JP2934940B2 - 耐熱性樹脂組成物 - Google Patents

耐熱性樹脂組成物

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JP2934940B2 JP4108495A JP4108495A JP2934940B2 JP 2934940 B2 JP2934940 B2 JP 2934940B2 JP 4108495 A JP4108495 A JP 4108495A JP 4108495 A JP4108495 A JP 4108495A JP 2934940 B2 JP2934940 B2 JP 2934940B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流動性と耐熱性及び耐
衝撃性を兼備した耐熱性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、一般的に成形性及び耐
衝撃性に優れることから、自動車部品、家電部品、OA
機器部品を始めとする多岐の分野で使用されるに至って
いる。近年、かかる分野で使用される耐熱性の熱可塑性
樹脂に対して、より一層の大型薄肉成形品の製造や、成
形サイクルの短縮が求められている。しかし、特に耐熱
性樹脂、いわゆるエンジニアリングプラスチックは、流
動性に乏しく、流動性改善の要求が高まっている。
【0003】耐熱性樹脂の流動性を改良するために、種
々の添加物を配合する技術が開示されている。古くから
工業的に実施されているミネラルオイルの添加では流動
性は改善されるものの、耐熱性が著しく低下してしま
う。さらに、多価アルコールと脂肪酸のエステル(特開
昭61−231045号公報、特開昭61−27534
1号公報)、高級脂肪酸とその金属塩(特開昭62−1
32951号公報)、脂肪酸アミドや脂肪族アルコール
とエチレンビスステアリルアミド(特開昭62−257
951号公報)、ステアリルステアレートなどの高級脂
肪酸と高級アルコールとのエステル(特開平2−135
219号公報)、イソシアヌル酸エステル化合物(特開
平2−194047号公報)等を配合する技術が開示さ
れている。これらの技術でも、流動性の改良が不十分で
あったり、耐熱性が著しく低下したりして、満足な樹脂
組成物は得られていない。
【0004】特開平3−269043号公報は、塩化ビ
ニル系樹脂の流動性を改良するためにビスフェノール系
化合物を加えた組成物を開示する。しかし、この組成物
は、流動性は若干改善するが耐熱性、機械的強度などは
低下し、しかも元来耐熱性の低い塩化ビニル系樹脂を用
いており、種々の特性の総合的評価としては必ずしも満
足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な従
来技術の現状に鑑み、上記のような問題点のない、すな
わち高度な流動性と、耐熱性及び耐衝撃性を有する耐熱
性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、耐熱性熱可
塑性樹脂の流動性の改良について鋭意検討した結果、耐
熱性樹脂に特定のビスフェノール系化合物を配合するこ
とにより、耐熱性、機械的強度などの特性を保持しつつ
流動性を向上させることができることを見出した。
【0007】すなわち、本発明は、(A)芳香族ポリカ
ーボネート樹脂、ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニ
レンエーテルとのポリマーブレンド体、ポリフェニレン
スルフィド樹脂及びポリアリレート樹脂からなる群から
選ばれる少なくとも1種の耐熱性熱可塑性樹脂、並びに (B)一般式(1):
【0008】
【化4】
【0009】〔式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4の低級
アルキル基を示し、Xは
【0010】
【化5】
【0011】又は一般式(2):
【0012】
【化6】
【0013】〔式中、 3 はメチル基又はフェニル基を
示し、R 4 はフェニル基を示す。〕を示す。〕で表され
且つ融点150〜350℃を有するビスフェノール系化
合物を含有してなる耐熱性樹脂組成物を提供するもので
ある。
【0014】上記(A)成分は、成形用耐熱性樹脂組成
物の主成分をなし、成形品の強度保持の役割を担い、
(B)成分は(A)成分に対して耐熱性、機械的強度、
製品の外観等を保持しつつ流動性を付与するための成分
である。本発明者は、(A)成分と(B)成分である特
定のビスフェノール化合物が相溶化し、耐熱性と耐衝撃
性を保持しつつ流動性を大幅に向上させることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0015】本発明の上記(A)成分である耐熱性熱可
塑性樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂(PC)、ゴ
ム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテルとのポ
リマーブレンド体(変性PPE)、ポリフェニレンスル
フィド樹脂(PPS)及びポリアリレート樹脂(PA
R)からなる群から選ばれる少なくとも1種である
