JP2969133B2 - 水系中のレジオネラ属細菌の除菌方法 - Google Patents
水系中のレジオネラ属細菌の除菌方法Info
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Description
水や24時間風呂の循環温水などの、冷温水系あるいは
蓄熱水系などにおける細菌類、特にレジオネラ属細菌を
殺菌し、且つその増殖を防止する方法に関する。
いられる冷凍装置では、熱交換を効率的に行なうため
に、開放型の冷却塔などを用いて冷却した循環水を利用
することが多い。かかる循環水中には外部から微生物な
どが入り込んで増殖し易く、スライムなどによる熱交換
器の熱交換効率の低下や、濾過器の詰まりなどの障害を
起こすほか、病原細菌、特にレジオネラ属細菌などが増
殖して飛散すると、特殊な肺炎たとえば在郷軍人病やポ
ンテアック熱のような病気の原因となる。
て、循環水系に抗菌剤を注入して細菌類の増殖を抑制す
る方法や、装置内を物理的に清掃洗浄しあるいは洗浄剤
を用いて化学的に洗浄する方法などが用いられてきた。
そして、レジオネラ属細菌を防除する殺菌剤として、従
来から種々の化合物が提案されているが、実験室内で殺
菌効果を示す薬剤でも、実際に稼働している水系に使用
してみると、必ずしも十分な効果が得られないことが多
かった。
は、アメーバなどの細菌捕食性原生動物等に捕食されて
もなお寄生して繁殖し、共生することが知られている。
しかしこのようなアメーバなどとレジオネラ属細菌との
共生関係が、レジオネラ属細菌の殺菌剤抵抗性にどのよ
うに影響するかについては、明らかではなかった。
有することは知られており、従来から消毒剤や殺菌剤と
して種々の用途に使用されている。しかし、冷却水など
に添加して、レジオネラ属細菌を除菌するのに特に有効
であるとは考えられていなかった。
るレジオネラ属細菌、特にアメーバなどとの共存状態に
おけるレジオネラ属細菌の、増殖を防止するための有効
な手段がなかったことに鑑み、かかる水系中、特にアメ
ーバ共存水系中のレジオネラ属細菌を、効果的に除菌す
る方法を提供することを目的とするものである。
目的は、アメーバとレジオネラ属細菌とが共存している
水系に対して、下記の化学式A、化学式B、化学式C、
化学式D、化学式E及び化学式Fのいずれかの式で表さ
れる化合物から選ばれたピリジニウム塩化合物を添加す
る水系中のレジオネラ属細菌の除菌方法によって達成す
ることができる。
ずれかであり、Y及びZはそれぞれが−H,−COO
H,−NH2 のいずれかである。
リメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、Xは
Cl,Br,Iのいずれかである。
リメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、Xは
Cl,Br,Iのいずれかである。
リメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、Xは
Cl,Br,Iのいずれかである。
リメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、Xは
Cl,Br,Iのいずれかである。
リメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、Xは
Cl,Br,Iのいずれかである。なお、上記各化学式
において、R及びR 1 は炭素数6〜16のアルキル基で
あることが好ましく、また、R 2 がポリメチレン基であ
る場合には炭素数2〜8のポリメチレン基であることが
好ましい。
菌の除菌方法は、水系中にレジオネラ属細菌が単独で存
在している場合のみならず、特にアメーバとレジオネラ
属細菌とが共存している水系に対して、ピリジニウム塩
化合物を添加することにより、細菌類や原生動物等を共
に防除でき、極めて効果的にレジオネラ属細菌を除菌で
きるものである。
るピリジニウム塩化合物の量は、1〜1000mg/L の
範囲であってよいが、経済上などの点から、1〜500
mg/L の範囲となるよう添加するのが好ましい。また、
水系中へのピリジニウム塩化合物の添加方法については
特に制限はないが、対象水系に対して数日から1ケ月の
範囲の間隔をおいて間欠的に添加する方法や、水系中の
薬剤濃度が一定値以上に維持できるように、補給水など
に対して連続的に添加する方法などを利用することがで
き、これらの方法によって十分な除菌効果を得ることが
できる。
るピリジニウム塩化合物としては、例えばドデシルピリ
ジニウム−アイオダイドなどの前記化7に示される式A
の化合物、例えば4,4′−(ヘキサメチレンジチオ)
ビス(1−オクチルピリジニウム−ブロマイド)などの
前記化8に示される式Bの化合物、例えば4,4′−
(ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−オ
クチルピリジニウム−アイオダイド)などの前記化9に
示される式Cの化合物、例えばN,N′−ヘキサメチレ
ン−ビス(1−デシル−4−カルバモイルピリジニウム
−ブロマイド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1
