JP3063342U - 下半身用衣類 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウェスト部に衣類を保持する機能を発揮する
ウェスト部に充当される伸縮性生地の上端部に折り返し
がなく、ゴムテープの装着もなく、人体のウェスト部へ
の食い込みがなく、ゴムテープの跡などが人体に残りに
くく、圧迫感も軽減され着用感が良好で、衣類のウェス
ト部の厚みを薄くでき、スッキリしたスリムな美しいウ
ェストラインが表現できる股部を有し人体にフィットさ
せて着用する下半身用衣類を提供する。 【解決手段】 ウェスト部生地２、腹部中央部生地３、
臀部、脇部、前脇部を構成する後−脇身頃５、前裾およ
び脇腹部をカバーする前裾−脇腹部生地６、股部に充当
されるクロッチ生地７からなるガードル１ａにおいて、
ガードルウェスト部に、実質的に衣類横方向のみに伸縮
性を有する端始末を必要としない生地２をその上端部２
ａを折り返さずに用いたガードル。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、股部を有し、人体にフィットさせて着用する下半身用衣類に関する 。特に本考案は人体のウェスト部に衣類による締め付け跡が残りにくく着用感の 優れた下半身用衣類に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より股部を有し、人体にフィットさせて着用する下半身用衣類としては、 例えば、ガードル、スパッツおよびスポーツ用タイツ等が知られている。

【０００３】 これらの下半身用衣類は、お腹押えなどの特定の体型補整機能を付与させる部 分を除いて通常は伸縮性を有する編物等から構成されており、衣類のウェスト部 分は、ずり下がりを防止するため衣類のウェスト部分上端近傍の裏側にゴムテー プなどが装着されている。この様な従来の、股部を有し人体にフィットさせて着 用する下半身用衣類の代表的な例のウェスト部分の模式的部分断面図を図７に、 そして図７中の矢印Ｂ側（すなわち衣類ウェスト部の裏側）から見た部分平面図 を図８に示した。図７、図８において、衣類ウェスト部の本体生地７０は、生地 の端７１が衣類裏側になるように折り返され、その上からゴムテープ７２があて がわれて例えばスリーステッチと称される上下方向にジグザグ縫製７３がなされ ている。生地の端７１が衣類裏側になるように折り返されて縫製するやり方を端 始末と称するが、通常の生地では端始末が必要な理由は、端始末をしなければ生 地の端が簡単にほつれてしまい、使用に耐えないし、端からほつれた繊維が飛び 出して見苦しくなるからである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来のかかる衣類は、以上から明らかなように、ウェスト部の上方端近傍が、 端始末のため折り返しがあること、ゴムテープなどが更に装着されていること、 縫製７３の縫い糸と縫い目があること等から、この部分が厚くなり、しかもこの 部分は他の部分に比べて伸縮力が強められていて、衣類がずり下がらないようし っかりと人体に圧着されるようになっている。そのため、人体のウェスト部の肉 に食い込み、いわゆるゴムテープの跡が人体に残り、圧迫感もあると言う問題が ある。しかもウェスト部は更にスカートやスラックスなどのアウターウェアーな どを着用する場合には、ウェスト部は更にこれらのアウターウェアーによっても 締め付けられるので、ゴムテープの跡が人体に残る現象や、圧迫感も一層大きく なり、着用感が低下するのみならず、衣類を重ね着した場合にはウェスト部の厚 みが厚くなるので、スッキリしたスリムな美しいウェストラインが出しにくいと 言う問題もある。

【０００５】 本考案は、これらの従来の股部を有し人体にフィットさせて着用する下半身用 衣類の問題点を解決し、着用者のウェスト位置に衣類を止めるため必要な伸縮力 を発揮する機能を持たせるためのウェスト部に充当される生地の上端部に折り返 しがなく、しかも更にゴムテープの装着も必要とせず、したがって人体のウェス ト部への食い込みがなくなり、ゴムテープの跡などが人体に残りにくく、圧迫感 も軽減され着用感が良好で、衣類のウェスト部の厚みを薄くでき、スッキリした スリムな美しいウェストラインが出せる股部を有し人体にフィットさせて着用す る下半身用衣類を提供することを目的とする。

【０００６】 尚、本考案者等は上記目的を達成するため、かかる衣類のウェスト部に、衣類 の縦横２方向に伸縮性を有する端始末を必要としない生地をその上端部を折り返 さずに用いてみたが、この場合には、このウェスト部上端が外側にカールして巻 かれてしまい、巻き皺が発生してしまって実用化できなかったが、この部分を実 質的に衣類横方向のみに伸縮性を有する端始末を必要としない生地とすることに より、外側にカールして巻き皺が発生する欠点を克服できることを見出し、本考 案を完成したものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、本考案は、以下に示すような、股部を有し人体に フィットさせて着用する下半身用衣類を提供するものである。