【0016】上記の変性PPEに配合されるゴム変性ス
チレン系樹脂とは、ビニル芳香族系重合体よりなるマト
リックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなるグラ
フト重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニ
ル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニル単
量体を加えた単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁
重合、溶液重合または乳化重合することにより得られ
る。
【0017】この様なゴム変性スチレン系樹脂として
は、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS樹脂
(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合
体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピ
レンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0018】ゴム変性スチレン系樹脂の製造原料である
上記ゴム状重合体としては、例えばポリブタジエン、ポ
リ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル
−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを
水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、ポリアクリル
酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン−プロピレン
−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM)等を挙げる
ことができ、好ましくはジエン系ゴムが挙げられる。
【0019】グラフト重合可能な単量体混合物中の必須
成分の芳香族ビニル単量体とは、例えばスチレン、α−
メチルスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等が
挙げられ、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体
に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合しても良い。
【0020】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ芳香族ビニル単量体に共重合可能なビニル
単量体成分を一種以上導入することができる。
【0021】本発明のゴム変性スチレン系樹脂における
ゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、さらに好
ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単量体
混合物は、好ましくは95〜20重量%、さらに好まし
くは90〜50重量%の範囲内で配合される。この範囲
内であれば、目的とする重合体組成物の耐衝撃性と剛性
のバランスが充分に取れるため好ましい。スチレン系重
合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0μmが好ましく、
特に0.2〜3.0μmが好適である。上記範囲内にあ
れば耐衝撃性が保持される。
【0022】本発明のうち、上記(A)成分の変性PP
Eに配合されるポリフェニレンエーテル(以下、PPE
と略称する)とは、下記(3)式で示される結合単位を
含むホモ重合体及び/又は共重合体である:
【0023】
【化7】
【0024】〔式中、R5、R6、R7及びR8は、それぞ
れ水素、ハロゲン原子(フッ素、塩素又は臭素)、メチ
ル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルからなる群
から選択されるものであり、互いに同一であっても異な
っていてもよい。〕 このPPEの具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフ
ェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重
合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フ
ェニレンエーテル)がより好ましい。
【0025】かかるPPEの製造方法は、特に限定され
るものではなく、例えば米国特許第3,306,874
号明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレ
ックスを触媒として用い、例えば、2,6−キシレノー
ルを酸化重合することにより容易に製造できる。
【0026】本発明の上記(A)成分中の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(PC)は、芳香族ジヒドロキシ化合物
