JP3017444B2 - 建築用パネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は建築、構築物の外壁、内
壁を構成するのに有用な建築用パネルに関するものであ
る。さらに詳しくは、化粧面幅、建築用パネル厚さを大
きくしても、雄、雌嵌合構造にして壁下地より剥落する
ことがなく、かつ、釘等の固定具が外部に露出しなく、
縦、横張り可能な建築用パネルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種建築用パネルとしては、表
面材−芯材−裏面材の積層構造の建築用パネル、セメン
ト等の窯業系の建築用パネル等が数多く上市されてい
る。これら建築用パネルは大別して突合わせ構造、実矧
ぎ構造、相决り構造、引っ掛け構造の連結部を有してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの種建
築用パネルでは、躯体に固定するのに釘、ボルト等を用
い、脳天から固定すると、地震等による躯体の変形に追
従することができず、破損してしまう不利があった。ま
た、これら建築用パネルは表面材が金属材である場合に
は熱による伸縮にも追従することができず、化粧面に変
形が生じ、意匠性を大幅に低下させるものであった。さ
らに、建築用パネルの固定を表面材の表面側からの固定
で裏面材も固定し、外部に固定具を露出させない構造と
した建築用パネルは存在しなかった。また、耐火性に問
題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような点を
鑑み、建築用パネルの固定を一端で行うと共に、表面材
の表面側からの固定としても、雄型連結部の固定溝と雌
型連結部側の上面により固定具をカバーする構造として
外部への固定具の露出を防止し、さらに建築用パネルの
躯体側における連結構造を本実構造とすることにより耐
火性、気密性、防水性、係合力を強化した建築用パネル
を提供するものである。

【０００５】

【実施例】以下に図面を用いて本発明に係る建築用パネ
ルについて詳細に説明する。図１は上記建築用パネルＡ
の代表例であり、表面材１、裏面材１７、芯材２０から
なるサンドイッチ構造の建築用パネルＡである。

【０００６】表面材１、および裏面材１７は金属薄板
材、あるいは合成樹脂材等よりなり、例えばＡｌ、Ｆ
ｅ、Ｃｕ、ステンレス、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、
カラー鋼板、ホーロー鋼板、フッ素樹脂塗装鋼板、グラ
ッド鋼板、サンドイッチ鋼板等の一種をプレス成形、押
出成形、ロール成形等によって形成したものである。

【０００７】さらに詳説すると、表面材１は図２に示す
ように、横長の化粧面部２と、雄型連結部６、雌型連結
部１２とから樋状部１ａを形成したものであり、化粧面
部２は化粧面２ａの長手方向の端縁を内方に任意角度で
屈曲した側壁３、４と側壁３の下端部を外方に突出した
目地下地５とから形成したものである。

【０００８】雄型連結部６は目地下地５の先端をさらに
外方に突出した上縁８と、上縁８の先端を内方に略コ字
状に屈曲した下縁９よりなる差込縁７と、差込縁７の上
縁８に形成した凹状の固定溝１０と、下縁９の先端を内
方にＬ字状に屈曲した補強片１１よりなるものである。

【０００９】差込縁７は図４に示すように、後記する雌
型連結部１２の嵌合溝１５に挿入され躯体αに固定され
る部分であると共に、固定溝１０に釘等の固定具βを打
設して建築用パネルＡを躯体αに固定する固定部として
機能するものである。

【００１０】また凹状の固定溝１０は、固定具βの釘頭
の高さ、および幅より大きく形成し、固定具βが目地下
地５の面よりも上方に突出しないようにし、建築用パネ
ルＡを係合する際に、後記する上面１３と目地下地５、
上縁８との接触部分に間隙を形成させず、さらにこの固
定溝１０により空隙を形成して毛細管現象を防止し、防
水性を強化するものである。

【００１１】さらに補強片１１は表面材１の雄型連結部
６側の補強と、図４に建築用パネルＡの連結部を示すよ
うに、躯体αに建築用パネルＡを固定する際に、固定溝
１０に釘等の固定具βを打設すると、補強片１１も固定
具βにより固定され、差込縁７が嵌合溝１５に挿入され
た際に差込縁７が下面１４により押圧され変形するのを
防止し確実に固定するのに役立つものである。

