JP2949467B2 - 免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量 - Google Patents

免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量

Info

Publication number
JP2949467B2
JP2949467B2 JP5037595A JP5037595A JP2949467B2 JP 2949467 B2 JP2949467 B2 JP 2949467B2 JP 5037595 A JP5037595 A JP 5037595A JP 5037595 A JP5037595 A JP 5037595A JP 2949467 B2 JP2949467 B2 JP 2949467B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mmp
human
pro
monoclonal antibody
human pro
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5037595A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08217800A (ja
Inventor
保典 岡田
栄子 大内
智巳 山崎
勲 東野
真一 吉田
和士 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Yakuhin Kogyo KK
Original Assignee
Fuji Yakuhin Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Yakuhin Kogyo KK filed Critical Fuji Yakuhin Kogyo KK
Priority to JP5037595A priority Critical patent/JP2949467B2/ja
Publication of JPH08217800A publication Critical patent/JPH08217800A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2949467B2 publication Critical patent/JP2949467B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗ヒトマトリックスメ
タロプロテアーゼ7(MMP−7)モノクローナル抗
体、及びそのモノクローナル抗体を用いた免疫学的測定
法、特には免疫組織染色、酵素免疫測定並びに該測定法
に基づき検体中に存在するヒトプロMMP−7を定量す
る方法に関する。
【0002】
【背景技術及び解決すべき課題】血管やリンパ管及び関
節軟骨の基底膜や結合組織の構成タンパク、いわゆる細
胞外マトリックスの分解には、マトリックスメタロプロ
テアーゼ類(Matrix metalloprote
inases;MMPs)の作用が必須である。近年、
これらのMMPsについては、遺伝子がクローニングさ
れて遺伝子ファミリーとして存在することが報告されて
いる。一次構造と基質特異性の違いからそれぞれグルー
プ分けされており、その中でプロMMP−7と称される
マトリライシンは、カルボキシル末端のヘモペキスン様
ドメインを欠失しており、MMP遺伝子ファミリーの中
で最も小さい分子種として存在している。Quanti
net al.(Biochemistry,28,5
327−5334,1989)は、プロMMP−7の分
子量は28,000ダルトン(28kDa)であり、4
−アミノフェニル酢酸水銀(APMA)処理した場合
は、21kDaの中間体を経て19kDa活性化型MM
P−7へと変換され、そして活性化されたMMP−7は
プロテオグリカン、IV型コラーゲン、ラミニン、フィ
ブロネクチン分解能を有することを報告している。ま
た、Thomas et al.(FEBS Let
t.,345,14−16,1994)は、MMP−7
が72kDaゼラチナーゼ(MMP−2)を活性化する
ことを報告している。
【0003】Miyazaki et al.(Can
cer Res.,50,7758−7764,199
0)は、ヒト直腸癌細胞の培養液からヒトMMP−7を
単離しこの酵素が広い基質特異性をもちIV型コラーゲ
ンやフィブロネクチンなどに対して、非常に高い分解活
性を有していることを明らかにしている。MMP−7は
直腸癌(M.Yoshimoto et al.In
t.,J.Cancer,54,614−618,19
83)、結腸癌(H.Yamamoto et a
l.,Biochem.Biophys.Res.Co
mmun.,201,657−664,1994)、前
立腺癌(W.C.Powellet al.,Canc
er Res.,53,417−422,1993)、
胃癌(S.McDonnell et al.,Mo
l,Carcinog.,4,527−533,199
1)などで、高い頻度で発現している。しかし、未だに
MMP−7タンパクを定性的及び定量的に測定すること
に成功していない。
【0004】
【課題の解決】本発明者らは、ヒトMMP−7タンパク
を定性的及び定量的に測定するには、それを特異的に認
識しうるモノクローナル抗体、すなわちヒトMMP−7
に対するモノクローナル抗体を得るべきと考え、鋭意研
究の結果、ヒトMMP−7に対するモノクローナル抗体
を作製することに成功した。その結果、モノクローナル
抗体を用いて現在増加している直腸癌、前立腺癌を始め
とし各種癌疾患のマーカーもしくは診断法を提供するこ
とが可能となった。本発明は、ヒトMMP−7と特異的
に免疫反応することのできるモノクローナル抗体、その
モノクローナル抗体を測定試薬として用いたヒトMMP
−7の免疫学的測定法、さらにその測定法に用いる試薬
を提供する。本発明は、さらにヒトMMP−7に免疫交
差反応性を有するモノクローナル抗体及びそのモノクロ
ーナル抗体を用いるサンドイッチ法に基づくヒトMMP
−7の酵素免疫測定法をも提供するものである。本発明
の方法は、固相担体に結合させる抗体あるいは標識物を
付与する抗体として、それぞれヒトMMP−7の実質的
に異なる抗原決定基に対し特異的に結合するモノクロー
ナル抗体を使用することをも特徴とするものである。特
に本発明に従えばヒトMMP−7のGIQKLYGKR
SNSRKK(R253−267)のアミノ酸配列を含
むC末端領域あるいはそれと実質的に同等の領域を特異
的に認識し、プロ、中間体及び活性化型MMP−7と免
疫反応するモノクローナル抗体とヒトプロMMP−7の
LPLPQEAGGMSELQWEQ(R18−34)
のアミノ酸配列を含むN末端領域あるいはそれと実質的
に同等の領域を特異的に認識しプロMMP−7のみと免
疫反応するモノクローナル抗体とを組合わせて測定試薬
として用い、サンドイッチ法により、酵素免疫学的にヒ
トMMP−7の測定を行う方法及び試薬が提供される。
【0005】本発明で使用されるモノクローナル抗体
は、ケラー及びミルシュタイン(Kohler,G.&
Milstein,C.,Nature,256,4
95,1975)などにより開示されたミエローマ細胞
を用いての細胞融合技術を利用して得られたモノクロー
ナル抗体であってもよいことはいうまでもない。本発明
で使用されるモノクローナル抗体は、次のような工程で
作製できる。 1.免疫原性抗原の調製 2.免疫原性抗原による動物の免疫 3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合 5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクロー
ン化 6.モノクローナル抗体の製造
【0006】1.免疫原性抗原の調製 抗原としては、例えば培養ヒト直腸癌細胞株(CaR−
1細胞)から、Okada et al.の方法(J.
Biol.Chem.,261,14245−1425
5,1986及びJ.Biol.Chem.,267,
21712−21719,1992)に従い精製されて
得られたヒトプロMMP−7を用いることができる。特
に好ましくは精製ヒトプロMMP−7は、キレート化
剤、例えばEDTAなどを含有する緩衝液中に保存して
あるものが好ましい。こうして得られたヒトプロMMP
−7は、さらに免疫原性コンジュゲートなどにしてもよ
いが、そのまま適当なアジュバントと混合して動物を免
疫するのに使用できる。さらにヒトプロMMP−7は、
それを断片化したものを適当な縮合剤を介して種々の担
体タンパク質類と結合させてハプテン−タンパク質の如
き免疫原性コンジュゲートとし、これを用いて特定の配
列のみを認識できるモノクローナル抗体をデザインする
のに用いることもできる。例えば遺伝子組換え技術を適
用し、天然の細胞から分子クローニングにより得られた
DNA配列あるいは既に知られたゲノム配列から、酵素
などを用いたり、化学合成により得られたDNA配列ま
たは修飾DNA配列を、微生物あるいは動物、植物、昆
虫などで発現させて得られたリコビナント抗原や、それ
らの情報を利用し液相法や固相法として知られたペプチ
ド化学合成法により得られたペプチドまたは改変ペプチ
ドを用いることもできる。
【0007】ペプチドの固相合成法は、一般的には自動
ペプチド合成装置により好適に行うことが出来、例えば
ミリジェン・バイオーチ社製(MilliGen/Bi
osearch)モデル9050、モデル9500、あ
るいはエクセル(Excell)、アプライド・バイオ
システムズ社製(Applied Biosystem
s)モデル430Aやモデル431A、デュポン社製
(DuPont)アールエイエムピーエス(RaMP
S)、国産化学株式会社製「コックさん」、アドバンス
ド・ケムテク社製(Advanced ChemTec
h)モデル350などを用いて行うことができる。ヒト
MMP−7のGIQKLYGKRSNSRKK(R25
3−267)のアミノ酸配列を含むC末端領域、ヒトプ
ロMMP−7のLPLPQEAGGMSELQWEQ
(R18−34)のアミノ酸配列を含むN末端領域、あ
るいはそれら領域と実質的に同等の活性あるいは構造を
有するペプチドを合成して免疫原性コンジュゲートと
し、これを用いて特定の配列のみを認識できるモノクロ
ーナル抗体を得ることができる。
【0008】担体タンパク質類と結合させるにあたって
は、担体タンパク質類はまず活性化されることができ
る。こうした活性化にあたり活性化結合基を導入するこ
とが挙げられる。活性化結合基としては、(1)活性化
エステルあるいは活性化カルボキシ基、例えばニトロフ
ェニルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステル
基、1−ベンゾトリアゾールエステル基、N−スクシン
イミドエステル基など、(2)活性化ジチオ基、例えば
2−ピリジルジチオ基などが挙げられる。担体タンパク
質類としては、キーホール・リンペット・ヘモシアニン
(KLH),牛血清アルブミン(BSA)、卵白アルブ
ミン、グロブリン、ポリリジンなどのポリペプタイド、
細菌菌体成分、例えばBCGなどが挙げられる。
【0009】2.免疫原性抗原による動物の免疫 動物を免疫するには、例えば村松繁、他編、実験生物学
講座14、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日
本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究
法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生
化学実験講座12、分子免疫学 III、抗原・抗体・補
体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じ
て行うことができる。抗原と共に用いられるアジュバン
トとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リビ
(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG、
リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シリカ
などが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどの
マウスをはじめとする動物を使用して行われる。抗原の
投与量は、例えばマウスに対して約1〜400μg/動
物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注射し、以後
1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ごとに腹腔
内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を2〜10
回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBALB
/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウス
とのF1マウスなどを用いることもできる。必要に応
じ、抗体価測定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫
の程度を確認できる。
