JP3070418B2 - 糖蛋白質の分別測定法 - Google Patents

糖蛋白質の分別測定法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】本発明は、糖鎖構造が異なる2種以
上の糖蛋白質の分別測定法に関する。
【0002】
【発明の背景】ヒトに限らず殆どの動物に於いて、体液
中に含まれる蛋白質の多くは糖鎖を有する糖蛋白質であ
る。その糖鎖部分は構造の多様性等から、生体内に関す
る何らかの「情報」を担う物質として最近特に注目さ
れ、国内外を問わず多くの大学・研究機関でその研究が
行われている。
【0003】その研究過程に於いて、何らかの疾病によ
り特定の糖蛋白質の糖鎖構造の変化が起こることが数多
く観察されている。例えば、ヒトα−フェトプロテイン
(AFP)の場合は、肝細胞癌の進行に伴い、AFP糖
鎖へのα−L−フコース残基やN-アセチルグルコサミン
残基(バイセクティング N-アセチルグルコサミン)の
付加が高頻度で観察されることが確認されている。しか
も、このような糖鎖構造変化の程度は血清中AFP濃度
とは無関係で、肝細胞癌の初期の段階から確認されるこ
とから、その変化の程度を調べることにより癌診断が可
能になると考えられ注目されている。
【0004】糖蛋白質の糖鎖構造変化の程度の測定は、
主としてレクチンを用いた分析法、例えばレクチンカラ
ム法、レクチン電気泳動法等により行われている。糖鎖
構造変化の程度の測定が主としてレクチンを利用して行
われている理由としては、レクチンが安価であることの
みならず、糖蛋白質の蛋白質骨格部分に比べて、糖鎖部
分の免疫原性が低いため、非還元末端構造の一部を除け
ば有効な抗糖蛋白質糖鎖抗体が得られないこと、即ち糖
蛋白質糖鎖に対する抗体の作製が極めて困難であること
等が挙げられる。
【0005】しかし、レクチンは糖鎖構造の認識特異性
は高いものの、その糖鎖への結合力(結合定数)は抗体
のそれと比べて数千から数万分の一であるため、レクチ
ンと糖鎖とで、抗原抗体反応の如き強固な複合体を形成
させることは難しい。そのため、固相化抗体を使用する
酵素免疫測定法(ELISA)のような、固相上での複
合体形成後の洗浄操作を必要とする分析法に於いて抗体
の代りにレクチンを利用すると、洗浄時に測定対象の糖
蛋白質とレクチンとの複合体が再度解離する現象が生じ
て、測定感度が顕著に低下する等の問題が生ずるため、
このような方法は臨床診断法としては実用的な方法とは
言い難い。また、上記した如きレクチンの性質のため、
レクチンと測定対象の糖蛋白質との反応を利用して糖蛋
白質の測定を行うためには、レクチン固定化カラムやレ
クチン含有アガロースゲル等を使用して、レクチンが測
定対象の糖蛋白質に比べて著しく過剰の条件下で行わな
ければなければならないという制約があった。
【0006】そのため、レクチンの糖認識特異性と酵素
免疫測定法の高感度を兼ね備え、迅速且つ簡便な糖蛋白
質糖鎖分別測定法の開発が望まれている現状にある。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記した如き状況に鑑みなさ
れたもので、レクチンと抗体とを利用した、高感度で、
迅速且つ簡便な糖蛋白質の分別測定法を提供することを
その目的とする。
【0008】
【発明の構成】本発明は、糖鎖構造は異なるが蛋白質構
造は実質的に同一な糖蛋白質を測定対象とする分別測定
法であって、測定対象の糖蛋白質の少なくとも1つの特
定の糖鎖構造を認識するレクチンと、測定対象の糖蛋白
質全てに結合する性質を有するが該レクチンが結合した
測定対象の糖蛋白質への結合が妨げられる性質を有する
抗体(以下、第1抗体と略記する。)とを組み合わせて
用い、第1抗体が結合した糖蛋白質と、第1抗体が結合
していない糖蛋白質とを、これらの性質の差を利用して
分別測定することを特徴とする分別測定法、の発明であ
る。
【0009】即ち、本発明者らは、レクチンの糖認識特
異性と酵素免疫測定法の高感度を兼ね備え、迅速且つ簡
便な糖蛋白質の分別測定法を開発すべく鋭意研究の途
上、糖蛋白質に対する抗体の中に、レクチンの共存下で
抗原抗体反応が妨げられる性質を有するもの(第1抗
体)が存在することを見出した。そこで、この抗体を利
用する糖蛋白質の分別測定法を開発すべく更に研究を行
ったところ、糖蛋白質糖鎖の疾病による構造変化を識別
し得るレクチンと、上記した如き性質を有する抗体(第
1抗体)とを組み合わせて用いることにより、糖蛋白質
の糖鎖構造変化の程度を高感度に測定することが可能で
あることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明を実施するには例えば以下の如くし
て行えばよい。即ち、先ず、測定対象の糖蛋白質を含む
生体由来の試料と、測定対象の糖蛋白質の少なくとも1
つの特定の糖鎖構造を認識するレクチンと、第1抗体と
を反応させた後、測定対象の糖蛋白質と第1抗体との複
合体と、第1抗体が結合していない測定対象の糖蛋白質
とを、これらの性質の差、例えば分子量の差、等電点の
差、電荷の強弱、疎水性の強弱等を利用して分別した
後、夫々を夫々の性質に応じた方法で測定することによ
り実施できる。
【0011】尚、測定対象の糖蛋白質を、レクチンと第
1抗体に反応させるに当たっては、これらを同時に反応
させてもよいが、レクチンを先きに反応させた後に第1
抗体を反応させる方が、レクチンと糖蛋白質との反応が
確実に起こり測定精度が向上するので望ましい。
【0012】また、上記の本発明による分別測定に当
り、測定対象の糖蛋白質の検出を容易にするためには、
第1抗体に、測定対象の糖蛋白質と抗体との複合体の性
質を変化させ得る物質(以下、分離向上能物質と略記す
る。)又は標識物質を結合させておくことが望ましい。
【0013】更にまた、測定対象の糖蛋白質の検出を容
易にし、且つ糖蛋白質の総量を併せて測定したいのであ
れば、該レクチンが結合した測定対象の糖蛋白質を含む
測定対象の糖蛋白質全てに結合し得る性質を有し、且つ
標識物質が結合した抗体(以下、第2抗体と略記す
る。)を更に組み合わせて用いることが望ましい。第2
抗体を用いる本発明を実施するには例えば以下の如くし
て行えばよい。即ち、先ず、測定対象の糖蛋白質を含む
生体由来の試料と、第2抗体と、測定対象の糖蛋白質の
