JP3001738B2 - 金型洗浄用組成物およびそれを用いた金型洗浄用シート - Google Patents

金型洗浄用組成物およびそれを用いた金型洗浄用シート

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JP3001738B2 JP4348900A JP34890092A JP3001738B2 JP 3001738 B2 JP3001738 B2 JP 3001738B2 JP 4348900 A JP4348900 A JP 4348900A JP 34890092 A JP34890092 A JP 34890092A JP 3001738 B2 JP3001738 B2 JP 3001738B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、成形用樹脂組成物の
成形作業の繰り返しにより汚染された熱硬化性樹脂成形
材料用成形用金型等の金型を洗浄するための金型洗浄用
組成物およびそれを用いた金型洗浄用シートに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂成形材料の成形用金型を用
いての成形時には、上記熱硬化性樹脂成形材料中に含ま
れる離型剤が金型表面に滲出して離型作用を発揮する。
このような成形工程を繰り返すと、成形品の離型性が低
下したり、外観が悪くなる等の不都合が生じる。この原
因は、上記成形材料中に含まれる離型剤が、金型表面に
滲出して成形工程の繰り返しにより金型表面に順次積層
しながら徐々に劣化し、離型剤としての効果が失われた
汚染物層が形成されるためと考えられる。このような問
題を解決するため、離型剤の劣化層である汚染物層が形
成された段階で上記金型の洗浄作業が行われる。例え
ば、従来から、上記金型内に熱硬化性メラミン樹脂成形
材料を入れて成形硬化させ、上記金型表面の汚染物をそ
の成形品と一体化させ、その汚染物が一体化した成形品
を金型から取り出すことにより、金型表面を洗浄すると
いうことが行われている。しかし、このような洗浄方法
では、上記熱硬化性メラミン樹脂成形材料の縮合物とし
てホルマリンが副生し臭気を生じたり、この成形品の除
去も困難であり長時間を要するため、作業環境が著しく
悪化し洗浄作業性の低下の原因となる。
【0003】このため、最近では、上記熱硬化性メラミ
ン樹脂成形材料に代えて未加硫ゴム系コンパウンドを使
用し、金型中で加硫させて加硫ゴム化し、その加硫ゴム
化する際に、金型表面の汚染物を加硫ゴムと一体化し、
ついで加硫ゴムを金型から取り出すことにより金型表面
を洗浄するという方法が提案され一部で実施されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記熱
硬化性樹脂成形材料は、その要求特性によって組成が異
なり多種類であって、成形の繰り返しにより発生する金
型汚染の状態および汚染物の成分も多種多用である。な
かでも、離型剤としてポリエチレンワックスを含有して
なる成形材料を用いて成形を繰り返した際の金型汚染物
は、金型表面に対する焼き付けがひどく、上記未加硫ゴ
ム系コンパウンドを用いるような従来の洗浄方法では完
全に除去することが不可能であるという問題が生じてい
る。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、ポリエチレンワックスを含有する成形材料を成
するための成形用金型に対して優れた洗浄効果を有す
る金型洗浄用組成物およびそれを用いた金型洗浄用シー
トの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ポリエチレンワックスを含有する成形材
を成するための成形用金型を洗浄る金型洗浄用組
成物であって、高分子材料を主成分とし、1,o−トリ
ルビグアニドを含有している金型洗浄用組成物を第1の
要旨とし、上記の金型洗浄用組成物からなる金型洗浄用
シートを第2の要旨とする。
【0007】
【作用】すなわち、この発明者は、離型剤としてポリエ
チレンワックスを含有する成形材料を用いた成形の繰り
返しにより形成された金型表面の汚染物を効果的に除去
するために一連の研究を重ねた。その結果、洗浄剤とし
て1,o−トリルビグアニドという特定の物質を含有し
た金型洗浄用組成物を用いて金型表面の洗浄を行うと、
金型表面の汚染物がこの金型洗浄用組成物の成形品と一
体化し、金型から汚染物が効果的に除去されることを見
出しこの発明に到達した。
【0008】つぎに、この発明について詳しく説明す
る。