【0010】3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)と
しては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶこと
ができ、例えばP3−NS−1−Ag4−1(NS−
1,Eur. J. Immunol., 6, 511〜519, 1976)、SP2/
0−Ag14(SP2,Nature, 276, 269〜270, 1978
) 、マウスミエローマMOPC−21セルライン由来
のP3−X63−Ag8−U1(P3U1,Current to
pics in Microbiol. and Immunol., 81, 1〜7, 1978
)、P3−X63−Ag8(X63,Nature, 256, 49
5〜497, 1975 ) 、P3−X63−Ag8.653 (6
53,J. Immunol., 123, 1548〜1550, 1979) などを用
いることができる。8−アザグアニン耐性のマウスミエ
ローマ細胞株はダルベッコMEM培地(DMEM培
地)、RPMI−1640培地などの細胞培地に、例え
ばペニシリン、アミカシンなどの抗生物質、牛胎児血清
(FCS)などを加え、さらに8−アザグアニン(例え
ば5〜45μg/ml)を加えた培地で継代されるが、
細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代して所要数の細
胞株を用意することができる。また使用細胞株は、凍結
保存株を約37℃で完全に解凍したのちRPMI−16
40培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地で
培養して所要数の細胞株を用意したものであってもよ
い。
【0011】4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細
胞融合 上記2.の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは
最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、脾細胞
懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ節細胞を
得て、それを細胞融合に使用することもできる。こうし
て得られた脾細胞懸濁液と上記4.の工程に従い得られ
たミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地(MEM培
地)、DMEM培地、RPMI−1640培地などの細
胞培地中に置き、細胞融合剤、例えばポリエチレングリ
コールを添加する。細胞融合剤としては、この他各種当
該分野で知られたものを用いることができ、この様なも
のとしては不活性化したセンダイウイルス(HVJ:H
emagglutinating virus of
Japan)などが挙げられる。好ましくは、例えば3
0〜60%のポリエチレングリコールを0.5〜2ml
加えることができ、分子量が1,000〜8,000の
ポリエチレングリコールを用いることができ、さらに分
子量が1,000〜4,000のポリエチレングリコー
ルがより好ましく使用できる。融合培地中でのポリエチ
レングリコールの濃度は、例えば30〜60%となるよ
うにすることが好ましい。必要に応じ、例えばジメチル
スルホキシドなどを少量加え、融合を促進することもで
きる。融合に使用する脾細胞(リンパ球):ミエローマ
細胞株の割合は、例えば1:1〜20:1とすることが
挙げられるが、より好ましくは4:1〜10:1とする
ことができる。融合反応を1〜10分間行い、次にRP
MI−1640培地などの細胞培地を加える。融合反応
処理は複数回行うこともできる。融合反応処理後、遠心
などにより細胞を分離した後選択用培地に移す。
【0012】5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及
びモノクローン化 選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプ
テリン及びチミジンを含む、FCS含有MEM培地、R
PMI−1640培地などの培地、所謂HAT培地が挙
げられる。選択培地交換の方法は、一般的には培養プレ
ートに分注した容量と当容量を翌日加え、その後1〜3
日ごとにHAT培地で半量ずつ交換するというようにす
ることができるが、適宜これに変更を加えて行うことも
できる。また融合後8〜16日目には、アミノプテリン
を除いた、所謂HT培地で1〜4日ごとに培地交換をす
ることができる。フィーダーとして、例えばマウス胸腺
細胞を使用することもでき、それが好ましい場合があ
る。ハイブリドーマの増殖のさかんな培養ウェルの培養
上清を、例えば放射免疫分析(RIA)、酵素免疫分析
(ELISA)、蛍光免疫分析(FIA)などの測定
系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(FACS)など
で、ヒトMMP−7あるいはその断片ペプタイドなどを
抗原として用いたり、あるいは標識抗マウス抗体を用い
て目的抗体を測定するなどして、スクリーニングしたり
分離する。目的抗体を産生しているハイブリドーマをク
ローニングする。クローニングは、寒天培地中でコロニ
ーをピック・アップするか、あるいは限界希釈法により
なされうる。限界希釈法でクローニングがより好ましく
行うことができる。クローニングは複数回行うことが好
ましい。
【0013】6.モノクローナル抗体の製造 得られたハイブリドーマ株は、FCS含有MEM培地、
RPMI−1640培地などの適当な増殖用培地中で培
養し、その培地上清から所望のモノクローナル抗体を得
ることが出来る。大量の抗体を得るためには、ハイブリ
ドーマを腹水化することが挙げられる。この場合ミエロ
ーマ細胞由来の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に
各ハイブリドーマを移植し、増殖させるか、例えばヌー
ド・マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖さ
せ、該動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を
回収して得ることが出来る。ハイブリドーマの移植に先
立ち、プリスタン(2,6,10,14−テトラメチル
ペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与した後、ハイ
ブリドーマを増殖させ、腹水を採取すればよい。腹水液
はそのまま、あるいは従来公知の方法、例えば硫酸アン
モニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによる
ゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳
動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラ
フィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精
製してモノクローナル抗体として用いることができる。
好ましくは、モノクローナル抗体を含有する腹水は、硫
安分画した後、DEAE−セファロースの如き、陰イオ
ン交換ゲル及びプロテインAカラムの如きアフィニティ
ーカラムなどで処理し精製分離処理できる。特に好まし
くは抗原又は抗原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗
原タンパク質あるいはペプチド、抗体が特異的に認識す
る部位など)を固定化したアフィニティー・クロマトグ
ラフィー、プロテインAを固定化したアフィニティー・
クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0014】こうして得られたモノクローナル抗体は、
市販のアイソタイプ特異的抗マウスIg抗体、例えばア
イソタイプ特異的ウサギ抗マウスIg抗体などを用いて
その抗体構成鎖の重鎖及び軽鎖のタイプについて調べる
ことができる。ヒトプロMMP−7抗原を特異的に認識
できるモノクローナル抗体としては、重鎖のタイプとし
てγ鎖、特にはγ1 鎖、γ2a鎖、γ2b鎖などを持つも
の、αを持つもの、μ鎖を持つものが挙げられ、軽鎖の
タイプとしてκ鎖を持つものが挙げられる。ヒトMMP
−7ポリペプチド抗原を特異的に認識できるモノクロー
ナル抗体としては、重鎖のタイプとしてγ鎖、特にはγ
1 鎖、γ2a鎖、γ3 鎖などを持つもの、μ鎖を持つもの
が挙げられ、軽鎖のタイプとしてκ鎖を持つものが挙げ
られる。
【0015】またこうして大量に得られた抗体の配列を
決定したり、ハイブリドーマ株から得られた抗体をコー
ドする塩基配列を利用して、遺伝子組換え技術により抗
体を作製することも可能である。さらにこれら抗体をト
リプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理し
て、場合により還元して得られるFab、Fab’、F
(ab’)2 といった抗体フラグメントにして使用して
もよい。標識物を付与する抗体としては、IgG画分、
例えば抗体含有物を硫安分画した後、DEAE−セファ
ロースの如き、陰イオン交換ゲルで処理して得られるI
gG画分など、更にはペプシン消化後還元して得られる
特異的結合部Fab’などを用いることができる。これ
らの場合の標識物の例としては、下記するように酵素
(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼあるいは
β−D−ガラクトシダーゼなど)、化学物質、蛍光物質
あるいは放射性同位元素などがある。
【0016】本発明の一つの態様では、ヒトMMP−7
と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体が提供され
る。より具体的にはこうしたモノクローナル抗体は、ヒ
トMMP−7のGIQKLYGKRSNSRKK(R2
53−267)のアミノ酸配列を含むC末端領域を特異
的に認識し、プロMMP−7、中間体MMP−7及び活
性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗体で
ある。さらにはヒトプロMMP−7のLPLPQEAG
GMSELQWEQ(R18−34)のアミノ酸配列又
はその近傍を含むN末端領域を特異的に認識し、プロM
MP−7のみと免疫反応するモノクローナル抗体である
こともできる。またある場合には該モノクローナル抗体
は、ポリペプチドであるLPLPQEAGGMSELQ
WEQ(R18−34)、LNMWGKEIPLHFR
KVVWG(R133−150)及びGIQKLYGK
RSNSRKK(R253−267)には反応せず、プ
ロMMP−7のみを認識するものである。
【0017】本発明の更なる一つの態様では、ヒトプロ
MMP−7のR18−34以外のアミノ酸領域(又は配
列)の一部を特異的に認識し、プロMMP−7のみと免
疫反応するモノクローナル抗体が提供される。本発明に
従えば「アミノ酸配列又はその近傍」の「その近傍」と
は、ヒトプロMMP−7のR18−34以外のアミノ酸
領域(又は配列)の一部であってよく、また実質的に表
8及び図3などで記載されたり、クローン141−7B
2で実質的に代表的に例示されるモノクローナル抗体の
認識部位を意味してよく、あるいはポリペプチドである
ヒトプロMMP−7のR18−34、同R133−15
0及び同R253−267には反応せず、プロMMP−
7のみを認識するモノクローナル抗体の実質的な認識部
位を意味するものであることができる。本発明では、こ
うして得られたヒトMMP−7に対し特異的に結合する
モノクローナル抗体を用いて検体試料中のMMP−7を
免疫学的に定量する方法が提供される。特にヒトプロM
MP−7のみを特異的に認識するモノクローナル抗体、
ヒトプロMMP−7のLPLPQEAGGMSELQW
EQ(R18−34)のアミノ酸配列を含むN末端領域
あるいはそれと実質的に同等なアミノ酸配列を特異的に
認識し、プロMMP−7のみと免疫反応するモノクロー
ナル抗体及びヒトMMP−7のGIQKLYGKRSN
SRKK(R253−267)のアミノ酸配列を含むC
末端領域あるいはそれと実質的に同等なアミノ酸配列を
特異的に認識し、プロ、中間体及び活性化型MMP−7
と免疫反応するモノクローナル抗体から成る群から選ば
れたものを使用したMMP−7を免疫学的に定量する方
法が提供される。さらにそれぞれヒトプロMMP−7の
うちの異なる領域に特異性を有するモノクローナル抗体
の少なくとも二つを組み合わせ、MMP−7を免疫学的
に定量する方法も提供される。
【0018】本発明の測定は、イムノアッセイ、例えば
競合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで
行うことができ、RIA、ELISAなどを用いること
ができ、B−F分離を行ってもあるいは行わないでその
測定を行うこともできる。好ましくは酵素免疫測定法
(EIA)であり、さらにサンドイッチ型アッセイが挙
げられる。さらにはまた標識モノクローナル抗体試薬を
用いた免疫細胞染色あるいは免疫組織染色を行うことが
できる。測定は直接法でも間接法でもよい。また間接法
の変法、例えばPAP法(ペルオキシダーゼ・アンチペ
ルオキシダーゼ法)、ABC法(アビジン・ビオチン・
コンプレックス法)、プロテインA法などを用いること