少なくとも1つの特定の糖鎖構造を認識するレクチン
と、第1抗体とを反応させる。その後、測定対象の糖蛋
白質と第1抗体との複合体と、第1抗体が結合していな
い測定対象の糖蛋白質とを、これらの性質の差、例えば
分子量の差、等電点の差、電荷の強弱、疎水性の強弱等
を利用して分別した後、第2抗体に結合された標識物質
の性質を利用して夫々を測定することにより実施でき
る。
【0014】尚、測定対象の糖蛋白質を、第2抗体とレ
クチンと第1抗体に反応させるに当たっては、これらを
同時に反応させてもよいが、レクチン(及び第2抗体)
を先きに反応させた後に第1抗体を反応させる方が、レ
クチンと糖蛋白質との反応が確実に起こり測定精度が向
上するので望ましい。測定対象の糖蛋白質に、レクチ
ン、第1抗体或は第2抗体を反応させる際に(或は反応
させる前に)、該糖蛋白質をグリコシダーゼ処理する方
が目的の分別測定をより精度良く実施し得る場合があ
る。即ち、測定対象の糖蛋白質の糖鎖末端は疾病の種類
により種々の構造変化を起こすが、該糖鎖の非還元末端
側に結合した糖残基の種類によっては、使用するレクチ
ン、第1抗体或は第2抗体等が本来結合すべき構造を有
する糖鎖であってもその結合が妨げられたり、結合でき
なくなる場合があるからである。このような場合、測定
対象の糖蛋白質をレクチン、第1抗体或は第2抗体と反
応させる際に(或はこれらと反応させる前に予め)適当
なグリコシダーゼで処理して糖蛋白質糖鎖の非還元末端
側の糖残基を適宜除去してレクチン、第1抗体或は第2
抗体が目的の構造を有する糖蛋白質に結合し易くするこ
とによって、目的の分別測定の精度を向上させることが
できるようになるからである。このような目的に用いら
れるグリコシダーゼとしては、糖加水分解酵素としての
作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば
シアリダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−N−アセチ
ルグルコサミニダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マン
ノシダーゼ、α−フコシダーゼ等が好ましく挙げられ
る。また、これらグリコシダーゼの由来は特に限定され
ない。上記した如き場合に於いて、グリコシダーゼを反
応させる際の例えば温度、pH等の条件は使用するグリ
コシダーゼの種類に応じて適宜選択すれば良いが、反応
温度としては、通常0〜50℃、好ましくは1〜40℃、よ
り好ましくは25〜37℃の範囲が、また、反応時のpHと
しては、通常2〜10、好ましくは4〜9の範囲が挙げら
れる。また、グリコシダーゼの使用濃度としては、使用
するグリコシダーゼの種類によって異なり、目的の糖加
水分解反応が生じる濃度以上であればよく特に限定され
ないが、糖加水分解反応を行う場合、薄いグリコシダー
ゼ濃度の溶液中で長時間行うよりも、比較的濃いグリコ
シダーゼ濃度の溶液中で短時間行う方が、不必要な糖鎖
の脱離を防ぐことができるので望ましく、反応液中の総
量が通常10〜1000mU(ユニット)、好ましくは50〜500
mUの範囲となるように選択され、また反応時間として
は通常1分間〜1昼夜、好ましくは3分間〜1時間の範
囲が挙げられる。尚、グリコシダーゼによる反応を、レ
クチン、第1抗体或は第2抗体による反応と同時に行う
場合には、上記した反応条件は、レクチン等を反応させ
る場合の反応条件によりある程度の制約を受けることは
いうまでもない。
【0015】本発明に於いて用いられるレクチンとして
は、種々のレクチン、例えばコンカナバリンA,レンズ
マメレクチン,インゲンマメレクチン,ダツラレクチ
ン,小麦胚芽レクチン等の中から目的の糖鎖構造を認識
し得る性質を有するものを適宜選択して用いればよく、
特に限定されない。
【0016】本発明に用いられる上記した如き性質を有
する第1抗体(又は第2抗体を調製するために用いられ
る抗体)としては、上記した如き性質を有する抗体であ
れば、常法、例えば「免疫実験学入門、第2刷、松橋直
ら、(株)学会出版センター、1981」等に記載の方法に
準じて、例えば馬、牛、羊、兎、山羊、ラット、マウス
等の動物に測定対象を免疫して作製されるポリクローナ
ル性抗体でも、或はまた常法、即ちケラーとミルスタイ
ン(Nature,256巻,495頁,1975)により確立された細胞
融合法に従い、マウスの腫瘍ラインからの細胞と測定対
象物で予め免疫されたマウスの脾細胞とを融合させて得
られるハイブリドーマが産生する単クローン性抗体でも
何れにてもよく、これらを単独で或はこれらを適宜組み
合わせて用いる等は任意である。
【0017】本発明を利用して分別測定可能な糖蛋白質
の具体例としては、例えば血清,血液,血漿,尿等の生
体体液、リンパ球、血球、各種細胞類等の生体由来の試
料中に含まれる、糖鎖構造は異なるが蛋白質構造は実質
的に同一な糖蛋白質が存在するものであって、測定対象
の糖蛋白質の少なくとも1つの特定の糖鎖構造を認識す
るレクチンと第1抗体とが存在するものであれば、特に
限定されることなく挙げられるが、例えばアミラーゼ,
アルカリホスファターゼ,酸性ホスファターゼ,γ-グ
ルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP),リパー
ゼ,クレアチンキナーゼ(CK),乳酸脱水素酵素(L
DH),グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ
(GOT),グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナー
ゼ(GPT),レニン,プロテインキナーゼ,チロシン
キナーゼ等の酵素類、例えばヒト絨毛性ゴナドトロピン
(hCG),甲状腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成
ホルモン(LH)等の生理活性物質、例えば前立腺特異
抗原(PSA),α2-マクログロブリン,癌胎児性抗原
(CEA),α-フェトプロテイン等の癌関連抗原、例
えばCA19−9,CA125等の糖鎖抗原等が好まし
く挙げられる。
【0018】本発明の分別測定法に於て、使用するレク
チンの濃度は、使用するレクチンの種類、測定対象の糖
蛋白質の性質等により変動するが、設定された測定対象
