JP3048343B2 - 中空鉄筋コンクリート杭 - Google Patents

中空鉄筋コンクリート杭

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JP3048343B2
JP3048343B2 JP9256953A JP25695397A JP3048343B2 JP 3048343 B2 JP3048343 B2 JP 3048343B2 JP 9256953 A JP9256953 A JP 9256953A JP 25695397 A JP25695397 A JP 25695397A JP 3048343 B2 JP3048343 B2 JP 3048343B2
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伸治 土田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異形棒鋼を有した
中空鉄筋コンクリート杭に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の中空鉄筋コンクリート杭
としては、例えば略円筒状の型枠内に軸方向に沿って長
手状の異形棒鋼であるJIS規格がSD295などを円
周上に位置させて複数並設し、この型枠内に所定の設計
基準強度、例えば400 kgf/cm2 以上のコンクリート
を投入して遠心力成形したRC杭(Reinforced spun Co
ncrete杭)や、型枠内に軸方向に沿って複数配設した異
形棒鋼を引っ張って緊張させ、この状態で所定の設計基
準強度、例えば800 kgf/cm2 以上のコンクリートを
投入して成形し、コンクリートに圧縮応力を付加したP
C杭(Prestressed Concrete杭)やこのPC杭のコンク
リートの成形の際に遠心力成形するPRC杭(Prestres
sed Reinforced spun Concrete杭)などが知られてい
る。
【0003】また、土木学会の「コンクリート標準示方
書 設計編」には、『鉄筋の径寸法はコンクリート断面
の厚さの1/3以下とすること、および、鉄筋量はコン
クリート断面積の6%以下とすること』が明記されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の建設
構造物の高層、大型化、あるいは耐震強度性などによ
り、建設建造物を支持する鉄筋コンクリート杭の曲げ強
度や圧縮強度、剪断強度などの耐力のさらなる向上が望
まれている。そこで、中空部分にコンクリートを中詰め
したり、異形棒鋼の径寸法を太くし、または異形棒鋼の
本数を多くし、あるいは横拘束鉄筋を増やすなどの鋼材
量を増やすことが考えられる。
【0005】しかしながら、中詰めすることにより、材
料および重量の増大を招き、取扱性が低下し、製造コス
トおよび施工コストが増大する。また、円筒状の中空鉄
筋コンクリート杭において、土木学会の「コンクリート
標準示方書 設計編」に記載の規準値を超える範囲で使
用する鋼材量を増加させると、本数の増大による鋼材間
隔の確保が困難で、径寸法を大きくするとコンクリート
との付着切れによる破壊が生じたり、鋼材比の増大によ
る靭性率の低下や脆性的な破壊となる剪断破壊を生じる
おそれがあるなど、土木学会の「コンクリート標準示方
書 設計編」で指摘される現象となる。
【0006】ところで、高強度で靭性率の低下や剪断破
壊を生じない高耐力の中空コンクリート杭として、鋼管
の内周側にコンクリートを注入して遠心締固めしたSC
杭(Steel pipe Concrete composite piles)が知られ
ている。しかしながら、このSC杭は、鋼管コストが高
価のため、安価に形成できない問題がある。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、安価に高耐力が得られる中空鉄筋コンクリート杭を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の中空鉄筋
コンクリート杭は、コンクリートに細長棒状の異形棒鋼
が軸方向に沿って設けられた略筒状の中空鉄筋コンクリ
ート杭において、周方向に沿って軸方向を有し前記異形
棒鋼にそれぞれ接続される横拘束鉄筋が設けられ、前記