もできる。例えばサンドイッチ型アッセイでは、MMP
−7に対する抗体の一方を検出可能に標識化する。同じ
抗原を認識できる他の抗体を固相に固定化する。検体と
標識化抗体及び固相化抗体を必要に応じ順次反応させる
ためインキュベーション処理し、ここで非結合抗体を分
離後、標識物を測定する。測定された標識の量は抗原、
すなわちMMP−7の量と比例する。このアッセイで
は、不溶化抗体や、標識化抗体の添加の順序に応じてワ
ンステップサンドイッチ型アッセイ、フォワード(forw
ard)サンドイッチ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型
アッセイなどと呼ばれる。例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ
過あるいは抗原の予備抽出等は、特定の状況のもとでそ
れら測定工程の中で適宜採用される。特定の試薬、緩衝
液等の濃度、温度あるいはインキュベーション処理時間
などのその他の測定条件は、検体中の抗原の濃度、検体
試料の性質等の要素に従い変えることができる。当業者
は通常の実験法を用いながら各測定に対して有効な最適
の条件を適宜選定して測定を行うことが出来る。
【0019】抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−
アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材
料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリ
レート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ス
チレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタ
クリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタ
クリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲ
ン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロ
ース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または
変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機
高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたも
の、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリ
ング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられ
る。
【0020】さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、
例えば試験管、タイタープレート、タイターウェル、ガ
ラスセル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセ
ル、ガラス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたり
あるいは細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたり
あるいは偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの
固体物質(物体)の表面などが挙げられる。これら担体
へは、抗体を結合させることができ、好ましくは本発明
で得られるヒトマトリックスメタロプロテアーゼ7に対
し特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させるこ
とができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するもの
との結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合剤
などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりする
化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利用
した手法などにより行うことが出来る。
【0021】標識としては、酵素、酵素基質、酵素イン
ヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素前駆体、アポ酵
素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッセンス化合物、
発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒子、例えば金コ
ロイドなど、放射性物質などを挙げることができる。酵
素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸化酵素などの酸
化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキシル基、メチル
基、アシル基、リン酸基などを転移するのを触媒する転
移酵素、例えばエステル結合、グリコシド結合、エーテ
ル結合、ペプチド結合などを加水分解する加水分解酵
素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼなどを挙げるこ
とができる。酵素は複数の酵素を複合的に用いて検知に
利用することもできる。例えば酵素的サイクリングを利
用することもできる。
【0022】代表的な酵素標識としては、西洋ワサビペ
ルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β−D
−ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、マレエー
ト・デヒドロゲナーゼ、グルコース−6−フォスフェー
ト・デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グル
コアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラー
ゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリ
ホスファターゼなどのアルカリ・フォスファターゼなど
が挙げられる。アルカリホスファターゼを用いた場合、
4−メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウン
ベリフェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなど
のリン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素
的サイクリング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン
誘導体などの基質を使用したりして、生ずる蛍光、発光
などにより測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ
系を利用したりすることもできる。カタラーゼを用いた
場合、過酸化水素と反応して酸素を生成するので、その
酸素を電極などで検知することもできる。電極としては
ガラス電極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電
極、高分子膜電極などであることもできる。酵素標識
は、ビオチン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトア
ビジン)に置き換えることも可能である。標識は、複数
の異なった種類の標識を使用することもできる。こうし
た場合、複数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、
そして同時にあるいは別々に行うことを可能にすること
もできる。
【0023】本発明においては、信号の形成に4−ヒド
ロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレンジアミン、テ
トラメチルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダ
ーゼ、ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニル
ガラクトシドなどとβ−D −ガラクトシダーゼ、グルコ
ース−6−リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の
組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾ
キノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合
物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェ
ノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの作用
により形成しうるものが使用できる。
【0024】蛍光物質あるいは化学ルミネッセンス化合
物としては、フルオレセインイソチオシアネート、例え
ばローダミンBイソチオシアネート、テトラメチルロー
ダミンイソチオシアネートなどのローダミン誘導体、ダ
ンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレスカミ
ン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム塩、ルミフ
ェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどのルミノー
ル、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類キレート
化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。標識するに
は、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスル
フィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基
の反応などを利用して行うことができ、公知の方法ある
いは当該分野の当業者が容易になしうる方法、さらには
それらを修飾した方法の中から適宜選択して適用でき
る。また上記免疫原性コンジュゲート作製に使用される
ことのできる縮合剤、担体との結合に使用されることの
できる縮合剤などを用いることができる。
【0025】縮合剤としては、例えばグルタルアルデヒ
ド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソチオシアネート、N,N’−ポリメチレンビスヨ
ードアセトアミド、N,N’−エチレンビスマレイミ
ド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネー
ト、ビスジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミ
ジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(S
PDP)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミ
ドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(S
MCC)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マ
レイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレー
ト、N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)ア
ミノベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−
マレイミドフェニル)ブチレート、N−(ε−マレイミ
ドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS),イ
ミノチオラン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水
物、メチル−3−(4’−ジチオピリジル)プロピオン
イミデート、メチル−4−メルカプトブチリルイミデー
ト、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N
−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテー
トなどが挙げられる。
【0026】本発明の測定法によれば、測定すべき物質
を酵素などで標識したモノクローナル抗体試薬と、担体
に結合された抗体とを順次反応させることもできるし、
同時に反応させることもできる。試薬を加える順序は選
ばれた担体系の型により異なる。感作されたプラスチッ
クなどのビーズを用いた場合には、酵素などで標識した
