JP2925861B2 - 開閉器 - Google Patents

開閉器

Info

Publication number
JP2925861B2
JP2925861B2 JP29664092A JP29664092A JP2925861B2 JP 2925861 B2 JP2925861 B2 JP 2925861B2 JP 29664092 A JP29664092 A JP 29664092A JP 29664092 A JP29664092 A JP 29664092A JP 2925861 B2 JP2925861 B2 JP 2925861B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact
movable contact
fixed contact
conductor
conductor portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP29664092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06124637A (ja
Inventor
貢 高橋
孝夫 三橋
和則 福谷
健一 仁科
伸示 山県
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP29664092A priority Critical patent/JP2925861B2/ja
Priority to TW082102276A priority patent/TW409265B/zh
Priority to US08/076,741 priority patent/US5583328A/en
Priority to EP95113702A priority patent/EP0698899B2/en
Priority to DE69328444T priority patent/DE69328444T3/de
Priority to EP93110049A priority patent/EP0576992B1/en
Priority to DE69315384T priority patent/DE69315384T2/de
Priority to KR93012316A priority patent/KR0128485B1/ko
Publication of JPH06124637A publication Critical patent/JPH06124637A/ja
Priority to US08/434,529 priority patent/US5596184A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP2925861B2 publication Critical patent/JP2925861B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Breakers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、回路遮断器
や限流器または電磁接触器など、電流遮断時に容器内で
アークが発生する開閉器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図52は従来の開閉器として例えば回路
遮断器の開成時状態を示す側面図、図53は図52の回
路遮断器の接点開離直後の状態を示す側面図、図54は
図53の回路遮断器における可動接触子の最大開離状態
を示す側面図である。図において、1は回路遮断器の可
動接触子であり、この可動接触子1は基部の回動支点
(回動中心)14(図53,図54参照)を中心にして
回動するように支持されている。2は前記可動接触子1
の一端(自由端部下面)に固着された可動接点、3は前
記可動接触子1の回動により可動接点2と接離する固定
接点、4はその固定接点3を一端に有する固定接触子で
あり、この固定接触子4の形状構成については後述す
る。5は前記固定接触子4の他端に接続された電源側の
端子部である。6は消弧板で、前記可動接点2と前記固
定接点3との開離時にそれらの接点間に発生するアーク
を引き延ばして冷却すべく機能する。7は前記消弧板6
を保持する消弧側板である。8は前記可動接触子1を回
動させる機構部であり、この機構部8は、電流検出部
(図示せず)を内蔵し、該電流検出部が短絡電流を検知
することによって作動するようになっている。9は前記
機構部8を手動で操作するためのハンドル、10は負荷
側の端子部、11はその端子部10を前記可動接触子1
に接続する導体である。12はこれらの回路遮断器構成
部品を収納する容器、13はその容器12の壁部に設け
られた排気孔である。
【0003】ここで、前記固定接触子4の形状構成につ
いて説明する。図52〜図54において、前記固定接触
子4は、電源側の端子部5が接続されて水平方向に延び
る導体部4aと、この導体部4aにおける前記端子部5
と反対側の端部に下方へ向け折曲形成された垂直な導体
部4bと、この導体部4bの下端から前記導体部4aと
は反対側の水平方向に延びる段差状下部の導体部4c
と、この導体部4cの先端から垂直方向に立ち上がる導
体部4dと、この導体部4dの上端から前記導体部4a
側に向って水平方向に延びる導体部4eとから成る形状
に一体形成され、前記導体部4e上に固定接点3が設け
られた構成となっている。
【0004】このような形状構成の固定接触子4におい
て、段差状下部の導体部4cと固定接点3側とを接続し
ている導体部4dは、固定接点3の位置より可動接触子
1の可動接点2が固着されていない他端部側で且つ端子
部5の反対側に位置し、固定接点3を有する導体部4e
は、端子部5を有する導体部4aと同一水平面上にあっ
て、可動接点2と固定接点3相互の接点閉成時に該接点
接触面の位置より下方に位置している。かかる固定接触
子4は、その全体表面が絶縁されていない素肌露出状態
で使用されている。
【0005】次に動作について説明する。図39の状態
において、固定接触子4の端子部5を電源に接続すると
共に、負荷側の端子部10を負荷に接続する。この状態
において、ハンドル9を矢印B方向に操作すると、機構
部8が動作して可動接触子1が基部の回動支点14(図
53,図54参照)を中心として下降回動することによ
り、可動接点2が固定接点3と接触した接点閉成状態と
なって、電力が電源から負荷に供給される。この状態
で、通電の信頼性を確保するために前記可動接点2は固
定接点3に規定の接触圧力で押えつけられている。
【0006】ここで、回路遮断器より負荷側の回路で短
絡事故などが起こり、回路に大きな短絡電流が流れる
と、この大電流を前記機構部8内の電流検出部が検知し
て前記機構部8を作動させる。これによって、可動接触
子1が接点開離方向に回動することで可動接点2が固定
接点3から開離する。このような接点開離時には、図4
0および図41に示すように、可動接点2と固定接点3
との間にアークAが発生する。
【0007】しかし、通常、短絡電流などの大電流が流
れると、可動接点2と固定接点3の接触面における電磁
反発力が非常に強くなり、前記可動接点2にかかってい
る接触圧力に打ち勝つために、可動接触子1は機構部8
の動作を待たずに接点開離方向に回動する。従って、そ
の回動により、可動接点2と固定接点3の開離が起こ
り、それらの接点2,3間に発生したアークAは、消弧
板6で引き延ばされて冷却される。この結果、アーク抵
抗が上昇し、短絡電流が小さく絞られる限流が起こり、
電流零点で前記アークAは消弧されて電流遮断が完了す
る。
【0008】限流は、回路遮断器の保護機能を向上させ
るために非常に重要であり、限流性能を高めるために
は、上述のようにアーク抵抗を増大させる必要がある。
【0009】アーク抵抗を増大させるためにアークを引
き延ばす方法としてよく使われるのは、例えば特開昭6
0−49533号公報や特開平2−68831号公報に
示されているような形状の固定接触子を利用する方法で
ある。これらの公報に示された固定接触子の形状は、図
52〜図54に示した固定接触子4の形状と基本的には
同じである。この固定接触子4による電流経路は、図5
2〜図54において、電源側の端子部5から導体部4
a,4b,4c,4d,4eを順に経て固定接点3に至
る。
【0010】このような電流経路において、固定接触子
4の固定接点3側の電流経路4eに流れる電流がアーク
Aに及ぼす電磁力は、アークAを消弧板6方向へ引き延
ばす力となる。この力でアークAは長くなってアーク電
圧が増大する。また、アークAは消弧板6の冷却作用に
よってもアーク電圧が高くなるため限流性能が向上す
る。さらに、接点閉成時の可動接触子1に流れる電流は
固定接触子4の電流経路4eに流れる電流と逆方向であ
り、大電流遮断時には可動接触子1と固定接触子4の電
流経路4eの間に電流反発力が働く。
【0011】これによって、可動接触子1の開極スピー
ドが増大し、接点間のアークAを早く長くできるため、
アーク電圧も早く増大する。これらの結果、アーク抵抗
はより高くなり限流性能の優れた回路遮断器が得られ
る。
【0012】通常の交流遮断における限流性能を高める
には、上述のようにアーク抵抗を高めることが必要であ
るが、この場合、接点2,3が開離した直後の未だ電流
が最大値になる前に、アーク抵抗を高めなければならな