【００１２】雌型連結部１２は側壁４の下端縁を内方に
屈曲した上面１３と、上面１３の先端を外方に屈曲した
下面１４と、上面１３と下面１４とから断面略コ字状に
形成した嵌合溝１５と、下面１４の先端を内方に突出し
た補強片１６とからなるものである。

【００１３】この嵌合溝１５は、雄型連結部６の差込縁
７に係合され躯体αに建築用パネルＡを固定する部分で
ある。なお、化粧面２ａの雄型連結部６および雌型連結
部１２付近に形成した段差２ｂ、２ｃは、化粧目地を階
段状とすることにより、建築用パネルＡ端部の曲げ強度
を向上させ、建築用パネルＡ端部での表面材１と芯材２
０との剥がれを防止すると共に、目地部の立体化、明確
化を図り、意匠性を向上するものである。

【００１４】裏面材１７は図３に示すように、長尺状板
材の一端縁を内方に板材と略平行で「状に屈曲した内片
１８と、他端縁を外方に板材と略平行で「状に屈曲した
外片１９とから形成されたものであり、図では内片１
８、外片１９の先端を上方に屈曲して***１８ａ、１
９ａを形成し、係合時のガイド面、生産時の型として機
能させ、これらより樋状部１７ａを形成したものであ
る。

【００１５】この裏面材１７は後記する芯材２０の裏面
を覆って建築用パネルＡをサンドイッチ構造体とし、建
築用パネルＡ自体の機械強度を向上すると共に、不燃シ
ート、防水膜、遮熱シート、吸水シート、防音シート、
パッキング材などの１つの機能として役立つものであ
り、その素材としては前記表面材１と同質の素材、ある
いはアスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェル
ト、金属箔（Ａｌ、Ｆｅ、Ｐｂ、Ｃｕ）、合成樹脂シー
ト、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、
ガラス繊維不織布等の１種、または２種以上をラミネー
トしたもの、防水処理、難燃処理されたシートなどから
なるものである。

【００１６】その装着は、後記する芯材２０により一体
に形成すると共に、下縁９、芯材２０、内片１８により
断面凹状の係合溝２１を、下面１４、芯材２０、外片１
９により断面凸状の係合片２２を形成し、図４に示すよ
うに差込縁７と嵌合溝１５との係合と共に、係合溝２１
に係合片２２を落とし込むように係合し、躯体αに建築
用パネルＡを固定するためのものである。

【００１７】また、裏面材１７の内片１８、外片１９は
連結部において耐火性、防水性、気密性を大幅に向上す
るためのものであり、特に万が一の火災に対して、裏面
まで火炎が浸入するのを防止し、耐火試験に合格し得る
建築用パネルＡとするためのものである。なお、図では
耐火性をさらに向上するために、表面材１と裏面材１７
が接触しないように形成している。

【００１８】芯材２０は主に合成樹脂発泡体を用い、断
熱材、防水材、防音材、緩衝材、防火材等として機能す
るものであり、例えばポリイソシアヌレートフォーム、
フェノールフォーム、ポリウレアフォーム、ポリイミド
フォーム等の合成樹脂発泡体、およびこれら合成樹脂発
泡体に難燃剤（硼酸塩、珪酸塩、リン酸塩等）、難燃助
剤（石膏スラグ、タルク、シラスバルーン等）、骨材
（パーライト、ガラスビーズ等）、繊維状物（長、短繊
維）等を混入したもの、パーライトの周囲にフェノール
フォーム粉末をコーティングし、これを加温、加圧して
発泡させたもの、石膏ボード、岩綿ボード、グラスウー
ルボード、ＡＬＣ、インシュレーションボード、木片チ
ップボード、グラスウール等で、単一素材、あるいは複
数の素材を組み合わせて形成するものである。

【００１９】また芯材２０の形成は、図では表面材１と
裏面材１７の樋状部１ａ、１７ａに充填すると共に、表
面材１と裏面材１７とが連結部においても接触しないよ
うにしており、表面材１が火災等により加熱されても、
その熱が裏面材１７へ伝わらないようにし、熱橋防止に
よる耐火性、断熱性の向上を図るものである。

