JP2930496B2 - 液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子及びその製造方法

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JP2930496B2
JP2930496B2 JP5078378A JP7837893A JP2930496B2 JP 2930496 B2 JP2930496 B2 JP 2930496B2 JP 5078378 A JP5078378 A JP 5078378A JP 7837893 A JP7837893 A JP 7837893A JP 2930496 B2 JP2930496 B2 JP 2930496B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、対向する2つの基板の
間に高分子からなる壁にて包囲された液晶領域を有する
表示媒体が挟持された液晶表示素子及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子には種々の表示モードのも
のがある。例えば、電気光学効果を利用する液晶表示素
子には、ネマティック液晶分子を用いたTN(ツィステ
ィドネマティック)モードや、STN(スーパーツィス
ティドネマチィック)モードのものが実用化されてい
る。更に、強誘電性液晶(FLC)を用いた液晶表示素
子も提案されている。これらは、偏光板および配向処理
を必要とする。
【0003】一方、偏光板を必要とせず、液晶の光散乱
を利用する液晶表示素子には、動的散乱(DS)モード
や相転移(PC)モードを利用したものがある。
【0004】近年、偏光板を必要とせず、しかも配向処
理を不要とする液晶表示素子として、液晶の複屈折性を
利用し、透明または白濁状態を電気的にコントロールす
る方式のものが提案されている。この液晶表示素子は、
電圧を印加して液晶の配向が揃うときに、液晶分子の常
光屈折率と、液晶を支持するポリマーなどの支持媒体の
屈折率とを一致させて透明状態となし、電圧を印加しな
いときには、液晶分子の配向の乱れにて光散乱が起こる
状態となすことにより表示するという基本方式をとる。
【0005】この方式である散乱型の液晶表示素子の製
造方法としては、以下の5つが提案されている。
【0006】第1の方法としては、ポリマーカプセルに
液晶を包含させて表示媒体を設ける方法がある(特表昭
58−501631号)。
【0007】第2の方法としては、光硬化性又は熱硬化
性の樹脂と液晶とを混合したものを使用し、樹脂のみを
析出して硬化させ、硬化した樹脂の間に滴状の液晶領域
を形成させる方法がある(特表昭61−502128
号)。
【0008】第3の方法としては、滴状の液晶領域の径
を制御する方法がある(特開平3−72317号)。
【0009】第4の方法としては、高分子多孔膜に液晶
を含浸させる方法がある(特開平3−59515号
等)。
【0010】第5の方法としては、離隔配設した2枚の
透明電極間に設けた液晶中に、光の散乱源となるポリマ
ー製のビーズを浮遊させた液晶構造が開示されている
(特開平3−46621号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た第1の方法による場合には、ポリマーカプセルに包含
された液晶が独立した滴状の液晶領域となっているた
め、液晶分子の配向に変化を生じさせるための駆動電圧
が各液晶領域毎に異なり、結果として全液晶領域を同時
に作動させるための駆動電圧が高くなり、液晶表示素子
として利用できる範囲が狭いものとなっている。
【0012】第2及び第3の方法では相分離法を利用し
ているものの、前者の場合では液晶滴を平面的に精密に
配置することが困難であり、後者の場合では液晶滴の位
置を精密に制御することが困難であった。
【0013】第4の方法による場合は、液晶領域を作製
するときに相分離を利用しないため、適応できる樹脂材
料や液晶の選択の自由度が非常に大きく、高分子多孔膜
の十分な精製が可能であるという利点を有するが、一方
において現状では、十分に滴状液晶領域の直径を制御す
ること、及び基板表面に沿った方向における液晶領域の
位置を精密に配置することができないという欠点を有す
る。
【0014】第5の方法による場合には、光の散乱強度
は大きいが、ビーズを均一に分散させることが難しく、
各絵素で同じ程度の散乱を発生させることが困難であ
り、表示むらが発生しやすいという欠点がある。
【0015】したがって、上述したように液晶領域を分
散した高分子型液晶を使用する、所謂高分子分散型の各
液晶表示素子は、その製造法上、液晶領域の形状が均一
でなく、かつ、その基板表面に沿った方向における液晶
領域の位置を正確に規制することが難しいものとなって
いた。よって、径が種々に異なる液晶領域が存在し、そ
の分布も均一となっていなかった。また、液晶領域の位
置を精度よく配置できないために、液晶領域ごとの駆動
電圧が異なり、そのため電気光学特性におけるしきい値
の急峻性に欠き、かつ、相対的に駆動電圧が高くなって
いた。さらに光の散乱能の低い小さい液晶領域が多数存
在するために、相対的にコントラストが低くなるという
問題点があった。
【0016】また、上述したごとく液晶領域の形状が均
一でなく、かつ、基板表面に沿った方向における液晶領
域の位置配置を規制することが難しいため、高精細な状
態で大画面化することができないでいた。加えて、液晶
表示素子を駆動させる方式が信号をオン・オフさせて平
均化した値により駆動させるデューティ駆動方式である
場合において、そのデューティ比を大きくすることがで
きずにいた。
【0017】更に、高分子分散型の各液晶表示素子は、
配向処理を行うことが難しいという問題があった。その
理由を以下に説明する。
【0018】配向処理方法としては、液晶表示素子の作
製時のポリマー重合時に磁場、電場を印加することによ
り配向させる方法が提案されている(特開平3−528
43号、およびLiquid crystal, Vol.5, No5, pp1477,
(1989))。しかし、この方法による場合は、ポリマー表
面に直接配向処理を施していないために配向規制力が弱
く、1方向にだけ液晶分子を配向させ得る方法であり、
液晶を挟む2つの基板の両側で異なる方向に配向させる
ことが必要なモード、例えばTNモード,STNモード
等には応用できない。
【0019】また、他に提案された配向処理方法として
は、配向処理を行った基板を用い、この基板上に生成し
たポリマー壁を通して間接的に配向させる方法がある
(17回 液晶討論会 講演予稿集 320頁)。しか
し、この方法による場合には、絵素電極上の配向膜表面
の上にポリマーが残ることが避けられず、直接に液晶分
子を配向させることが困難であり、前者の方法と同様に
配向規制力が著しく減じられ、実用上大きな問題となっ
ている。
【0020】また、上述したように偏光板および配向処
理を必要とする強誘電性液晶を液晶に用いた液晶表示素
子では、自発分極を発現させるためにSmC*(スメク
ティック)相が利用されるが、規則性がネマティック相
に比べより結晶に近い状態であるために、衝撃に対して
弱いことが問題となっている。この問題を解決するため
に強誘電性液晶を高分子中に分散させて衝撃を緩和する
ことが考えられているが、高分子中で配向処理を行うこ
とが難しく実用化に至っていない。
【0021】そこで、高分子中で強誘電性液晶を配向さ
せる方法として、強誘電性液晶を高分子中に分散させた
ものをフィルム状に加工し、これを一方向に延伸処理を
施すことにより配向させる方法が提案されている(特開
昭63−264721号〜264724号)。しかし、
この方法による場合には、液晶領域と高分子との界面が
1絵素内に数多く存在するので、入射してくる直線偏光
が散乱されて一部の光が脱偏光されるために、液晶表示
素子の白濁レベルが低下してコントラストが低下すると
いう問題があった。この問題は、偏光板を必要とする他
の表示モード、例えばTNモード,STNモード,EC
B(Electrically Controlled Birefringence:電界制
御複屈折)モードでも同様に起こる。
【0022】加えて、高分子中に分散させた液晶を疑似
固体化するに当り、液晶の配向制御を行うことと、液晶
と高分子との界面で起こる散乱による脱偏光によりコン
トラストが低下することとが問題となる。つまり、配向
については高分子分散型液晶表示素子では基板と液晶と
の間に高分子が存在するため、基板に対して配向処理を
行うことができなかった。一方、液晶と高分子との界面
で起こる散乱については、絵素内に液晶と高分子の界面
を少なくすればよいが、従来の方法では成り行きで液晶
領域を作製しているため困難である。更に、強誘電性液
晶を用いる液晶表示素子においては、使用する液晶相
(スメクティック相)のもつ規制性の高さにより、耐衝
撃性が弱くなるという別の問題がある。
【0023】なお、上述した第1〜第5の方法により得
られる液晶表示素子は散乱型のものであり、TNモー
ド、STNモード、ECBモードなどの非散乱型の液晶
表示素子には適用されていない。
【0024】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、滴状の液晶領域が均一な
径を有し、かつ、基板表面に沿った方向において規則正
しく配置でき、これにより閾値特性が急峻であり、か
つ、コントラストの優れた散乱型の液晶表示素子及びそ
の製造方法を提供することを第1の目的とする。また、
液晶領域の大きさを絵素に対して調整して液晶領域を形
成した非散乱型の液晶表示素子及びその製造方法を提供
することを第2の目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子
は、絵素がマトリクス状に配された液晶表示素子におい
て、電極をそれぞれ有する2つの基板の少なくとも一方
が透明で、該電極上には一軸配向処理が施された配向膜
が形成されており、該2つの基板が電極側を内側にして
対向配設され、対向する2つの基板の間に挾持された表
示媒体が、高分子を主体とする壁と液晶を主体とする液
晶領域とからなり、該壁が両基板に到達して、かつ密着
して形成され、該液晶領域が該壁で包囲されていると共
に、両基板に接近し、その接近する部分を基板に対して
平行となした平行部を有してなり、前記1つの絵素内に
含まれる該液晶領域の面積は該絵素の面積の30%以上
であることを特徴としており、そのことにより上記目的
が達成される。
【0026】本発明の液晶表示素子は、絵素がマトリク
ス状に配された液晶表示素子において、電極をそれぞれ
有する2つの基板の少なくとも一方が透明で、該2つの
基板が電極側を内側にして対向配設され、対向する2つ
の基板の間に挾持された表示媒体が、高分子を主体とす
る壁と液晶を主体とする液晶領域とからなり、該壁が両
基板に到達して、かつ密着して形成され、該液晶領域が
該壁で包囲されていると共に、両基板に接近し、その接
近する部分を基板に対して平行となした平行部を有して
なり、前記1つの絵素内に含まれる該液晶領域の面積は
該絵素の面積の30%以上であって、該液晶領域は複数
の液晶ドメインを有し、各液晶ドメイン又は液晶分子の
配向方向が基板表面にほぼ平行な面上において同心円
状、放射状又はランダム状となっていることを特徴とし
ており、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】前記1つの液晶領域は、1又は2以上の絵
素に対して配設されていてもよい。また、前記1つの絵
素内に、前記2つ以上の液晶領域がその全体又は一部を
含まれて存在していてもよい。
【0028】また、前記液晶領域は、中央部に位置する
内側液晶ドメインと、該内側液晶ドメインの外側を包囲
して形成された高分子領域と、該高分子領域の外側を包
囲して形成され、ディスクリネーションにて区切られた
複数の外側液晶ドメインとからなり、各外側液晶ドメイ
ンの方向が基板表面にほぼ平行な面上において放射状と
なっているようにしてもよい。また、前記液晶領域は、
ディスクリネーションにて区切られた複数の液晶ドメイ
ンとからなり、液晶ドメインの方向が基板表面にほぼ平
行な面上において異なる方向に向いているようにしても
よい。また、前記液晶領域は、中央部に位置する高分子
領域と、該高分子領域の外側を包囲して形成され、ディ
スクリネーションにて区切られた複数の液晶ドメインと
からなり、液晶ドメインの方向が基板表面にほぼ平行な
面上において放射状となっているようにしてもよい。
【0029】また、前記液晶領域に含まれる複数の液晶
分子は、基板表面に対してほぼ垂直な螺旋軸の回りに螺
旋状に配向されていてもよい。更には、前記液晶領域に
含まれる複数の液晶分子は、螺旋ピッチを15μm以
上、かつ100μm以下として設けられていてもよい。
また、前記液晶領域の両平行部間の厚みと屈折率異方性
との積を0.4μm以上、かつ1.1μm以下とし、両
基板間の離隔距離を3μm以上、かつ10μm以下とし
てもよい。
【0030】また、前記基板の一方側に遮光マスクが設
けられ、該遮光マスクが基板に到達した壁部分を、該壁
部分の面積の少なくとも50%以上覆うようにしてもよ
い。また、前記2つの基板の少なくとも一方の基板の外
側に偏光板が設けられ、かつ、該偏光板と基板間に少な
くとも一枚の負の屈折率異方性を有する位相差板が設け
てもよい。
【0031】また、前記電極上に垂直配向膜が設けられ
ていてもよい。
【0032】本発明の液晶表示素子の製造方法は、絵素
がマトリクス状に配された液晶表示素子の製造方法にお
いて、少なくとも光硬化性の高分子材料と液晶材料とを
含む混合物を、該2つの基板間に注入する工程と、該混
合物に弱照射領域を有する照射強度分布を持つ光を照射
し、両基板に到達して、かつ密着して形成された高分子
を主体とする壁と、該壁で包囲され、かつ、両基板に接
近し、その接近する部分を基板に対して平行となした平
行部を有する、液晶を主体とする液晶領域とからなる表
示媒体を両基板間に形成する工程と、を含んでおり、そ
のことにより上記目的が達成される。
【0033】前記製造方法において、電極をそれぞれ有
する2つの基板上に配向膜を形成して一軸配向処理を施
す工程を含んでもよい。
【0034】また、前記弱照射領域を光規制手段によっ
て形成してもよい。このとき、前記光規制手段がホトマ
スクであってもよく、また、該ホトマスクが前記2つの
基板の一方の液晶層側に形成されていてもよい。
【0035】前記製造方法において、前記弱照射領域が
1又は2以上の絵素にわたる範囲であってもよい。ま
た、前記弱照射領域の大きさが絵素の大きさの30%以
上であってもよい。
【0036】また、前記液晶領域形成用の複数の遮光部
を有するとともに、各遮光部に1又は2以上の透光部が
該遮光部のほぼ中央部を含んで設けられたホトマスクを
使用し、前記混合物に該ホトマスク側から光を照射して
もよい。このとき、前記ホトマスクに、該遮光部に透光
部から放射状に設けられた透光スリットを有するものを
使用してもよい。更には、光照射期間と光非照射期間と
を交互に設けて前記弱照射領域を有する照射強度分布を
持つ光を混合物に照射してもよい。
【0037】また、前記混合物に光重合抑制効果を有す
る化合物が含まれていてもよい。
【0038】また、前記混合物を2つの基板間に注入す
る工程としては、一方の基板に該混合物を付着させた後
で、2つの基板を貼り合わせることにより行ってもよ
い。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【作用】本発明では、少なくとも光硬化性の高分子材料
と液晶材料とを含む混合物を、電極をそれぞれ有する2
つの基板間に注入し、該混合物の液晶領域形成部分に光
強度を減じて光を混合物に照射する。
【0045】これにより、まず光照射領域にある光硬化
性の高分子が反応して高分子壁用の核が形成され、その
後、光照射部で高分子の濃度が低下するために高分子の
濃度勾配が形成され、その濃度勾配に沿って弱照射領域
内にある未反応の高分子が光照射領域に集まっていき重
合して、高分子壁が形成される。また、高分子壁の形成
がなされない部分に液晶領域が形成される。
【0046】この場合において、表示媒体における液晶
領域の形成位置に応じて弱照射領域の位置を設定し、光
を混合物に照射すると、その設定した弱照射領域に液晶
領域が形成される。このとき、弱照射領域が比較的小さ
いホトマスク等を用いて光を混合物に照射すると、ほぼ
球状をした液晶領域が弱照射領域に形成され、得られる
液晶表示素子は散乱型となる。散乱モードの液晶領域を