モノクローナル抗体試薬を測定すべき物質を含む検体試
料と共に最初適当な試験管中に一緒に入れ、その後該感
作されたプラスチックなどのビーズを加えることにより
測定を行うことができる。本発明の定量法においては、
免疫学的測定法が用いられるが、その際の固相の担体と
しては抗体等タンパク質を良く吸着するポリスチレン
製、ポリカーボナイト製、ポリプロピレン製あるいはポ
リビニル製のボール、マイクロプレート、スティック、
微粒子あるいは試験管等の種々の材料および形態を任意
に選択し使用することができる。測定にあたっては至適
pH、例えばpH約4〜9に保つように適当な緩衝液系
中で行うことができる。特に適切な緩衝剤としては、例
えばアセテート緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェ
ート緩衝剤、トリス緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝
剤、ボレート緩衝剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、
トリス−塩酸緩衝剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに
任意の割合で混合して用いることができる。抗体抗原反
応は約0℃〜60℃の間の温度で行うことが好ましい。
【0027】酵素などで標識されたモノクローナル抗体
試薬及び担体に結合せしめられた抗体試薬、さらには測
定すべき物質のインキュベーション処理は、平衡に達す
るまで行うことができるが、抗体抗原反応の平衡が達成
されるよりもずっと早い時点で固相と液相とを分離して
限定されたインキュベーション処理の後に反応を止める
ことができ、液相又は固相のいずれかにおける酵素など
の標識の存在の程度を測ることができる。測定操作は、
自動化された測定装置を用いて行うことが可能であり、
ルミネセンス・ディテクター、ホト・ディテクターなど
を使用して基質が酵素の作用で変換されて生ずる表示シ
グナルを検知して測定することもできる。抗体抗原反応
においては、それぞれ用いられる試薬、測定すべき物
質、さらには酵素などの標識を安定化したり、抗体抗原
反応自体を安定化するように適切な手段を講ずることが
できる。さらに、非特異的な反応を除去し、阻害的に働
く影響を減らしたり、あるいは測定反応を活性化したり
するため、タンパク質、安定化剤、界面活性化剤、キレ
ート化剤などをインキュベーション溶液中に加えること
もできる。当該分野で普通に採用されていたりあるいは
当業者に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブロッ
キング処理を施してもよく、例えば、哺乳動物などの正
常血清タンパク質、アルブミン、スキムミルク、乳発酵
物質、コラーゲン、ゼラチンなどで処理することができ
る。非特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それらの
方法は特に限定されず用いることが出来る。
【0028】本発明の測定方法で測定される試料として
は、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液などが使用しう
るが、好ましくは生物由来の流体試料、例えば血液、血
漿、、関節液、脳脊髄液、唾液、羊水、尿、その他の体
液、細胞培養液、組織培養液、生検検体、例えば細胞、
組織、臓器、腫瘍組織などが挙げられる。特に好ましく
は血漿、血清などが挙げられる。本発明の標識モノクロ
ーナル抗体試薬を用いた免疫細胞染色あるいは免疫組織
染色では、生検検体、例えば細胞、組織、臓器、腫瘍組
織などが好適に用いられ、それら試料は染色前に必要に
応じ固定化することができる。組織の固定化には当該分
野で広く使用されているものあるいはそれから誘導され
たものを使用できる。例えばペリオデイト−リジン−パ
ラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ブアン、ホ
ルマリン、パラホルムアルデヒド、ザンボニー、アクロ
レインなどが使用できる。またパラフィンなどで固定化
することもできる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されず、様々な実
施形態が可能であり、本発明は本明細書及び図面に開示
の思想に従ったものであるかぎり、すべての実施形態を
包含することは理解されるべきである。 実施例1 抗原の作製 (a)ヒト直腸癌細胞由来プロMMP−7の調製 CaR−1細胞をダルベッコ変法イーグル/F12培地
(ライフテックオリエンタル製)で培養した。まず、1
0%FCS、ペニシリン及びストレプトマイシンを含む
ダルベッコ変法イーグル/F12培地中で、CaR−1
細胞をコンフルエントまで培養した。次に、0.2%ラ
クトアルブミン水酸化物を含み無血清としたBT563
培地(バイオテスト製、ドイツ)で14日間培養し、そ
の培養液を回収した。得られた培養液から、J.Bio
l.Chem.,261,14245−14255,1
986及びJ.Biol.Chem.,267,217
12−21719,1992に記載のOkada et
al.の方法に従いヒトMMP−7を精製した。培養
液をYM−10メンブラン(Amicon製)を用いて
濃縮し、その濃縮液を0.15M NaCl,5mM
CaCl2 ,0.02% NaN3 含有50mM トリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したDEAE−
セルロースカラムに供し、グリコサアミノグリカンを取
り除いた。次に、非吸着画分を同緩衝液で平衡化したG
reen A Dyematrix gel(Amic
on製)カラムに供した。MMP−7の大部分は吸着し
上記緩衝液に0.05% Brij35を加え、NaC
l濃度0.15M〜2.0Mの濃度勾配で溶出させた。
溶出画分を分取し、5mM CaCl2 ,0.05%
Brij35,0.02% NaN3 含有10mM ト
リス−塩酸緩衝液(pH8.0)に対し透析後、同緩衝
液にて平衡化したDEAE−セルロースカラムに供し
た。
【0030】非吸着画分にあるMMP−7を分取し0.
15M NaCl,1mM CaCl2 ,0.05%B
rij35,0.02% NaN3 含有25mM ホウ
酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に対し透析し、その
透析液を亜鉛キレートセファロース(Pharmaci
a製)カラムに供した。プロMMP−7と活性化型であ
るMMP−7を1mM CaCl2 ,0.05% Br
ij35,0.02%NaN3 含有25mM カコジル
酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)に溶解したNaCl
の濃度勾配により分離した。活性化型MMP−7は0.
15M NaCl含有同緩衝液で溶出され、プロMMP
−7は1M NaCl含有同緩衝液にて溶出された。プ
ロMMP−7画分をYM−10メンブランにて濃縮し、
0.4mM NaCl,10mM CaCl2 ,0.0
5% Brij35,0.02% NaN3含有50m
M トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したウ
ルトロゲルAcA44(IBF Biotechnic
s製)カラムによりゲルろ過し、高分子側の不純物を除
去した。得られた精製ヒトプロMMP−7に20mM
EDTAを加え、室温で3時間静置した後、0℃で保存
した。また精製ヒトプロMMP−7をデドシル硫酸ナト
リウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)に供したところ、分子量28kDaの単一バン
ドを示した。
【0031】(b)ヒトMMP−7ポリペプチドの調製 ヒトMMP−7ポリペプチドとして、Muller e
t al.,Biochem.J.,253,187−
192,1988に記載のアミノ酸配列を用いた。ヒト
MMP−7 C末端領域ポリペプチド(C−GIQKL
YGKRSNSRKK,R253−267)をペプチド
シンセサイザー9600(ミリジエン/バイオサーチ
製)で合成した。なお、ペプチドN末端にシステインを
導入した。次に12.2mgKLHを1.95mlの
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解したもの
と、11.6mg EMCS 176.1μlのジメチ
ルホルムアミド(DMF)に溶解したものとを混合し、
30℃,30分間インキュベーションした。次に、上記
の混合液を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡
化したPD−10カラム(Pharmacia製)でゲ
ルろ過し、マレイミドが結合されたKLHを分取し、
1.5mlに濃縮した。マレイミドが結合されたKLH
に対し50倍モル量の合成ヒトMMP−7ポリペプチド
3.5mgを0.547ml 0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)に溶解したものを混合した。4℃、20
時間インキュベーションし、MMP−7ポリペプチド−
KLH複合体を調製した。
【0032】実施例2 抗ヒトプロMMP−7モノクロ
ーナル抗体の作製 (a)抗体産生細胞の調製 実施例1(a)に記載の方法により調製したヒトプロM
MP−7 26μgをフロイント完全アジュバントと共
に6週令 BALB/c雌マウス2匹にそれぞれ腹腔内
投与し初回免疫とした。その後17日目に10mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH7.4)に溶解した26μgヒト
プロMMP−7で追加免疫した。最終免疫として52日
目に追加免疫時と同様にヒトプロMMP−7 26μg
を静脈内投与し、3日後にマウス脾臓を取り出し脾臓細
胞を調製した。
【0033】(b)細胞融合 (1)以下の材料及び方法を用いる。 RPMI−1640培地:RPMI−1640(JRH
Biosiences製)に重炭酸ナトリウム(24
mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリン
Gカリウム(50U/ml)、硫酸ストレプトマイシン
(50μg/ml)及び硫酸アミカシン(100μg/
ml)を加え、ドライアイスでpHを7.2にし、0.
22μmミリポアフィルターで除菌ろ過する。 NS−1培地:上記RPMI−1640培地に除菌ろ過
したFCS(JRHBiosiences製)を15%
(v/v)の濃度に加える。 PEG4000溶液:RPMI−1640培地にポリエ
チレングリコール4000(PEG 4000,Mer
ck and CO.,Inc.製)50%(w/w)
無血清溶液を調製する。8−アザグアニン耐性ミエロー
マ細胞SP2(SP2/0−Ag14)との融合は、S
elected Method in Cellula
r Immunology(eds.B.B.Mish
ell and S.M.Shiigi)、W.H.F
reeman and Company(1980)、
351〜372に記載のOi and Herzenb
erg法を若干改変して行った。
【0034】(2)前記(a)項で調製した有核脾臓細
胞(生細胞率100%)とミエローマ細胞(生細胞率1
00%)とを6:1の割合で融合した。脾臓細胞とミエ
ローマ細胞をそれぞれ前記RPMI−1640培地で洗
浄した。次に、融合させるためにそれぞれ同じ培地に懸
濁させた有核脾臓細胞6×108 とミエローマ細胞1×
108 を混合した。次に、1,000r.p.m.で1
0分間の遠心分離により細胞を沈殿させ上清を完全に吸
引除去した。沈殿した細胞に37℃に加温したPEG
4,000溶液3.3mlを穏やかに攪拌しながら1分
間で滴下し、1分間攪拌し細胞を再懸濁、分散させた。
次に37℃に加温したRPMI−1640培地3.3m
lを1分間で滴下した。この操作をさらに1回繰り返し
た後、同培地23.1mlを2〜3分間で常に攪拌しな
がら滴下し、細胞を分散させた。これを1,000r.
p.m.で7分間遠心分離し上清を完全に吸引除去し
た。次にこの沈殿細胞に37℃に加温したNS−1培地
33mlを速やかに加え、大きい細胞塊を注意深くピッ
ペティングで分散させた。さらに同培地66mlを加え
て希釈しポリスチレン製96穴マイクロウエル(岩城硝
子製)にウエルあたり6×105 個/0.1mlの細胞
を加えた。このマイクロウエルを7%炭酸ガス/93%
空気中で温度37℃、湿度100%下で培養した。
【0035】(c)選択培地によるハイブリドーマの選
択的増殖 (1)使用する培地は以下のとおりである。 HAT培地:前記(c)項で述べたNS−1培地にさら
にヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン
(0.4μM)及びチミジン(16μM)を加える。 HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT
培地と同一組成のものである。 (2)前記(b)項の培養開始後翌日(1日目)、細胞
にピペットでHAT培地2滴(約0.1ml)を加え
た。2,3,5,8日目に培地の半分(約0.1ml)
を新しいHAT培地で置き換えた。11日目に培地の半
分を新しいHT培地に置き換えた。15日目にハイブリ
ドーマの充分な生育が観察された全ウエルについて、次
