JP3060022B2 - 耐摩耗性アルミニウム系焼結合金およびその製造方法 - Google Patents
耐摩耗性アルミニウム系焼結合金およびその製造方法Info
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つ耐摩耗性であることを要求される各種の歯車、プーリ
ー、コンプレッサー用ベーン、コンロッド、ピストンな
どを製造するために好適なアルミニウム系焼結合金およ
びその製造方法に関するものである。
エネルギーの要求により、軽量化材料への置換が進んで
いる。中でもアルミニウム系焼結合金は、軽量であるこ
とおよび鋳造合金に比べて、初晶Siを微細化でき、S
i含有量を多くできることなどの理由から、比強度と耐
摩耗性に優れたアルミニウム系合金として期待が高まっ
ている。
例えば、特開昭53−128512号公報に開示され
た、組成が重量比でCu:0.2〜4%、Mg:0.2〜
2%、Si:10〜35%、残部がAlとなるように、
Al−10〜35%Si粉、銅粉、Mg粉、Al−Cu
粉、Cu−Mg粉、Al−Cu−Mg粉、Cu−Mg−
Si粉、Al−Cu−Mg−Si粉のうちより選ばれた
粉末、および必要に応じてAl粉を混合し、圧粉成形し
た後焼結して所望の製品を製造する方法がある。この方
法は各種の粉末を混ぜ合わせるいわゆる混合法である。
このような混合法によれば、軟質金属粉末を混合するこ
とができるので、粉末成形性がよいという特徴があり、
通常の圧粉成形−焼結の工程のみでも、液相焼結によれ
ばある程度の強度のものが得られるので、強度があまり
要求されない部材には適用することができる。
載されているように、組成が重量比で、Si:10〜3
0%、Ni、Fe、Mnの1種または2種以上を合計で
1〜15%、必要に応じてCu:0.5〜5およびM
g:0.2〜3%、および残部のAlおよび不可避の不
純物からなる急冷凝固アルミニウム合金粉の圧粉体を熱
間鍛造して製造され、Al−Si系合金素地中に初晶S
iが均一に分散した組織の合金がある。合金法によれ
ば、混合法に比べて高い強度が達成される。しかし、急
冷凝固粉末は硬く、金型成形によるニアネットシェープ
化が困難であること、粉末に強固な酸化皮膜があるこ
と、および焼結時に液相を発生しないことなどのため
に、焼結のみでは粉末相互の十分な結合を達成すること
ができず、ビレット形状からの押出しや鍛造など、数回
の圧縮工程を必要とする。
特開平5−156399号公報に記載されているよう
に、急冷凝固Al−Si系合金粉に所定量の純Al粉を
混合した粉を熱間鍛造して製造され、その組成が重量比
で、Si:12〜30%、FeおよびNiのうち1種ま
たは2種の成分1〜10%、必要に応じCu:1〜5
%、Mg:0.3〜2%のうち1種または2種の成分お
よび残部がAlおよび不可避の不純物からなる組成で、
微細な初晶Siが分散した共晶Al−Si素地中に、熱
間鍛造により変形したAl固溶体粒が5〜20容量%分
散した組織の合金がある。この合金はAl固溶体が接着
剤として作用し、硬質な粒界の相互の密着性を向上さ
せ、耐摩耗性と強度を向上させたものである。
6号において、組成が重量%でAl−13〜30%Si
合金粉とAl粉を2:8〜8:2の比率で配合した粉末
に、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zrお
よびNbより選ばれる1種もしくは2種以上の遷移金属
を0.2〜30%含有するCu−遷移金属合金粉、35
%以上のMgを含有するAl−Mg合金粉またはMg粉
を添加して混合し、圧粉成形した後焼結して、全体組成
が重量比で、Si:2.4〜23.5%、Cu:2〜5
%、Mg:0.2〜1.5%、前記遷移金属0.01〜1
%、および残部のAlおよび不可避不純物からなり、5
〜60μmの初晶Siが分散するAl−Si系合金相と
Al固溶体相との斑状組織を呈し、斑状組織面に占める
Al固溶体相の面積が20〜80%である合金を提案し
た。この合金の製造方法においては、成形性に優れ、合
金は粒界への金属間化合物の析出が防止され、斑状組織
であると共にAl−Si合金相中の初晶Siの最大粒径
を限定したことにより、引張り強さが380MPa程度
で伸びが大きく、また摩擦摺動中に脱落した初晶Si粒
子をAl固溶体相が埋め込む効果を有していることから
特に耐摩耗性に優れた合金を得ることができる。
結合金は耐摩耗性に優れ機械強度も高いものであるが、
更に機械強度の高い合金であれば、その用途を拡大し、
また合金の信頼性を向上させることができる。本発明の
