JP2964788B2 - ビスマス層状化合物 - Google Patents
ビスマス層状化合物Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧力センサ、高周波フィ
ルタなどとして利用可能な、圧電性を有するビスマス層
状化合物に関する。
ルタなどとして利用可能な、圧電性を有するビスマス層
状化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電性を有するセラミックスとしては、
チタン酸バリウム(BaTiO3 )、チタン酸鉛(Pb
TiO3 )、チタン酸ジルコン酸鉛固溶体(PZT)、
ビスマス層状化合物(SrBi4 Ti4 O15)などが知
られている。例えばPZTは特に高い感度を有するた
め、圧電アクチュエータとして利用されている。またビ
スマス層状化合物は、感度はPZTほど高くないが、強
度が大きく、キュリー温度が約500〜800℃と高く
広い温度範囲で使用できるため、圧力センサとしての利
用が期待されている。
チタン酸バリウム(BaTiO3 )、チタン酸鉛(Pb
TiO3 )、チタン酸ジルコン酸鉛固溶体(PZT)、
ビスマス層状化合物(SrBi4 Ti4 O15)などが知
られている。例えばPZTは特に高い感度を有するた
め、圧電アクチュエータとして利用されている。またビ
スマス層状化合物は、感度はPZTほど高くないが、強
度が大きく、キュリー温度が約500〜800℃と高く
広い温度範囲で使用できるため、圧力センサとしての利
用が期待されている。
【0003】さらに特公昭55−16380号公報に
は、ビスマス層状化合物にマンガンを含有させた圧電性
磁器組成物が開示されている。この組成物は高い抵抗率
と低い誘電率を示し、電気機械結合係数(kt)及び機
械的品質係数(Qm)が大きく、さらに静電容量の温度
係数(CxTC)と共振周波数の温度係数(frTC)
が小さいので、高周波フィルタなどに好適である。
は、ビスマス層状化合物にマンガンを含有させた圧電性
磁器組成物が開示されている。この組成物は高い抵抗率
と低い誘電率を示し、電気機械結合係数(kt)及び機
械的品質係数(Qm)が大きく、さらに静電容量の温度
係数(CxTC)と共振周波数の温度係数(frTC)
が小さいので、高周波フィルタなどに好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが従来のビスマ
ス層状化合物では、圧電性の感度が低く、30〜150
℃の温度範囲で感度のばらつきが大きいことが明らかと
なった。また、上記公報のようにビスマス層状化合物に
マンガンを加えても、感度のばらつきはそのままである
ことも明らかとなった。なお、圧電性の感度とは、図1
に示すように、試料に力Fを加えた場合に発生する電荷
の量をEとしたときに、単位力当たりの電荷(E/F,
単位pC/N)をいう。
ス層状化合物では、圧電性の感度が低く、30〜150
℃の温度範囲で感度のばらつきが大きいことが明らかと
なった。また、上記公報のようにビスマス層状化合物に
マンガンを加えても、感度のばらつきはそのままである
ことも明らかとなった。なお、圧電性の感度とは、図1
に示すように、試料に力Fを加えた場合に発生する電荷
の量をEとしたときに、単位力当たりの電荷(E/F,
単位pC/N)をいう。
【0005】したがって、ビスマス層状化合物を広い温
度範囲で圧力センサとして使用するためには、温度補償
回路が不可欠である。そして温度変化の激しい場所で使
用するためには、その温度補償回路が極めて複雑になる
という問題があり、ビスマス層状化合物の圧力センサと
しての利用の妨げとなっている。本発明はこのような事
情に鑑みてなされたものであり、ビスマス層状化合物の
温度に対する感度のばらつきを低減するとともに、感度
を向上させることを目的とする。
度範囲で圧力センサとして使用するためには、温度補償
回路が不可欠である。そして温度変化の激しい場所で使
用するためには、その温度補償回路が極めて複雑になる
という問題があり、ビスマス層状化合物の圧力センサと
しての利用の妨げとなっている。本発明はこのような事
情に鑑みてなされたものであり、ビスマス層状化合物の
温度に対する感度のばらつきを低減するとともに、感度
を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明の発明者は、上
記課題を解決するためにビスマス層状化合物の組成を鋭
意研究した結果、Pbとアルカリ金属とを所定比率で共
存させることにより、温度に対する感度のばらつきが小
さくなることを発見し、またPbの一部をアルカリ土類
金属で置換しても同様の効果が得られることを発見し
た。しかしながらこの化合物は、例えば30℃における