項(d)記載のELISAにより陽性ウエルを調べた。
次に、フィーダーとして107 個のマウス胸腺細胞を含
むHT培地1mlをポリスチレン製24穴セルウエル
(住友ベークライト製)の各ウエルに加え、上記で検出
された各陽性ハイブリドーマの充分生育した時点でEL
ISAにより陽性を再確認し、それぞれについて次項
(e)記載の限界希釈法によるクローニングを行った。
【0036】(d)ELISAによる抗ヒトプロMMP
−7抗体産生ハイブリドーマの検索 Anal.Biochem.,104,205〜21
4,1980に記載のRennard et al.の
方法を若干改変した方法を用いて行った。前記実施例1
(a)で精製したヒトプロMMP−7 50ng/ウエ
ルで96穴マイクロタイトレーションプレート(Flo
w Lab.製)をコートした。これに、前記(c)で
得られたハイブリドーマ生育ウエルの上清の一部を加え
て、室温で約1時間静置した。2次抗体として西洋わさ
びペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗マウス免疫グ
ロブリン(Cappel Lab.製)を加え、さらに
室温で約1時間静置した。次に、基質である過酸化水素
とo−フェニレンジアミンを加え発色の程度をマイクロ
プレートリーダー(MRP−A4,東ソー製)を用いて
492nmの吸光度で測定した。
【0037】(e)クローニング 前記(c)の操作後、各ウエル中には2種以上のハイブ
リドーマが生育している可能性があるので、限界希釈法
によりクローニングを行いモノクローナル抗体産生ハイ
ブリドーマを取得する。NS−1培地1ml当たりフイ
ーダーとして107 個のマウス胸腺細胞を含むクローニ
ング培地を調製し、96穴マイクロウエルの36ウエ
ル、36ウエル、24ウエルにウエル当たりそれぞれ5
個、1個及び0.5個のハイブリドーマを加える。5日
目に全ウエルに約0.1mlのNS−1培地を追加し
た。11日目にハイブリドーマの充分な生育が認めら
れ、それらについてELISAを行った。テストした全
ウエルが陽性でない場合、抗体陽性ウエル中のコロニー
数を確認し、ウエル中に1コロニーが確認されたウエル
を1個選び、再クローニングする。最終的にヒトプロM
MP−7に対するモノクローナル抗体産生ハイブリドー
マ17株が得られた。
【0038】(f)ハイブリドーマによるモノクローナ
ル抗体の大量産生 ハイブリドーマの増殖は常法によって行う。すなわち、
得られた各ハイブリドーマをNS−1培地などの適当な
培養液で培養し、その培養上清から10〜100μg/
mlの濃度のモノクローナル抗体を得ることができる。
一方、大量に抗体を得るためには脾臓細胞とミエローマ
細胞の由来マウスと同系のマウス(BALB/c)に1
匹当たり0.5mlの腫瘍形成促進剤プリスタン(Al
drich Chem.製)を腹腔内投与する。1〜3
週間後に、各ハイブリドーマ1×107 個を同じく腹腔
内投与し、さらに、その1〜2週間後に4〜7mg/m
lのモノクローナル抗体を含む腹水を得ることができ
る。
【0039】(g)モノクローナル抗体のアイソタイプ 前述したELISA法に従って、ヒトMMP−7をコー
トしたマイクロタイトレーションプレートに各モノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマの培養上清を加えた。
0.05%ツイン20含有PBSで洗浄した後、アイソ
タイプ特異的ウサギ抗マウスIg抗体(Zymed.L
ab.製)を加えた。0.05%ツイン20含有PBS
による洗浄後、HRP標識ヤギ抗ウサギIgG(H+
L)抗体を加え、基質として過酸化水素及び2,2′−
アジノ−ジ(3−エチルベンゾリン硫酸)を用いて検出
した。その結果、得られたプロヒトMMP−7に対する
モノクローナル抗体のうち、4個が免疫グロブリン鎖γ
1 /κを、5個がγ2a/κを、1個がγ2b/κを、4個
がα/κを、3個がμ/κをそれぞれ有していた(表
1)。 (h)モノクローナル抗体の精製 前記(f)項で得られたIgG1抗体含有各腹水を40
%飽和硫酸アンモニウム分画後、アフィゲル プロテイ
ンA MAPS−IIキット(Bio−Rad製)を用い
て精製した。プロテインA アガロースカラム(φ2.
5×5cm)を0.5M NaCl含有1.5Mグリシ
ン−NaOH緩衝液(pH8.0)で平衡化し、抗体含
有透析40%飽和硫酸アンモニウム画分をそのカラムに
供し、0.1Mクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液
(pH5.0)で溶出した。溶出液4ml/フラクショ
ンに分画したところ、例えばクローン141−15C6
(生工研受託番号 FERM P−14733)はフラ
クション28〜34に、クローン141−7B2(生工
研受託番号 FERM P−14734)はフラクショ
ン26〜33に溶出された。
【0040】実施例3 抗ヒトプロMMP−7ポリペプ
チドモノクローナル抗体の作製 (a)免疫方法および脾臓細胞の調製法 実施例1(b)に記載の方法により調製したヒトMMP
−7ポリペプチド−KLH複合体453μgを完全フロ
イントアジュバンドと共に、6週令、BALB/c雌マ
ウス2匹にそれぞれに腹腔内投与し、初回免疫とした。
その後、17日目に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.
0)に溶解した200μgポリペプチド−KLH複合体
を追加免疫した。最終免疫として50日目に追加免疫時
と同様にポリペプチド−KLH複合体67μgを静脈内
および133μgを腹腔内投与し、3日後にマウス脾臓
を取り出し脾臓細胞を調製した。 (b)細胞融合 前記(a)で調製した有核脾臓細胞(生細胞率100
%)を用いて前記実施例2(b)と同様に行った。 (c)選択培地によるハイブリドーマの選択的増殖 前記(b)の培養開始翌日より、前記実施例2(c)に
記載した方法で行った。
【0041】(d)ELISA法による抗ヒトMMP−
7ポリペプチド抗体産生ハイブリドーマの検索 前記実施例2(d)に記載した方法と同様に行った。こ
の方法においては、96穴マイクロタイトレーションプ
レートをヒトMMP−7ポリペプチド 100ng/ウ
エルでコートした。 (e)クローニング 前記実施例2(e)に記載した方法と同様に行った。最
終的に表2に示したヒトMMP−7ポリペプチドに対す
るモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ12株が得ら
れた。 (f)ハイブリドーマによるモノクローナル抗体の大量
産生 前記実施例2(f)に記載した方法と同様に行った。 (g)モノクローナル抗体のアイソタイプ 前述したELISA法に従ってヒトMMP−7ポリペプ
チド 100ng/ウエルをコートしたマイクロタイト
レーションプレートに前記(e)で得られた各モノクロ
ーンの培養上清を加えて、前記実施例2(g)に記載し
た方法と同様に行った。得られたモノクローナル抗体の
うち、9個が免疫グロブリン鎖γ1 /κを、1個がγ2a
/κを、1個がγ3 /κを、1個が、μ/κをそれぞれ
有していた(表2)。 (h)モノクローナル抗体の精製 前記実施例2(h)に記載した方法と同様に行った。抗
体含有各腹水を40%飽和硫酸アンモニウム分画後、ア
フィゲル プロテインA MAPS−IIキット(Bio
−Rad製)を用いて精製した。
【0042】実施例4 抗ヒトプロMMP−7モノクロ
ーナル抗体および抗ヒトMMP−7ポリペプチドモノク
ローナル抗体の選択 (a)ヒトプロMMP−7と抗ヒトプロMMP−7モノ
クローナル抗体との反応性 前記実施例1(a)で得られたヒトプロMMP−7と前
記実施例2(h)で得られた17株の精製各モノクロー
ナル抗体との反応性を調べた。実施例1(a)で調製し
たMMP−7をSDS−PAGEにかけた後、細胞工学
1&2,1061−1068,1983に記載の田部の
方法に従ってウエスタンブロッティングを行い、各モノ
クローンの培養上清と反応後、HRP標識ヤギ抗マウス
免疫グロブリン(Cappel Lab.製)を用い間
接法によりイムノブロッティングを行った。また、他の
MMPsとの交差反応を調べるためにヒト新生児線維芽
細胞(NB1RGB)から精製したプロMMP−1
(J.Zhang et al.,Clin.Chi
m.Acta,219,1−14,1993)、プロM
MP−2(N.Fujimoto et al.,Cl
in,Chim.Acta,221,91−103,1
993)、プロMMP−3(K.Obata et a
l.,Clin.Chim.Acta,211,59−
72,1992)及びヒト線維肉腫細胞(HT108
0)から精製したプロMMP−9(N. Fujimo
to et al.,Clin. Chim.Act
a,231,79−88,1994)を用い上記のイム
ノブロッティングもしくは前記(d)で記述したELI
SAを行った。表3に示したように、これらのプロMM
P−7モノクローナル抗体は、他のヒトプロMMPsと
反応せずヒトプロMMP−7に対して特異的に反応し
た。
【0043】(b)抗ヒトプロMMP−7ポリペプチド
モノクローナル抗体の選択 得られた12個のポリペプチドモノクローナル抗体はす
べてヒトプロMMP−7を認識したが、抗ヒトプロMM
P−7モノクローナル抗体よりも反応性は弱かった。し
かし、クローン125−20H11(生工研受託番号
FERM P−14735)は実施例5記載の免疫組織
染色に使用可能であった。また、125−20H11と
他のMMPsとの交差反応を調べるために上記(a)項
で記載した培養細胞の培養液を用いてイムノブロッテン
グを行った。培養液中にはプロMMP−1,プロMMP
−2,プロMMP−3,プロMMP−9が共存するが、
イムノブロッテングではこれらMMPsに相当するバン
ドは検出されず、交差反応は認められなかった。
【0044】実施例5 抗ヒトプロMMP−7モノクロ
ーナル抗体を用いた免疫組織染色 ヒト胃癌組織をペリオデイト−リジン−パラホルムアル
デヒド固定し、パラフィン切片を作製した。脱パラフィ
ンしたこれら組織切片中の内因性HRPを過酸化水素で
ブロックした後、実施例2(h)及び3(h)項で得ら
れたそれぞれの抗ヒトMMP−7モノクローナル抗体と
反応させた。次に、その切片をPBSで充分洗浄しビオ
チン化ウマ抗マウスIgG(H+L)と反応させた後、
さらにアビジン−ビオチン−HRP複合体(Vecto
r Lab.製)と反応させた。上記のようにして得ら
れた切片を、PBSで洗浄した後、基質としてジアミノ
ベンチジン及び過酸化水素を用いて発色させた。抗プロ
MMP−7モノクローナル抗体としてIgG(クローン
125−20H11:生工研受託番号 FERMP−1
4735,クローン141−7B2:生工研受託番号
FERM P−14734及びクローン141−73C
7)を用いたときの免疫組織染色では、ヒトMMP−7
はいずれも腺癌細胞中に染色された。従って、クローン
125−20H11,クローン141−7B2及び14
1−73C7はいずれも免疫組織染色に使用できること
が判明し、癌疾患マーカーとして利用できる可能性が示
唆された。
【0045】実施例6 ヒトMMP−7の定量法 (a)酵素標識抗体(IgG−HRP複合体)の調製 (1)SH基標識IgGの調製 J.Immnoassay,4,209〜327,19
83に記載のIshikawa et al.の方法に
従って抗ヒトプロMMP−7 IgG−HRP複合体を
調製した。実施例2(h)項で得られ、ヒトプロMMP
−7に対し反応性が認められたモノクローナル抗体(I
gG)を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)に対し透
析し、その溶液に含有されるIgGに対して100倍モ
ルのS−アセチルメルカプト無水コハク酸をDMF溶液
として加え、30℃,30分間インキュベーションし
た。次に、0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)
100μl,0.1M EDTA溶液(pH6.0)1
0μl、1Mヒドロキシルアミン溶液(pH7.0)1
00μlを加え、30℃、5分間静置後、5mM ED
TA含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化
したSephadexG−25でゲルろ過し、SH基標
識抗ヒトプロMMP−7 IgGを得た。
【0046】(2)マレイミド標識HRPの調製 HRPを10mg/mlの濃度になるように0.1Mリ
ン酸緩衝液(pH7.0)にDMFに溶解したEMCS
をHRP量に対して25倍モル量加え、30℃、30分
間反応させた。この反応液を0.1M リン酸緩衝液
(pH6.0)で平衡化したSephadex G−2
5カラムでゲルろ過し、マレイミド標識HRP画分を分
取した。 (3)IgG−HRP複合体の調製 上記(1)で調製したSH基標識IgG 1モルに上記
(2)で得られたマレイミド標識HRP約5モルを加
え、4℃で約20時間静置した。この混合液を0.1M
リン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化したウルトロゲル
AcA 44(IBF Biotechnics製)カ
ラムでゲルろ過し、抗ヒトプロMMP−7IgG−HR
P複合体画分を分取した。
【0047】(b)酵素標識抗体(Fab’−HRP)
の調製 (1)Fab′画分の調製 実施例3(h)項で得られた各精製モノクローナル抗体
(IgG)を0.1M酢酸緩衝液(pH4.2)に溶解