又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は
炭酸のジエステルと反応させることによって得られる分
岐していても良い耐熱性熱可塑性芳香族ポリカーボネー
ト重合体である。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、
例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノー
ルA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイ
ドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルなどが挙げられ、特にビスフェノールAが好
ましい。
【0027】芳香族ポリカーボネート樹脂としては、代
表的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系の
ジヒドロキシ化合物、特にビスフェノールAを主原料と
するポリカーボネートが挙げられ、2種以上の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物を併用して得られるポリカーボネート
共重合体、3価のフェノール系化合物を少量併用して得
られる分岐化ポリカーボネートも挙げることができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂は2種以上の混合物として
用いても良い。
【0028】本発明の上記(A)成分中のポリフェニレ
ンスルフィド樹脂(PPS)は、一般的にはパラジクロ
ロベンゼンと硫化ナトリウムをN−メチル−2−ピロリ
ドンなどの極性溶媒中、200〜250℃で反応させて
得られる。一般的には、重合体をさらに酸素下で加熱処
理することで成形可能な高分子材料とする。この加熱処
理で酸化や熱による架橋反応、或いは分枝鎖延長反応に
より高分子量化が起きていると考えられ、成形可能なP
PSは分子構造中に部分的な架橋構造が含まれている熱
可塑性樹脂である。また、最近では架橋を伴わない高分
子量の直鎖型PPSが開発され、汎用エンジニアリング
プラスチックに匹敵する耐衝撃性と機械的強度を有する
樹脂として注目されており、上記の架橋型及び直鎖型の
いずれの樹脂を使用してもよい。
【0029】本発明の上記(A)成分中のポリアリレー
ト樹脂(PAR)は、ビスフェノールと芳香族ジカルボ
ン酸との重縮合物の総称で、その成分の組み合わせで様
々なポリマーが得られ、そのいずれのポリマーを使用し
ても良いが、一般的にはビスフェノールAとフタル酸か
らなるものである。製造法としては、溶融重合法、溶液
重合法及び界面重合法があるが、主としてビスフェノー
ルAとジカルボン酸クロリドとの界面重合法が用いられ
ている。
【0030】一般式(I)のビスフェノール系化合物に
おいて、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を示
し、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子及び臭
素原子が挙げられ、炭素数1〜4の低級アルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基及びt−ブチル基が挙げられる。R1及びR2は、好ま
しくは水素原子又はメチル基である。
【0031】Xが一般式(2)で表される基のとき、R
3及びR4は水素原子、炭素数1〜3の低級アルキル基、
フェニル基、或いは1または2個の炭素数1〜3の低級
アルキル基で置換されたフェニル基を表し、炭素数1〜
3の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基又はイソプロピル基が挙げられる。フェニ
ル基の置換基である炭素数1〜3の低級アルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプ
ロピル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。フェ
ニル基に対する炭素数1〜3の低級アルキル置換基の数
は1又は2個、好ましくは1個である。R3及びR4は、
好ましくは、R3がメチル基又はフェニル基であり、R4
がフェニル基の組み合わせである。
【0032】本発明で用いるビスフェノール系化合物
を、融点とともに以下に具体的に例示する。
【0033】 1,1-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)-1-フェニルエタン、融点188℃; *1,1-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)シクロヘキサン、融点187℃ ヒ゛ス (4-ヒト゛ロキシフェニル)ヒ゛スフェニルメタン、融点320℃; *9,9-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)フルオレン、融点約225℃; *ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)フェニルメタン、融点161℃; *1,1-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、融点190