図22に示す。この液晶領域dは、1つの絵素bに対し
て多数形成され、しかも直径が非常に小さいものとなっ
ている。
【0047】散乱モードとは、高分子に囲まれた液晶に
おいて散乱と透過状態を電気的にコントロールする液晶
表示素子のことである。その原理は、電圧印加時に液晶
分子の屈折率と高分子材料の屈折率とをほぼ一致させる
ように設定する。その場合、電圧印加時は、透明状態、
電圧無印加時は、液晶分子が高分子壁との相互作用によ
りランダム配向状態となり、液晶の見かけ上の屈性率が
上昇し、高分子壁との屈折率のミスマッチングにより散
乱状態となるものである。
【0048】かかる場合において、光硬化性の高分子材
料と液晶との混合物を、少なくとも一方が透明である2
枚の電極基板間に注入し、絵素の大きさの少なくとも3
0%以上の面積に相当する部分で照射光強度を減じて、
混合物に光を照射する。なお、照射光強度を減じる手段
としては、ホトマスク等が相当し、ホトマスク等の側か
ら光を照射すればよい。
【0049】すると、混合物の光が強く当たった部分で
は、高分子材料が硬化して両基板に到達する壁状とな
り、その壁で囲まれた部分に液晶領域が形成された状態
となる。つまり、液晶領域が分散した状態で形成され
る。
【0050】一方、弱照射領域が比較的大きいホトマス
ク等を用いて光を混合物に照射すると、液晶領域が広く
なって、両側の基板に接近した部分に基板表面と平行と
なった平行部を有する液晶領域が形成され、得られる液
晶表示素子は非散乱型のものとなる。非散乱モードと
は、上記のような屈折率の差により起こる散乱をできる
だけ減少させ、液晶の分子配向の変化だけで表示を行う
ものである。液晶の分子配向の変化を取り出す方法とし
ては、偏光板を用いて屈折率の変化を捕らえる方法(T
N、ECBなど)と偏光板を用いず二色性色素を液晶中
に添加したGH(ゲストホスト)モードなどがある。
【0051】この非散乱型の液晶表示素子において、ホ
トマスク等の照射光強度を減じる手段を適当な状態とし
ておくことにより、各液晶領域を1つの絵素に対して、
或は2以上の絵素に対して設けることができる。また、
絵素が大きい場合であっても、液晶領域の全体または一
部を1つの絵素に対して1又は2以上保有させることが
可能となる。
【0052】また、光硬化性の高分子材料と液晶材料と
の均一混合物を、相対する2枚の基板の一方に滴下もし
くは塗布後、2枚の基板を貼り合わせ、しかる後に高分
子材料を硬化させるようにしてもよい。
【0053】更に、液晶領域を各絵素毎に対して配設
し、液晶層の一方側に設けた遮光マスクを設け、該遮光
マスクが前記基板の一方に到達した壁部分を、該壁部分
の面積の少なくとも50%以上を覆うようにすると、壁
と液晶領域との界面で散乱した光が外部に漏れるのを抑
制することができる。特に、遮光マスクを液晶領域より
光入射側に設ける場合は、入射光が壁と液晶領域との界
面で散乱すること自体を抑制できる。
【0054】特に、ホトマスクを使用した場合、あらか
じめ照射領域を限定することができ、液晶表示素子の各
絵素に対して優先的に液晶領域を作製することができる
ので、1絵素内に複数個の液晶領域を作製する場合につ
いても、絵素外に高分子材料を多く配置することがで
き、コントラストを向上させやすいので好ましい。
【0055】なお、非散乱型の液晶表示素子の製造に際
して、混合物の材質や光照射条件などを変更することに
より、光重合速度が変わって高分子と液晶との相分離速
度の調整がなされる。
【0056】 相分離速度、つまり光重合速度が速い場合 光照射領域から漏れた光により弱照射領域内でも高分子
材料に光重合反応が起こり、弱照射領域でも複数の液晶
領域が発生する。この場合は、図23に示すように、絵
素b内に存在する各液晶領域dが片方の基板上方から見
て円形であり、その配向方向は高分子壁に沿って同心円
状に、かつ、基板表面に対してほぼ平行となっている。
かかる表示媒体に電場を印加すると、その電場印加時に
中間調において液晶分子が立ち上がり方が全方位的にな
り、どの方向から見ても見かけ上の屈折率がほぼ同一と
なり、視野角の特性が改善されてコントラストが向上す
る。
【0057】 相分離速度、つまり光重合速度が遅い場合 弱照射領域内での重合反応が減少し、液晶領域の形がホ
トマスクの遮光部の形に近くなるが、弱照射領域にある
光硬化性の高分子が高分子壁の重合が行われている箇所
にまでは物質移動により到達できず、図24(a)、
(b)、(c)、又は(d)に示すように、絵素(弱照
射領域)b内のほぼ中央に液晶領域dが発生すると共
に、その外側に高分子領域fと別の液晶領域dが、別の
液晶領域dを外側として形成され、別の液晶領域dが、
例えばドーナツ状又は、一部が切れたC型の形状に形成
される。
【0058】形成された液晶領域内の液晶は、中央部の
円形液晶領域においては上記と同様に配向している
が、周辺のドーナツ状又は、一部が切れたC型の液晶領
域は、複数個の液晶ドメイン(液晶領域間に高分子など
の壁状物が存在しないが配向状態が異なる領域のことを
示し、ドメイン間のディスクリネーションラインにより
区別される)により構成され、複数のドメインによりド
ーナツ状又は一部が切れたC型の形状の中央部から放射
線状に近い形状で配置されている。
【0059】この現象は、光硬化性高分子が物質移動し
ながら重合反応が起こるために液晶分子が高分子壁に垂
直に配向しようとするために起こっており、更に液晶領
域が大きくなった場合でも同様の現象が見られる。この
ような配向状態にある表示媒体に電場を印加した場合、
中央部の円形液晶領域に対しては上記と同様な現象と
なり、一方、ドーナツ状又は一部が切れたC型の形状部
分についても液晶分子が起き上がる方向が各ドメイン間
で異なり、上記と同様の原理で視野角の特性、所謂視
角特性が飛躍的に向上する。なお、この場合よりも光重
合速度がもう少し速い場合には、図25に示すような液
晶領域が得られる。図25においては、ホトマスクの弱
照射領域bのエッジ部に対応する部分に複数の円形液晶
部が互いに接したような液晶領域d2と、それに囲まれ
た領域に多数の円形液晶部d1が存在する。
【0060】 相分離速度、つまり光重合速度がさらに遅い場合 弱照射領域内での高分子の残存が更に減少し、ほぼ弱照
射領域と同様の液晶領域が作製されることになる。この
場合、液晶領域内の液晶分子の配向は、図26(a)、
(b)、(c)、又は(d)に示すように、複数個のド
メインgによって構成され、かつ、ドメインg間のディ
スクリネーションラインhが高分子壁に垂直になるが、
液晶領域dの中央部に島状部がないためランダムとな
る。このとき、ホトマスクの弱照射領域(遮光部)bの
中央部に透光孔を設けると、図27に示すように液晶領
域dの中央部に高分子の島iを形成でき、この島iを中
心に放射状に液晶ドメインgを配置することができる。
【0061】かかる表示媒体に電場を印加すると、液晶
分子の動きは、上記と同様であり、基板表面の垂直方
向からの一定角の全方位から見て屈折率がほぼ同じにな
り、視角特性が改善される。この場合には、液晶領域の
絵素に対する占有率が高くなり、コントラストを大きく
できるので好ましい。
【0062】また、上記およびの場合において、一
例として混合物にカイラル剤を添加しておくと、液晶領
域に含まれる複数の液晶分子が図28に示すようにな
る。即ち、図28(b)に示すように液晶領域dを基板
側から見ると、複数のドメインgが放射状となるもの
の、図28(a)に示すように各液晶分子jが基板表面
に対してほぼ垂直な螺旋軸kの回りに螺旋状に配向され
た状態となる。より詳細に説明すると、図28(c)の
I層部分を基板側から見た場合には、図28(C)のI
層のようになり、図28(a)のII層、III層、IV層を
基板側から見た場合には、図28(c)のII層、III
層、IV層を基板側から見た場合には、図28(c)のII
層、III層、IV層のようになる。なお、図28(a)に
示すlはディスクリネーションラインを示す。
【0063】一方、カイラル剤を添加しない場合には、
複数の液晶分子が、図29に示すようになる。即ち、図
29(b)に示すように液晶領域dを基板側から見る
と、複数のドメインgが放射状となるものの、図29
(a)に示すように各液晶分子jが基板表面に対してほ
ぼ垂直な軸の回りに一定方向に配向された状態となる。
より詳細に説明すると、図29(a)のI層部分を基板
側から見た場合には、図29(c)のI層のようにな
り、図29(a)のII層、III層、IV層を基板側から見
た場合には、図29(c)のII層、III層、IV層のよう
になる。
【0064】但し、カイラル剤を添加し過ぎる場合に
は、図30(b)に示すように液晶領域dを基板側から
見ると、複数のドメインgが放射状となるものの、図3
0(a)に示すように液晶分子の配向が螺旋状態となっ
ても螺旋軸が基板表面に平行となる。尚、このような現
象は、混合物にカイラル剤を添加した場合の他に、ネマ
ティック液晶にコレステリック液晶を添加した場合など
でも起こる。
【0065】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づいて具体
的に説明する。
【0066】(実施例1)本発明を散乱型の液晶表示素
子に適用した場合について説明する。
【0067】図1は本実施例の液晶表示素子を示す断面
図である。この実施例においては、図示しないスペーサ
を間に介して2つの基板12、13が対向配設されてい
る。一方の基板12は、ガラスからなり、ITOからな
る絵素電極11が形成されている。もう一方の基板13
は、ガラスからなり、一面上にホトマスク14が配置さ
れ、他面にITOからなる対向電極15が形成されてい
る。
【0068】両基板12、13の間には、液晶材料と光
硬化性をもつ高分子材料とを混合してなる混合物が封入
されており、この混合物に紫外線光20を照射して高分
子材料を硬化させた。硬化した後の両基板12、13の
間には、高分子の壁17で液晶領域16が包囲された液
晶層が得られた。
【0069】このようにして作製された高分子分散型液
晶表示素子を次のようにして観察を行った。即ち、高分
子分散型液晶表示素子を分断し、液体窒素中でセルを剥
離し、アセトンで液晶材料を洗い流した後の高分子の壁
17の水平断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観
察したところ、ドットパターンと同じで規則性で、か
つ、同程度の大きさで均一に揃ったほぼ球状をした液晶
領域16が形成されていることが確認された。
【0070】本実施例1にあっては、一つの液晶領域か
ら隣接する液晶領域までの基板表面に沿った方向におけ
る距離aが、同方向における絵素寸法内であり、しかも
前記距離の平均値bに対し、3b/2>a>b/2とな
る液晶領域間が全体の80%以上である規則性を有する
ようにすることを1つの特徴としている。
【0071】本発明者らの検討結果によれば、照度変化
を構成する強照度領域と弱照度領域のうち、弱照度領域
の周期の大きさが2μmより小さい場合、液晶領域径も
2μmより小さくなり、可視光により散乱しにくい液晶
領域が多くなり電圧無印加時の光散乱が低下する。ま
た、基板間の厚さとも微妙に関係しており、基板間の厚
さより弱照度領域が小さいと、液晶領域が円形状のハニ
カム構造となり、やはり光散乱性が低下する原因とな
る。更に、電圧を印加した場合にも十分に透明化しない
という問題を生じる。
【0072】逆に、弱照度領域が50μmより大きい場
合には、液晶領域も50μmより大きくなり、基板間隔
の大部分を液晶領域が占めることになり、電圧無印加時
の光散乱特性のうち遮蔽性が低下するため好ましくない
ということが判明した。
【0073】従って、以上の判明した結果を考慮する
と、本実施例1にあっては、弱照度領域の平均範囲とし
ては、好ましくは2μm以上であり、かつ50μm以下で
あるようにし、更に望ましくは3μm以上であり、かつ
20μm以下であるようにする。なお、20μm以下とす
ると、光の波長に近い大きさの散乱源ほど散乱強度を強
くでき、散乱能の向上を図れる。
【0074】このように限定することで、一つの液晶領
域から隣接する液晶領域までの基板表面に沿った方向に
おける距離aが、同方向における絵素寸法内であり、し
かも前記距離の平均値bに対し、3b/2>a>b/2
となる液晶領域間が全体の80%以上である規則性を有
するようになる。つまり、液晶領域の規則性が増すよう
になる。
【0075】また、混合物への光照射は、1つの絵素内
に少なくとも一箇所が該絵素を中心とした該絵素面積の
10倍の円内の最高照度に対し90%以下となる光強度
分布で光を使用するのが好ましい。
【0076】また、弱照度領域の形状については、UV
強度を局部的に低下させるものであればよい。本実施例
では、特に限定しないが、円形、方形、台形、六角形、
長方形、ひし形、文字型、曲線及び直線によって区切ら
れた図形が該当する。また、これらの図形の一部をカッ
トしたもの、これらの図形を組み合わせた図形、或は、
これらの小形図形の集合体等が該当する。但し、集合体
とする場合は、弱照度領域の平均径は、集合体の中心か
ら最外郭までの距離とする。加えて、実施に際しては、
これら図形から1種類以上選択して使用すればよく、液
晶領域の均一性を上げるためには、できるだけ形状を1
種に限定し揃えるのが好ましい。
【0077】また、本実施例の他の特徴は、液晶領域を
基板表面に沿った水平方向に規則的に配列するところに
ある。この場合は、弱照度領域の配置が問題となる。弱
照度領域の配置としては、各領域間の距離が1μmより
短くなると、弱照度領域が連続的で、かつ、照度部分が
点状になり、本発明の液晶領域を規制する効果がなくな
ってしまう。
【0078】逆に、各領域間の距離が50μmより長く
なると、UV光をカットして液晶領域を制御できない領
域が増加し、従来と同様なランダムな径の液晶領域が生
成する領域が多くなり本実施例の効果が薄れてしまう。
【0079】したがって、本実施例1にあっては、各領
域間の距離としては1μmから50μmとする。より好ま
しくは、5μmから20μmとする。なお、ホトマスクに
ついても同様の規則性が要求される。
【0080】弱照度領域は、それぞれの領域が独立であ
る必要はなく、末端でつながっていても差し支えなく、
最もUV光をカットする領域が上記形状、配列をもって
いるものであればよい。
【0081】液晶については、常温付近で液晶状態を示
す有機物混合体であって、ネマッチック液晶(2周波駆
動用液晶、△ε<0の液晶を含む)、コレステリック液
晶(特に、可視光に選択反射特性を有する液晶)もしく
はスメクチック液晶、強誘電性液晶(SmC*)、デス
コティック液晶などが含まれる。これらの液晶は、混合
してもよく、特にネマチック液晶若しくはコレステリッ
ク液晶の添加されたネマチック液晶が特性上好ましい。
更に好ましくは、加工時に光重合反応を伴うため耐化合
反応性に優れた液晶が好ましい。具体的には、化合物
中、フッ素原子などの官能基を有する液晶であり、ZL
I−4801−000、ZLI−4801−001、Z
LI−4792などである。
【0082】高分子材料については、混合物を形成すべ
く液晶材料と混合され、最終的に2枚の基板および液晶
領域を支える壁となる物質であるため、その選定は重要
である。本実施例において使用可能な高分子材料として
は、光硬化性モノマーが相当し、更に他の高分子物質等
でもよい。光硬化性モノマーとしては、例えば、C3以
上の長鎖アルキル基または芳香環を有するアクリル酸お
よびアクリル酸エステルがある。更には、アクリル酸イ
ソブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリ
ル、アクリル酸イソアミル、n−ブチルメタクリレー
ト、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ステア
リルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、
ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタク
リレートがある。
【0083】また、ポリマーの物理的強度を高めるため
に2官能以上の多官能性化合物、例えば、ビスフェノー
ルAジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレー
ト、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、1、6
−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテ
