JPH07176406A - 負の抵抗温度特性を有する半導体磁器及びそれからなる突入電流防止用素子並びにそれからなるモーター起動遅延用素子 - Google Patents

負の抵抗温度特性を有する半導体磁器及びそれからなる突入電流防止用素子並びにそれからなるモーター起動遅延用素子

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JPH07176406A
JPH07176406A JP1172094A JP1172094A JPH07176406A JP H07176406 A JPH07176406 A JP H07176406A JP 1172094 A JP1172094 A JP 1172094A JP 1172094 A JP1172094 A JP 1172094A JP H07176406 A JPH07176406 A JP H07176406A
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JP1172094A
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Terunobu Ishikawa
輝伸 石川
Akiyoshi Nakayama
晃慶 中山
Hideaki Niimi
秀明 新見
Toshihiko Kikko
敏彦 橘高
Hiroshi Takagi
洋 鷹木
Kunisaburo Tomono
国三郎 伴野
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 定常状態において、低比抵抗でかつB定数が
大きく、大電流を流すことができる負の抵抗温度特性を
有する半導体磁器を提供する。 【構成】 負の抵抗温度特性を有する半導体磁器を構成
する場合に、希土類遷移元素系酸化物(但し、希土類の
うちCeを除き、Yを含む)を主成分とし、これにS
i,Zr,Hf,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,
Ceのうち少なくとも1種を添加する。また添加物を
0.001〜10mol %とする。上記希土類遷移元素系
酸化物にLaCo系酸化物を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、負の抵抗温度特性を有
する半導体磁器,及び該半導体磁器からなる突入電流防
止用素子,モーター起動遅延用素子に関し、詳細には定
常状態において、低抵抗でかつB定数が大きく、大電流
を流すことができるようにした組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、初期の過電流を防止する素子
として、温度上昇とともに抵抗値が減少する負の抵抗温
度特性を有する半導体磁器(NTC素子)が用いられて
いる。このNTC素子は室温での抵抗値が高いため、初
期の過電流を抑制し、その後、自己発熱により昇温して
低抵抗となり、定常状態では電力消費量が減少する。
【0003】例えばスイッチング電源では、スイッチを
入れた瞬間に過電流が流れることから、この初期の突入
電流を吸収する素子として、上記NTC素子が用いられ
ている。このNTC素子は上述のように室温での抵抗値
が高く、温度の上昇とともに抵抗値が低下する機能を有
していることから、スイッチがオンすると初期の突入電
流を抑制し、この後自己発熱により昇温して低抵抗とな
り、定常状態では電力消費量が減少する。
【0004】また、例えばモータが起動して始めて潤滑
油の供給が開始されるように構成された歯車装置では、
駆動モーターで歯車装置を直ちに高速回転させると潤滑
油の供給が不充分となり、歯車が破損するおそれがあ
る。また砥石を回転させて磁器表面を研磨する場合に用
いられるラップ盤では、駆動モーターを起動した瞬間に
高速回転させると磁器が割れたりする場合がある。この
ような問題を回避するには、上記駆動モータの起動を一
定時間遅らせる必要があり、このようなモーター起動を
遅延させる素子として、上記NTC素子が用いられてい
る。このNTC素子により起動時にはモーター端子電圧
が低くなることから、モーターの起動を遅らせることが
できる。そして上述のように、この後自己発熱により昇
温して低抵抗となり、定常状態ではモーターは正常に回
転することとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記NTC
素子を突入電流防止用素子,及びモーター起動遅延用素
子として用いる場合、自己発熱による昇温状態で抵抗値
が小さくならなければならない。しかしながら上記従来
のスピネル型構造を有する遷移金属酸化物を用いたNT
C素子では、温度上昇による抵抗減少割合(B定数)を
3200K以上にすることができないという問題があ
る。そのため、高温状態におけるNTC素子の抵抗値を
十分小さくすることができず定常状態における電力消費
量が大きくならざるを得なかった。高温状態における抵
抗値を十分に小さくするには、例えば、NTC素子が円
板状の場合はその径を大きくするか、肉厚を薄くすれば
よい。しかしこのような対応では、電子部品の小型化の
要求に逆行することになり、薄肉化も強度の面で限界が
ある。この点を改善するものとして、セラミック層間に
内部電極を介在させて積層体を形成し、これの側面に上
記内部電極が交互に電気接続される外部電極を形成して
なる積層型NTC素子がある。ところがこの積層型NT
C素子では、電極間が近すぎて初期の過電流(数A以
上)により破壊する場合がある。
【0006】一方、本件発明者らは、負の抵抗温度特性
を示す材料について鋭意検討したところ、希土類元素系
からなる酸化物について着目した。この希土類遷移元素
系酸化物は、温度上昇によりB定数が増加し、かつ抵抗
値も低くなるという特性を有している。この特性はV.