−ドデシル−4−カルバモイルピリジニウム−ブロマイ
ド)などの前記化10に示される式Dの化合物、例えば
4,4′−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビ
ス(1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、4,4′
−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウ
ム−ブロマイド)などの前記化11に示される式Eの化
合物、例えばN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ド
デシル−4−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)
などの前記化12に示される式Fの化合物等を挙げるこ
とができる。
物を使用するに当たり、通常の水処理剤に配合される腐
食防止剤、スケール防止剤、分散剤などの薬剤を併用す
ることができる。かかる併用可能な薬剤として、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホス
ホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ポリマレイ
ン酸、ポリアクリル酸、ホスフィン酸又はその塩、正リ
ン酸又はその塩、重合リン酸塩、モリブデン酸塩、亜硝
酸塩、珪酸塩、水溶性亜鉛化合物などを挙げることがで
きる。
るBCYEα平板培地上に、レジオネラ(Legionella pn
eumophila)を接種して36℃で2日間培養した。
の化合物であるドデシルピリジニウム−アイオダイド
(P-12と略記)、式Bの化合物である4,4′−(ヘキ
サメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−
ブロマイド)(S-6,8 と略記)、式Cの化合物である
4,4′−(ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビ
ス(1−オクチルピリジニウム−アイオダイド)(4DOC
BP-6,8と略記)、式Dの化合物であるN,N′−ヘキサ
メチレン−ビス(1−デシル−4−カルバモイルピリジ
ニウム−ブロマイド)(4BP-6,10と略記)及びN,N′
−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−4−カルバモ
イルピリジニウム−ブロマイド)(4BP-6,12と略記)、
式Eの化合物である4,4′−(テトラメチレンジカル
ボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム−ブロ
マイド)(4RBP-4,10 と略記)及び4,4′−(p−フ
タルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム−ブロマ
イド)(4DCABP-P,8と略記)、式Fの化合物であるN,
N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−4−カル
バモイルピリジニウム−ブロマイド)(3BP-6,12と略
記)を用意し、また比較のために、ピリジニウム塩化合
物の代わりの公知の殺菌剤である、10.1%の5−ク
ロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと
3.8%の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
とを含む薬剤(ローム・アンド・ハース社商品、KATHON
WT と略記)、及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−
1,3−ジオール(一般名:ブロノポール、BRNPOLと略
記)を用意した。
燐酸緩衝液に104 個/mLオーダーとなるように接種し
たのち、その液の一部をBCYEα平板培地に塗布し、
36℃で5日間培養後のコロニー数をカウントすること
により、生菌数を測定したところ、3.3×104 個/
mLであることを確認した。次いでこの液をそれぞれの培
養フラスコに分けて入れ、殺菌剤無添加のものと、上記
の各殺菌剤をそれぞれ1、5、10及び50mg/L の濃
度となるよう添加したものとを調製し、37℃で24時
間振盪培養したのち、それぞれの生菌数(個/mL)を上
記と同様にして測定した。こうして得た培養後の生菌数
の値を、表2に示した。
レジオネラに対して、従来公知の殺菌剤に比較して略同
等の殺菌力を有するものであることが分かる。
するPYGC培地を入れた培養フラスコに、アメーバ
(Acanthamoeba)を接種して30℃で4日間培養し、古
い培地を捨てて新しいPYGC培地を加え、これに第1
実施例と同様にしてBCYEα平板培地上で2日間培養
したレジオネラを接種し、30℃で4日間培養して、ア
メーバとレジオネラとが共生している状態とした。
ーバを壁面から剥離し、培養液の一部を血球計数盤に滴
下して顕微鏡下でアメーバ数を測定したところ、アメー
バ数は1.3×106 個/mLであった。また、培養液の
別の一部を取り出し、10000rpm で20分間の遠心