トラアクリレートなども使用できる。
【0084】更に、使用可能なものとしては、上述した
モノマーをハロゲン化、特に塩素化やフッ素化した化合
がある。このような材料としては、例えば2,2,
3,4,4,4−ヘキサフロロブチルメタクリレート、
2,2,3,4,4,4−ヘキサクロロブチルメタクリ
レート、2,2,3,3−テトラフロロプロピルメタク
リレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピルメタ
クリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレー
ト、パークロロオクチルエチルメタクリレート、パーフ
ロロオクチルエチルアクリレート、パークロロオクチル
エチルアクリレートが挙げられる。
【0085】以上述べた高分子材料は、単独で使用して
も良く、或は2種以上混合して用いてもよい。また、上
述したモノマーに、必要に応じて塩素およびフッ素化さ
れたポリマーやオリゴマーを混合して用いてもよい。
【0086】なお、スイッチング素子としてTFT(thi
n film transistor)を使用する場合には、液晶材料だけ
でなく高分子樹脂にも電気絶縁性が要求されるため、未
硬化状態でも高分子樹脂の比抵抗が、1 x 1012 Ω・c
m以上であるものを使用するのが好ましい。
【0087】これらの液晶材料及び高分子材料の組み合
わせに当り、従来の光重合相分離法で高分子分散型液晶
表示素子を作製したときに、作製された液晶領域の径
が、本実施例で使用するホトマスクのドット径よりも大
きくすることが好ましく、また、逆に小さい場合でもU
V光強度を弱めたり、光硬化触媒の添加量を抑えたりす
ることにより使用することができる。なお、ホトマスク
の位置は表示素子の内外どちらでもよく、UV光に規則
的にむらを形成できればよい。
【0088】以下に、本実施例1についての具体例を説
明する。
【0089】[具体例1]一方がITO(酸化インジュ
ウムおよび酸化スズの混合物)からなる絵素電極11が
形成されたガラス基板12(日本板ガラス製ITO−5
00オングストローム付きフリントガラス)であり、他
方がガラス基板13の一面上に図1に示すアルミニウム
製ドットパターン(直径10μmの円形で、中心間の距
離が15μmで升目型配置)を有するホトマスク14を
配置し、他面にITOを500オングストローム蒸着し
てなる対向電極15が形成されたガラス基板である2枚
の基板を用い、12μmのスペーサーを介してセルを作
製した。
【0090】次に、作製したセルに、0.1gのトリメ
チロールプロパントリメタクリレートと、0.9gの2
−エチルヘキシルアクリレートと、4gのZLI−47
92(メルク社製)に0.03gの光硬化性触媒Irgacu
re184(チバガイギー製)を混合したものとを、均一
に混合した後に注入する。その後、ホトマスク14側か
ら平行光線を得られる高圧水銀ランプを用いて20mW
/cm2の照度で2分間紫外線20を照射して樹脂を硬
化させ、高分子分散型液晶表示素子とした。セル内には
高分子の壁17に、ホトマスク14によって制御された
液晶領域16が規則正しく形成された。
【0091】作製された高分子分散型液晶表示素子を観
察した結果、均一性の指標である、一つの液晶領域から
隣接する液晶領域までの基板表面に沿った方向における
距離aが、同方向における絵素寸法内であり、しかも前
記距離の平均値bに対し、3b/2>a>b/2となる
液晶領域間が全体の95%であった。
【0092】この高分子分散型液晶表示素子の電気光学
特性は、光透過率が電圧を過剰に高電圧にしたときの飽
和透過率Tsから電圧無印加時の透過率T0を引いた値の
10%透過率が上昇したときの印加電圧V10が4.3
V、90%透過率が上昇し、時の印加電圧V90が5.1
Vであり、従来の高分子分散型液晶表示素子に較べて駆
動電圧が低く、且つ、すばらしい峻敏性(α=V90/V
10=1.18)を有した特性であった。さらに、この高
分子分散型液晶表示素子に前後に偏光板を直交ニコルに
なるように配置した。これによって、電圧印加時に黒状
態、電圧無印時に白状態となり良好な白黒表示が達成さ
れた。
【0093】この具体例1に対し、以下のような比較例
1の液晶表示素子を作製した。この比較例1の液晶表示
素子は、具体例1のホトマスク14付き基板13に変
え、他方の基板12と同じITO付きガラス(日本板ガ
ラス製ITO−500オングストローム付きプリントガ
ラス)を用い、具体例1と同様に高分子分散型液晶表示
素子を作製した。
【0094】この比較例1の液晶表示素子は、SEMで
観察したところ、液晶領域径及び形状がランダムである
ことが確認された。均一性の指標である、一つの液晶領
域から隣接する液晶領域までの基板表面に沿った方向に
おける距離aが、同方向における絵素寸法内であり、し
かも前記距離の平均値bに対し、3b/2>a>b/2
となる液晶領域間が全体の65%であった。また、電気
光学特性は、V10が7.5V、V90が13.7Vであ
り、α=1.83であった。
【0095】[具体例2]具体例1の両方のガラス基板
12及び13を125μm厚のITO付きPETフィル
ムに代え、12μmのスペーサーを2枚のPETフィル
ムの間に入れセルを構成し、具体例1と同じ材料をセル
中に注入した。続いて、具体例1と同様のドットパター
ンを有するホトマスクをマスク像がPETフィルムに接
するように置き、マスクごしに具体例1と同様にUV光
照射を行って、高分子分散型の液晶表示素子を得た。
【0096】得られた高分子分散型液晶表示素子をSE
Mで分析し、液体窒素中でセルを剥離してアセトンで液
晶材料を洗い流した後の高分子の壁の水平断面を観察し
た。その結果、ドットパターンと同じで規則性で、か
つ、同程度の大きさで均一に揃った液晶領域が作製され
ていることが確認された。また、均一性の指標である、
一つの液晶領域から隣接する液晶領域までの基板表面に
沿った方向における距離aが、同方向における絵素寸法
内であり、しかも前記距離の平均値bに対し、3b/2
>a>b/2となる液晶領域間が全体の97%であっ
た。更に、電気光学特性は、V10が4.6Vであり、9
0%透過率が上昇した時の印加電圧V90が5.8Vであ
った。よって、従来の高分子分散型液晶表示素子に較べ
て駆動電圧が低く、且つ、すばらしい峻敏性(α=V90
/V10=1.26)をもつ特性を確保することができ
た。
【0097】この具体例2に対し、以下のような比較例
2の液晶表示素子を作製した。この比較例2の液晶表示
素子は、ホトマスク14を被せずにUV光照射すること
を除いて、他を具体例2と同様にして高分子分散型液晶
表示素子を作製した。作製した高分子分散型液晶表示素
子中のポリマーマトリックスの形状は、ランダムな形状
となっている。均一性の指標である、一つの液晶領域か
ら隣接する液晶領域までの基板表面に沿った方向におけ
る距離(ピッチ)aが、同方向における絵素寸法内であ
り、しかも前記距離の平均値bに対し、3b/2>a>
b/2となる液晶領域間が全体の67%であった。ま
た、電気光学特性は、V10が7.7V、V90が14.3
Vであり、α=1.85であった。
【0098】なお、ホトマスクとしては、その規則性パ
ターンを連続又は独立して形成してあり、該パターンの
最小繰り返し単位部分が1μm以上かつ50μm以下の
直径の円内に収まる大きさであり、また該単位部分の中
心から最も近い単位部分の中心までの離隔距離が1μm
以上かつ50μm以下としてあるものの使用が可能であ
る。
【0099】上述したように本実施例1による場合は、
均一な径の液晶領域が基板表面に沿って規則正しく配置
された、高分子分散型の液晶表示素子を少ない工程で歩
留り良く作製し得る。
【0100】また、得られる液晶表示素子は、高分子分
散型ではない従来の液晶表示素子と比較しても遜色のな
い性能を有している。更に、絵素電極に対する液晶領域
の数および形状を自由に変化できるため、従来の高分子
分散型液晶表示素子では行えなかった、液晶領域と高分
子からなる壁との界面で起こる光散乱強度の制御、駆動
電圧の調整あるいは画面の高精細化等が可能となる。更
に、液晶領域の径が均一であるために、閾値特性が急峻
となり、高精細でハイコントラストの表示が可能とな
る。加えて、前述のようにして遮光マスクを設けた場合
には、前記界面で生じる散乱を抑制でき、よりコントラ
スト特性の向上を図れる。更には、高デューテイ比の単
純マトリックス駆動に対しても使用可能性がある。この
ような液晶表示素子は、例えばプロジェクションテレ
ビ、パソコン等の表面ディスプレイ装置、シャッタ効果
を利用した表示板、窓、扉、壁等に利用することができ
る。特に、バックライトを使用しない直視型高分子分散
型液晶表示素子にも利用することができる。
【0101】(実施例2)本実施例2以降は本発明を非
散乱型液晶表示素子に適用した場合である。
【0102】図2に基づいて本実施例2に係る液晶表示
素子の製造方法を説明する。先ず、図2(a)に示すよ
うに、基板1と対向基板3とを対向させ、対向する2つ
の基板1、3の間に液晶材料と、光硬化性の高分子原料
からなる混合物5を封入する。図に示す上側の基板1は
透明であり、その内面側には絵素電極2が形成されてい
る。一方の対向基板3の内面には、全面にわたり対向電
極4が形成されている。
【0103】次に、基板1の上に、ガラス板6の表面に
ホトマスク7が形成されたものを載置し、ホトマスク7
側から混合物5に向けて紫外線(UV)光10を照射す
る。これにより、図2(b)に示すように、高分子樹脂
からなる壁8と、その壁8で包囲された液晶領域9とが
形成される。この形成は、UV強度の強い部分では重合
速度が速くポリマーが速く析出し、共存している液晶分
子を光強度の低い部分へと押し出し、その結果、UV強
度の低い部分に液晶領域9が生成する。液晶領域9は、
基板1、3に接近した部分が基板1、3の表面と平行な
平行部を有している。
【0104】このようにして製造された本発明に係る液
晶表示素子は、ホトマスク7で覆われている部分には液
晶領域9が形成され、ホトマスク7で覆われていない部
分には高分子樹脂からなる壁8が形成される。即ち、液
晶領域9と高分子樹脂からなる壁8とが明瞭に分離され
て形成される。
【0105】上述したように液晶領域9に平行部を設け
るのは、液晶領域と高分子壁との境界を絵素の外側に位
置させて、各部で屈折率に変化の少ない液晶領域9内だ
けに入射光を通過させることにより、散乱能の低下を図
るためである。この場合、平行部は、大きい程効果的で
ある。
【0106】また、壁8が両基板1と3に達して形成さ
れているので、両基板1と3とが強固に壁8にて保持さ
れ、耐ショック性が向上する。更には、基板1、3を立
てた状態で液晶表示素子を使用しても液晶の重みにより
両基板1、3間の側の隙間が側の隙間よりも広くな
ることを抑制できる。特に、基板としてフィルム状のも
のを使用する場合に効果がある。
【0107】本実施例2により実際に形成された液晶領
域の形状は、液晶表示素子を2枚に剥し、液晶分子を溶
剤で除去し、残った壁8からなるポリマーマトリクスを
SEM(走査型電子顕微鏡)により、観察・確認でき
る。なお、SEM観察用サンプル作製時に構造が破壊さ
れる部分もあるため、サンプル内で最も規則性の優れて
いる20個の液晶領域を選んで、ポリマーマトリクスを
観察するのが好ましい。
【0108】図3は、壁8と液晶領域9とが相分離して
いる状態を顕微鏡で観察することにより得られた図であ
る。この図より理解されるように、ホトマスクにより遮
光されている領域には高分子からなる壁8は形成され
ず、一方、紫外線の照射されている領域とその近傍には
壁8が形成されていることが確認された。但し、この壁
8には、小さな液晶領域が形成されていることがある。
【0109】以下に、本実施例に適用される各部の構成
や、変形例などについて説明する。 (ホトマスクなどの光規制手段) 本発明者らの検討結果によれば、照度むらを形成する強
照度領域と弱照度領域とのうち、弱照度領域の大きさが
絵素の面積の30%以下の大きさのものを使用すると、
生成する液晶領域も絵素の面積の30%以下の大きさと
なることが判明した。この場合には、1つの絵素内に液
晶領域と高分子の壁との界面が多く存在するようにな
り、散乱によるコントラストの低下が大きくなり、実用
的ではない。よって、絵素内に含まれる少なくとも1つ
の液晶領域が絵素の面積の30%以上の大きさに限定し
た。
【0110】そこで、本実施例は、図2(b)に示すよ
うに液晶領域9の大きさは絵素電極2と同じ程度の大き
さとする。このようにすると、絵素部分に液晶領域9の
みを形成でき、基板に配向膜を設けておくことにより液
晶領域9の配向方向を設定できる。また、このようにす
るのは、開口率の点からも好ましい。
【0111】また、本実施例は、基板表面に沿って液晶
領域9を規則的に、即ち各絵素に対応して配列するのが
好ましい。この場合、図4に示すように、液晶領域9を
形成するための弱照度領域の配置は、絵素9aの配列ピ
ッチに合わせるのがよく、1絵素内に1弱照度領域を配
置するのが好ましい。或は、図5に示すように、弱照度
領域を2つの絵素9aにわたって、又は3以上の絵素9
aにわたって配置してもよい。更に、各弱照度領域は、
それぞれの領域が完全に分離している必要はなく、末端
部でつながっていても差し支えなく、UV照射光を効果
的に遮断する領域が後述する形状や配列をもっていれば
よい。
【0112】更に、図6に示すように、散乱光の原因と
なる液晶領域9と高分子からなる壁8との界面を絵素内
で少なくなるようにするためには、絵素電極2の大きさ
よりも大きい弱照度領域を作り出すのが好ましい。この
とき、絵素以外の部分のみにUV光が照射されるような
光規制手段を使用するとよい。特に、その光規制手段と
してはホトマスクを使用するとよく、絵素内での光散乱
強度を低下させ、液晶表示素子のコントラストを向上さ
せることが可能となる。
【0113】ホトマスクの弱照度領域の形状は、絵素の
30%以上の部分のUV強度を局所的に低下させ得れば
よい。特に限定しないが、円形、方形、台形、六角形、
長方形、ひし形、文字型、曲線および直線によって区切
られた図形等が相当する。加えて、これら図形の一部を
カットしたもの、これら図形を組み合わせた図形、およ
びこれらの小形図形の集合体等も相当する。実施に際し
ては、これら図形から1種類以上選択して使用すればよ
く、液晶領域の均一性を向上するためには形状を1種に
限定するのが好ましい。
【0114】本実施例においては、ホトマスクに代え
て、他の光規制手段を用いることができる。例えば、規
則的なUV強度の分布を形成することが可能なマイクロ
レンズ、干渉板などを用いることができる。また、この
ような光規制手段は、液晶表示素子の内外どちらに存在
させても良く、UV照射光に規則的に強弱を付与できれ
ばよい。但し、ホトマスクを使用する際は、液晶層とホ
トマスクとの距離を大きくすると、ホトマスクを経た光
により像がぼやけて弱照度領域が不明瞭となり、本発明
の効果が減少するため、できるだけ液晶層に近付けるの
が好ましい。
【0115】(照射光)本実施例に使用するUV光とし
ては、ビーム光やライン光などを使用できるが、できる
だけ平行光線であることが望ましい。但し、強誘電性液
晶を使用する液晶表示素子の場合には、平行度の少し悪
い照射光を使用しても良い。即ち、強誘電性液晶を使用
する液晶表示素子の場合には、耐衝撃性を向上させる必
要があり、そのためには液晶領域の周りに緩衝体とし
て、更に小さな液晶領域を配置することが効果的である
からである。平行度の少し悪い照射光を使用する代わり
に、ホトマスクなどの光規制手段の端部をぼかしたり、
ホトマスクを故意にセル本体から離したりしても良い。
なお、本実施例は、UV光だけでなく、UV光を含んだ
光一般を用いることができる。
【0116】また、本実施例にあっては、必要な液晶領
域径とほぼ同程度の規則的な弱照度領域を有する分布の
光を照射する場合は、高分子樹脂を規則的に光重合さ
せ、均一な液晶領域を基板表面に沿った方向において規
則的に配置することが可能となる。
【0117】(液晶層の最適厚)表示モードによって液
晶層の最適厚は異なる。
【0118】 (混合物の基板間への注入方法) 本実施例にあっては、液晶材料と光硬化性の高分子樹脂
との混合物を基板間に入れる方法としては、従来の一般
的な方法により2枚の基板を貼り合わせた後、両基板の
間に混合物を注入するようにしてもよい。或は、2枚の
基板を貼り合わせる前に、一方の基板上に混合物を滴下
もしくは塗布し、その状態においてUV光を照射して高
分子樹脂を硬化させ、その後に2枚の基板を接着すると