【０００８】 （１）股部を有し、人体にフィットさせて着用する下半身用衣類において、前 記衣類の上端部であるウェスト部に、実質的に衣類横方向のみに伸縮性を有する 端始末を必要としない生地をその上端部を折り返さずに用いてなる下半身用衣類 。

【０００９】 （２）前記衣類のウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地を除 いて、衣類本体の臀部、脇部、前脇部を構成する後−脇身頃が２方向に伸縮性の 生地からなり、且つその裾部の伸縮性がより強くなっている生地である前記（１ ）項に記載の下半身用衣類。

【００１０】 （３）後−脇身頃を構成する伸縮性の生地において、伸縮性がより強くなって いる裾部の伸縮性が、裾部開口端方向に向かうにしたがって段階的または連続的 に強くなっている伸縮性生地からなる前記（２）項に記載の下半身用衣類。

【００１１】 （４）後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、端始末を必要としない生地から なり、当該生地の裾部開口端を折り返すさずに用いてなる前記（２）項または（ ３）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００１２】 （５）腹部中央部が、衣類縦方向にはほとんど伸縮性がないか、または、衣類 縦横両方向に伸縮性のない生地からなる前記（１）〜（４）項のいずれかに記載 の下半身用衣類。

【００１３】 （６）ウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地の幅が脇部また は後部において２〜５ｃｍである前記（１）〜（５）項のいずれかに記載の下半 身用衣類。

【００１４】 （７）ウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地が、伸縮性繊維 を含有する実質的に衣類横方向にのみ伸縮性のワンウェイラッセル編物である前 記（１）〜（６）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００１５】 （８）ウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地が、伸縮性繊維 を含有する実質的に衣類横方向にのみ伸縮性のワンウェイサテン調パワーネット 編物である前記（１）〜（６）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００１６】 （９）後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、伸縮性繊維を含有する２方向に 伸縮性のツーウェイラッセル編物または２方向に伸縮性のツーウェイトリコット 編物である前記（２）〜（８）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００１７】 （１０）後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、伸縮性繊維を含有する２方向 に伸縮性のツーウェイパワーネット編物である前記（２）〜（８）項のいずれか に記載の下半身用衣類。

【００１８】 （１１）衣類の臀部部分の膨らみが熱成形によって形成されている前記（１） 〜（１０）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００１９】 （１２）下半身用衣類が、ガードル、スパッツおよびスポーツ用タイツから選 ばれた衣類である前記（１）〜（１１）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００２０】 （１３）下半身用衣類が、ショートガードルである前記（１）〜（１１）項の いずれかに記載の下半身用衣類。

【００２１】

【考案の実施の形態】

以下、図面を参照しながら、本考案の具体的実施の形態例について説明するが 、本考案は、これらの具体例にのみ限定されるものではない。

【００２２】 図１は本考案の下半身用衣類のガードルの前側正面図、図２は図１のガードル の後側背面図である。

【００２３】 図1〜２のガードル１ａにおいては、２がウェスト部生地、３がお腹押え用の 腹部中央部生地、５がガードル本体の臀部、脇部、前脇部を構成する後−脇身頃 、６が前裾および脇腹部をカバーする前裾−脇腹部生地、７が股部に充当される クロッチ生地、８は脚部用開口部、９が後中心の縫合ライン、１０が臀部の膨ら みに沿って盛り上がるように熱成形された熱成形部分を示している。

【００２４】 ウェスト部生地２は実質的に衣類横方向のみに伸縮性を有する端始末を必要と しない生地からなり、図３にその部分断面図で示したようにウェスト部上端２ａ は折り返しのない生地からなっている。ウェスト部生地２の上方の端部に折り返 しがなく、しかも更にゴムテープも装着されておらず、また、前記折り返し部と ゴムテープとを縫合する縫製も存在しないし、面状にウェストにフィットするの で、線状に局部的に圧力が集中することがなく、着用者のウェスト部への食い込 みがなくなり、ゴムテープの跡などが人体に残りにくく、圧迫感も軽減され着用 感が良好で、衣類のウェスト部の厚みを薄くでき、段差もつかず、スッキリした スリムな美しいウェストラインに整えることができる。