糖蛋白質の検出限界濃度の通常10倍以上、好ましくは10
0倍以上、より好ましくは1000倍以上の濃度で反応時に
共存させておくことが望ましい。
【0019】また、第1抗体の使用濃度は、測定対象糖
蛋白質の検出限界をどの程度に設定するかによっても変
動するが、レクチンと第1抗体の測定対象糖蛋白質に対
する結合定数の違いを考慮した上で設定することが望ま
しい。例えば、測定対象糖蛋白質、レクチンの種類やそ
の物性、第1抗体の物性等により変動するものの、下記
に示す一般式等を利用して設定することが望ましい。第
1抗体濃度≦(レクチンの結合定数)/(第1抗体の結合定
数)×(レクチン濃度)尚、上記の一般式に係わる結合定数
とは、下記(1)式の如き平衡反応に於ける結合定数を
示し、下記(2)式により求められる定数である。 [A]+[B]←→[A・B] (1) 結合定数=[A・B]/([A]×[B]) (2) [A]:平衡状態に於けるレクチン又は第1抗体の濃度
(M)。 [B]:平衡状態に於ける遊離の測定対象糖蛋白質濃度
(M)。 [A・B]:レクチン(又は第1抗体)と測定対象糖蛋
白質との複合体の濃度(M)。 より具体的に述べれば、例えばレクチンの測定対象糖蛋
白質への結合定数が1×106ー1で、第1抗体の測定対
象糖蛋白質への結合定数が1×108ー1である場合に
は、第1抗体濃度はレクチン濃度の100分の1以下、好
ましくは1000分の1以下ということになる。尚、第1抗
体の使用濃度は、設定した検出限界濃度の測定対象糖蛋
白質の全てと結合し得る濃度以上である方が望ましい
が、それ以下(例えば1/10程度)であってもよい。
【0020】また、第2抗体の使用濃度は、測定対象糖
蛋白質の検出限界をどの程度に設定するかによって変動
するが、反応液中の濃度として、設定した検出限界濃度
の測定対象糖蛋白質の全てと結合し得る濃度以上、好ま
しくはその2倍濃度以上、より好ましくは、その5倍濃
度以上としておくことが望ましい。
【0021】本発明の分別測定法に於て、測定対象の糖
蛋白質と、レクチン及び第1抗体、更に要すれば第2抗
体とを反応させて、レクチンと糖蛋白質との複合体、第
1抗体と糖蛋白質との複合体等(或はこれら複合体と第
2抗体との複合体)を形成させる際の反応条件として
は、これら複合体の形成反応を妨げる様な条件でなけれ
ば特に限定されないが、常法、例えば酵素免疫測定法
(EIA),ラジオイムノアッセイ(RIA),蛍光免
疫測定法(FIA),アフィニティクロマトグラフィー
等の自体公知の方法に於いて複合体等を形成させる際の
反応条件に準じて行えばよい。例えば、反応時に緩衝液
を用いる場合には、使用される緩衝剤やその他の試薬は
これら自体公知の方法に於いて用いられるものを適宜選
択して用いればよい。また、反応時のpHとしては、こ
れら複合体の形成反応を妨げない範囲であれば特に限定
されるものではないが、通常2〜10、好ましくは5〜9
の範囲が挙げられる。反応時の温度も、複合体の形成反
応を妨げない範囲であれば特に限定されるものではない
が、通常0〜50℃、好ましくは0〜40℃、より好ましく
は0〜10℃の範囲が挙げられる。反応時間は、これら複
合体が形成されるのに要する時間が、測定対象の糖蛋白
質と、レクチン、第1抗体及び第2抗体との反応性によ
り異なるので、各々の性質に応じて数秒間乃至数時間適
宜反応させればよい。
【0022】第1抗体に結合させる為に用いられる分離
向上物質としては、測定対象の糖蛋白質と第1抗体との
複合体の例えば分子量、疎水性、等電点等の性質を変化
させ得る物質であれば特に限定されることなく挙げられ
るが、具体的には例えばα−キモトリプシノーゲン,β
−ガラクトシダーゼ,リゾチーム,チトクロームC,ト
リプシンインヒビター等のタンパク質、例えばフェニル
アラニン,プロリン,アルギニン,リジン,アスパラギ
ン酸,グルタミン酸等のアミノ酸を含むペプチド、例え
ば臭素,塩素,沃素等のハロゲン原子、例えばポリエチ
レングリコール等の合成高分子、例えばポリグルタミン
酸,ポリアスパラギン酸,ポリリジン,ポリアルギニ
ン,ポリフェニルアラニン,ポリチロシン等のポリアミ
ノ酸、炭素数3〜10のアルキル鎖、例えばパルミチン
酸,オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸、例えばN-
(ε-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド[N-
(ε-maleimidocaproyloxy)succinimide](EMCS),
N-スクシンイミヂル-6-マレイミドヘキサノエイト(N-S
uccinimidyl-6-maleimidohexanoate),ビスマレイミド
ヘキサン(Bismaleimidohexane)(BMH),オクチル
アミン等の第1抗体に結合し得る反応基を有し且つ疎水
性若しくはイオン性を有する化学物質等が好ましく挙げ
られる。尚、本発明に係る分離向上物質は、測定対象の
糖蛋白質や第1抗体の性質(例えばpH安定性,疎水
度,水溶液への溶解度,等電点等)を考慮した上で適宜
選択して用いれば足りる。
【0023】本発明に係る第1抗体と分離向上物質の結
合方法は、第1抗体の特定反応基と分離向上物質の特定
反応基とを結合させる方法、第1抗体の特定反応基を分
離向上物質で置換する方法、第1抗体に対して結合能の
ある物質(例えば抗体、レクチン、抗原、インヒビタ
ー、DNA等)を介して第1抗体と分離向上物質とを結
合させる方法等が挙げられる。より具体的には、例えば
1)自体公知のEIA、RIA或いはFIA等において
一般に行われている自体公知の標識物質と抗体との結合
方法(例えば、医学実験口座、第8巻、山村雄一監修、
第1版、中山書店、1971;図説 蛍光抗体、川生明著、
第1版、(株)ソフトサイエンス社、1983;酵素免疫測定
法、石川栄治、河合忠、宮井潔編、第2版、医学書院、
1982、等)、2)自体公知の物質の修飾および結合方法
(例えば、蛋白質の化学修飾〈上〉〈下〉、瓜谷郁三、
志村憲助、中村道徳、船津勝編集、第1版、(株)学会出
版センター、1981;ポリエチレングリコール修飾タンパ
ク質、稲田祐二他、生化学、第62巻、第11号、P1351ー13
62、(社)日本生化学会、1990;DNA PROBES, GeorgeH.