G.Bhide及びD.S.Rajoriaによる文献(Phys.Rev.
B6〔3 〕1021(1972)) 等に記載されている。
【0007】しかしながら、上記希土類遷移元素系酸化
物は、従来のスピネル型構造を有する遷移金属酸化物と
比較して高温における抵抗値は低いが、B定数が小さ
く、実用的な値が得られない場合がある。
【0008】本発明は上記した各問題を解決するために
なされたものであり、定常状態において、低比抵抗でか
つB定数が大きく、大電流を流すことができる負の抵抗
温度特性を有する半導体磁器及び該半導体磁器からなる
突入電流防止用素子,モーター起動遅延用素子を提供す
ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の発明
は、希土類遷移元素系酸化物(但し、希土類のうちCe
を除き、Yを含む)を主成分とし、これにSi,Zr,
Hf,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,Ceのうち
少なくとも1種を添加してなることを特徴とする負の抵
抗温度抵抗特性を有する半導体磁器である。
【0010】請求項2の発明は、上記添加物が0.00
1〜10mol %であることを特徴としている。また請求
項3の発明は、上記希土類遷移元素系酸化物がLaCo
系酸化物であることを特徴としている。
【0011】請求項4の発明は、希土類遷移元素系酸化
物からなり、負の抵抗温度特性を示す半導体磁器からな
る突入電流防止用素子であり、請求項5の発明は、上記
半導体磁器からなるモーター起動遅延用素子であること
を特徴としている。
【0012】ここで、上記希土類遷移元素酸化物には、
LaCoO3 系,SmNiO3 ,あるいはNdCoO3
系等が採用でき、特に限定されるものではない。このう
ちLaCoO3 系を採用した場合は、温度上昇によるB
定数の増大が大きく、かつ高温での比抵抗が十分に小さ
いという実用的な特性が得られる。なお、上記希土類元
素のなかでCeについては、遷移金属との酸化物を得る
ことが困難であることから除外した。またYについて
は、希土類元素と同様の特性,効果が得られることから
本発明における希土類元素のグループに含めた。
【0013】また、上記希土類遷移元素酸化物にSi,
Zr,Hf,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,Ce
を0.001mol %以上添加することにより、高温での
比抵抗を低く係持したままB定数を大きくすることがで
き、実用的な値が得られる。この場合、添加量が10mo
l %を越えると高温でのB定数が従来のものより小さく
なる。このため添加量は0.001〜10mol %の範囲
が望ましい。
【0014】さらに、上記希土類元素と遷移元素とのモ
ル比は1:1に限るものではなく変化させてもよい。こ
の場合、モル比を0.6〜1.1の範囲で変化させた場
合は1:1と同程度のB定数が得られるが、モル比が
0.6未満となったり,1.1を越えたりすると昇温状
態での抵抗値が小さくならず、このため定常状態での電
力消費量が増大し、大電流が流れる回路には使用できな
くなる場合がある。
【0015】
【作用】本発明に係る負の抵抗温度特性を有する半導体
磁器によれば、希土類遷移元素系酸化物に上述の副成分
を添加したので、高温における抵抗値を低く保持したま
ま室温での比抵抗を高くすることができるので、B定数
が大きいNTC素子を得ることができる。したがって、
NTC素子を小型化した場合でも、昇温状態での抵抗値
を十分小さくでき、定常状態での電力消費量を低減で
き、しかも大電流が流れる回路にも適用することができ
る。従って、上記特性を有する半導体磁器を突入電流防
止用素子として採用することによって、スイッチング電
源等の大電流が流れる機器にも適用できる。また上記半
導体磁器をモーター起動遅延用素子として採用すること
によって、大電流が流れる駆動モーターにも対応でき
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0017】実施例1 この実施例は、希土類遷移系酸化物として、LaCoO
3 を採用し、これにZrを添加した例である。
【0018】まず、Coに対するLaのモル比率が0.
95となるように、Co3 4 とLa2 3 の各粉末を
秤量した。
【0019】
【表1】
【0020】この秤量した粉末に、表1に示すように、
Zrを0〜20mol %添加し、ナイロンボールを用いた
ボールミルで16時間湿式混合した。この後、脱水,乾
燥させて1000℃で2時間仮焼成した。この仮焼成し
た粉末をジェットミルで粉砕し、これにバインダを加え
て再度ナイロンボールを用いたボールミルで5時間湿式
混合し、次いでろ過,乾燥させた後、円板状に加圧成形
し、該成形体を大気中にて1400℃で2時間焼成して
焼結体を得た。次に、この焼結体の両主面に白金ペース
トをスクリーン印刷した後、1000℃で2時間焼き付
けて電極を形成した。これにより本実施例の各試料を製
造した。
【0021】このようにして得られた各試料(試料No.