い。電流が大きくなった後にアーク抵抗を高めても、電
流の慣性効果のためになかなか電流は限流されない。か
えって、大電流で且つ抵抗が高いため、遮断器内で発生
するアークエネルギーが大きくなり、遮断器の損傷が激
しくなるだけである。従って、接点2,3が開離した直
後のアークを強い電磁力で大きく引き延ばし、急激にア
ーク抵抗を高めるような固定接触子形状が必要となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来の固定接触子形状
を持つ開閉器は以上のように構成されているので、図5
3に示すように、接点2,3開離直後のアークAを電源
側の端子部5方向に引き延ばす電磁力を発生する固定接
触子4の電流経路は、電源側の端子部5を有する導体部
4aと同一面上で分離した固定接点3側の導体部4eだ
けであり、他の電流経路(導体部)4a,4b,4c,
4dは、全てアークAを前記端子部5と反対側に引き延
ばす電磁力を発生する。何故なら、導体部4a,4cの
電流は固定接点3側の導体部4eと逆方向に流れている
ので、アークAを端子部5の方向と逆方向に引き延ばす
電磁力を発生させる。また、導体部4bの電流は、前記
アークAの電流と逆方向のために反発し合い、導体部4
dの電流は前記アークAの電流と同一方向であって引き
合うため、アークAを端子部5の方向と逆方向に引き延
ばす結果となる。このため、前記電流経路4eが発生す
るアークAを端子部5の方向に引き延ばす電磁力はそれ
以外の電流経路による電流によって打ち消されてしま
う。さらに、前記可動接触子1の全体に亘って回動方向
の電磁力を及ぼすのは、上述のように固定接触子4の電
流経路4eだけであり、他の電流経路4a,4cは可動
接触子1と同じ向きの電流が流れるため、可動接触子1
を閉じる方向の電磁力を及ぼす。電流経路4dに流れる
電流は、可動接触子1の回動中心14側には回動方向の
電磁力を及ぼすが、可動接触子2側では閉じ方向の電磁
力を及ぼす。
【0014】したがって、従来の開閉器に使用されてい
る固定接触子4の形状では、可動接触子1の高速開極の
ために前記固定接触子4に流れる電流の電磁力がアーク
Aを引き延ばすために効果的に作用しないという問題点
があった。また、唯一、可動接触子1の高速開極に寄与
している固定接触子4の電流経路4eの電磁力も前記可
動接触子1が回動するにつれて互いの距離が大きくなる
ため急速に減少して開極速度が低下するという問題点が
あった。
【0015】このように従来の固定接触子の形状では、
この固定接触子4に流れる電磁力がアークAを引き延ば
すためや可動接触子1の開極速度を高めるために効果的
に使えず、このため、必要な限流性能が得られないとい
う問題点があった。
【0016】請求項1の発明は上記のような問題点を解
消するためになされたもので、接点開離直後の固定接触
子の全ての電流経路が、アークを端子部側に引き延ばす
電磁力を発生するようにして、急激にアーク電圧を立ち
上げることができ、且つ、可動接触子の開極距離が増大
した際には、アークが冷却されて、高いアーク電圧を発
生、維持でき、優れた限流性能を持つ開閉器を得ること
を目的とする。
【0017】請求項2の発明は、接点開離直後のアーク
電圧が急激に増大し、且つ、接点開成時のアークが強制
的に冷却されるようにして、高いアーク電圧を維持でき
ると共に、可動接触子やアークにかかる電磁力の不均衡
を低減できる開閉器を得ることを目的とする。
【0018】
【0019】請求項の発明は、大電流遮断時の接点開
離直後にアーク電圧を急激に立ち上げることができ、可
動接触子の開離距離が増大しても、高いアーク電圧を発
生、維持でき、且つ、小電流遮断時にはアークを一層大
きく引き延ばすことができて優れた小電流遮断性能と限
流性能を持つ開閉器を得ることを目的とする。
【0020】請求項4および請求項5の発明は、請求項
1の場合と同様に優れた限流性能を持つ開閉器を得るこ
とを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る開閉器
は、一端部に可動接点を有する可動接触子と、この可動
接触子の開閉動作で前記可動接点と接離可能な固定接点
を一端部に有する固定接触子とを備え、この固定接触子
に電源系統を接続する開閉器において、接点閉成状態の
前記可動接点が前記固定接点から開離する方向を上方と
した時、前記固定接触子を、前記電源系統に接続する第
1導体部、前記固定接点を有する第2導体部、及びそれ
らの第1導体部と第2導体部を上下方向に接続する第3
導体部とで構成し、前記第3導体部を前記固定接点の位
置より可動接触子の可動接点が設けられていない他端部
側で且つ前記電源系統の反対側に配置し、前記第1導体
部は、前記接点閉成時に該接点接触面より上方に配置す
ると共に、前記接点開成時に前記可動接点の接触面より
下方に配置し、且つ、接点閉成時から接点開成時まで常
に前記可動接触子の一部より上方に位置し、前記可動接
触子の一端部の端面と対向する前記第1導体部の部位を
含む前記接点開成時に前記可動接点表面から見渡せる前
記第1導体部の部位を絶縁物で被覆したものである。
【0022】請求項2に係る開閉器は、一端部に可動接
点を有する可動接触子と、この可動接触子の開閉動作で
前記可動接点と接離可能な固定接点を一端部に有する固
定接触子とを備え、この固定接触子に電源系統を接続す
る開閉器において、前記固定接触子を、前記電源系統に
接続する第1導体部、前記固定接点を有する第2導体
部、及びそれらの第1導体部と第2導体部を接続する第
3導体部とで略U字状に形成し、前記第3導体部を前記
固定接点の位置より可動接触子の可動接点が設けられて
いない他端部側で且つ前記電源系統の反対側に配置し、
前記固定接触子の一端部に固着された前記固定接点の前
記可動接点に接離する表面が前記固定接触子の他端側に
面しており、前記可動接点が前記固定接点と接離する時
の前記可動接触子の開閉動作を妨げないように、前記固
定接触子には前記第1導体部から前記第3導体部を通っ
て前記第2導体部にいたるスリットを設け、前記固定接
触子の他端部側に前記スリットの一端部があり、このス
リットの他端部が前記第2導体部と前記第3導体部の接
続部より前記固定接触子の固定接点に近い位置にあり、
開成時の前記可動接点から見渡せる前記固定接触子の他
端部側の部位を絶縁したものである。
【0023】
【0024】請求項3に係る開閉器は、前記固定接触子
の第3導体部を前記固定接点と前記可動接触子との間に
配置すると共に、前記第3導体部を略板状もしくは略棒
状とし、前記可動接触子の開閉動作時に前記可動接触子
の一部を形成する略棒状の可動アームの中心線が描く軌
跡を含む平面に垂直な平面の内、前記第3導体部に流れ
る電流の流線を含む平面が、接点開成時の前記可動接触
子と交わる構成としたものである。
【0025】請求項4に係る開閉器は、一端部に可動接
点を有する可動接触子と、この可動接触子の開閉動作で
前記可動接点と接離可能な固定接点を一端部に有する固
定接触子とを備え、この固定接触子に電源系統を接続す
る開閉器において、接点閉成状態の前記可動接点が前記
固定接点から開離する方向を上方とした時、前記固定接
触子を、前記電源系統に接続する第1導体部、前記固定
接点を有する第2導体部、及びそれらの第1導体部と第
2導体部を上下方向に接続する第3導体部とで構成し、
前記第3導体部を前記固定接点の位置より可動接触子の
可動接点が設けられていない他端部側で且つ前記電源系
統の反対側に配置し、前記第1導体部は、前記接点閉成
時に該接点接触面より上方に配置すると共に、前記接点
開成時に前記可動接点の接触面より下方に配置し、前記
3導体部を前記固定接点と開成状態の前記可動接触子
との間に配置すると共に、前記第1導体部と前記第2導
部の前記固定接点が固着された一端部おび前記第
導体部で囲まれ前記固定接点の表面が向いている空間を
内部空間とし、且つ、前記第3導体部を境界とする前記
固定接点の反対側を外部空間とし、前記第2導体部の他
端部が前記外部空間に位置し、該第2導体部の他端部
は、閉成状態の前記可動接触子に流れる電流と略平行且
つ逆方向の電流が流れるように配置された第1の電路
と、前記第1の電路と略同じ高さで前記第1の電路と逆
方向に電流が流れるように配置され且つ前記第3導体部
と接続される第2の電路とで構成され、該第2の電路
は、前記可動接触子を流れる電流の中心線が前記可動接
触子の開閉動作時に描く軌跡を含む平面に対して左右ど
ちらかにずれた位置に配置し、前記可動く接触子の一端
部の端面と対向する前記第1導体部の部位を含む前記接
点開成時に前記可動接点表面から見渡せる前記第1導体
部の部位を絶縁物で被覆したものである。請求項5に係
る開閉器は、一端部に可動接点を有する可動接触子と、
この可動接触子の開閉動作で前記可動接点と接離可能な
固定接点を一端部に有する固定接触子とを備え、この固
定接触子に電源系統を接続する開閉器において、前記固
定接触子を、前記電源系統に接続する第1導体部、前記
固定接点を有する第2導体部、及びそれらの第1導体部
と第2導体部を接続する第3導体部とで略U字状に形成
し、前記第3導体部を前記固定接点の位置より可動接触
子の可動接点が設け られていない他端部側で且つ前記電
源系統の反対側に配置し、前記固定接触子の一端部に固
着された前記固定接点の前記可動接点に接離する表面が
前記固定接触子の他端部側に面しており、前記可動接触
子の一端部には前記固定接点側を向く突出部を設け、こ
