明
らかにされている(Boone,T.C.ら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87、
2800〜2804、1990参照)。それによると、
ヒトTIMP−2は、194個のアミノ酸残基からな
り、ヒトTIMP−1と38%の相同性を有している。
−1と同じ12個のシステイン残基を持ち、その位置も
よく保存されている。
チナーゼおよび92kDaゼラチナーゼと複合体を形成
し、また、TIMP−2はプロ72kDaゼラチナーゼ
と複合体を形成していることは認められているが、現時
点では、それ以上の詳細については明らかにされていな
い(Wilhelm,S.M.ら、J.Biol.Ch
em.264、17213〜17221、1989;W
ard,R.V.ら、Biochem.J.278、1
79〜187、1991参照)。
クローナル抗体を製造することに成功した。また、この
抗ヒトTIMP−2モノクローナル抗体を用いれば、サ
ンドイッチ法により酵素免疫学的に生体試料中に存在す
るヒトTIMP−2を分析測定することができる。従っ
て、本発明は、ヒトTIMP−2に特異性を有するモノ
クローナル抗体であって、DSGNDIYGNPIKR
IQ、DTLSTTQKKSLNHRYQまたはYRG
AAPPKQEFLDIEDの配列を有するポリペプチ
ドと反応性を有し、かつヒトTIMP−1と交差反応性
を有しないモノクローナル抗体ならびにそれらモノクロ
ーナル抗体の製造法を提供するものであり、さらに、こ
れらいずれか2種のモノクローナル抗体の組合せを使用
して、ヒト由来の生体試料の少量を用いて、精度よく、
簡便、迅速に試料中に存在するTIMP−2を特異的に
定量する方法を提供するものである。この方法は、固相
担体に結合させる抗体ならびに酵素標識を付与する抗体
として各々抗ヒトTIMP−2モノクローナル抗体を用
い、酵素免疫学的測定法によりヒトTIMP−2を定量
することからなる。本発明に係る酵素免疫学的測定法と
しては後掲の実施例として一つの例示的な方法が示され
ているが、例えば固相担体としては、ポリスチレン製ビ
ーズ、ポリカーボネート製マイクロプレート、ポリプロ
ピレン製マイクロプレート、スティック、試験管など任
意適当に選ばれたものを使用することができる。
2モノクローナル抗体としては、抗体含有物を硫酸アン
モニウムを加えることにより分画した後、DEAE−セ
ファセルの如き陰イオン交換ゲルによりあるいはPro
tein Aカラムクロマトグラフィーにより精製した
IgG画分、さらにはペプシン消化後得られるF(a
b′)2およびそれを還元して得られる特異的結合部分
Fab′を用いることもできる。
(ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グル
コースオキシダーゼあるいはβ−D−ガラクトシダーゼ
など)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元素な
どをあげることができる。
よび酵素標識を付与する抗体としての2種のモノクロー
ナル抗体の組み合わせを用いて、固相法酵素免疫学的測
定法によりヒトTIMP−2を分析測定することができ
る。以下に、実施例を掲げ、本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
チドの配列を、cDNAの配列から予測している(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,
87;2800〜2804、1990)。その予測され
たアミノ酸配列構造中より、表1に示した3種のポリペ
プチド(P−1、P−2、P−3)をそれぞれペプチド
シンセサイザー9600(ミリジェン/バイオサーチ)
を用いて合成し、続いて、それらの各ポリペプチドのC
末端にシステイン残基を導入した。得られた3種の粗ポ
リペプチドは、それぞれ、μBondasphere
(Waters,5μ、C18−100Å、3.9×1
50mm)カラムを用いて高速液体クロマトグラフィー
により精製した。
キーホールリンペットヘモシアニン複合体の調製 (a)で得られた3種のポリペプチドについて、それぞ
れ下記のとおりにして複合体を調製した。2mgキーホ
ールリンペットヘモシアニン(KLH、Calbioc
hem.)を1mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
5)に溶解したものと1.85mgN−(ε−male
imidocaproyloxy)succinimi
deを200μlのジメチルホルムアミドに溶解したも
のとを混合し、30℃、30分間インキュベーションし
