JP3028298B2 - 経口用トロンビン製剤 - Google Patents
経口用トロンビン製剤Info
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Description
治療を目的とし、室温条件下でも長期間安定であり、更
に、溶解性に優れかつ簡易に経口投与できる、安定な経
口用トロンビン製剤、トロンビン固形組成物の安定性お
よび再溶解性を改善する方法、および、当該製剤を封入
したアルミ箔ラミネート包装体に関するものである。
液凝固因子のひとつであり、血液凝固過程の最終段階、
即ちフィブリノーゲンに直接作用してフィブリンに転化
する作用を有する。従って、血液中にフィブリノーゲン
が存在すれば出血局所の血液を急速に凝固して損傷血管
端を閉塞し、血小板の存在のもとに凝血塊は収縮して血
管断端を塞ぎ完全に止血する。
造したプロトロンビンに、カルシウムイオンの存在下
で、トロンボプラスチンを作用させて製造し、従来はこ
れをバイアルに充填し凍結乾燥して製剤化している。従
来のトロンビン製剤は、室温保存すると活性の低下を生
ずるので、10℃以下に保存することとされてきた(日
本薬局方第11改正)。この製剤の使用時には、通常、
生理食塩液で溶かした溶液(トロンビンとして50〜1
000単位/ml)を出血箇所に噴霧するか、あるい
は、バイアルから内容物を取り出し粉末のまま出血箇所
に散布する方法で投与されている。
トロンビンとして200〜400単位/mlになるよう
に適当な緩衝剤に溶かして経口投与されている。しか
し、前記のように、トロンビン製剤を上部消化管出血の
治療に適用する場合は、数時間おきに1日数回投与する
ので、患者自身により簡易に経口投与できる製剤の開発
が望まれている。
填しなくとも、室温保存でもトロンビンを安定化させう
る組成の製剤を開発することが必要である。また、バイ
アル製剤は注射用として使用されるものがほとんどであ
る為、バイアル入りのトロンビン製剤は、医療機関にお
いて誤って注射される危険を避ける為にバイアルに特別
な標識を施す等の配慮を施しているが、バイアルを使用
しなければこのような配慮も不要となる。更に、バイア
ル入りのトロンビン製剤は、患者にとって携帯に不便で
あり、また10℃以下に保存しなければならないことも
取扱上煩雑であるなどの問題点を有する。
口投与を可能とした先行技術としては、特開平1−93
536号公報及び特開平1−121224号公報におい
て開示されている。前者は、腸溶性製剤の形態であるこ
とを特徴とするものであり、後者は、アルカリ性物質を
含み胃内におけるトロンビンの失活を防止することを特
徴とするものである。しかし、保存安定性については、
後者について冷所21日間での安定性が示されているの
みであり、室温条件下での安定性についてはなんら示さ
れていない。
は、上部消化管出血の治療に適用しうる、溶解性に優れ
かつ簡易に経口投与が可能であり、室温保存下でも安定
な経口用トロンビン製剤および、トロンビン固形組成物
の安定性および再溶解性を改善する方法を提供するもの
である。
た結果、止血成分としてのトロンビンに、医薬上許容さ
れる特定の安定化剤と賦形剤とを組み合わせることによ
り、溶解性に優れ、かつ、簡易に経口投与ができ、更に
室温条件下でも長期間安定な経口用トロンビン製剤を調
製できることを見い出し、本発明を完成した。
有し、医薬上許容される特定の安定化剤と賦形剤との組
合せからなる、溶解性に優れた安定な経口トロンビン製
剤、および、当該製剤を封入したアルミ箔ラミネート包
装体を提供することにある。更に詳しくは、本発明は、
止血成分としてのトロンビンに少なくともゼラチン、ア
ルブミンまたはグリシンから選ばれた1種以上、およ
び、賦形剤を添加することを特徴とする、安定性および
再溶解性が改善されたトロンビン固形組成物を開示する
ものである。
は、生理活性を有するものであれば、特に限定されな
い。一般には、ウシまたはヒトの血漿より抽出して精製
したプロトロンビンに、カルシウム塩とトロンボプラス
チンを作用させて製造したものが使用できる。また、ト
ロンビンは凍結乾燥された粉末、もしくは高単位に濃縮
された溶液でも使用できる。
されてきたが、特に経口投与剤としての使用上、前記の
ような不都合があった。かかる問題点を解決するため、
本発明におけるトロンビン固形組成物の剤型としては粉
末、細粒剤、顆粒剤、錠剤等好ましくは粉末、細粒剤、
顆粒剤とするのが望ましい。
許容される特定の安定化剤と賦形剤との組合せを包含す
る。本発明で用いられる安定化剤としては、例えば、ゼ
ラチン、アルブミン、グリシンが挙げられ、好ましく