いう方法を採用してもよい。後者の方法による場合に
は、液晶層の厚みを制御するためのスペーサ等を不要に
できるという利点がある。
【0119】或は、図7(正面図)及び図8(断面図)
に示す注入方法を使用できる。この注入方法は、対向配
設された2枚の基板51、52の間がシールドされたセ
ルにおいて一方の基板52に少なくとも2つの開口孔5
2a、52bを設け、その開口孔52a、52bの一つ
52aから吸引を行い、その吸引により他の開口孔52
bより注入用の混合物を、図9に示す注入器53を用い
てセル内に挿入させるようにしてもよい。この場合にお
いて、開口孔を設ける箇所は、基板の片方に1つ以上を
設け、残りをシールド部分に設けるようにしてもよい。
また、吸引を行う開口孔の外部から真空引きを行うよう
にしてもよい。その場合の減圧度については、吸引を行
う開口孔において200Pa以上であり、かつ大気圧以
下とするのが好ましい。また、開口孔の一つから加圧す
ると共に、その加圧用の開口孔から混合物を注入するよ
うにしてもよい。その場合の加圧度については、大気圧
から106Pa迄の任意の圧力を使用することが好まし
い。
【0120】(配向処理方法)本実施例で使用し得る配
向処理方法としては、例えばポリイミドなどの高分子材
料や無機材料を基板表面に塗布した後、布で擦るラビン
グ法や、表面張力の低い界面活性化合物を塗布する垂直
配向法、或はSiO2などの斜め蒸着による斜め配向法
等が相当する。
【0121】(配向膜)本実施例にあっては、基板に配
向膜を有するものを使用することができる。この場合に
は、図10(a)、(b)に示したように配向膜8aと
液晶領域9の液晶分子とが直接接触した状態にでき、こ
れにより液晶分子の配向が可能となる。 (高分子材料)混合物を形成すべく液晶材料と混合され
る高分子材料は、最終的に2枚の基板および液晶領域を
支える壁となる物質であるため、その選定は重要であ
る。
【0122】本実施例において使用可能な高分子材料と
しては、光硬化性モノマーが相当し、更に他の重合可能
な高分子物質等でもよい。光硬化性モノマーとしては、
例えば、C3以上の長鎖アルキル基または芳香環を有す
るアクリル酸およびアクリル酸エステルがある。更に
は、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ステアリル、ア
クリル酸ラウリル、アクリル酸イソアミル、n−ブチル
メタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデ
シルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、n−ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメ
タクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェノキ
シエチルメタクリレートがある。
【0123】また、ポリマーの物理的強度を高めるため
に2官能以上の多官能性化合物、例えば、ビスフェノー
ルAジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレー
ト、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、1、6
−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテ
トラアクリレートなども使用できる。
【0124】更に、使用可能なものとしては、上述した
モノマーをハロゲン化、特に塩素化やフッ素化した化合
がある。このような材料としては、例えば2,2,
3,4,4,4−ヘキサフロロブチルメタクリレート、
2,2,3,4,4,4−ヘキサクロロブチルメタクリ
レート、2,2,3,3−テトラフロロプロピルメタク
リレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピルメタ
クリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレー
ト、パークロロオクチルエチルメタクリレート、パーフ
ロロオクチルエチルアクリレート、パークロロオクチル
エチルアクリレートが挙げられる。
【0125】以上述べた高分子材料は、単独で使用して
も良く、或は2種以上混合して用いてもよい。また、上
述したモノマーに、必要に応じて塩素およびフッ素化さ
れたポリマーやオリゴマーを、或は光重合開始剤を混合
して用いてもよい。
【0126】なお、スイッチング素子としてTFT(thi
n film transistor)を使用する場合には、液晶材料だけ
でなく高分子樹脂にも電気絶縁性が要求されるため、未
硬化状態でも高分子樹脂の比抵抗が、1 x 1012 Ω・c
m以上であるものを使用するのが好ましい。
【0127】(液晶)本実施例において使用し得る液晶
としては、常温付近で液晶状態を示す有機物あるいは有
機物混合物であって、ネマチック液晶、コレステリック
液晶もしくはスメクチック液晶、強誘電性液晶、デスコ
ティック液晶などが含まれる。
【0128】その強誘電性液晶としては、分子内に剛直
なコア部分と光学活性部分とを有する直鎖状分子などが
使用できる。さらに、これらの強誘電性液晶材料中に多
色性染料を添加したゲスト−ホスト型液晶表示素子とす
ることにより、該素子を一枚の偏光板と組み合わせるこ
とで液晶表示素子を構成することができる。また、強誘
電性液晶プレポリマーとしては、前記強誘電性液晶の一
部に重合性官能基を結合させた化合物が使用できる。重
合性官能基としては、アクリレート、メタアクリレー
ト、エポキシ基などのが利用できる。強誘電性液晶性プ
レポリマーの具体例としては、特開昭63−28074
2号、特開昭63−264629号、特開昭62−27
7412号などに開示されている化合物などがある。さ
らに、素子の応答速度を損なわない程度に液晶性でない
硬化性樹脂を添加してもよい。
【0129】これらの液晶材料は、2以上の液晶を混合
したものであっても良く、特にネマチック液晶もしくは
コレステリック液晶又はカイラル剤の添加されたネマチ
ック液晶が特性上好ましい。更には、液晶領域の作製時
に光重合反応を伴うため、重合反応時に変性が起こらな
い耐化学反応性に優れた液晶材料であるのが好ましく、
例えば化合物中にフッ素原子などの不活性な置換基を有
する液晶が好適である。この様な性質を有しているもの
としては、特にこれらには限定されないが、メルク社か
ら市販されているZLI−4801−000、ZLI−
4801−001、ZLI−4792等が挙げられる。
【0130】(液晶領域の形成条件)散乱、非散乱モー
ドの液晶領域を区別して形成するのは難しいが、基本的
には、液晶領域をセル内で20μmより小さく、絵素内
で均一に形成した場合に、散乱モードに適した液晶表示
素子をとなり、一方、非散乱モードの液晶表示素子の場
合、基板と平行な平行部を大型とした液晶領域にするこ
とにより、非散乱モードの液晶表示素子とできる。
【0131】液晶領域の大きさは、弱照射領域(ホトマ
スク)の形状、光照射装置の光線平行度、および光重合
反応速度に相互に依存している。弱照射領域の形状は、
液晶領域の大きさを決定する重要な因子であり、弱照射
領域の形状設定により液晶領域の輪郭がほぼ決定され
る。
【0132】光照射装置の光線平行度は、例えばホトマ
スクの形状を液晶と光硬化性樹脂と光開始剤の混合物に
忠実に照射できるか否かを左右する因子であると同時
に、光照射領域から弱照射領域への光の漏れ量に影響を
与える。このような漏れ光により弱照射領域内に存在す
る光硬化性樹脂が光照射領域に移動する前に硬化反応を
起こし、その結果として弱照射領域内に散乱モードに好
適な小さな液晶領域が形成されてしまう。
【0133】光重合反応速度については、重合速度が極
端に速い場合、微弱な漏れ光に対しても重合反応が起こ
り、弱照射領域内で高分子壁が形成されてしまう。重合
反応速度を決定する因子としては、光開始剤の添加量、
光照射強度および高分子樹脂の種類などが挙げられる。
【0134】(表示モード)本実施例にあっては、作製
された液晶表示素子を2枚の偏光板で挟む構成とするこ
とにより、ハイコントラストで駆動電圧特性の急峻なT
Nモード、STNモード、ECBモード、ゲストホスト
モードの液晶表示素子や、強誘電性液晶表示素子などを
作製することができる。一方の基板側にのみ1つの偏光
板を設けてもよい。つまり、強誘電性液晶に二色性色素
を添加した液晶において、電気的に配向方向を制御する
ことによって、光の偏光面を変化させる場合には片方の
基板側の偏光板は省略できる。
【0135】(配向制御力)本発明のように液晶分子と
光硬化性樹脂との混合物に光の強弱をつけて光照射する
場合、液晶領域でも基板表面上にうっすらと高分子膜が
残ることがあり、基板上の配向膜による配向制御能力を
弱らせてしまう。完全に基板上の配向膜による配向制御
能力をなくならせる場合には、具体例の中で具体的に述
べるように光照射条件に起因する配向形態となる。具体
的には、液晶領域内のドメインの放射線状またはランダ
ムに配向した構造になり、電圧印加時に液晶分子の立ち
上がり方がどの方位から見てもほぼ同一になるため視野
角特性が改善される効果がある。この場合、配向膜は、
なくても良く製造工程(配向膜塗布、ラビング処理、洗
浄など)を大幅に省略することができ産業上有意義であ
る。
【0136】配向規制能力の高い垂直配向膜を用いた場
合は、配向規制力が残り、液晶分子はセルに対して垂直
に立ったホメオトロピック状態となる。この場合も電圧
印加時に液晶分子と高分子材料の相互作用があるため液
晶分子の立ちさがり方が各壁方向となり、どの方向から
見てもほぼ同一の屈折率となるために視野角特性が改善
される効果がある。
【0137】強誘電性液晶のように液晶の配向能力の高
い材料を使用した場合、配向制御能力の弱められた本発
明の場合でも基板の配向状態に従って配向することが確
認された。
【0138】(その他)本実施例の液晶表示素子にあっ
ては、特に限定しないが、駆動方式としては、単純マト
リックス駆動方式、或はTFT、MIMなどのアクティ
ブ駆動方式等が採用できる。
【0139】更に、本実施例の液晶表示素子にあって
は、カラーフィルターを絵素上に配置してカラー表示す
ることも可能である。
【0140】以下に本実施例2の具体例を示す。
【0141】[具体例3]厚みが0.25mmのPETフィル
ム上に、厚みが50nmのITO(酸化インジュウムおよび
酸化スズの混合物)からなる電極線を複数本形成して2
枚1組の基板を作製する。この電極線の幅は200μm、隣
合う電極線間の隙間は50μm、電極線の数は20本とし
た。かかる一組の基板にポリイミド(SE150:日産
化学製)をスピンコート法により塗布し、ナイロン布を
用いて一方向にラビング処理を行い配向膜を形成した。
【0142】上記処理を行った2枚の基板を電極線が互
いに直交するように組み合わせ、その間に6μmのスペー
サーを挿入し、両基板の間の隙間を一定に保持してセル
を作製した。
【0143】作製されたセルの上に、図4に示すように
各絵素9a部分を遮光する状態でホトマスクを配置し
た。なお、セル中には、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート0.1gと、2−エチルヘキシルアクリレート
0.9gと、液晶材料ZLI−3700−000(メルク社
製)にCN(コレステリック ノナネート)を0.3%添加
した混合物4gと、光硬化性触媒であるIrgacure184
(チバガイギー製)0.03gとを均一に混合したものを注
入しておく。
【0144】次に、平行光線が得られる高圧水銀ランプ
を用い、10mW/cm2の照射強度で2分間、ホトマスク側か
ら紫外線を照射し、液晶材料と高分子材料とからなる混
合物を硬化させた。
【0145】以上のようにして作製された液晶表示素子
を分断し、液体窒素中で液晶表示素子を剥離してアセト
ンで液晶材料を洗い流した後、液晶層部分をSEM(走
査型電子顕微鏡)で観察した。その結果、ホトマスクの
ドットパターン及び絵素パターンと同じ規則性を有し、
かつ、ドットパターンと同程度の大きさで均一に揃った
液晶領域が形成されていることが確認された。
【0146】また、同様にして作製された別の液晶表示
素子に偏光板を、配向方向と偏光板の偏光方向とを一致
させて貼り合わせ高分子マトリックス型TN液晶表示素
子を作製した。
【0147】表1は、作製された液晶表示素子のコント
ラスト特性を、従来法により作製した比較例3、4と併
せて示している。なお、比較例3の液晶表示素子は、具
体例3の基板に代えてITO付きガラス(日本板ガラス
製ITO-50 nm付きフリントガラス)を用い、具体例3と
同様にしてセルを作製し、このセルに具体例3と同様の
液晶材料を注入し、セルの配向方向に偏光方向を合わせ
て偏光板を貼り合わせて作製した従来構成のTN液晶表
示素子である。また、比較例4の液晶表示素子は、具体
例3と同様にセルを作製し、具体例3と同様の液晶と光
硬化性樹脂との混合物を注入した後、ホトマスクなし
で、具体例3と同様のUV照射を行って作製されたTN
型高分子分散型液晶表示素子である。
【0148】
【表1】
【0149】表1より理解されるように、本発明の具体
例3は、従来法のTN型液晶表示素子である比較例3と
電気光学特性的に遜色ないことが判った。従来の高分子
分散型液晶表示素子である比較例4と比べると、絵素内
での散乱が極めて少ないためにコントラストが高くなっ
ている。また、具体例3の液晶表示素子においては、前
述したように、2つの基板が壁で強固に保持されている
ので、PETフィルムを用いた基板を使用することがで
きる。このPETフィルムの代わりに、他のプラスチッ
クフィルムまたはガラス基板を使用しても、効果は全く
同様であった。 [具体例4]具体例3と同様の基板を使い、この基板上
にサイトップ(旭ガラス製)を0.2μm厚になるようにス
ピンコート法で塗布した。次に、具体例3と同様に、2
枚の間にスペーサーを入れてセルを作製した。次に、具
体例3と同様のホトマスクを具体例3と同様に設置し
た。また、セル中に、トリメチロールプロパントリメタ
クレート0.1gと、n−ラウリルアクレリート0.9g
と、液晶材料(ZLI−4788−000:メルク社
製)4gと、光硬化性触媒Irgacure184(チバガイギー
製)0.03gとを均一に混合したものを注入した。
【0150】次に、平行光線が得られる高圧水銀ランプ
を用い、10mW/cm2の照射強度で2分間、ホトマスク側か
ら紫外線を照射して、混合物を硬化させた。
【0151】得られたセルを分断し、液体窒素中でセル
を剥離してアセトンで液晶材料を洗い流した後、液晶層
をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、ホト
マスクのドットパターン及び絵素パターンと同じ規則性
を有し、かつドットパターンと同程度の大きさで均一に
揃った液晶領域が作製されていることが確認された。ま
た、同様にして作製した別の液晶表示素子に、偏光面が
互いに直交するように偏光板を貼り合わせ、高分子分散
型ECB液晶表示素子を作製した。
【0152】通常のECB液晶表示素子は、図11
(a)に示すように、電圧無印加時に液晶分子eを数度
のチルト角を持ったホメオトロピック配向とさせている
ため、図11(b)に示すように、電圧印加時に液晶分
子eが同方向に倒れて行くために方向によって見かけ上
の屈折率が異なり、リターゼーション(Δn・d:Δn
は液晶分子の複屈折、dは液晶セルの厚み)が変化し、
見る位置によって白黒状態が反転する反転現象やコント
ラストむらが発生する。これに対し、本発明のように液
晶と光硬化性樹脂の混合物に照射強度分布を持った光に
より硬化する場合、基板と液晶との中間にごく薄い高分
子層が形成されて基板の配向規制力が弱められるが、こ
の具体例のように配向規制力が強い垂直配向膜を用いた
場合、液晶分子がホメオトロピック配向になることが確
認された。すなわち、図12(a)に示すように液晶分
子eがセルに対して垂直に立っていることが観察され
た。さらに該セルに電場を印加したとき、図12(b)
に示すように液晶と高分子壁との相互作用により液晶分
子eが各壁方向に倒れるため倒れる方向性がランダムに
なり、セルの垂直方向からの一定角の全方向から見て屈
折率がほぼ同じになり視角特性が大幅に改善される。
【0153】表2は、作製された液晶表示素子のコント
ラスト特性を、従来法による比較例5、6のものと併せ
て示している。なお、比較例5の液晶表示素子は、具体
