JP3076858B2

JP3076858B2 - エレベータの安全ネット装置

Info

Publication number: JP3076858B2
Application number: JP04051479A
Authority: JP
Inventors: 弘森岡
Original assignee: 日成ビルド工業株式会社
Priority date: 1992-03-10
Filing date: 1992-03-10
Publication date: 2000-08-14
Anticipated expiration: 2015-08-14
Also published as: JPH05246668A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、誤って開いた外扉
（エレベータの乗場側に取り付ける扉をいう、以下同
じ）から乗客が昇降路に転落するような大事故の発生を
未然に防止することができるエレベータの安全ネット装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】エレベータには、多くの安全措置が講じ
られている。

【０００３】たとえば、かご扉や、昇降路のすべての出
入口の外扉が閉じていなければかごを昇降させることが
できないように、それらの扉の閉鎖をリミットスイッチ
によって検出し、すべての扉の閉鎖を確認して昇降装置
を駆動する制御装置や、昇降路の出入口の外扉は、かご
がその階にない場合、鍵を用いなければ外から開くこと
ができないように、その階におけるかごの停止をリミッ
トスイッチなどによって検出して外扉を開放する制御装
置などが設置されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術による
ときは、これらの制御装置は、リミットスイッチなどの
検出器を利用する電気回路によって形成されているか
ら、リミットスイッチなどの故障や、制御装置の内部故
障等に伴う誤動作のために、かごが停止していない階の
外扉が誤って開くと、その外扉からかごに乗り込もうと
する乗客が昇降路に転落して大事故が発生する可能性が
あるという問題があった。

【０００５】そこで、この発明の目的は、かかる従来技
術の問題に鑑み、昇降路の最上部と最下部とに配設する
ガイドホイールにガードネットを掛け渡すことによっ
て、予定外の階の外扉が誤って開放したとしても、乗客
等が昇降路に転落する大事故を未然に有効に防止するこ
とができるエレベータの安全ネット装置を提供すること
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めのこの発明の構成は、昇降路の最上部、最下部に配設
するガイドホイールと、ガイドホイールに掛け渡すガー
ドネットとを備えてなり、ガードネットは、かごの左右
の上面前方、下面前方を介して無端に連結する一対の索
条体の全周に亘って保護部材を梯子状に連結し、かごに
連動して上下に循環走行することをその要旨とする。

【０００７】なお、保護部材には、隣接する２本１組ご
とに保護用の網を付設することができ、網は、複数に分
割することができる。

【０００８】

【作用】かかる発明の構成によるときは、ガードネット
は、昇降路の最上部のガイドホイールによって昇降路の
前面から最上部を経て背面に案内され、また、昇降路の
最下部のガイドホイールによって昇降路の背面から最下
部を経て前面に案内され、エレベータのかごに連動して
昇降路内を上下に循環走行する。したがって、かごに連
動するガードネットの前面側は、かごが昇降路のいずれ
の高さ位置にあっても、かごの出入口を除き、索条体に
梯子状に連結する保護部材を介して昇降路のすべての出
入口を遮断することができる。なお、索条体とは、ロー
ラチェーン、ワイヤ、ロープのいずれかをいうものとす
る。

【０００９】保護部材に網を付設すれば、網は、その網
目を細かくすることにより、乗客等に対する安全性を一
層向上させることができる。また、網を複数に分割すれ
ば、たとえば中間の網を取り外すことにより、エレベー
タの点検口を容易に作ることができる。

【００１０】

【実施例】以下、図面を以って実施例を説明する。

【００１１】エレベータの安全ネット装置は、ガードネ
ット１０と、エレベータ５０の昇降路Ｓの最上部、最下
部に設けるガイドホイール２１、２１…、２２、２２…
とを備えてなる（図１）。