の突出部には前記可動接点が固着されており、前記第1
導体部には、前記可動接触子の開閉動作時に前記突出部
の通過を許容する開口部を設け、前記第1導体部の開口
部内面と前記第1導体部の前記固定接点と反対側の面と
を絶縁物で被覆したものである。
【0026】
【0027】
【作用】請求項1の発明における開閉器は、接点開離直
後にアークが固定接触子を構成する導体を流れる全ての
電流により端子部方向に引き延ばされ、且つ、可動接触
子に対して固定接触子の第2導体部が電磁反発力を、第
1導体部が電磁吸引力を及ぼすことにより、前記可動接
触子が高速開極する。その後も固定接触子は、一部分が
最大回動時まで固定接触子の第1導体部より下方にある
ため、常に電磁力で回動方向の力を受け続け、これによ
って、前記可動接触子は短時間で最大回動する。これら
の結果、アーク電圧は急激に増大し、且つ、アークが前
記第1導体部を覆う絶縁物に強い電磁力で押し付けられ
て強制的に冷却されることにより、高いアーク電圧を発
生、維持することができて、限流性能の優れた開閉器が
得られる。
【0028】請求項2の発明における開閉器は、上述の
ように、接点開離直後のアークが端子部方向に引き延ば
され、可動接触子が高速開極し、且つ、高いアーク電圧
を発生、維持できると共に、さらに、可動接触子を流れ
る電流の時間変化によって、固定接触子のスリットの周
りには誘導電圧が誘起されるが、この誘導電圧を低減す
るように前記スリットを構成したので、このスリットを
巡る誘導電流が小さくなり、従って、固定接触子のスリ
ットの両側導体部に流れる電流が均衡し、可動接触子や
アークにかかる電磁力の不均衡度が低減される。また、
前記固定接触子の他端部側の部位を絶縁したことによ
り、その絶縁部位にアークが強い電磁力で押し付けられ
て強制的に冷却されることとなり、この結果、高いアー
ク電圧を発生、維持することができて、限流性能の優れ
た開閉器が得られる。
【0029】
【0030】請求項の発明における開閉器は、上述の
ように、接点開離直後のアークが端子部方向に引き延ば
され、可動接触子が高速開極し、且つ、高いアーク電圧
を発生、維持できると共に、開成時の可動接点の表面の
アークの足にかかる可動接点の先端方向への電磁力を第
3導体部が作る磁場で増大させることができるように構
成されているため、小電流遮断時においては可動接点上
のアークの足が可動接触子の先端に移り易くなってアー
クを大きく引き延ばすことができる。
【0031】請求項4の発明における開閉器は、接点開
離直後に固定接点を囲む全ての固定接触子の導体部を流
れる電流によってアーク駆動磁場が発生し、固定接触子
で囲まれた空間の外側方に第2導体部が延出しているの
で、この第2導体部を流れる電流による電磁力もアーク
を端子部方向に引き延ばす力となり、アーク電圧が急激
に増大すると共に、接点開成時のアークが固定接触子表
面の絶縁物に強い電磁力で押し付けられて強制的に冷却
されるため、高いアーク電圧を維持できる。請求項5の
発明における開閉器は、接点開離直後にアークが固定接
触子の全ての導体部を流れる電流によって端子部方向に
引き延ばされ、さらに、固定接触子の第3導体部におけ
るアークからの距離が最も近い領域にも電流が流れ、且
つ、第3導体部によりこの方向の圧力の逃げが妨げられ
ることにより、アークの駆動力が一層強くなり、アーク
電圧が急激に増大する。また、接点開成時のアークは固
定接触子の絶縁物に強い電磁力で押し付けられ強制的に
冷却されるため、高いアーク電圧を維持できる。
【0032】
【0033】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1
は請求項1の発明に対応した一実施例による開閉器とし
て容器を断面した回路遮断器の閉成状態を示す消弧部の
側面図、図2は図1の回路遮断器の開成状態を示す側面
図、図3は図1および図2おける固定接触子の平面
図、図4は図3の固定接触子の正面図、図5は図3の固
定接触子の斜視図であり、図52から図54と同一また
は相当部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
図において、4は固定接触子で、第1導体部4aと第2
導体部4eと第3導体部4dとから構成され、前記第2
導体部4e上に固定接点3を有している。
【0034】更に詳しく述べると、図1の接点閉成状態
において、可動接触子1の可動接点2が固定接点3から
開離する方向を上方とした時、前記固定接触子4は、電
源系統の端子部5が接続されて水平方向に延びる第1導
体部4aと、この第1導体部4aの下方に離間位置した
第2導体部4eと、この第2導体部4eと前記第1導体
部4aを前記端子部5の反対側で上下方向に接続してい
る第3導体部4dとから成る形状に一体形成され、前記
第2導体部4e上に固定接点3を固着して該固定接点3
を第1導体部4aの下方に位置させた構成となってい
る。
【0035】そして、前記固定接触子4は、固定接点3
の位置より可動接触子1の可動接点2が固着されていな
い他端側で、且つ、前記端子部5の反対側(可動接触子
1の回動支点14側)に第3導体部4dが位置する向き
として容器12に取付けセットされている。この場合、
第1導体部4aは、固定接点3に可動接点2が接触した
接点閉成時に該接点接触面より上方に全て位置し、且
つ、接点開成時においても可動接触子1の上方に位置し
ている。
【0036】ここで、前記可動接触子1と前記固定接触
子4との関連構成について一層詳しく説明する。まず、
固定接触子4は、第1導体部4aと第2導体部4eと第
3導体部4dとによって略U字状に一体形成され、その
U字状の一端である前記第1導体部4aの電源系統接続
側の端部に電源側の端子部5が接続されている。また、
これと反対側の端部となるU字形状の内側、即ち、前記
第2導体部4eの上面部に固定接点3が固着されてい
る。さらに、前記固定接触子4において、前記固定接点
3の固着面より上方に位置する接続導体部(第1導体部
4aと第3導体部4d)にはスリット40が設けられて
いる。
【0037】このスリット40は、前記第2導体部4e
上の固定接点3に対する可動接触子1の開閉動作を妨げ
ないようにするためのものである。
【0038】かかる固定接触子4の第3導体部4dの高
さ範囲内において、この第3導体部4dの前記スリット
40と対向する外方位置に可動接触子1の回動中心14
を配置している。これにより、前記可動接触子1は、前
記スリット40を介して接点開閉方向に回動するように
なっている。そして、前記可動接触子1は、接点閉成位
置および接点開成位置を問わず、その可動接触子1の一
部1aが前記スリット40を介して前記固定接触子4と
常にオーバーラップする配置にしてある。
【0039】従って、可動接触子1の開成状態では、固
定接触子4の第1導体部4aが可動接触子2の接触面よ
り下方に位置し、且つ、可動接触子1の一部1aより上
方に位置する構成となっており、その可動接触子1の一
部1aは、該可動接触子1が閉成位置から開成状態にな
るまで常に固定接触子4の第1導体部4aより下方にあ
る。
【0040】また、接点開成状態において、固定接触子
4の第1導体部4aのうち、可動接触子2の表面に面す
る部分は絶縁物15で被覆されている。この絶縁物15
は第1導体部4aの上面を絶縁する絶縁物15aと、可
動接触子1の回動を妨げないように第1導体部4aのス
リット40の内面を絶縁する絶縁物15b,15c,1
5dとから構成されている。
【0041】次に動作について説明する。図6は可動接
触子1の閉成状態を示す動作説明図であり、この閉成状
態において、短絡電流などの大電流が流れると、機構部
の動作を待たずに可動接触子1が回動して可動接点2と
固定接点3が開離し、これらの接点2,3間にアークA
が発生することは従来と同様である。図7は接点電磁反
発力のために可動接点2が固定接点3から開離した直後
の状態を示し、この状態において、可動接触子2の接触
面は未だ第1導体部4aの下方にある。ここで、矢印は
電流を示す。
【0042】このような接点開離直後の状態において、
可動接触子1には回動方向に強い電磁力が働く。これ
は、電源側の端子部5から第1導体部4aに流れる電流
が図中矢印で示すように可動接触子1に流れる電流と同
方向であって互いに吸引するため可動接触子1には図中
に太い矢印で示した上方向の力Fが働き、且つ、固定接
触子4の第2導体部4eに流れる電流は可動接触子1の
電流と逆方向になって互いに反発し合い、この反発力も
可動接触子1を回動方向に動かす力となるためである。
【0043】また、固定接触子4の第3導体部4dを流
れる電流が作る磁場も、第3導体部4dより固定接点3
側の可動接触子1の一部1a,1bには上方向の力Fを
及ぼす。このため、図7に示す開離直後の可動接触子1
には端子部5→固定接触子4に流れる電流の総べてによ
る上向き方向の回動力が生じ、これによって、可動接触
子1は高速に開極する。この結果、接点間距離、すなわ
ちアーク長が急激に大きくなりアーク電圧も急激に立ち
上がる。
【0044】このような図7の状態において、接点2,
3間に発生するアークAには、端子部5と固定接触子4
に流れる電流が作る磁場の総べてが前記アークAを端子
部5方向に引き延ばす力F’を及ぼす。
【0045】すなわち、端子部5と固定接触子4の第1
導体部4aに流れる電流の方向は図中で右から左に向う
