JP3045562B2 - 香料組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、香り立ち及び残香性に
優れた香料組成物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、天然あるいは合成の有香物質を用いて優れた香料を
調香する際には、所望の香気を持続するために、有香物
質の揮発性及び残香性を調整する各種保留剤が有効成分
として香料に配合されている。例えば、ベンジルサリシ
レート、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレー
ト、イソプロピルミリステート、ジエチルフタレート等
が利用されている。しかしながら、これらの保留剤だけ
では、香料組成物の揮発性や残香性を調整するのに必ず
しも十分でなく、新規な保留剤の開発が望まれていた。

【０００３】本発明者等は、前記従来技術の難点を解消
せんと鋭意検討を行った結果、通常の香料組成物にｐ−
メンタン−３，８−ジオールを含有することにより、香
料の香り立ち及び残香性を調整することに優れた効果を
有することを見い出し本発明を完成した。

【０００４】即ち、本発明の目的は、香り立ち及び残香
性を調整することに優れた効果を有する保留剤を提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の保留剤は、ｐ−メンタン−３，８−ジオールから
なるものである。

【０００６】本発明で用いるｐ−メンタンー３，８−ジ
オールは、成木したレモンユーカリ中に少量含まれるほ
とんど無臭の化合物であることは既に報告されている
（フィトケミストリィ，２３巻，１２号，２７７７頁、
１９８４年）。しかしながら、ｐ−メンタンー３，８−
ジオールが香料組成物の香り立ち及び残香性を高める効
果を有することはなんら報告されていない。また、レモ
ンユーカリ油中にはｐ−メンタン−３，８−ジオールが
少量しか含有されていないため、本発明の目的である香
料組成物の香り立ちや残香性を改善するためには用いる
ことができなかった（パーフューマー アンド フレイ
バリスト１１巻、８月／９月号、７４頁、１９８６
年）。

【０００７】本発明で用いるｐ−メンタン−３，８−ジ
オールは容易に合成することができる［ジャーナル オ
ブ アメリカンケミカル ソサイエティ（Ｊ．Ａｍ．Ｃ
ｈｅｍ．Ｓｏｃ），７５巻，２３６７頁、１９５３年参
照］。また、本物質は通常の香料組成物に易溶であり、
任意に配合することができる。その配合量（使用量）
は、香料組成物の総量を基準として、一般的には３〜９
０重量％、好ましくは５〜３０重量％である。

【０００８】本発明に係る香料組成物としては、ｐ−メ
ンタン−３，８−ジオールを必須成分とするが、他に水
溶性アルコール、テルペン系アルコール、アセテート
類、ケトン類、テルペン類、天然精油、調合香料、その
他例えば通常のベンジルベンゾエートやトリエチルシト
レート等の香料調整剤と組み合わせて用いることができ
る。

【０００９】本発明で用いるｐ−メンタンー３，８−ジ
オールは、環状テルペンジオールの構造を有しており、
これまで保留剤として用いられている化合物とは全く異
なる構造を有している。このため、ｐ−メンタン−３，
８−ジオールを配合した香料組成物は、従来より用いら
れている保留剤とは異なったマイルド且つ爽やかなトッ
プノートや残香を提供することが可能となる。

【００１０】

【実施例】以下、実施例により、本発明を説明する。実
施例に示す％は、重量％を意味する。また、香り立ち及
び残香性等の芳香特性の試験方法は下記の通りである。

【００１１】（１）香り立ちの試験方法 本発明による香料組成物の香り立ちと、比較例としての
香料組成物の香り立ちとを比較するために下記の官能テ
ストを採用した。試料香料組成物を８０％アルコール溶
液とし、匂い紙に同量ずつ塗布し、それぞれの匂い紙に
付着した試料香料組成物の香り立ちの比較を５名の調香
専門パネラーにより５回繰り返して判定した。

【００１２】（２）残香性の試験方法 本発明による香料組成物の残香性と、比較例としての香
料組成物の残香性を比較するために下記の官能テストを
採用した。試料香料組成物１５０ｍｇを５．５ｃｍ×１
５ｃｍの匂い紙に均一に塗布し、官能検査室（温度２５
℃・湿度６０％・風速０．１ｍ／秒以下）中に垂直状態
で放置した。塗布後適当時間（２時間、４時間）経過し
た時点で、それぞれの匂い紙に付着した香料組成物の残
香強度の比較を５名の調香専門パネラーにより５回繰り
返して判定した。

【００１３】製造例 シトロネラール１００ｇを５％硫酸水溶液５０ml中に徐
々に撹拌混合した。全量のシトロネラールを混合した
後、２０時間撹拌を行った。撹拌混合終了後、有機層を
ジエチルエーテル２００mlで抽出した。ジエチルエーテ
ル層を５％炭酸ナトリウム水溶液３００mlにて３回、飽
和食塩水溶液３００mlで３回洗浄した後、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、
ジエチルエーテルを減圧除去した。残渣部をシリカゲル
カラムクロマトにて精製することにより、６７ｇのｐ−
メンタン−３，８−ジオール（シス、トランスの異性体
混合）を得た。

【００１４】実施例１，比較例１〜３ 下記表１の処方に従って、実施例及び比較例の香料組成
物を調整した。なお、ベンジルサリシレート、ベンジル
ベンゾエート、ジエチルフタレートは従来より保留剤と
して用いられているものである。また、実施例に用いた
ｐ−メンタンー３，８−ジオールは、前記製造例により
合成したものを用いた。

【００１５】

【表１】

【００１６】次に香り立ちの試験を行い、実施例１と比
較例１〜３とを比較した。その結果を表２に示した。表
２から明らかなごとく、本発明に係る香料組成物は優れ
た香り立ちを有していた。

【００１７】

【表２】 （延べ人数２５
人）

【００１８】次に残香性試験を行い、実施例１と比較例
１〜３とを比較した。その結果を表３に示した。表３か
ら明らかなごとく、本発明に係る香料組成物は優れた残
香性を有していた。

【００１９】

【表３】 （延べ人数２
５人）

【００２０】実施例２〜４、比較例４ 下記表４の処方に従って、実施例及び比較例の香料組成
物を調整した。香り立ちの試験及び残香性試験を行った
結果を表５に示した。表５から明らかなごとく、本発明
に係る香料組成物は何れも比較例の香料組成物に比べ優
れた香り立ちと残香性を示した。

【００２１】

【表４】

【００２２】

【表５】
（延べ人数２５人）

【００２３】

【発明の効果】以上述べた通り、本発明は、香り立ち及
び残香性に極めて優れた有用なる香料組成物及び保留剤
を提供するものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C11B 9/00 A61K 7/46 A61K 7/46 355 ＣＡ（ＳＴＮ) ＪＩＣＳＴファイル（ＪＯＩＳ) ＲＥＧＩＳＴＲＹ（ＳＴＮ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ｐ−メンタン−３，８−ジオールからな
   る保留剤。