1−1〜1−8)について、比抵抗(ρ)及びB定数の
各電気特性を測定した。なお、表1において*印は本願
請求項の範囲外である。ここで、上記比抵抗(ρ)は2
5℃において測定した値である。また、B定数は温度を
T、比抵抗をρ、自然対数をInとすると、 B(T)=〔Inρ(T0 )−Inρ(T)〕/(1/T0 −1/T) で定義される定数であり、温度による抵抗変化を示す。
この数値が大きいほど温度による抵抗変化が大きい。ま
た、表中、B定数(−10℃),B定数(140℃)は
それぞれ以下のように定めた。 B定数(−10℃) =〔Inρ(-10℃) −Inρ(25
℃)〕/〔1/(−10+273.15) −1/(25 +273.5)〕 B定数(140 ℃) =〔Inρ(25 ℃) −Inρ(140
℃) 〕/〔1/(25+273.15) −1/(140 +273.5)〕
【0022】表1からも明らかなように、主成分のLa
CoO3 にZrを0.001〜10mol %の範囲で添加
することによって、比抵抗は11.1〜19.8Ω・c
mと低く、−10℃のB定数は1220〜2620K
で、140℃のB定数は3020〜4730Kと満足で
きる値が得られていることがわかる。
【0023】図1及び図2は、本実施例試料の繰り返し
通電試験を行った結果を示す。この試験は、Zr量を1
mol %とした試料(表1のNo. 1−6参照)を採用し
た。図1は、25℃において、上記試料をスイッチング
電源に直列接続し、電源投入時のスイッチング電源電流
の時間変化を測定した結果を示す。また、図2は、繰り
返し通電試験の回数と25℃における抵抗値との関係を
示す。この繰り返し通電試験は、上記試料に1分間電流
を通電した後、30分間電源をオフし、25℃に冷却す
るという工程を1サイクルとした。
【0024】各図からも明らかなように、1回から10
000回行っても特性の変化は全く認められなかった。
また100個の試料に20A,100時間連続して通電
して実用試験を行ったが、何れの試料も破壊することは
なく、大電流にも適用できることが確認できた。
【0025】実施例2 本実施例は、希土類遷移系酸化物として、上記実施例1
と同様のLaCoO3を採用し、これに表2に示すよう
に、Si,Mo,Sn,Sb,Te,Hf,Ta,W,
Ceをそれぞれ所定量添加した。また表3に示すよう
に、上記LaCoO3 に、Zr−Mo,Zr−Sn,Z
r−Sn−W,Zr−Mo−Ceをそれぞれ所定量添加
した。そして上記実施例1と同様の製造方法により本実
施例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定
数の各電気特性を測定した。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表2及び表3からも明らかなように、何れ
の試料(試料No. 1−9〜1−21)においても、比抵
抗は16.2〜20.5Ω・cmと低く、−10℃のB
定数は1820〜2630Kで、140℃のB定数は4
290〜4680Kと満足できる値が得られている。
【0029】実施例3 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLaCrO3
採用し、これのCrに対するLaのモル比率が0.95
となるように、La3 3 とCr2 3 の各粉末を秤量
した。この秤量した粉末に、表4に示すように、Zr,
Mo,Sb,Hf,Ta,Ce,及びSb−Hf,Zr
−Ta,Sn−Ce,Si−Mo−Wをそれぞれ所定量
添加した。そして上記実施例1と同様の製造方法により
本実施例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及び
B定数の各電気特性を測定した。
【0030】
【表4】
【0031】表4からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 2−1〜2−10)においても、比抵抗は1
6.1〜20.0Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
2420〜2710Kで、140℃のB定数は3870
〜4320Kと満足できる値が得られている。
【0032】実施例4 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてSmNiO3
採用し、これのNiに対するSmのモル比率が0.95
となるように、Sm2 3 とNiOの各粉末を秤量し
た。この秤量した粉末に、表5に示すように、Zr,M
o,Sb,Hf,Ta,W及びSb−Ce,Zr−T
a,Sn−W,Si−Mo−Wをそれぞれ所定量添加し
た。そして上記実施例1と同様の製造方法により本実施
例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数
の各電気特性を測定した。
【0033】
【表5】
【0034】表5からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 3−1〜3−10)においても、比抵抗は1
2.0〜15.0Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
2060〜2410Kで、140℃のB定数は3620
〜3990Kと満足できる値が得られている。
【0035】実施例5 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてNdNiO3