流れ方向となる。このような電流が流れる第1導体部4
aの下方にあるアークAに対しては、該アークAを端子
部5側に引き延ばす電磁力を及ぼし、第2導体部4eに
流れる電流は図中左から右に向う流れ方向となり、この
電流よりも上方で発生しているアークAに対しては該ア
ークAを端子部5側に引き延ばす電磁力を及ぼす。ま
た、固定接触子4の第3導体部4dに流れる電流はアー
クAの電流と逆方向のため互いに反発し、アークAは端
子部5側に引き延ばされる。
【0046】従って、アークAは端子部5と固定接触子
4に流れる電流総べてによって前記端子部5側の強力に
引き延ばされ、アーク電圧は急激に増大する。
【0047】図8は可動接触子1の最大開離状態を示
し、可動接触子1が開くまで、図示のように該可動接触
子1は固定接触子4と部分的にオーバーラップしてお
り、その可動接触子1の一部1aは常に固定接触子4の
第1導体部4aの下方に位置している。このため、可動
接触子1の一部1aには常に会同方向の力Fが働き続
け、開極速度が低下することなく、短時間で可動接触子
1が開き終わる。
【0048】以上のようにして、可動接触子1の高速開
極と接点2,3間のアークAを強力に引き延ばす効果が
得られ、これによって、開極直後のアーク電圧は急激に
増大する。
【0049】短絡電流のような大電流アークでは、接点
表面のアークの足から接点表面に垂直方向に接点が蒸発
した金属蒸気流が噴出し、この蒸気流がアークAの主構
成物であることが知られている。
【0050】図8に示すように、可動接点2の表面が面
している第1導体部4aは絶縁物15で絶縁されている
ため、可動接点2の表面から噴出する金属蒸気は絶縁物
15に衝突して冷却され、アーク電圧が高まる。
【0051】また、固定接触子4が作るアークAを端子
部5方向に引き延ばす電磁力によってもアークAは絶縁
物15に触れ冷却される。
【0052】図9は図8のA−A線断面図である。図に
おいて、41はスリット40を挟む左右両側の第1導体
部4aおよび第2導体部4eの各断面の重心である。図
10は理論計算で求めた固定接触子4を流れる電流が作
る図9のZ軸上での磁場強度分布であり、正方向の磁場
がアークAを端子部5側に引き延ばす磁場成分(以下、
アーク駆動磁場と呼ぶ)である。図10で示すように、
第1導体部4eは可動接触子1が回動する平面から左右
にずれた所に位置する。
【0053】このような導体配置では、第2導体部4e
および第3導体部4dに流れる電流の影響のために、図
10に示すように、第2導体部4aより上部の空間(領
域Z0)までアークAを端子部5側に引き延ばす磁場成
分であるアーク駆動磁場が存在する。
【0054】そのため、第1導体部4aのスリット40
の部分でもアークAは端子部5側に電磁力を受け、その
スリット40の奥の(スリット40の端子部5側の端部
内面)の部分を覆う絶縁物15dに押し付けられて冷却
される。この結果、接点開離直後に急激に高くなったア
ーク電圧がさらに増大し、且つ、高いアーク電圧が維持
されるので、電流ピークおよび通過エネルギーを小さく
押えることができ、優れた限流性能を有する回路遮断器
が得られる。
【0055】実施例2.前記実施例1では、固定接触子
4の第1導体部4aが全体に亘って水平計上のものにつ
いて述べたが、前記固定接触子4は図11に示すような
形状のものでもよい。図11はこの発明の実施例2によ
る主要部の側面図であり、可動接触子1が開成した状態
を示している。この実施例2による固定接触子4は、第
1導体部4aの第3導体部4d側に該第3導体部4d側
が斜め上方に漸次傾斜する傾斜導体部4a’を形成した
構成としている。
【0056】すなわち、第1導体部4aの上方空間を大
きく取り、且つ、接点閉成時から接点開成時まで常に化
せ1の一部1aが固定接触子4を構成する第1導体部4
aよりも下方に位置するように、第1導体部4aを途中
から上方に曲げたのである。
【0057】この実施例2の場合、前記実施例1と同様
の効果が得られるのみならず、端子部5寄りの第1導体
部4aの上方空間が大きくなるため、消弧板6の枚数を
多くできる利点がある。この結果、可動接触子1が開成
時のアークAの消弧板6による冷却作用が大きく限流性
能の優れた回路遮断器が得られる。
【0058】実施例3.図12はこの発明の実施例3に
よる主要部の側面図である。この実施例3による固定接
触子4は、前実施例で略垂直形状とした第3導体部4d
を傾斜状に形成している。これにより、第2導体部4e
と第3導体部4dとの接続の位置を、第1導体部4aと
第3導体部4dとの接続位置より端子部5側にしたもの
である。
【0059】この実施例3の場合も前実施例と同様の効
果が得られ、しかも、可動接触子1の回動中心14と固
定接触子4の第3導体部4dとの間に空間を広く取れ、
可動接触子1を動かす機構部の設計が楽になる利点があ
る。
【0060】実施例4.図13はこの発明の実施例4に
よる主要部の側面図である。この実施例4では、固定接
触子4の第1導体部4aと第2導体部4eを可動接触子
1の回動中心14側に長く延ばして、その回動中心14
を前記第1導体部4aと第2導体部4eとの間(固定接
触子4の内部空間)に位置させた構成としている。
【0061】すなわち、前実施例では、固定接触子4の
第3導体部4dの外側方に可動接触子1の回動中心14
を位置させたが、この実施例4のように、可動接触子1
の回動中心14を固定接触子4の内部空間に位置させた
ことにより、前記可動接触子1の開極速度が一層早くな
り、優れた限流性能の回路遮断器が得られる。なお、前
実施例の場合と同様の効果も得られることは勿論であ
る。
【0062】実施例5.図14(a)はこの発明の実施
例5による固定接触子の正面図、図14(b)は図14
(a)の側面図、図14(c)は図14(b)の平面
図、図15は図14の斜視図である。この実施例5によ
る固定接触子4は、前記実施例におけるスリット40を
挟む両側の一方の第1導体部を取り除いた片側のみの第
1導体部4aを有する形状構成としている。
【0063】かかる固定接触子4は、可動接触子1の開
極初期のアークの上半部において、このアークの電流と
前記片側だけの第1導体部4aの電流が同じ方向となる
ので、アークは前記片側だけの第1導体部4aに引き付
けられ、この第1導体部4aを覆う絶縁物15に強く触
れて冷却される。このため、前記開極初期においては、
アーク電圧がより素早く立ち上がる。
【0064】一方、接点2,3が開離して可動接点2が
第1導体部4aより上方に位置すると、前記アークの下
半部において、アーク電流と前記片側の第1導体部4a
の電流が逆方向となって反発し合うので、アークは前記
片側だけの第1導体部4aを覆う絶縁物15から遠ざか
り、この絶縁物15から発生する蒸気量が減少し、電流
増加に伴う容器12内の圧力上昇を小さくでき、圧力に
よる容器12の損傷を未然に防止できる。
【0065】つまり、この実施例5のように、可動接触
子1の回動面に対する固定接触子4の第1導体部4aを
左右いずれか片側だけにすると、限流効果に優れ、且
つ、圧力による容器12の損傷が起こり難い形状構成の
固定接触子4を得ることができる。
【0066】実施例6.図16は請求項2の発明の一実
施例(実施例6)による固定接触子の斜視図、図17は
図16の固定接触子に対する可動接触子の閉成状態を示
す側面図、図18は図17の開成状態を示す側面図であ
る。この実施例6においても、前記実施例1〜実施例4
の場合と同様に、可動接触子1の回動を妨げないように
するため、固定接触子4にはスリット40を設けてい
る。
【0067】ただし、この実施例6では、固定接触子4
に対し、その第1導体部4aから第3導体部4dを介し
て第2導体部4eの固定接点3近傍に至るスリット40
を形成している。これにより、前記スリット40の一方
の端40aは、前記固定接点3に近づくよう第2導体部
4eに設けられている。かかる固定接触子4は、前実施
例の場合と同様に、第1導体部4aから第3導体部4d
の途中までが絶縁物15で被覆された構成となってい
る。
【0068】次に、この実施例6の動作を説明する。図
19は接点開離直後の主要部を示す動作説明のための側
面図である。前述のように、固定接触子4が構成され、
第1導体部4aが固定接点3の表面より上方に位置し、
第2導体部4eと第1導体部4aとを接続している第3
導体部4dが固定接点より可動接触子1の回動中心14
側に位置していると、接点開離直後において、第1導体
部4aより下方のアークAに対しては、固定接触子4を
構成する全ての導体部を流れる電流が端子部5方向の電
磁力Fmを発生する。このため、アークAが大きく引き
延ばされ、接点開離直後のアーク電圧の立ち上がりが非
常に大きくなる。
【0069】また、図20に示す接点開離状態のとき
も、前述のように、可動接点2の表面から噴出する電極
蒸気が固定接触子4の第1導体部4aを覆っている絶縁
物15に吹き付けられて強制的に冷却される効果と、ア
ークAが強い電磁力によってスリット40の端子部5側
の内面を覆っている絶縁物15cに押し付けられて冷却
される効果とによって高いアーク電圧が維持される。
【0070】次に前記実施例6におけるスリット40の
一方端40aを第2導体部4eに設けたことによる効果
を説明する。図21は図5と同じ固定接触子の斜視図、
図22は図21の固定接触子を可動接触子が閉成した状
態で示す斜視図であり、この図22では絶縁物15を省
