JP3097543B2 - 人が容易に通過できる防火・防煙区画構造 - Google Patents

人が容易に通過できる防火・防煙区画構造

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JP3097543B2
JP3097543B2 JP08019909A JP1990996A JP3097543B2 JP 3097543 B2 JP3097543 B2 JP 3097543B2 JP 08019909 A JP08019909 A JP 08019909A JP 1990996 A JP1990996 A JP 1990996A JP 3097543 B2 JP3097543 B2 JP 3097543B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建物内部の火災
の延焼および煙の拡散を防ぐための防火・防煙区画構造
に関し、とくにガラス繊維の織布などからなる耐火スク
リーンを用いて人が容易に通過できるようにした防火・
防煙区画構造に関する。
【0002】
【従来の技術】火災時に建物内の延焼・煙の拡散を防
ぎ、かつ避難を容易にするため、一定の床面積あるいは
部屋の用途に応じて、防火区画および防煙区画を適切に
設定するとともに避難経路を設定しなければならない。
この観点で防火隔壁や防煙垂れ壁あるいは防火シャッタ
ーや防火扉などの設備が計画的に配置される。
【0003】よく知られているように、防火シャッター
は防火性能を有する鋼製のシャッターであり、多数のス
ラットが結合した構造の電動巻取式が普通で、上部に巻
き取って収納した状態と、下方に引き降ろして建物内の
開口部を遮蔽した状態との間で作動する。防火シャッタ
ーはその構造上、シャッターそれ自体に避難通路となる
防火扉を組み込むことはできないので、シャッターを降
ろして開口部を塞いだ状態では完全に人は通れなくな
る。そこで避難通路を確保するために、防火シャッター
のすぐ近くに防火扉を併設する必要がある。防火扉は火
災時に自動的に閉じ、かつ避難方向にはいつでも押し開
くことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】防火・防煙のための間
仕切りは要所要所に数多く設ければ防火・防煙の性能は
向上する。しかし、建物の本来の機能性や使い勝手を無
視してやたらに多くの間仕切りを設置することはできな
いし、壁面とのデザイン上の整合性や、日常時の収納ス
ペース、非常時の避難のしやすさ、実施コストなど、多
面的に考える必要があり、設計者の頭を悩ませている。
【0005】この発明の目的は、耐熱性のある柔軟な布
製のスクリーンを用いて容易かつ安価に実施でき、設置
スペースが小さくて済み、建物内部の開口部を効果的に
遮蔽して相当に高い防火・防煙性能を発揮し、しかも仕
切った状態のままでスクリーン面を人が容易に通過で
き、非常時に避難しやすい防火・防煙区画構造を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の防火・防煙区
画構造は基本的につぎの要件〜を備えるものであ
る。 建物内部の開口部を遮蔽するように天井や梁下から床
まで達するとともに両側端が壁や柱に達するスクリーン
を垂下設置する。 前記スクリーンの全部または一部には耐熱性および柔
軟性を有する2枚の生地を重ねている。 前記の2枚の生地にはそれぞれ縦方向に延びる複数の
スリットを適宜間隔をおいて形成している。 少なくとも前記スリットを形成してある部分において
は前記2枚の生地は互いに分離している。 一方の前記生地のスリットと他方の前記生地のスリッ
トの位置が重ならないように、両者のスリット位置を適
宜にずらして前記2枚の生地を重ねている。
【0007】この構造において、請求項2の発明では、
天井部分に設けた巻取装置により前記スクリーンを巻上
げて収納した状態と降下させて間仕切りした状態とを選
択できる構成とする。また請求項3の発明では、前記ス
クリーンの下端には永久磁石のついたウエイトバーを水
平に止着するとともに、このスクリーン降下位置の床面
には前記ウエイトバーの永久磁石と引き合う金属部材を
取り付ける。さらに請求項4の発明では、降下状態の前
記スクリーンの両側端に当接する建物の壁または柱部分
に縦方向に延びるガイド溝を形成しておき、そのガイド
溝内に前記スクリーンの両側端を収容する。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明による防火・防煙区画構
造の一実施形態を図1〜図3に示している。まず図1に
示すように、建物内部の開口部を遮蔽するように天井や
梁下から床まで達するとともに両側端が壁や柱に達する
スクリーン10を垂下設置している。スクリーン10
は、シリカクロス、ガラス繊維の織布など、耐熱性およ
び柔軟性を有する2枚の生地11と12を重ねたもので
ある。この2枚の生地11と12にはそれぞれ縦方向に
延びる複数のスリット11aおよび12aを適宜間隔を
おいて形成している。この実施例ではスリット11a
(12a)の間隔は30センチメートルである。これら
スリット11aと12aを形成してある部分において
は、2枚の生地11と12は互いに分離している(縫製
して2枚の生地を一体にしているのではない)。また図
2と図3にも示すように、一方の生地11のスリット1
1aと他方の生地12のスリット12aの位置が重なら
ないように、両者のスリット位置を適宜にずらして2枚
の生地11と12を重ねている。この実施例では、スリ
ット11aと11aのちょうど中間にスリット12aが
位置するようにずらしてあり、表裏のスリット11aと
12aとが15センチメートルの間隔になっている。な
お、生地11と生地12とは相互にふれあう程度以内の
間隔とすれば、スリットの幅をある程度大きくでき、ス
リットの幅がゼロならば生地11と生地12との間隔を
ある程度大きくできる。
【0009】また図1に示すように、天井部分に設けた
巻取装置13によりスクリーン10を巻上げて収納した
状態と降下させて間仕切りした状態とを選択できる構成
としている。また図3に示すように、スクリーン10の
下端には永久磁石15aのついたウエイトバー15を水
平に止着するとともに、このスクリーン10の降下位置
の床面にはウエイトバー15の永久磁石15aと引き合
う金属板16を取り付けている。また図2に示すよう
に、降下状態のスクリーン10の両側端に当接する建物
の壁または柱部分に縦方向に延びるガイド溝14を形成
しておき、そのガイド溝14内にスクリーン10の両側
端を収容するように構成している。
【0010】平常時はスクリーン10を巻取装置13で
巻上げて、巻取装置13が設置されている天井凹部内に
スクリーン10を完全に収納しておくことができる。巻
取装置13は電動降下または重力降下で動作するもの
で、非常時にはスクリーン10を床面まで下降させる。
スクリーン10を下方に垂らすと、ウエイトバー15の
重さでスクリーン10に適度な張力が作用してきれいな
垂直面になる。スクリーン10を床面まで降ろすと、ウ
エイトバー15の永久磁石15aが床面の帯状金属板1
6に吸着する。あるいは床面まで着地させず、ごく近く
で停止する場合には、磁力で引き合って安定する。また
降下したスクリーン10の左右の側端部分が建物のガイ
ド溝14内に収容された状態となる。
【0011】したがって、耐火スクリーン1をいちばん
下まで降ろした状態では、スクリーン1にある程度の風
圧や圧力差が作用しても、スクリーン1は容易には遊動
せずに安定した姿勢を保つ。また、人が通り抜けたとき
に前後に振れてもすぐに止まる。とくに、スクリーン1
0を構成している表裏2枚の生地11と12のスリット
11aと12aとの位置をずらして互い違いの配置にし
ているので、一方の生地のスリットから若干の煙が漏れ
ても、その裏側の生地のスリットは位置がずれており、
スクリーン10を通過する煙はごく少ない。これにより
相当に高いレベルの延焼防止性能と防煙性能が実現す
る。
【0012】建物開口部がスクリーン10により前述の
ように遮蔽されていても、スリット11aと12aを通
って人が容易に通過できる。つまり、スクリーン10の
生地11の側にいる人は、スリット11aに手を突っ込
むと、裏側の生地12に手があたるが、その手を左右に
ずらしてある程度の力で押しやると、手は容易にスクリ
ーン10の反対側に飛び出す。その手に誘導されるよう
に体全体をスクリーン10にあずけるようにすれば、ス
クリーン10の反対側へ容易に抜け出ることができる。
【0013】
【発明の効果】この発明の防火・防煙区画構造は、柔軟
な布製の耐火性のあるスクリーンを用いて容易かつ安価
に実施でき、設置スペースが小さくて済み、建物内部の
開口部を効果的に遮蔽して相当に高い防火・防煙性能を
実現でき、しかも仕切った状態のままでスクリーン面を
人が容易に通過できるので、非常時に避難しやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による防火・防煙区画構造
の概略図である。
【図2】同上実施例における横断面説明図である。
【図3】同上実施例におけるスクリーン下端部の構成図
である。
【符号の説明】
10 スクリーン 11 生地 11a スリット 12 生地 12a スリット 13 巻取装置 14 ガイド溝 15 ウエイトバー 15a 永久磁石 16 金属板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−93596(JP,A) 特開 昭54−50197(JP,A) 特開 昭50−144292(JP,A) 実開 昭52−83599(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A62C 2/10 E06B 7/32

