JP3022193B2 - 小型蛍光管装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、蛍光管の保持構造に特
徴を有する小型蛍光管装置に関し、特に、液晶パネルの
バックライト用光源、スキャナー用光源および一般照明
用光源などに好適に用いられる小型蛍光管装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】例えばパソコン、ワープロ、液晶テレビ
など液晶パネルのバックライト用光源として、小型蛍光
管が広く用いられている。かかる小型蛍光管は、例えば
ジュメット線よりなるリード棒が、管型の封体の両端部
に形成された封止部を貫通して管軸に沿って伸びるよう
設けられており、このリード棒の内端部に電極が設けら
れている。

【０００３】一方、かかる小型蛍光管は、合成樹脂など
よりなるホルダーに収納され、前記リード棒における封
体の外部に位置される部分は、ホルダーに設けられた給
電用の端子に電気的に接続される。

【０００４】図１（イ）は、小型蛍光管とホルダーとよ
りなる従来の小型蛍光管装置を示す正面図であり、同図
（ロ）は、同図（イ）におけるＡ−Ａ断面図である。図
１において、１は棒状の小型蛍光管、２は小型蛍光管１
を収納するホルダーである。小型蛍光管１は、リード棒
３の外端部がホルダー２に設けられた端子４に接続され
ることにより、ホルダー２に保持されている。図１
（ロ）に示すように、ホルダー２の内面は、小型蛍光管
１の外周面の形状に沿って形成され、このホルダー２の
内面には、反射ミラー（図示省略）が一体的に設けられ
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図１の
ような構成の小型蛍光管装置は輝度の立ち上がりが遅
く、特に低温環境下において、飽和輝度に到達するまで
に長い時間を要する、という問題がある。かかる問題
は、次のような理由により生じるものと考えられる。す
なわち、図１（ロ）において、小型蛍光管１の外周面
と、ホルダー２の内周面とが面接触しているので、点灯
開始時において、小型蛍光管１へ入力された電力のう
ち、小型蛍光管１を昇温させるための熱として利用され
るべきものの大部分が、接触面を介した熱伝導によって
ホルダー２側へ移動し、最終的にホルダー２から放熱さ
れてしまうため、小型蛍光管１を迅速に昇温させること
ができないからである。ここに、本発明者らの実験によ
れば、図１のようなホルダーに保持された小型蛍光管
は、ホルダーに保持されていないものに比べて輝度の立
ち上がり時間が４倍以上にもなることが確認された。

【０００６】そして、上記のような構成の小型蛍光管装
置を、液晶テレビのバックライト用光源として搭載する
場合においては、スイッチをオンしてから明度の安定し
た画像が得られるまでに２分間以上（０℃）もかかって
しまう。

【０００７】本発明は以上のような事情に基いてなされ
たものである。本発明の目的は、輝度の立ち上がり特
性、特に低温環境下における立ち上がり特性に優れた小
型蛍光管装置を提供することにある。本発明の他の目的
は、液晶パネルのバックライト用光源などとして、好適
に用いることができる小型蛍光管装置を提供することに
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】小型蛍光管装置における
輝度の立ち上がり特性を改良するためには、ホルダーに
収納されている小型蛍光管について、始動時における熱
損失を抑制して昇温速度を大きくすることが必要であ
る。そこで、本発明者は、小型蛍光管に入力された電力
を当該小型蛍光管を昇温させるための熱として効率よく
利用することのできる手段について鋭意検討を重ねた結
果、本発明を完成するに至った。

【０００９】すなわち、本発明の小型蛍光管装置は、棒
状の小型蛍光管（10) と、この小型蛍光管（10) を保持
する樹脂製またはセラミック製のホルダー（20) とより
なる小型蛍光管装置であって、前記ホルダー（20) は、
小型蛍光管（10) を収納するための収納空間を有し、前
方が開放された箱状ケース（21) と、この箱状ケース
（21) の両端部前方において、前記収納空間に向かって
互いに接近するよう突出する一組の突状部材よりなり、
箱状ケース（21) に収納されている小型蛍光管（10) の
両端部を挟持する挟持手段（22) と、前記箱状ケース
（21) の両端部において、箱状ケース（21) に収納され
ている小型蛍光管（10) の後側外周面と、箱状ケース
（21) の内面との間に介在して、これら２つの面を離間
させるスペーサー（23) とを有し、 前記挟持手段（22)
および前記スペーサー（23) が、前記小型蛍光管（10)
の管壁部分と当接していることを特徴とする。

【００１０】また、本発明の小型蛍光管装置において
は、小型蛍光管の外周面に沿って伸びる反射面を有する
反射ミラーを備えていることが好ましい。

【００１１】更に、本発明の小型蛍光管装置において
は、フィルム状反射ミラーを有し、このフィルム状反射
ミラーによって箱状ケースの一部が構成されていること
が好ましい。

【００１２】なお、前記挟持手段は、小型蛍光管の両端
部であって、最冷点（管壁温度が最も低くなる点）以外
の部分を挟持することが好ましい。また、前記スペーサ
ーは、小型蛍光管の両端部であって、最冷点以外の部分
に当接していることが好ましい。