略した。まず、図21に示すような固定接触子4に設け
たスリット40の一方端40aが第3導体部4dにある
場合を説明する。図から分かるように、可動接触子1を
流れる電流I(図中矢印)の周りには固定接触子4のス
リット40によってループ電路Cが形成される。
【0071】従って、時間的に変動する電流Iが可動接
触子1に流れると、その近くに有るループ電路Cに電磁
誘導による起電力が発生することが考えられる。起電力
が発生するのは、ループ電路Cを境界とする面に時間変
化する磁束が鎖交する場合である。
【0072】ここで、スリット40の一方端40aが第
3導体部4dに、且つ、スリット40の他方端40bが
第1導体部4aにあるため、ループ電路Cをその境界と
する面は第3導体部4dに平行なスリット面S1と第1
導体部4aに平行なスリット面S2との二つがあること
になる。このうち、第3導体部4dに平行なスリット面
S2は、可動接触子1を流れる電流と略垂直であり、こ
の電流による磁束と略平行になる。このため、可動接触
子1に流れる電流のつくる磁束がスリット面S2と鎖交
することは考えなくてもよいといえる。また、スリット
面S1についても、可動接触子1に流れる電流に対して
スリット40が完全に対称であれば、図23から分かる
ように、スリット面S1に鎖交する磁束はない。
【0073】図23は図22のスリット面S1に垂直な
断面図であり、図において、41はスリット40の両側
の第1導体部4aの中心、すなわち、ループ電路Cの中
心であり、Iは可動接触子1の電流の中心を示す。電流
Iによって作られる磁束Bは中心Iと同軸状であり、ス
リット40が中心Iに対して対称であれば、スリット面
S1を下から上に貫く磁束は上から下に貫く磁束に等し
く、全体としてスリット面S1に鎖交する磁束は零であ
る。
【0074】しかし、通常、可動接触子1に対して完全
にスリット40を対称にするのは工作上困難である。ま
た、大電流遮断時のように可動接触子1に大きな力が加
わるうちに、図24に示すように、スリット40に対し
て可動接触子1のずれが生じるのは避けられない。図2
5はこのときのスリット面S1に垂直な断面を示してお
り、電流Iによる磁束がスリット面S1に鎖交すること
が解る。
【0075】このときに、スリット面S1に鎖交する磁
束φがどの位で、ループ電路Cの誘導電流の大きさがど
の位かは簡単な計算で評価できる。
【0076】図26は前記計算に使ったモデル図であ
り、スリット40によるループ電路Cおよび可動接触子
1に流れる電流Iを直線近似し、スリット面S1とスリ
ット面S2の辺の長さをD,L,Hとしたものである。
計算では、スリット面S2に鎖交する磁束は上述のよう
に無視する。スリット面S1の面積要素ベクトルを図2
6に示す方向dsとする。
【0077】図27はスリット面S1に垂直な断面図で
ある。ここで、第1導体部4aのスリット40の両側の
導体中心41をx軸上とし、可動接触子1に流れる電流
の中心をy軸上とし、x軸y軸の交点を原点とする。ま
た、電流Iのy座標をa(a<0)とし、y軸とスリッ
ト40の両側の導体のそれぞれの中心41がなす角をそ
れぞれθ1(<0),θ2(<0)とする。
【0078】このとき、電流Iによってスリット面S1
と鎖交する磁束φは、 φ=∫B・ds (1) である。図27の電流I方向には変化がないことから B・ds=|B|SINθdxL (2) dx=−adθ/COS2 θ (3) となる。また r=−a/COSθ (4) より |B|=−μICOSθ/2πa (5) となる。ここで、μは真空の透磁率である。(2)〜
(5)式を(1)式に代入すると、 φ=∫ 2tanθdxμIL/2π (6) 故に θ=−μILlog(cosθ2/cosθ1)/2π (7) である。ループ電路に誘起される電圧Vcは電磁誘導の
法則より Vc=−dφ/dt (8) 電流Iがピーク値Ip、角周波数ωの正弦波交流とする
と、 I=Ipsinωt (9) であり、(7)、(9)式を(8)に代入すると、 Vc=μIpLωcosωtlog(cosθ2/cosθ1)/2π (10) ループ電路の誘導電流Icは、 Ic=Vc/R (11) となる。Rはループ電路Cの抵抗であり、電路の抵抗率
をρ、断面積をSとすれば、 R=ρ2(D+L+H)/S (12) から求まる。
【0079】固定接触子4に流れる電流が均一に分かれ
てスリット40の両側の導体に流れていても、上述のよ
うに、ループ電路Cに誘導電流が発生するため、スリッ
ト40の両側の電流に不均衡が生じる。不均衡電流Iu
=Icで、均衡電流Ib=I/2であり、均衡電流に対
する不均衡電流の場合は、 Iu=Ib∝Lcosωt/sinωt (13) となる。
【0080】前記(13)式から解るように不均衡電流
の割合はtが小さいほど大きく、従って、可動接触子1
の開極直後、すなわち、図19で示したような状況の時
が固定接触子4のスリット40の両側に流れる電流の不
均衡が最も大きくなる。もって、アークAに働く電磁力
も大きな不均衡が生じるため、アークAの端子部5方向
の引き延ばされ方も偏ってしまう。この場合、第1導体
部4aやスリット40を覆っている前記15が局所的に
アークAの損傷を受け、絶縁破壊を起こす危惧が増す。
この偏り方は予め予測することが困難なため、全ての絶
縁物15を厚くするなどしないと、固定接触子4の絶縁
破壊を防ぐことができず、電極部の設計に非常に大きな
制約を受ける。
【0081】一方、この実施例6による固定接触子4
は、図28に示すような形状のスリット40を備えてお
り、このスリット40は一方端40aが第1導体部4a
にあるため、スリット40の周りのループ電路Cを境界
とする面が第1導体部4a,第3導体部4dだけでな
く、第2導体部4eにもある。この場合の不均衡電流を
求めるためのモデルを図29,30に示す。
【0082】図29において、L1第導体部4aのスリ
ット面S1の長さ、L2は第2導体部4eのスリット面
S2の長さである。図30に示すように、可動接触子1
の電流の中心と第2導体部4eのスリット40の両側の
導体の中心を結ぶ線がy軸となす角を第1導体部4aに
対する角度と同じくθ1,θ2とした。
【0083】このモデルについて前と同様の計算を行っ
て不均衡電流の割合を求めた結果、 Iu/Ib∝(L1−L2)cosωt/sinωt (14) が得られた。これは第2導体部4eのスリット面S3の
長さL2を大きくすれば不均衡電流が小さくなることを
示している。
【0084】従って、この実施例6のように、スリット
40の一方端1aを第2導体部4eに設けたことは、固
定接触子4のスリット40の両側に流れる電流の不均衡
を低減し、アークAに働く電磁力を均一にするために効
果があることが解る。この結果、固定接触子4の絶縁物
15がアークAによって局所的に損傷を受けることがな
く、固定接触子4の絶縁破壊の危険を防止することがで
きる。
【0085】実施例7.図31はこの発明の実施例7に
よる固定接触子を可動接触子が閉成した状態で示す側面
図である。この実施例7による固定接触子4は、第1導
体部4aと第3導体部4dとの角が鋭角となるように、
第3導体部4dを傾斜させた形状構成としている。
【0086】すなわち、上式(14)は、不均衡電流を
減らすには第1導体部4aのスリット面S1に鎖交する
磁束を第2導体部4eのスリット面S3に鎖交する磁束
で打ち消せばよいことを意味している。
【0087】従って、この実施例7のように、第3導体
部4dのスリット面S2に鎖交する磁束でスリット面S
1に鎖交する磁束を打ち消せるように接点閉成時の接触
面1に対し傾けて第3導体部4dを構成しても、不均衡
電流の低減に効果的である。この場合、第1導体部4a
のスリット面S1に鎖交する磁束の打ち消し用のスリッ
ト面S2やS3のスリット幅をスリット面S1に比べて
大きくすれば、より一層効果的である。
【0088】実施例8.図32はこの発明の実施例8に
よる固定接触子を可動接触子が開成した状態で示す側面
図である。この実施例8による固定接触子4は、第1導
体部4aと第3導体部4dとの角が鈍角となるように、
第3導体部4dを前記実施例7の場合とは逆方向に傾斜
させた形状とし、第3導体部4dに流れる電流(図中矢
印)の流線を含み可動接触子1が開閉時に描く軌跡に垂
直な平面Sが開成時の可動接触子1と交わらないように
第3導体部4dを構成している。なお、その他の構成は
前実施例と同様である。
【0089】この実施例8においても、開極直後のアー
クは、固定接触子4を構成する全ての導体を流れる電流
によって強力な端子部5方向の電磁力を受けるため、非
常に速いアーク電圧の立ち上がりが得られる。
【0090】図33は実施例8を対比するために例示し
た回路遮断器の側面図である。前述のように、大電流ア
ークの足からは接点表面に垂直に金属蒸気流が噴出する
が、図33のように、開成時に可動接点2上のアークの
足が可動接触子1の先端方向に移動してしまうと、アー
クの足から噴出する金属蒸気流Hは排気孔13の方向に
向いてしまい、高温の金属蒸気流Hが直接外部に放出さ
れ、非常に危険である。また、金属蒸気流Hの絶縁物1
5による強制冷却の効果も薄れてしまう。なお、図33
において、金属蒸気流Hは一点鎖線で、且つ、アークの
電流経路Aは点線で示した。
【0091】しかし、この実施例8においては、図32
に示すように、第3導体部4dに流れる電流の流線を含
む面Sより開成時の可動接点2の表面は上にあり、この