採用し、これのNiに対するNdのモル比率が0.95
となるように、Nd2 3 とNiOの各粉末を秤量し
た。この秤量した粉末に、表6に示すように、Si,Z
r,Mo,Sn,Sb,Ce及びSi−Sn,Zr−
W,Mo−Ta,Zr−Sn−Taをそれぞれ所定量添
加した。そして上記実施例1と同様の製造方法により本
実施例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB
定数の各電気特性を測定した。
【0036】
【表6】
【0037】表6からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 4−1〜4−10)においても、比抵抗は2
2.6〜25.9Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1970〜2240Kで、140℃のB定数は3710
〜3930Kと満足できる値が得られている。
【0038】実施例6 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてPrNiO3
採用し、これのNiに対するPrのモル比率が0.95
となるように、Pr6 11とNiOの各粉末を秤量し
た。この秤量した粉末に、表7に示すように、Zr,M
o,Sb,Te,Ta,W及びZr−Hf,Zr−W,
Mo−Sb,Sb−Hf−Wをそれぞれ所定量添加し
た。そして上記実施例1と同様の製造方法により本実施
例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数
の各電気特性を測定した。
【0039】
【表7】
【0040】表7からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 5−1〜5−10)においても、比抵抗は
8.9〜12.0Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1960〜2210Kで、140℃のB定数は3590
〜3820Kと満足できる値が得られている。
【0041】実施例7 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLa0.9 Nd
0.1 CoO3 を採用し、該La0.9 Nd0.1 CoO3
導体磁器が得られるようにLa2 3 ,Nd2 3 及び
Co3 4 の各粉末を秤量した。この秤量した粉末に、
表8に示すように、Zr,Sb,W及びSi−Hf,Z
r−Mo−Taをそれぞれ所定量添加した。そして上記
実施例1と同様の製造方法により本実施例の各試料を作
成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数の各電気特性を
測定した。
【0042】
【表8】
【0043】表8からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 6−1〜6−5)においても、比抵抗は2
4.0〜26.4Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1720〜1910Kで、140℃のB定数は3540
〜3690Kと満足できる値が得られている。
【0044】実施例8 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLa0.9 Gd
0.1 CoO3 を採用し、該La0.9 Gd0.1 CoO3
導体磁器が得られるようにLa2 3 ,Gd2 3 及び
Co3 4 の各粉末を秤量した。この秤量した粉末に、
表9に示すように、Sn,Ta,Ce及びZr−Mo,
Zr−Te−Hfをそれぞれ所定量添加した。そして上
記実施例1と同様の製造方法により本実施例の各試料を
作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数の各電気特性
を測定した。
【0045】
【表9】
【0046】表9からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 7−1〜7−5)においても、比抵抗は2
1.9〜23.7Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1840〜2020Kで、140℃のB定数は3650
〜3860Kと満足できる値が得られている。
【0047】実施例9 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLa0.990.01
MnO3 を採用し、該La0.990.01MnO3 半導体磁
器が得られるようにLa2 3 ,Y2 3 及びMnOの
各粉末を秤量した。この秤量した粉末に、表10に示す
ように、Sn,Mo,W及びSb−Ta,Zr−Sb−
Moをそれぞれ所定量添加した。そして上記実施例1と
同様の製造方法により本実施例の各試料を作成し、各試
料の比抵抗(ρ)及びB定数の各電気特性を測定した。
【0048】
【表10】
【0049】表10からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 8−1〜8−5)においても、比抵抗は1
9.7〜21.5Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