例4の基板に代えてITO付きガラス(日本板硝子製IT
O-50 nm付きフリントガラス)を用い、具体例4と同様
にセルを作製し、具体例4と同じ液晶材料ZLI−47
88−000を注入し、セルに偏光板の偏光方向が互い
に直交するように偏光板を貼り合わせて作製された従来
のECB液晶表示素子である。また、比較例6の液晶表
示素子は、具体例4と同様にセルを作製し、具体例4と
同様の液晶と光硬化性樹脂との混合物を注入した後、ホ
トマスクなしで、具体例4と同様のUV照射を行って作
製されたECB型高分子分散型液晶表示素子である。
【0154】
【表2】
【0155】表2より理解されるように、本発明の具体
例4は、従来法によるECB液晶表示素子である比較例
5と電気光学特性的に遜色ないことが確認された。従来
の高分子分散型液晶表示素子である比較例6と比べる
と、絵素内での散乱が極めて少ないためにコントラスト
が高くなっている。視野角特性については、比較例5は
角度を変えて見ると、反転現象が起こり、具体例4では
起こらず、視野角が広い。また、具体例4でも、PET
フィルムを用いた基板を使用することができる。このP
ETフィルムの代わりに、他のプラスチックフィルムま
たはガラス基板を使用しても効果は全く同様であった。
【0156】[具体例5]2枚のガラス基板上に蒸着法
により膜厚約100 nmのITO膜を形成し、ウェットエッ
チング法により、複数の電極線が平行に設けられた基板
を形成した。このガラス基板の電極線の形成面上に、膜
厚が約50 nmのポリイミド配向膜をスピンコート法で塗
布し、190℃で1時間焼成し、次いで一軸方向にラビン
グ処理を行い、配向膜を付与した。
【0157】このラビング処理は、2枚の基板の電極線
の形成面を向かい合わせ、電極線が相互に直交するよう
に貼り合わせたときに、両基板のラビング処理方向が同
一になるように行った。この基板上にセル厚を制御すべ
くスペーサーとして2μmのシリカビーズを散布し、2枚
の基板を貼り合わせてセルを作製した。
【0158】次に、強誘電性液晶組成物ZLI−400
3(メルク社製)0.80gと、高分子前駆体としてポリエ
チレングリコールジアクリレート(商品名 NKエステル
A-200、新中村化学工業(株)製)0.02gと、ラウリルア
クリレート(商品名 NKエステル LA、新中村化学工
業(株)製)0.18gとを均一に混合した混合物を、基板
間に注入した。この液晶−高分子前駆体混合物は、常圧
でネマチック相もしくは等方液体相状態にある。この液
晶−高分子前駆体混合物についての相転位温度を以下に
示す。
【0159】 SmC * ←25℃→ SmA ←31℃→ Ch ←35℃→ Iso 次に、具体例3と同様に遮光用ホトマスクを設置した。
液晶−高分子前駆体混合物がネマティック相もしくは等
方液体相にある状態において、平行光線を得られる高圧
水銀ランプを用い、10mW/cm2の照射強度で2分間、ホト
マスク側から紫外線照射した。この照射により液晶−高
分子前駆体混合物は光硬化し、液晶と高分子との混合物
の相分離が起こった。
【0160】この相分離の状態を偏光顕微鏡で観察した
ところ、前述した図3と同様に、ホトマスクにより遮光
されている領域には高分子からなる壁8は形成されず、
紫外線の照射されている領域とその近傍には壁8が形成
されていることが確認された。
【0161】また、このセルを、直交ニコルを有する偏
光顕微鏡により観察すると、紫外線が遮光された領域に
形成された液晶領域の中心部では、基板のラビング方向
に通常のSSF(surface stabilized ferroelectric)型
の配向をしており、高分子からなる壁の近傍で急激に配
向性が変化し、垂直配向を示すようになることが確認さ
れた。一方、紫外線の照射された領域では高分子の領域
で光散乱が起こることが確認された。
【0162】なお、本具体例のように液晶と光硬化性樹
脂の混合物に照射強度分布を持った光により硬化する場
合、配向膜が水平配向膜で配向規制力が弱い場合であっ
ても、規制力の優れたFLC等のような液晶材料を使用
した時、基板の配向方向に液晶分子を整列させることが
できる。
【0163】更に、この様にして作製された強誘電性液
晶セルを直交ニコルを有する顕微鏡下に置き、メモリパ
ルスを印加したところ、紫外線が遮光された液晶領域で
は、通常のSSF型セルで得られるのと同一のスイッチ
ングが起こる事が確認された。また、完全な消光状態と
光の透過する状態との間でスイッチングが起こるよう
に、セルと偏光板との消光位相を合わせると、紫外線の
照射された領域は電界の印加されてない状態でも、光散
乱および液晶の配向の乱れによる光の漏れがあり、オン
/オフ状態の中間の輝度にあることが観察された。
【0164】以上説明した複数の観察結果については、
ガラス基板に代えて、他のプラスチックフィルム等を使
用しても全く同様であった。
【0165】表3は、作製された液晶表示素子のコント
ラスト特性を、従来法による比較例7、8のものと併せ
て示している。なお、比較例7の液晶表示素子は、具体
例5で作製したのと同一条件で作製したセルに液晶材料
ZLI−4003を注入し、封止して作製されている。
また、比較例8の液晶表示素子は、紫外線照射工程にホ
トマスクを使用しなかった以外は、具体例5と同一の手
順、同一の材料を使用して作製されている。
【0166】
【表3】
【0167】この表3より理解されるように、本発明の
具体例5は、比較例7と電気光学特性的に遜色ないこと
が確認された。比較例8と比べると、絵素内での散乱が
極めて少ないためにコントラストが高くなっている。ま
た、具体例5ではガラス基板を使用しているが、このガ
ラス基板に代えてプラスチックフィルム等を使用しても
効果は全く同様であった。
【0168】なお、比較例8の液晶表示素子について
は、液晶−高分子前駆体の混合物が紫外線の照射により
セル内でほぼ均一に硬化し、液晶と高分子組成との相分
離が起こった。この相分離が起こった部分を顕微鏡で観
察すると、図13に示したように、ほぼ全面において液
晶領域9が高分子の壁8によりランダムに区切られた構
造になっていた。また、このセルを直交ニコルを有する
偏光顕微鏡により観察すると、高分子の領域で光散乱が
起こり、また液晶領域の中心部では基板のラビング方向
に概ねSSF型の配向であり、更に高分子の壁に近づく
につれて配向が徐々にランダムになっていることが確認
された。
【0169】更に、この様にして得られた強誘電性液晶
セルを直交ニコルで挟み、メモリパルスを印加したとこ
ろ、通常のSSF型のセルとほぼ同様なスイッチングを
する事が確認された。しかし、逆のスイッチングでは、
完全に消光はせず、一部分が不規則な配向しているよう
に見えた。この不規則な部分を偏光顕微鏡で調べたとこ
ろ、高分子壁の部分で光散乱が起こり、また、高分子の
壁の周辺では液晶の配向の乱れによる光の漏れが生じて
いることが判った。
【0170】表4は、具体例5、比較例7、比較例8の
3つの液晶表示素子に対して、5kg/cm2の圧力をかけ、
配向の変化を観察することにより耐ショック性を評価し
た結果を示す。また、表5は、上記3つの液晶表示素子
を30cmの高さから落下させた場合の配向状態の変化を示
している。
【0171】
【表4】
【0172】
【表5】
【0173】これら両表より理解されるように、具体例
5の場合には加圧試験と落下試験の両方において問題が
無かったが、比較例7と8の場合には共に問題が生じる
という欠点がある。
【0174】[具体例6]具体例5と同様に複数の電極
線が形成され、同様のラビング処理を行った2枚の基板
を用意した。一方の基板上に強誘電性液晶組成物ZLI
−4003(メルク社製)0.80gと、高分子前駆体のポ
リエチレングリコールジアクリレート(商品名 NKエス
テルA-200、新中村化学工業(株)製)0.02gと、ラウリ
ルアクリレート(商品名 NKエステルLA、新中村化
学工業(株)製)0.18gと、2μmのシリカビーズとを均
一に混合した組成物を、常圧でネマティック相もしくは
等方液体状態にある状態で塗布し、その後、具体例5と
同一になるように貼り合わせを行ってセルを作製した。
この液晶−高分子前駆体混合物についての相転位温度を
以下に示す。
【0175】 SmC * ←25℃→ SmA ←31℃→ Ch ←35℃→ Iso 次に、具体例5と同様に遮光用ホトマスクを配置し、ホ
トマスクの側から紫外線を具体例5と同一条件で照射し
て液晶−高分子前駆体の混合物を硬化させ、液晶と高分
子組成の相分離を起こした。
【0176】硬化した混合物部分を顕微鏡で観察したと
ころ、ホトマスクにより遮光された領域には高分子の壁
は形成されず、紫外線の照射された領域とその近傍では
高分子の壁が形成されていることが確認された。
【0177】この具体例6の液晶表示素子は、上述した
ように、電極と配向膜層を設けた2枚のガラス基板の一
方に液晶−高分子前駆体の混合物を、ネマティック相も
しくは等方液体状態で塗布した後、ガラス基板を貼り合
わせることにより作製されている。このように作製され
た具体例6については、配向の乱れは皆無であった。し
かし、前述した具体例5のように、電極と配向膜層を設
けた2枚のガラス基板を貼り合わせた後、液晶−高分子
前駆体混合物を、ネマティック相もしくは等方液体状態
で注入すると、注入孔付近とシール近傍で、明かな配向
の乱れが顕微鏡下で観察された。
【0178】本実施例2では1つの液晶領域を1つの絵
素に対して、或は2以上の絵素に対して設けているが、
本発明はこれに限らない。例えば、1つの絵素内に1つ
の液晶領域を少なくとも含み、加えて同一の絵素内に別
の1つ以上の液晶領域又はその一部を含んだ状態となっ
ていることを本発明は含んでいる。即ち、このような配
置構造とした場合には、各絵素の大きさを大きくして大
画面化を図る場合に有効である。特に、大画面化を目指
し、絵素の長辺が200μmを越える場合に有効であ
る。その理由は、絵素を完全に覆うホトマスクを使用す
ると、光照射時に絵素中央部で未反応のモノマーが残存
し、その残存モノマーがもれ光により中央部で重合反応
が起こり無数の液晶領域、又は高分子の島が形成され、
散乱源となってしまうためにコントラストが極端に低下
してしまうことを抑制できるからである。そこで、本発
明にあっては、絵素の長辺が200μmを越える場合
は、絵素内に弱照度領域を複数個存在させることによ
り、高分子が存在しない液晶領域を絵素内に複数個作製
することとする。この場合、弱照度領域の大きさは、該
領域の最大径が500〜20μmとする。より好ましく
は、200〜50μmとする。20μm以下では、絵素
内に多数の高分子壁が存在してコントラストを著しく低
下させてしまう。500μmを越えると、ホトマスクの
遮光部中央部にある光硬化性樹脂の端部への移動ができ
にくくなり、実質的に液晶領域をホトマスクの形に一致
させて作製できなくなる。弱照度領域の配置としては、
上記最大径条件をできるだけ少ない数になるようなピッ
チにすることが好ましい。
【0179】(実施例3)本実施例3は、視角特性を改
善し、かつコントラストの向上を図れる液晶表示素子を
提供する場合である。その液晶表示素子を以下に、具体
例に基づいて説明する。
【0180】[具体例7]まず、ガラス基板(フリント
ガラス:1.1mm厚)上に、厚みが500オングスト
ロームのITO(酸化インジュウムおよび酸化スズの混
合物)を付けた基板上に、ポリイミド(SE150:日
産化学製)をスピンコート法により塗布し、配向膜を形
成した。
【0181】上記処理を行った2枚の基板の間に5μm
のスペーサーを挿入し、両基板の間の隙間を一定に保持
してセルを作製した。
【0182】作製されたセルの上に、図14に示すよう
に250μmピッチの正方形の絵素を見立てたホトマス
ク43を配置した。43aは遮光部である。なお、セル
中には、イソボルニルメタクリレート0.9gと、2官
能のアクリレートであるR−684(日本化薬(株)社
製)0.1gと、液晶材料ZLI−4792(メルク社
製)にカイラル剤としてS−811(メルク社製)を
0.3%添加した混合物4gと、光硬化性触媒であるIr
gacure184(チバガイギー製)0.02gとを均一に混合
したものを注入しておく。
【0183】次に、平行光線が得られる高圧水銀ランプ
を用い、15mW/cm2の照射強度のところで、1秒照射、
30秒非照射のサイクルを20サイクル繰り返し、その
後5分間紫外線を連続照射して樹脂を硬化させた。
【0184】以上のようにして作製されたセルを偏光顕
微鏡で観察したところ、図24(a)(b)(c)又は
(d)に示すように、ドットパターンと同じ規則性(絵
素と同じ規則性)で、かつ、同程度の大きさで均一に揃
った外側の液晶領域dが作製され、さらに外側の液晶領
域d内の液晶ドメインgが基板の表面に平行な面上にお
いて全方位に配向していて、中心部に島状の液晶領域d
を有する構造になっていることが確認された。
【0185】作製したセルに偏光板を貼り合わせ液晶表
示素子を作製した。
【0186】作製したセルの電気光学特性は、表6に示
した。
【0187】
【表6】
【0188】コントラストの測定は、ノーマリーホワイ
ト状態にセルと偏光板を組み合わせ液晶評価装置LC−
6000(大塚電子(株)社製)を用い、セルを垂直方
向から集光角24°のレンズを使用した電圧OFF時の
光透過率Toと飽和電圧印加時の光線透過率Tsut.の比
o/Tsut.を定義した。表6中、○印は、反転現象が
ほとんど起こらない状態、×印は、反転現象が容易に観
察される状態、△印は、辛うじて反転現象が観察される
状態を示している。
【0189】比較例9は、具体例7と同様にセルを作製
し、作製したセルに具体例7と同様の液晶材料(S−8
11:0.3%添加)を注入し、作製したセルに配向方
向に沿った方向に偏光板の偏光方向を合わせて偏光板を
貼り合わせて従来のTN表示素子を作製した。比較例1
0は、具体例7と同様にセルを作製し、作製したセルに
具体例7と同様の液晶、光硬化性樹脂、光開始剤の混合
物を注入し、ホトマスクを被せずに具体例7と同様の条
件で光硬化を行った。作製したセルに偏光板の偏光方向
が互いに直交するように偏光板を貼り合わせて従来の高
分子分散型液晶表示素子を偏光板で挟んだ素子を作製し
た。
【0190】表6から理解されるように、本発明の具体
例7は、従来使用されていたTNセル(比較例9)と電
気光学特性的に遜色無く、特に、中間調においてTNセ
ルで見られる視角を変化させたときの反転現象が見られ
ず、垂直方向から40度傾いた方向から観察したコント
ラストも殆ど変化していない。また、従来研究されてき
た高分子分散型液晶表示素子(比較例10)に比べて、
絵素内での散乱が少ないためにコントラストが高くなっ
ている。なお、比較例10の液晶領域dは、図22に示
すように、1つの絵素に対して多数形成され、しかも直
径が非常に小さい散乱型となっている。
【0191】[具体例8] イソボルニルメタクリレート0.9gと、2官能のアク
リレートであるR−684(日本化薬(株)社製)0.
1gと、液晶材料ZLI−4792(メルク社製)に
イラル剤としてS−811(メルク社製)を0.3%添
加した混合物4gと、光硬化性触媒であるIrgacure184
(チバガイギー製)0.02gとを均一に混合したもの
を、具体例7と同様に作製したセルを注入する。
【0192】次に、平行光線が得られる高圧水銀ランプ
を用い、図14に示すホトマスクを覆って15mW/cm2
照射強度のところで、5分間紫外線を連続照射して樹脂
を硬化させた。
【0193】以上のようにして作製されたセルを偏光顕
微鏡で観察したところ、図25に示すように、ホトマス
クの弱照射領域bのエッジ部に対応する部分に複数の円
形液晶部が互いに接したような液晶領域d2と、それに
囲まれた領域に多数の円形液晶部d1が存在する形状と
なっていた。液晶部のうち前者d2は、それぞれの円形
部分が1〜数個の液晶ドメインに別れており、かつ、各
ドメインが放射状になっている。後者d1は、やはり1
〜数個の液晶ドメインに別れており、全体としてドメイ
ンの向いている方向がランダム状態になっている。この
ような状態に電圧印加すると、液晶ドメインごとに液晶
分子の立ち上がる方向が異なるため、垂直方向から一定
の角度で全方向を見た場合、見かけ上の屈折率がほぼ一
定となる為に中間調での視角特性が改善される。作製し
たセルに偏光板を互いに偏光面が直交するようにセルの
両面に貼り合わせた。作製したセルの電気光学特性を表
7に示す。
【0194】
【表7】
【0195】[具体例9] イソボルニルメタクリレート0.9gと、2官能のアク
リレートであるR−684(日本化薬(株)社製)0.