た。次に上記の混合液を0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.0)で平衡化したPD−10(ファルマシア)でゲ
ル濾過した。マレイミドが結合されたKLHを分取し、
1.5ml以下に濃縮した。マレイミドが結合されたK
LHに対し50倍モル量の前記(a)で合成した各ポリ
ペプチドを1mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)に溶解したものと混合した。4℃、20時間インキ
ュベーションし、3種のポリペプチド−KLH複合体を
調製した。
完全フロイントアジュバントと共に8週令Balb/c
雌マウスにそれぞれ腹腔内投与し、初回免疫した。15
日後に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した
各複合体200μgを初回免疫したそれぞれのマウスに
腹腔内投与し追加免疫した。さらに、38日後に追加免
疫時と同様に各複合体70μgを静脈内および130μ
gを腹腔内投与し、最終免疫とした。その3日後に脾臓
を摘出し、脾細胞懸濁液を調製した。
40 (Flow Lab.)に重炭酸ナトリウム(2
4mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリ
ンGカリウム(50U/ml)、硫酸ストレプトマイシ
ン(50μg/ml)および硫酸アミカシン(100μ
g/ml)を加え、ドライアイスでpHを7.2にし、
0.2μm東洋メンブレンフィルターで除菌濾過した。
地に除菌濾過した仔牛胎児血清(M.A.Biopro
ducts)を15%(v/v)の濃度になるように加
えた。
40培地にポリエチレングリコール4,000 (PE
G 4,000、Merck & Co.)を50%
(w/w)になるように加え、無血清溶液を調製した。
2(SP2/O−Ag 14)との融合は、Selec
ted Method in Cellular Im
munology(eds.Mishell,B.B.
and Shiigi,S.M.)、W.H.Free
man and Company 351〜372、1
980に記載のOiらの方法を若干改変して行った。
細胞(生細胞率100%)について、それぞれ、ミエロ
ーマ細胞(生細胞率100%)と5:1の割合で融合し
た。なお、この場合、脾臓細胞とミエローマ細胞とは別
々に前記のRPMI 1640培地で洗浄しておき、次
に両者を同じRPMI 1640培地に懸濁し、上記の
割合で混合した。混合した各培地に対し、新たにRPM
I 1640培地を前記のペプチドP−1,P−2,P
−3の各複合体の場合につき、各25.8ml、28.
5ml,34.5ml加え、容量50mlのポリプロピ
レン製遠沈管(岩城硝子)を用いて、400×gで10
分間遠心し、上清を完全に吸引除去した。得られた各沈
殿細胞に37℃加温PEG4000溶液を、ペプチドP
−1、P−2、P−3の各複合体の場合につき、それぞ
れ、2.3ml、4.8ml、5.0mlの量をもっ
て、穏やかに撹拌しながら、1分間で滴下し、さらに1
分間撹拌し各細胞を再懸濁、分散させた。得られた各懸
濁液に対し、37℃加温RPMI 1640培地を、ペ
プチドP−1、P−2、P−3の各複合体の場合につい
て、それぞれ、4.6ml、9.6ml,10.0ml
の量を用いて、2分間、滴下した後、さらに、新たな同
じ培地をペプチドP−1、P−2、P−3の各複合体の
場合につき、それぞれ、16.0ml、33.6ml、
35.0mlを用いて、2〜3分間において、常に撹拌
しながら滴下し細胞を分散させた。得られた各懸濁液
を、400×gで7分間遠心分離し、上清を完全に吸引
除去した。次に得られた各沈殿細胞に対し、37℃加温
NS−1培地をペプチドP−1、P−2、P−3の各複
合体の各場合につき、それぞれ、22.7ml、40.
0ml、40.0ml速やかに加え、細胞の大きい塊を
10mlのピペットを用いて注意深くピペッティングし
て分散した。得られた各分散液に対し、さらに新たに、
37℃加温NS−1培地をペプチドP−1、P−2、P
−3の各複合体の各場合につき、それぞれ、45.3m
l、104ml、110ml加えて希釈し、ポリスチレ
ン製96穴マイクロウエル(岩城硝子)にウエル当り
6.0×105個/0.1mlの細胞を加えた。次い
で、これを7%炭酸ガス/93%空気中で温度37℃、
湿度100%下に培養に付した。
選択的増殖 (1) 使用する培地は以下のとおりである。 HAT 培地:前記(d)で述べたNS−1培地にさら
にヒポキサンチン(100μM)アミノプテリン(0.
