JP3002655U - 携帯エンジン用循環式気化器の燃料リターン機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 携帯エンジンの傾斜時および保管時に燃料タ
ンク内の燃料が循環式気化器へ逆流することを防止し、
気化器外部への燃料の流出を防止する。 【構成】 エンジンの駆動軸２の一端にリコイルスター
タ３、他端に遠心クラッチ４が取り付けられると共に該
エンジンの下側に燃料タンク７が取り付けられ、さらに
前記駆動軸とほぼ直交方向に循環式気化器６が取り付け
られる携帯エンジンにおいて、前記循環式気化器のリタ
ーンパイプ28を、前記遠心クラッチが上方になるエンジ
ンの直立時および前記駆動軸を中心にして循環式気化器
が下側になるエンジン横転時の両姿勢時でタンク内液面
より上方となる位置に接続する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は刈払機、チェンソー、動力噴霧器、等の携帯用エンジンに使用される 循環式気化器の燃料リターン機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】

循環式気化器は、燃料ポンプにより燃料タンクから燃料を吸引して燃料チャン バーに供給し、該チャンバーの油面が所定の高さになると燃料をオーバーフロー させて一定油面を形成し、さらにチャンバーからオーバーフローした燃料をリタ ーン通路を経て燃料タンクに戻すようにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】

前記リターン通路はリターンパイプにより燃料タンクに接続されており、この リターン通路およびリターンパイプは実開昭６２−９７２５６号公報に開示され るように一般的に排出性を高めるためにほぼ直線状に配置されている。

【０００４】 ところが、このようにリターンパイプが配置される循環式気化器では、例えば 刈払機のように先端の歯をフックに引っかけるか又は歯を上にして壁に立て掛け て保管する作業機械に使用される場合、保管時に駆動軸が垂直状態になるため、 燃料タンクがほぼ満タン状態にあり前記循環式気化器がタンク内液面より下側に なる場合には、タンク内の燃料がリターンパイプを経て気化器に逆流し、気化器 のエアベント通路から外部へ流出する不具合がある。

【０００５】 また、エンジンが駆動軸を中心に循環式気化器が下側になるように傾斜する場 合においても、燃料タンクがほぼ満タン状態にあり前記循環式気化器がタンク内 液面より下側になる場合には、タンク内の燃料がリターンパイプを経て気化器に 逆流し、気化器のエアベント通路から外部へ流出する不具合が発生する。

【０００６】 本考案は、携帯エンジンの傾斜時および保管時に燃料タンク内の燃料が循環式 気化器へ逆流することを防止し、気化器外部への燃料の流出を防止することを目 的とする。

【０００７】

【問題点を解決するための技術手段】

本考案は、エンジンの駆動軸の一端にリコイルスタータ、他端に遠心クラッチ が取り付けられると共に該エンジンの下側に燃料タンクが取り付けられ、さらに 前記駆動軸とほぼ直交方向に循環式気化器が取り付けられる携帯エンジンにおい て、前記循環式気化器のリターンパイプを、前記遠心クラッチが上方になるエン ジンの直立時および前記駆動軸を中心にして循環式気化器が下側になるエンジン 横転時の両姿勢時でタンク内液面より上方となる位置に接続することを特徴とす る。

【０００８】

【作用】

上記の構成によれば、遠心クラッチ側が上側になるエンジン姿勢時では、リタ ーンパイプの燃料タンクへの接続部がタンク内の液面上に位置し、リターンパイ プから気化器への燃料の逆流が防止される。

【０００９】 また、駆動軸を中心に循環式気化器側へ傾斜するエンジンの姿勢時でも、リタ ーンパイプの燃料タンクへの接続部がタンク内の液面上に位置し、リターンパイ プから気化器への燃料の逆流が防止される。

【００１０】

【実施例】

以下図面により本考案の一実施例を説明する。図１は本考案のリターン機構を エンジン上側からみた説明図、図２は本考案リターン機構を遠心クラッチ側から みた説明図、図３は本考案の循環式気化器の縦断面図、図４は本考案において、 エンジン駆動軸を中心に循環式気化器側へ傾斜した状態を示す説明図、図５は本 考案において、遠心クラッチ側が上側に傾斜した状態を示す説明図である。

【００１１】 １はエンジン本体で、このエンジン本体１には図示しないピストンに連結して 回転するクランクシャフト（以下、駆動軸という）２が設けられている。この駆 動軸２の一端にはリコイルスタータ３が取り付けられ他端には遠心クラッチ４が 取り付けられる。一方前記駆動軸２とほぼ直交方向のエンジンの一側には図示し ない吸気ポートが設けられ、この吸気ポートに接続して循環式気化器６が取り付 けられている。また、前記エンジン１の下部には燃料タンク７が取り付けられて いる。

【００１２】 前記循環式気化器６のボデー１１には吸気路１２が設けられ、該吸気路１２の 上流側は図示しないエアクリーナに接続され、下流側は前記吸気ポートに接続さ れている。前記吸気路１２には絞弁１３がほぼ直交方向に進退自在に設けられ、 該吸気路１２の実効口径が制御される。

【００１３】 また、前記吸気路１２の下方には気化器ボデー１１とチャンバーケース１５と で燃料チャンバー１６が形成され、該燃料チャンバー１６には前記ボデー１１か らメインノズルボス１７が突出されている。このメインノズルボス１７にはメイ ンノズル収容孔１９が穿設され、この収容孔１９内にメインノズル２０が収容さ れボス１７下端に螺着されるメインジェット２１により固定されている。該メイ ンノズル２０の上端開口は吸気路１２に臨み、下端開口はメインジェット２１を 介して燃料チャンバー１６の油面下に連通される。また前記絞弁１３にはジェッ トニードル２３が垂下され、該ジェットニードル２３の先端側は、前記メインノ ズル２０内に挿入され、絞弁１３の進退にともなってメインノズル２０の開口面 積を制御している。