圧電性の感度が8pC/Nと低く、感度をさらに向上さ
せることが望まれた。
記課題を解決するためにビスマス層状化合物の組成を鋭
意研究した結果、Pbとアルカリ金属とを所定比率で共
存させることにより、温度に対する感度のばらつきが小
さくなることを発見し、またPbの一部をアルカリ土類
金属で置換しても同様の効果が得られることを発見し
た。しかしながらこの化合物は、例えば30℃における
圧電性の感度が8pC/Nと低く、感度をさらに向上さ
せることが望まれた。
【0007】そこで他の成分を添加することを想起し、
鋭意研究の結果マンガン(Mn)を所定量加えることに
より感度が向上し、かつ力−電荷出力線図におけるヒス
テリシスも小さくなることを見出し、本発明を完成した
ものである。すなわち上記課題を解決する本発明のビス
マス層状化合物は、化学構造式が、{(M11-y P
by )1-2XM2X Bi4+X }Ti4 O15〔ここで、M1
はアルカリ土類金属、M2はアルカリ金属、xは0.0
6≦x≦0.44、yは0<y≦1.0〕で表される化
合物中に、マンガンがMnOとして0.05〜0.25
重量%含有されていることを特徴とする。
鋭意研究の結果マンガン(Mn)を所定量加えることに
より感度が向上し、かつ力−電荷出力線図におけるヒス
テリシスも小さくなることを見出し、本発明を完成した
ものである。すなわち上記課題を解決する本発明のビス
マス層状化合物は、化学構造式が、{(M11-y P
by )1-2XM2X Bi4+X }Ti4 O15〔ここで、M1
はアルカリ土類金属、M2はアルカリ金属、xは0.0
6≦x≦0.44、yは0<y≦1.0〕で表される化
合物中に、マンガンがMnOとして0.05〜0.25
重量%含有されていることを特徴とする。
【0008】上記化学構造式において、M1はアルカリ
土類金属を表し、Sr,Be,Mg,Ca,Ba及びR
aから選ばれる。またM2はアルカリ金属であり、L
i,Na,K,Rb,Cs及びFrから選ばれる金属と
することができる。さらに、M2の含有量を表すxは、
0.06≦x≦0.44の範囲とする必要がある。xの
値がこの範囲を外れると、温度に対する感度のばらつき
がアルカリ金属をもたない従来のビスマス層状化合物と
同程度に大きくなり、好ましくない。
土類金属を表し、Sr,Be,Mg,Ca,Ba及びR
aから選ばれる。またM2はアルカリ金属であり、L
i,Na,K,Rb,Cs及びFrから選ばれる金属と
することができる。さらに、M2の含有量を表すxは、
0.06≦x≦0.44の範囲とする必要がある。xの
値がこの範囲を外れると、温度に対する感度のばらつき
がアルカリ金属をもたない従来のビスマス層状化合物と
同程度に大きくなり、好ましくない。
【0009】本発明のビスマス層状化合物は、MnをM
nOとして0.05〜0.25重量%含んでいる。Mn
の含有量が0.05重量%より少ないと圧電性の感度が
低くなり、0.25重量%より多くなると力−電荷出力
線図におけるヒステリシスが大きくなる。なお、本発明
のビスマス層状化合物には、性能を損なわない範囲でN
i,Crなどの金属を共存させることもできる。
nOとして0.05〜0.25重量%含んでいる。Mn
の含有量が0.05重量%より少ないと圧電性の感度が
低くなり、0.25重量%より多くなると力−電荷出力
線図におけるヒステリシスが大きくなる。なお、本発明
のビスマス層状化合物には、性能を損なわない範囲でN
i,Crなどの金属を共存させることもできる。
【0010】
【作用】本発明のビスマス層状化合物では、Pb単独も
しくはPbを含むアルカリ土類金属と、アルカリ金属と
を所定比率で含むため、理由は不明であるが温度に対す
る感度のばらつきが小さくなる。そしてPbを必須とし
て含むため、これも理由は不明であるが、圧電性の感度
の温度に対する依存性を制御することができる。すなわ
ち、図2〜図5にも示すように、アルカリ金属の含有量
が少ない(例えばx=0.1)と感度は温度変化に対し
て負の変化を示し、アルカリ金属が増えるにつれて(例
えばx=0.4)正の変化を示すようになる。したがっ
てPbとアルカリ金属の含有割合を調整することによ
り、感度の温度に対する依存性を自由に制御することが
できる。
しくはPbを含むアルカリ土類金属と、アルカリ金属と
を所定比率で含むため、理由は不明であるが温度に対す
る感度のばらつきが小さくなる。そしてPbを必須とし
て含むため、これも理由は不明であるが、圧電性の感度
の温度に対する依存性を制御することができる。すなわ
ち、図2〜図5にも示すように、アルカリ金属の含有量
が少ない(例えばx=0.1)と感度は温度変化に対し
て負の変化を示し、アルカリ金属が増えるにつれて(例