K. and Mark M.M. STOCKTON PRESS,1989 、等)等が何
れも例外なく挙げられ、これらの方法に準じて行えばよ
い。
【0024】本発明に係わる第1抗体に標識される(又
は第2抗体を調製するために使用される)標識物質とし
ては、例えばEIAに於いて用いられるアルカリホスフ
ァターゼ,β-ガラクトシダーゼ,ペルオキシダーゼ,
マイクロペルオキシダーゼ,グルコースオキシダーゼ,
グルコース-6-リン酸脱水素酵素,アセチルコリンエス
テラーゼ,リンゴ酸脱水素酵素,ルシフェラーゼ等の酵
素類、例えばRIAで用いられる99mTc,131I,
125I,14C,3H等の放射性同位元素、例えばFIAで
用いられるフルオレセイン,ダンシル,フルオレスカミ
ン,クマリン,ナフチルアミン或はこれらの誘導体等の
蛍光性物質、例えばルシフェリン,イソルミノール,ル
ミノール,ビス(2,4,6-トリフロロフェニル)オキザレー
ト等の発光性物質、例えばフェノール,ナフトール,ア
ントラセン或はこれらの誘導体等の紫外部に吸収を有す
る物質、例えば4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリ
ジン-1-オキシル,3-アミノ-2,2,5,5-テトラメチルピロ
リジン-1-オキシル,2,6-ジ-t-ブチル-α-(3,5-ジ-t-ブ
チル-4-オキソ-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン)-p
-トリルオキシル等のオキシル基を有する化合物に代表
されるスピンラベル化剤としての性質を有する物質等が
挙げられるが、これらに限定されるものではないことは
言うまでもない。
【0025】第1抗体に(又は第2抗体を調製するため
に)、上記した如き標識物質を第1抗体等に標識する方
法としては、自体公知のEIA、RIA或はFIA等に
於いて一般に行われている自体公知の標識方法(例え
ば、医化学実験講座、第8巻、山村雄一監修、第1版、
中山書店、1971;図説 蛍光抗体、川生明著、第1版、
(株)ソフトサイエンス社、1983;酵素免疫測定法、石川
栄治、河合忠、宮井潔編、第2版、医学書院、1982等)
が何れも例外なく挙げられ、これらに準じて行えばよ
い。また、標識方法として、アビジン(又はストレプト
アビジン)とビオチンの反応を利用した常法を利用して
も良いことは言うまでもない。
【0026】本発明の測定対象である糖蛋白質が、それ
自身何らかの方法により測定(検出)可能なもの、例え
ば酵素である場合には、糖蛋白質自身のそのような性質
を利用して、測定対象の糖蛋白質と第1抗体(又は/及
び第2抗体)との複合体と第1抗体が結合していない測
定対象の糖蛋白質の測定(検出)を行い得ることは言う
までもない。尚、その際の測定は、自体公知の酵素活性
測定法に準じて行えばよいことは言うまでもない。
【0027】測定対象の糖蛋白質と第1抗体(又は/及
び第2抗体)との複合体と第1抗体が結合していない測
定対象の糖蛋白質とを、これらの性質の差を利用して分
別、測定するに当っては、通常のカラムクロマトグラフ
ィー法や電気泳動法を利用して行ってもよいが、高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)法、キャピラリー電
気泳動法等を利用すればより短時間に且つ精度良く分別
測定が可能となるので望ましい。
【0028】これら複合体の分別、測定をHPLCによ
り行う場合には、測定対象の糖蛋白質と第1抗体(又は
/及び第2抗体)との複合体と第1抗体が結合していな
い測定対象の糖蛋白質との性質の違いに応じて、或は第
1抗体に分離向上物質が結合されている場合にはその性
質に応じて選択された充填剤を充填したカラムを装着し
たHPLCにより分離する。次いで、分離されたこれら
複合体等をこれらの性質に応じた適当な測定方法、或は
第2抗体を使用している場合には第2抗体中の標識物質
が保有する性質に応じた測定方法により測定することに
より、試料中の測定対象の糖蛋白質の何れかの量が求め
られる。
【0029】また、HPLCで使用されるカラムの充填
剤の種類も、測定対象の糖蛋白質と第1抗体(又は/及
び第2抗体)との複合体と第1抗体が結合していない測
定対象の糖蛋白質との性質の違いや分離向上物質の性質
に応じて適宜選択すれば足りる。以下に、測定対象の糖
蛋白質と第1抗体(又は/及び第2抗体)との複合体と
第1抗体が結合していない測定対象の糖蛋白質との性質
の違いや分離向上物質の性質に応じた、充填剤の選択方
法について更に詳細に説明する。
【0030】ゲル瀘過用充填剤を用いる場合 分子量の差を利用して目的物とその他の共存物質とを分
離する性質を有する充填剤であるので、測定対象の糖蛋
白質と第1抗体(又は/及び第2抗体)との複合体の分
子量が第1抗体が結合していない測定対象の糖蛋白質の
分子量の1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上、さらに好ま
しくは2倍以上であるか、或は分離向上物質としてはタ
ンパク質、ポリエチレングリコール等の合成高分子、ポ
リアミノ酸等の高分子物質を用いることにより、これら
の分子量比が上記した如く成る場合であれば、高分離能
が得られるので好ましく用いられる。上記の原理に基づ
く分離向上物質を使用する分離方法は、測定対象物質を
含む試料が、例えば血清の如く分析に影響を与える物質
を種々含んでおり、且つそれらの分子量に幅がある場合
に特に有効である。即ち、このような試料において共存
物質による影響を回避するには、分析に影響を与える物
質の分子量の最大値よりも、複合体の分子量を大きくす
れば良いのであるから、分離向上物質としてこの条件を
満足し得る分子量を有するものを選択して用いれば足り
る。また、分離向上物質を使用する分離方法を利用する
場合、ゲル瀘過用充填剤の分画分子量より大きい分子量
の分離向上物質を結合させた場合には、測定対象物質を
含む複合体はカラムのボイド部分に溶出するので、最も
短時間で分析できることになる。尚、この場合、分離向
上物質は単一分子量の物質ではなくてもよいこと、即ち
ゲル瀘過用充填剤の分画分子量より大きい分子量を有す
る物質であればよいことは言うまでもない。また、ゲル
瀘過用充填剤としては、例えばYMC-パック Diol-200
((株)ワイエムシー商品名)、YMC-パック Diol-300
((株)ワイエムシー商品名)、TSKゲル(東ソー(株)商品
名)等が挙げられる。
【0031】疎水クロマトグラフィー用充填剤を用い
る場合 疎水性の差を利用して目的物とその他の共存物質とを分
離する性質を有する充填剤であるので、測定対象の糖蛋
白質と第1抗体(又は/及び第2抗体)との複合体の疎
水性が第1抗体が結合していない測定対象の糖蛋白質の
それと差があるか、或は分離向上物質として例えばα−
キモトリプシノーゲン,β−ガラクトシダーゼ等の疎水
度が高いタンパク質、例えばフェニルアラニン,プロリ