【００１４】 前記燃料チャンバー１６の側部にはリターン通路２５が設けられ、これらの間 には規定油面高さの堰２６が設けられている。前記燃料チャンバー１６とリター ン通路２５の間にはワイヤ２７が配設され、このワイヤ２７により常時燃料チャ ンバー１６から少量の燃料をリターン通路２５へ排出し、エンジンの停止後は自 動的に燃料チャンバー１６を空にする。

【００１５】 前記リターン通路２５はリターンパイプ２８を介して燃料タンク７に接続され るとともに、該リターン通路２５の上部空気層には大気圧を導入するエアベント 通路３０が開口されている。前記リターンパイプ２８は、前記遠心クラッチ４が 上側になるエンジンの直立時および前記駆動軸２を中心にして循環式気化器６側 へ傾斜するエンジン傾斜時の両姿勢時において、タンク内液面より上方となる位 置で燃料タンク７に接続されている。一例を説明すると前記リターンパイプ２８ は駆動軸２に対し前記循環式気化器６の反対側で、かつ遠心クラッチ４側の燃料 タンクのコーナー部７ａまたはその付近に接続すれば、前記エンジンの直立時お よび前記駆動軸２を中心にした気化器側へのエンジン傾斜時でも、リターンパイ プ２８と燃料タンク７の接続部が常にタンク内液面より上方になり、この姿勢で の気化器への燃料の逆流が防止される。

【００１６】 前記循環式気化器６はエンジンの作動圧力により駆動される燃料ポンプ３５を 備えている。この燃料ポンプ３５はポンプダイヤフラム３６と一対のチェック弁 ３７、３８で構成される従来よく知られたダイヤフラムポンプであり、ポンプダ イヤフラム３６の一側に形成された圧力室３９にエンジンの作動圧力を作用させ ることにより、該ポンプダイヤフラム３６を振動させ、燃料を燃料タンク７から 一方のチェック弁３７を経て該ポンプダイヤフラム３６の他側に形成されたポン プ室４０に吸引し、他方のチェック弁３８から燃料通路４１を経て燃料チャンバ ー１６に圧送している。該燃料チャンバー１６の油面が前記堰２６の高さまで達 すると、該燃料チャンバー１６の燃料がリターン通路２５へオーバーフローし、 一定油面Ｈを形成する。

【００１７】 前記気化器６の外面には手動で押圧可能なプライミングポンプ４３が設けられ 、該ポンプのポンプ室４４は燃料ポンプ３５のポンプ室４０に接続されている。 従って前記プライミングポンプ４３を繰り返し押すと燃料ポンプ３５のチェック 弁３７、３８との共同作用により燃料タンク７の燃料が燃料チャンバー１６へ供 給される。

【００１８】 以下、上記実施例の作用を説明する。 上記の構成によれば、遠心クラッチ４側が上側になるエンジン姿勢時では、リ ターンパイプ２８の燃料タンク７への接続部７ａがタンク内の液面上に位置し、 リターンパイプ２８から気化器６への燃料の逆流が防止される。

【００１９】 また、駆動軸２を中心に循環式気化器側へ傾斜するエンジンの姿勢時でも、リ ターンパイプ２８の燃料タンク７への接続部７ａがタンク内の液面上に位置し、 リターンパイプ２８から気化器への燃料の逆流が防止される。

【００２０】

【考案の効果】

以上詳述したように本考案によれば、前記遠心クラッチが上方になるエンジン の直立時および前記駆動軸を中心にした循環式気化器側へのエンジン傾斜時等の 従来燃料タンク内の燃料が気化器へ逆流し外部へ洩れ易くなる傾斜方向で、循環 式気化器のリターンパイプの燃料タンク接続部がタンク内液面より上方となるの で、該パイプ内への燃料の流入が防止され、気化器外へ燃料が流出することがな い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のリターン機構の一実施例を示す説明図
である。

【図２】本考案リターン機構を遠心クラッチ側からみた
説明図である。

【図３】本考案の循環式気化器の縦断面図である。。

【図４】本考案において、エンジン駆動軸を中心に循環
式気化器側へ傾斜した状態を示す説明図である。

【図５】本考案において、遠心クラッチ側が上側に傾斜
した状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１ エンジン ３ リコイルスタータ ４ 遠心クラッチ ６ 循環式気化器 ７ 燃料タンク １６ 燃料チャンバー ２５ リターン通路 ２８ リターンパイプ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンの駆動軸の一端にリコイルスタ
   ータ、他端に遠心クラッチが取り付けられると共に該エ
   ンジンの下側に燃料タンクが取り付けられ、さらに前記
   駆動軸とほぼ直交方向に循環式気化器が取り付けられる
   携帯エンジンにおいて、前記循環式気化器のリターンパ
   イプを、前記遠心クラッチが上方になるエンジンの直立
   時および前記駆動軸を中心にして循環式気化器が下側に
   なるエンジン横転時の両姿勢時でタンク内液面より上方
   となる位置に接続することを特徴とする携帯エンジン用
   循環式気化器の燃料リターン機構。
2. 【請求項２】 前記リターンパイプは、前記駆動軸に対
   して循環式気化器と反対側で、かつ遠心クラッチ側の燃
   料タンクのコーナー部に接続されることを特徴とする請
   求項１に記載の携帯エンジン用循環式気化器の燃料リタ
   ーン機構。