し、その溶液を以下述べるようにしてペプシンで消化し
た。すなわち、上記IgGに対して2%(w/w)のペ
プシンを加え、37℃、24時間消化した。さらにその
消化物に、2Mトリス溶液を加えてpHを7.0に調整
することによって反応を停止させ、0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.0)で平衡化したウルトロゲルAcA44
カラムを用いたゲルろ過により、F(ab′)2 画分を
分取した。次に、このF(ab′)2 画分を5mMED
TA含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)中で透析
し、最終濃度10mMとなるようにアミノエタンチオー
ルを加え37℃で90分間還元した後、5mM EDT
A含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化し
たウルトロゲルAcA44カラムを用いてゲルろ過し、
Fab′画分を分取した。
【0048】(2)マレイミド標識HRP画分の調製 上記(1)項の操作とは別に、以下に述べるようにして
HRPにマレイミドを標識した。すなわち、HRPを1
0mg/mlの量で0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)に溶解し、そのHRPに対して、25倍モル量のE
MCSをDMF溶液として加え、30分間反応させた。
これを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化し
たSephadex G−50カラムでゲルろ過し、マ
レイミド標識HRP画分を分取した。 (3)Fab′−HRP複合体画分の調製 前記(1)項で調製した画分中のFab′に対して、上
記(2)項で得られた画分中のマレイミド標識HRPと
して等モルになるように両画分を混合し、さらにFa
b′及びマレイミド標識HRPの最終濃度が100μM
となるように、5mM EDTA含有0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.0)で希釈した。この混合液を4℃、2
0時間反応後、Fab′の10倍モル量のN−エチルマ
レイミドで未反応のチオール基をブロックした。これを
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化したウル
トロゲルAcA44カラムを用いてゲルろ過し、Fa
b′−HRP複合体画分を分取後、0.1%BSA及び
0.001%クロルヘキシジンを添加し、4℃で保存し
た。
【0049】(c)モノクローナル抗体結合担体の調製 J.Immunoassay,4,209〜327,1
983に記載のIshikawa et al.の方法
に従って、実施例2(h)項及び実施例3(h)項で得
られた精製モノクローナル抗体を0.1%アジ化ナトリ
ウム含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解
し、その濃度を100μg/mlに調製した。このモノ
クローナル抗体溶液を96穴マイクロプレートにウエル
当たり100μlずつ加え、4℃、24時間静置した。
次にモノクローナル抗体溶液を除去し、1%BSA,
0.1M塩化ナトリウム及び10mM EDTA含有3
0mMリン酸緩衝液(pH7.0,緩衝液A)を各ウエ
ルに300μlずつ加え、4℃で保存した。使用時0.
1% ツイン 20及び0.1M塩化ナトリウム含有1
0mMリン酸緩衝液(pH7.0,洗浄緩衝液)で3回
洗浄した。
【0050】(d)2ステップサンドイッチEIA法 (ヒトプロMMP−7の定量)緩衝液Aで、精製ヒトプ
ロMMP−7(標準試料)あるいはヒトプロMMP−7
を含む検体を調製し96穴マイクロプレート(ICN
Biomedicals製)に各々25μl加えた。次
に緩衝液Aを上記プレートに各々225μlずつ加え混
和した。この混合液を前記(c)で調製した抗体結合プ
レートに100μl加え、室温で1時間反応させ、洗浄
緩衝液で3回洗浄した。次に、実施例6で調製した酵素
標識抗体を1μg/mlとなるように緩衝液Aで希釈
し、上記プレートに100μlずつ加え室温で1時間反
応させ、洗浄緩衝液で3回洗浄した。次に、0.02%
過酸化水素含有0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH
4.9)に溶解した2mg/ml o−フェニレンジア
ミンをウエル当たり100μl加え、室温で15分間反
応後、2N硫酸100μl添加し反応を停止させた。こ
の反応混液のA492 をマイクロプレートリーダーを用い
て測定し検量線より、検体中のヒトプロMMP−7濃度
を求めた。
【0051】モノクローナル抗体(クローン125−2
0H11)を固相用抗体とし、モノクローナル抗体(ク
ローン141−7B2)を標識用抗体(IgG−HR
P)として用いて得られた検量線を図1に示した。ただ
し、上記以外のモノクローナル抗体の組み合わせでもヒ
トMMP−7の定量は可能である。一方、実施例4
(a)及び(b)項に記載したように、固相用抗体及び
標識用抗体はいずれも他のMMPsと反応しないので、
上記のアッセイ系においてはヒトプロMMP−7のみを
特異的に定量していると判断される。図1に示されてい
るように、ヒトプロMMP−7標準試料の濃度の上昇に
伴ってA492 は直線的に増加しており、定量感度(標準
プロMMP−7.0ng/ml時の平均値+2SDのA
492 値より算出)は5.0ng/ml(50pg/as
say)であり、定量範囲は10〜640ng/ml
(0.1−6.4ng/assay)であった。
【0052】(e)1ステップサンドイッチEIA法 緩衝液Aで、精製ヒトプロMMP−7(標準試料)ある
いはヒトプロMMP−7を含む検体を調製し96穴マイ
クロプレートに各々25μl加えた。次に、実施例6で
調製した酵素標識抗体を1.1μg/mlとなるように
緩衝液Aで希釈し、上記プレートに225μlずつ加え
混和した。この混合液を前記実施例6(c)で調製した
抗体結合プレートに100μl加え4℃で24時間反応
させ、洗浄緩衝液で3回洗浄した。次に、0.02%過
酸化水素含有0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH
4.9)に溶解した2mg/ml o−フェニレンジア
ミンをウエル当たり100μl加え、室温で15分間反
応後、2N硫酸100μl添加し反応を停止させた。こ
の反応混液のA492 をマイクロプレートリーダーを用い
て測定し検量線より、検体中のヒトプロMMP−7濃度
を求めた。モノクローナル抗体(クローン125−20
H11)を固相用抗体とし、モノクローナル抗体(クロ
ーン141−15C6:生工研受託番号 FERM P
−14733)を標識用抗体(IgG−HRP)とした
場合の検量線を図2に示した。一方、実施例4(a)及
び(b)項に記載したように、固相用抗体及び標識用抗
体はいずれも他のMMPsと交差しないので、上記のア
ッセイ系においてヒトプロMMP−7のみを特異的に定
量することができると判断された。図2に示したよう
に、ヒトプロMMP−7標準試料の濃度の上昇に伴って
492 は直線的に増加しており、定量感度(標準プロM
MP−7、0ng/ml時の平均値+2S.D.値より
求めた)は0.17ng/ml(1.7pg/assa
y)であり、定量範囲は0.625〜40ng/ml
(6.25〜400pg/assay)であった。
【0053】(f)EIA法による他のMMPs及び細
胞外分子との交差反応性 実施例4(a)に記載した各プロMMPs(プロMMP
−1,プロMMP−2,プロMMP−3,プロMMP−
9)、ヒト白血球から精製したプロMMP−8(V.K
nauper et al.,Biol.Chem.H
oppe−Seyler,371(Supp1.),2
95−304,1990)及びヒト胎盤から精製したI
V型コラーゲン(R.Mayne et al.,Ar
tery,7,262−280,1980)、ヒトラミ
ニン及びヒトフィブロネクチン(Chemicon社
製)を640ng/ml及び40ng/mlに調整し前
記(d)及び(e)に記載した方法で、それぞれのプロ
MMP−7抗体との交差反応性を調べた。プロMMP−
7の640ng/ml及び40ng/mlのA492 の値
を100%として各々のA492 値を示した場合、これら
のMMPs及び細胞外分子とは交差反応は2ステップ及
び1ステップEIA法において認められなかった(表4
及び表5)。
【0054】(g)添加回収試験 前記(d)に記載した方法において以下のように添加回
収試験を行った。健常者血清A(プロMMP−7、46
ng/ml)、B(プロMMP−7、48.5ng/m
l)各々25μlに標準試料液(0、40、80、16
0及び320ng/ml)各25μlを添加したものを
検体とし、200μlの緩衝液Aを加えた。この混合液
を抗体結合プレートに100μl加え、前記(d)に記
載した方法と同様にしてプロMMP−7濃度を測定し回
収率を算出した。標準プロMMP−7の平均回収率は健
常者血清Aを用いた場合93.9±2.9(S.D.)
%であり、健常者血清Bを用いた場合93.3±3.2
(S.D.)%であった(表6)。次に、前記(e)に
記載した方法において添加回収試験を行った。健常者血
清C(プロMMP−7、2.1ng/ml)25μlに
標準試料液(0、1.25、2.5、5.0及び10.
0ng/ml)各25μlを添加したものを検体とし、
200μlの酵素標識抗体(IgG−HRP)液を加え
た。この混合液を抗体結合プレートに100μl加え、
前記(e)に記載した方法と同様にしてプロMMP−7
量を測定し回収率を算出した。標準プロMMP−7の健
常者血清C中での回収率は114±4.3(S.D.)
%であった(表7)。これらのことより本測定系は、特
異的にプロMMP−7を認識していることが示唆され
る。
【0055】実施例7 ヒトプロMMP−7モノクロー
ナル抗体の特異性 (a)ヒト活性化型MMP−7と抗ヒトプロMMP−7
モノクローナル抗体との反応性 前記実施例1(a)で得られたヒトプロMMP−7を1
mM APMA(Aldrich社製)で23℃、10
分間反応させることにより、プロMMP−7は中間型M
MP−7(21kDa)及び活性化型MMP−7(19
kDa)に変換されることがSDS−PAGEにより認
められた。そこでこの反応液をSDS−PAGEに供し
た後、ウエスタンブロッティングを行いヒトプロMMP
−7モノクローナル抗体(クローン125−20H1
1、141−7B2及び141−15C6)を用いてイ
ムノブロッティングを行った。モノクローナル抗体(ク
ローン125−20H11)はプロMMP−7(28k
Da)、中間型MMP−7(21kDa)及び活性化型
MMP−7(19kDa)を認識したが、モノクローナ
ル抗体(クローン141−7B2及び141−15C
6)はプロMMP−7(28kDa)のみを認識した
(図3)。
【0056】(b)ヒトMMP−7ポリペプチドと抗ヒ
トプロMMP−7モノクローナル抗体との反応性 前記実施例1(b)で調製したヒトMMP−7のC末端
領域ポリペプチド(GIQKLYGKRSNSRKK,
R253−267,peptide#3)と同様に中間
領域ポリペプチド(LNMWGKEIPLHFRKVV
WG,R133−150,peptide#2)及びN
末端領域ポリペプチド(LPLPQEAGGMSELQ
WEQ,R18−34,peptide#1)をペプチ
ドシンセサイザー9600で合成した。これら3種のポ
リペプチドを各々100ng/ウエルで96穴マイクロ
タイトレーションプレートをコートした。これに、抗ヒ
トMMP−7抗体(クローン141−15C6、141
−7B2及び125−20H11)を加えて前記実施例
2(d)に記載したELISAを行った。492nmの
吸光度よりクローン141−15C6はpeptide
#1をクローン125−20H11はpeptide#
3を確認した(表8)。上記(a)で記載したイムノブ
ロッティング及びポリペプチドとのELISAの結果よ
りクローン141−15C6はヒトプロMMP−7のL
PLPQEAGGMSELQWEQ(#1)のアミノ酸
配列を含むN末端領域を特異的に認識し、プロMMP−
7のみと免疫反応するモノクローナル抗体であり、クロ
ーン125−20H11はヒトMMP−7のGIQKL
YGKRSNSRKK(#3)のアミノ酸配列を含むC
末端領域を特異的に認識し、プロ、中間体及び活性化型
MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗体であるこ
とが判明した。なお、クローン141−7B2は、pe
ptide#1,2,3のいずれとも反応しなかった。
しかし、実施例7(a)の結果から判断してpepti
de#1近傍のアミノ酸配列を含むN末端領域を特異的
に認識するモノクローナル抗体と推定された。
【0057】実施例8 サンドイッチEIA法による血
清中ヒトプロMMP−7量の測定 前記実施例6(d)項に記載した2ステップサンドイッ
チEIA法により検体として各種疾患の血清プロMMP
−7を測定した(図4)。健常者血清(n=22)の平
均プロMMP−7値は71.2±35.4(S.D.)
ng/mlであり、結腸癌患者血清(n=20)の平均
プロMMP−7値は31.5±15.3(S.D.)n
g/mlでありこの値は健常者血清に比較して有意に低
かった(p<0.001)。また、前記実施例6(e)
項に記載した1ステップサンドイッチEIA法により結