4μM)およびチミジン(16μM)を加えた。 HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT
培地と同一組成のものである。
日目)、細胞に10mlピペットでHAT 培地2滴
(約0.1ml)を加えた。2、3、5、8、11日目
に培地の半分(0.1ml)を新しいHAT 培地で置
き換え、11日目に培地の半分を新しいHT培地で置き
換えた。通常約2週間で充分なハイブリドーマの生育が
観察される。ハイブリドーマ生育全ウエルについて次項
(f)記載の固相−抗体結合テスト法(ELISA)に
より陽性ウエルをチェックした。次にフィーダーとして
107個のマウス胸腺細胞を含むHT培地1mlをポリ
スチレン製24穴セルウエル(岩城硝子)に加えたもの
を用い、上記で検出された各陽性ハイブリドーマの全内
容物を移した。これを前記(d)におけると同様に7%
炭酸ガス存在下、37℃で約2〜3日培養に付した。ハ
イブリドーマの充分生育した時点でELISA法により
陽性を再確認し、それぞれについて次項(g)記載の限
界希釈法によるクローニングを行った。なお、クローニ
ングに使用後の残液をポリスチレン製25cm2組織培
養フラスコ(岩城硝子)に移し、凍結保存用試料を調製
した。
P−2抗体産生ハイブリドーマの検索 Anal.Biochem.104,205〜214、
1980に記載のRennardらの方法を若干改変し
た方法を用いた。この方法は、ハイブリドーマ抗体の検
出に適している。96穴ミクロタイトレーションプレー
ト(FlowLab.)を実施例1(a)で得られた各
ポリペプチド50ngでコートした。これに前記(e)
で得られたハイブリドーマ生育ウエルの上清の一部を加
えて室温で約1時間インキュベートした。2次抗体とし
て西洋わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス免疫グ
ロブリン(Cappel Lab.)を加え、さらに室
温で約1時間インキュベートした。次に基質である過酸
化水素とo−フェニレンジアミンを加え生成した褐色の
程度をマイクロプレートリーダー(MPR−A4、東洋
ソーダ)を用いて492nmの吸光度を測定し判定し
た。
ブリドーマが生育している可能性があるので、限界希釈
法によりクローニングを行い、モノクローナル抗体産生
ハイブリドーマを取得する。NS−1培地1ml当りフ
ィーダーとして107個のマウス胸腺細胞を含むクロー
ニング培地を調製し、96穴マイクロウエルの36ウエ
ル、36ウエルおよび24ウエルにウエル当り5個、1
個および0.5個のハイブリドーマを加えた。5日目に
全ウエルに各約0.1mlのNS−1培地を追加した。
クローニング開始後11〜14日で充分なハイブリドー
マの生育が認められ、コロニーを形成しているウエルを
12個選びELISA法を行った。テストした全ウエル
が陽性でない場合、抗体陽性ウエル中のコロニー数を確
認し、ウエル中に1コロニーが確認されたウエルを2個
選びその内1ウエルを再クローニングする。最終的に表
2に示したようにP1−ペプチド、P2−ペプチド、P
3−ペプチドのそれぞれに対するモノクローナル抗体産
生ハイブリドーマ計51クローンを得た。
および生体内増殖 モノクローナル抗体の増殖は常法による。すなわち、得
られた各ハイブリドーマをNS−1培地などの適当な培
養液で培養(生体外増殖)し、その培養上清から10〜
100μg/mlの濃度のモノクローナル抗体を得るこ
とができた。一方、大量に抗体を得るためには脾細胞と
ミエローマ細胞の由来動物と同系の動物(Balb/c
マウス)にマウス1匹当り0.5mlの腫瘍形成促進剤
プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタ
デカン、Aldrich Chem.Co.)を腹腔内
投与した。1〜3週間後に、各ハイブリドーマ1×10
7個を同じく腹腔内投与し、さらにその1〜2週間後に
生体内で産生された4〜7mg/mlのモノクローナル
抗体を含む腹水を得ることができた。
軽鎖 前述したELISA法に従って、前述のP1−ペプチ
ド、P2−ペプチド、P3−ペプチドそれぞれをコート
したミクロタイトレーションプレートに、前記(g)で
得られた各モノクローンの培養上清を加えた。次にPB
Sにより洗浄した後、アイソタイプ特異的ウサギ抗マウ
スIg抗体(Zymed Lab.)を加えた。PBS
による洗浄後、西洋わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗
ウサギIgG(H+L)抗体を加え、基質として過酸化
水素および2,2′−アジノ−ジ(3−エチルベンゾチ
アゾリン硫酸)を用いてそれぞれの重鎖および軽鎖を判
定した。その結果をまとめて後掲の表2に示した。
ウムで分画した後、IgGクラスの抗体について0.5
M塩化ナトリウム含有1.5Mグリシン−NaOH緩衝
液(pH8.9)で平衡化したプロテインAアフィゲル
(Bio−Rad Lab.)カラムに吸着させ、上記
洗浄液で洗浄後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.
