JP3070698B2 - 電流制御素子 - Google Patents

電流制御素子

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JP3070698B2 JP3198708A JP19870891A JP3070698B2 JP 3070698 B2 JP3070698 B2 JP 3070698B2 JP 3198708 A JP3198708 A JP 3198708A JP 19870891 A JP19870891 A JP 19870891A JP 3070698 B2 JP3070698 B2 JP 3070698B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低抵抗で小型化できる
負性抵抗特性の突入電流抑制用の素子として使用できる
他、繰り返し動作時のなめらかな電流制御を良好に行な
える電流制御素子に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来より
金属酸化物あるいは炭化珪素等の非酸化物を用いた負性
抵抗体は、通常、温度計測上のセンサーとして用いられ
て来た。その結果、現在ではディスク状のものからチッ
プ化、積層化したものまで作成され、広く実用に供され
ている。すなわち、これらの材料の半導体的な抵抗温度
依存性を用いて、より精密で実用に沿った抵抗変化を実
現させ、温度センサーとして利用されているわけであ
る。したがって、消費電流の関係上、抵抗が高いこと、
あるいは下記の(1)式で表現されるB定数が一定であ
り、例えば測温用のものではB=3000程度が必要と
される他、逆にトランジスタ等の半導体素子の温度補償
用としては、比較的B定数の小さいものが使用されてお
り、使用温度も300℃付近まで使用可能なセンサーが
開発されて来ている。 R=Roexp{B(T-1−T-1 o)}…(1) 但しR、Roはそれぞれ温度T、Toにおける抵抗率であ
る。Bは物質固有の定数で、B定数と称され、B定数が
大きいほど抵抗率の温度変化が大となる。
【0003】一方、こうした負性抵抗体を応用できる別
の可能性として、電気機器あるいは回路の電源投入時に
おける突入電流(一般的には電源投入時から1秒以下の
期間における数十Aの大電流)を抑制するために用いら
れて来た。図3はその代表的な例であり、交流電源3の
スイッチ4を投入して整流平滑化回路2より直流電圧を
得る電源回路において、電源投入の際に発生する突入電
流による半導体部品への悪影響をおさえるため、電源回
路に突入電流抑制素子1を直列に入れ、通電により温度
が上昇すると、抵抗が低下する負性抵抗を利用して突入
電流を防止する役目を果たして来た。
【0004】前記負性抵抗を有する抵抗素子を突入電流
抑制に用いる場合、これが電源回路に直列に挿入される
ことを考慮すると、通常の回路動作時の突入電流素子1
における損失が大きくなることを防止するため、素子抵
抗を低くする必要があった。しかし従来の突入電流抑制
素子に用いられる前記酸化物は、その室温における抵抗
率がせいぜい100Ωcm程度であり、そのため、実用
に供する素子として、突入電流のように直接大電流を流
すためには抵抗を下げる必要があり、そのため、大面
積、薄形化して用いられ、円板状のものを例にとれば、
最低でも直径20mm程度は必要であった。すなわち、で
きうる限り断面積を広くし、かつ素子厚みを薄くするこ
とが必須要件となっていたが、これは基本的に素子の機
械的強度の増大および小型化という要求に相反するもの
である。特に近年における電源あるいはモータ等の小型
化の要求は強いものがあり、現有素子では素子サイズの
点で使用場所が限られるいう問題点があり、対応するこ
とは難しいのが現状であった。
【0005】また、さらに別の応用として、例えばモー
タの電源をオンオフさせて繰り返し動作させる場合、よ
り感性的ななめらかなオンオフ制御が望まれてきてい
る。すなわち、従来の繰り返し制御の一例として、モー
タの電流増大に伴なうバイメタルのオンオフによる繰り
返し動作があるが、この場合は電流が大となり、なめら
かなオンオフ制御ができない。そこで、この電流制御の
ための負性抵抗素子の使用が考えられる。しかし従来の
思想を踏襲し、センサーに用いられるものと同様に、B
定数が温度変化に拘らず一定であるもの、すなわち、図
4(A)の点線E、F、Gに示すようようなものを使用
すれば、次のような問題が生じる。点線Eで示すように
B定数の大きなものを使用すれば、電源投入時の電流の
増大が急峻となり、負性抵抗素子の本来の役目であるな
めらか制御が期待できず、反対に、点線Fで示すB定数
の小さなものを用いれば、熱的応答が悪く、実用的でな
い。また、点線Gで示すように、B定数が中間程度のも
のを使用しても、図4(B)に示すように電源投入後の
電流の立ち上がりはやはり急峻であり、飽和電流I
s(周囲の環境温度等や負荷抵抗により決定される最大
電流)に達する迄の電流変化が大となり、なめらか制御