2190〜2290Kで、140℃のB定数は3820
〜3970Kと満足できる値が得られている。
【0050】なお、上記各実施例1〜9では、LaCo
3 系,LaCrO3 系,SmNiO3 系,NdNiO
3 系,PrNiO3 系の各酸化物について説明したが、
本発明はこれに限られるものではなくその他の希土類遷
移系酸化物についても同様の効果が得られる。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る負の抵抗温
度特性を有する半導体磁器及び該磁器からなる突入電流
防止用素子並びにそれからなるモーター起動遅延用素子
によれば、希土類遷移元素系酸化物に、Si,Zr,H
f,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,Ceのうち少
なくとも1種を添加したので、室温付近での比抵抗を小
さくすることができるとともに、かつ高温でのB定数が
大きい素子を得ることができる。したがって、昇温状態
での抵抗値を十分小さくでき、定常状態での電力消費量
を低減できる効果があるとともに、大電流が流れる回路
にも適用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】25℃において、スイッチング電源にNTC素
子を直列接続し、電源投入時のスイッチング電源電流の
時間変化を測定した結果を示す特性図である。
【図2】繰り返し通常試験の回数と25℃の抵抗値の関
係を示す特性図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 負の抵抗温度特性を有する半導体磁器
及びそれからなる突入電流防止用素子並びにそれからな
るモーター起動遅延用素子
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、負の抵抗温度特性を有
する半導体磁器,及び該半導体磁器からなる突入電流防
止用素子,モーター起動遅延用素子に関し、詳細には定
常状態において、低抵抗でかつB定数が大きく、大電流
を流すことができるようにした組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、初期の過電流を防止する素子
として、温度上昇とともに抵抗値が減少する負の抵抗温
度特性を有する半導体磁器(NTC素子)が用いられて
いる。このNTC素子は室温での抵抗値が高いため、初
期の過電流を抑制し、その後、自己発熱により昇温して
低抵抗となり、定常状態では電力消費量が減少する。
【0003】例えばスイッチング電源では、スイッチを
入れた瞬間に過電流が流れることから、この初期の突入
電流を吸収する素子として、上記NTC素子が用いられ
ている。このNTC素子は上述のように室温での抵抗値
が高く、温度の上昇とともに抵抗値が低下する機能を有
していることから、スイッチがオンすると初期の突入電
流を抑制し、この後自己発熱により昇温して低抵抗とな
り、定常状態では電力消費量が減少する。
【0004】また、例えばモータが起動して始めて潤滑
油の供給が開始されるように構成された歯車装置では、
駆動モーターで歯車装置を直ちに高速回転させると潤滑
油の供給が不充分となり、歯車が破損するおそれがあ
る。また砥石を回転させて磁器表面を研磨する場合に用
いられるラップ盤では、駆動モーターを起動した瞬間に
高速回転させると磁器が割れたりする場合がある。この
ような問題を回避するには、上記駆動モータの起動を一
定時間遅らせる必要があり、このようなモーター起動を
遅延させる素子として、上記NTC素子が用いられてい
る。このNTC素子により起動時にはモーター端子電圧
が低くなることから、モーターの起動を遅らせることが
できる。そして上述のように、この後自己発熱により昇
温して低抵抗となり、定常状態ではモーターは正常に回
転することとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記NTC
素子を突入電流防止用素子,及びモーター起動遅延用素
子として用いる場合、自己発熱による昇温状態で抵抗値
が小さくならなければならない。しかしながら上記従来
のスピネル型構造を有する遷移金属酸化物を用いたNT
C素子では、温度上昇による抵抗減少割合(B定数)を
3200K以上にすることができないという問題があ
る。そのため、高温状態におけるNTC素子の抵抗値を
十分小さくすることができず定常状態における電力消費
量が大きくならざるを得なかった。高温状態における抵
抗値を十分に小さくするには、例えば、NTC素子が円
板状の場合はその径を大きくするか、肉厚を薄くすれば
よい。しかしこのような対応では、電子部品の小型化の
要求に逆行することになり、薄肉化も強度の面で限界が
ある。この点を改善するものとして、セラミック層間に
内部電極を介在させて積層体を形成し、これの側面に上
記内部電極が交互に電気接続される外部電極を形成して
なる積層型NTC素子がある。ところがこの積層型NT
C素子では、電極間が近すぎて初期の過電流(数A以
上)により破壊する場合がある。
【0006】一方、本件発明者らは、負の抵抗温度特性
を示す材料について鋭意検討したところ、希土類元素系
からなる酸化物について着目した。この希土類遷移元素
系酸化物は、温度上昇によりB定数が増加し、かつ抵抗
値も低くなるという特性を有している。この特性はV.
G.Bhide及びD.S.Rajoriaによる文献(Phys.Rev.