℃; *ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシ-3-メチルフェニル)ヒ゛スフェニルメタン、融点205
【0034】好ましいビスフェノール化合物としては、
1,1-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)-1-フェニルエタン、およびヒ゛ス(4-ヒト゛ロキ
シフェニル)ヒ゛スフェニルメタンが挙げられる。
【0035】ビスフェノール化合物の融点が150〜3
50℃の範囲内であれば、成形品の耐熱性及び耐衝撃性
はほとんど低下せず、樹脂の成形温度での流動性が向上
するため好ましい。又、(B)成分であるビスフェノー
ル系化合物の添加量は、(A)成分の樹脂100重量部
に対し0.1〜15重量部、好ましくは0.2〜10重
量部である。ビスフェノール系化合物の添加量が、
(A)成分の樹脂100重量部に対し0.1〜15重量
部であれば、熱流動性、すなわち成形性が改善され、耐
熱性樹脂の耐熱性及び耐衝撃性も保たれるため好まし
い。
【0036】本発明の耐熱性樹脂組成物は、耐熱性熱可
塑性樹脂の流動性を改善するために、ビスフェノール系
化合物以外に、必要に応じて従来より公知の添加剤、す
なわち高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、金属石
鹸、ポリオレフィンワックスなどの滑剤や、芳香族酸又
は脂肪族酸エステル系可塑剤などを適宜併用配合しても
良い。又、他の耐熱性熱可塑性樹脂を併用する場合、例
えば芳香族ポリカーボネート樹脂、ゴム変性スチレン系
樹脂とポリフェニレンエーテルとのポリマーブレンド
体、ポリフェニレンサルフェート樹脂及びポリアリレー
ト樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種に、さら
にポリスチレン系樹脂、ポリブチレンテレフタレートな
どを併用配合しても良い。
【0037】本発明の樹脂組成物は、上記各成分を市販
の単軸押出機あるいは二軸押出機などを用いて例えば溶
融混練することなどの通常用いられる公知の方法により
得られるが、その際にBHT等の酸化防止剤、紫外線吸
収剤、錫系熱安定剤、難燃剤、滑剤、充填剤、補強剤、
染料、顔料等を必要に応じて添加することができる。
【0038】この様にして得られた本発明の組成物を、
例えば射出成形または押出成形することにより、流動性
と耐衝撃性と耐熱性の優れた成形品が得られる。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。なお、実施例、比較例における測定は、以下の
方法もしくは測定機器を用いて行った。
【0040】(1) メルトフローレイト(MFR);流動
性の指標で、ASTM−D−1238に準拠した方法で
測定した。測定温度:280℃、荷重:2.16kg、
単位:g/10分。
【0041】(2) 引張強さ;ASTM D−638に準
拠した方法で測定した。
【0042】(3) Tg(ガラス転移温度);DSC(示
差走査熱量計)法(昇温速度=10℃/分、単位:℃) (4) アイゾット衝撃強度(Izod);ASTM−D2
56に準拠した方法で23℃で測定した(Vノッチ、1
/8インチ試験片)。
【0043】(5) 目視により、(A)成分の樹脂のみの
ペレットに比べ、非着色の場合を”○”、着色の場合
を”△”、濁り(非相溶)又は一部分解の場合を”×”
とした。
【0044】製造例 ビスフェノール系化合物(B)の
製造 (I)ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)ヒ゛スフェニルメタン (b-1)
【0045】
【化8】
【0046】撹拌機、冷却管、温度計、発生HCl吸収
装置付きフラスコに、 ベンゾフェノンクロリド 237g(1モル) フェノール 188g(2モル) キシレン 380g を仕込み、撹拌しながら完全に溶解させる。その後昇温
し、130℃(還流下)、5時間反応させた。反応終了
後、冷却し、析出した結晶を濾別した。メタノールで1
回再結晶し、収量320g(収率91%)で白色結晶性
の生成物を得た。融点320℃。
【0047】(II)ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシ-3-メチルフェニル)ヒ゛スフェニルメタ
ン (b-2)
【0048】
【化9】
【0049】上記(I)のフェノール188g(2モ
ル)に代えてo−クレゾールを用いた以外は上記(I)
と同様の方法により収量338g(収率89%)で白色
結晶性の生成物を得た。融点205℃。
【0050】(III)1,1-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)-1-フェニルエタン
(b-3)
【0051】
【化10】
【0052】撹拌機、冷却管、温度計、ガス導入装置付
きフラスコに、 アセトフェノン 120g(1モル) フェノール 470g(5モル) 触媒(HClガス) メチルメルカプタン・ナトリウム塩(15%水溶液) 4g を仕込み、触媒としての塩化水素ガスを0.1L/分の