0)で溶出することにより精製した。
細胞培養液を材料とした。細胞の培養にはMEME粉末
培地(Minimum EssentialMediu
m Eagle,Flow lab.)を蒸留水に溶解
し、26.2mM重炭酸ナトリウムを加えドライアイス
でpHを7.2に調整し、0.2μm東洋メンブレンフ
ィルターで除菌濾過したものを用いた。America
n Type Culture Collection
から購入したヒト皮膚線維芽細胞CCD−41Skを1
5%仔牛胎児血清およびNEAAメディウム(NonE
ssential Amino Acids,Flow
lab.)を含むMEME培地で5%炭酸ガス/95
%空気中、温度37℃、湿度100%下で5〜8日間培
養した。800rpm、5分間で遠心して集めた細胞
を、0.2%ラクトアルブミン水解物、NEAAメディ
ウム、1.7mM炭酸水素ナトリウムおよび10U/m
l遺伝子組換えヒトインターロイキン1−αを含むME
ME培地中で、5〜7日間同様にして培養した。800
rpm、5分間の遠心後の上清を限外濾過により約10
0倍に濃縮し、イムノブロッティング用試料とした。
ウムを含むポリアクリルアミド電気泳動に供した後、細
胞工学1&2、1061〜1068、1983に記載の
田部の方法に従ってウェスタンブロッティングを行い、
各モノクローン培養上清と反応後、ペルオキシダーゼ標
識ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Cappel La
b.)を用い間接法により免疫染色を行った。
抗体のうち、インターロイキン1−α刺激したCCD−
41Sk細胞培養液から調製した試料を用いた場合、ク
ローン番号68−6H4、69−8F1、69−9E
6、69−10B11、69−24H6および67−4
H11の6クローンの抗体で陽性バンドが確認された。
なお、CCD−41Sk細胞培養液中には特開昭63−
219392号公報に記載の早川らが発明した抗ヒトT
IMPモノクローナル抗体(クローン番号7−6C1)
に反応する分子量約30kDaのTIMP−1が存在す
る。しかし、前記の実施例1(j)で得たモノクローナ
ル抗体のうちクローン番号68−6H4、69−8F
1、69−9E6、69−10B11、69−24H6
および67−4H11から得られたものは分子量約24
kDaのTIMP−2に特異的に反応し、分子量約30
kDaのTIMP−1には反応しなかった。以上、イム
ノブロッティングによる結果を図1に示した。
(b)において陽性と認められた6つの画分よりクロー
ン番号67−4H11、68−6H4および69−24
H6のものを選び、それぞれ、0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.5)に溶解し、それを100μg/ml(A
280=0.150)の濃度に調製後、マイクロプレー
ト(モジュールプレートF−8H、Nunc)に100
μlずつ分注し、4℃、24時間静置した。次にモノク
ローナル抗体を吸引除去し、0.1%ウシ血清アルブミ
ン(BSA)、0.1M塩化ナトリウムおよび0.00
5%チメロサール含有10mMリン酸緩衝液を200μ
l分注し、4℃で保存した。
gG−POD複合体)の調製法 (1) IgG画分のSH基の導入 前記の3つのIgG画分を0.1Mリン酸緩衝液(pH
6.5)に溶解し、S−アセチルメルカプト無水コハク
酸を各IgG画分の100倍モル量加え、30℃で30
分間反応させた。次に0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH
7.0)、0.1Mエチレンジアミン四酢酸(EDT
A)(pH6.0)および1Mヒドロキシルアミン(p
H7.0)を各々IgG溶液量の1/5、1/10、1
/5倍量加え反応を停止させ、5mM EDTA含有
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセフ
ァデックスG50カラム(ファルマシア)を用いたゲル
濾過によりSH基導入IgG画分を分取した。
の導入 上記(1)の操作とは別に、以下述べるようにして西洋
わさびペルオキシダーゼ(POD、ベーリンガー・マン
ハイム)にマレイミド基を導入した。すなわち、POD
を10mg/mlの量で0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.0)に溶解し、そのPODに対して、25倍モル量
のN−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イ
ミド(EMCS、同仁化学)をジメチルホルムアミド溶
液として加え、30℃、30分間反応させた。これを
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセフ
ァデックスG−50カラム(ファルマシア)を用いたゲ
ル濾過によりマレイミド基導入POD画分を分取した。
対して上記(2)の如くして調製したマレイミド基導入
POD画分をIgG 1:POD 3のモル比で加え、
この混合液を4℃、20時間反応後、IgGの10倍モ
ル量のN−エチルマレイミドを加えて未反応のSH基を
ブロックした。これを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.