B6〔3 〕1021(1972)) 等に記載されている。
【0007】しかしながら、上記希土類遷移元素系酸化
物は、従来のスピネル型構造を有する遷移金属酸化物と
比較して高温における抵抗値は低いが、B定数が小さ
く、実用的な値が得られない場合がある。
【0008】本発明は上記した各問題を解決するために
なされたものであり、定常状態において、低比抵抗でか
つB定数が大きく、大電流を流すことができる負の抵抗
温度特性を有する半導体磁器及び該半導体磁器からなる
突入電流防止用素子,モーター起動遅延用素子を提供す
ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の発明
は、希土類遷移元素系酸化物(但し、希土類のうちCe
を除き、Yを含む)を主成分とし、これにSi,Zr,
Hf,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,Ceのうち
少なくとも1種を添加してなることを特徴とする負の抵
抗温度抵抗特性を有する半導体磁器である。
【0010】請求項2の発明は、上記添加物が0.00
1〜10mol %であることを特徴としている。また請求
項3の発明は、上記希土類遷移元素系酸化物がLaCo
系酸化物であることを特徴としている。
【0011】請求項4の発明は、希土類遷移元素系酸化
物からなり、負の抵抗温度特性を示す半導体磁器からな
る突入電流防止用素子であり、請求項5の発明は、上記
半導体磁器からなるモーター起動遅延用素子であること
を特徴としている。
【0012】ここで、上記希土類遷移元素酸化物には、
LaCoO3 系,SmNiO3 ,あるいはNdCoO3
系等が採用でき、特に限定されるものではない。このう
ちLaCoO3 系を採用した場合は、温度上昇によるB
定数の増大が大きく、かつ高温での比抵抗が十分に小さ
いという実用的な特性が得られる。なお、上記希土類元
素のなかでCeについては、遷移金属との酸化物を得る
ことが困難であることから除外した。またYについて
は、希土類元素と同様の特性,効果が得られることから
本発明における希土類元素のグループに含めた。
【0013】また、上記希土類遷移元素酸化物にSi,
Zr,Hf,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,Ce
を0.001mol %以上添加することにより、高温での
比抵抗を低く係持したままB定数を大きくすることがで
き、実用的な値が得られる。この場合、添加量が10mo
l %を越えると高温でのB定数が従来のものより小さく
なる。このため添加量は0.001〜10mol %の範囲
が望ましい。
【0014】さらに、上記希土類元素と遷移元素とのモ
ル比は1:1に限るものではなく変化させてもよい。こ
の場合、モル比を0.6〜1.1の範囲で変化させた場
合は1:1と同程度のB定数が得られるが、モル比が
0.6未満となったり,1.1を越えたりすると昇温状
態での抵抗値が小さくならず、このため定常状態での電
力消費量が増大し、大電流が流れる回路には使用できな
くなる場合がある。
【0015】
【作用】本発明に係る負の抵抗温度特性を有する半導体
磁器によれば、希土類遷移元素系酸化物に上述の副成分
を添加したので、高温における抵抗値を低く保持したま
ま室温での比抵抗を高くすることができるので、B定数
が大きいNTC素子を得ることができる。したがって、
NTC素子を小型化した場合でも、昇温状態での抵抗値
を十分小さくでき、定常状態での電力消費量を低減で
き、しかも大電流が流れる回路にも適用することができ
る。従って、上記特性を有する半導体磁器を突入電流防
止用素子として採用することによって、スイッチング電
源等の大電流が流れる機器にも適用できる。また上記半
導体磁器をモーター起動遅延用素子として採用すること
によって、大電流が流れる駆動モーターにも対応でき
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0017】実施例1 この実施例は、希土類遷移系酸化物として、LaCoO
3 を採用し、これにZrを添加した例である。
【0018】まず、Coに対するLaのモル比率が0.
95となるように、Co3 4 とLa2 3 の各粉末を
秤量した。
【0019】
【表1】
【0020】この秤量した粉末に、表1に示すように、
Zrを0〜20mol %添加し、ナイロンボールを用いた
ボールミルで16時間湿式混合した。この後、脱水,乾
燥させて1000℃で2時間仮焼成した。この仮焼成し
た粉末をジェットミルで粉砕し、これにバインダを加え
て再度ナイロンボールを用いたボールミルで5時間湿式
混合し、次いでろ過,乾燥させた後、円板状に加圧成形
し、該成形体を大気中にて1400℃で2時間焼成して
焼結体を得た。次に、この焼結体の両主面に白金ペース
トをスクリーン印刷した後、1000℃で2時間焼き付
けて電極を形成した。これにより本実施例の各試料を製
造した。
【0021】このようにして得られた各試料(試料No.