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の各要件〜を備えたことを特徴
    とする人が容易に通過できる防火・防煙区画構造。 建物内部の開口部を遮蔽するように天井や梁下から床
    まで達するとともに両側端が壁や柱に達するスクリーン
    を垂下設置する。 前記スクリーンの全部または一部には耐熱性および柔
    軟性を有する2枚の生地を重ねている。 前記の2枚の生地にはそれぞれ縦方向に延びる複数の
    スリットを適宜間隔をおいて形成している。 少なくとも前記スリットを形成してある部分において
    は前記2枚の生地は互いに分離している。 一方の前記生地のスリットと他方の前記生地のスリッ
    トの位置が重ならないように、両者のスリット位置を適
    宜にずらして前記2枚の生地を重ねている。
  2. 【請求項2】 請求項1において、天井部分に設けた巻
    取装置により前記スクリーンを巻上げて収納した状態と
    降下させて間仕切りした状態とを選択できることを特徴
    とする人が容易に通過できる防火・防煙区画構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記スクリ
    ーンの下端には永久磁石のついたウエイトバーを水平に
    止着するとともに、このスクリーン降下位置の床面には
    前記ウエイトバーの永久磁石と引き合う金属部材を取り
    付けたことを特徴とする人が容易に通過できる防火・防
    煙区画構造。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、降下
    状態の前記スクリーンの両側端に当接する建物の壁また
    は柱部分に縦方向に延びるガイド溝を形成しておき、そ
    のガイド溝内に前記スクリーンの両側端を収容すること
    を特徴とする人が容易に通過できる防火・防煙区画構
    造。
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