えばx=0.4)正の変化を示すようになる。したがっ
てPbとアルカリ金属の含有割合を調整することによ
り、感度の温度に対する依存性を自由に制御することが
できる。
【0011】また、アルカリ土類金属を含まずPbを単
独で含む場合(y=1)は、感度は温度変化に対して負
の変化を示し、アルカリ土類金属が増える(0<y<
1)につれて正の変化を示すようになる。したがってy
の値を制御することによっても、圧電性の感度の温度に
対する依存性を制御することができる。そしてMnを所
定量で含むことにより、感度を向上させることができ、
かつ力−電荷出力線図におけるヒステリシスの発生もな
い。
独で含む場合(y=1)は、感度は温度変化に対して負
の変化を示し、アルカリ土類金属が増える(0<y<
1)につれて正の変化を示すようになる。したがってy
の値を制御することによっても、圧電性の感度の温度に
対する依存性を制御することができる。そしてMnを所
定量で含むことにより、感度を向上させることができ、
かつ力−電荷出力線図におけるヒステリシスの発生もな
い。
【0012】
(1)ビスマス層状化合物の製造 出発原料として、酸化鉛(PbO),炭酸ナトリウム
(Na2 CO3 ),酸化ビスマス(Bi2 O3 ),酸化
チタン(TiO2 )及び酸化マンガン(MnO)を用
い、それぞれの原料粉末を、モル比が(Pb0.8 Na
0.1 Bi4.1 )Ti4O15となるように、かつMnOを
0.05重量%含むように秤量して、エタノールととも
にポットミル中で48時間湿式混合した。
(Na2 CO3 ),酸化ビスマス(Bi2 O3 ),酸化
チタン(TiO2 )及び酸化マンガン(MnO)を用
い、それぞれの原料粉末を、モル比が(Pb0.8 Na
0.1 Bi4.1 )Ti4O15となるように、かつMnOを
0.05重量%含むように秤量して、エタノールととも
にポットミル中で48時間湿式混合した。
【0013】混合粉末を脱エタノール乾燥し、700〜
950℃で2時間仮焼した。この仮焼粉末を再びポット
ミル中で48時間湿式混合し、脱エタノール乾燥して粉
末原料とした。この粉末原料にポリビニルアルコール
(PVA)を約3重量%加えて造粒し、それを金型中に
供給して成形圧力1t/cm2 でプレス成形し、直径2
0mm、厚さ1mmのペレット状成形体を作製した。
950℃で2時間仮焼した。この仮焼粉末を再びポット
ミル中で48時間湿式混合し、脱エタノール乾燥して粉
末原料とした。この粉末原料にポリビニルアルコール
(PVA)を約3重量%加えて造粒し、それを金型中に
供給して成形圧力1t/cm2 でプレス成形し、直径2
0mm、厚さ1mmのペレット状成形体を作製した。
【0014】この成形体をジルコニア粉末からなるパッ
ド材の上に置き、それをアルミナ製るつぼ内に収納しア
ルミナ製の蓋をして焼成した。焼成条件は、昇温速度2
00℃/時で大気下にて加熱し、1100〜1300℃
で2時間焼成して行った。これにより、化学構造式
{(M11-y Pby )1-2XM2X Bi4+X }Ti4 O15
+zMnOにおいて、(Pb0.8 Na0.1 Bi4.1 )T
i4 O15の組成(M2=Na、x=0.1、y=1)
で、MnをMnOとして0.05重量%含むビスマス層
状化合物からなるペレット状の素子が得られた。 (2)圧電素子の製造 次に、得られた素子の両面に銀ペーストをスクリーン印
刷で塗布し、焼き付けて銀電極を形成した。そしてシリ
コンオイル中に浸漬した状態で、素子に6〜10kVの
電圧を印加して200℃にて10分間保持し、分極処理
を行った。これにより圧電素子とした。 (3)試験 この圧電素子の圧電性の感度を、30〜150℃の範囲
で温度を種々変化させながら、図1に従って測定した。
30℃における感度(8pC/N)を1とした場合の各
温度における感度の相対値を求め、その結果を図2に示
す。
ド材の上に置き、それをアルミナ製るつぼ内に収納しア
ルミナ製の蓋をして焼成した。焼成条件は、昇温速度2
00℃/時で大気下にて加熱し、1100〜1300℃
で2時間焼成して行った。これにより、化学構造式
{(M11-y Pby )1-2XM2X Bi4+X }Ti4 O15
+zMnOにおいて、(Pb0.8 Na0.1 Bi4.1 )T
i4 O15の組成(M2=Na、x=0.1、y=1)
で、MnをMnOとして0.05重量%含むビスマス層
状化合物からなるペレット状の素子が得られた。 (2)圧電素子の製造 次に、得られた素子の両面に銀ペーストをスクリーン印
刷で塗布し、焼き付けて銀電極を形成した。そしてシリ
コンオイル中に浸漬した状態で、素子に6〜10kVの
電圧を印加して200℃にて10分間保持し、分極処理
を行った。これにより圧電素子とした。 (3)試験 この圧電素子の圧電性の感度を、30〜150℃の範囲