1−1〜1−8)について、比抵抗(ρ)及びB定数の
各電気特性を測定した。なお、表1において*印は本願
請求項の範囲外である。ここで、上記比抵抗(ρ)は2
5℃において測定した値である。また、B定数は温度を
T、比抵抗をρ、自然対数をInとすると、 B(T)=〔Inρ(T0 )−Inρ(T)〕/(1/T0 −1/T) で定義される定数であり、温度による抵抗変化を示す。
この数値が大きいほど温度による抵抗変化が大きい。ま
た、表中、B定数(−10℃),B定数(140℃)は
それぞれ以下のように定めた。 B定数(−10℃) =〔Inρ(-10℃) −Inρ(25
℃)〕/〔1/(−10+273.15) −1/(25 +273.5)〕 B定数(140 ℃) =〔Inρ(25 ℃) −Inρ(140
℃) 〕/〔1/(25+273.15) −1/(140 +273.5)〕
【0022】表1からも明らかなように、主成分のLa
CoO3 にZrを0.001〜10mol %の範囲で添加
することによって、比抵抗は11.1〜19.8Ω・c
mと低く、−10℃のB定数は1220〜2620K
で、140℃のB定数は3020〜4730Kと満足で
きる値が得られていることがわかる。
【0023】図1及び図2は、本実施例試料の繰り返し
通電試験を行った結果を示す。この試験は、Zr量を1
mol %とした試料(表1のNo. 1−6参照)を採用し
た。図1は、25℃において、上記試料をスイッチング
電源に直列接続し、電源投入時のスイッチング電源電流
の時間変化を測定した結果を示す。また、図2は、繰り
返し通電試験の回数と25℃における抵抗値との関係を
示す。この繰り返し通電試験は、上記試料に1分間電流
を通電した後、30分間電源をオフし、25℃に冷却す
るという工程を1サイクルとした。
【0024】各図からも明らかなように、1回から10
000回行っても特性の変化は全く認められなかった。
また100個の試料に20A,100時間連続して通電
して実用試験を行ったが、何れの試料も破壊することは
なく、大電流にも適用できることが確認できた。
【0025】実施例2 本実施例は、希土類遷移系酸化物として、上記実施例1
と同様のLaCoO3を採用し、これに表2に示すよう
に、Si,Mo,Sn,Sb,Te,Hf,Ta,W,
Ceをそれぞれ所定量添加した。また表3に示すよう
に、上記LaCoO3 に、Zr−Mo,Zr−Sn,Z
r−Sn−W,Zr−Mo−Ceをそれぞれ所定量添加
した。そして上記実施例1と同様の製造方法により本実
施例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定
数の各電気特性を測定した。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表2及び表3からも明らかなように、何れ
の試料(試料No. 1−9〜1−21)においても、比抵
抗は16.2〜20.5Ω・cmと低く、−10℃のB
定数は1820〜2630Kで、140℃のB定数は4
290〜4680Kと満足できる値が得られている。
【0029】実施例3 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLaCrO3
採用し、これのCrに対するLaのモル比率が0.95
となるように、La3 3 とCr2 3 の各粉末を秤量
した。この秤量した粉末に、表4に示すように、Zr,
Mo,Sb,Hf,Ta,Ce,及びSb−Hf,Zr
−Ta,Sn−Ce,Si−Mo−Wをそれぞれ所定量
添加した。そして上記実施例1と同様の製造方法により
本実施例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及び
B定数の各電気特性を測定した。
【0030】
【表4】
【0031】表4からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 2−1〜2−10)においても、比抵抗は1
6.1〜20.0Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
2420〜2710Kで、140℃のB定数は3870
〜4320Kと満足できる値が得られている。
【0032】実施例4 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてSmNiO3
採用し、これのNiに対するSmのモル比率が0.95
となるように、Sm2 3 とNiOの各粉末を秤量し
た。この秤量した粉末に、表5に示すように、Zr,M
o,Sb,Hf,Ta,W及びSb−Ce,Zr−T
a,Sn−W,Si−Mo−Wをそれぞれ所定量添加し
た。そして上記実施例1と同様の製造方法により本実施
例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数
の各電気特性を測定した。
【0033】
【表5】
【0034】表5からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 3−1〜3−10)においても、比抵抗は1
2.0〜15.0Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
2060〜2410Kで、140℃のB定数は3620
〜3990Kと満足できる値が得られている。
【0035】実施例5 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてNdNiO3
採用し、これのNiに対するNdのモル比率が0.95
となるように、Nd2 3 とNiOの各粉末を秤量し
た。この秤量した粉末に、表6に示すように、Si,Z
r,Mo,Sn,Sb,Ce及びSi−Sn,Zr−
W,Mo−Ta,Zr−Sn−Taをそれぞれ所定量添
加した。そして上記実施例1と同様の製造方法により本
実施例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB
定数の各電気特性を測定した。
【0036】
【表6】
【0037】表6からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 4−1〜4−10)においても、比抵抗は2
2.6〜25.9Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1970〜2240Kで、140℃のB定数は3710
〜3930Kと満足できる値が得られている。
【0038】実施例6 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてPrNiO3
採用し、これのNiに対するPrのモル比率が0.95
となるように、Pr6 11とNiOの各粉末を秤量し
た。この秤量した粉末に、表7に示すように、Zr,M
o,Sb,Te,Ta,W及びZr−Hf,Zr−W,
Mo−Sb,Sb−Hf−Wをそれぞれ所定量添加し
た。そして上記実施例1と同様の製造方法により本実施
例の各試料を作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数
の各電気特性を測定した。
【0039】
【表7】
【0040】表7からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 5−1〜5−10)においても、比抵抗は