1gと、液晶材料ZLI−4792(メルク社製)に
イラル剤としてS−811(メルク社製)を0.3%添
加した混合物4gと、光硬化性触媒であるIrgacure184
(チバガイギー製)0.12gとを均一に混合したもの
を、具体例7と同様に作製したセルを注入する。
【0196】次に、平行光線が得られる高圧水銀ランプ
を用い、図14に示すホトマスクを覆って45mW/cm2
照射強度のところで、5分間紫外線を連続照射して樹脂
を硬化させた。
【0197】以上のようにして作製されたセルを偏光顕
微鏡で観察したところ、図23のように、非照射領域b
に対応する部分に多数の円形液晶領域dが形成されてい
るのが観察された。作製したセルに偏光板を互いに偏光
面が直交するようにセルの両面に貼り合わせた。作製し
たセルの電気光学特性を表7に示す。
【0198】この表7と表6とに基づいて、具体例7と
具体例8と具体例9とを比較すると、図25に示す液晶
領域の具体例8は、中間調における反転現象が液晶ドメ
インが全包囲に放射状となっている具体例7とほぼ同様
に良好ではあるが、コントラストが僅かに劣る。具体例
9は、図23に示すような液晶領域の構造となっている
ため、中間調における反転現象が起こると共にコントラ
ストの低下が見られる。
【0199】上記具体例7〜9では、高圧水銀ランプ下
15mW/cm2〜45mW/cm2のところで紫外線照
射を行っているが、紫外線照射条件は、液晶−樹脂混合
組成により異なり特に限定しないものの、液晶領域を十
分に成長させるために、また、液晶材料の紫外線による
ダメージを抑えるためにも60mW/cm2(365n
m)以下であることが好ましい。
【0200】上記具体例7において、1秒照射して30
秒非照射のサイクルでパルス照射を行っているのは、以
下の理由である。
【0201】即ち、液晶と光硬化性樹脂の混合物に照射
強度分布を持った光により硬化する場合、照射領域の光
硬化性樹脂がまず反応し、高分子壁の核を形成する。そ
の後、照射部で光硬化性樹脂の濃度が低下するために光
硬化性樹脂の濃度勾配が形成され弱照度領域内にある未
反応の光硬化性樹脂が濃度勾配に沿って照射領域に集ま
って重合し高分子壁が形成される。この時、重合速度が
早い場合、弱照度領域内にある光硬化性樹脂が物質移動
により照射領域に迄到達する前に照射領域からもれた光
により弱照射領域内でも光重合反応が起こり弱照射領域
でも複数個の液晶領域が発生する。これらの液晶領域が
極端に小さい場合(20μm以下)、高分子と液晶との
間の境界で散乱現象が起こりコントラストを低下させ好
ましくない。従って、重合反応を遅くすることにより、
弱照度領域内にある光硬化性樹脂が物質移動により照射
領域にまで到達するようにでき、液晶領域と高分子壁と
の相分離を明確にすることができる。このことは、液晶
表示装置の各絵素に対してほとんど液晶領域で覆うこと
ができることを意味し、コントラストを向上できるから
である。
【0202】また相分離を明確にする方法として、光照
射をパルス状に照射し、非照射状態において光硬化性樹
脂の物質移動を十分に行わせることにより、弱照度領域
の中に小さな液晶領域を作製せずに液晶領域を作製する
方法も用いることができる。パルス照射パターンとして
は、樹脂材料が十分硬化しない5秒以下の時間のパルス
照射を30秒以上の間隔をおいて行うことが好ましい。
なお、このパルス照射による場合は、樹脂材料及び照射
条件を調整することにより、液晶ドメインを全方位配向
とすることに代えて、ランダム配向とすることも可能で
ある。
【0203】[具体例10]本実施例10は、光重合反
応を抑制し、液晶分子と高分子材料の相分離を明確に、
かつ、ホトマスクの弱照度領域に合わせた形状に液晶領
域が形成されるようにする場合である。光重合反応を抑
制するためには、光反応抑制剤を添加するのが好まし
い。
【0204】硝子基板(フリント硝子:1.1mm厚)
上にITO(酸化インジュウムおよび酸化スズ混合物、
500オングストローム)をそのまま用い、2枚の基板
を組み合わせ、5μmのスペーサー(ミクロパール:積
水ファインケミカル社製)によりセル厚を保たせること
によりセルを構成した。作製したセルの上に、図14に
示す250μmピッチ、遮光部が200μmの正方形の
絵素を見立てたホトマスク43を配置し、さらにセル中
に、イソボルニルメタクリレート0.85gと、2官能
のアクリレートであるR684(日本化薬(株)社製)
0.1gと、光重合抑制剤であるスチレン0.05g
と、液晶材料ZLI−4792(メルク社製)にカイラ
ル剤としてS−811(メルク社製)を0.3%添加し
た混合物4g、光硬化性触媒Irgacure651(チバガイ
ギー製)0.02gの混合物を、均一混合後、注入す
る。
【0205】その後、ドットパターン側から平行光線を
得られる高圧水銀ランプ下15mw/cm2(356n
mで測定)のところで、5分間紫外線を連続照射して樹
脂を硬化させた。
【0206】生成したセルを偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、ドットパターンと同じ規則性(絵素と同じ規則性)
で各ドットには液晶領域で、かつ、同程度の大きさで均
一に揃った液晶領域が作製され、さらに、液晶領域内の
液晶ドメインが全方位配向していることが確認された。
作製したセルに偏光板を上下に一組貼り合わせて液晶表
示素子を作製した。
【0207】作製したセルの電気光学特性は表8に示し
た。
【0208】
【表8】
【0209】コントラストの測定は、ノーマリーホワイ
ト状態にセルと偏光版を組み合わせて液晶評価装置LC
−6000(大塚電子(株)社製)を用い、セルの垂直
方向から集光角24°のレンズを使用し電圧OFF時の
光透過率Toと飽和電圧印加時の光線透過率Tsut.の比
o/Tsut.を定義した。表8中において、○印は反転
現象が殆ど起こらない状態、×印は反転現象が容易に観
測される状態、△印は辛うじて反転現象が観測される状
態を示している。
【0210】比較例11は、具体例10と同様にセルを
作製し、作製したセルに具体例10と同様の液晶、光硬
化性樹脂、光開始剤の混合物を注入し、ホトマスクを被
せずに、具体例10と同様の条件で光硬化を行った。作
製したセルに偏光板の偏光方向が互いに直交するように
偏光板を貼り合わせて従来の高分子分散型液晶表示素子
を偏光板で挟んだ素子を作製した。比較例12は、具体
例10と同様の基板上にポリイミド(SE150:日産
化学製)をスピンコートで塗布し、ナイロン布で一方向
にラビング処理を行った。上記処理を行った2枚の基板
をラビング方向が互いに直交するように組み合わせ、5
μmのスペーサー(ミクロパール:積水ファインケミカ
ル社製)によりセル厚を保たせることによりセルを構成
した。作製したセルに液晶材料ZLI−4792(メル
ク社製)にカイラル剤としてS−811(メルク社製)
を0.3重量%添加した混合物を注入した。さらに、液
晶材料を注入したセルに、配向方向に沿った方向に偏光
板の偏光方法を合わせて偏光板を貼り合わせて従来のT
N表示素子を作製した。
【0211】表8から理解されるように、本具体例10
は、従来使用されていたTNセル(比較例12)と電気
光学特性的に遜色無く、特に、中間調においてTNセル
で見られる視角を変化させたときに反転現象が見られず
垂直方向から40°方向から視察したコントラストもほ
とんど変化していない。かつ、従来研究されてきた高分
子分散型液晶表示素子(比較例11)に比べて、絵素内
での散乱が少ないためにコントラストが高くなってい
る。
【0212】また、図25に示す液晶領域が得られた具
体例8の場合と対比すると、光重合抑制剤を使用しない
具体例8に対し、光重合抑制剤を使用した本具体例10
では図26(a)(b)(c)又は(d)に示すような
液晶領域が得られ、コントラストに優れている。
【0213】なお、上述した光重合抑制剤とは、使用す
る樹脂組成に添加することにより重合反応速度を低下さ
せる化合物のことであり、具体的には、上記アクリレー
ト、メタクリレートよりも反応性の低い重合性化合物、
具体的には、ラジカル重合におけるモノマーの共鳴安定
性を表わす、所謂Q値が0.8以上のスチレン(Q=
1)、パラクロルスチレン(Q=1.03)、α−メチ
ルスチレン(Q=0.98)、ブタジエン(Q=2.3
9)などである。Q値が大きいモノマーほど生成して来
るラジカルが共鳴効果により安定化し、結果的にラジカ
ル重合反応速度を低下させ、本発明の場合、重合反応が
遅いと液晶と高分子材料の相分離速度が遅くなり生成し
て来る液晶領域が大きくなり、ホトマスクの遮光部とほ
ぼ同じ大きさになりコントラストが向上し好ましい。ま
た、ラジカル捕足剤、例えばp−キノン誘導体(例えば
p−キノン、p−クロロキノン、p−メチルキノン)、
2、2−ジフェニル−1ピクリルヒドラジル(DPP
H)、芳香族ニトロ化合物及びニトロソ化合物(例え
ば、ニトロベンゼン、ニトロトルエン、アニリン、ニト
ロソジメチルアニリンなど)などが好ましい。
【0214】これら光重合抑制剤の添加量は、その効果
により異なり、本発明では特に限定しないが、光硬化樹
脂材料と光開始剤と光重合抑制剤との混合物を光示差熱
天秤(光DSC:セイコー電子社PDC121)によ
り、照射強度100mW/cm2 (365nm)、25
℃、光開始剤Irugacure651 0.3%添加系で混合
物の光重合反応熱を測定した場合、ピーク値が20秒以
上になる添加量が好ましい。20秒以下では、液晶領域
が十分に成長せず、ホトマスクの弱照度領域内に高分子
壁が部分的に形成され、コントラストの低下につなが
る。
【0215】液晶については、常温付近で液晶状態を示
す有機物混合体であって、ネマチック液晶(2周波駆動
用液晶、△ε<0の液晶を含む)、コレステリック液晶
(特に、可視光に選択反射特性を有する液晶)、もしく
はスメクチック液晶、強誘電性液晶、デスコチィック液
晶などが含まれる。これらの液晶は混合してもよく、特
にネマチック液晶もしくは、コレステリック液晶、また
はカイラル剤の添加されたネマチック液晶が特性上好ま
しく、ヒステリシス、均一性、d△n(リタデーショ
)による着色の問題などから10μm以上の螺旋ピッ
チをもつようなカイラル剤の添加されたものが好まし
い。更に、好ましくは、加工時に光重合反応を伴うため
耐化学反応性を優れた液晶が好ましい。具体的には、化
合物中、フッ素原子などの官能基を有する液晶である。
具体的には、ZL−4801−000,ZLI−48
01−001,ZLI−4792(メルク社製)などで
ある。
【0216】これらの液晶材料及びポリマー材料の組み
合わせに当たり、従来の光重合相分離法で高分子分散型
液晶素子を作製したときに、作製された液晶ドロップレ
ット径が、本発明で使用するホトマスクのドット径より
大きくすることが好ましく、また、逆に小さい場合でも
UV強度を弱めたり、光開始剤の添加量を抑えたりする
ことによって使用することができる。
【0217】液晶材料と樹脂材料の混合比は、液晶材
料:樹脂材料比が重量比で60:40〜95:5が好ま
しい。60:40より樹脂材料が多くなると電圧に対し
て変化する領域が減少しコントラストが取れなくなり、
95:5より樹脂材料が少なくなると高分子壁を充分に
作製することが困難になり、さらに、液晶と樹脂材料の
混合物のTN-I点が高くなり真空注入しにくくなる。
【0218】光開始剤の添加量としては、液晶、樹脂混
合物に対して3〜0.01重量%添加するのが好まし
く、3重量%以上では、重合速度が早すぎて液晶ドロッ
プレット径を大きくすることができず、また、TFT駆
動に必要な電気的保持率を低下させてしまう。また、
0.01重量%以下では、十分に重合反応が起こらず高
分子壁を作製することができない。
【0219】[具体例11]本具体例11は、具体例1
0と同様の基板、材料を使用し、ホトマクスだけを図1
5に示す遮光部44aの中央に直径5μmの円形の透光
孔44bを有し、また、遮光部44aの4隅に向けて破
線状の透光スリット44cを持ったマスク44を用い
て、具体例8と同様に高分子壁に囲われた液晶表示素子
を作製した。
【0220】作製したセルを偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、図27に示すように、規則性を有する液晶領域dの
中央部に島状の高分子領域iを持ち、液晶ドメインgが
放射線状をした液晶領域dが観察された。作製したセル
の垂直方向から測定したときのコントラストは、29
で、45°方向から測定したコントラストは、どの方向
から測定しても25〜21の間であった。従来のTNセ
ルでは、正視角方向で反転現象が見られ表示品位を著し
く低下させていた。なお、本発明は、2枚の偏光板で挟
まれ、ハイコントラストで駆動電圧の急峻な従来使用さ
れている表示素子(TN,STN,ECB,強誘電性液
晶素子など)を、ポリマー中に液晶材料が包含された疑
似固体化した液晶素子により作製することができる。作
製されたセルは、単純マトリックス駆動、TFT,MI
Mなどのアクティブ駆動などの駆動法で駆動でき本発明
では、特に限定しない。
【0221】[具体例12]以下に、本具体例12にか
かる液晶表示装置の製造方法を具体的に説明する。ま
ず、ガラス基板(フリントガラス:1.1mm厚)上
に、厚みが500オングストロームのITO(酸化イン
ジュウムおよび酸化スズの混合物)を付けた基板上に、
ポリイミド(SE150:日産化学製)をスピンコート
法により塗布し、配向膜を形成した。
【0222】上記処理を行った2枚の基板の間に5μm
のスペーサーを挿入し、両基板の間の隙間を一定に保持
してセルを作製した。
【0223】作製されたセルの上に、図16に示す遮光
部44aの中央部に直径25μmの円形の透光孔44b
を持ったホトマスク44を配置した。なお、セル中に
は、イソボルニルメタクリレート0.9gと、2官能の
アクリレートであるR−684(日本化薬(株)社製)
0.1gと、液晶材料ZLI−4792(メルク社製)
カイラル剤としてS−811(メルク社製)を0.3
%添加した混合物4gと、光硬化性触媒であるIrgacure
184(チバガイギー製)0.02gとを均一に混合したも
のを注入しておく。
【0224】次に、平行光線が得られる高圧水銀ランプ
を用い、15mW/cm2の照射強度のところで、5分間紫外
線を連続照射して樹脂を硬化させた。
【0225】作製したセルを偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、図27に示すように、規則性を有する液晶領域dの
中央部に島状の高分子領域iを持ち、液晶ドメインgが
放射状をした液晶領域dが観察された。作製したセルの
垂直方向から測定したときのコントラストは、28で、
45°方向から測定したコントラストは、どの方向から
測定しても25〜21の間であった。従来のTNセルで
は、正視角方向で反転現象が見られ表示品位を著しく低
下させていた。
【0226】従って、本具体例12や具体例11で説明
したように、遮光部の中央部に遮光孔が設けられたホト
マスクを用いて照射を行う場合には、液晶領域内で全方
位的に液晶分子を配向させ、中間調での視角依存性を押
え、且つ、絵素の大部分を液晶領域が覆うようにするこ
とにより、散乱によるコントラストの低下を抑制するこ
とができ、液晶表示素子の大画面化、視野角依存性の少
ないことが必要な液晶表示素子に応用でき、その応用範
囲は極めて高い。その応用範囲は、液晶テレビ、ビデオ
カメラの表示装置(液晶ビューカム:シヤープ(株)
製)、バーチャルリアリティ用メガネ型液晶表示装置、
乗り物用液晶表示装置などに及ぶ。なお、ホトマスクの
遮光部などの弱照射領域の面積が非常に広い場合は透光
孔は複数設けるようにしてもよい。そのうちの1つが、
弱照射領域の中央部に存在してもしなくてもよい。要
は、弱照射領域のほぼ全体が液晶領域となり、その液晶
分子が放射状になるようにできればよい。
【0227】また、本実施例3の技術は、1絵素に2以
上の液晶領域を設ける場合にも適用が可能であり、その
適用例を図17に示す。図17において、bは絵素また
はホトマスクの遮光部、cはホトマスクの開口部、dは
液晶領域、eは液晶分子である。
【0228】また、本実施例3においても、実施例2で
詳述した(ホトマスクなどの光規制手段)〜(その他)
の各項目についても同様に適用可能である。
【0229】(実施例4)本実施例4は、液晶領域を実
施例3のようにすることに加えて、図28(a)に示す
ように、液晶領域dに含まれる複数の液晶分子jを、基
板表面に対してほぼ垂直な螺旋軸kの回りに螺旋状に配
向させる場合である。この場合には、液晶材料として
は、ネマティック液晶にコレステリック液晶、カイラル
剤などを添加した液晶材料などが使用できる。具体的に
カイラル剤としてはS−811、R−811、CE12
などのカイラル剤を使用することができる。
【0230】例えば、ネマティック液晶(特に、螺旋ピ
ッチを有した液晶)を使用する場合、螺旋ピッチによ
り、その特性が変化する。
【0231】螺旋ピッチが100μmより大きい場
合、偏光顕微鏡で観察したところ図29(a)、(b)
に示すがごとく液晶領域d内で基板に平行でほとんど液
晶の配向面がねじれずにホモジニアス配向に近い状態と