ン等の疎水性が高いアミノ酸を含むペプチド、例えばポ
リフェニルアラニン,ポリチロシン等の疎水性アミノ酸
のホモポリマー、炭素数3〜10のアルキル鎖、例えば臭
素,塩素,沃素等のハロゲン原子、例えばオクチルアミ
ン,EMCS,BMH等の疎水性の高い化学物質、例え
ばパルミチン酸,オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸
等の複合体等の疎水度を適宜設定することができる物質
を使用した場合に利用可能である。尚、分離向上物質と
してペプチドを用いる場合は、疎水性の高いアミノ酸を
含むペプチドが好ましく、その鎖長の選択により疎水性
を調節すればよい。また、疎水性アミノ酸のみで構成さ
れたペプチド及びポリアミノ酸ではアミノ酸の数が15個
以上になると水への溶解度が低下するので2〜15個が好
ましい。分離向上物質がハロゲン原子の場合、第1抗体
を直接ハロゲン化すれば容易に得ることができ、導入ハ
ロゲン量を変えることにより適宜疎水性を調節できる。
疎水性の高い化学物質としては、上記したもの以外にも
アルキル鎖が長い物質が挙げられ、アルキル鎖長を適宜
選択することにより疎水性を調節することができる。ま
た、疎水性があまりにも高い分離向上物質は水への溶解
度が低いので、第1抗体と分離向上物質との結合反応時
に有機溶媒を用いる必要が生じ、得られる修飾された第
1抗体の変性や活性の低下が起こったり、或は、得られ
た修飾された第1抗体が水に不溶となる等の問題が生じ
る場合があるので、分離向上物質として好ましいものと
は言い難い。また、疎水クロマトグラフィー用充填剤と
しては、例えばブチル-NPR(東ソー(株)商品名)、ブチル
MCIゲル(三菱化成(株)商品名)、フェニル MCIゲル(三
菱化成(株)商品名)等が挙げられる。
【0032】イオン交換クロマトグフィー用充填剤を
用いる場合 イオン性の差を利用して目的物とその他の共存物質とを
分離するので、測定対象の糖蛋白質と第1抗体(又は/
及び第2抗体)との複合体のイオン性が第1抗体が結合
していない測定対象の糖蛋白質のそれと差があるか、或
は分離向上物質として例えばリゾチーム,チトクローム
C等の塩基性タンパク質、例えばトリプシンインヒビタ
ー等の酸性タンパク質、例えばアルギニン,リジン等の
塩基性アミノ酸の残基又は、アスパラギン酸,グルタミ
ン酸等の酸性アミノ酸の残基を含むペプチド、上記した
如きアミノ酸残基を50個以上含むポリアミノ酸、例えば
パルミチン酸,オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸等
を利用する場合に使用できる。尚、イオン交換クロマト
グラフィーに於ては、一般に、測定対象物をカラムに一
度吸着してから溶出するほうが、高分離能と高特異性が
得られることから、カチオン性分離向上物質を使用する
場合にはカチオン交換クロマトグラフィー用充填剤を、
アニオン性分離向上物質を使用する場合にはアニオン交
換クロマトグラフィー用充填剤を使用することが好まし
い。分離向上物質として塩基性アミノ酸残基(又は酸性
アミノ酸残基)のみで構成されたペプチドやポリアミノ
酸を使用する場合には、アミノ酸残基数を調節すること
により複合体の溶出時間を自由に調節できるが、アミノ
酸残基数として通常5個以上、好ましくは50個以上、更
に好ましくは100個以上から成るペプチド又はポリアミ
ノ酸を用いると、複合体の溶出位置が血清や尿中の生体
成分のそれと完全に分離できるので望ましい。また、上
記ペプチドやポリアミノ酸が合成ペプチド又は合成ポリ
アミノ酸の場合、ペプチド(又はポリアミノ酸)の長さ
とイオン性は比例関係にあるので、合成する際にペプチ
ド(又はポリアミノ酸)の長さを適宜調節して分離向上
物質として用いることにより、複合体等の溶出位置を容
易に調節することができる。また、測定に影響を与える
血清成分が複数の場合でも、分離向上物質を用いて複合
体等のイオン性をこれら血清成分が有するイオン性より
も大きくすることによりこれらの影響を回避することが
できる。尚、この場合に測定に要する時間を短縮したい
のであれば、リニアグラジエント法よりもステップワイ
ズグラジエント法を利用する方が望ましい。尚、イオン
交換クロマトグラフィーにより、測定対象の糖蛋白質と
第1抗体(又は/及び第2抗体)との複合体と、第1抗
体が結合していない測定対象の糖蛋白質とを分別する場
合には、測定対象の糖蛋白質を予めシアリダーゼで処理
しておいた方がよい場合もある。即ち、測定対象の糖蛋
白質の糖鎖の末端にシアル酸残基が結合している場合、
特に糖鎖が3〜4本に枝分かれしており且つその末端に
シアル酸残基が結合している場合には、シアル酸残基の
カルボキシル基の影響により、測定対象の糖蛋白質と第
1抗体(又は/及び第2抗体)との複合体と、第1抗体
が結合していない測定対象の糖蛋白質との分離が不充分
となる場合が有り得るので、これを防止するためであ
る。イオン交換クロマトグラフィー用の充填剤は、一般
に交換能(イオン性物質の絶対吸着能)が高いので血清
等の生体由来試料の如くイオン性の共存物質の絶対量が
多い試料の分析を行う場合であっても、分離向上物質の
結合した複合体等を全て吸着することができるので、該
複合体を共存物質による影響を殆ど回避できる位置に溶
出させることが可能である。また、本方法に利用できる
分離向上物質は、水に対する溶解度が高いので、これが
結合した複合体の水溶性は結合前のそれよりも高くなる
ので、本方法に於いては、分離向上物質が結合した複合
体の形成反応時に測定対象物の変性、失活が起こる可能
性は殆どない。イオン交換クロマトグラフィー用充填剤
としては、例えばDEAE-MCIゲル(三菱化成(株)商品
名)、QAE MCIゲル(三菱化成(株)商品名)、ワコービ
ーズDEAEゲル (和光純薬工業(株)商品名)、Poros Q
(Perseptive社製)、Poros PI(Perseptive社製)等の
アニオン交換クロマトグフィ用充填剤、或は例えばSP M
CIゲル(三菱化成(株)商品名)、CM MCIゲル(三菱化成
(株)商品名)、ワコービーズCMゲル(和光純薬工業(株)
商品名)、Poros S(Perseptive社製)、Poros CM(Per
septive社製)等のカチオン交換クロマトグラフィー用
充填剤等が挙げられる。
【0033】本発明の分別測定法に於ける、測定対象の
糖蛋白質と第1抗体(又は/及び第2抗体)との複合体
と第1抗体が結合していない測定対象の糖蛋白質との分
別、測定は上記した何れのクロマトグラフィーを利用し
たHPLCによっても実施可能であるが、中でもイオン
交換クロマトグラフィーの利用が本発明にとって最も好
ましい。その理由としては例えば以下のような点が挙げ
られる。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーを利用し
て分別、測定を実施するためには適当な長さのカラムを