【００２０】ここで各部の寸法関係について図１〜図３
を用いて簡単に説明すると、建築用パネルＡの働き幅、
所謂裏面材１７の裏面１７ｂの幅をＷ、建築用パネルＡ
の全厚さをＴ、係合溝２１の開口高さをｔ１、係合片２
２の厚さをｔ２、差込縁７の先端から側壁３側の固定溝
１０の端縁までの長さをｌ１、側壁４の下端から嵌合溝
１５の最奥までの長さをｌ２、内片１８、外片１９の長
さをｌ３、ｌ４、化粧面２ａから差込縁７の上縁８まで
の高さをｈ１、化粧面２ａから上面１３までの高さをｈ
２、差込縁７の高さをｈ３、嵌合溝１５の開口高さをｈ
４、化粧面２ａから補強片１１、１６までの高さをｈ
５、ｈ６、内片１８、外片１９の高さをｈ７、ｈ８、裏
面１７ｂから***１８ａ、１９ａの先端までの高さを
ｈ９、ｈ１０とすると、Ｗ＝３００〜９００ｍｍ位、Ｔ
＝３０〜１００ｍｍ位、ｔ１＞ｔ２、ｈ１＝ｈ２、ｈ３
＜ｈ４、ｈ５≒ｈ６、ｈ７≒ｈ８、ｈ９≒ｈ１０、ｌ１
≦ｌ２、ｌ３≧ｌ４の関係である。

【００２１】次に施工例について簡単に説明する。いま
図１に示すような建築用パネルＡを用いて図４に示すよ
うに施工すると仮定する。なお、建築用パネルＡとして
は、表面材１、裏面材１７として０．５ｍｍ厚のカラー
鋼板を用い、芯材２０としてはフェノールフォーム原料
にパーライト粒を混入した原料を吐出し、反応、発泡さ
せ、次にキュアして一体化したものである。

【００２２】そこで主柱、間柱、防水シート等からなる
躯体（図では防水シートを使用しない場合の躯体を示
す）αに第ｎ段目の建築用パネルＡ１の固定溝１０をボ
ルト等の固定具βを介して固定する。次にｎ＋１段目の
建築用パネルＡ２の雌型連結部１２の嵌合溝１５を、建
築用パネルＡ１の差込縁７に落とし込むと共に、係合片
２２を係合溝２１に挿入し、図４のような横目地部を形
成するものである。

【００２３】また壁体全体を形成するには、上記したよ
うな工程を土台から桁に向かって行えば良いものであ
る。なお、土台部分にはスタータ（図示せず）、出、入
隅、縦目地等の部分（図示せず）にはコーキング材、役
物を用いる必要がある。

【００２４】

【その他の実施例】以上説明したのは本発明に係る建築
用パネルＡの一実施例にすぎず、図５〜図７に示すよう
に形成することができる。すなわち、図５（ａ）〜
（ｆ）は主に裏面材１７を各々変形した建築用パネルＡ
の例である。

【００２５】また、図６（ａ）〜（ｆ）は建築用パネル
Ａのその他の実施例を示すものであり、（ａ）図は嵌合
溝15の最奥部に防水性、気密性の強化のためにパッキン
グ材、コーキング材等２３を形成した建築用パネルＡ、
（ｂ）図は芯材２０が合成樹脂発泡体のように、原料で
吐出した際に表面材１と裏面材１７間より液漏れしない
ようにシート状物２４で被覆した建築用パネルＡ、
（ｃ）図は上記パッキング材、コーキング材等２３、シ
ート状物２４を形成した建築用パネルＡ、（ｄ）図は表
面材１と裏面材１７が接触しないようにするための嵩上
げ材、耐火材（無機材）、液漏れ防止用として機能する
バックアップ材２５を形成した建築用パネルＡ、（ｅ）
図は表面材１と裏面材１７との間隔、所謂厚さを決定す
るための嵩上げ材２６（短尺材、あるいは長尺材）を形
成した建築用パネルＡ、（ｆ）図は芯材２０中にパーラ
イト粒等の骨材２７を充填し、耐火性を向上した建築用
パネルＡである。