5)で平衡化したウルトロゲルAcA34カラム(ファ
ルマシア)を用いたゲル濾過によりIgG−POD複合
体画分を分取後、0.1%BSAおよび0.005%チ
メロサールを添加し、4℃保存した。
ト皮膚線維芽細胞(CCD−41Sk細胞)培養液を限
外濾過により約100倍に濃縮した後、1%BSAと
0.1M塩化ナトリウムとを含有した10mMリン酸緩
衝液(pH7.5)で希釈し、前記(a)項で調製した
モノクローナル抗体結合マイクロプレートに100μl
ずつ加えた。室温で1時間反応後、反応液を除去し、
0.1M塩化ナトリウム含有10mMリン酸緩衝液(p
H7.0)300μlで3回洗浄後、前記(b)(3)
項で調製したIgG−POD複合体を1μg/mlとな
る様に前記BSA含有緩衝液で希釈し、反応を完了した
マイクロプレートに100μlずつ分注した。室温で1
時間静置後、反応液を除去し0.1M塩化ナトリウム含
有10mMリン酸緩衝液(pH7.0)300μlで3
回洗浄した。更に、0.02%過酸化水素含有クエン酸
−リン酸緩衝液(pH4.6)に2mg/mlとなる様
に溶解したPOD基質であるo−フェニレンジアミン
(Sigma Chem.Co.)をマイクロプレート
に100μlずつ分注した。
0μlずつを分注し反応を停止させた。その反応停止液
をマイクロプレートリーダー(MPR−A4、東洋ソー
ダ)でA492値を測定した。表3に示した如くクロー
ン番号67−4H11からの抗体をIgG−POD複合
体として、クローン番号68−6H4、69−9E6お
よび69−10B11からの抗体を固相として用いた場
合、A492値が1.0以上の高値を示す事が確認され
た。
抗体の組み合わせとして、クローン番号68−6H4:
67−4H11、69−9E6:67−4H11、69
−10B11:67−4H11、68−6H4:69−
24B6の4種類を候補とした。これら4種類の組み合
わせの内いずれの組み合わせが1ステップサンドイッチ
測定法に適しているかを決定する為に、前記実施例2−
(a)項のTIMP−2を含むヒト線維芽細胞培養上清
を試料に用いて表4に示す方法で1ステップサンドイッ
チ測定を行った。その結果、クローン番号68−6H4
からの抗体を固相として用い、クローン番号67−4H
11からの抗体をIgG−POD複合体として用いた場
合にA492値は最高値を示した。
ブリドーマは、微工研菌寄第12690号(FERM
P−12690)の受託番号をもって、微生物工業技術
研究所に寄託されており、また、同クローン番号68−
6H4のハイブリドーマは、微工研菌寄第12691号
(FERMP−12691)の受託番号をもって、同研
究所に寄託されている。
体溶液(溶解緩衝液:1%BSA、0.1M塩化ナトリ
ウムおよび10mMEDTA含有30mMリン酸緩衝液
(pH7.0)) 2) 生理食塩液 3)2mg/ml o−フェニレンジアミン溶液(溶解
緩衝液:0.02%過酸化水素含有クエン酸−リン酸緩
衝液(pH4.6)) 4) 2N硫酸
カルシウム、0.1M塩化ナトリウムおよび0.005
% Brij35含有20mMトリス−塩酸緩衝液(p
H7.5)に懸濁し、スパチュラで十分に混合し、遠心
分離(10,000rpm,40分,4℃)して得られ
た上清を80%飽和硫安塩析、ウルトロゲルAcA54
カム(ファルマシア)、レッド・アガロースカラム(S
igmaChem.Co.)、Cu2+飽和キレーティ
ングセファロースカラム(ファルマシア)、抗ヒトTI
MP−1モノクローナル抗体結合セファロース4Bカラ
ム(クローン番号7−21B12使用、特開昭63−2
19392号公報記載参照)による各クロマトグラフィ
ーおよび高速液体クロマトグラフィー(逆相カラム、S
ynchropak RP−4,Synchrom)に
付し、ヒトTIMP−2を得た。なお、各分離精製工程
時において固相プレートに前述のクローン番号68−6
H4からの抗体を用い、IgG−POD複合体に前記の
クローン番号67−4H11からの抗体を用いて1ステ
ップサンドイッチ測定法によるA492値を測定し、そ
れを指標とした。
Mol.Biol.80,579〜599;1973記
載のLaemmliらの方法に従いドデシル硫酸ナトリ
ウム−ポリアクリルアミド電気泳動で調べたところ分子
量約24kDaの単一バンドを示した。
いて作成した。図2に示したように6.3−50ng/
ml(63−500pg/ウエル)の範囲で直線性が認
められた。また、定量感度は約16pgであった。
2の定量 健常人血清2検体、肝疾患患者血清1検体、半月板損傷
患者関節液1検体、慢性関節リウマチ患者関節液1検
体、および変形性膝関節症患者関節液1検体中のTIM
P−2を定量した。その結果を表5に示したが、血清、
関節液ともに定量感度以上のところで測定可能であっ
た。しかし、検体としてはこれらに限定されるものでは