で温度を種々変化させながら、図1に従って測定した。
30℃における感度(8pC/N)を1とした場合の各
温度における感度の相対値を求め、その結果を図2に示
す。
【0015】図2に示すように、温度−感度のグラフは
右下がりのグラフとなり、感度は温度変化に対して負の
依存性を示している。このグラフから、温度変化に対す
る感度のばらつきを表す指標として、上記温度範囲内に
おける感度dの最大値と最小値を求め、その差Δdを感
度の温度変化率と定義し、結果を表1に示す。 (Na量の影響)化学構造式(Pb1-2XNaX B
i4+X )Ti4 O15+zMnOにおいて、z=0.05
重量%一定とし、Naのモル比xの値が表1に示す0〜
0.5の範囲となるように、同様の原料粉末をそれぞれ
秤量し、同様にして7種類の圧電素子を作製した。
右下がりのグラフとなり、感度は温度変化に対して負の
依存性を示している。このグラフから、温度変化に対す
る感度のばらつきを表す指標として、上記温度範囲内に
おける感度dの最大値と最小値を求め、その差Δdを感
度の温度変化率と定義し、結果を表1に示す。 (Na量の影響)化学構造式(Pb1-2XNaX B
i4+X )Ti4 O15+zMnOにおいて、z=0.05
重量%一定とし、Naのモル比xの値が表1に示す0〜
0.5の範囲となるように、同様の原料粉末をそれぞれ
秤量し、同様にして7種類の圧電素子を作製した。
【0016】これらの圧電素子の圧電性の感度を、30
〜150℃の範囲で温度を種々変化させながら、図1に
従ってそれぞれ測定した。そしてx=0.2〜0.4の
範囲にある圧電素子について、30℃における感度を1
とした場合の各温度における感度の相対値を求め、その
結果を図3〜図5に示す。他の圧電素子についても同様
にグラフ化し(図示せず)、それぞれのグラフから感度
の温度変化率を算出した結果を表1に示す。
〜150℃の範囲で温度を種々変化させながら、図1に
従ってそれぞれ測定した。そしてx=0.2〜0.4の
範囲にある圧電素子について、30℃における感度を1
とした場合の各温度における感度の相対値を求め、その
結果を図3〜図5に示す。他の圧電素子についても同様
にグラフ化し(図示せず)、それぞれのグラフから感度
の温度変化率を算出した結果を表1に示す。
【0017】
【表1】 (評価)表1より明らかに、xの値を所定範囲とするこ
とにより感度の温度変化率を5%以下とすることがで
き、x=0の従来のビスマス層状化合物に比べて著しく
低減することができる。すなわち、本発明のビスマス層
状化合物によれば、温度変化に対して感度のばらつきが
小さく、圧力センサとして有用であることが明らかであ
る。
とにより感度の温度変化率を5%以下とすることがで
き、x=0の従来のビスマス層状化合物に比べて著しく
低減することができる。すなわち、本発明のビスマス層
状化合物によれば、温度変化に対して感度のばらつきが
小さく、圧力センサとして有用であることが明らかであ
る。
【0018】また図2〜図5をみると、x=0.1(図
2)では感度は温度変化に対して負の依存性を示してい
るのに対し、x=0.4(図5)では正の依存性となっ
ている。したがって、上記化学構造式においてxの値を
制御することにより、感度の温度に対する依存性を自由
に制御することができる。さらに、x=0.2(図3)
及びx=0.3(図4)では、感度の変化が全く無い温
度領域が感度の最大値として存在し、その領域において
極めて高感度の素子として利用することができる。 (Mn量の影響)化学構造式(Pb1-2XNaX B
i4+X )Ti4 O15+zMnOにおいて、zの値を0〜
0.30重量%まで変化させ、かつxを0.1〜0.4
まで変化させたマトリックスを組み、それぞれの組成で
原料粉末をそれぞれ秤量し、同様にして複数の圧電素子
を作製した。
2)では感度は温度変化に対して負の依存性を示してい
るのに対し、x=0.4(図5)では正の依存性となっ
ている。したがって、上記化学構造式においてxの値を
制御することにより、感度の温度に対する依存性を自由
に制御することができる。さらに、x=0.2(図3)
及びx=0.3(図4)では、感度の変化が全く無い温
度領域が感度の最大値として存在し、その領域において
極めて高感度の素子として利用することができる。 (Mn量の影響)化学構造式(Pb1-2XNaX B
i4+X )Ti4 O15+zMnOにおいて、zの値を0〜
0.30重量%まで変化させ、かつxを0.1〜0.4
まで変化させたマトリックスを組み、それぞれの組成で
原料粉末をそれぞれ秤量し、同様にして複数の圧電素子
を作製した。
【0019】それぞれの圧電素子について、30℃にお
ける感度(pC/N)と、150℃におけるヒステリシ