目的は、機械的強度がより高く、耐摩耗性に優れたアル
ミニウム系焼結合金を提供することにある。
うな課題を解決するために、鋭意検討を行なった結果本
発明に到達したものである。すなわち、本発明の焼結合
金は、全体組成が重量比でSi:2.4〜23.5%、C
u:2〜5%、Mg:0.2〜1.5%、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、ZrおよびNbから選ば
れる1種もしくは2種以上の遷移金属:0.01〜1
%、残部のAlおよび不可避不純物からなり、初晶Si
が分散しているAl−Si系合金相とAl固溶体相とが
斑状組織を呈し、斑状組織の断面に占めるAl固溶体相
の面積が20〜80%であるアルミニウム系焼結合金で
あって、合金表面部または少なくとも摺動予定面部のA
l−Si系合金相中の初晶Siの最大粒径が5〜60μ
mであり、その他の部分の初晶Siの粒径が5μm以下
であることを特徴とするものである。なお、焼結合金部
材の摺動する部位または部材全体の表面に分散する前記
5〜60μmの初晶Siの層は表面から深さ0.05〜
1mmの範囲にあることが好ましい。
合金部材の製造方法としては、Si含有量が13〜30
重量%のAl−Si合金粉とAl粉を2:8〜8:2に
配合した粉末に、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、ZrおよびNbから選ばれる1種もしくは2種以
上の遷移金属の含有量が0.2〜30重量%のCu−遷
移金属合金粉、Mg含有量が35重量%以上のAl−M
g合金粉またはMg粉を添加して、全体組成が重量比
で、Si:2.4〜23.5%、Cu:2〜5%、Mg:
0.2〜1.5%、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、ZrおよびNbから選ばれる1種もしくは2種以
上の遷移金属:0.01〜1%、残部のAlおよび不可
避不純物からなる混合粉とし、この混合粉末を圧粉成形
した後焼結して、最大粒径が5μm以下の初晶Siが分
散しているAl−Si系合金相とAl固溶体相との斑状
組織を呈する焼結合金とし、この焼結合金の表面を加熱
して、合金内部に存在するAl−Si系合金相中の初晶
Siの粒径は5μm以下にとどめた状態で、合金表面部
に存在するAl−Si系合金相中の初晶Siの最大粒径
を5〜60μmに成長させ、冷却することを特徴とす
る。
合金部材が用いられる際に摺動する部位の加熱は、高周
波加熱、プラズマ加熱、レーザー加熱などにより達成す
ることができる。
する。 (1)斑状組織 斑状組織は、初晶Siが分散したAl−Si系合金相と
Al固溶体相とで構成される。初晶Siが分散したAl
−Si系合金相は、Al−Si合金中にMg、Cuおよ
び遷移金属元素が拡散した固溶体であって、この素地中
に初晶Siが分散している比較的硬質な相であり、主に
材料強度および耐摩耗性に寄与する。
添加されたAl中に、Si、Mg、Cuおよび遷移金属
が拡散した固溶体であって、比較的軟質であり、合金の
靭性に寄与するとともに、初期摩耗を受けてAl−Si
系合金相間に油だまりを形成して潤滑性および摩擦中の
相手材とのなじみ性に寄与する。また、塑性変形し易い
ので、摺動面近傍の硬質な初晶Si粒子が摩耗粉として
脱落しそうになったり、脱落した場合に、それらを埋没
させ、Si粒子が研磨粒子として作用することを防ぐ効
果がある。
系合金相と軟質なAl固溶体相の二つの相は、Al−S
i系合金相が合金断面の面積比で20%未満のときは、
初晶Siの量が少ないため、また、80%を越える場合
についても、摩擦摺動により脱落したSi粒子を埋没さ
せるAl固溶体相の量が少ないために、耐摩耗性が著し
く低くなる。したがって、2つの相が、合金断面の面積
比で20〜80:80〜20の割合で斑状に混在した複
合組織であるときに、相互の作用によって強度および耐
摩耗性が良好になる。
摩耗性の向上に寄与する。全体組成からみたSiの量
は、前述の初晶Siが分散したAl−Si系合金相とA
l固溶体相とが斑状組織を呈するような範囲を選択する
必要があり、2.4〜23.5重量%の範囲が適当であ
る。全体組成中のSi量が少な過ぎると、初晶Siが分
散したAl−Si系合金相中のSi量が少ないか、ある
いはAl−Si系合金相の量が少なくなることになり、
耐摩耗性に寄与する初晶Siの量が少ないために耐摩耗
性が不十分となる。一方、Si量が多過ぎると、Al−
Si系合金相中のSi量が多いか、あるいはAl−Si