が困難であり、飽和電流に達するまでの応答時間ts
明確に制御しにくい。また、繰り返し動作の休止期間に
おいて、図4(A)に示すように、温度が動作中の温度
sからTaまで低下した場合の抵抗R1は室温における
抵抗よりはるかに低いため、繰り返し動作の場合におけ
る初期電流抑制効果が小さくなる。
【0006】このような不具合を解消するため、通常モ
ータの電流である10A程度の電流をシリコン半導体で
なるパワー用素子により、これに制御回路を付属させて
制御し、電流増加をゆるやかにすることが考えられる
が、しかし制御回路が必要となるので、モータ等の全体
を小型化するという要望に応じられないという問題点
や、要求される使用条件に実質的に対応できないという
問題点があった。
【0007】本発明は、上記の問題点に鑑み、従来のも
のより低抵抗で小型化できる負性抵抗特性の突入電流抑
制用の素子として使用できる他、繰り返し動作時のなめ
らかな電流制御が制御回路を要することなく良好に行な
える電流制御素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による電流制御素
は、室温以上で負性抵抗を示す導電性酸化物からな
り、23のVの一部をCr、Al、Bi、Sc、H
f、Zrあるいは希土類元素の1種または2種以上の元
素で格子置換した導電性酸化物を用いるものである。す
なわち、例えば(V1-xCrx23で表示される酸化物
は室温付近で金属−半導体転移を起こすことが知られて
おり(「PHYSICAL REVIEW:VOLUM
E2.NUMBER9:P3734〜P3750」−1
970年11月発行)、その特性は主として温度センサ
ーとして用いられてきたが、本発明においては、これら
の酸化物は導電性が高く、室温以上で半導体としての負
性抵抗性を示すことに着目して、これを突入電流抑制に
用いるものである。
【0009】また、本発明において、モータ等の繰り返
し動作のため、抵抗率が室温で10-1Ωcm〜10Ωcm
で、300K〜450Kの範囲で前記B定数が室温付近
では小さく、逆に高温で大きくなるような抵抗特性の金
属酸化物により電流制御素子を構成することが好まし
【0010】
【作用】上述のように、本発明の電流制御素子は、この
種の用途としては従来注目されなかった前記導電性酸化
物を使用することにより、0℃〜200℃の範囲で半導
体相を優先的に生成させる組成を形成させ、従来にない
低抵抗率のものを実現しえたのである。
【0011】図4(A)の曲線Hは、本発明において、
前記繰り返し動作用として構成される電流制御素子の特
性を説明する図であり、B定数が室温付近では小さく、
逆に高温で大きくなるような抵抗特性を有するもので、
このような特性のものを用いれば、図4(B)の曲線H
に示すように、飽和電流Isに達する迄の電流変化が、
B定数一定の電流制御素子(点線G)による場合よりリ
ニアに近くなり、飽和電流応答時間tsが従来による場
合よりも容易に制御できる。また、繰り返し動作の休止
期間において、図4(A)に示すように、動作中の温度
sからTaまで素子温度が低下した場合の抵抗値R2
室温における抵抗値に近くなり、繰り返し動作の場合に
おける初期電流抑制効果が大となる。
【0012】
【実施例1】三酸化二バナジウムの一部をクロムで置換
した酸化物(V1-xCrx23を得るため、原料とし
て、V23、Cr23を所定の比に混合し、焼結助剤と
して、希土類酸化物あるいはFe、Sn等の金属元素を
添加した。この場合、VおよびCrは、アルコキシドを
用いて、加水分解により、所定の比を持つバナジウム酸
化物を合成することが、より組成的に均一な試料が得ら
れる。このようにして酸化物原料を合成し、通常の水素
雰囲気下での焼成を行なうセラミックス焼成プロセスに
より(V1-xCrx23の酸化物燒結体を作成した。こ
のようにして作成した試料(下記a〜lで示す)のCr
の含有量(Xの値)、室温における抵抗率Rおよび後述
のB定数を次に記す。 a:x=0.5 R=7.2×100Ωcm B=2072 b:x=0.2 R=5.1×100Ωcm B=2050 c:x=0.15 R=1.9×100Ωcm B=1875 d:x=0.06 R=8.4×10-1Ωcm B=1982 e:x=0.05 R=5.7×10-1Ωcm B=2026 f:x=0.03 R=5.0×10-1Ωcm B=1843 g:x=0.025 R=4.9×10-2Ωcm B=1942 h:x=0.020 R=4.8×10-2Ωcm B=1683 i:x=0.015 R=4.3×10-2Ωcm B=2015 j:x=0.010 R=4.9×10-2Ωcm B=2040 k:x=0.005 R=7.5×10-4Ωcm B=* l:x=0.003 R=5.2×10-4Ωcm B=* なお、上記試料kとlについては、負性抵抗を示す温度
がいずれも室温以上のため、B定数は定義できなかっ
た。図1は、上記試料a〜lの一部についての抵抗率R
の温度変化を示したもので、Crの添加量XがX>0.