【0009】この発明の金型洗浄用組成物は、ベースと
なる高分子材料と、特定の洗浄剤を用いて得られる。
【0010】上記高分子材料としては、各種ゴム材料,
樹脂材料等があげられる。上記ゴム原料としては、特に
限定するものではないが、なかでもブタジエンゴム(B
R)とエチレン−プロピレンゴム(EPR)の混合物が
好適にあげられる。上記BR(X)とEPR(Y)との
混合割合(X/Y)は、重量比で、X/Y=50/50
〜90/10の範囲に設定することが好ましい。すなわ
ち、両者の混合割合において、BRが50未満(EPR
が50を超える)では得られる金型再生用組成物からな
るクリーニングシートを用いて金型を洗浄すると、金型
からの剥離性が悪化する。逆に、BRが90を超える
(EPRが10未満)と成形作業時に行うゴム成形品の
除去に際し、成形品の強度が低下しているため、破れ等
の不都合が生じ金型からの除去作業が困難となる傾向が
みられるからである。なお、上記EPRには、エチレン
−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)をも含む趣旨で
ある。
【0011】上記高分子材料に含有される特定の洗浄剤
には、下記の一般式で表される1−o−トリルビグアニ
ドが用いられる。この1−o−トリルビグアニドを洗浄
剤として用いることがこの発明の特徴である。
【0012】
【化1】
【0013】上記1−o−トリルビグアニドの含有量
は、高分子材料100重量部(以下「部」と略す)に対
して5〜15部に設定することが好ましく、特に好まし
くは8〜12部である。すなわち、1−o−トリルビグ
アニドの含有量が5部未満では金型の洗浄力が低下し、
逆に15部を超えると金型表面に1−o−トリルビグア
ニドが過剰に滲出して金型表面の汚染の原因となる傾向
がみられるからである。
【0014】この発明の金型洗浄用組成物には、上記各
成分以外に必要に応じて、シリカパウダー等の補強剤、
有機過酸化物等の加硫剤、イミダゾール等の加硫助剤、
顔料等の他の添加剤を適宜配合することができる。
【0015】上記他の添加剤の配合量は、高分子材料1
00部に対して、補強剤の場合40〜50部に、加硫剤
の場合1〜3部に、加硫助剤の場合5〜15部に設定す
ることがそれぞれ好ましい。
【0016】この発明の金型洗浄用組成物は、つぎのよ
うにして得られる。すなわち、ベースとなる高分子材
料,1−o−トリルビグアニドおよび他の添加剤を配合
し、これを混練機で混練することにより得られる。そし
て、このようにして得られた金型洗浄用組成物は、例え
ば金型洗浄時にはシート状に形成して用いられる。
【0017】そして、金型の洗浄は、上記シート状に形
成された金型洗浄用組成物を、金型に装填して行われ
る。例えば、ベースとなる高分子材料がゴム材料の場
合、上記シートは未加硫状態であって、金型に装填し加
熱加硫させることによりシートに汚染物を付着一体化さ
せる。ついで、加硫のなされたシートを金型から取り出
すことにより金型の洗浄が行われる。
【0018】上記金型の洗浄は、つぎのようなメカニズ
ムによりなされると考えられる。すなわち、加熱加硫の
際に、ゴム材料中の1−o−トリルビグアニドが溶融し
金型面に滲出して汚染物を膨潤させる。これにより、汚
染物の金型表面からの剥離除去が容易となる。そして、
加硫されたシートに金型表面から剥離された汚染物が接
着,一体化してシートを金型から取り出すことにより金
型表面の汚染物が除去され金型が洗浄される。
【0019】つぎに、この発明の金型洗浄用組成物によ
り洗浄された金型は、汚染物が除去され、初期状態の金
型表面に戻っているため、通常、熱硬化性樹脂成形材料
の成形を行う際に、予め金型表面に離型剤を塗布しなけ
ればならず、例えば、離型剤としてポリエチレンワック
スを含有してなる成形材料の成形に際しては、同じポリ
エチレンワックスを塗布することが好ましい。そして、
金型表面へのポリエチレンワックスの塗布方法として
は、ポリエチレンワックスを含有した未加硫ゴム組成物
を準備し、これをシート状に形成したものを用いるのが
好ましい。そして、このポリエチレンワックスを含有し
た未加硫ゴム組成物からなるシートを上記洗浄工程と同
様、金型に装填して加熱することにより含有されたポリ
エチレンワックスが金型表面に塗布される。これは、加
熱加硫の際に未加硫ゴム組成物中のポリエチレンワック
スが溶融し、金型面に滲出して表面に均一な離型剤膜が
形成されるものと考えられる。なお、上記ポリエチレン
ワックスの含有量は、例えば未加硫ゴム組成物中のゴム
材料100部に対して15〜35部の割合に設定するこ