スの大きさを測定し、結果を図6に示す。なお、ヒステ
リシスの大きさとは、図7に示すように圧力−電荷出力
線図のヒステリシスの電荷出力の幅の最大部分の幅iと
電荷出力の最大値jを求め、式1/2×i/j×100
により求めた値をいう。
ける感度(pC/N)と、150℃におけるヒステリシ
スの大きさを測定し、結果を図6に示す。なお、ヒステ
リシスの大きさとは、図7に示すように圧力−電荷出力
線図のヒステリシスの電荷出力の幅の最大部分の幅iと
電荷出力の最大値jを求め、式1/2×i/j×100
により求めた値をいう。
【0020】図6より、Mnの量が0.05重量%より
少ないと感度が急激に低下し、Mnの量が0.25重量
%を超えると急激にヒステリシスが生じることが明らか
であり、Mn量を本発明の範囲に規制することにより、
高感度と低ヒステリシスを両立できることが明らかであ
る。なお、xの値を変動させても全く同じ挙動を示し、
Mnの作用効果はNa及びPbの作用効果とは独立して
いることがわかった。 〔第2の実施例〕出発原料として、炭酸ストロンチウム
(SrCO3 ),酸化鉛(PbO),炭酸ナトリウム
(Na2 CO3 ),酸化ビスマス(Bi2 O3 ),酸化
チタン(TiO2 )及び酸化マンガン(MnO)を用
い、それぞれの原料粉末を、化学構造式{(Sr0.2 P
b0.8 )1-2xNax Bi4+x }Ti4 O15+zMnOに
おいて、z=0.05重量%一定とし、xを第1の実施
例と同様に変化させて秤量し、水とともにポットミル中
でそれぞれ48時間湿式混合した。
少ないと感度が急激に低下し、Mnの量が0.25重量
%を超えると急激にヒステリシスが生じることが明らか
であり、Mn量を本発明の範囲に規制することにより、
高感度と低ヒステリシスを両立できることが明らかであ
る。なお、xの値を変動させても全く同じ挙動を示し、
Mnの作用効果はNa及びPbの作用効果とは独立して
いることがわかった。 〔第2の実施例〕出発原料として、炭酸ストロンチウム
(SrCO3 ),酸化鉛(PbO),炭酸ナトリウム
(Na2 CO3 ),酸化ビスマス(Bi2 O3 ),酸化
チタン(TiO2 )及び酸化マンガン(MnO)を用
い、それぞれの原料粉末を、化学構造式{(Sr0.2 P
b0.8 )1-2xNax Bi4+x }Ti4 O15+zMnOに
おいて、z=0.05重量%一定とし、xを第1の実施
例と同様に変化させて秤量し、水とともにポットミル中
でそれぞれ48時間湿式混合した。
【0021】そして同様にしてそれぞれの圧電素子を作
製し、同様に各温度における感度の相対値を求め、同様
に感度の温度変化率を算出した。その結果を表2に示
す。
製し、同様に各温度における感度の相対値を求め、同様
に感度の温度変化率を算出した。その結果を表2に示
す。
【0022】
【表2】 表2より、Pbの一部をアルカリ土類金属で置換して
も、表1とほとんど同様の結果が得られていることがわ
かる。また、x=0.1〜0.4のビスマス層状化合物
のそれぞれの感度の温度変化率は、図示しないが図2〜
図5と同様の傾向を示した。
も、表1とほとんど同様の結果が得られていることがわ
かる。また、x=0.1〜0.4のビスマス層状化合物
のそれぞれの感度の温度変化率は、図示しないが図2〜
図5と同様の傾向を示した。
【0023】
【発明の効果】したがって本発明のビスマス層状化合物
によれば、感度の温度依存性が小さいので、温度変化の
激しい場所においても温度補償回路を不要として、広い
温度範囲で圧力センサとして利用することができ、コス
トの低減を図ることができる。また比誘電率も140〜
170と低いので、高周波フィルタなどとしても適して
いる。
によれば、感度の温度依存性が小さいので、温度変化の
激しい場所においても温度補償回路を不要として、広い
温度範囲で圧力センサとして利用することができ、コス
トの低減を図ることができる。また比誘電率も140〜
170と低いので、高周波フィルタなどとしても適して
いる。
【0024】さらに、xの値がある範囲で感度の変化が
全く無い温度領域が存在するため、その温度範囲におい
て特に高感度の圧力センサ、フィルタなどとして利用す
ることができる。そして感度が高いためノイズが減少
し、微小圧力変動を正確に感知できる。また印加力が0
〜2000Nの広範囲でヒステリシスがないため、大き
な圧力変動が生じる場所にも圧力センサとして用いるこ
とができる。したがって本発明のビスマス層状化合物
は、微小な圧力変動から大きな圧力変動まで、正確に感
知できる圧力センサとして用いることができる。
全く無い温度領域が存在するため、その温度範囲におい
て特に高感度の圧力センサ、フィルタなどとして利用す
ることができる。そして感度が高いためノイズが減少