【００１２】エレベータ５０は、図示しない建造物に昇
降路Ｓを形成し、昇降路Ｓの最上部に昇降装置５２を配
設してかご５１を昇降路Ｓ内に昇降させることができ
る。かご５１は、上面に連結する主ワイヤ５２ａにより
吊り下げられ、昇降装置５２を経由した主ワイヤ５２ａ
の他端には、カウンタウェイト５３が接続されている。

【００１３】かご５１の出入口には、かご扉５１ａ、５
１ａが設けられ、かご扉５１ａ、５１ａは、かご５１が
指定階に停止しないと開かないようになっている。ま
た、建造物の各階には、昇降路Ｓの出入口に外扉ＳＤが
設けられ（図２）、各外扉ＳＤは、かご５１がその階に
ない場合、鍵を用いなければ外から開くことができない
ようになっている。なお、昇降路Ｓには、図示しないガ
イドレールが配設されており、かご５１は、ガイドレー
ルを介して上下に案内され、不要な横方向の動きが規制
されている。

【００１４】ガードネット１０は、左右一対のローラチ
ェーン１１、１１に対し、板状の保護部材１２、１２…
を梯子状に連結して構成されている（図１、図３）。ロ
ーラチェーン１１、１１は、それぞれ対向する側のリン
クプレートにアタッチメント１１ａ、１１ａ…が付設さ
れ、各保護部材１２は、対向するアタッチメント１１
ａ、１１ａに連結されている。保護部材１２、１２…
は、ローラチェーン１１、１１の全周に亘って適当な等
間隔ごとに梯子状に連結されている。

【００１５】ガイドホイール２１、２１…、２２、２２
…は、昇降路Ｓの最上部、最下部の各四隅部に配設され
ている。各ガイドホイール２１、２２は、ローラチェー
ン１１を巻き掛けるスプロケットであり、ガードネット
１０は、ガイドホイール２１、２１…、２２、２２…に
案内されて昇降路Ｓの前面、上面、背面、下面を一巡す
る。なお、ガードネット１０のローラチェーン１１、１
１は、かご５１の左右の上面前方、下面前方を介して無
端に連結されている。ガードネット１０は、かご５１の
昇降動作に連動して上下動し、昇降路Ｓの周囲を上下に
循環走行する。

【００１６】いま、エレベータ５０のかご５１が建造物
の２階位置Ｆ2 に停止し、かご扉５１ａ、５１ａと２階
位置Ｆ2 の外扉ＳＤとを開放した際に、誤動作によって
３階位置Ｆ3 の外扉ＳＤも開放された場合を考える（図
２）。

【００１７】このとき、昇降路Ｓの周囲を循環するガー
ドネット１０は、かご５１の停止位置である２階位置Ｆ
2 の出入口を除いて、他のすべての階の昇降路Ｓの出入
口を保護部材１２、１２…によって内側から遮断してい
る。そこで、誤動作により外扉ＳＤが開いた３階位置Ｆ
3 に乗客Ｍがいたとしても、乗客Ｍは、ガードネット１
０が存在することにより、３階位置Ｆ3 の出入口に進入
することができない。誤動作により外扉ＳＤの開放され
る階がいずれの階であったとしても、ガードネット１０
は、同様にして、その階の乗客Ｍが誤って昇降路Ｓに進
入することを確実に阻止することができる。

【００１８】以上の説明において、保護部材１２、１２
…は、乗客Ｍが誤って昇降路Ｓに進入することを阻止す
ることができる限り、任意の断面形状の棒状部材を使用
することができる。

【００１９】

【他の実施例】ガードネット１０は、保護部材１２、１
２…の隣接する２本ごとに保護用の網１３を付設するこ
とができる（図４）。

【００２０】各保護部材１２の両端部には、固定ピン１
２ａ、１２ａが付設されている。保護部材１２、１２…
は、隣接する２本を１組として、適当な間隔ごとにロー
ラチェーン１１、１１上に配設されている。また、隣接
する２本１組の保護部材１２、１２には、固定ピン１２
ａ、１２ａ…を介して網１３が取り付けられている。な
お、網１３は、たとえば金属製または合成樹脂製等の丈
夫な網であり、ローラチェーン１１、１１の屈曲に伴っ
て自在に屈曲することができる。