系合金相の量が多くなるために、靭性が低下し、かつ摺
動時に脱落した初晶Si粒子を埋め込むAl固溶体相の
量が少なく、斑状組織の効果がなくなるため却って摩耗
が進行する。
が、初晶Siが析出するためには、合金粉末中のSi含
有量は13重量%以上必要であり、また、Si含有量が
30重量%を越えると粉末製造時の溶湯温度が高くなる
ため、Al−Si合金粉中のSi含有量は13〜30重
量%が適当である。
進、および時効析出するMg2Siによる素地の強化お
よび耐摩耗性の向上の効果を示す。Mgの量は、全体組
成で0.2重量%未満では上記の効果が不十分であり、
一方1.5%より多く添加してもそれ以上の添加効果を
呈するわけではないので0.2〜1.5重量%の範囲が望
ましい。
5重量%以上のAl−Mg合金粉またはMg粉の形態で
行う。これは、Al−Mg二元系合金の融点が、Mg含
有量33〜70重量%の間において460℃程度の低い
値を示すためである。すなわち純粋なMg粉の場合に
は、焼結過程でAl素地と固相拡散してMg濃度が低下
することにより液相が発生する。一方Al−Mg合金粉
を用いる場合には、Mg含有量を33重量%とすると、
前記と同様にAl素地との拡散でMg濃度が低下するこ
とにより融点が上昇して有効に液相を利用することがで
きないので、Mg含有量は35重量%以上とすることが
望ましい。
より一層大きな効果を示すが、2重量%未満では所望の
強度向上が認められず、また5重量%を越えると粉末粒
界近傍においてCuを主成分とする金属間化合物が多量
に析出して靭性が低下するので好ましくない。CuをC
u粉の形態で添加した場合に、Cuを素地に固溶させる
ために必要な加熱を行うと、溶製材料のように初晶Si
が粗大化し、反対に加熱の温度を下げ時間を短縮する
と、素地の粒界にCuの金属間化合物が残存して強度の
低下を招く。そこで、適量の遷移金属(Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Nb)を共存させ
ると、溶体化および時効処理により、素地中に過飽和に
固溶したCuが時効析出する際に、遷移金属とCuおよ
びSiが結合し、素地中のCuおよびSiの量を減少さ
せ、その分だけ粉末粒界に析出した金属間化合物のCu
が素地中に拡散するため、粒界に析出する金属間化合物
を消失させることが可能となる。
含有量の範囲において0.01重量%未満ではその効果
が認められず、一方、1重量%を越えると遷移金属を主
成分とする金属間化合物が析出して靭性が低下するため
0.01から1重量%が好適である。遷移金属は単体で
添加すると拡散し難いため、Cu−遷移金属合金粉の形
態で添加することが好ましいが、合金粉中の遷移金属量
は全体組成として必要なCu量および遷移金属量を考慮
して、0.2重量%以上が必要であるが、30重量%を
越えると合金粉末の融点が高くなり、固相拡散によって
融点が低下しても液相を発生しなくなるため0.2〜1
0重量%の範囲が好適である。
粒径 初晶Si粒子の断面形状は、粒径が小さいものは縦横の
寸法がほぼ同じで円形に近いが、大きい粒子は小さい粒
子が集合して凝集したり、粒成長したものと考えられ、
不規則な形状を示す。最大粒径とは、このような不規則
な形状をした粒子の両端距離の最長寸法を表したもので
ある。
晶Si粒子が突起物の状態で相手材を引っかき、相手材
を摩耗させる。一方、初晶Siの量が少ないか、または
初晶Siの粒径が小さいと、摩擦摺動時に素地より脱落
し、脱落した初晶Si粒子が研磨粒子として作用するた
め摩耗が進行する。したがって、耐摩耗性の観点から初
晶Si粒径は適度の値であることが必要であり、最大粒
径は5〜60μmの範囲が好ましい。
大きいほど強度や延性が低くなり、初晶Siの粒径が小
さいほど強度や延性が高くなるので好ましく、5μm以
下が好適である。そこで、摩擦部材の表面もしくは少な
くとも摺動する部位の初晶Siは、耐摩耗性を考慮して
最大粒径を5〜60μmにすると共に、内部の初晶Si
は、強度や延性を考慮して粒径を5μm以下に構成する
ことによって、耐摩耗性と強度、延性を共に向上させる
ことが可能となる。
が分散しているAl−Si系合金相の表層の厚さは、部
材が使用される摩擦環境により異なるが、0.05mm
以下では初期摩耗時に耐摩耗性に寄与する5〜60μm
の初晶Si粒子が脱落して耐摩耗性向上の効果がなくな
るおそれがあり、一方、表層厚さが1mmを越えても、
それに応じて耐摩耗性がさらに向上するわけではなく、
内部の強度および靭性に寄与する部分が減少するので、
5〜60μmの初晶Siが分散している層の厚さは0.