用いることが必要であるので、ゲル濾過クロマトグラフ
ィーを利用した場合には、イオン交換クロマトグラフィ
ーを利用する場合に比較して分離時間が長くなるという
欠点がある。それ故、分離時間の短縮が要求されるとき
にはイオン交換クロマトグラフィーを利用する方が好ま
しい。さらに、ゲル濾過クロマトグラフィーには、非常
に高い分子量(分子の大きさが約1000オングストローム
以上)を持つ物質の分離には適していない、という欠点
もある。また、疎水クロマトグラフィーの場合、分離操
作の際に使用する有機溶媒により糖蛋白質の高次元構造
が破壊されて複合体中の測定対象の糖蛋白質の活性が失
われるという問題が生じる場合がある。このような理由
から、分離向上物質として高い疎水性を持つ物質を使用
することは好ましくない。さらに、分離向上物質として
疎水性物質が結合した第1抗体が結合した複合体の水溶
性が低下して沈澱し易くなるため分離が難しくなるとい
う問題もある。一方、イオン交換クロマトグラフィー
は、イオン性の微妙な違いに基づいて、より効果的に分
別、測定を行うことができる。更に、イオン交換クロマ
トグラフィーによれば、様々なイオン性を持つ分離向上
物質を任意に選択することができるので、最適pH条件
下で測定対象の糖蛋白質の分別、測定を行うことができ
る。更にまた、イオン交換クロマトグラフィーに於いて
用いられる分離向上物質は、それ自体高い水溶性を持つ
ので、分離向上物質を測定対象物質に結合させても、測
定対象物質の沈澱が起こる恐れは殆どなく、安定な状態
で分離操作を実行することが可能になる。
【0034】分離向上物質を使用して本発明の分別測定
法を実施した場合には、目的の測定対象糖蛋白質のピー
クを血清や尿等の成分の影響を受けない位置に移動させ
ることができる。そればかりか、測定対象に応じて適宜
分離向上物質を選択して用いることにより、種々の測定
対象に係わる複合体の溶出位置を一致させることができ
るので、特定分析条件下のHPLCを用いて、多種の測
定対象物質の測定を行うことができるという効果も生ず
る。
【0035】標識物質が結合された第1抗体(又は/及
び第2抗体)を使用する本発明の分別測定法に於いて、
HPLCにより分離された、測定対象の糖蛋白質と第1
抗体(又は/及び第2抗体)との複合体と第1抗体が結
合していない測定対象の糖蛋白質(第2抗体が結合して
いるものも含む。)中に含まれる標識物質(測定対象の
糖蛋白質自身が何らかの方法により測定可能である場合
にはそれ自身)の量の測定は、標識物質(又は測定対象
の糖蛋白質自身)が有している、何らかの方法により測
定(検出)し得る性質に応じて夫々所定の方法に従って
実施される。例えば、その性質が酵素活性の場合にはE
IAの常法、例えば「酵素免疫測定法、蛋白質 核酸 酵
素 別冊 No.31、北川常廣・南原利夫・辻章夫・石川榮
治編集、51〜63頁、共立出版(株)、1987年9月10日発
行」等に記載された方法に準じて測定を行えばよく、標
識物質が放射性物質の場合にはRIAの常法に従い、該
放射性物質の出す放射線の種類及び強さに応じて液浸型
GMカウンター,液体シンチレーションカウンター,井
戸型シンチレーションカウンター,HPLC用カウンタ
ー等の測定機器を適宜選択して使用し、測定を行えばよ
い(例えば医化学実験講座、第8巻、山村雄一監修、第
1版、中山書店、1971等参照。)。また、その性質が蛍
光性の場合には蛍光光度計等の測定機器を用いるFIA
の常法、例えば「図説 蛍光抗体、川生明著、第1版、
(株)ソフトサイエンス社、1983」等に記載された方法に
準じて測定を行えばよく、その性質が発光性の場合には
フォトンカウンター等の測定機器を用いる常法、例えば
「酵素免疫測定法、蛋白質 核酸 酵素 別冊 No.31、北
川常廣・南原利夫・辻章夫・石川榮治編集、252〜263
頁、共立出版(株)、1987年9月10日発行」等に記載さ
れた方法に準じて測定を行えばよい。更に、その性質が
紫外部に吸収を有する性質の場合には分光光度計等の測
定機器を用いる常法によって測定を行えばよく、標識物
質がスピンの性質を有する物質の場合には電子スピン共
鳴装置を用いる常法、例えば「酵素免疫測定法、蛋白質
核酸 酵素 別冊 No.31、北川常廣・南原利夫・辻章夫
・石川榮治編集、264〜271頁、共立出版(株)、1987年
9月10日発行」等に記載された方法に準じて夫々測定を
行えばよい。
【0036】本発明の分別測定法に於いて、測定対象の
糖蛋白質と第1抗体(又は/及び第2抗体)との複合体
と第1抗体が結合していない測定対象の糖蛋白質との分
別、測定を行う際に用いられるHPLCとしては、装置
自身は通常分析の分野に於いて用いられているもので定
流速が得られるものであれば特に問題なく用いることが
できる。
【0037】HPLCにより測定対象の糖蛋白質と第1
抗体(又は/及び第2抗体)との複合体と第1抗体が結
合していない測定対象の糖蛋白質との分別、測定を行う
際に用いられる溶媒(溶離液)としては、形成された複
合体等が再び測定対象の糖蛋白質とレクチン(又は第1
抗体)とに分解されるようなことがなく、且つ糖蛋白質
自身が有しているか、或は第1抗体(又は/及び第2抗
体)が保持している標識物質が有している、何らかの方
法により検出し得る性質を失わしめるようなものでなけ
れば特に限定されることなく挙げられるが、通常は例え
ばEIA,RIA,FIA,アフィニティクロマトグラ
フィー等の自体公知の方法に於いて緩衝液として用いら
れているようなものが好ましく用いられる。具体例とし
ては、例えばリン酸塩,酢酸塩,クエン酸塩,グッド(G
ood)の緩衝剤,トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン等の緩衝剤、例えば塩化ナトリウム,塩化カリウム,
硫酸アンモニウム等の塩類、例えばメタノール,エタノ
ール,イソプロピルアルコール,アセトニトリル,テト
ラヒドロフラン等の極性有機溶媒類及び界面活性剤等
を、複合体等の性質に応じて適宜選択し、添加、混合し
て調製された、pH2〜10の緩衝液が好ましく用いられ
る。
【0038】また、本発明の分別測定法に於て、測定対
象の糖蛋白質と第1抗体(又は/及び第2抗体)との複
合体と第1抗体が結合していない測定対象の糖蛋白質と
の測定をHPLCによる分別後に行う場合の測定方式と
しては、例えば「最新液体クロマトグラフィ、原昭二・
辻章夫編、第1版、92〜104頁、南山堂、1978年2月1
日発行」等に記載されているような、HPLCのカラム
からの流出液をそのまま検出部に導き、流出液中の複合
体等に含まれる糖蛋白質自身或は第1抗体(又は/及び
第2抗体)が保持している標識物質量を直接測定する方
式が、測定が迅速に行えるのでより好ましい。この場合
に、複合体等に含まれる糖蛋白質自身或は第1抗体(又
は/及び第2抗体)が保持している標識物質が有してい
る、何らかの方法により検出し得る性質が、例えば酵素