領域では第3導体部4dを流れる電流が作る磁場は、可
動接点2上のアークの足を排気孔13とは逆方向である
可動接触子1の回動中心側に引っ張る電磁力を発生す
る。
【0092】従って、開成時の可動接点2上のアークの
足は可動接触子1の先端方向には移り難く、図34に示
すように、開成時の可動接触子1側のアークAの足は可
動接点2上に留まり易く、アークAの足からの金属蒸気
流が直接排気孔13から放出されることはなく安全であ
る。また、前述のように金属蒸気流が絶縁物15に吹き
付けられることによる強制冷却効果も十分に働かせるこ
とができ、アーク電圧をより高く維持できる。
【0093】実施例9.図35はこの発明の実施例9に
よる主要部の側面図であり、この実施例9では、固定接
触子4の第3導体部4dに流れる電流(図中矢印)の流
線を含み可動接触子1が開閉時に描く軌跡に垂直な平面
Sが前記実施例8とは逆に開成時の可動接触子1と交わ
るように第3導体部4dを構成している。なお、その他
の構成は前実施例と同様である。
【0094】この実施例9においても、大電流遮断時に
開極直後のアークは、固定接触子4を構成する全ての導
体を流れる電流によって強力な端子部5方向の電磁力を
受けるため、非常に速いアーク電圧の立ち上がりが得ら
れる。また、開成時には可動接点2から噴出する金属蒸
気流の絶縁物15への吹き付けや、アークが強力な電磁
力で絶縁物15に押し付けられることで高いアーク電圧
を維持できることも同様である。
【0095】さらに、この実施例9では、小電流遮断時
において、可動接点2の表面は第3導体部4dの電流の
流線を含む面Sより下方にある。この領域では、可動接
点2上のアークの足を可動接触子1の先端方向に駆動す
る電磁力を第3導体部4dの電流が発生している。
【0096】従って、図36に示すように、小電流アー
クの可動接触子1側の足は可動接点2上から可動接触子
1の先端方向によく駆動されるため大きく延び、小電流
の遮断性能を向上させることができる。
【0097】実施例10.図37はこの発明の実施例1
0による主要部の側面図であって、可動接触子1が機構
部(図52の機構部8と同じ)の動きだけで開いた状態
を示し、図38は可動接触子1が大電流遮断時などに電
磁反発力を受けて最大開離した状態を示す側面図であ
る。この実施例10では、固定接触子4の第3導体部4
dに流れる電流(図中矢印)の流線を含み可動接触子1
が開閉時に描く軌跡に垂直な平面Sが、図37に示すよ
うに機構部の動きだけで開いた可動接触子1と交わり、
且つ、図38に示すように、電磁反発力などで最大開離
した可動接触子1とは交わらないように第3導体部4d
を構成している。なお、その他の構成は前実施例と同様
である。
【0098】この実施例10においても、大電流遮断時
に開極直後のアークは、固定接触子4を構成する全ての
導体を流れる電流によって強力な端子部5方向の電磁力
を受けるため、非常に速いアーク電圧の立ち上がりが得
られる。また、図38のように、大電流遮断時の電磁反
発力やアークの圧力によって可動接触子1が最大限に開
くため、可動接点2の表面では第3導体部4dが作る磁
場は、可動接点2上のアークの足をそこに留めようとす
る電磁力となる。
【0099】この結果、前記実施例8で述べたように、
アークの足からの高温金属蒸気流が外部に放出されない
ため、安全で、且つ、絶縁物15による金属蒸気流の強
制冷却が理想的に行われることにより高いアーク電圧を
維持できる。
【0100】さらに小電流遮断時において、可動接触子
1は機構部だけで開くため、図37のように、可動接点
2の表面には第3導体部4dの作る磁場がアークの足を
可動接触子1の先端に駆動しようとする電磁力を発生す
る。この結果、前述のようにアークは大きく延ばされて
小電流遮断性能が向上する。
【0101】従って、この実施例10では、大電流遮断
時の金属蒸気流の外部放出を未然に防止できると共に、
高いアーク電圧を維持でき、且つ、小電流遮断性能も向
上する。
【0102】実施例11. 図39はこの発明の請求項に対応した一実施例による
固定接触子の斜視図、図40は図39の平面図、図41
は可動接触子の開極直後の状態を示す側面図である。こ
の実施例11による固定接触子4は、第2導体部4eを
固定接点3とは逆方向に延長した外向き導体部40e
と、この外向き導体部40eの両側端40e’に第3導
体部4dを一体接続すべくこの第3導体部4dに一体の
延長導体部40dとを設けた形状構成としている。さら
に、前記第2導体部4eの外向き導体部40eを流れる
電流の流線を含み可動接触子1の開閉時の軌跡に垂直な
平面が固定接点3の表面より下方に位置する構成とし
た。
【0103】この実施例11においても、大電流遮断時
に開極直後のアークAは、図41に示すように、固定接
触子4を構成する全ての導体を流れる電流によって強力
に端子部5方向の電磁力を受けるため、非常に速いアー
ク電圧の立ち上がりが得られる。また、開成時には可動
接点2から噴出する金属蒸気流の絶縁物15への吹き付
けや、アークAが強力な電磁力で絶縁物15に押し付け
られることで高いアーク電圧が維持できることも同様で
ある。
【0104】さらに、この実施例11においては、第2
導体部4eの固定接点3とは逆方向に延出する外向き導
体部40eを流れる電流によって、前記固定接点3の上
方空間のアーク駆動磁場が強化される。
【0105】図42は図41のB−B線に沿う概略的な
断面図であり、第2導体部4eの外向き導体部40eと
第3導体部4dの延長導体部40dの中心を示してい
る。図において、Pは接合表面を示し、Sは前記外向き
導体部40eを流れる電流を含み可動接触子1の開閉時
の軌跡に垂直な平面である。
【0106】ここで、点Pから外向き導体部40eの中
心に降した垂線の長さを1、点Pから延長導体部40d
に降した垂線と前記外向き導体部40eに降した垂線の
なす角をθとする。点Pにおけるアークを端子部5側に
駆動する磁場を正とすると、点Pの磁場Bpは、 Bp∝μI(1−cos2 θ)/2π1 (15) となる。
【0107】従って、固定接触子4の第2導体部4eを
固定接点3の反対側に延出することによって、前記固定
接点3の上方空間のアークAを端子部5側に引き延ばす
電磁力を増強することができる。
【0108】図43は前記実施例11による固定接触子
の変形例を示す側面図、図44はその固定接触子の別の
変形例を示す側面図、図45は図44の平面図である。
前記実施例11による固定接触子4は、図43に示すよ
うに、第3導体部4dを斜めに形成してもよく、また、
図44,45に示すように、外向き導体部40eを更に
長くしてもよく、その何れの場合も、より効果的とな
る。図46は前記実施例11による固定接触子の更に別
の変形例を示す側面図であり、この変形例による固定接
触子4は、第1導体部4aと第3導体部4dを片側にの
み有する形状構成としており、この場合にも同様の効果
がある。
【0109】実施例12. 図47は請求項5の発明の一実施例による主要部の接点
閉成状態を示す側面図、図48は図47における固定接
触子の斜視図である。この実施例12では、可動接触子
1の自由端部に、固定接触子4の固定接点3側を向くよ
うに屈曲した下向きの突出部11を設け、この突出部1
1の下面に可動接点2を固着した構成としている。ま
た、固定接触子4にあっては、第1導体部4aに前記可
動接触子1の突出部11の通過を許容する開口部42を
設け、第3導体部4dが可動接触子1の開閉時の軌跡に
最も近い部分の電流路を確保するように構成している。
その他の構成は前実施例と同様のために説明を省略す
る。
【0110】この実施例12においても、大電流遮断時
に開極直後のアークAは、固定接触子4を構成する全て
の導体を流れる電流によって強力に端子部5方向の電磁
力を受けるため、非常に速いアーク電圧の立ち上がりが
得られる。また、開成時には可動接点2から噴出する金
属蒸気流の絶縁物15への吹き付けや、アークAが強力
な電磁力で絶縁物15に押し付けられることで高いアー
ク電圧が維持できることも同様である。
【0111】図49は実施例12における開極直後の主
要部を示す側面図、図50は図49の最大開極状態を示
す主要部の側面図である。この実施例12では、図49
に示すように、開極直後にアークAを端子部5方向に引
き延ばす電磁力を発生する第3導体部4dの電流がアー
クAに最も近い部分で流れることとなる。すなわち、第
3導体部4dが可動接触子1の開閉時の軌跡に最も近い
部分の電流路を確保しているため、アークAを引き延ば
す一層大きな電磁力Fmが得られる。
【0112】また、固定接触子4の第3導体部4dには
開口部が無いため、アークAによる圧力が逃げず、アー
クAが圧力Fpによって端子部5方向に引き延ばされる
効果もある。さらに、図50に示す開極状態において
も、固定接触子4の第3導体部4d方向には圧力Fpが
逃げないため、この圧力FpによってアークAが上方に
吹き飛ばされ、より一層、アーク電圧の向上が図れる。
【0113】図51は実施例12の変形例による固定接
触子の斜視図であり、この変形例による固定接触子4
は、第3導体部4dを第1導体部4aより幅狭く形成
し、これによって、第3導体部4dが形成する電流路
(最もアークに近い電流路)に電流が集中するように構
成している。従って、この変形例によれば、可動接点2
の開閉軌跡に最も近い部分の第3導体部4dで電流を集
中させることができる。