異形鉄筋は、径寸法が壁厚の1/3以上または異形鉄筋
の合計断面積がコンクリート断面積に対して6%以上の
少なくともいずれか一方で、前記横拘束鉄筋は、この横
拘束鉄筋1本の断面積をAs 、ピッチをa、この横拘束
鉄筋の配置直径をd、この横拘束鉄筋の実引張強度をσ
su、および、前記異形棒鋼の鉄筋比をPs とした際に、
ρs ・σsu≧12.63kgf/cm2 で、かつ、ρs ・σsu
≧2.07Ps を満たす条件で配設されたものである。
【0009】そして、径寸法が壁厚の1/3以上または
異形鉄筋の合計断面積がコンクリート断面積に対して6
%以上の少なくともいずれか一方の条件を備えた異形棒
鋼と、周方向に沿って軸方向を有し異形棒鋼にそれぞれ
接続される横拘束鉄筋1本の断面積をAs 、ピッチを
a、この横拘束鉄筋の配置直径をd、この横拘束鉄筋の
実引張強度をσsu、および、異形棒鋼の鉄筋比をPs と
した際に、ρs ・σsu≧12.63kgf/cm2 で、かつ、
ρs ・σsu≧2.07Ps を満たす条件の横拘束鉄筋と
を併用することにより、曲げ強度および圧縮強度が向上
するとともに、靭性率の低下および剪断破壊が防止さ
れ、同様の効果が得られる従来のSC杭より安価とな
る。ここで、ρs ・σsu<12.63kgf/cm2 となると
ひび割れを生じ、ρs ・σsu<2.07Ps となると脆
性的な破壊となる剪断破壊を生じるため、ρs ・σsu≧
12.63kgf/cm2 で、かつ、ρs ・σsu≧2.07P
s に設定する。
【0010】請求項2記載の中空鉄筋コンクリート杭
は、請求項1記載の中空鉄筋コンクリート杭において、
遠心力成形により形成されたものである。
【0011】そして、遠心力成形により形成するため、
遠心力成形によりコンクリートの強度が増大するので、
応力が掛かった際や製造時にひび割れが生じにくくな
り、異形棒鋼およびコンクリートの強度が十分に発揮さ
れて高強度が容易に得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態の中
空鉄筋コンクリート杭を製造する工程を説明する。
【0013】まず、軸方向の開口する両端面が端板部に
て閉塞される略円筒状の筒部を有した遠心力成形用の型
枠を用い、複数本の異形棒鋼およびこれら異形棒鋼に亘
って略周方向に軸方向を有するようにスパイラル状に接
続される横拘束鉄筋であるスパイラル鉄筋を端板部に支
持して筒部内に収容する。
【0014】なお、使用する異形棒鋼は、径寸法が得ら
れる中空鉄筋コンクリート杭の肉厚である壁厚の1/3
以上、もしくは、異形鉄筋の合計断面積がコンクリート
断面積に対して6%以上のものを用いる。また、横拘束
鉄筋としては、横拘束鉄筋1本の断面積をAs 、ピッチ
をa、横拘束鉄筋の配置直径をd、横拘束鉄筋の実引張
強度をσsu、および、異形棒鋼の鉄筋比をPs とした際
に、ρs ・σsu≧12.63kgf/cm2 で、かつ、ρs ・
σsu≧2.07Ps を満たす条件のものを用いる。な
お、ρs =4・As /(a・d)である。
【0015】この後、端板部に開閉可能に開口するコン
クリート投入口からセメント、水、粗骨材、細骨材、さ
らには高強度混和材や珪石粉、減水剤などを適宜混合し
たコンクリートを投入し、型枠を回転させて遠心力成形
する。そして、適宜脱型および養生して中空鉄筋コンク
リート杭を形成する。
【0016】次に、上記実施の形態の作用を説明する。
【0017】得られた中空鉄筋コンクリート杭は、主鉄
筋となる異形棒鋼の径寸法を、中空鉄筋コンクリート杭
の肉厚である壁厚の1/3以上、もしくは、異形鉄筋の
合計断面積がコンクリート断面積に対して6%以上にす
ることにより、曲げ強度および圧縮強度が増大し、横拘
束鉄筋1本の断面積をAs 、ピッチをa、この横拘束鉄
筋の配置直径をd、この横拘束鉄筋の実引張強度をσs
u、および、異形棒鋼の鉄筋比をPs とした際に、ρs
・σsu≧12.63kgf/cm2 で、かつ、ρs ・σsu≧
2.07Ps を満たす条件の横拘束鉄筋を用いることに
より、靭性率の低下および剪断破壊を防止でき、従来の
SC杭程度の高耐力および靭性能が得られるとともに、
SC杭より安価に形成できる。
【0018】さらに、遠心力形成により、コンクリート