8.9〜12.0Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1960〜2210Kで、140℃のB定数は3590
〜3820Kと満足できる値が得られている。
【0041】実施例7 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLa0.9 Nd
0.1 CoO3 を採用し、該La0.9 Nd0.1 CoO3
導体磁器が得られるようにLa2 3 ,Nd2 3 及び
Co3 4 の各粉末を秤量した。この秤量した粉末に、
表8に示すように、Zr,Sb,W及びSi−Hf,Z
r−Mo−Taをそれぞれ所定量添加した。そして上記
実施例1と同様の製造方法により本実施例の各試料を作
成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数の各電気特性を
測定した。
【0042】
【表8】
【0043】表8からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 6−1〜6−5)においても、比抵抗は2
4.0〜26.4Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1720〜1910Kで、140℃のB定数は3540
〜3690Kと満足できる値が得られている。
【0044】実施例8 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLa0.9 Gd
0.1 CoO3 を採用し、該La0.9 Gd0.1 CoO3
導体磁器が得られるようにLa2 3 ,Gd2 3 及び
Co3 4 の各粉末を秤量した。この秤量した粉末に、
表9に示すように、Sn,Ta,Ce及びZr−Mo,
Zr−Te−Hfをそれぞれ所定量添加した。そして上
記実施例1と同様の製造方法により本実施例の各試料を
作成し、各試料の比抵抗(ρ)及びB定数の各電気特性
を測定した。
【0045】
【表9】
【0046】表9からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 7−1〜7−5)においても、比抵抗は2
1.9〜23.7Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
1840〜2020Kで、140℃のB定数は3650
〜3860Kと満足できる値が得られている。
【0047】実施例9 本実施例は、希土類遷移系酸化物としてLa0.990.01
MnO3 を採用し、該La0.990.01MnO3 半導体磁
器が得られるようにLa2 3 ,Y2 3 及びMnOの
各粉末を秤量した。この秤量した粉末に、表10に示す
ように、Sn,Mo,W及びSb−Ta,Zr−Sb−
Moをそれぞれ所定量添加した。そして上記実施例1と
同様の製造方法により本実施例の各試料を作成し、各試
料の比抵抗(ρ)及びB定数の各電気特性を測定した。
【0048】
【表10】
【0049】表10からも明らかなように、何れの試料
(試料No. 8−1〜8−5)においても、比抵抗は1
9.7〜21.5Ω・cmと低く、−10℃のB定数は
2190〜2290Kで、140℃のB定数は3820
〜3970Kと満足できる値が得られている。
【0050】なお、上記各実施例1〜9では、LaCo
3 系,LaCrO3 系,SmNiO3 系,NdNiO
3 系,PrNiO3 系の各酸化物について説明したが、
本発明はこれに限られるものではなくその他の希土類遷
移系酸化物についても同様の効果が得られる。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る負の抵抗温
度特性を有する半導体磁器及び該磁器からなる突入電流
防止用素子並びにそれからなるモーター起動遅延用素子
によれば、希土類遷移元素系酸化物に、Si,Zr,H
f,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,Ceのうち少
なくとも1種を添加したので、室温付近での比抵抗を小
さくすることができるとともに、かつ高温でのB定数が
大きい素子を得ることができる。したがって、昇温状態
での抵抗値を十分小さくでき、定常状態での電力消費量
を低減できる効果があるとともに、大電流が流れる回路
にも適用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】25℃において、スイッチング電源にNTC素
子を直列接続し、電源投入時のスイッチング電源電流の
時間変化を測定した結果を示す特性図である。
【図2】繰り返し通常試験の回数と25℃の抵抗値の関
係を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橘高 敏彦 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 鷹木 洋 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 伴野 国三郎 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類遷移元素系酸化物(但し、希土類
    のうちCeを除き、Yを含む)を主成分とし、これにS
    i,Zr,Hf,Ta,Sn,Sb,W,Mo,Te,
    Ceのうち少なくとも1種を添加してなることを特徴と
    する負の抵抗温度抵抗特性を有する半導体磁器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記添加物が0.0
    01〜10mol %であることを特徴とする負の抵抗温度
    抵抗特性を有する半導体磁器。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、上記希土類遷
    移元素系酸化物がLaCo系酸化物であることを特徴と
    する負の抵抗温度抵抗特性を有する半導体磁器。
  4. 【請求項4】 希土類遷移元素系酸化物からなり、負の
    抵抗温度特性を示す半導体磁器からなる突入電流防止用
    素子。
  5. 【請求項5】 希土類遷移元素系酸化物からなり、負の
    抵抗温度特性を示す半導体磁器からなるモーター起動遅
    延用素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6090735A (en) * 1997-10-08 2000-07-18 Murata Manufacturing Co., Ltd. Semiconductive ceramic composition and semiconductive ceramic element using the same
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KR101220312B1 (ko) * 2012-06-28 2013-01-10 태성전장주식회사 써미스터 온도센서용 세라믹 조성물 및 그 조성물로 제조된 써미스터 소자

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