【００２５】 この生地２のガードル横方向の伸縮性は、ガードルを着用したときに簡単にガ ードルがずり下がらずにウェスト部生地２の位置が着用者のウェスト位置にとど まるに必要な伸縮性を有している。ウェスト部生地２の幅は、一定でないことが 多いので（例えばこの図の例では腹部中央部生地３の付近や後中心付近の幅は大 きくなっている。）、このように極端に大きくなっている部分を除いて、すなわ ち脇位置近傍やあるいはそれより若干後側の位置における幅で２〜５ｃｍ程度で あることが好ましい。特に好ましくは腹部を除いて幅が２〜５ｃｍ程度であるこ とが好ましい。このような幅にすることにより、面状にウェストにフィットし圧 力を面で分散するので、ゴムテープの如く細すぎて線状に局部的に圧力が集中し 、着用者のウェストに食い込むことがなく、段差もつかず、着用感が良好で、生 地２の端がカールして巻き皺も発生せず好ましい。

【００２６】 また、後−脇身頃５は、この実施例では２方向に伸縮性の生地からなっており 、ヒップの丸み形状をきれいに発現できる。この実施例においては後−脇身頃５ を構成する伸縮性生地も、端始末を必要としない生地からなり、その裾部開口端 を折り返さずに用いており、且つ、この実施例においては後−脇身頃５の裾部の 伸縮性が段階的に強められている。すなわち、身頃中間部５ａから５ｂ、５ｃ、 ５ｄと裾部開口端方向に向かうにしたがって段階的に裾線に沿った方向での伸縮 力が順次強くなっている。このような態様にすることは必ずしも必要ではないが 、かかる態様とすることにより、裾回りの布を反転して折り返して二重構成とす る必要がなく、従って裾線の段差がアウターウエアーへ反映して外観を低下させ る恐れがないし、また、ゴムテープ等を裏打する必要がないので、身体面への接 触が面状になり身体を強く圧迫せず着用感に優れ、また、裾回りが線状に食い込 むことがないので、その部分で段差が生じるようなシルエットの低下がなく、ヒ ップから太ももにかけてのより自然なシルエットを保つことができ、且つ、裾回 りを身体にしっかりとフィットさせることができる。また、裾回り部分の緊迫力 が裾端から離れる方向に順次弱くなるので、緊迫力の弱められている部分の伸び により運動追従性が発揮され、裾のずれ上がりが生じにくいし、仮にずり上った としても元の位置に比較的容易に戻ることができる等の機能が発揮され好ましい 。

【００２７】 なお、後−脇身頃５はこの態様においては、臀部の膨らみに沿って盛り上がる ように熱成形された熱成形部分１０を有するので、ヒップの丸みがきれいに整え られるだけでなく、ピップの膨らみがこの成形部分に収まるので型くずれが起こ らず好ましい。

【００２８】 腹部中央部生地３は、腹部の膨出を押さえるお腹押えの機能を付与するために 、ガードル縦方向にはほとんど伸縮性がないか、または、縦横両方向に伸縮性の ない生地から構成することが好ましい。また、ガードル縦方向、または、縦横両 方向に伸縮性の生地を用いた場合には、その裏側または表側にこの部分がガード ル縦方向にはほとんど伸縮性しないか、または、縦横両方向に伸縮性しないよう に、適宜の生地を積層することが好ましい。この部分を美しく見せるためにレー ス生地を用いてもよい。かかるお腹押えを用いることにより、腹部の贅肉の膨出 を抑え、美しく腹部形状を整えることができ好ましい。

【００２９】 前裾−脇腹部生地６は特に限定はなく、従来のガードルで用いられている生地 と同様のものが使用できる。特に限定するものではないが、前裾を形成するので 、少なくとも前裾の裾ライン方向に沿った伸縮性を有する生地を用いることが好 ましい。この部分を美しく見せるためにストレッチレースなどのレース生地を用 いてもよい。

【００３０】 クロッチ生地７も特に限定はなく、従来のガードルで用いられている生地と同 様のものが使用できる。特に限定するものではないが、ガードル縦方向に伸縮性 を有する生地を用いることが着用感が良好で、個別の着用者のウェストから股下 までの長さなどのサイズの相違に対応できる適応性もあり好ましい。

【００３１】 かくして図１〜２に示したガードル１ａは、ソフトな着用感を有し、ウェスト 部分に、折り返しやゴムテープがなく、したがって局部的な圧迫感がなく着用感 が良好で、着用者のウェスト部への食い込みがなくなり、ゴムテープの跡などが 人体に残りにくく、衣類のウェスト部の厚みを薄くでき、段差もつかず、スッキ リしたスリムな美しいウェストラインに整えることができる。またその他の各部 位を上記で詳細に説明した態様とすることにより、それぞれ上述した優れた効果 が発揮されるガードルを提供できる。