02になると、V23特有の転移を示すが、いずれも0
℃以下の温度で転移が終わるため、室温以上では半導体
相のみとなり、抵抗率は負の温度依存を示す。
【0013】前記各試料のB定数は、式(1)における
温度To、Tをそれぞれ0℃、200℃に設定すると、
おおよそ2000程度となり、実用に供しうる範囲内に
なっている。さらに特徴的なことは、例えば前記試料e
の室温における抵抗率が5.7×10-1Ωcmであり、通
常用いられている突入電流抑制素子より少なくとも2桁
は小さい値を示している。これは、室温から200℃付
近までの抵抗変化を利用して突入電流抑制素子として用
いるならば、素子断面積を大幅に小さくできることを示
している。ただし、Crの添加量Xが0.2を越える
と、抵抗率が大きくなるため、B定数は実用的なもの
の、抵抗値で従来の組成物と同レベルとなり、特に優れ
た特性を示すものとはならない。なお、格子置換しない
例えばC等の元素は、バナジウムカーバイトの析出を生
じて、突入電流抑制素子としての役目を果たさない。
【0014】次に前記Crの添加量Xを0.02とし、
焼成温度を変化させた場合の抵抗率の温度変化を調べた
結果を図2に示す。図2から分かるように、焼成温度が
低くなるほど抵抗値も増大し、転移カーブがブロードに
なり、転移温度が低くなり、本発明の目的にかなうもの
となる。従って0℃付近ないしはこれを越える転移温度
を持つ組成であっても、焼成条件により転移温度を下げ
ることができ、前記Crの添加量Xが0.005以上で
あれば、1300℃以上に焼成することにより、負性抵
抗を持たせることができる。従って、Crの添加量とし
て好適な範囲は、0.005<X<0.2である。
【0015】本発明において目的とする特性を有する酸
化物は、下記に列記するように、添加物としてCr以外
にAl、Bi、Sc、Hf、Zrあるいは希土類元素の
うちの一種以上のものを用いた場合にも得られる。 Al添加:x=0.005 R=7.1×10-4Ωcm * Al添加:x=0.01 R=1.9×10-1Ωcm B=2000 Al添加:x=0.1 R=4.0×100Ωcm B=1750 Al添加:x=0.3 R=3.2×101Ωcm B=1810 Bi添加:x=0.005 R=3.2×10-3Ωcm * Bi添加:x=0.01 R=8.9×10-1Ωcm B=1410 Bi添加:x=0.1 R=7.2×100Ωcm B=1630 Bi添加:x=0.3 R=4.2×101Ωcm B=1200 Sc添加:x=0.005 R=5.1×10-3Ωcm * Sc添加:x=0.01 R=7.6×10-1Ωcm B=580 Sc添加:x=0.1 R=5.0×100Ωcm B=1600 Sc添加:x=0.3 R=5.1×101Ωcm B=1200 Hf添加:x=0.005 R=4.2×10-3Ωcm * Hf添加:x=0.01 R=8.2×10-1Ωcm B=1340 Hf添加:x=0.1 R=6.4×100Ωcm B=1510 Hf添加:x=0.3 R=8.7×101Ωcm B=1015 Zr添加:x=0.005 R=1.8×10-3Ωcm * Zr添加:x=0.01 R=4.5×10-1Ωcm B=879 Zr添加:x=0.1 R=5.8×100Ωcm B=900 Zr添加:x=0.3 R=2.7×101Ωcm B=1015 La添加:x=0.005 R=2.7×10-3Ωcm * La添加:x=0.01 R=3.9×10-1Ωcm B=1872 La添加:x=0.1 R=6.7×100Ωcm B=1415 La添加:x=0.3 R=5.4×101Ωcm B=1200 上記例において、B定数記載の欄に*印を付けたものは
室温では負性抵抗を示さないものであり、おおよそ0℃
〜200℃の範囲では全領域にわたりB定数が定義でき
ない。上記例では希土類元素の代表例としてLaを用い
たが、他の希土類元素によっても同様の特性が得られ
る。
【0016】
【実施例2】次に前記モータの繰り返し動作等における
初期電流抑制効果を発揮するに好適な実施例について説
明する。本来前記(V1-xCrx23は、Crの添加量
により、金属相から半導体相への転移を示すものであ
る。本発明では、こうした特性に着目し、0℃以上で半
導体相のみを生じ、かつ高温で抵抗変化が大きくなると
いう(V1-xCrx23の特異な電気的性質を積極的に
利用するものである。図5は(V1-xCrx23系の抵