【００２１】このようなガードネット１０は、網１３、
１３…を介し、誤動作によって開放された昇降路Ｓの出
入口から乗客Ｍが誤って進入することを一層確実に阻止
することができる。また、網１３を長くして保護部材１
２、１２…の間隔を拡げることにより、保護部材１２、
１２…の使用本数を少なくすることができる。

【００２２】網１３は、複数の網１３ａ、１３ｂ、１３
ｃに分割することができる（図５）。網１３ａ、１３
ｂ、１３ｃは、それぞれ隣接する保護部材１２、１２上
の固定ピン１２ａ、１２ａ…を介して取り付けられてい
る。そこで、ガードネット１０は、たとえば中間の網１
３ｂを取り外すことにより、エレベータ５０の点検口を
容易に形成することができる。

【００２３】また、各外扉ＳＤの上下には、各ローラチ
ェーン１１に対応して補助スプロケット２３、２３を配
設してもよい（図６）。補助スプロケット２３、２３
は、ローラチェーン１１が昇降路Ｓ側に移動することを
防止し、ガードネット１０による安全性を一層向上させ
ることができる。ただし、補助スプロケット２３、２３
は、ローラチェーン１１の不要な移動を防止することが
できればよく、単純な棒材を含む任意形状の規制部材に
代えてもよい。

【００２４】以上の説明において、ローラチェーン１
１、１１は、ロープまたはワイヤに代えることができ
る。なお、このときのガイドホイール２１、２１…、２
２、２２…、補助スプロケット２３、２３…は、それぞ
れ溝付きのローラとし、また、保護部材１２、１２…
は、適当なクランプ金具を介してロープまたはワイヤに
装着すればよい。さらに、保護部材１２、１２…または
網１３、１３…には、目立ち易い危険表示マークを表示
し、または危険表示板を付設してもよい。

【００２５】なお、この発明は、乗用のエレベータに限
らず、貨物用のエレベータにも適用することができ、か
ご５１は、図１の箱形以外の形状としてもよい。また、
エレベータ５０は、高層の立体駐車装置のように、直接
自動車を乗り入れるような大形のものであってもよい。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、昇降路の最上部、最下部にガイドホイールを配設し
てガードネットを掛け渡し、かごを介してガードネット
を無端に連結することによって、ガードネットは、かご
の昇降動作と連動して上下動し、かごの出入口を除く昇
降路のすべての出入口を遮断することができるから、誤
動作によって開放した外扉から乗客等が昇降路に転落す
るという大事故の発生を未然に有効に防止することがで
きるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】全体概略構成図

【図２】使用状態説明図

【図３】要部拡大斜視図

【図４】他の実施例を示す要部拡大図

【図５】別の実施例を示す図４相当図

【図６】他の実施例を示す図２相当図

【符号の説明】

Ｓ…昇降路１０…ガードネット１２…保護部材１３、１３ａ、１３ｂ、１３ｃ…網２１、２２…ガイドホイール５１…かご

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】昇降路の最上部、最下部に配設するガイ
ドホイールと、該ガイドホイールに掛け渡すガードネッ
トとを備えてなり、該ガードネットは、かごの左右の上
面前方、下面前方を介して無端に連結する一対の索条体
の全周に亘って保護部材を梯子状に連結し、かごに連動
して上下に循環走行することを特徴とするエレベータの
安全ネット装置。
【請求項２】前記保護部材には、隣接する２本１組ご
とに保護用の網を付設することを特徴とする請求項１記
載のエレベータの安全ネット装置。
【請求項３】前記網は、複数に分割することを特徴と
する請求項２記載のエレベータの安全ネット装置。