【００３２】 次に図４に本考案の下半身用衣類である別の態様のガードルの前側正面図を示 した。このガードルの後側背面は図１のガードルの後側背面図（図２）とほぼ同 様であるので図示を省略した。

【００３３】 図４に示したガードル１ｂを図１〜２に示したガードル１ａと比較すると、主 に異なる点は、図４に示したガードル１ｂにおいては、腹部中央部生地３の上端 ３ａがウェスト全周の約１／６程度ウェスト上端に現れている点、前裾および脇 腹部をカバーする前裾−脇腹部生地６が図１〜２に示したガードル１ａと比較す ると、腹部中央部生地３のやや下側脇に縫合されていて、且つ、左右の前裾−脇 腹部生地６が腹部中央部生地３の下側の前中心の縫製ライン１１で互いに縫合さ れており、したがって腹部中央部生地３の下端は図１のガードル１ａのように直 接クロッチ生地７に連結されていない点である。その他の点は、図１〜２に示し たガードルとほぼ同様であるので、同一部分には同一の符号を付して、詳細な重 複説明を省略した。

【００３４】 図４に示したガードル１ｂにおいては、腹部中央部生地３の上端３ａがウェス ト全周の約１／６程度ウェスト上端に現れているが、この部分の裏側はステッチ により端始末を行うのみで、ゴムテープなどは取り付けられていない。図４に示 したガードルにおいては、実質的に衣類横方向のみに伸縮性を有する端始末を必 要としない生地からなるウェスト部生地２がウェスト全周に充当されていないが 、ウェスト部生地２はウェスト全周に対しほぼその２／３程度以上充当されてい れば着用感を損なうことはなく差し支えない。したがって図４に示したガードル １ｂにおいても、図１〜２に示したガードル１ａとほぼ同様の機能を発揮し、ほ ぼ同様の効果を有するガードルが提供できる。

【００３５】 次に図５に本考案の下半身用衣類である更に別の態様のガードルの前側正面図 を示した。このガードルの後側背面は図１のガードルの後側背面図（図２）とほ ぼ同様であるので図示を省略した。

【００３６】 図５に示したガードル１ｃを図１〜２に示したガードル１ａと比較すると、主 に異なる点は、図５に示したガードル１ｃにおいては、腹部中央部生地３の上端 がウェスト上端にまで到達しておらず、従ってガードル前中心点近傍の上端部近 傍も端始末を必要とせず上端側に折り返しのないウェスト部生地２が充当されて いる点、また、腹部中央部生地３の下端は図１のガードル１ａのように直接クロ ッチ生地７に連結されていないので、左右の前裾−脇腹部生地６が腹部中央部生 地３の下側で前中心の縫製ライン１１で互いに縫合されている点である。その他 の点は、図１〜２に示したガードルとほぼ同様であるので、同一部分には同一の 符号を付して、詳細な重複説明を省略した。

【００３７】 したがって図５に示したガードル１ｃにおいても、図１〜２に示したガードル １ａとほぼ同様の機能を発揮し、ほぼ同様の効果を有するガードルが提供できる 。

【００３８】 次に図６に本考案の下半身用衣類である更に別の態様のガードルの前側正面図 を示した。このガードルの後側背面は図１のガードルの後側背面図（図２）とほ ぼ同様であるので図示を省略した。

【００３９】 図６に示したガードル１ｄを図１〜２に示したガードル１ａと比較すると、主 に異なる点は、図６に示したガードル１ｄにおいては、腹部中央部生地３の上端 がウェスト上端にまで到達しておらず、従ってガードル前中心点近傍の上端部近 傍も端始末を必要とせず上端側に折り返しのないウェスト部生地２が充当されて いる点、また、腹部中央部生地３の下端には図１のガードル１ａのように別個の クロッチ生地７が設けられておらず腹部中央部生地３の下端部分がクロッチ生地 をかねている点である。その他の点は、図１〜２に示したガードルとほぼ同様で あるので、同一部分には同一の符号を付して、詳細な重複説明を省略した。

【００４０】 したがって図６に示したガードル１ｄにおいても、図１〜２に示したガードル １ａとほぼ同様の機能を発揮し、ほぼ同様の効果を有するガードルが提供できる 。