活性であれば、HPLCのカラムと検出部との間に、酵
素活性測定用の試薬を添加し流出液と反応させる、所謂
ポストカラム法の反応部を設ける必要があることは言う
までもない。その性質が酵素活性である場合に該反応部
に於いて用いられる酵素活性測定用の試薬は、常法、例
えば「酵素免疫測定法、蛋白質 核酸 酵素 別冊 No.3
1、北川常廣・南原利夫・辻章夫・石川榮治編集、51〜6
3頁、共立出版(株)、1987年9月10日発行」等に記載
された方法に準じて調製したものを用いてもよいし、市
販されている臨床検査用キットの試薬を適宜選択して利
用してもよい。また、その性質が酵素活性以外の場合に
於いても、検出感度を増加させる目的で所定の試薬を添
加、反応させるために、HPLCのカラムと検出部との
間に適当な反応部を設けることは任意である。
【0039】本発明の分別測定法でHPLCを使用する
場合に用いられる溶離液として成分の異なるものを複数
用いる場合には、その操作法としては濃度勾配法(リニ
アグラジエント法)により行ってもステップワイズグラ
ジエント法により行っても何れにても良いが、ステップ
ワイズグラジエント法には、操作が簡便であること、実
際の分析時間を短くすることができること、目的のピー
クがシャープになること等の利点があるので、より望ま
しい。
【0040】また、本発明の分別測定法は、自体公知の
EIA、RIA、FIA等の免疫学的測定法に応用する
ことも当然のことながら可能である。以下に実施例を挙
げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれ
らにより何ら限定されるものではない。
【0041】
【実施例】
実施例1.レンズマメレクチン(LCA)−Aを用いた
AFP糖鎖による分別測定 (レクチン溶液)LCA−A(ホーネン(株)製)を、
50mM 3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩
衝液(pH7.5)に1mg/mlとなるように溶解したものをレ
クチン溶液とした。 (第1抗体溶液)全てのAFPと結合する性質を有する
が、LCA−Aと結合したAFPとの結合は妨げられる
ことを確認した抗AFPモノクローナル抗体(和光純薬
工業(株)製)を常法により処理してFab’とし、これ
に、二価性架橋剤であるN-(8-マレイミドカプリロキシ)
スルフォスクシンイミド((株)同仁化学製)を用いる
常法によりポリアスパラギン酸(平均分子量2880
0、シグマ社製)を結合させて、ポリアスパラギン酸結
合抗AFP−Fab’(Fab'-pAsp)を得、これを50mM MO
PS緩衝液(pH7.5)中に13.5μMとなるように添加した
ものを第1抗体溶液とした 。 (第2抗体溶液)第1抗体溶液を調製するのに用いた抗
体と抗原認識部位が異なり、全てのAFPと結合する性
質を有し、且つLCA−Aと結合したAFPにも結合し
得る性質を有することを確認した抗AFPモノクローナ
ル抗体(和光純薬工業(株)製)を常法により処理して
Fab’とし、これに、二価性架橋剤であるN-(8-マレイ
ミドカプリロキシ)スルフォスクシンイミド((株)同仁
化学製)を用いる常法により西洋ワサビペルオキシダー
ゼ(POD、東洋紡績(株)社製)を結合させて、PO
D標識抗AFP−Fab’をを得、これを50mM MOPS緩衝
液(pH7.5)中に100nMとなるように添加したものを第
2抗体溶液とした。 (試料溶液)LCA−A結合型AFP(肝細胞癌型AF
P)又はLCA−A非結合型AFP(正常型AFP)
を、50mM MOPS緩衝液(pH7.5、0.2W/V%牛血清アルブミ
ンを含有。)に100ng/mlとなるように添加し、肝細胞癌
型AFP溶液及び正常型AFP溶液を夫々調製した。両
AFP溶液を表1のような比率で混合して試料溶液を調
製した。
【表1】 *表中の数字は各々の溶液の混合比率(%)を表わす。 (HPLC条件)HPLC構成図を図3に示す。 ・カラム:WAKOPAK MCI CQA-31S (4.6mmIDx10mm)。 ・溶離液A:50mM MOPS緩衝液(pH7.5、50mM 塩化ナト
リウム含有)。 ・溶離液B:50mM MOPS緩衝液(pH7.5、1M 塩化ナト
リウム含有)。 ・基質液:50mM MOPS緩衝液[pH7.5、100mM 3-(p-ヒド
ロキシフェニル)プロピオン酸及び20mM 過酸化水素を含
有]。 ・グラジェント:0〜5分 溶離液B 0% 5〜8分 溶離液B 20% 8〜12分 溶離液B 80% ・流速:溶離液A+B 1ml/分 基質溶液 0.1ml/分 ・発色コイル温度: 55℃ ・蛍光検出:励起波長 320nm/蛍光波長 404nm。 (測定方法)レクチン溶液 200μlと第2抗体溶液 10
μlの混合溶液に所定の試料溶液 10μlを加え10℃で1
5分間反応させた。この反応混液に第1抗体溶液 10μl
を加えて更に2分間反応させた後、反応混液100μlを
HPLCで分析した。 (結果)HPLCによる分離パターンを図1に示す。
尚、図1に於いて、ピーク1は第1抗体が結合していな
いAFPのピークを、また、ピーク2は第1抗体が結合
したAFPのピークを夫々示す。また、各種試料溶液に
ついての各ピーク面積値及び2つのピーク面積値の合計
を、各種試料溶液に於ける肝細胞癌型AFP溶液及び正
常型AFP溶液との混合比に基づいて図2に示す。尚、
図2に於いて、□はピーク1の面積値を、+はピーク2
の面積値を、また、◇はピーク1とピーク2の面積値の
合計を夫々示す。図2の結果から明らかな如く、ピーク
1の面積値は試料溶液中の肝細胞癌型AFP溶液量の増
加に比例して増加し、ピーク2の面積値は試料溶液中の
正常型AFP溶液量の減少に比例して減少するが、ピー
ク1とピーク2の面積値の合計は各種試料溶液について
ほぼ一定の値を示すこと、言い換えれば、これら2つの
ピーク面積値を利用することにより、試料溶液中に含ま
れる肝細胞癌型AFP量と総AFP濃度を同時に測定す
ることが可能であることが判る。実施例2.シアリダー
ゼ処理によるAFPのフコース付加率測定値の変化 (シアリダーゼ溶液)シアリダーゼ(東洋紡績(株)
製)を50mM MOPS緩衝液(pH7.5)に200Unit/mlとなるよう
に溶解したものをシアリダーゼ溶液とした。 (レクチン溶液)レンズ豆レクチン(LCA)−A(ホ
ーネン(株)製)を50mM MOPS緩衝液(pH7.5)に1mg/ml
となるように溶解したものをレクチン溶液とした。 (抗体溶液1)LCA−Aと競合する抗AFPモノクロ
ーナル抗体(和光純薬工業(株)製)を常法により処理
してFab’とし、これに、二価性架橋剤[N-(8-マレイ
ミドカプリロキシ)スルホスクシンイミド、(株)同仁
化学製]を用いる常法によりポリアスパラギン酸(平均
分子量28800、シグマ社製)を結合させてポリアス
パラギン酸結合抗AFP−Fab’(Fab'-pAsp)とした。
これを、50mM MOPS緩衝液(pH7.5)中に13.5μMとなるよ