腸癌患者の血清プロMMP−7濃度を測定した(表
9)。健常者血清(n=16)の平均プロMMP−7濃
度は2.75±1.69(S.D.)ng/mlであっ
た。一方、結腸癌患者血清(n=11)の平均プロMM
P−7濃度は1.15±1.22(S.D.)ng/m
lであり、この値は健常者血清プロMMP−7濃度に比
較して有意に低かった(p<0.05)。こうして本発
明のモノクローナル抗体は、腫瘍などの診断剤としても
有用であると考えられる。
【0058】
【発明の効果】本発明では、ヒト直腸癌細胞株(CaR
−1細胞)由来プロMMP−7抗原を用いて動物を免疫
後細胞融合法を適用してヒトMMP−7と特異的に免疫
反応するモノクローナル抗体が得られる。さらに、例え
ばヒトMMP−7 C末端領域ポリペプチド(GIQK
LYGKRSNSRKK,R253−267)を用いて
ヒトMMP−7と特異的に免疫反応するモノクローナル
抗体が得られる。特にヒトMMP−7のGIQKLYG
KRSNSRKK(R253−267)のアミノ酸配列
を含むC末端領域あるいはそれと実質的に同等の領域を
特異的に認識しうるモノクローナル抗体、プロ、中間体
及び活性化型MMP−7と免疫反応することのできるモ
ノクローナル抗体と、ヒトプロMMP−7のLPLPQ
EAGGMSELQWEQ(R18−34)のアミノ酸
配列を含むN末端領域あるいはそれと実質的に同等の領
域を特異的に認識しうるモノクローナル抗体、プロMM
P−7のみと免疫反応することのできるモノクローナル
抗体とを、それぞれ組合わせて測定試薬として用い、特
にはサンドイッチ酵素免疫学的にヒトMMP−7の測定
を行う方法及び試薬が提供され、それらはヒトプロMM
P−7の測定及び検知、さらには定量に、より有効なも
のであることが期待できる。これらモノクローナル抗体
を用いることにより現在増加している直腸癌、前立腺癌
を始めとし各種癌疾患に見いだされるMMP−7を検
出、測定でき、さらに定量できる。これらモノクローナ
ル抗体はさらに組織や細胞の免疫学的染色のための試薬
としても有用で、直腸癌、前立腺癌を始めとし各種癌疾
患のためのマーカー診断剤として有用である。したがっ
てMMP−7と関連性を有する各種疾患、疾病、症状、
病気の診断薬として有用である。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトプロMMP−7の2ステップサンドイッチ
EIA法による標準曲線を示すグラフである。
【図2】ヒトプロMMP−7の1ステップサンドイッチ
EIA法による標準曲線を示すグラフである。
【図3】ヒトプロMMP−7をAPMAで活性化させた
時のイムノブロッティングの結果を示す図である。
【図4】健常者と結腸癌血清のプロMMP−7測定結果
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/577 G01N 33/577 B // C12N 15/02 C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 吉田 真一 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品 工業株式会社内 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品 工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 16/40 C12P 21/08 C12Q 1/37 C12N 15/02 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i) ヒトマトリックスメタロプロテアー
    ゼ7(ヒトMMP−7)のうち、ヒトプロMMP−7の
    N末端領域又はヒトプロMMP−7のR18−34以外
    のアミノ酸領域の一部を特異的に認識し、ヒトプロMM
    P−7のみと免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトプロMMP−7のC末端領域を特異的に認識
    し、ヒトプロMMP−7、ヒト中間体MMP−7及びヒ
    ト活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗
    体からなる群から選ばれたものであることを特徴とする
    モノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 (イ) ヒトプロMMP−7のみと免疫
    反応するモノクローナル抗体(i) が、(a) ヒトプロMM
    P−7のLPLPQEAGGMSELQWEQ(R18
    −34)のアミノ酸配列又はその近傍を含むN末端領域
    を特異的に認識するもの、あるいは (b) ヒトプロMM
    P−7のR18−34及びR93−108以外のアミノ
    酸領域の一部を特異的に認識するものであり、 (ロ) ヒトプロMMP−7、ヒト中間体MMP−7及
    びヒト活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナ
    ル抗体(ii)が、ヒトMMP−7のGIQKLYGKRS
    NSRKK(R253−267)のアミノ酸配列を含む
    C末端領域を特異的に認識するものであることを特徴と
    する請求項1記載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 ヒトプロMMP−7を免疫学的に測定す
    る方法であって、 ヒトMMP−7と特異的に免疫反応するモノクローナル
    抗体を測定試薬として用い、 (i) ヒトMMP−7のうち、ヒトプロMMP−7のN
    末端領域又はヒトプロMMP−7のR18−34以外の
    アミノ酸領域の一部を特異的に認識し、ヒトプロMMP
    −7のみと免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトプロMMP−7のC末端領域を特異的に認識
    し、ヒトプロMMP−7、ヒト中間体MMP−7及びヒ
    ト活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗
    体からなる群から選ばれたモノクローナル抗体を使用す
    ることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 測定試薬としてヒトプロMMP−7の実
    質的に異なる2つの抗原決定基に対し、それぞれ特異的
    に結合するモノクローナル抗体の少なくとも二種を組合
    わせて用い、且つ (i) ヒトMMP−7のうち、ヒトプロMMP−7のN
    末端領域又はヒトプロMMP−7のR18−34以外の
    アミノ酸領域の一部を特異的に認識し、ヒトプロMMP
    −7のみと免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトプロMMP−7のC末端領域を特異的に認識
    し、ヒトプロMMP−7、ヒト中間体MMP−7及びヒ
    ト活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗
    体からなる群から選ばれたモノクローナル抗体を使用
    し、 ヒトプロMMP−7を免疫学的に定量することを特徴と
    する方法。
  5. 【請求項5】 測定試薬として、 A. (i) ヒトプロMMP−7のLPLPQEAGGMS
    ELQWEQ(R18−34)のアミノ酸配列又はその
    近傍を含むN末端領域を特異的に認識し、プロMMP−
    7のみと免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトMMP−7のGIQKLYGKRSNSRK
    K(R253−267)のアミノ酸配列を含むC末端領
    域を特異的に認識し、プロ、中間体及び活性化型MMP
    −7と免疫反応するモノクローナル抗体とを少なくとも
    用いるか、あるいは B. (i) ヒトプロMMP−7のR18−34以外のアミ
    ノ酸領域の一部を特異的に認識し、プロMMP−7のみ
    と免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトMMP−7のR253−267のアミノ酸配
    列を含むC末端領域を特異的に認識し、プロ、中間体及
    び活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗
    体とを少なくとも用いることを特徴とする請求項3又は
    4記載の方法。
  6. 【請求項6】 検体中のヒトMMP−7をサンドイッチ
    型アッセイにより測定するにあたり、 ヒトプロMMP−7の実質的に異なる2つの抗原決定基
    に対し、それぞれ特異的に結合するモノクローナル抗体
    の少なくとも二種を組合わせて用い、且つ (i) ヒトMMP−7のうち、ヒトプロMMP−7のN末
    端領域又はヒトプロMMP−7のR18−34以外のア
    ミノ酸領域の一部を特異的に認識し、ヒトプロMMP−
    7のみと免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトプロMMP−7のC末端領域を特異的に認識
    し、ヒトプロMMP−7、ヒト中間体MMP−7及びヒ
    ト活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗
    体からなる群から選ばれたモノクローナル抗体を使用
    し、 (A) 検体を(a) 担体に結合された上記モノクローナル抗
    体と反応させ、 (B) 次に、(b) 標識された上記モノクローナル抗体と反
    応させ、 (C) 標識により生ずる信号を検知することによりヒトM
    MP−7の指標として測定を行うことを特徴とするヒト
    MMP−7の測定方法。
  7. 【請求項7】 測定をサンドイッチ法により、酵素免疫
    学的に行うものであることを特徴とする請求項3〜
    いずれか一記載の方法。
  8. 【請求項8】 検体中のヒトMMP−7をサンドイッチ
    型アッセイにより測定するにあたり用いる試薬であっ
    て、 (i) ヒトMMP−7のうち、ヒトプロMMP−7のN末
    端領域又はヒトプロMMP−7のR18−34以外のア
    ミノ酸領域の一部を特異的に認識し、ヒトプロMMP−
    7のみと免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトプロMMP−7のC末端領域を特異的に認識
    し、ヒトプロMMP−7、ヒト中間体MMP−7及びヒ
    ト活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗
    体からなる群から選ばれたモノクローナル抗体を含有し
    ていることを特徴とするヒトMMP−7を免疫学的に測
    定するための試薬。
  9. 【請求項9】 該試薬が、少なくとも二種の請求項1ま
    たは2記載のモノクローナル抗体を組合わせて含有して
    いるもので、該モノクローナル抗体の一方は、(a) 担体
    に結合されたモノクローナル抗体であり、他方は、(b)
    標識されたモノクローナル抗体であることを特徴とする
    請求項記載の試薬。
  10. 【請求項10】 検体中のヒトMMP−7をサンドイッ
    チ型アッセイにより測定するにあたり用いる試薬であっ
    て、ヒトプロMMP−7の実質的に異なる2つの抗原決
    定基に対し、それぞれ特異的に結合するモノクローナル
    抗体の少なくとも二種を組合わせて用い、且つ (i) ヒトMMP−7のうち、ヒトプロMMP−7のN
    末端領域又はヒトプロMMP−7のR18−34以外の
    アミノ酸領域の一部を特異的に認識し、ヒトプロMMP
    −7のみと免疫反応するモノクローナル抗体、及び (ii) ヒトプロMMP−7のC末端領域を特異的に認識
    し、ヒトプロMMP−7、ヒト中間体MMP−7及びヒ
    ト活性化型MMP−7と免疫反応するモノクローナル抗
    体からなる群から選ばれたモノクローナル抗体を使用
    し、 該少なくとも二種のモノクローナル抗体を含有している
    ことを特徴とするヒトMMP−7を免疫学的に測定する
    ための試薬。
JP5037595A 1995-02-16 1995-02-16 免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量 Expired - Lifetime JP2949467B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5037595A JP2949467B2 (ja) 1995-02-16 1995-02-16 免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5037595A JP2949467B2 (ja) 1995-02-16 1995-02-16 免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08217800A JPH08217800A (ja) 1996-08-27
JP2949467B2 true JP2949467B2 (ja) 1999-09-13