の強度の増大が得られ、応力が掛かった際や製造時にひ
び割れが生じにくくなり、異形棒鋼およびコンクリート
の強度が十分に発揮でき高強度が容易に得られる。
【0019】なお、上記実施の形態において、中空鉄筋
コンクリート杭は、略円筒状のものに限らず、角柱状な
どの異形状のものでもでき、建造物の杭や柱、流通管、
ガイド管などのいずれの用途に対応して適宜形成され
る。
【0020】さらに、遠心力成形に限らず、他のいずれ
の形成方法でも同様の効果が得られる。
【0021】また、図12および図13に示すように、
異形棒鋼の端部を突出させて中空鉄筋コンクリート杭を
形成してもよい。これら図12に示す実施の形態および
図13に示す実施の形態は、異形棒鋼の端部を突出して
いない中空鉄筋コンクリート杭を連結しつつ埋設し、最
後に連結して埋設する中空鉄筋コンクリートに異形棒鋼
の端部を突出したものを用い、中空鉄筋コンクリートの
端部および突出する異形棒鋼を現場コンクリート打ちに
てフーチングを形成する。これら図12に示す実施の形
態および図13に示す実施の形態によれば、フーチング
と中空鉄筋コンクリートとの接続強度を向上できる。
【0022】
【実施例】鉄筋コンクリート杭の破壊形態は、高軸力下
での曲げ剪断破壊と推定される。すなわち、建造物を支
える鉄筋コンクリート杭の変形は、軸力の大小にかかわ
らず同じであるが、鉄筋コンクリート杭自体の破壊時の
変形は軸力が高いほど低くなるので、破壊する鉄筋コン
クリート杭は、変形量の小さいものすなわち軸力分担の
大きなものである。そこで、高軸力下の曲げ剪断で中空
鉄筋コンクリート杭が破壊されることを前提とし、土木
学会の「コンクリート標準示方書 設計編」に記載の規
準値を超える範囲での鉄筋を使用した場合について、曲
げ・圧縮領域での変形性能を確認し、異形棒鋼および横
拘束鉄筋とコンクリートとの付着切れ破壊を防止すると
ともに、剪断破壊が優先しない中空鉄筋コンクリート杭
の条件を求める。
【0023】まず、中空鉄筋コンクリート杭として図1
および図2に示す供試体を用い、比較用として図3およ
び図4に示すSC構造を備えた比較供試体2を用い、表
1に示す条件とした。なお、図1に示す中空鉄筋コンク
リート杭である供試体1は、長さ寸法が300mm、外径
が200mm、中空部分の内径が80mm、コンクリート3
の壁厚が60mmで、両端面に環状の座板4,4がそれぞ
れ設けられている。また、外周面から20mmの位置に異
形棒鋼5が所定間隔で複数軸方向に沿って配設され、こ
れら異形棒鋼5,5の外周側に位置して横拘束鉄筋6が
周方向に沿って軸方向を有するようにスパイラル状に所
定間隔で配設されている。さらに、図3および図4に示
すSC構造の比較供試体2は、外周面に円筒状の鋼管7
が設けられ、長さ寸法が286mm、外径が190.7m
m、外周面から55mmまでが図1および図2に示すコン
クリート3と同様のコンクリート層8が設けられ、この
コンクリート層8の内周側に径寸法が80.7mmの中詰
めコンクリート9が設けられている。そして、両端面に
は、図1および図2に示す供試体1と同様に座板4,4
が設けられている。
【0024】そして、供試体1および比較供試体2の条
件は、主鉄筋となる異形棒鋼5の径寸法としては、材質
がSD345(JIS-G-3112)で、日本工業規格における
異形棒鋼の径寸法表示(JIS-G-3112)によるD13〜D
29とし、異形棒鋼5の鉄筋比を略同等としたもの、本
数を同一としたものとした。また、横拘束鉄筋6として
は、材質が普通鉄線(JIS-G-3532)で、鉄筋量を3水
準、すなわち径寸法が6mmで50mmピッチ、径寸法が6
mmで100mmピッチ、および径寸法が4mmで100mmピ
ッチとした。また、図3および図4に示すSC構造の比
較供試体2の鋼管7としては、外径が190.7mm、厚
さ寸法が5.3mmのSTK400(JIS-G-3444)を用い
た。
【0025】一方、コンクリート3としては、ポルトラ
ンドセメントとして秩父小野田株式会社製の普通ポルト
ランドセメント、細骨材として粒径が0.15〜5mmの
岩瀬産硬質砂岩砕砂、粗骨材として粒径が5〜20mmの
岩瀬産硬質砂岩砕石、高強度混和材として株式会社小野
田製の小野田Σ1000(商品名)、珪石粉として秩父