05〜1mmの範囲であることが好ましい。
鏡視野を模式的に表したものである。白い領域はAl固
溶体相2であり、黒点を有する領域はAl−Si合金相
2であり、黒点は初晶Siである。合金表面4付近の初
晶Si3aの平均粒径は大きく、一方、内部の初晶Si
3bの平均粒径は比較的微細である。このような初晶S
i3a、3bの構成は、あらかじめ合金全体を初晶Si
の粒径が5μm以下になるように焼結した焼結合金の表
面を、高周波加熱、プラズマ加熱あるいはレーザー加熱
などの加熱手段により、0.05〜1mmの深さにわた
って初晶Siが成長して最大粒径が5〜60μmになる
まで加熱することによって得ることができる。また、必
要な部分だけを加熱して特定の表面部位のみを改質する
ことも可能である。
る。なお、成分量は特に付言しない限り重量基準であ
る。 [実施例1]原料粉として、Si含有量が15%、17
%、20%、25%および30%の5種類のAl−Si
合金粉、純Al粉、Cu−4%Ni合金粉およびAl−
50%Mg合金粉を、表1から表3に示す割合で混合
し、所定の形状に成形を行ない、400℃で脱ろうし、
540℃で10分間の焼結を行った。その後、熱間鍛造
によって密度比を100%とし、490℃で溶体化処理
および240℃で時効処理行った。各試料の組織は、A
l−Si系合金相とAl固溶体相の断面面積比について
はAl−Si合金粉と純Al粉の配合割合と同様になっ
ており、Al−Si系合金相中の初晶Siの最大粒径は
3〜4μmであった。
て加熱し、試料1〜19を得た。得られた各試料につい
て、成分組成、斑状組織の断面に占めるAl−Si系合
金相とAl固溶体相の面積比、高周波加熱によって成長
させた試料表面部の初晶Siの最大粒径、成長させた初
晶Siが分散する部分の表面からの層の厚さおよび試料
内部の初晶Siの最大粒径を表1から表3に示す。ま
た、各試料についてピンオンディスク摩擦摩耗試験によ
る試料の摩耗量を測定した。その結果を表1から表3に
併せて示す。ピンオンディスク摩擦摩耗試験は、試料を
ピンとし、相手のディスクとしてS48C材(機械構造
用炭素鋼)の熱処理品を用い、鉱油潤滑下に、面圧49
MPa、摩擦速度5m/秒の条件で行った。
の初晶Siの最大粒径は24〜25μmである。Al−
Si系合金相とAl固溶体相の面積比が8:2から2:
8の範囲を満たしていない試料1、3、10、13、1
5、18および19は、焼付きを生じるか摩耗量が多く
なっている。その他の試料は、全体組成中のSi量が所
定の範囲内であり、斑状組織に占めるAl−Si系合金
相とAl固溶体相の断面面積比が所定の範囲内であり、
その場合は摩耗量が少ない。
l粉、Cu−4%Ni合金粉、Al−50%Mg合金粉
を表4および表5に示す割合で混合し、前記実施例と同
様の条件で、成形、焼結、熱間鍛造、溶体化処理および
時効処理行い、さらに高周波加熱を行って試料20〜2
8を得た。また、同様の条件で製作し、高周波加熱を行
わない時効処理試料29〜32を得た。
成、斑状組織の断面に占めるAl−Si系合金相とAl
固溶体相の面積比、高周波加熱により成長させた摺動部
位の初晶Siの最大粒径、成長させた初晶Siが分散す
る部分の表面からの層の厚さおよび試料内部の初晶Si
の最大粒径を表4および表5に示す。また、各試料の引
張り強さとピンオンディスク摩擦摩耗試験による試料の
摩耗量を測定した結果を同表に併せて示す。
摺動部位の初晶Siの最大粒径が5μm未満の試料29
および初晶Siの最大粒径が60μmを越える試料28
は摩耗量が著しく多いことが判る。また、表面の初晶S
iの最大粒径が5〜60μmの範囲内であっても、その
層の厚さが0.05mmより小さい試料21も著しく摩
耗している。一方、表面の初晶Siの最大粒径が大きく
なると引張り強さが低くなるが、内部の初晶Siの最大
粒径が小さい試料は、内部まで粒径が大きい試料30〜
32に比べて高い引張り強さを示し、表面に分散する成
長した初晶Siの層の厚さが小さいほど高い引張り強さ
を示すことが判る。以上より、初晶Siが分散している
Al−Si系合金相とAl固溶体相との斑状組織を示す