ない。
ウェスタンブロット図であり、抗ヒトTIMP−1モノ
クローナル抗体(クローン番号7−6C1、レーン
1)、抗ヒトTIMP−2モノクローナル抗体(クロー
ン番号68−6H4、レーン2)、 抗ヒトTIMP−
2モノクローナル抗体(クローン番号69−8F1、レ
ーン3)、抗ヒトTIMP−2モノクローナル抗体(ク
ローン番号69−9E6、レーン4)、抗ヒトTIMP
−2モノクローナル抗体(クローン番号69−10B1
1、レーン5)、 抗ヒトTIMP−2モノクローナル
抗体(クローン番号69−24H6、レーン6)、およ
び抗ヒトTIMP−2モノクローナル(クローン番号6
7−4H11、レーン7)を用いて、各レーンをそれぞ
れ染色したものを表わす図面に代る写真である。
用い、クローン番号67−4H11からの抗体をIgG
−POD複合体に用いて1ステップサンドイッチ測定法
を行ったヒトTIMP−2の標準曲線を示したものであ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 マウスの抗体産生細胞とマウスミエロー
マ細胞との融合により得られたハイブリドーマを培養
し、培養液またはマウス腹水中からのモノクローナル抗
体を精製して得られたヒトTIMP−2に特異性を有す
るモノクローナル抗体であって、DSGNDIYGNP
IKRIQ、DTLSTTQKKSLNHRYQまたは
YRGAAPPKQEFLDIEDの配列を有するポリ
ペプチドと反応性を有し、かつヒトTIMP−1と交差
反応性を有しないモノクローナル抗体。 - 【請求項2】 サンドイッチ法により酵素免疫学的にヒ
トTIMP−2を定量する方法において、請求項1記載
のいずれか2種のモノクローナル抗体の組合せを用いる
ことを特徴とするヒトTIMP−2の定量法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4044312A JP3017591B2 (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 抗ヒトtimp−2モノクローナル抗体の製法およびその利用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4044312A JP3017591B2 (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 抗ヒトtimp−2モノクローナル抗体の製法およびその利用 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05244985A JPH05244985A (ja) | 1993-09-24 |
JP3017591B2 true JP3017591B2 (ja) | 2000-03-13 |
Family
ID=12687971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4044312A Expired - Lifetime JP3017591B2 (ja) | 1992-01-17 | 1992-01-17 | 抗ヒトtimp−2モノクローナル抗体の製法およびその利用 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3017591B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2864219B2 (ja) * | 1995-02-20 | 1999-03-03 | 富士薬品工業株式会社 | 遊離の活性型マトリックスメタロプロテアーゼ類の分別定量法 |
US7041787B2 (en) | 2000-12-29 | 2006-05-09 | Kimberly-Clark Worldwide, Inc. | Design and use of advanced zinc chelating peptides to regulate matrix metalloproteinases |
WO2018187453A1 (en) * | 2017-04-05 | 2018-10-11 | Astute Medical, Inc. | Assays for timp2 having improved performance in biological samples |
-
1992
- 1992-01-17 JP JP4044312A patent/JP3017591B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05244985A (ja) | 1993-09-24 |
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