とが好ましく、特に好ましくは20〜30部である。す
なわち、ポリエチレンワックスの含有量が15部未満で
は充分な離型効果が発揮されず、逆に35部を超えると
金型表面に過剰塗布されとともに、洗浄,再生後の金型
を用いて成形品を形成した場合にその成形品の外観が劣
化する傾向がみられるからである。
【0020】
【発明の効果】以上のように、この発明の金型洗浄用組
成物は、洗浄剤として1,o−トリルビグアニドが含有
されている。このため、この発明の金型洗浄用組成物を
用いて、ポリエチレンワックスを含有する成形材料を成
するための成形用金型表面の洗浄を行うと、金型表面
の汚染物がこの金型洗浄用組成物に付着し一体化し金型
から汚染物が効果的に除去される。したがって、この発
明の金型洗浄用組成物により洗浄された金型を用いて形
成される成形品は、外観に優れたものが得られるように
なる。
【0021】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0022】
【実施例1〜6、比較例1〜6】下記の表1および表2
に示す各材料を同表に示す割合で配合し、混練機で混練
した。ついで、これを圧延ロールを用いて厚み5mmの
シートに成形して目的とする金型洗浄用組成物を得た。
【0023】
【比較例7】金型洗浄用材料として、熱硬化性メラミン
樹脂を用いた。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】以上のようにして得られた実施例品および
比較例品のシート状金型洗浄用組成物を、離型剤として
ポリエチレンワックスを含有してなる成形用樹脂組成物
の繰り返し成形により表面が汚染された成形用金型に挟
み、175℃で5分間加熱加硫後、金型より取り出し、
汚染物の除去性を確認し評価した。また、熱硬化性メラ
ミン樹脂は、トランスファー成形し175℃で3分間加
熱硬化後金型より取り出し、同様にして汚染物の除去性
を目視により確認し評価した。そして、汚染物の除去が
完全になされたものを良、除去が不完全なものを不良と
した。その結果を下記の表3および表4に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】上記表3および表4の結果から、比較例品
は金型洗浄性が不良であり充分に汚染物の除去がなされ
なかった。これに対して、実施例品は金型から取り出し
たシート状金型洗浄用組成物表面に、金型表面に形成さ
れた汚染物が移行転写されて付着していることが確認さ
れ、それによって金型表面が充分に洗浄されたことも確
認された。
【0030】さらに、上記実施例品および比較例品によ
り金型洗浄された金型に、ポリエチレンワックスを含有
したシート状の離型回復剤組成物(ブタジエンゴムとエ
チレン−プロピレンゴムの混合物ベース)を挟み、加熱
加硫(175℃×3分)を行って離型剤を金型表面に塗
布した。ついで、離型剤を塗布した金型にポリエチレン
ワックスを含有してなる成形用樹脂組成物を用いてトラ
ンスファー成形した。そして、得られた成形品の外観を
目視により評価した。得られた成形品の外観良好なもの
を良、外観が悪いものを不良とした。その結果を下記の
表5および表6に示した。
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】上記表5および表6の結果から、実施例品
を用いて金型表面が充分に洗浄された金型により得られ
た成形品の外観は良好であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/72

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンワックスを含有する成形材
    を成するための成形用金型を洗浄る金型洗浄用組
    成物であって、高分子材料を主成分とし、1,o−トリ
    ルビグアニドを含有していることを特徴とする金型洗浄
    用組成物。
  2. 【請求項2】 高分子材料が、ゴム材料である請求項1
    記載の金型洗浄用組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム材料が、ブタジエンゴムとエチレン
    −プロピレンゴムの混合物である請求項2記載の金型洗
    浄用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の金
    型洗浄用組成物からなる金型洗浄用シート。
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