うに添加したものを抗体溶液1とした。 (抗体溶液2)抗体溶液1で用いた抗体と競合しない抗
AFPモノクローナル抗体(和光純薬工業(株)製)を
常法により処理してFab’とし、これに、二価性架橋剤
[N-(8-マレイミドカプリロキシ)スルホスクシンイミ
ド、(株)同仁化学製]を用いる常法により西洋ワサビ
ペルオキシダ−ゼ(POD、シグマ社製)を標識してP
OD標識抗AFP−Fab’とした。これを、50mM MOPS
緩衝液(pH7.5)中に100nMとなるように添加したものを
抗体溶液2とした。 (試料溶液)AFP-レクチン分画キットL(和光純薬
工業(株)製)を使用したレクチンゲル電気泳動法(操
作はキットに添付された現品説明書の標準操作法によ
る。)により予めフコース付加率を測定した肝細胞ガン
患者血清3検体を、50mM MOPS緩衝液(pH7.5、0.2W/V%
牛血清アルブミンを含む。)でAFP値が100ng/mlとな
るように希釈したものを、夫々試料溶液1、2及び3と
した。 (HPLC条件)HPLC概略図を図3に示す。 ・カラム:Wakopak MCI CQA-31S (4.6mmIDx10mm、和光
純薬工業(株)製)。 ・溶離液A:50mM MOPS緩衝液(pH7.5、50mMの塩化ナト
リウム含有。)。 溶離液B:50mM MOPS緩衝液(pH7.5、1Mの塩化ナトリ
ウム含有。)。 基質液:50mM MOPS緩衝液(pH7.5、100mMの3-(p-ヒドロ
キシフェニル)プロピオン酸及び20mMの過酸化水素を含
有。)。 ・グラジェント条件:0〜5分 溶離液B 0% 5〜8分 溶離液B 20% 8〜12分 溶離液B 80% ・流速:溶離液A+B 1ml/分。 基質溶液 0.1ml/分。 ・発色コイル温度: 55℃。 ・蛍光検出:励起波長 320nm/蛍光波長 404nm。 (測定方法)シアリダーゼ溶液 10μl、レクチン溶液
100μl、抗体溶液2 5μl及び所定の試料溶液 10μ
lを混合し、10℃で3分間反応させた。この反応混液に
抗体溶液1 10μlを加えて更に37℃で4分間反応させ
た。反応終了後、反応混液100μlを上記条件でHPL
Cにより分析し、夫々の試料溶液についてピーク1(第
1抗体が結合していないAFPのピーク)の面積及びピ
ーク2(第1抗体が結合したAFPのピーク)の面積を
求め、以下の式に当てはめてピーク1比(%)を求め
た。 ピーク1比(%)=(ピーク1の面積)/(ピーク1及び2の
面積の和)×100 また、試料溶液の代わりに、フコース付加率0%のAF
P又はフコース付加率100%のAFP[フコース付加率
は何れもAFP-レクチン分画キットL(和光純薬工業
(株)製)により求めた。]を100ng/ml含む50mM MOPS
緩衝液(pH7.5、0.2% 牛血清アルブミンを含む。)を用
いた以外は上記と同じ溶液類を用いて同様の反応を行っ
て得られた反応液についても、上記と同様の操作により
HPLCにより分析し、夫々の試料溶液についてピーク
1の面積及びピーク2の面積を求め、上記の式に当ては
めてピーク1比(%)を求めた。得られたデータからピ
ーク1比とフコース付加率との関係を表す検量線を作成
し、この検量線に試料溶液1、2及び3について得られ
たピーク1比を当てはめ、夫々の試料溶液中のAFPの
フコース付加率を求めた。更にまた、シアリダーゼ溶液
10μlの代りに、50mM MOPS緩衝液(pH7.5) 10μlを用
いた以外は上記と同じ溶液類を用いて同様の反応を行っ
たものについても、上記と同様の操作により分析し、夫
々の試料溶液中のAFPのフコース付加率を求めた。 (結果)試料溶液1〜3のフコース付加率について、レ
クチンゲル電気泳動法により得られた値と上記本発明の
方法により得られた値を表2に併せて示す。
【表2】 表2の結果から明らかな如く、AFP糖鎖の非還元末端
側の糖残基をシアリダーゼ処理によって除去することに
より、フコース付加AFP量を迅速且つ精度良く測定し
得るようになることが判る。
【0042】
【発明の効果】以上述べたことから明らかな如く、本発
明は、疾病における糖蛋白質糖鎖の構造変化の程度を高
精度に、しかも迅速且つ簡便に測定することができる方
法を提供するものであり、本発明を利用することによ
り、糖蛋白質糖鎖の構造変化の程度を利用した癌等の診
断に新しい情報を提供することが可能となる、という効
果を奏するものであり、斯業に貢献するところ大なる発
明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)による分離パターンを示すものであ
る。
【図2】実施例1で得られた、各種試料溶液についての
各ピーク面積値及び2つのピーク面積値の合計を、各種
試料溶液に於ける肝細胞癌型α-フェトプロティン(A
FP)溶液及び正常型AFP溶液との混合比に基づいて
示した図である。
【図3】実施例1で使用したHPLC装置の概略図を示
したものである。
【符号の説明】
図2に於いて、□はピーク1の面積値を、+はピーク2
の面積値を、また、◇はピーク1とピーク2の面積値の
合計を夫々示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 C07K 1/14 G01N 33/538 BIOSIS(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糖鎖構造は異なるが蛋白質構造は実質的に
    同一な糖蛋白質を測定対象とする分別測定法であって、
    測定対象の糖蛋白質の少なくとも1つの特定の糖鎖構造
    を認識するレクチンと、測定対象の糖蛋白質全てに結合
    する性質を有するが該レクチンが結合した測定対象の糖
    蛋白質への結合が妨げられる性質を有する抗体(以下、
    第1抗体と略記する。)とを組み合わせて用い、第1抗
    体が結合した糖蛋白質と、第1抗体が結合していない糖
    蛋白質とを、これらの性質の差を利用して分別測定する
    ことを特徴とする分別測定法。
  2. 【請求項2】第1抗体に、測定対象の糖蛋白質と第1抗
    体との複合体の性質を変化させ得る物質又は標識物質が
    結合されている、請求項1に記載の分別測定法。
  3. 【請求項3】該レクチンが結合した測定対象の糖蛋白質
    を含む測定対象の糖蛋白質全てに結合し得る性質を有
    し、且つ標識物質が結合した抗体(以下、第2抗体と略
    記する。)を更に組み合わせて用いる、請求項1又は2
    に記載の分別測定法。
  4. 【請求項4】測定対象の糖蛋白質が予めグリコシダーゼ
    処理されたものであるか、又は測定対象の糖蛋白質とレ
    クチンと第1抗体、更に要すれば第2抗体とを反応させ
    る際にグリコシダーゼを共存させる、請求項1〜3の何
    れかに記載の分別測定法。
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