小野田株式会社製、高性能減水剤として花王株式会社製
のマイティ150(商品名)を用いて、設計基準強度を
800kgf/cm2 となるように配合したものを用いた。ま
た、図3および図4に示すSC構造の中詰めコンクリー
ト9としては、設計基準強度が210kgf/cm2 となるよ
うに配合したものを用いた。そして、養生は、従来の一
次養生、オートクリーブ養生後、それぞれ室温20℃±
2℃、湿度が60%で気中養生した。
【0026】
【表1】 そして、材令が28日の各供試体1および比較供試体2
を用い、曲げ・圧縮領域での変形性能を確認する試験を
行った。この試験方法は、JIS-A-1136「遠心力締固めコ
ンクリートの圧縮試験方法」に準じて行った。この変形
性能の試験結果を図5および図6に示す。なお、この試
験における最大変位とは、各供試体1および比較供試体
2の最大耐力の1/3を下回らない最大の変位量で、各
供試体1および比較供試体2の最大耐力は、JIS-A-1136
によって求めた。
【0027】これら図5および図6に示す変形性能の試
験結果から、同じ鉄筋比でも異形棒鋼5の径寸法が太い
方が最大変形量が大きくなり、横拘束鉄筋6量の増加効
果も径寸法が太い方が最大変形量の増加に及ぼす影響が
大きくなることがわかる。
【0028】したがって、土木学会の「コンクリート標
準示方書 設計編」に記載の規準値を超える範囲、すな
わち、壁厚の1/3以上の径20mm(D22)以上でも
変形量が大きくなり、また、鉄筋比が6%以上でも十分
に大きな変形量が得られていることが分かる。
【0029】次に、異形棒鋼5および横拘束鉄筋6とコ
ンクリート3との付着切れによるコンクリート3のひび
割れと横拘束鉄筋6の鉄筋量との関係を確認する試験を
行った。
【0030】ここで、試験に使用する供試体10は、図7
および図8に示すように、長さ寸法が600mm、外径が
400mm、中空部分の内径が240mm、コンクリート3
の壁厚が80mmで、両端面に環状の端板11,11がそれぞ
れ設けられている。また、拘束筋のかぶり厚、すなわち
コンクリート外周面から横拘束鉄筋6の外側面までの寸
法がJIS-A-5310「遠心力鉄筋コンクリート杭」の規格値
である15mmとなる横拘束鉄筋6が周方向に沿って軸方
向を有するようにスパイラル状に配置し、その内側の位
置に異形棒鋼5が両端部を端板11,11に開口する異形棒
鋼より10mm大きい径で開口する図示しない通孔を挿通
して端部から突出するように所定間隔で4本軸方向に沿
って各種条件で配設された表2に示す各種供試体10を用
いた。
【0031】そして、試験方法は、異形棒鋼5の一本の
両端を異形棒鋼5の降伏点荷重時で引っ張り、コンクリ
ート3に異形棒鋼5の軸方向に沿ったひび割れが生じる
か否かの両引き試験を行った。その結果を表2に示す。
なお、この表2において、は異形棒鋼5の材質がSD
295、は異形棒鋼5の材質がSD345、は異形
棒鋼5の材質がSD390、は異形棒鋼5の材質がS
D490である。また、コンクリート3に異形棒鋼5の
軸方向に沿ったひび割れが生じたものを×、生じなかっ
たものを○の評価で表示した。
【0032】
【表2】 この表2に示す結果から、外径が400mmの供試体10で
は、横拘束鉄筋6の鉄筋量が径寸法が6mmの鉄筋を10
0mmピッチ以上で配設することにより、鉄筋径を太くし
ても付着切れによるひび割れを生じない良好な中空鉄筋
コンクリート杭が得られることがわかる。
【0033】ここで、横拘束鉄筋6の鉄筋量Pは、横拘
束鉄筋6の1本の断面積をAs 〔cm2 〕、ピッチをa
〔cm〕、横拘束鉄筋6の配置直径をd〔cm〕、および、
横拘束鉄筋6の引っ張り強度をσsu〔kgf/cm2 〕とした
際に、ρs =4・As /(a・d)で表されることか
ら、P=ρs ・σsuで表される。このため、径寸法6mm
の鉄筋が100mmピッチにおける横拘束鉄筋6の鉄筋量
Pは、12.63となることから、異形棒鋼5および横
拘束鉄筋6とコンクリート3との付着切れ破壊防止の横
拘束鉄筋6の鉄筋量(P=ρs ・σsu)は、12.63
以上であれば十分であることがわかる。
【0034】次に、横拘束鉄筋6の鉄筋量Pと破壊形態
との関係を確認、すなわち脆性的な破壊となる剪断破壊
が優先せずに曲げ破壊の形態となる横拘束鉄筋6の鉄筋
