JP3057705B2 - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 １） 産業上の利用分野 本発明は、航空機、鉄道車両または自動車等の乗物の
操縦者が前方外界の情景を見ながら操縦する際に、その
操縦者が見ている前方の外界の情景に種々の情報（たと
えば、速度情報、ブレーキ情報、時刻情報等）を重ねて
表示するヘッドアップディスプレイに関する。

このようなヘッドアップディスプレイを用いれば、操
縦者は一々外界から視線をそらせて計器類を見る必要が
なくなるので、外界から視線をそらせている間に生じる
不慮の事故を防ぐことができる。

２） 従来の技術 前記従来のヘッドアップディスプレイは、普通、操縦
者の視野前方にハーフミラーまたはホログラム素子等の
コンバイナを配置し、そのコンバイナは外界の情景から
出射した光線を操縦者の方向に透過させるとともに操縦
室内側から前記コンバイナに入射した情報表示光を操縦
者の方向に反射または回折させるように構成されてい
る。そして、前記情報表示をコンバイナに入射させる情
報投光装置は、CRT等の光学的情報表示手段とこの光学
的情報表示手段から出射した光を前記コンバイナに入射
させる光学部材とを備えている。そして、前記光学部材
は、普通、レンズ系および反射鏡等から構成されてお
り、前記情報表示光を操縦者が正面の視野の中に視認で
きるように構成されている。

３） 発明が解決しようとする課題 前述の従来のヘッドアップディスプレイをたとえば地
上用乗物に適用した場合、前記表示輝度を一定としたも
のでは、トンネル内走行時や夜間走行時と昼間の地上走
行時とでは車両の外界の明るさが大きく異なるため、比
較的明るい場所で見やすい表示輝度であっても比較的暗
い場所では明るすぎて前方の外界を見る妨げになること
があるという問題点があった。また、暗い場所で問題の
ない表示輝度とすると明るい場所では光学的情報がほと
んど視認できなくなってしまうという問題点があった。

このため、乗物用のヘッドアップディスプレイにおい
ては、前記表示輝度を数倍程度変化させる必要がある。

前記光学的情報表示手段として、透過型の液晶パネ
ル、エレクトロケミカル表示パネルまたはその他の透過
光量制御型の表示パネルとその表示パネルを背面から照
明する光源とを用いる場合がある。この場合の光源に
は、明るい場所で見やすい表示輝度を得るために、高輝
度の光源が必要である。たとえば、前方の情景輝度（背
景輝度）が1000〜2000Ft−Ｌある場合、視認性の優れた
（見やすい）表示像を得るにはコンバイナ反射後の輝度
は500〜1000Ft−Ｌ必要であり、コンバイナ反射率が20
パーセントとすると、表示面の輝度は2500〜5000Ft−Ｌ
必要となる。このような必要性を満たす高輝度の光源と
しては、メタルハライドランプ、水銀灯、ハロゲンラン
プ、陰極管等が考えられる。しかしながら、それらの光
源は、一般に広範囲に輝度調整を行うのが困難であり、
ヘッドアップディスプレイの背景輝度（前方情景輝度）
に合わせて表示輝度を調節することが困難であった。

本発明は、前述の事情に鑑みてなされたもので、ヘッ
ドアップディスプレイの光源自体の輝度を調節しなくて
も、表示面の輝度を広範囲に調整できるようにすること
を課題とする。

B.発明の構成 １） 課題を解決するための手段 前記課題を解決するために、本発明のヘッドアップデ
ィスプレイは、 情報が表示される表示面を有する光学的情報表示手段
と前記表示面から出射した情報表示光を所定の方向に投
光する光学部材とを備えた情報投光装置と、 操縦者の前方に傾斜して設けられ、前方の外界の情景
を操縦者が視認できるように前記外界からの光線を前方
から後方に透過させるとともに、前記情報投光装置から
投光された情報表示光を操縦者が視認できる方向に反射
または回折するコンバイナとを備え、前記情報表示光を
所定の表示輝度で前記操縦者に視認させるようにした乗
物用のヘッドアップディスプレイにおいて、 前記光学的情報表示手段は、表示面となる透過光量制
御型表示パネルと、この透過光量制御型表示パネルの背
面を照明するバックライト装置とを備え、前記バックラ
イト装置は、光源と、この光源から出射した光を前記透
過光量制御型表示パネルの背面に照射するとともに前記
背面に照射する光束の断面積を調節する光束断面積調節
装置とから構成されたことを特徴とする。

２） 作用 前述の特徴を備えた本発明のヘッドアップディスプレ
イは、前記光学的情報表示手段が、表示面となる透過光
量制御型表示パネルと、この透過光量制御型表示パネル
の背面を照明するバックライト装置とを備えている。そ
して、前記バックライト装置は、光源と、この光源から
出射した光を前記透過光量制御型表示パネルの背面に照
射するとともに前記背面に照射する光束の断面積を調節
する光束断面積調節装置とから構成されてる。したがっ
て、前記透過光量制御型表示パネルの背面に照射する光
束の断面積を調節すれば、表示面の輝度が調節される。