は、ゼラチン、グリシンである。本発明に使用されるゼ
ラチンは、動物の骨、皮膚、じん帯またはけんを酸また
はアルカリで処理して得たコラーゲンを水で加熱抽出
し、抽出液を減圧乾燥してゲル化し、乾燥して製造され
たものであれば、特に限定されない。安定化剤の含量
は、トロンビン1万単位あたり5〜100mgで、好ま
しくは10〜50mgである。
の乾燥工程を必要とせず、また投与時に優れた水溶解性
を示すものが好ましく、例えば、糖または糖アルコール
が挙げられ、白糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、D−マンニ
トール等が好ましく、特に白糖が好ましい。賦形剤とし
て糖または糖アルコールが用いられる理由は、まず第1
に、本製剤の製造にあたっては、公知の技術により製造
されるが、乾燥工程において長時間加熱すると、トロン
ビンの活性が低下するため、長時間の乾燥工程を要しな
い賦形剤が必要とされるからである。本発明の賦形剤を
用いた場合、低水分で造粒が可能であり、乾燥時間が少
なくて良い。
つ沈殿物の生じない賦形剤が必要とされるからである。
即ち、上部消化管出血の治療に適用するにあたっては、
本製剤は適当な溶媒、例えば、緩衝液、牛乳、生理食塩
液または蒸留水等に溶解して用いられるが、その際、溶
解せず沈殿物があれば、不溶性物質に生理活性成分が吸
着して十分な薬効が望めなかったり、服用時に違和感を
残す為である。ここで用いられる賦形剤としての糖また
は糖アルコールの含有量は、トロンビン1万単位あたり
0.1〜2gで、好ましくは0.5〜1gである。
にあたっては、上記したように適当な溶媒、例えば、緩
衝液、牛乳、生理食塩液または蒸留水に溶かし、トロン
ビンとして50〜1000単位/mlにして投与され
る。その際、必要に応じて制酸剤を併用することもでき
る。
態においてもトロンビン活性が長期間にわたり維持され
ており、安定性の優れた製剤である。また、本製剤は、
適当な溶媒、例えば緩衝液、牛乳、生理食塩液または蒸
留水に溶かした場合、1分以内に溶解し沈殿物は見られ
ない。更に、この溶液中のトロンビン活性は24時間低
下は見られなかった。
よびプラスチックをラミネートしたシートよりなる袋に
入れヒートシールすることができる。該製剤は室温で3
年間は安定であると期待される。
説明し、本発明の効果を明らかにする。
容器に入れ、60℃の過酷な条件下で最長2カ月間放置
し、その間における各製剤のトロンビン活性の低下を測
定することによって、安定化剤の有無による安定化の比
較実験を試みた。トロンビン活性は日本薬局方第11改
正に準じて測定し、放置前の製剤のトロンビン活性の値
を100とし、放置後のもののトロンビン活性の値を求
めた。結果を第1表に示す。
放置後のトロンビン活性を示す。第1表より明らかなよ
うに、本発明の安定化剤の添加により、高い温度に保存
した場合でも顕著な安定化効果を示している。
およびプラスチックをラミネートしたシートよりなる袋
に入れヒートシールしたものを、医薬品製造指針の加速
試験基準に準じて、40℃(±1℃)相対湿度75%
(±5%)および室温条件下に最長6カ月間保存し、そ
の間における製剤のトロンビン活性を測定した。トロン
ビン活性の測定は、実施例1と同様に行った。結果を第
2表に示した。
置後のトロンビン活性を示す。第2表より明らかなよう
に、本発明製剤は、40℃(±1℃)相対湿度75%
(±5%)の条件下でも6ヶ月間安定であり、上記結果
から少なくとも室温で3年間は安定であると予測するこ
とができる安定性に優れた製剤である。
安定性 後記の実施例3の製剤約1gを各々100mlビーカー
にとり、これに蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝液およ
び牛乳を各々50ml加え、穏やかに攪拌した時の、溶
解時間(ビーカー底部に粉体の存在が認められなくなる
までの時間)および得られた溶液の性状を観察した。更
に、これらの溶液を室温に放置し、24時間までの各溶
液のトロンビン活性を測定した。トロンビン活性の測定
は、実験例1と同様に行った。結果を第3表に示す。
置後のトロンビン活性を示す。第3表から明らかなよう
に、本発明の製剤の溶解性は極めて高く、不溶性の沈殿
物はなく、服用性に優れている。更に、製剤を溶解した
溶液中のトロンビン活性は長時間安定であり、有効性に
優れている。
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。本実施例においては、ウシの血漿より抽出
して精製したプロトロンビンにカルシウム塩とトロンボ