アルミニウム系焼結合金において、斑状組織の断面に占
めるAl固溶体相の面積が20〜80%であり、表面に
分散している初晶Siの最大粒径が5〜60μmで、そ
の他の部分に分散しているAl−Si系合金相中の初晶
Siの粒径が5μm以下であり、最大粒径が5〜60μ
mの初晶Siが分散した層の厚さが0.05〜1mmで
あるアルミニウム系焼結合金からなる部材は、耐摩耗性
に優れ、引張り強さが大きいことが判る。
ウム系焼結合金は、初晶Siが分散しているAl−Si
系合金相とAl固溶体相との斑状組織を呈し、斑状組織
の断面に占めるAl固溶体相の面積が20〜80%であ
り、表面から0.05〜1mmの深さのAl−Si系合
金相中の初晶Siの最大粒径が5〜60μmで、その他
の部分に分散している初晶Siの粒径が5μm以下に構
成したものであり、機械強度が高く、特に耐摩耗性に優
れたものである。したがって、軽量化が要求されている
各種軸受、歯車、プーリー、コンロッド、ピストンなど
の機械要素への適用が期待され、焼結部品の利用を拡大
することができる。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 全体組成が重量比でSi:2.4〜23.
5%、Cu:2〜5%、Mg:0.2〜1.5%、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、ZrおよびNbか
ら選ばれる1種もしくは2種以上の遷移金属:0.01
〜1%、残部のAlおよび不可避不純物からなり、初晶
Siが分散しているAl−Si系合金相とAl固溶体相
とが斑状組織を呈し、斑状組織の断面に占めるAl固溶
体相の面積が20〜80%であるアルミニウム系焼結合
金であって、合金表面部または少なくとも摺動予定面部
のAl−Si系合金相中の初晶Siの最大粒径が5〜6
0μmであり、その他の部分の初晶Siの粒径が5μm
以下であることを特徴とする耐摩耗性アルミニウム系焼
結合金。 - 【請求項2】 Al−Si系合金相中の初晶Siの最大
粒径が5〜60μmである部分の厚さが、合金表面より
0.05〜1mmであることを特徴とする請求項1記載
の耐摩耗性アルミニウム系焼結合金。 - 【請求項3】 Si含有量が13〜30重量%のAl−
Si合金粉とAl粉を2:8〜8:2に配合した粉末
に、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zrお
よびNbから選ばれる1種もしくは2種以上の遷移金属
の含有量が0.2〜30重量%のCu−遷移金属合金
粉、Mg含有量が35重量%以上のAl−Mg合金粉ま
たはMg粉を添加して、全体組成が重量比でSi:2.
4〜23.5%、Cu:2〜5%、Mg:0.2〜1.5
%、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zrお
よびNbから選ばれる1種もしくは2種以上の遷移金
属:0.01〜1%、残部のAlおよび不可避不純物か
らなる混合粉末とし、この混合粉末を圧粉成形した後焼
結して、最大粒径が5μm以下の初晶Siが分散してい
るAl−Si系合金相とAl固溶体相との斑組織を呈す
る焼結合金とし、この焼結合金の表面を加熱して、合金
表面部に存在するAl−Si系合金相中の初晶Siの最
大粒径を5〜60μmに成長させた後、冷却することを
特徴とする耐摩耗性アルミニウム系焼結合金の製造方
法。 - 【請求項4】 前記焼結合金の表面を加熱する方法が、
高周波加熱、プラズマ加熱、レーザー加熱の何れかの方
法であることを特徴とする請求項3記載の耐摩耗性アル
ミニウム系焼結合金の製造方法。
Priority Applications (4)
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- 1994-12-21 JP JP6335712A patent/JP3060022B2/ja not_active Expired - Lifetime
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