量Pを求める試験を行った。
【0035】ここで、試験に使用する供試体は、製品と
同形状の長さ寸法が4m、外径が400mm、中空部分の
内径が240mm、コンクリート3の壁厚が80mmで、両
端面に環状の座板4,4をそれぞれ有し、表3に示す配
置位置に異形棒鋼5を各種条件で所定間隔に複数軸方向
に沿って配設し、異形棒鋼5,5の外周側に位置して横
拘束鉄筋6が周方向に沿って軸方向を有するようにスパ
イラル状に各種条件で所定間隔に配設して形成した表3
に示す各種供試体を用いた。そして、試験方法は、供試
体の支持間隔が3.4m、載荷間隔が1mで、剪断間隔
が1.2mとなる中央2点載荷で曲げ試験を行った。そ
の結果を図9に示す。なお、表3において、○印は、異
形棒鋼5および横拘束鉄筋6を組み合わせて形成した試
験に使用する供試体の条件である。また、図9に示す最
大変位は、供試体の曲げ引張側の異形棒鋼5が降伏する
耐力を下回らない最大の変位量である。
【0036】
【表3】 この図9に示す結果から、異形棒鋼5が太くなる、すな
わち異形棒鋼5の鉄筋量が多くなると剪断破壊が優先し
て変形性能が低下することがわかる。このため、中空鉄
筋コンクリート杭の耐力を向上させるべく単に異形棒鋼
5を太くしたのでは脆性的な破壊となる剪断破壊を生じ
るので、従来の中空鉄筋コンクリート杭では単に異形棒
鋼を太くして鉄筋量を増やすことができない。
【0037】そして、図9に示す曲げ試験を行った表3
に示す各供試体の異形棒鋼5の鉄筋比Ps と横拘束鉄筋
6の鉄筋比Pとの関係を図10に示す。この図10に示
すように、剪断破壊を示すものと曲げ破壊を示すものと
は、ひび割れを生じない条件であるρs ・σsu=12.
63およびρs ・σsu=2.07Ps を境界にして区分
され、ひび割れを生じずに曲げ破壊を生じる良好な条件
は、図10に示すように、ρs ・σsu≧12.63、か
つ、ρs ・σsu≧2.07Ps の領域となる。なお、一
部の供試体においてひび割れが生じていることが確認さ
れ、表2に示す実験が裏付けられた。
【0038】ところで、上記図9に示す条件は、軸力の
影響が少ない場合であるが、実際に使用される状況は、
地盤に埋設された中空鉄筋コンクリート杭には建造物か
らの力が常に掛かった状態となっているため、中空鉄筋
コンクリート杭に高軸力が掛かった状態での耐力を検討
する必要がある。
【0039】そこで、製品と同形状の供試体を用いた軸
曲げ剪断試験による確認試験を行った。ここで、供試体
は、長さ寸法が4m、外径が400mm、中空部分の内径
が240mm、コンクリート3の壁厚が80mmで、両端面
に環状の座板4,4をそれぞれ有し、表4に示す配置位
置に異形棒鋼5を各種条件で所定間隔に複数軸方向に沿
って配設し、異形棒鋼5,5の外周側に位置して横拘束
鉄筋6が周方向に沿って軸方向を有するようにスパイラ
ル状に各種条件で所定間隔に配設して形成した表4に示
す各種供試体を用いた。そして、試験方法は、供試体に
軸力120tfを加えて支持間隔が3.4m、剪断間隔が
1.2mとなる中央1点載荷で、一方向漸増変位繰り返
し曲げ剪断試験の条件で行った。その結果を図11に示
す。なお、表4において、○印は、異形棒鋼5および横
拘束鉄筋6を組み合わせて形成した試験に使用する供試
体の条件である。
【0040】
【表4】 この図11に示す結果から、径寸法が7mmの異形棒鋼5
を18本使用し、径寸法が3mmで100mmピッチで横拘
束鉄筋6を設けた従来品であるPHC(Pretensioned s
pun High strength Concrete)−B種杭では、脆性的な
破壊が生じ、最大変化量も低い。さらに、横拘束鉄筋6
として径寸法が6mmの鉄筋を50mmピッチで設けたもの
でも、最大変位量は幾分増大するものの、脆性的な破壊
を防止できなかった。
【0041】一方、横拘束鉄筋6を径寸法が6mmで50
mmピッチの条件で、ρs ・σsu≧12.63、かつ、ρ
s ・σsu≧2.07Ps の条件としたものでは、異形棒
鋼5の径寸法を増大させると、最大変位量が顕著に増大
するとともに、高軸力下においても脆性的な破壊は生じ
ず、曲げ耐力は低下しても軸力は十分に保持しているこ
とが認められ、良好な変形性能が得られることがわかっ
た。すなわち、実際に中空コンクリート杭を埋設して建