なっている。この場合、該セルを直交ニコル下に置くと
液晶の複屈折の効果だけで光線が透過するだけであり、
その透過量は少ない。また、高分子壁と液晶領域dの界
面での屈折率の差が電圧OFF時に明瞭となり、セルの
垂直方向から角度を持った位置からセルを観察した場
合、高分子壁と液晶領域dの界面が見え、ざらついた表
示となってしまう。
【0232】螺旋ピッチが100μm〜15μmの間
では、図28(a)(b)(c)に示すように、液晶分
子は基板に平行であるが上下基板で捩れた配向状態(T
Nセルに近い配向状態)となっていることが偏光顕微鏡
観察でわかった。この場合、直交ニコル下に該セルを置
くと、捩れ分子による施光性が発現され、光の透過量が
増加する。さらに、液晶と高分子の界面で液晶分子が基
板とは水平であるが面内でランダムに配向した状態にな
るために、セルの垂直方向から角度を持った位置からセ
ルを観察した場合、高分子壁と液晶領域の界面が見えに
くくなり、ざらつきが解消されて表示品位が向上する。
【0233】螺旋ピッチが15μm以下になると、図
30(a)(b)に示すように液晶分子の螺旋軸がセル
の垂直面から倒れてくることが偏光顕微鏡により液晶領
域内に細かな縞模様が発生していることにより確認され
た。このような螺旋が寝たような配向状態では液晶分子
が一部セルに垂直に立っていることになり、光の透過率
が低下してくる。
【0234】よって、本実施例4では螺旋ピッチは15
μm以上であり、100μm以下であるようにするのが
好ましい。より望ましくは、光の透過率とざらつきなど
の点を考慮すると25μm以上、75μm以下とするの
がよい。
【0235】[具体例13、14、15、16] ITO(インジュウムチンオキサイド)付きの透明電極
基板2枚をセル厚5.5μmになるように張り合わせセ
ルを作製した。作製したセルに、2官能のアクリレート
であるR−684 0.1gと、スチレン0.05g
と、イソボルニルメタクリレート0.85gと、液晶材
料ZLI−4792{S−811 0%(比較例1
3)、同0.3%(具体例13)、同0.6%(具体例
14)、同0.9%(具体例15)、同1.2%(具体
例16)、同1.5%(比較例14)添加物}4gと、
光開始剤Irgacure651 0.02gとを混合した混合
物を注入した。該混合物を均一混合状態になる40℃に
し、遮光部が200μm角の方形で、遮光部間が50μ
mで升目状に配列したホトマスクを被せ、ホトマスク側
から高圧水銀ランプ下14mW/cm2で、(1秒照射
+29秒非照射)×20サイクルにて照射し、その後5
分間連続照射し、さらにマスクをはずして5分間連続照
射を行った。
【0236】作製したセルに、偏光板を互いに直交する
ようにセルの上下に張り合わせた。作製した素子の電気
光学特性を表9に示す。駆動電圧(Vth)は、透過率の
変化が10%起こった時の電圧を表し、Toは、偏光面
を揃えた2枚の偏光板を100%として電圧無印加時の
光線透過率で示した。液晶材料の螺旋ピッチは、楔型セ
ルを用い測定を行った。
【0237】
【表9】
【0238】表9から分かるように、液晶材料の螺旋ピ
ッチが100〜15μmの間にあるとき光線透過率が改
善され明るい表示が可能となる。より好ましくは、75
〜25μmである。さらに、カイラル剤の添加により駆
動電圧が低下する傾向が見られる。
【0239】(実施例5) 本実施例5は、液晶ドメインが放射線状又はランダムに
配向している液晶表示素子において、透過率の向上とコ
ントラストの向上とをできるようにする場合である。以
下、本実施例5に係わる具体例に基づき説明する。
【0240】[具体例17,18,19,20] 硝子基板(1.1mm厚)上にITO(酸化インジュウ
ムおよび酸化スズの混合物、500オングストローム)
を透明電極として有する基板2枚を6μmのスペーサー
によりセル厚を保されることによりセルを構成した。作
製したセルの上に、図31に示すホトマスクを絵素部分
が遮光されるように配置し、さらにセル中に、2官能の
アクリレートであるR−684(日本化薬社製)0.1
gと、スチレン0.05gと、イソボルニルメタクリレ
ート0.85gと、さらに表10に示すフッ素、塩素系
液晶材料(カイラル剤としてS−811を0.5%添
加)4gと、光開始剤Irgacure651 0.0025g
とをそれぞれ混合した混合物を作製した。
【0241】
【表10】
【0242】該混合物をそれぞれ均一状態で注入し、そ
の後、ホトマスク側から平行光線を得られる高圧水銀ラ
ンプ下10mW/cm2のところで(1秒照射、30秒
照射無し)のサイクルを20サイクル行い、その後10
分間照射し、さらに、10分間マスクを取り除いて紫外
線を照射して樹脂を硬化させた。作製したセルの前後に
互いに直交する2枚の偏光板を張り合わせて高分子壁に
囲まれた液晶表示素子を作製した。
【0243】表11は、作製したセルの電気光学特性で
ある電圧OFF時の光線透過率T0を、2枚の偏光板を
同方向にそろえた場合を100%として測定した結果を
示している。
【0244】
【表11】
【0245】これら具体例17〜20のセルの視角特性
は、反転現象も起こらず、良好であった。
【0246】[具体例21、22]具体例17と同様の
基板材料を使用し、セル間のスペサーを変化させること
により、セル厚が3.5μm(比較例15)、7.2μ
m(具体例21)、9.1μm(具体例22)、12.
0μm(比較例16)となるように各セルを作製した。
【0247】作製したセルに具体例17と同様の混合物
を注入し、具体例17と同様にホトマスクを被せ紫外線
照射を行った。生成したセルを偏光顕微鏡で観察したと
ころ、具体例21、22では、ほぼホトマスク通りの形
状の液晶領域が形成されているが、比較例15では、セ
ルギャップが小さすぎる為に液晶材料や光硬化性樹脂な
どの移動が十分に起こらないために遮光部の内部にも高
分子壁が形成され、電圧OFF時の光透過率が低い。
【0248】表12は、作製したセルの電気光学特性を
示す表である。
【0249】
【表12】
【0250】この表12および前述の表11により理解
されるように、これら具体例21、22のセルの視角特
性は、反転現象も起こらず、良好であった。また、液晶
材料の△nと液晶層の厚みdとの積△n・dにより、該
液晶表示素子の表示特性、特に、電圧OFF時の光線透
過率T0が大きく左右され、0.4〜1.1μmの間に
あるときに高い透過率を示す。さらに、セル厚は、△n
・dを変化させるが、セル厚が3μm以下では、液晶材
料や光硬化性樹脂などの物質移動が十分に起こらず、遮
光部内に無数の液晶領域が発生し、コントラストを低下
させる。また、10μm以上では、上下基板間に高分子
材料が十分密着しない部分が発生し、液晶領域の形状の
制御しやすさが低下する。したがって、好ましい範囲と
しては、液晶層の厚み(d)と液晶材料の屈折率異方性
(△n)との積が0.4〜1.1μmの範囲内で、セル
厚が3〜10μmである。
【0251】(実施例6)本実施例6は、液晶ドメイン
が放射線状またはランダムに配向している液晶表示素子
の作製に用いる好適なホトマスク例を説明している。
【0252】具体例17と同様にセルを作製し、具体例
17と同様の混合物を用い、図32に示すホトマスクを
かぶせて、具体例17と同様に紫外線照射を行った。作
製したセルを偏光顕微鏡で観察したところ、図33に示
すような液晶領域が生成した。この液晶領域dは、内側
の液晶d1と外側の液晶部d2とが、その間の高分子部
で分断され、内側の液晶部d1のほぼ中央部に高分子の
島iが形成された構成となっている。
【0253】図34は、この液晶表示素子の視角特性を
示す。同図(a)(b)では、作製したセルの両面に互
いに偏光面が直交するように偏光板を貼り合わせたセル
の印加電圧−透過率曲線を示しており、(a)は、同図
(d)に示すようにセルの垂直方向から測定した場合、
(b)はセルの垂直方向から40°の角度から測定した
場合である。(c)は、(b)からセル面内で90°回
転した方向から測定した場合の曲線をそれぞれ示してい
る。図から理解されるように、視角を変化させても印加
電圧−透過率曲線の変化量は少なく、視角特性が優れて
いることがわかる。特に、電圧飽和時の透過率の浮き、
つまり透過率が0より大きくなる状態が殆ど見られな
い。
【0254】本実施例の様な各遮光部の内部に外形とほ
ぼ同じような形状の照射部(閉曲線、部分的に切れた閉
曲線)を有するホトマスクを用いた場合、外周と内部曲
線との間で、液晶ドメインが放射線状に細かく配列し、
視角特性を改善する効果が大きい。外周形状と内部曲線
の形状は、相似形である必要はなく、例えば、外周が長
方形の場合、内部曲線が円形、6角形、正方形などであ
っても同様の効果が得られる。本実施例のように6角形
を用いた場合、平面をすべて覆うことができ、かつ、円
形に近い液晶領域に放射状にしやすく好ましい。
【0255】(実施例7)本実施例7は、更に視角依存
性を向上させる場合である。
【0256】非散乱型液晶表示素子は、中間調において
視角特性が、従来の液晶表示素子に比べて飛躍的に改善
されているが、液晶分子がセルの垂直方向に対して傾い
ている為に垂直方向からの屈折率と斜め方向からの屈折
率とが微妙に変化しており、見かけ上のコントラストも
その現象により若干変化している。その現象を補正する
ために、図18に示すように、一方の偏光板(図示せ
ず)と基板61の間に円盤型の屈折率異方性を持った屈
折率異方性フィルム62を積層する方法を適応すること
ができる。これにより、垂直方向(m方向)と斜め方向
(n方向)からの屈折率がほぼ同程度となりコントラス
トの視角依存性を極端に減少できる。このことは、特開
平2−400795などに既に開示されており、一般的
な複屈折の相殺法である。
【0257】屈折率異方性フィルム62は、例えばポリ
ビニールアルコール(PVA)などの2軸延伸フィルム
で、フィルム面内では屈折率異方性がなく、かつ、面内
の屈折率が垂直方向の屈折率よりも大きくなるように形
成されたものである。
【0258】(実施例8)本実施例8は、高分子壁の上
にブラックマスク等の遮光マスクを被せて遮光性の向上
を図る場合である。
【0259】図19は、本実施例に係る液晶表示素子を
示す断面図である。この液晶表示素子は、対向配設され
た2つの透明な基板31、35と、両基板31、35の
内面に到達するように設けられた高分子からなる壁37
と、この壁37で包囲された液晶領域38と、両基板3
1、35の外側にそれぞれ設けられた偏光板39a、3
9bと、一方(下側)の基板31の外側に設けられたバ
ックライト40とを備える。
【0260】上記バックライト40側に位置する基板3
1は、その液晶領域38側に、絵素電極32を有する。
更に、絵素電極32が形成された基板31の上には、平
坦化するための平坦膜、遮光マスク33及び配向膜34
aがこの順に形成されている。この遮光マスク33は、
上記基板31の内面に到達した壁37部分を、その壁3
7部分の面積の50%以上を覆うように配されている。
他方の基板35は、その液晶領域38側に上記絵素電極
32と対向して形成した対向電極36と、この対向電極
36を覆って形成した配向膜34bとを有する。
【0261】なお、絵素は、遮光マスク33が上記壁3
7部分の面積の100%以上を覆う場合には、遮光マス
ク33で覆われていない部分が相当する。逆に、100
%未満の場合には、絵素電極32と対向電極36との重
なり部分の大きさに相当する。
【0262】かかる構成の液晶表示素子の作製は、以下
のようにして行われる。
【0263】先ず、絵素電極32、平坦膜、遮光マスク
33及び配向膜34aが形成された基板31と、対向電
極36及び配向膜34bが形成された基板35とを用意
するか、あるいは作製する。
【0264】次に、2つの基板31と35を対向配設
し、両基板31、35の間に、予め用意した光硬化性の
高分子材料と液晶材料とを少なくとも含む混合物を注入
する。なお、この注入に先だって、前記配向膜34aと
34bには、ラビング処理を施しておく。続いて、遮光
マスク33を有する基板31とは反対側の基板35の外
側に、絵素の大きさに比べて小さい遮光部をマトリクス
状に有し、かつ、各遮光部の外側を光透過部となしたホ
トマスクを設け、このホトマスクの光透過部から前記混
合物に光を照射する。なお、ホトマスクの光透過部は、
遮光マスク33が壁37部分の面積の50%以上を覆う
状態となるように、位置及び大きさを定めておく。
【0265】ところで、遮光マスク33が基板31の内
面に到達した壁37部分を覆う面積は、50%以上であ
ればよいが、300%を越えると絵素電極32の周縁部
を覆う面積が増大して輝度が低下するため、50%以
上、300%以下とするのが好ましい。更には、80%
以上、150%以下とするのが望ましい。このようにし
て遮光マスク33で覆う場合は、1つの液晶領域が2つ
の絵素に跨って形成されていたり、隣合う絵素同士の間
に形成されていたりしても、隣合う絵素同士の間を遮光
マスク33が遮光するので、その部分からの透光を抑制
でき、コントラストの低下を防止できる利点がある。
【0266】また、遮光マスク33を設置する位置につ
いては、本実施例では液晶領域38よりバックライト4
0側に設けているが、反対側に設けるようにしてもよ
い。但し、液晶領域38よりバックライト40側に設け
る場合には、高分子からなる壁37で光が散乱する前に
遮光することが可能であり、より遮光性の向上を図れ
る。更には、基板31の内面に到達した壁37部分に、
より近くなるようにするのが好ましい。
【0267】上記遮光マスク33の材料としては、50
%以上で可視光を遮光できるものであれば何でもよく、
該当するものとしては、例えばアルミニウム、タンタ
ル、モリブデンなどの金属、或は有色塗料などの有機材
料があり、使用するに際しては薄膜として用いる。
【0268】以下に、本実施例8についての具体例を説
明する。
【0269】[具体例23]厚みが0.25mmである
PETフィルムの上に、厚み500オングストロームの
ITOからなる電極線(線数20本、電極線の幅200
μm、電極線間の距離50μm)を有する2枚の基板を
使用した。
【0270】次に、このような構成の1組の基板上に、
ポリイミド(SE150:日産化学製)をスピンコート
法で塗布して配向膜を形成し、この配向膜にナイロン布
を用いてラビング処理を行った。
【0271】次に、ラビング処理を行った2枚の基板を
電極線を互いに直交するように組み合わせ、両基板の間
に6μmのスペーサーを介装してセル厚を保たせること
によりセルを構成した。
【0272】次に、図20に示すように、例えば正方形
をした遮光部41aの一辺が200μmであり、隣合う
遮光部41aの中心間距離が250μm、光透過部41
bの幅が50μmであるAl製のホトマスク41を、作
製したセルの上に配置する。続いて、2枚の基板の間
に、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.1
gと、2−エチルヘキシルアクリレート0.9gと、液
晶材料ZLI−3700−000(メルク社製)にCN
(コレステリック ノナネート)を0.3g添加したも
の4gと、光硬化性触媒Irgacure184(チバ
ガイギー製)0.03gとを均一に混合してなる混合物
を注入する。
【0273】その後、ホトマスク側から紫外線を2分間
照射して混合物を硬化させる。このとき、平行光線を得
られる高圧水銀ランプ下10mW/cm2のところにセ
ルを置いて硬化を行った。
【0274】最後に、硬化が終了したセルに対して、配
向膜の配向方向に沿った方向に偏光方向を一致させて偏
光板を貼り合わせて、高分子分散型TN液晶表示素子を
作製した。このようにして作製された液晶表示素子を以
下、セルAという。
【0275】更に、もう一つ別のセルを以下のようにし
て作製した。先ず、偏光板の貼り合わせを行う前迄につ
いて前同様にしてセルを作製した。次に、このセルの外
側に、図21に示すように上記ホトマスクの光透過部が
遮光部42aとなったモリブデン製の遮光マスク42を
取り付けた。この取付は、バックライト側となる基板に
対し、遮光マスク42の遮光部42aが上記ホトマスク
の光透過部と重なるように行った。
【0276】次に、これにより得られたセルに、配向膜
の配向方向に沿った方向に偏光方向を一致させて偏光板
を貼り合わせ、高分子分散型TN液晶表示素子を作製し
た。このようにして作製された液晶表示素子を以下、セ
ルBという。
【0277】表13は、作製されたセルAとセルBとの
コントラスト特性を、従来法による比較例17、18の
ものと併せて示している。なお、上記比較例17は、具
体例23の基板に代えて、ITO付きガラス(日本板硝
子製ITO−500オングストローム付きフリントガラ
ス)を用いて具体例23と同様にセルを作製した。更
に、このセルに、具体例23と同様の液晶材料を注入
し、作製したセルに配向方向に沿った方向に偏光板の偏
光方向を合わせて偏光板を貼り合わせて従来のTN表示
素子を作製した。一方、上記比較例18は、具体例23
と同様にTN型セルを作製し、具体例23と同様の液晶
と光硬化性樹脂との混合物を使用し、この混合物をセル
に注入した後、ホトマスクをセルに被せずに、具体例2
3と同様にUV照射を行い、ポリマー分散型表示素子を