し、微小圧力変動を正確に感知できる。また印加力が0
〜2000Nの広範囲でヒステリシスがないため、大き
な圧力変動が生じる場所にも圧力センサとして用いるこ
とができる。したがって本発明のビスマス層状化合物
は、微小な圧力変動から大きな圧力変動まで、正確に感
知できる圧力センサとして用いることができる。
【図1】力と電荷出力の関係を示し、圧電性の感度の定
義を示す説明図である。
義を示す説明図である。
【図2】x=0.1の場合の温度と感度の関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図3】x=0.2の場合の温度と感度の関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図4】x=0.3の場合の温度と感度の関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図5】x=0.4の場合の温度と感度の関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図6】Mn量の変化に対する感度とヒステリシスの大
きさとの関係を示すグラフである。
きさとの関係を示すグラフである。
【図7】ヒステリシスの大きさの定義を説明する説明図
である。
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/46 C04B 35/495 H01L 41/187 CA(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 化学構造式が、{(M11-y Pby )
1-2XM2X Bi4+X }Ti4 O15〔ここで、M1はアル
カリ土類金属、M2はアルカリ金属、xは0.06≦x
≦0.44、yは0<y≦1.0〕で表される化合物中
に、マンガンがMnOとして0.05〜0.25重量%
含有されていることを特徴とするビスマス層状化合物。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4204833A JP2964788B2 (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | ビスマス層状化合物 |
DE69310042T DE69310042T2 (de) | 1992-07-31 | 1993-07-13 | Lamellare Wismut enthaltende Verbindung |
EP93305478A EP0581481B1 (en) | 1992-07-31 | 1993-07-13 | Bismuth layer compound |
US08/098,103 US5369068A (en) | 1992-07-31 | 1993-07-28 | Bismuth lamellar compound |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4204833A JP2964788B2 (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | ビスマス層状化合物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0648737A JPH0648737A (ja) | 1994-02-22 |
JP2964788B2 true JP2964788B2 (ja) | 1999-10-18 |
Family
ID=16497143
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4204833A Expired - Fee Related JP2964788B2 (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | ビスマス層状化合物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2964788B2 (ja) |
-
1992
- 1992-07-31 JP JP4204833A patent/JP2964788B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Ferroelectrics(1989),94,175−181 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0648737A (ja) | 1994-02-22 |
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