造物を建造した状態で想定される以上の地震力が作用し
た場合でも、中空鉄筋コンクリート杭の曲げ性能は低下
しても、建造物を支える力は十分に保持していることと
なり、建造物の沈下や転倒などを防止できる基礎杭とし
て重要な耐力が得られることがわかった。
【0042】
【発明の効果】請求項1記載の中空鉄筋コンクリート杭
によれば、径寸法が壁厚の1/3以上または異形鉄筋の
合計断面積がコンクリート断面積に対して6%以上の少
なくともいずれか一方の条件を備えた異形棒鋼と、周方
向に沿って軸方向を有し異形棒鋼にそれぞれ接続される
横拘束鉄筋1本の断面積をAs 、ピッチをa、この横拘
束鉄筋の配置直径をd、この横拘束鉄筋の実引張強度を
σsu、および、異形棒鋼の鉄筋比をPs とした際に、ρ
s ・σsu≧12.63kgf/cm2 で、かつ、ρs ・σsu≧
2.07Ps を満たす条件の横拘束鉄筋とを併用するた
め、曲げ強度および圧縮強度を向上できるとともに、靭
性率の低下および剪断破壊を防止でき、同様の効果が得
られる従来のSC杭より安価に形成できる。
【0043】請求項2記載の中空鉄筋コンクリート杭に
よれば、請求項1記載の中空鉄筋コンクリート杭の効果
に加え、遠心力成形により形成するため、遠心力成形に
よりコンクリートの強度が増大するので、応力が掛かっ
た際や製造時にひび割れが生じにくくなり、異形棒鋼お
よびコンクリートの強度が十分に発揮されて高強度が容
易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空鉄筋コンクリート杭の実施の一形
態の実験に用いた供試体を示す断面図である。
【図2】同上側面図である。
【図3】同上実験に用いたSC構造の中詰めコンクリー
ト杭を示す断面図である。
【図4】同上側面図である。
【図5】同上曲げ・圧縮領域での変形性能試験における
異形棒鋼の径寸法と変形量との関係を示すグラフであ
る。
【図6】同上曲げ・圧縮領域での変形性能試験における
横拘束鉄筋の鉄筋量と変形量との関係を示すグラフであ
る。
【図7】同上ひび割れと横拘束鉄筋6の鉄筋量との関係
を確認する試験の試験方法を示す説明図である。
【図8】同上ひび割れと横拘束鉄筋6の鉄筋量との関係
を確認する試験の試験方法を示す説明図である。
【図9】同上破壊形態を確認する試験の異形棒鋼の配設
状態と変位量との関係を示すグラフである。
【図10】同上異形棒鋼の鉄筋比と横拘束鉄筋の鉄筋比
との関係における破壊形態を示すグラフである。
【図11】同上高軸力下での軸曲げ剪断試験における異
形棒鋼の配設状態と最大変位量との関係を示すグラフで
ある。
【図12】本発明の他の実施の形態を示す地盤に埋設し
た状態の中空鉄筋コンクリート杭の端部を示す斜視図で
ある。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態を示す地盤に
埋設した状態の中空鉄筋コンクリート杭の端部を示す斜
視図である。
【符号の説明】
1 中空鉄筋コンクリート杭としての供試体 3 コンクリート 5 異形棒鋼 6 横拘束鉄筋

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートに細長棒状の異形棒鋼が軸
    方向に沿って設けられた略筒状の中空鉄筋コンクリート
    杭において、 周方向に沿って軸方向を有し前記異形棒鋼にそれぞれ接
    続される横拘束鉄筋が設けられ、 前記異形鉄筋は、径寸法が壁厚の1/3以上または異形
    鉄筋の合計断面積がコンクリート断面積に対して6%以
    上の少なくともいずれか一方で、 前記横拘束鉄筋は、 この横拘束鉄筋1本の断面積をAs 、ピッチをa、この
    横拘束鉄筋の配置直径をd、この横拘束鉄筋の実引張強
    度をσsu、および、前記異形棒鋼の鉄筋比をPs とした
    際に、 ρs ・σsu≧12.63kgf/cm2 で、かつ、ρs ・σsu
    ≧2.07Ps を満たす条件で配設されたことを特徴と
    する中空鉄筋コンクリート杭。
  2. 【請求項2】 遠心力成形により形成されたことを特徴
    とする請求項1記載の中空鉄筋コンクリート杭。
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