【0114】なお、上記各実施例では、回路遮断器の場
合について説明したが、他の開閉器であってもよく、上
記実施例と同様の効果が得られる。
【0115】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、接点開離直後には固定接触子の全ての電流経路がア
ークを端子部側に引き延ばす電磁力を発生し、急激にア
ーク電圧を立ち上げることができ、さらには常に、可動
接触子の一部には固定接触子に流れる電流による電磁力
が回動方向の力となるように構成され、可動接触子の開
離距離が増大しても、固定接触子の第1導体部を覆う絶
縁物によるアーク冷却作用により高いアーク電圧を発
生、維持できるように構成したので、優れた限流性能を
持った開閉器が得られる効果がある。
【0116】請求項2の発明によれば、固定接触子
ぼU字形状に形成したことにより、接点開離直後には
固定接触子の全ての電流経路がアークを端子部側に引
き延ばす電磁力を発生し、急激にアーク電圧を立ち上げ
ることができると共に、可動接触子の開離距離が増大し
ても、前記固定接触子の絶縁部位によるアーク冷却作用
によって高いアーク電圧を発生、維持でき、且つ、固定
接触子に発生するアークを端子部方向に引き延ばす電磁
力に偏りが起きないように構成したので、固定接触子の
絶縁破壊の恐れがない優れた限流性能を持つ開閉器が得
られるという効果がある。
【0117】
【0118】請求項の発明によれば、大電流遮断時に
おいて、接点開離直後には固定接触子の全ての電流経路
がアークを端子部側に引き延ばす電磁力を発生し、急激
にアーク電圧を立ち上げることができ、可動接触子の開
離距離が増大しても、固定接触子の第1導体部を覆う絶
縁物によるアーク冷却作用により高いアーク電圧を発
生、維持でき、小電流遮断時にはアークをより大きく引
き延ばすように構成したので、優れた小電流遮断性能と
限流性能を持った開閉器が得られる効果がある。
【0119】請求項4の発明によれば、大電流遮断時に
おいて、接点開離直後には固定接触子の全ての電流経路
がアークを端子部側に引き延ばす電磁力を発生し、急激
にアーク電圧を立ち上げることができ、可動接触子の開
離距離が増大しても、固定接触子の第1導体部を覆う絶
縁物によるアーク冷却作用により高いアーク電圧を発
生、維持でき、さらにアークを端子部側に引き延ばす電
磁力を強化するように構成したので、優れた限流性能を
持った開閉器が得られる効果がある。請求項5の発明に
よれば、大電流遮断時において、接点開離直後には固定
接触子の全ての電流経路がアークを端子部側に引き延ば
す電磁力を発生し、急激にアーク電圧を立ち上げること
ができ、可動接触子の開離距離が増大しても、固定接触
子の第1導体部を覆う絶縁物によるアーク冷却作用によ
り高いアーク電圧を発生、維持でき、さらにアークを端
子部側に引き延ばす電磁力を強化し、また、圧力によっ
てもアークが引き延ばされるように構成したので、優れ
た小電流遮断性能と限流性能を持った開閉器が得られる
効果がある。
【0120】
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明に対応した実施例1による回路
遮断器の閉成状態を示す消弧部の側面図である。
【図2】図1の回路遮断器の開成状態を示す側面図であ
る。
【図3】図1および図2における固定接触子の平面図で
ある。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図3の斜視図である。
【図6】実施例1の動作説明のために可動接触子の閉成
状態を示す側面図である。
【図7】図6における可動接触子の開極直後の状態を示
す側面図である。
【図8】図7における可動接触子の最大開極状態を示す
側面図である。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図である。
【図10】図9のZ軸上において固定接触子を流れる電
流が作る磁場強度分布を示すグラフ図である。
【図11】この発明の実施例2による主要部の側面図で
ある。
【図12】この発明の実施例3による主要部の側面図で
ある。
【図13】この発明の実施例4による主要部の側面図で
ある。
【図14】図14(a)はこの発明の実施例5による固
定接触子の正面図である。図14(b)は図14(a)
の側面図である。図14(c)は図14(b)の平面図
である。
【図15】図14の固定接触子の斜視図である。
【図16】請求項2の発明に対応した実施例6による固
定接触子の斜視図である。
【図17】図16の固定接触子に対する可動接触子の閉
成状態を示す側面図である。
【図18】図17の開成状態を示す側面図である。
【図19】図17の接点開極直後の状態を示す側面図で
ある。
【図20】図19の可動接触子が最大開離した状態を示
す側面図である。
【図21】図5と同じ固定接触子の斜視図である。
【図22】図21の固定接触子を可動接触子が閉成した
状態で示す斜視図である。
【図23】図22の固定接触子のスリット面S1に垂直
な断面図である。
【図24】図22の平面図である。
【図25】図23のスリット面S1に垂直な断面図であ
る。
【図26】実施例6において固定接触子のスリット面S
1に鎖交する磁束φおよびループ電路Cの誘導電流の大
きさを求めるための計算に使ったモデル図である。
【図27】図26を断面した座標図である。
【図28】図16の固定接触子を絶縁物省略状態で示し
た斜視図である。
【図29】図28の計算モデル図である。
【図30】図29を断面した座標図である。
【図31】この発明の実施例7による固定接触子を可動
接触子が閉成した状態で示す側面図である。
【図32】この発明の実施例8による固定接触子を可動
接触子が開成した状態で示す側面図である。
【図33】この発明の実施例8を対比するために例示し
た回路遮断器の側面図である。
【図34】実施例8の動作説明のために示した回路遮断
器の側面図図である。
【図35】この発明の実施例9による主要部の側面図で
ある。
【図36】図35の動作説明図である。
【図37】この発明の実施例10による主要部を可動接
触子が開成した状態で示す側面図である。
【図38】図37の可動接触子が最大開極した状態を示
す側面図である。
【図39】請求項4の発明に対応した実施例11による
固定接触子の斜視図である。
【図40】図39の平面図である。
【図41】実施例11の固定接触子に対して可動接触子
が開極した直後の状態を示す側面図である。
【図42】図41のB−B線に沿う断面図である。
【図43】実施例11による固定接触子の変形例を示す
側面図である。
【図44】実施例11による固定接触子の別の変形例を
示す側面図である。
【図45】図44の平面図である。
【図46】実施例11による固定接触子の更に別の変形
例を示す側面図である。
【図47】請求項5に発明に対応した実施例12による
主要部を閉成状態で示す側面図である。
【図48】図47における固定接触子の斜視図である。
【図49】図47の開極直後の側面図である。
【図50】図49の最大開極状態を示す側面図である。
【図51】実施例12による固定接触子の変形例を示す
斜視図である。
【図52】従来の開閉器として例えば回路遮断器の開成
時状態を示す側面図である。
【図53】図52の回路遮断器の接点開離直後の状態を
示す側面図である。
【図54】図53の回路遮断器における可動接触子の最
大開離状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 可動接触子 1a 可動接触子の一部 2 可動接点 3 固定接点 4 固定接触子 4a 第1導体部 4d 第3導体部 4e 第2導体部 11 突出部 15 絶縁物 40 スリット 42 開口部
フロントページの続き (72)発明者 仁科 健一 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社 福山製作所内 (72)発明者 山県 伸示 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社 福山製作所内 (56)参考文献 特開 平4−262334(JP,A) 特開 昭62−123627(JP,A) 実開 昭62−88351(JP,U) 実開 昭63−19712(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01H 69/00 - 83/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部に可動接点を有する可動接触子
    と、この可動接触子の開閉動作で前記可動接点と接離可
    能な固定接点を一端部に有する固定接触子とを備え、こ
    の固定接触子に電源系統を接続する開閉器において、接
    点閉成状態の前記可動接点が前記固定接点から開離する
    方向を上方とした時、前記固定接触子を、前記電源系統
    に接続する第1導体部、前記固定接点を有する第2導体
    部、及びそれらの第1導体部と第2導体部を上下方向に
    接続する第3導体部とで構成し、前記第3導体部を前記
    固定接点の位置より可動接触子の可動接点が設けられて
    いない他端部側で且つ前記電源系統の反対側に配置し、
    前記第1導体部は、前記接点閉成時に該接点接触面より
    上方に配置すると共に、前記接点開成時に前記可動接点
