JP3060648B2 - ディスプレイ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は前方情景内に各種の表示
像を重ねて表示することが可能なディスプレイ装置に関
し、特に、鉄道車両、自動車、船舶等の乗物の操縦者が
前方外界の情景を見ながら操縦する際に、その操縦者が
見ている前方の外界の情景に種々の情報（たとえば、速
度情報、ブレーキ情報、時刻情報等）を重ねて表示する
乗物用のヘッドアップディスプレイに適したディスプレ
イ装置に関する。このようなディスプレイ装置を乗物に
用いた場合、操縦者は一々前方の情景から視線をそらせ
て計器類を見る必要がなくなるので、前方情景から視線
をそらせている間に生じる不慮の事故を防ぐことができ
る。

【０００２】

【従来の技術】前記従来のディスプレイ装置は、普通、
その使用者の視野前方にハーフミラーまたはホログラム
素子等のコンバイナを配置し、そのコンバイナは前方の
情景から出射した光線を使用者の方向に透過させるとと
もに、前記コンバイナの後面に入射した情報表示光を使
用者の方向に反射または回折させるように構成されてい
る。そして、前記情報表示光をコンバイナに入射させる
情報投光装置は、ＣＲＴ、プラズマディスプレイ、発光
ダイオードディスプレイ、または液晶ディスプレイ等の
情報表示部材とこの情報表示部材から出射した光を前記
コンバイナに入射させる光学部材とを備えている。そし
て、前記光学部材は、普通、レンズ系および反射鏡等か
ら構成されており、前記情報表示光を使用者が前方の視
野の中に視認できるように構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来のヘッドア
ップディスプレイにおいては、明るい外界の情景を背景
にして情報を表示する場合には、背景が明るければ明る
い程、高輝度の表示を行う必要性があった。そこで、例
えば、液晶ディスプレイのような、光透過型表示パネル
と光源（バックライト）とから構成されるディスプレイ
を用いて非常に高輝度の表示を行おうとした場合、非常
に高輝度の光源が必要になる。

【０００４】前記透光型表示パネルが液晶パネルの場
合、パネル両面に偏光板が設けられているため、光源光
の約７０パーセントがカットされてしまう。さらに、液
晶パネルに光が入射する側には液晶パネルを均一に照射
するために光散乱板が配置されるので、液晶パネルから
の出射光は拡散するため、目の方向に向かう表示光の光
量は少なくなり、表示輝度が低下しがちである。

【０００５】前記従来のディスプレイ装置においては、
ディスプレイの表示面の虚像を前方の適当な位置、例え
ば前方無限遠の位置に視認できるようになっている。そ
して、前記従来のヘッドアップディスプレイは、前記虚
像の表示位置、すなわち表示情報の視認位置をどの程度
遠方にするかというようなことは常に配慮されていた。
ところが、前記光透過型表示パネルと光源（バックライ
ト）とから構成されるディスプレイ装置においては、デ
ィスプレイ表示面に対し散乱させた光でかつ強力なもの
を用いるためのくふうを行っていた。これは、表示面か
ら出射される光があらゆる方向から視認できるようにす
るためである。しかし、実使用においては、目に入射す
る以外の表示光は有効に利用されることはなくこの意味
からせっかく高輝度の光源を用いても、目に入射される
光量は小さくなるという問題があった。本発明は、前述
の事情に鑑み、光透過型表示パネルと光源（バックライ
ト）とから構成されるディスプレイ装置において、光源
光の利用効率を高め、表示輝度を高めることを課題とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決す
るために案出した本発明の構成を説明するが、本発明の
構成要素には、後述の実施例の構成要素との対応を容易
にするため、実施例の構成要素の符号をカッコで囲んだ
ものを付記している。なお、本発明を後述の実施例の符
号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易に
するためであり、本発明の範囲を実施例に限定するため
ではない。前記課題を解決するために、本出願の発明の
ディスプレイ装置は、情報が表示される透光型表示パネ
ル（Ｄ1）および透光型表示パネル（Ｄ1）の後方に配置
された光源（１２）を有する情報表示部材（Ｄ）とこの
情報表示部材（Ｄ）から出射した情報表示光（Ｌ）を所
定の方向に投光する光学部材（Ａ）とを備えた情報投光
装置（Ｋ）と、前方の情景から出射した光を後方の視認
位置に向けて透過させるとともに前記情報投光装置
（Ｋ）から投光された情報表示光（Ｌ）を前記視認位置
に向かわせるコンバイナ（Ｃ）と、が設けられたディス
プレイ装置において、前記光源（１２）および光学部材
（Ａ）は、光源の実像が前記視認位置にできるように配
置されたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】前述の特徴を備えた本出願の発明のディスプレ
イ装置においては、前記光源（Ｄ2）からの出射光は、
情報が表示される前記透光型表示パネル（Ｄ1）を透過
して情報表示光（Ｌ）となる。この情報表示光（Ｌ）、
すなわち前記光源装置（Ｄ2）および透光型表示パネル
（Ｄ1）を有する情報表示部材（Ｄ）から出射した情報
表示光（Ｌ）は、光学部材（Ａ）によりコンバイナ
（Ｃ）方向に投光される。前記コンバイナ（Ｃ）は前方
の情景から出射した光（Ｊ）を透過させて後方の視認位
置に向かわせるとともに前記情報表示光（Ｌ）の一部を
反射して前記視認位置に向かわせる。したがって、前記
視認位置においては前方の情景光（Ｊ）および前記情報
表示光（Ｌ）を重ねて見ることができる。