作製した。
【0278】
【表13】
【0279】表13より理解されるように、本発明の具
体例23(セルA)は、従来使用されていた比較例17
と電気光学特性的に遜色が無く、特に遮光マスクを設置
した具体例23(セルB)では比較例17とほぼ同等の
コントラストを示している。なお、具体例23(セル
A)及び具体例23(セルB)は、共に比較例18に対
しては比較にならない程度の良好なコントラストが得ら
れている。
【0280】したがって、本実施例8の方法を用いるこ
とにより、フィルム基板を使用することができ、かつ、
従来研究されてきた高分子分散型液晶表示素子に比べ
て、絵素内での散乱が殆ど無いためにコントラストを高
くすることが可能である。なお、セルA及びセルBを分
断し、液体窒素中でセルを剥離し、アセトンで液晶材料
を洗い流した後のポリマー壁の水平断面をSEMにより
観察したところ、ホトマスクの遮光部と同じ規則性、つ
まり絵素と同じ規則性で、かつ、同程度の大きさで均一
に揃った液晶領域が形成されていることが確認された。
【0281】なお、上述した実施例8においても、実施
例2の箇所で説明した(ホトマスクなどの光規制手段)
から(その他)までの内容を、同様にして適用できるの
はもちろんである。
【0282】
【発明の効果】以上詳述したように本発明による場合に
は、ホトマスク等の光分布形成手段により液晶領域の位
置や大きさをコントロールできるので、滴状の液晶領域
が均一な径を有し、かつ、基板表面に沿った方向におい
て規則正しく配置でき、これにより閾値特性が急峻であ
り、しかもコントラストの優れた散乱型液晶表示素子及
びその製造方法を提供することができる。また、液晶領
域の大きさを絵素に対して調整して液晶領域を形成した
非散乱型液晶表示素子及びその製造方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1に係る液晶表示素子を示す断面図で
ある。
【図2】(a)は本実施例1の液晶表示素子に光を照射
する前の状態を示す断面図、(b)は光照射後の状態を
示す断面図である。
【図3】本実施例1において光照射により硬化した高分
子の壁と液晶との境界部分を示す図である。
【図4】本発明に使用可能なホトマスクの1例であり、
1つの絵素電極に1つの液晶領域を割り当てる場合を示
す平面図である。
【図5】本発明に使用可能な他のホトマスクの1例であ
り、2つの絵素電極に1つの液晶領域を割り当てる場合
を示す平面図である。
【図6】図2(b)の場合よりも液晶領域の大きさを大
きくして絵素電極に近付けた場合を示す断面図である。
【図7】混合物を真空注入でセル内に挿入する場合の方
法を説明する平面図である。
【図8】図7の側面図(断面図)である。
【図9】注入器を示す正面図である。
【図10】本発明の適用が可能な配向膜付きの液晶表示
素子例を示す断面図であり、(a)は液晶領域の大きさ
が絵素電極よりも少し小さい場合を示し、(b)は液晶
領域の大きさを大きくして絵素電極に近付けた場合を示
す。
【図11】(a)は従来のECBモードの液晶表示素子
において電圧を印加していない時の液晶分子の配向状態
を示す図、(b)は電圧印加時の液晶分子の配向状態を
示す図である。
【図12】(a)は本発明を適用したECBモードの液
晶表示素子において電圧を印加していない時の液晶分子
の配向状態を示す図、(b)は電圧印加時の液晶分子の
配向状態を示す図である。
【図13】比較例6の液晶表示素子における高分子の壁
と液晶との境界部分を示す図である。
【図14】本発明において用いる他のホトマスク例を示
す平面図である。
【図15】本発明において用いる他のホトマスク例を示
す平面図である。
【図16】本発明において用いる更に他のホトマスク例
を示す平面図である。
【図17】本発明により1絵素内に複数の液晶領域を形
成した場合を示す図である。
【図18】本発明の液晶表示素子に関し、更に視角依存
性の向上を図る場合の構成を示す図である。
【図19】本発明の更に他の実施例に係る液晶表示素子
を示す断面図である。
【図20】図19の液晶表示素子の作製に使用するホト
マスクを示す正面図である。
【図21】図19の液晶表示素子に備わった遮光マスク
を示す正面図である。
【図22】散乱モードの液晶領域を示す図である。
【図23】光重合速度が速い場合に得られる非散乱モー
ドの液晶領域を示す図である。
【図24】光重合速度が遅い場合に得られる非散乱モー
ドの液晶領域を示す図である。
【図25】図24の場合よりも光重合速度が速く、しか
も図23の場合よりも光重合速度が遅いときに得られる
非散乱モードの液晶領域を示す図である。
【図26】光重合速度が更に遅い場合に得られる、非散
乱モードの液晶領域を示す図である。
【図27】ホトマスクの遮光部の中央部に透光孔を設け
た場合に得られる非散乱モードの液晶領域を示す図であ
る。
【図28】実施例4に係る液晶表示素子の液晶領域であ
り、螺旋ピッチが15μm以上、100μm以下である
場合を示しており、(a)は液晶領域の正面図(断面
図)、(b)はその平面図、(c)は(a)のI、II、I
II、IV層の各々平面図である。
【図29】螺旋ピッチが100μmより大きい場合を示
しており、(a)は液晶領域の正面図(断面図)、
(b)はその平面図、(c)は(a)のI、II、III、IV
層の各々平面図である。
【図30】螺旋ピッチが15μmより小さい場合を示し
ており、(a)は液晶領域の正面図(断面図)、(b)
はその平面図である。
【図31】実施例5で使用するホトマスク例を示す平面
図である。
【図32】実施例6で使用するホトマスク例を示す平面
図である。
【図33】図32のホトマスクを使用して得られる液晶
領域を示す平面図である。
【図34】実施例6の液晶表示素子の視角特性を示す図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 絵素電極 3 対向基板 4 対向電極 5 混合物 6 ガラス板 7 ホトマスク 8 壁 8a 配向膜 9 液晶領域 9a 絵素 10 紫外線光 11 絵素電極 12 ガラス基板 13 ガラス基板 14 ホトマスク 15 対向電極 16 液晶領域 17 壁 31 基板 32 絵素電極 33 遮光マスク 34a 配向膜 34b 配向膜 35 基板 36 対向電極 37 壁 38 液晶領域 39a 偏光板 39b 偏光板 40 バックライト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−30996 (32)優先日 平5(1993)2月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 平井 敏幸 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 大西 憲明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 四宮 時彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 倉立 知明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 藤森 孝一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 近藤 正彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−78024(JP,A) 特開 平5−257132(JP,A) 特開 平5−19241(JP,A) 特開 平5−34669(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1333

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絵素がマトリクス状に配された液晶表示
    素子において、 電極をそれぞれ有する2つの基板の少なくとも一方が透
    明で、該電極上には一軸配向処理が施された配向膜が形
    成されており、該2つの基板が電極側を内側にして対向
    配設され、対向する2つの基板の間に挾持された表示媒
    体が、高分子を主体とする壁と液晶を主体とする液晶領
    域とからなり、該壁が両基板に到達して、かつ密着して
    形成され、該液晶領域が該壁で包囲されていると共に、
    両基板に接近し、その接近する部分を基板に対して平行
    となした平行部を有してなり、前記1つの絵素内に含ま
    れる該液晶領域の面積は該絵素の面積の30%以上であ
    ることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 絵素がマトリクス状に配された液晶表示
    素子において、 電極をそれぞれ有する2つの基板の少なくとも一方が透
    明で、該2つの基板が電極側を内側にして対向配設さ
    れ、対向する2つの基板の間に挾持された表示媒体が、
    高分子を主体とする壁と液晶を主体とする液晶領域とか
    らなり、該壁が両基板に到達して、かつ密着して形成さ
    れ、該液晶領域が該壁で包囲されていると共に、両基板
    に接近し、その接近する部分を基板に対して平行となし
    た平行部を有してなり、前記1つの絵素内に含まれる該
    液晶領域の面積は該絵素の面積の30%以上であって、
    該液晶領域は複数の液晶ドメインを有し、各液晶ドメイ
    ン又は液晶分子の配向方向が基板表面にほぼ平行な面上
    において同心円状、放射状又はランダム状となっている
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 前記1つの液晶領域が1又は2以上の絵
    素に対して配設されたことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記1つの絵素内に、前記2つ以上の液
    晶領域がその全体又は一部を含まれて存在することを特
    徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記液晶領域が、中央部に位置する内側
    液晶ドメインと、該内側液晶ドメインの外側を包囲して
    形成された高分子領域と、該高分子領域の外側を包囲し
    て形成され、ディスクリネーションにて区切られた複数
    の外側液晶ドメインとからなり、各外側液晶ドメインの
    方向が基板表面にほぼ平行な面上にお いて放射状となっ
    ていることを特徴とする請求項2、3又は4に記載の液
    晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記液晶領域が、ディスクリネーション
    にて区切られた複数の液晶ドメインとからなり、液晶ド
    メインの方向が基板表面にほぼ平行な面上において異な
    る方向に向いていることを特徴とする請求項2、3又は
    4に記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記液晶領域が、中央部に位置する高分
    子領域と、該高分子領域の外側を包囲して形成され、デ
    ィスクリネーションにて区切られた複数の液晶ドメイン
    とからなり、液晶ドメインの方向が基板表面にほぼ平行
    な面上において放射状となっていることを特徴とする請
    求項2、3又は4に記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 前記液晶領域に含まれる複数の液晶分子
    が基板表面に対してほぼ垂直な螺旋軸の回りに螺旋状に
    配向されていることを特徴とする請求項1及至7のいず
    れかに記載の液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 前記液晶領域に含まれる複数の液晶分子
    が、螺旋ピッチを15μm以上、かつ100μm以下と
    して設けられていることを特徴とする請求項8に記載の
    液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 前記液晶領域の両平行部間の厚みと屈
    折率異方性との積が0.4μm以上、かつ1.1μm以
    下であり、両基板間の離隔距離が3μm以上、かつ10
    μm以下であることを特徴とする請求項1及至9のいず
    れかに記載の液晶表示素子。
  11. 【請求項11】 前記基板の一方側に遮光マスクが設け
    られ、該遮光マスクが基板に到達した壁部分を、該壁部
    分の面積の少なくとも50%以上覆うように構成されて
    いることを特徴とする請求項1及至10のいずれかに記
    載の液晶表示素子。
  12. 【請求項12】 前記2つの基板の少なくとも一方の基
    板の外側に偏光板が設けられており、かつ、該偏光板と
    基板間に少なくとも一枚の負の屈折率異方性を有する位
    相差板が設けられていることを特徴とする請求項1及至
    11のいずれかに記載の液晶表示素子。
  13. 【請求項13】 前記電極上に垂直配向膜が設けられて
    いることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子。
  14. 【請求項14】 絵素がマトリクス状に配された液晶表
    示素子の製造方法において、 少なくとも光硬化性の高分子材料と液晶材料とを含む混
    合物を、該2つの基板間に注入する工程と、 該混合物に弱照射領域を有する照射強度分布を持つ光を
    照射し、両基板に到達して、かつ密着して形成された高
    分子を主体とする壁と、該壁で包囲され、かつ、両基板
    に接近し、その接近する部分を基板に対して平行となし
    た平行部を有する、液晶を主体とする液晶領域とからな
    る表示媒体を両基板間に形成する工程と、 を含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 電極をそれぞれ有する2つの基板上に
    配向膜を形成して一軸配向処理を施す工程を含むことを
    特徴とする請求項14に記載の液晶表示素子の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記弱照射領域を光規制手段によって
    形成することを特徴とする請求項14又は15に記載の
    液晶表示素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記光規制手段がホトマスクであるこ
    とを特徴とする請求項16に記載の液晶表示素子の製造
    方法。
  18. 【請求項18】 前記ホトマスクが前記2つの基板の一
    方の液晶層側に形成されていることを特徴とする請求項
    17に記載の液晶表示素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記弱照射領域が1又は2以上の絵素
    にわたる範囲であることを特徴とする請求項14又は1
    5に記載の液晶表示素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記弱照射領域の大きさが前記絵素の
    大きさの30%以上であることを特徴とする請求項14
    又は15に記載の液晶表示素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記液晶領域形成用の複数の遮光部を
    有するとともに、各遮光部に1又は2以上の透光部が該
    遮光部のほぼ中央部を含んで設けられたホトマスクを使
    用し、前記混合物に該ホトマスク側から光を照射するこ
    とを特徴とする請求項14に記載の液晶表示素子の製造
    方法。
  22. 【請求項22】 前記ホトマスクとして、前記遮光部に
    透光部から放射状に設けられた透光スリットを有するも
    のを使用することを特徴とする請求項21に記載の液晶
    表示素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 光照射期間と光非照射期間とを交互に
    設けて前記弱照射領域を有する照射強度分布を持つ光を
    混合物に照射することを特徴とする請求項14又は15
    に記載の液晶表示素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記混合物に光重合抑制効果を有する
    化合物が含まれていることを特徴とする請求項14又は
    15に記載の液晶表示素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記混合物を2つの基板間に注入する
    工程が、一方の基板に該混合物を付着させた後で、2つ
    の基板を貼り合わせることにより行われることを特徴と
    する請求項14及至24のいずれかに記載の液晶表示素
    子の製造方法。
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