【００１３】

【作用】

（１）箱状ケースの両端部に設けられたスペーサーによ
って、小型蛍光管の外周面と、箱状ケースの内面とが面
接触することがなく、小型蛍光管からホルダーへの熱の
移動が実質的に遮断される。このため、点灯開始時にお
いて、小型蛍光管へ入力された電力が、小型蛍光管を昇
温させるための熱として効率よく利用され、小型蛍光管
は迅速に昇温する。これにより、輝度の立ち上がり特性
の向上を図ることができる。また、樹脂およびセラミッ
クは熱伝導率の低い材質であり、かかる材質よりホルダ
ーが構成されていることにより、小型蛍光管からホルダ
ーへの熱伝導を更に抑制することができる。 （２）反射ミラーによって、小型蛍光管から放射される
光の利用効率を高めることができる。 （３）フィルム状反射ミラーによって箱状ケースの一部
が構成されているので、装置としての軽量化を図ること
ができる。 （４）挟持手段およびスペーサーが、小型蛍光管の最冷
点以外の管壁部分と当接していることにより、最冷点か
らの熱損失が防止され、最冷点の温度が低くなり過ぎる
ことがなく、この結果、輝度の立ち上がりを速くするこ
とができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 ＜実施例１＞図２（イ）は、本発明の小型蛍光管装置の
一例を示す正面図、図２（ロ）は、この小型蛍光管装置
を構成するホルダーの正面図、図２（ハ）は、同図
（イ）におけるＢ−Ｂ断面図、図２（ニ）は、同図
（イ）におけるＣ−Ｃ断面図である。

【００１５】本実施例の小型蛍光管装置は、小型蛍光管
１０と、ホルダー２０とにより構成されている。

【００１６】小型蛍光管１０は、外径３．１５ｍｍ、内
径２．３５ｍｍ、全長１００ｍｍの管型封体を有する熱
陰極タイプの小型蛍光管である。この小型蛍光管１０に
は、ジュメット線よりなるリード棒１１，１２が、管型
封体の両端部を貫通して伸びるよう設けられている。リ
ード棒１１，１２の内端部には電極（図示省略）が配設
され、リード棒１１，１２の外端部は、ホルダー２０に
設けられた端子３１，３２に電気的に接続されている。

【００１７】ホルダー２０は、例えばポリカーボネート
樹脂よりなる成形品であって、箱状ケース２１と、挟持
手段２２と、スペーサー２３とにより構成されている。

【００１８】ホルダー２０を構成する箱状ケース２１
は、小型蛍光管１０を収納するための収納空間Ｐを有
し、前方〔図２（ハ）〜（ニ）において左側〕が開放さ
れている。箱状ケース２１の内面には、例えばアルミニ
ウム蒸着によって反射ミラー（図示省略）が形成されて
いる。

【００１９】ホルダー２０を構成する挟持手段２２は、
箱状ケース２１の両端部前方において、前記収納空間Ｐ
に向かって互いに接近するよう突出する一組の突状部材
よりなる。箱状ケース２１に収納された小型蛍光管１０
は、その両端部を挟持手段２２によって挟持されること
により、収納空間Ｐ内において保持される。なお、挟持
手段２２は、小型蛍光管１０の最冷点以外の部分を挟持
することが、熱損失を少なくし、輝度の立ち上がりを速
くする観点から好ましい。

【００２０】ホルダー２０を構成するスペーサー２３
は、箱状ケース２１と一体的に設けられており、箱状ケ
ース２１の両端部において、小型蛍光管１０の後側外周
面と、箱状ケース２１の内面との間に介在して、これら
２つの面を離間させるものである。なお、スペーサー２
３は、小型蛍光管１０の最冷点以外の部分と接触させる
ことが、最冷点からの熱損失を少なくする観点から好ま
しい。

【００２１】ここで、スペーサーの形状としては特に限
定されるものでなく、例えば、箱状ケースの両端部にお
いて前記収納空間Ｐに突出する突状部材（図３に示す２
４ａ，２４ｂ，２４ｃ）によりスペーサーが構成されて
いてもよい。

【００２２】本実施例の小型蛍光管装置によれば、小型
蛍光管１０の後側外周面と、箱状ケース２１の内面との
間にスペーサー２３が設けられているので、小型蛍光管
１０からホルダー２０への熱の移動が実質的に遮断され
る。これにより、点灯開始時に入力された電力が、小型
蛍光管１０を昇温させるための熱として効率よく利用さ
れ、輝度の立ち上がり特性の向上を図ることができる。
具体的には、０℃の低温環境下において、飽和輝度の５
０％に到達するまでの時間が、従来（例えば図１に示す
構成の装置）においては２００秒間であったものが、本
実施例の装置においては８０秒間に短縮された。

【００２３】＜実施例２＞図４（イ）は、本発明の小型
蛍光管装置の他の例を示す正面図、図４（ロ）は、この
小型蛍光管装置の背面図、図４（ハ）は、同図（ロ）に
おけるＤ−Ｄ断面図である。