【０００８】前記情報表示部材（Ｄ）の光源（Ｄ2）か
らの出射光で前記光学部材（Ａ）に向かう光は、光源
（Ｄ2）と光学部材（Ａ）との間に配置された前記透過
型液晶表示パネル（Ｄ1）を透過する際、一部は拡散す
るが、多くの部分はそのまま透過して光学部材（Ａ）に
入射する。前記液晶パネルをそのまま透過して光学部材
（Ａ）に入射した光は前記視認位置（目の位置）に集束
する。したがって、光源（Ｄ2）からの出射光の多くの
部分が目に入るので、光源（Ｄ2）光を効率良く使用す
ることができ、明るい表示を視認することができる。

【０００９】

【実施例】以下、図面により本発明のディスプレイ装置
の実施例を説明する。図１において、鉄道車両１の前端
部には運転室２が設置されている。この運転室２には、
操縦者Ｐ用の座席３の前方に計器盤４が配設されてい
る。また、前記運転室２の前方には電車１の車体下部５
と天井６との間にフロントガラス７が設けられている。

【００１０】前記フロントガラス７の後方には、前記計
器盤４上面にコンバイナＣが斜め後方に傾斜した姿勢で
支持されている。コンバイナＣは、外部の情景等から出
射して前記フロントガラス７を透過した外部光Ｊの一部
を反射するとともに残部を前記操縦者Ｐに向けて透過さ
せるように配置されている。また、フロントガラスＣ
は、その下方に配置されている情報投光装置Ｋから入射
した情報表示光Ｌの一部を透過させるとともに残部を前
記操縦者Ｐの目の位置（すなわち、視認位置）に向けて
反射させるように配置されている。

【００１１】前記運転室２の計器盤４には、ディスプレ
イ装置Ｈの情報投光装置Ｋが配設されている。この情報
投光装置Ｋは、情報表示部材Ｄおよび光学部材Ａと、そ
れらを支持するケーシング１０とを備えている。図１，
２において、ケーシング１０内には、情報表示部材Ｄ、
光学部材Ａが収容されている。前記情報表示部材Ｄは、
透過型の液晶表示パネルＤ1と、その前方（図１，２
中、左方）に配置された光源装置Ｄ2とから構成されて
いる。光源装置Ｄ2は、前方から前記液晶表示パネルＤ1
に向かって順次、集光用の凹面反射鏡１１、照明用のメ
タルハライドランプ（光源）１２、および凸レンズ１３
を備えている。前記光学部材Ａは、負のパワーを有する
レンズ系Ａ1、平面反射鏡Ａ2 及び正のパワーを有する
凸レンズＡ3等から構成されており、液晶表示パネルＤ1
から入射した情報表示光Ｌをコリメート光として出射す
る機能を有している。この光学部材Ａは、光源の実像が
前記視認位置にできるように配置されている。図２に示
すように、前記ケーシング１０の上面には、前記液晶表
示パネルＤ1および前記光源１２を駆動する表示制御回
路Ｕが配置されている。この表示制御回路Ｕは、車両に
設置されたセンサ（図示せず）から入力される車両の速
度信号、ブレーキ圧信号や、メモリ（図示せず）から読
みだされる運行情報等に基づいて前記液晶表示パネルＤ
1の駆動信号を出力している。前記ケーシング１０、情
報表示部材Ｄおよび光学部材Ａから情報投光装置Ｋが構
成されている。また、前記情報投光装置Ｋ、表示制御回
路Ｕ、コンバイナＣ等から本発明のディスプレイ装置の
実施例、すなわちヘッドアップディスプレイＨが構成さ
れている。

【００１２】次に、前述の構成を備えた本発明のディス
プレイ装置Ｈの実施例の作用について説明する。図１中
左側に在る外界からフロントガラス７を透過してコンバ
イナＣに入射してた外部光Ｊは、一部はコンバイナＣで
外界に反射し、残部はそのままコンバイナＣを透過して
直進し、操縦者Ｐの目（視認位置）に至る。これにより
操縦者Ｐは外界の情景をそのまま視認することができ
る。