【００２６】さらに図７（ａ）、（ｂ）は表面材１の化
粧面２ａの一端縁、あるいは両端縁を内方に屈曲し、建
築用パネルＡ施工時の建築用パネルＡ端部が相互に対面
する目地部のコーキング材処理の施工性、耐久性を向上
するために端面壁２８を形成した建築用パネルＡであ
る。勿論、図５〜図７に示した構成要件を各々組み合わ
せた建築用パネルＡとすることもできる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る建築用
パネルによれば、躯体への固定は表面材の一端縁の二
重になった部分を固定するため、建築用パネルの躯体へ
の固定が確実となり、剥落等することがない。釘、ボ
ルト等を外部に露出させることなく、大型の建築用パネ
ルを躯体に確実に固定できる。上縁の途中を長手方向
に沿って凹状に窪ませ、固定具の頭部の幅、および高さ
以上の固定溝を形成したため、固定具が上縁、目地下地
より突出することがなく、防水性、気密性、施工性を向
上することができる。上面の長さを、固定溝の位置以
上に形成したため、固定具が外部に露出することがな
い。裏面材に形成した内片、外片により、火災による
火炎、風雨等が躯体側へ浸入することがない。表面材
と裏面材が連結部においても接触しない構造であるた
め、熱橋を防止して耐火性、断熱性を向上する。化粧
面の雄型連結部および雌型連結部付近に段差を形成した
ので、化粧目地を階段状とすることにより、建築用パネ
ル端部の曲げ強度を向上させ、建築用パネル端部での表
面材と芯材との剥がれを防止すると共に、目地部の立体
化、明確化を図り、意匠性が向上する。防水性、気密
性、耐震性、断熱性、耐火性、防音性、施工性を向上し
た建築用パネルとなる。等の特徴、効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る建築用パネルの代表例を示す一部
切り欠き斜視図である。

【図２】図１で用いられた表面材の例を示す説明図であ
る。

【図３】図１で用いられた裏面材の例を示す説明図であ
る。

【図４】本発明に係る建築用パネルの施工状態を示す一
部切り欠き断面図である。

【図５】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す
説明図である。

【図６】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す
説明図である。

【図７】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す
説明図である。

【符号の説明】

Ａ 建築用パネル α 躯体 β 固定具 １ 表面材 １ａ 樋状部 ２ 化粧面部 ２ａ 化粧面 ２ｂ 段差 ２ｃ 段差 ３ 側壁 ４ 側壁 ５ 目地下地 ６ 雄型連結部 ７ 差込縁 ８ 上縁 ９ 下縁 １０ 固定溝 １１ 補強片 １２ 雌型連結部 １３ 上面 １４ 下面 １５ 嵌合溝 １６ 補強片 １７ 裏面材 １７ａ 樋状部 １７ｂ 裏面 １８ 内片 １８ａ *** １９ 外片 １９ａ *** ２０ 芯材 ２１ 係合溝 ２２ 係合片 ２３ パッキング材、コーキング材等 ２４ シート状物 ２５ バックアップ材 ２６ 嵩上げ材 ２７ 骨材 ２８ 端面壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今田 弘昭 山形県東根市三日町２丁目８番13 株式 会社アイジー技術研究所内 (72)発明者 田崎 良一 山形県東根市三日町２丁目８番13 株式 会社アイジー技術研究所内 審査官 山田 忠夫 (56)参考文献 特開 昭60−37363（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E04F 13/12 101

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺状板材の表面材、裏面材間に芯材を
   充填した建築用パネルにおいて、前記表面材は横長の化
   粧面部と、該化粧面部の長手方向の一側縁を内方に屈曲
   した側壁と、該側壁を外側方へ突出した上縁と、該上縁
   の先端を内方に略コ字状に屈曲した下縁と、前記上縁の
   途中を長手方向に沿って凹状に窪ませた固定溝とから形
   成した雄型連結部と、他端縁を内方に屈曲した側壁と、
   該側壁の下端縁を内方に屈曲すると共に、前記上縁の先
   端から固定溝の側壁側の端縁までの長さ以上に形成した
   上面と、該上面の先端を外方に屈曲した下面と、前記上
   面と下面よりなる断面略コ字状の嵌合溝を形成した雌型
   連結部とからなり、かつ、前記化粧面部の雄型連結部お
   よび雌型連結部付近に段差を形成すると共に、前記裏面
   材は長尺状板材の一端縁を内方に、他端縁を外方に板材
   と略平行で「状に屈曲して内片、外片を形成し、前記表
   面材と裏面材を芯材により一体化すると共に、表面材の
   下縁と芯材の側端面と裏面材の内片により凹状の係合溝
   を、表面材の下面と芯材の側端面と裏面材の外片により
   凸状の係合片を形成したことを特徴とする建築用パネ
   ル。