３） 実 施 例 以下、図面により本発明の第１実施例を説明する。

第１図において、乗物の前端部には、コンバイナの機
能を有するフロントガラスＣが配設されている。したが
って、運転手Ｐは前記フロントガラスＣを通して外部情
景から出射した外部光Ｊを視認することができる。フロ
ントガラスＣの下方には、情報投光装置Ｋが配設されて
いる。情報投光装置Ｋは、光学部材Ａおよび光学的情報
表示手段Ｄから構成されている。この光学的情報表示手
段Ｄは、透過型の液晶表示パネル（透過光量制御型表示
パネル）D1と、その背面に配設された光源D2と、光束断
面積調節装置D3とから構成されている。前記光束断面積
調節装置D3は、外筒D31と、この外筒D31に螺合する内筒
D32と、外筒D31に支持されたモータＭと、このモータＭ
の出力軸に固定された軸方向に長いギアＧとを備えてい
る。また、前記モータＭは、背景輝度センサＳ（第１図
参照）の検出信号に応じて作動するモータ駆動回路Ｔに
よって駆動されるように構成されている。

第２図に示すように、光源D2は、メタルハライドラン
プ１、反射板２、前記メタルハライドランプ１を駆動す
るための電源３および安定器４から構成されている。

前記光束断面積調節装置D3の外筒D31には、集光レン
ズ５が支持されており、前記内筒D32には拡散レンズ６
が支持されている。また、内筒D32の前端部（第２図
中、右端部）には、外周にギア７を形成されたフランジ
が設けられている。ギア７は、前記ギアＧと噛み合って
いる。したがって、前記モータＭによりギアＧが回転駆
動されると、ギア７が回転し、このとき内筒D32は液晶
パネルD1に向かって進退移動するように構成されてい
る。そして、前記内筒D32が第２図の実線位置から鎖線
位置に移動したとき、液晶パネルD1の背面を照明する光
束の断面積が小さくなり、表示輝度が高くなるようにな
っている。

次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用につ
いて説明する。

第１図中左側に在る外界からフロントガラスＣに向っ
て進んで来た外部光線Ｊは、一部はフロントガラスＣで
外界に反射し、残部はそのままフロントガラスＣを透過
して直進し、操縦者Ｐの眼に至る。これにより操縦者Ｐ
は外界の情景をそのまま視認することができる。一方、
前記情報投光装置Ｋの光学的情報表示手段Ｄから出射し
た情報表示光Ｌは光学部材Ａを通過してフロントガラス
Ｃに入射する。そして、フロントガラスＣに入射した情
報表示光Ｌは、一部はフロントガラスＣを透過して外界
に出射されるが、残部は反射して操縦者Ｐの眼に至る。
これにより操縦者Ｐは情報表示光Ｌを視認することがで
きる。

そして、前記光学的情報表示手段Ｄに表示される情報
の輝度すなわち情報表示光Ｌの輝度は、前記光束断面積
調節装置D3の内筒D32を液晶パネルD1に対して進退させ
ることにより、調節される。

以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記
実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記
載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行
うことが可能である。

例えば、前記光学的情報表示手段は、液晶ディスプレ
イの変わりにエレクトロケミカルディスプレイ（ECD）
またはその他の透過光量制御型表示パネルと光源とを組
合わせて構成することが可能である。また、前記光源と
して、メタルハライドランプの代わりに、キセノンラン
プ、水銀灯、ハロゲンランプ、陰極管等を使用すること
も可能である。さらに、光束断面積調節装置において、
拡散レンズ６を支持する内筒D32を液晶パネルに対して
進退移動させる装置は、油圧シリンダを用いて構成する
ことも可能である。さらにまた、光束断面積調節装置
は、前記透過光量制御型表示パネルの背面に対して光源
自体を進退移動させるように構成することも可能であ
る。

C.発明の効果 前述の本発明のヘッドアップディスプレイは、透過光
量制御型表示パネルの背面に照射する光束の断面積を調
節することにより表示面の輝度を調節することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のヘッドアップディスプレイの一実施例
の全体説明図、第２図は同実施例のバックライト装置の
説明図、である。 Ａ……光学部材、Ｃ……コンバイナ（フロントガラ
ス）、Ｄ……光学的情報表示手段、D1……透過光量制御
型表示パネル（液晶パネル）、D2……光源、D3……光束
断面積調節手段、Ｈ……ヘッドアップディスプレイ、Ｋ
……情報投光装置、Ｌ……情報表示光、Ｐ……操縦者、
Ｓ……背景輝度センサ、Ｕ……液晶駆動信号出力手段、

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】情報が表示される表示面を有する光学的情
   報表示手段と前記表示面から出射した情報表示光を所定
   の方向に投光する光学部材とを備えた情報投光装置と、 操縦者の前方に傾斜して設けられ、前方の外界の情景を
   操縦者が視認できるように前記外界からの光線を前方か
   ら後方に透過させるとともに、前記情報投光装置から投
   光された情報表示光を操縦者が視認できる方向に反射ま
   たは回折するコンバイナとを備え、前記情報表示光を所
   定の表示輝度で前記操縦者に視認させるようにした乗物
   用のヘッドアップディスプレイにおいて、 前記光学的情報表示手段は、表示面となる透過光量制御
   型表示パネルと、この透過光量制御型表示パネルの背面
   を照明するバックライト装置とを備え、前記バックライ
   ト装置は、光源と、この光源から出射した光を前記透過
   光量制御型表示パネルの背面に照射するとともに前記背
   面に照射する光束の断面積を調節する光束断面積調節装
   置とから構成されたことを特徴とするヘッドアップディ
   スプレイ。