割合で40℃にて2時間吹き込み反応させ、同温度で3
時間熟成し、反応を完結した。反応終了後、350gの
トルエンを添加後冷却し、析出した結晶を濾別した。メ
タノールで1回再結晶し、収量261g(収率90%)
で白色結晶性の生成物を得た。融点188℃。
【0053】(IV)9,9-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)フルオレン (b-4)
【0054】
【化11】
【0055】撹拌機、冷却管、温度計、ガス導入装置付
きフラスコに、 フルオレン 90g(0.5モル) フェノール 235g(2.5モル) 触媒(HClガス) β−メルカプトプロピオン酸 3g を仕込み、50℃で加熱撹拌し内容物を均一に溶解させ
た後、触媒としての塩化水素ガスを0.1L/分の割合
で約5時間継続して吹き込み、反応を完結させた。反応
終了後、300gのトルエンを添加後冷却し、析出した
結晶を濾別した。メタノールで1回再結晶し、収量15
9g(収率91%)で白色結晶性の生成物を得た。融点
225℃。
【0056】実施例1〜7 ポリカーボネート樹脂(P
C)組成物 PCとしてビスフェノールAを基本骨格とする三菱瓦斯
化学株式会社製の標準グレードのユーピロン S−20
00を使用した。また、ビスフェノール系化合物として
上記製造例で得た化合物(b-1)(実施例1〜3)、(b-
3)(実施例4〜6)及び(b-4)(実施例7)を使用し
た。
【0057】PCに、上記のビスフェノール系化合物を
表1に示す割合で添加し、押出機で240−260℃で
溶融混練し、ペレットを得た。得られたペレットについ
て、メルトフローレイト、ガラス転移温度及びペレット
外観を測定ないし評価した。さらに、このペレットをシ
リンダー温度280−300℃で射出成形して試験片を
作り、引張強さ及びアイゾット衝撃強さを測定した。結
果を表1に示す。
【0058】比較例1〜6 PCのみ(比較例1)またはビスフェノール系化合物の
代わりに従来公知の滑剤であるエチレンビスステアリル
アミド(共栄社化学株式会社製、ライトアマイドWH2
15)(比較例2〜4)、および従来より耐熱性(低揮
発性)のエステル系可塑剤として公知のトリオクチルト
リメリテート(TOTM、大八化学工業株式会社製)を
使用した以外は、実施例1〜7と同様にして各種の物性
値等を評価した。結果を表1に合わせて示す。
【0059】
【表1】
【0060】上記表1の結果から明らかなように、PC
を(A)成分とする本発明の組成物は、流動性(MF
R)と耐熱性(Tg)及び機械特性(引張強さ、アイゾ
ット衝撃強さ)を兼備していることが明らかになった。
【0061】一方、比較例2〜6の組成物は、PCの流
動性は改善するが、その程度は低く、耐熱性、機械的特
性の劣化が著しく、PCが本来有する特性を著しく損な
うものである。
【0062】実施例8〜13 変性PPE樹脂 (A)成分として変性PPE(旭化成工業株式会社製、
ザイロン500H)を用い、(B)成分のビスフェノー
ル系化合物として(b−1)(実施例8〜10)及び
(b−3)(実施例11〜13)を用いて、実施例1〜
7と同様にして各種の特性を評価した。結果を表2に示
す。なお、表2中、PPEは、変性PPEを表す。
【0063】比較例7〜13 変性PPEのみ(比較例7)又はビスフェノール系化合
物の代わりに従来公知の滑剤であるエチレンビスステア
リルアミド(共栄社化学株式会社製、ライトアマイドW
H215)(比較例8〜10)、変性PPEのポリマー
ブレンド成分であるゴム変性スチレン樹脂(HIPSと
略す)(三菱モンサント化成株式会社製、HT−88)
(比較例11、12)および従来より耐熱性(低揮発
性)のエステル系可塑剤として公知のトリオクチルトリ
メリテート(TOTM、大八化学工業株式会社製)を使
用した以外は、実施例8〜13と同様にして各種の物性
値等を評価した。結果を表2に合わせて示す。
【0064】
【表2】
【0065】上記表2の結果から、本発明の組成物は、
流動性、耐熱性及び機械的特性を兼備していることが明
らかになった。
【0066】一方、比較例8〜13の組成物は、流動性
が改善される添加量では耐熱性及び機械的特性の低下が
著しい。特にHIPSを除いては、添加量が増えるに従
いその傾向が著しい。また、HIPSにおいては、添加
量を増してもその流動性の改善効果はわずかである。
【0067】実施例14〜17 PPS樹脂 (A)成分としてPPS樹脂(ポリプラスチック株式会
社製、フォートロン2130A1)を用い、(B)成分
のビスフェノール系化合物として(b−1)(実施例1
4、15)及び(b−3)(実施例16〜17)を用い
て、混練温度(290〜300℃)、射出成形時のシリ
ンダー温度(300〜320℃)、メルトフローレイト
の測定温度(310℃)、荷重10kgとした以外は実
施例1〜7と同様にして各種の特性を評価した。結果を
表3に示す。
【0068】比較例14〜16 PPSのみ(比較例14)又はビスフェノール系化合物
の代わりに従来公知の滑剤であるエチレンビスステアリ
ルアミド(共栄社化学株式会社製、ライトアマイドWH
215)(比較例15、16)を使用した以外は、実施