【００２４】本実施例の小型蛍光管装置は、小型蛍光管
５０と、ホルダー６０とにより構成されている。小型蛍
光管５０は、図２に示した小型蛍光管１０と同様の構成
である。この小型蛍光管５０には、ジュメット線よりな
るリード棒５１，５２が、管型封体の両端部を貫通して
伸びるよう設けられ、その外端部は、ホルダー６０に設
けられた端子７１，７２に電気的に接続されている。

【００２５】ホルダー６０は、箱状ケース６１と、挟持
手段６２と、スペーサー６３とにより構成されている。
ホルダー６０を構成する箱状ケース６１は、小型蛍光管
５０を収納するための収納空間Ｐを有し、前方〔図４
（ハ）において左側〕が開放された部材である。この箱
状ケース６１は、枠部材６４と、フィルム状の反射ミラ
ー６５とから構成され、反射ミラー６５は、例えばポリ
カーボネート樹脂フィルムよりなる。このように、フィ
ルム状の反射ミラー６５によって箱状ケース６１の一部
が構成されているので、装置としての軽量化を図ること
ができる。

【００２６】ホルダー６０を構成する挟持手段６２およ
びスペーサー６３は、それぞれ、図２に示した挟持手段
２２およびスペーサー２３と同様の構成である。

【００２７】本実施例の小型蛍光管装置によれば、小型
蛍光管５０の後側外周面と、箱状ケース６１の内面との
間にスペーサー６３が設けられているので、小型蛍光管
５０からホルダー６０への熱の移動が実質的に遮断され
る。これにより、点灯開始時に入力された電力が、小型
蛍光管５０を昇温させるための熱として効率よく利用さ
れ、輝度の立ち上がり特性の向上を図ることができる。
具体的には、０℃の低温環境下において、飽和輝度の５
０％に到達するまでの時間が、従来（例えば図１に示す
構成の装置）においては２２０秒間であったものが、本
実施例の装置においては８０秒間に短縮された。

【００２８】

【発明の効果】本発明の小型蛍光管装置は、これを構成
する小型蛍光管とホルダーとが熱的に絶縁されているの
で、小型蛍光管へ入力された電力が、小型蛍光管を昇温
させるための熱として効率よく利用され、輝度の立ち上
がり特性、特に低温環境下における立ち上がり特性に優
れたものとなる。本発明の小型蛍光管装置は、液晶パネ
ルのバックライト用光源などとして、好適に用いること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の小型蛍光管装置を示す正面図および断面
図である。

【図２】（イ）は、本発明の小型蛍光管装置の一例を示
す正面図、（ロ）は、この小型蛍光管装置を構成するホ
ルダーの正面図、（ハ）は、（イ）におけるＢ−Ｂ断面
図、（ニ）は、（イ）におけるＣ−Ｃ断面図である。

【図３】スペーサーの形状の一例を示す説明図である。

【図４】（イ）および（ロ）は、本発明の小型蛍光管装
置の他の例を示す正面図および背面図、（ハ）は、
（ロ）におけるＤ−Ｄ断面図である。

【符号の説明】

１０ 小型蛍光管 １１，１２ リード棒 ２０ ホルダー ２１ 箱状ケース ２２ 挟持手段 ２３ スペーサー ３１，３２ 端子 ５０ 小型蛍光管 ５１，５２ リード棒 ６０ ホルダー ６１ 箱状ケース ６２ 挟持手段 ６３ スペーサー ６４ 枠部材 ６５ 反射ミラー ７１，７２ 端子

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平５−266788（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−355429（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−111146（ＪＰ，Ａ) 実公 平２−31813（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F21V 19/00 320 F21S 4/00 F21V 8/00 601

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 棒状の小型蛍光管（10) と、この小型蛍
   光管（10) を保持する樹脂製またはセラミック製のホル
   ダー（20) とよりなる小型蛍光管装置であって、 前記ホルダー（20) は、小型蛍光管（10) を収納するた
   めの収納空間を有し、前方が開放された箱状ケース（2
   1) と、 この箱状ケース（21) の両端部前方において、前記収納
   空間に向かって互いに接近するよう突出する一組の突状
   部材よりなり、箱状ケース（21) に収納されている小型
   蛍光管（10) の両端部を挟持する挟持手段（22) と、 前記箱状ケース（21) の両端部において、箱状ケース
   （21) に収納されている小型蛍光管（10) の後側外周面
   と、箱状ケース（21) の内面との間に介在して、これら
   ２つの面を離間させるスペーサー（23) とを有し、 前記挟持手段（22) および前記スペーサー（23) が、前
   記小型蛍光管（10) の管壁部分と当接している ことを特
   徴とする小型蛍光管装置。
2. 【請求項２】 小型蛍光管の外周面に沿って伸びる反射
   面を有する反射ミラーを備えていることを特徴とする請
   求項１記載の小型蛍光管装置。
3. 【請求項３】 フィルム状反射ミラーを有し、 このフィルム状反射ミラーによって箱状ケースの一部が
   構成されていることを特徴とする請求項２記載の小型蛍
   光管装置。