抗変化率のCrの量xによる変化を示したものである。
Crの量すなわちx=0.005の時、300K付近で
金属的な振るまいから半導体的な挙動へ変わる。一方、
xを増加させていくにつれて、x=0.005の時に3
00Kに現れた転移は低温にシフトし、やがて全領域で
半導体的挙動を示すようになる。但し図5から分かるよ
うに、抵抗の温度変化は温度領域と組成に依存してい
る。例えばCrの混合量x=0.1の時は、前記B定数
は 300K〜450Kの全温度領域で一定に近い。し
かるにxが0.007から0.1近くまでの範囲では高
温部で前記B定数が室温付近より大となっている。すな
わち、この範囲では室温付近(300k程度)における
抵抗変化率より高温部(450k)における抵抗変化率
の方が大となっている。
【0017】図6はCrの混合量xに対する350Kに
おけるB定数B350と、450KにおけるB定数B450
300KにおけるB定数B300との比B450/B300を示
すものである。前記比B450/B300は、抵抗変化率の温
度依存性を表示する値であり、B350は繰り返し動作に
おいて、低温状態に復帰すると思われる温度でのB定数
を表示するものである。図6において、xが小さい領域
で比B450/B300が大きくなっているのは、室温付近と
450Kにおける抵抗変化率(B定数)の差が大きいこ
とを意味している。しかしxが0.006以下になると
比B450/B300が再び小さくなり、前記温度300K〜
450Kの温度の全領域で抵抗変化率が一定になってい
ることを示している。すなわち、図5中でx=0.00
5の場合、丁度金属相へ転移する領域で、他の組成x=
0.007〜0.1のように、室温付近でフラットな部
分が現れないため、見かけ上減少するのである。したが
って、x=0.01以下では室温付近の抵抗変化が小さ
い温度領域は狭くなっている。一方、xが0.1に近づ
くと、全領域で抵抗変化が小さくなることを示してい
る。
【0018】総じて言えば、xが0.007未満では室
温付近の抵抗変化が金属的になるので、実用上室温付近
における抵抗のバラツキとなるので、使用できない。ま
た、xが0.1を越えると一般的な使用温度範囲である
273K〜473K(0℃〜200℃)の範囲では抵抗
の変化が小さく、また初期抵抗も増大するため、前記繰
り返し動作の目的に使用できない。これらの組成範囲に
ついて定量的な表現をとれば、図6において、前記比B
450/B300がB450/B300≧1.2であり、またB350
の値が1000以下である。すなわち、350Kまでは
なるべく抵抗の温度依存性(B定数)が小さく、450
K付近では逆に大きいことが望ましいのである。
【0019】以上のようなxと抵抗変化率との関係を利
用して、モータ等の起動時の大電流制御の可能性につい
て検討した。前記(V1-xCrx23について、前記し
た手法で素子を縦8mm、横15mm、幅4mmに形成
し、電極およびヒートシンクを取付けて定電圧を印加し
た時の電流変化を示したものである。なお、電圧の印加
サイクルとしては、10秒印加、10秒休止とした。
【0020】図7から明らかなように、電流変化は素子
特性によって大きく変わる。すなわちx=0.006の
場合(xが小さく高温でB定数が大きい特性の場合)、
立ち上がり時間が早く、かつ繰り返しの際に最初の抵抗
値に戻っていない。これはx=0.006の場合の電気
特性そのものを反映していると考えられる。すなわち、
抵抗変化が大きいため、前述した定電圧印加では温度上
昇が大きく、また室温付近の抵抗変化も大きいため、初
期抵抗には戻りにくいと考えられる。逆にx=0.1の
場合は、最終的な抵抗変化が小さいため、所定の電流値
より低い電流値で飽和してしまい、所定の電流値を得る
ことができない。その中間のx=0.02の特性の場
合、両者の中間で繰り返し特性および電流値ともに満足
する。
【0021】以上は代表的な試験結果について示したが
さらに、Crの添加量xを変え、前記寸法に作成したも
のについて、前記と同じ試験を行ない、添加量xに対し
て飽和電流、初期抵抗変化率(前記サイクル試験におけ
る1回目と2回目の抵抗初期値の変化率)を測定した結
果を次に示す。
【0022】 x(Cr) 飽和電流(A) 初期抵抗変化率(%) 0.006 11.1 60 0.008 11.2 40 0.01 10.5 25 0.05 10.8 15 0.1 9.5 15 0.3 8.1 15 上記の結果から分かるように、xが小さい場合は初期抵