【００４１】 以上の図示し例示した態様は、ショートタイプのガードルについて説明したが 、ショートタイプのガードルは、ロングタイプのガードル等に比べて身体に当接 される個所が少ないことヒップと言う凹凸の多い個所のみに当接することなどか ら、密着性ということが課題であり、ずり下がりなどの問題が生じやすく、その ためウェスト部を強く締める場合にゴムテープなどが存在すると、前述したよう な食い込みや、人体にゴムテープなどの跡がつく、局部的な圧迫感が強くなる、 段差がつきやすいなどの問題が生じやすいが、本考案を適用することにより、極 めて効果的にこれらの問題が解決され、本考案の機能が効率よく発揮される衣類 であり特に好ましい。また、裾部にゴムテープなどを用いずに、端始末を必要と しない生地を裾部開口端を折り返さずに用いた態様とする場合には、ゴムテープ を用いていないので、その分、裾部開口端にもゴムテープを用いている従来のシ ョートガードルに比べて身体への密着性を持たせることが困難になり、ずり下が りなどの着崩れが生じやすくなる傾向にあるが、本考案を適用することにより、 極めて効果的にこれらの問題が解決され、本考案の機能が効率よく発揮される衣 類であり特に好ましい。しかし、股部を有し人体にフィットさせて着用する下半 身用衣類であればショートタイプのガードル以外の他の衣類、例えば、ロングタ イプのガードル、スパッツ、スポーツ用タイツ、ショーツ等にも本考案が適用で きることは容易に理解されるところである。ただ、スポーツ用タイツで脚部が足 首まで存在する９部丈のもの等においては裾部の伸縮性を裾部開口端方向に向か うにしたがって段階的または連続的に強くすることは、そうしてもかまわないが あまりそのような態様にする意味はない。しかし、スポーツ用タイツやロングタ イプのガードル等で脚部の長さが膝上丈のものはその機能が発揮でき、効果的で ある。勿論、ウェスト部に実質的に衣類横方向のみに伸縮性を有する端始末を必 要としない生地をその上端部を折り返さずに用いる事による前述した優れた機能 は上記すべての下半身用衣類において効果的に発揮される。

【００４２】 なお、本考案でウェスト部に用いる、実質的に衣類横方向のみに伸縮性を有す る端始末を必要としない生地は、特に限定するものではないが、例えば株式会社 ビオレッタの「１０９４０ＳＮヘムテープ」（ナイロン４０デニール／１３フィ ラメント、ポリウレタン弾性糸２８０デニールの２本／１本通しのワンウェイサ テン調パワーネット編物）ほか等が挙げられ、端始末を必要としない生地の編み 方は織編物製造業者においてよく知られているので説明を省略するが、通常、糸 抜きの手法を応用して作られている。

【００４３】 また、特に限定するものではないが、ウェスト部に用いる実質的に衣類横方向 のみに伸縮性を有する端始末を必要としない生地は、例えば２０〜８０デニール のナイロン糸あるいはポリエステル糸と２００デニール〜７２０デニールのポリ ウレタン糸またはその他の弾性繊維糸からなる弾性繊維糸含有ワンウェイラッセ ル編物、より好ましくはポリウレタン糸含有ワンウェイサテン調パワーネット編 物が好ましく用いられる。ちなみに上記実施態様に記載した図１〜６に示したウ ェスト部生地２としては、具体的には、４０デニールのナイロン糸に２８０デニ ールのポリウレタン糸が２本／１本の割合で挿入されているワンウェイサテン調 パワーネット編物で、その幅は脇部で３．５ｃｍ、後中心位置で４．７ｃｍの幅 のものを用いている。ここでポリウレタン糸が２本／１本の割合で挿入されてい る（２本／１本通しとも言う）とはポリウレタン糸が、あるウェール間には２本 引きそろえて挿入されており、その隣のウェール間には１本のポリウレタン糸が 挿入されており、これが交互に繰り返されていることを意味している。そしてナ イロン糸とポリウレタン糸の使用割合は全体の平均の重量％でこの両者の合計重 量に基づきポリウレタン糸３１重量％のものを用いた。尚、弾性繊維糸の挿入態 様は２本／１本通しに限られるものではなく、そのほか、例えば２本／２本通し や２本／２本／１本通し等、適宜用いる弾性繊維糸の太さや、目的とするウェス ト部の押さえパワーなどによって、種々変更してもよい。