例14〜17と同様にして各種の物性値等を評価した。
結果を表3に合わせて示す。
【0069】
【表3】
【0070】実施例18〜21 PAR樹脂 (A)成分としてPAR樹脂(ユニチカ株式会社製、U
ポリマーP−1001)を用い、(B)成分のビスフェ
ノール系化合物として(b−1)(実施例18、19)
及び(b−3)(実施例20、21)を用いて、混練温
度(290〜330℃)、射出成形時のシリンダー温度
(300〜350℃)、メルトフローレイトの測定条件
をJISK−6719に従って行った以外は実施例1〜
7と同様にして各種の特性を評価した。結果を表4に示
す。
【0071】比較例17〜19 PARのみ(比較例17)又はビスフェノール系化合物
の代わりに従来公知の滑剤であるエチレンビスステアリ
ルアミド(共栄社化学株式会社製、ライトアマイドWH
215)(比較例18、19)を使用した以外は、実施
例18〜21と同様にして各種の物性値等を評価した。
結果を表4に合わせて示す。
【0072】
【表4】
【0073】表3及び表4の結果より、本発明の組成物
は、優れた流動性及び加工性を有し、しかも樹脂が本来
有する耐熱性及び機械的特性を保持することを実証する
ものである。
【0074】比較例20〜23 (A)成分として塩化ビニル樹脂を含む下記の混合物を用
いた。
【0075】 塩ビ樹脂(ゼオン化成(株)、重合度1050、セ゛オン103EP) 100 部 DOP(大八化学工業(株)、シ゛-2-エチルヘキシルフタレート) 5 部 安定剤(東京ファインケミカル(株)) シ゛フ゛チルスス゛マレート系 3 部 シ゛フ゛チルスス゛シ゛ラウレート系 0.5部 上記(A)成分100部に対し、(B)成分として(b-1)また
は(b-3)を表5に示す割合で加え、下記の条件下に熱ロ
ール及び熱プレスをこの順に行い、成形した。
【0076】熱ロール:170℃×10分間; 熱プレス:190℃×予熱 5分間、 190℃×プレス5分間×100気圧。
【0077】得られた成形品について、実施例1〜7と
同様にして各種物性値等を評価した。結果を表5に示
す。
【0078】
【表5】
【0079】なお、表5中、熱ロール後熱プレスして作
成した成形品はペレット状ではないため、単に外観とし
た。
【0080】この様に、塩化ビニル樹脂にビスフェノー
ル系化合物を配合した場合、流動性は若干向上するが、
耐熱性(Tg)や機械的強度(引張強さ、Izod)は
大きく低下した。
【0081】また、塩化ビニル樹脂と本発明のビスフェ
ノール系化合物は、相溶性が悪く、成形品の外観におい
ても濁りを生じた。
【0082】このことは、塩化ビニル樹脂は元来熱安定
性が悪く、170〜180℃付近より脱塩酸を伴って分
解が開始するので、加工温度も比較的低い温度を採用す
るのが一般的で、流動性を改善するための添加剤も液体
から低融点化合物が有効であり、本発明のビスフェノー
ル系化合物の如き高融点化合物は、塩化ビニル樹脂への
加工性向上剤としては適していないことを証明するもの
である。
【0083】
【発明の効果】本発明の組成物は、優れた流動性と耐熱
性を兼備した耐熱性熱可塑性樹脂組成物である。この組
成物は家電部品、OA機器部品等に好適であり、特に優
れた流動性により、大型薄肉成形品を無理なく成形でき
るだけでなく、成形温度を低めに設定できることにより
成形サイクルの短縮が期待でき、これら産業界に果たす
役割は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−258252(JP,A) 特開 昭51−12836(JP,A) 特開 平3−269043(JP,A) 特開 昭48−51043(JP,A) 特開 昭51−74046(JP,A) 特開 昭63−248844(JP,A) 特開 平6−179805(JP,A) 特開 平2−67365(JP,A) 特開 平6−200147(JP,A) 特開 平4−298561(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08K 3/00 - 13/08 C08L 1/00 - 101/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、ゴム
    変性スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテルとのポリ
    マーブレンド体、ポリフェニレンスルフィド樹脂及びポ
    リアリレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1
    種の耐熱性熱可塑性樹脂、並びに (B)一般式(1): 【化1】 〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子または炭素数1〜4の低級アルキル基を示
    し、Xは 【化2】 又は一般式(2): 【化3】 〔式中、 3 はメチル基又はフェニル基を示し、R 4 はフ
    ェニル基を示す。〕を示す。〕で表され且つ融点150
    〜350℃を有するビスフェノール系化合物を含有して
    なる耐熱性樹脂組成物。
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