操作を行ってアメーバを破壊したのち、BCYEα平板
培地に塗布し、36℃で5日間培養後のコロニー数をカ
ウントすることにより、レジオネラの菌数を測定したと
ころ、8.9×105 個/mLであった。
培地を入れた培養フラスコに、第1実施例で用いたのと
同じ各殺菌剤を、それぞれ10、30及び100mg/L
の濃度となるようそれぞれ添加したもの、及び殺菌剤無
添加のものを調製し、30℃で7日間培養した。そし
て、顕微鏡観察によりアメーバの形態を調べた後、培養
液を攪拌してアメーバとレジオネラとを均一に分散さ
せ、その培養液の一部を取り出し、10000rpm で2
0分間の遠心操作を行ってアメーバを破壊したのち、B
CYEα平板培地に塗布し、36℃で5日間培養後のコ
ロニー数をカウントすることによりレジオネラの生菌数
(個/mL)を測定し、その結果を表4に示した。
養液の別の一部を、そのまま新しいPYGC培地に接種
して30℃で7日間培養し、アメーバの生死状態を調べ
た。そして前記の顕微鏡観察結果とあわせて、栄養体と
して生存している状態を+、嚢子化して生存している状
態を±、死滅している状態を−として、表4に併せて示
した。
た殺菌力を示す従来公知の殺菌剤が、アメーバ共存状態
ではレジオネラを有効に除菌することができないのに対
し、ピリジニウム塩化合物はアメーバに対しても殺生力
があり、アメーバ共存状態のレジオネラをも効果的に除
菌できることが分かる。
物を添加することにより、水系中のレジオネラ属細菌を
除菌するもので、従来のレジオネラ属細菌用の殺菌剤で
は除菌できなかったようなアメーバ共存下の水系中のレ
ジオネラ属細菌を、効果的に除菌することができるとい
う効果があり、しかも濃度の高い水溶液として使用する
場合でも、一般的な第四級アンモニウム塩のように泡立
ちが著しくないので、取扱いが容易であるという利点が
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 アメーバとレジオネラ属細菌とが共存し
ている水系に対して、下記の化学式A、化学式B、化学
式C、化学式D、化学式E及び化学式Fのいずれかの式
で表される化合物から選ばれたピリジニウム塩化合物を
添加することを特徴とする、水系中のレジオネラ属細菌
の除菌方法。 【化1】 式中、Rはアルキル基、XはCl,Br,Iのいずれか
であり、Y及びZはそれぞれが−H,−COOH,−N
H2 のいずれかである。 【化2】 式中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチ
レン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,
Br,Iのいずれかである。 【化3】 式中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチ
レン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,
Br,Iのいずれかである。 【化4】 式中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチ
レン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,
Br,Iのいずれかである。 【化5】 式中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチ
レン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,
Br,Iのいずれかである。 【化6】 式中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチ
レン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,
Br,Iのいずれかである。 - 【請求項2】 上記ピリジニウム塩化合物の添加量が1
〜1000mg/L の範囲にある、請求項1に記載の水系
中のレジオネラ属細菌の除菌方法。
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11197673A JPH11197673A (ja) | 1999-07-27 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4473524B2 (ja) * | 2003-06-20 | 2010-06-02 | 日本エンバイロケミカルズ株式会社 | 微生物防除剤 |
JP4244332B2 (ja) * | 2004-07-07 | 2009-03-25 | 寛紀 高麗 | 水系中のレジオネラ属細菌の除菌方法 |
JP5137064B2 (ja) * | 2007-08-24 | 2013-02-06 | 学校法人玉川学園 | 自由生活性アメーバ防除剤 |
-
1998
- 1998-01-08 JP JP224698A patent/JP2969133B2/ja not_active Expired - Lifetime
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