【００４４】 また、後−脇身頃５としては、裾部の端始末を必要としない４０デニール／２ ０フィラメントのナイロン糸に１８０デニールのポリウレタン糸が挿入されてい る２方向伸縮性のツーウェイパワーネット編物（株式会社ビオレッタ製造販売「 ８０８９１ＳＮＴＷ“トリスキン”」）を用い、５ａの部分の部分は各ウェール 間（方向としては裾線に沿った方向がウェールの方向となる。）に１８０デニー ルのポリウレタン糸が1本づつ挿入されており、５ｂの部分は各ウェール間に１ ８０デニールのポリウレタン糸が２本づつ挿入され（３６０デニール）、５ｃの 部分は各ウェール間に１８０デニールのポリウレタン糸が３本づつ挿入され（５ ４０デニール）、５ｄの部分は各ウェール間に１８０デニールのポリウレタン糸 が４本づつ挿入され（７２０デニール）、ていて、従って裾線に沿った方向の伸 縮力が５ａ＜５ｂ＜５ｃ＜５ｄの順に大きくなっていて順次段階的に伸縮力が増 大するグラデーションが付けられた生地を裾部開口端部分を内側に折り返す様な 折り返しを設けずに用いた。

【００４５】 かかる生地の具体例として好ましいものは、ポリウレタン糸を含有した２方向 伸縮性のツーウェイラッセル編物または２方向に伸縮性のツーウェイトリコット 編物等が好ましく、特にツーウェイラッセル編物のうちでも、ポリウレタン糸を 含有した２方向に伸縮性のツーウェイパワーネット編物が好ましく用いられる。

【００４６】 なお、後−脇身頃５は前述したようにこの態様に限定されるものではなく、伸 縮性も必ずしも２方向伸縮性でなくともよいが、好ましくは２方向に伸縮性の生 地が用いられる。また、裾部の伸縮性が他の部分に比べて強められているものが 好ましく用いられるが、伸縮力が全体に均一な生地を用いて裾端周り内側などに 必要に応じて伸縮性テープなどを取り付けてもよい。

【００４７】 また、図２に示したような臀部の膨らみに沿って盛り上がるように熱成形され た熱成形部分１０を形成するには、通常のモールド成型法等も用いられるが、好 ましくは特開平９−３０２５１５号に記載されている金型などを用い気体状加熱 媒体を生地の表裏両面に流入して熱セットする方式が極めて好ましい。

【００４８】

【考案の効果】

（１）本考案の下半身用衣類は、前記衣類の上端部であるウェスト部に、実質 的に衣類横方向のみに伸縮性を有する端始末を必要としない生地をその上端部を 折り返さずに用いているので、ウェスト部生地の上方の端部に折り返しがなく、 しかもゴムテープ等も装着されておらず、また、前記折り返し部とゴムテープと を縫合する縫製も存在せず、面状にウェストにフィットするので、局部的に圧力 が集中することがなく、着用者のウェスト部への食い込みがなくなり、ゴムテー プの跡などが人体に残りにくく、圧迫感も軽減され着用感が良好で、衣類のウェ スト部の厚みを薄くでき、段差もつかず、スッキリしたスリムな美しいウェスト ラインに整えることができる下半身用衣類が提供できる。しかもウェスト部生地 の上方の端部が外側にカールし巻き皺が発生する欠点も生じない。

【００４９】 （２）また、前記衣類のウェスト部に充当されている端始末を必要としない生 地を除いて、衣類本体の臀部、脇部、前脇部を構成する後−脇身頃が２方向に伸 縮性の生地からなり、且つその裾部の伸縮性がより強くなっている生地である本 考案の好ましい態様とすることにより、前述の効果に加えて、裾部にゴムテープ など取り付けずに裾口が脚部にフィットするので、この部分のゴムテープ等によ る段差がなく外観を低下させないし、また、２方向に伸縮性であるので、臀部を つぶさずに臀部のきれいな丸みを美しく保って着用することができ好ましい。

【００５０】 （３）また、後−脇身頃を構成する伸縮性の生地において、伸縮性がより強く なっている裾部の伸縮性が、裾部開口端方向に向かうにしたがって段階的または 連続的に強くなっている伸縮性生地からなる本考案の好ましい態様とすることに より、裾部の身体面への接触が面状になり身体を強く圧迫せず着用感に優れ、ま た、裾回りが線状に食い込むことがないので、その部分で段差が生じるようなシ ルエットの低下がなく、ヒップから太ももにかけてのより自然なシルエットを保 つことができ、且つ、裾回りを身体にしっかりとフィットさせることができる。 また、裾回り部分の緊迫力が裾端から離れる方向に順次弱くなるので、緊迫力の 弱められている部分の伸びにより運動追従性が発揮され、裾のずれ上がりが生じ にくいし、仮にずり上ったとしても元の位置に比較的容易に戻ることができる等 の機能が発揮され好ましい。