Family

ID=12857143

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5037595A Expired - Lifetime JP2949467B2 (ja) 1995-02-16 1995-02-16 免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2949467B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019129126A1 (zh) * 2017-12-28 2019-07-04 华中科技大学同济医学院附属协和医院 基于血清标志物mmp-7的胆道闭锁诊断试剂盒

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7041787B2 (en) 2000-12-29 2006-05-09 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Design and use of advanced zinc chelating peptides to regulate matrix metalloproteinases
US7094754B2 (en) 2001-08-16 2006-08-22 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-aging and wound healing compounds
US6906036B2 (en) 2001-08-16 2005-06-14 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-aging and wound healing compounds
US7071164B2 (en) 2001-08-16 2006-07-04 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-cancer and wound healing compounds
US7186693B2 (en) 2001-08-16 2007-03-06 Kimberly - Clark Worldwide, Inc. Metalloproteinase inhibitors for wound healing
US7148194B2 (en) 2002-12-30 2006-12-12 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Method to increase fibronectin
US7189700B2 (en) 2003-06-20 2007-03-13 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Anti-chrondrosarcoma compounds
EP1757940A1 (en) * 2005-08-26 2007-02-28 Cézanne S.A.S. In vitro method for diagnosing and monitoring renal cell carcinoma (RCC) using MMP-7 as humoral biomarker for RCC
EP1867995A1 (en) * 2006-06-15 2007-12-19 Cézanne S.A.S. In vitro method for diagnosing and monitoring metastasized bladder cancer using the determination of MMP-7 in the circulation of patients

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019129126A1 (zh) * 2017-12-28 2019-07-04 华中科技大学同济医学院附属协和医院 基于血清标志物mmp-7的胆道闭锁诊断试剂盒

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08217800A (ja) 1996-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3517754B2 (ja) 抗ヒト可溶性フィブリン抗体,ハイブリドーマ及び免疫学的測定法
JP2949467B2 (ja) 免疫学的測定法によるヒトプロマトリックスメタロプロテアーゼ7の定量
JPH10287700A (ja) 活性型マトリライシン(mmp−7)に対する抗体及びそれを用いた免疫学的測定法
US5834212A (en) Anti-human stromelysin monoclonal antibody and method for diagnosis of rheumatoid arthritis by enzyme immunoassay
JP2867325B2 (ja) 抗pivka−ii抗体産生ハイブリドーマ及び免疫学的測定方法
EP0401370B1 (en) Enzyme immunoassay according to sandwich method of human iv-type collagen
JPH09176199A (ja) 抗ファクターXa・ティシュファクターパスウェイインヒビター複合体モノクローナル抗体及びその使用
JP3098640B2 (ja) ヒト72−kDaゼラチナーゼ/IV型コラゲナーゼの免疫学的定量法
JP2864219B2 (ja) 遊離の活性型マトリックスメタロプロテアーゼ類の分別定量法
JP3076640B2 (ja) ヒト92kDaゼラチナーゼの免疫学的定量法
WO1998029560A1 (fr) Anticorps monoclonal contre la collagenase 3 et procede de dosage immunologique utilisant cet anticorps
JP3174492B2 (ja) ウサギmmp−3に対するモノクローナル抗体及びそれを用いた免疫学的測定法
JP2742886B2 (ja) 好中球コラゲナーゼの免疫学的定量法
JP2609858B2 (ja) コラゲナーゼインヒビターの酵素免疫学的定量法
JP5840274B2 (ja) ストロムライシン1と特異的に反応するモノクローナル抗体
JPH11318449A (ja) ストロメライシン―2(mmp―10)に対する抗体
JP3017591B2 (ja) 抗ヒトtimp−2モノクローナル抗体の製法およびその利用
JPH0677017B2 (ja) ヒト▲iv▼型コラーゲンのサンドイツチ酵素免疫学的定量法
JP2006265138A (ja) ネコトリプシノーゲン及び/又はネコトリプシンに対するモノクローナル抗体
JP2518602B2 (ja) ヒトプロテインsに対するモノクロ―ナル抗体を用いた免疫学的測定試薬及びキット
JP2968538B2 (ja) ヒトラミニンのモノクローナル抗体、その製法および利用
JP2609908B2 (ja) 慢性関節リウマチ疾患の診断用試薬
JPH0772148A (ja) ヒトiv型コラーゲンのサンドイッチ酵素免疫学的定量用試薬
JP2520249B2 (ja) ヒトプロリルヒドロキシラ−ゼの免疫学的測定法による定量法
WO2000009739A1 (fr) Anticorps monoclonal agissant contre la trypsine canine

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090709

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100709

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110709

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110709

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120709

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 14

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term