抗変化率が大きくなり、一方、xが大きくなると、飽和
電流が小さくなる。これらの結果より、xの実用的な範
囲は0.007以上0.1以下である。
【0023】
【実施例3】上記Crの代わりにAlを添加元素として
用いたものについて、前記と同様の試験を行なった。そ
の結果を下記する。
【0024】 x(Al) 飽和電流(A) 初期抵抗変化率(%) 0.006 11.3 70 0.008 11.4 42 0.01 10.8 31 0.02 10.1 28 0.03 9.8 20 0.08 10.0 18 0.1 9.0 19 0.3 7.4 12 この結果から明らかなように、Alを添加元素として用
いた場合にも、xが0.007〜0.1の範囲にあるこ
とが望ましい。
【0025】
【発明の効果】請求項1ないしによれば、前述したV
23を中心としてCr等の添加により室温付近以上で負
荷抵抗特性の電流制御素子を得るものであり、かつ、負
性抵抗領域でのB定数が2000付近のものを利用し該
素子の低抵抗率化を図ることができるため、従来よりは
るかに小型の電流制御素子でかつあまり薄型化する必要
のない機械的強度の大きなものが実現される。
【0026】請求項によれば、抵抗変化率が室温付近
から350K近傍までは小さく、それ以上では大きくな
るように素子を作成し、これを用いて電流制御素子を構
成したので、電源投入、休止を繰り返すモータ等の大電
流を流す負荷の繰り返し動作において、モータ等の電流
の滑らかな立ち上がりが実現されると共に、休止期間に
おいて抵抗値が起動前の高い値に復帰し、繰り返し動作
におけるなめらかな感性的に優れた動作制御が、制御回
路を付加することなく、自己制御型のものとして実現で
きる。すなわち、本発明は、従来の半導体デバイスや、
バイメタル、サーマルリレー等のスイッチング素子の双
方が達成しえない領域をうめるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の突入電流抑制に用いるに好適な電流制
御素子を構成する金属酸化物である三酸化二バナジウム
に対してクロムを種々に変化させた場合の抵抗率の温度
変化図である。
【図2】図1と同様に三酸化二バナジウムに対して所定
量のクロムを添加し、焼成温度を変化させた場合の抵抗
率の温度変化図である。
【図3】本発明の対象である電流制御素子の使用例を示
す回路図である。
【図4】(A)は本発明の繰り返し動作に用いるに好適
な電流制御素子の抵抗率と温度との関係を説明する図、
(B)は繰り返し動作における該電流制御素子の電流の
立ち上がり特性を示す図である。
【図5】本発明の繰り返し動作に用いるに好適な電流制
御素子を構成する金属酸化物の抵抗率と温度との関係を
示す図である。
【図6】本発明の繰り返し動作に用いるに好適な電流制
御素子を構成する金属酸化物のCr混合量に対するB定
数B350とB定数の比B450/B300を示す図である。
【図7】本発明の電流制御素子を繰り返し動作に用いた
場合の電流変化例を示す図である。
【符号の説明】
1 突入電流抑制素子 2 整流平滑化回路 3 交流電源 4 電源スイッチ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】室温以上で負性抵抗特性を示す導電性酸化
    物からなり、 前記導電性酸化物が(V1-xx23(但しMはVと格
    子置換する1種または2種以上の元素)で表され、かつ
    0.001<X<0.2であることを特徴とする電流制
    御素子。
  2. 【請求項2】請求項において、前記元素MがCr、A
    l、Bi、Sc、 Hf、Zrあるいは希土類であることを特徴とする電流
    制御素子。
  3. 【請求項3】室温以上で負性抵抗特性を示す導電性酸化
    物からなり、 、前記導電性酸化物が(V1-xCrx23で表され、 かつ0.005<x<0.2であることを特徴とする電
    流制御素子。
  4. 【請求項4】性抵抗素子が(V1-xx23(但しM
    はCrまたはAl)で表され、 かつ0.007≦x≦0.10であることを特徴とする
    電流制御素子。
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