【００５１】 （４）また、後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、端始末を必要としない生 地からなり、当該生地の裾部開口端を折り返さずに用いてなる本考案の好ましい 態様とすることにより、裾回りに段差が生じないので、段差が外観に響かず、美 しいシルエットを保つことができ好ましい。

【００５２】 （５）また、腹部中央部が、衣類縦方向にはほとんど伸縮性がないか、または 、衣類縦横両方向に伸縮性のない生地からなる本考案の好ましい態様とすること により、腹部の贅肉の膨出を抑え、美しく腹部形状を整えることができ好ましい 。

【００５３】 （６）また、ウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地の幅が脇 部または後部において２〜５ｃｍである本考案の好ましい態様とすることにより 、ウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地が面状にウェストにフ ィットし圧力を面で分散するので、ゴムテープの如く細すぎて線状に局部的に圧 力が集中し、着用者のウェストに食い込むことがなく、段差もつかず、着用感が 良好で、またあまりに幅が広すぎて当該生地の端がカールして巻き皺が発生する 問題もなく好ましい。

【００５４】 （７）また、ウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地が、伸縮 性繊維を含有する実質的に衣類横方向にのみ伸縮性のワンウェイラッセル編物で ある本考案の好ましい態様とすることにより、ワンウェイラッセル編物はカール の発生がより確実に防止でき、しっかりしたウェストへの衣類の固定機能が発揮 され好ましい。

【００５５】 （８）また、ウェスト部に充当されている端始末を必要としない生地が、伸縮 性繊維を含有する実質的に衣類横方向にのみ伸縮性のワンウェイサテン調パワー ネット編物である本考案の好ましい態様とすることにより、ワンウェイサテン調 パワーネット編物は、ワンウェイラッセル編物の下位概念に属するより好ましい 態様の編物であり、経編物でより腰がしっかりした生地なので、カールの発生が より確実に防止でき、しっかりしたウェストへの衣類の固定機能が発揮され好ま しい。

【００５６】 （９）また、後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、伸縮性繊維を含有する２ 方向に伸縮性のツーウェイラッセル編物または２方向に伸縮性のツーウェイトリ コット編物である本考案の好ましい態様とすることにより、いずれも必要な体型 補整機能を発揮できるが、生地の腰が強すぎることなく、ソフトで着用感が良好 でヒップの丸みをつぶさずに美しいシルエットを実現でき好ましい。

【００５７】 （１０）また、後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、伸縮性繊維を含有する ２方向に伸縮性のツーウェイパワーネット編物である本考案の好ましい態様とす ることにより、ツーウェイパワーネット編物は、ツーウェイラッセル編物の下位 概念に属するより好ましい態様の編物であり、経編物で見栄えが美しくしなやか であり着用感が良好で且つ必要な体型補整機能も発揮でき好ましい。

【００５８】 （１１）また、衣類の臀部部分の膨らみが熱成形によって形成されている本考 案の好ましい態様とすることにより、ヒップの丸みがきれいに整えられるだけで なく、ヒップの膨らみがこの成形部分に収まるので型くずれが起こらず好ましい 。

【００５９】 （１２）また、下半身用衣類が、ガードル、スパッツおよびスポーツ用タイツ から選ばれた衣類である本考案の好ましい態様とすることにより、これらの衣類 は人体の肌の上に密着して着用されるか、または比較的肌側に近い位置で人体に フィットさせて着用される衣類であるので、前述した機能が効果的に発揮される 衣類であり好ましい。

【００６０】 （１３）また、下半身用衣類が、ショートガードルである本考案の好ましい態 様とすることにより、ショートタイプのガードルは、ロングタイプのガードル等 に比べて身体に当接される個所が少ないことヒップと言う凹凸の多い個所のみに 当接することなどから、密着性ということが課題であり、ずり下がりなどの問題 が生じやすく、そのためウェスト部を強く締める場合にゴムテープなどが存在す ると、前述したような食い込みや、人体にゴムテープなどの跡がつく、局部的な 圧迫感が強くなる、段差がつきやすいなどの問題が生じやすいが、本考案を適用 することにより、極めて効果的にこれらの問題が解決され、本考案の機能が効率 よく発揮される衣類であり特に好ましい。また、裾部にゴムテープなどを用いず に、端始末を必要としない生地を裾部開口端を折り返さずに用いた態様とする場 合には、ゴムテープを用いていないので、その分、裾部開口端にもゴムテープを 用いている従来のショートガードルに比べて身体への密着性を持たせることが困 難になり、ずり下がりなどの着崩れが生じやすくなる傾向にあるが、本考案を適 用することにより、極めて効果的にこれらの問題が解決され、本考案の機能が効 率よく発揮される衣類であり特に好ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の下半身用衣類のガードルの前側正面
図。