プラスチンを作用させて得た、比活性1000単位/蛋
白質mg、濃度1万単位/mlのトロンビン溶液を製造
し使用した。
て溶解し、凍結乾燥により粉末を得た。得られた粉末
に、白糖を加えて混合攪拌し、混合攪拌下に蒸留水にて
溶解したゼラチン溶液を規定量噴霧し、造粒物を得た。
乾燥機にて加熱乾燥した後、篩過をし細粒剤を得た。
解し、凍結乾燥により粉末を得た。得られた粉末に、白
糖を加えて混合攪拌し、混合攪拌下に蒸留水にて溶解し
たゼラチン溶液を規定量噴霧し、造粒物を得た。乾燥機
にて加熱乾燥した後、篩過をし細粒剤を得た。
ルを加えて溶解し、凍結乾燥により粉末を得た。得られ
た粉末に、白糖を加えて混合攪拌し、混合攪拌下に蒸留
水にて溶解したゼラチン溶液を噴霧し、造粒物を得た。
乾燥機にて加熱乾燥した後、篩過をし細粒剤を得た。
り粉末を得た。得られた粉末に、白糖を加えて混合攪拌
し、混合攪拌下に蒸留水を噴霧し、造粒物を得た。乾燥
機にて加熱乾燥した後、篩過をし細粒剤を得た。
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも、止血成分としてのトロンビ
ンと、ゼラチン、アルブミンまたはグリシンから選ばれ
た1種以上、および、乳糖以外の賦形剤とを含有するこ
とを特徴とする、溶解性に優れ、室温条件下で長期間安
定な経口用トロンビン製剤。 - 【請求項2】 少なくとも、止血成分としてのトロンビ
ンと、ゼラチン、グリシン、および、賦形剤とを含有す
ることを特徴とする、溶解性に優れ、室温条件下で長期
間安定な経口用トロンビン製剤。 - 【請求項3】 少なくとも、止血成分としてのトロンビ
ンと、ゼラチン、グリシン、および、賦形剤とを含有
し、溶解性に優れ、室温条件下で長期間安定な、アルミ
箔ラミネートで密封包装された経口用トロンビン製剤。 - 【請求項4】 少なくとも、止血成分としてのトロンビ
ンと、ゼラチン、グリシン、および、賦形剤とを含有
し、溶解性に優れ、室温条件下で長期間安定な経口用ト
ロンビン製剤を封入した、アルミ箔ラミネート包装体。 - 【請求項5】 少なくとも、止血成分としてのトロンビ
ンと、ゼラチン、グリシン、および、賦形剤とを含有
し、溶解性に優れ、室温条件下で長期間安定な、アルミ
箔ラミネートで密封包装された経口用トロンビンの粉
末、細粒剤または顆粒剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9062524A JP3028298B2 (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 経口用トロンビン製剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9062524A JP3028298B2 (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 経口用トロンビン製剤 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6261464A Division JP3028274B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | トロンビン固形製剤の安定化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09328436A JPH09328436A (ja) | 1997-12-22 |
JP3028298B2 true JP3028298B2 (ja) | 2000-04-04 |
Family
ID=13202670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9062524A Expired - Lifetime JP3028298B2 (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 経口用トロンビン製剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3028298B2 (ja) |
-
1997
- 1997-02-28 JP JP9062524A patent/JP3028298B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09328436A (ja) | 1997-12-22 |
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