【００１３】一方、前記光源装置Ｄ2のメタルハライド
ランプ（光源）１２から出射した光は前記凸レンズ１３
により拡散度が多少弱められて液晶表示パネルＤ1に入
射する。そして、液晶表示パネルＤ1に表示された情報
は、光源装置Ｄ2からの照明光により情報表示光Ｌとな
って、光学部材Ａに入射する。光学部材Ａに入射した情
報表示光Ｌは、前記負のパワーを有するレンズ系Ａ1で
拡散されて表示情報が拡大された後、正のパワーを有す
る凸レンズＡ3でコリメート光とされる。そして、凸レ
ンズＡ3から出射した情報表示光ＬはコンバイナＣに入
射する。

【００１４】図２に示す本実施例の作用説明図から分か
るように、メタルハライドランプ１２から出射した情報
表示光Ｌは順次、凸レンズ１３、液晶表示パネルＤ1、
レンズ系Ａ1、平面反射鏡Ａ2、凸レンズＡ3、およびコ
ンバイナＣを通って視認位置（操縦者Ｐの目の位置）に
集光され、実像を作る。

【００１５】ところが、液晶表示パネルＤ1の表面の１
つの点から種々の方向に出射した情報表示光Ｌは凸レン
ズＡ3を通過後は略平行となり、前方遠方に表示面の虚
像が形成される。すなわち、操縦者Ｐが視認位置から前
方を見た場合、表示面の虚像は前方遠方に視認できる
が、前記液晶表示パネルＤ1から出射して前記光学部材
Ａを通過する情報表示光Ｌは視認位置に集束する。した
がって操縦者Ｐは、液晶表示パネルＤ1の表示面の明る
い虚像を視認することができる。

【００１６】次に図４により本発明のディスプレイ装置
の第２実施例を説明する。なお、この第２実施例の説明
において、前記第１実施例の構成要素に対応する第２実
施例の構成要素には、同一の符号を付して重複する詳細
な説明は省略する。図４において、本実施例のディスプ
レイ装置は、操縦者の左右の目に対応して２個の光源１
２，１２を備えている。そして、各光源１２，１２は、
操縦者の左右の目の位置（視認位置）にそれぞれ実像を
形成するように配置されている。この第２実施例も前記
第１実施例と同様に、操縦者Ｐが視認位置から前方を見
た場合、表示面の虚像は前方遠方に視認できるが、前記
液晶表示パネルＤ1から出射して前記光学部材Ａを通過
する情報表示光Ｌは視認位置に集束する。したがって操
縦者Ｐは、液晶表示パネルＤ1の表示面の明るい虚像を
遠方に視認することができる。なお、図４に示す光路Ｌ
iは、凸レンズＡ3からはみ出しており、これは目に至ら
ないことから、左または右の一方の目だけでは表示面全
体を視認できないが、両方の目で見ると表示面の画像全
体を視認できる。この第２実施例では、光源１２が２個
使用されているので、１個が故障した時でも表示情報を
視認することができる。したがってこの第２実施例のデ
ィスプレイ装置は、、フェールセーフ機能を有する保安
機器ともなる。

【００１７】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求
の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設
計変更を行うことが可能である。例えば、光学部材Ａの
構成要素としては、凹面鏡やフレネルレンズ等を使用す
ることも可能である。また、コンバイナをフロントガラ
スと別体に構成する代わりに、フロントガラス自体にコ
ンバイナとしての機能を持たせることも可能である。

【００１８】

【発明の効果】前述の本出願の発明のディスプレイ装置
は、前記情報表示部材の光源からの出射光で前記光学部
材に向かう光の多くの部分は、光源と光学部材との間に
配置された前記透過型液晶表示パネルを透過して光学部
材に入射し、視認位置（目の位置）に集束する。したが
って、光源からの出射光の多くの部分が目に入るので、
光源光を効率良く使用することができ、明るい表示を視
認することができる。したがって、本発明のディスプレ
イ装置は、光源光の利用効率を高め、表示輝度を高める
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のディスプレイ装置の第１実施例が鉄
道車輌に設置された状態を示す図である。

【図２】 同実施例の要部の拡大断面図である。

【図３】 同実施例の作用説明図である。

【図４】 本発明のディスプレイ装置の第２実施例の説
明図である。

【符号の説明】

Ａ…光学部材、Ｃ…コンバイナ、Ｄ…情報表示部材、Ｄ
1…透光型表示パネル（液晶表示パネル）、Ｄ2…光源装
置、Ｈ…ディスプレイ装置、Ｊ…外部光、Ｋ…情報投光
装置、Ｌ…情報表示光、Ｐ…操縦者 ７…フロントガラス、１２…光源（メタルハライドラン
プ）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 情報が表示される透光型表示パネルおよ
   び透光型表示パネルの背面側に配置された光源を有する
   情報表示部材とこの情報表示部材から出射した情報表示
   光を所定の方向に投光する光学部材とを備えた情報投光
   装置と、 前方の情景から出射した光を後方の視認位置に向けて透
   過させるとともに前記情報投光装置から投光された情報
   表示光を前記視認位置に向かわせるコンバイナと、が設
   けられたディスプレイ装置において、 前記光源および光学部材は、光源の実像が前記視認位置
   にできるように配置されたことを特徴とするディスプレ
   イ装置。