【図２】図１のガードルの後側背面図である。

【図３】本考案で用いるウェスト部生地の部分断面図。

【図４】本考案の下半身用衣類である別の態様のガード
ルの前側正面図。

【図５】本考案の下半身用衣類である更に別の態様のガ
ードルの前側正面図。

【図６】本考案の下半身用衣類である更に別の態様のガ
ードルの前側正面図。

【図７】従来の下半身用衣類の代表的な例のウェスト部
分の模式的部分断面図。

【図８】図７中の矢印Ｂ側（衣類ウェスト部の裏側）か
ら見た部分平面図。

【符号の説明】

１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ ガードル ２ ウェスト部生地 ２ａ ウェスト部上端 ３ お腹押え用腹部中央部生地 ５ 後−脇身頃 ６ 前裾−脇腹部生地 ７ クロッチ生地 ８ 脚部用開口部 ９ 後中心の縫合ライン １０ 熱成形部分 １１ 腹部中央部生地３の下側の前中心の縫製ライ
ン ７０ 衣類ウェスト部の本体生地 ７１ 衣類ウェスト部の本体生地の端 ７２ ゴムテープ ７３ ジグザグ縫製

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 日高 年紀子 京都府京都市南区吉祥院中島町29番地 株 式会社 ワコール内

Claims (13)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 股部を有し、人体にフィットさせて着用
   する下半身用衣類において、前記衣類の上端部であるウ
   ェスト部に、実質的に衣類横方向のみに伸縮性を有する
   端始末を必要としない生地をその上端部を折り返さずに
   用いてなる下半身用衣類。
2. 【請求項２】 前記衣類のウェスト部に充当されている
   端始末を必要としない生地を除いて、衣類本体の臀部、
   脇部、前脇部を構成する後−脇身頃が２方向に伸縮性の
   生地からなり、且つその裾部の伸縮性がより強くなって
   いる生地である請求項１に記載の下半身用衣類。
3. 【請求項３】 後−脇身頃を構成する伸縮性の生地にお
   いて、伸縮性がより強くなっている裾部の伸縮性が、裾
   部開口端方向に向かうにしたがって段階的または連続的
   に強くなっている伸縮性生地からなる請求項２に記載の
   下半身用衣類。
4. 【請求項４】後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、端
   始末を必要としない生地からなり、当該生地の裾部開口
   端を折り返さずに用いてなる請求項２または３のいずれ
   かに記載の下半身用衣類。
5. 【請求項５】 腹部中央部が、衣類縦方向にはほとんど
   伸縮性がないか、または、衣類縦横両方向に伸縮性のな
   い生地からなる請求項１〜４のいずれかに記載の下半身
   用衣類。
6. 【請求項６】 ウェスト部に充当されている端始末を必
   要としない生地の幅が脇部または後部において２〜５ｃ
   ｍである請求項１〜５のいずれかに記載の下半身用衣
   類。
7. 【請求項７】 ウェスト部に充当されている端始末を必
   要としない生地が、伸縮性繊維を含有する実質的に衣類
   横方向にのみ伸縮性のワンウェイラッセル編物である請
   求項１〜６のいずれかに記載の下半身用衣類。
8. 【請求項８】 ウェスト部に充当されている端始末を必
   要としない生地が、伸縮性繊維を含有する実質的に衣類
   横方向にのみ伸縮性のワンウェイサテン調パワーネット
   編物である請求項１〜６のいずれかに記載の下半身用衣
   類。
9. 【請求項９】 後−脇身頃を構成する伸縮性の生地が、
   伸縮性繊維を含有する２方向に伸縮性のツーウェイラッ
   セル編物または２方向に伸縮性のツーウェイトリコット
   編物である請求項２〜８のいずれかに記載の下半身用衣
   類。
10. 【請求項１０】 後−脇身頃を構成する伸縮性の生地
    が、伸縮性繊維を含有する２方向に伸縮性のツーウェイ
    パワーネット編物である請求項２〜８のいずれかに記載
    の下半身用衣類。
11. 【請求項１１】 衣類の臀部部分の膨らみが熱成形によ
    って形成されている請求項１〜１０のいずれかに記載の
    下半身用衣類。
12. 【請求項１２】 下半身用衣類が、ガードル、スパッツ
    およびスポーツ用タイツから選ばれた衣類である請求項
    １〜１１のいずれかに記載の下半身用衣類。
13. 【請求項１３】 下半身用衣類が、ショートガードルで
    ある請求項１〜１１のいずれかに記載の下半身用衣類。