    の接触面より下方に配置し、且つ、接点閉成時から接点
    開成時まで常に前記可動接触子の一部より上方に位置
    、前記可動接触子の一端部の端面と対向する前記第1
    導体部の部位を含む前記接点開成時に前記可動接点表面
    から見渡せる前記第1導体部の部位を絶縁物で被覆した
    ことを特徴とする開閉器。
  2. 【請求項2】 一端部に可動接点を有する可動接触子
    と、この可動接触子の開閉動作で前記可動接点と接離可
    能な固定接点を一端部に有する固定接触子とを備え、こ
    の固定接触子に電源系統を接続する開閉器において、前
    記固定接触子を、前記電源系統に接続する第1導体部、
    前記固定接点を有する第2導体部、及びそれらの第1導
    体部と第2導体部を接続する第3導体部とで略U字状に
    形成し、前記第3導体部を前記固定接点の位置より可動
    接触子の可動接点が設けられていない他端部側で且つ前
    記電源系統の反対側に配置し、前記固定接触子の一端部
    に固着された前記固定接点の前記可動接点に接離する表
    面が前記固定接触子の他端側に面しており、前記可動接
    点が前記固定接点と接離する時の前記可動接触子の開閉
    動作を妨げないように、前記固定接触子には前記第1導
    体部から前記第3導体部を通って前記第2導体部にいた
    るスリットを設け、前記固定接触子の他端部側に前記ス
    リットの一端部があり、このスリットの他端部が前記第
    2導体部と前記第3導体部の接続部より前記固定接触子
    の固定接点に近い位置にあり、開成時の前記可動接点か
    ら見渡せる前記固定接触子の他端部側の部位を絶縁した
    とを特徴とする開閉器。
  3. 【請求項3】 前記固定接触子の第3導体部を前記固定
    接点と前記可動接触子との間に配置すると共に、前記第
    3導体部を略板状もしくは略棒状とし、前記可動接触子
    の開閉動作時に前記可動接触子の一部を形成する略棒状
    の可動アームの中心線が描く軌跡を含む平面に垂直な平
    面のうち、前記第3導体部に流れる電流の流線を含む平
    面が、接点開成時の前記可動接触子と交わることを特徴
    とする請求項1または2記載の開閉器。
  4. 【請求項4】 一端部に可動接点を有する可動接触子
    と、この可動接触子の開閉動作で前記可動接点と接離可
    能な固定接点を一端部に有する固定接触子とを備え、こ
    の固定接触子に電源系統を接続する開閉器において、接
    点閉成状態の前記可動接点が前記固定接点から開離する
    方向を上方とした時、前記固定接触子を、前記電源系統
    に接続する第1導体部、前記固定接点を有する第2導体
    部、及びそれらの第1導体部と第2導体部を上下方向に
    接続する第3導体部とで構成し、前記第3導体部を前記
    固定接点の位置より可動接触子の可動接点が設けられて
    いない他端部側で且つ前記電源系統の反対側に配置し、
    前記第1導体部は、前記接点閉成時に該接点接触面より
    上方に配置すると共に、前記接点開成時に前記可動接点
    の接触面より下方に配置し、前記第3導体部を前記固定
    接点と開成状態の前記可動接触子との間に配置すると共
    に、前記第1導体部と前記第2導体部の前記固定接点が
    固着された一端部おび前記第3導体部で囲まれ前記固
    定接点の表面が向いている空間を内部空間とし、且つ、
    前記第3導体部を境界とする前記固定接点の反対側を外
    部空間とし、前記第2導体部の他端部が前記外部空間に
    位置し、該第2導体部の他端部は、閉成状態の前記可動
    接触子に流れる電流と略平行且つ逆方向の電流が流れる
    ように配置された第1の電路と、前記第1の電路と略同
    じ高さで前記第1の電路と逆方向に電流が流れるように
    配置され且つ前記第3導体部と接続される第2の電路と
    で構成され、該第2の電路は、前記可動接触子を流れる
    電流の中心線が前記可動接触子の開閉動作時に描く軌跡
    を含む平面に対して左右どちらかにずれた位置に配置
    し、前記可動く接触子の一端部の端面と対向する前記第
    1導体部の部位を含む前記接点開成時に前記可動接点表
    面から見渡せる前記第1導体部の部位を絶縁物で被覆し
    ことを特徴とする開閉器。
  5. 【請求項5】 一端部に可動接点を有する可動接触子
    と、この可動接触子の 開閉動作で前記可動接点と接離可
    能な固定接点を一端部に有する固定接触子とを備え、こ
    の固定接触子に電源系統を接続する開閉器において、前
    記固定接触子を、前記電源系統に接続する第1導体部、
    前記固定接点を有する第2導体部、及びそれらの第1導
    体部と第2導体部を接続する第3導体部とで略U字状に
    形成し、前記第3導体部を前記固定接点の位置より可動
    接触子の可動接点が設けられていない他端部側で且つ前
    記電源系統の反対側に配置し、前記固定接触子の一端部
    に固着された前記固定接点の前記可動接点に接離する表
    面が前記固定接触子の他端部側に面しており、前記可動
    接触子の一端部には前記固定接点側を向く突出部を設
    け、この突出部には前記可動接点が固着されており、前
    記第1導体部には、前記可動接触子の開閉動作時に前記
    突出部の通過を許容する開口部を設け、前記第1導体部
    の開口部内面と前記第1導体部の前記固定接点と反対側
    の面とを絶縁物で被覆したことを特徴とする開閉器。
JP29664092A 1992-07-02 1992-10-09 開閉器 Expired - Fee Related JP2925861B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29664092A JP2925861B2 (ja) 1992-10-09 1992-10-09 開閉器
TW082102276A TW409265B (en) 1992-07-02 1993-03-26 Circuit breaker
US08/076,741 US5583328A (en) 1992-07-02 1993-06-15 High voltage switch including U-shaped, slitted stationary contact assembly with arc extinguishing/magnetic blowout features
DE69328444T DE69328444T3 (de) 1992-07-02 1993-06-23 Schalter
EP95113702A EP0698899B2 (en) 1992-07-02 1993-06-23 Switch
EP93110049A EP0576992B1 (en) 1992-07-02 1993-06-23 Switch
DE69315384T DE69315384T2 (de) 1992-07-02 1993-06-23 Schalter
KR93012316A KR0128485B1 (en) 1992-07-02 1993-07-01 Switch
US08/434,529 US5596184A (en) 1992-07-02 1995-05-04 Switch including a moving element, a repelling element and a conductor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29664092A JP2925861B2 (ja) 1992-10-09 1992-10-09 開閉器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06124637A JPH06124637A (ja) 1994-05-06
JP2925861B2 true JP2925861B2 (ja) 1999-07-28

Family

ID=17836158

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29664092A Expired - Fee Related JP2925861B2 (ja) 1992-07-02 1992-10-09 開閉器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2925861B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6307297B2 (ja) * 2014-02-17 2018-04-04 株式会社日立産機システム 回路遮断器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06124637A (ja) 1994-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0698899B2 (en) Switch
JP6836241B2 (ja) 電磁継電器
JP2925861B2 (ja) 開閉器
JP3997818B2 (ja) 配線用回路しゃ断器
JP2996808B2 (ja) 開閉器
JP2996810B2 (ja) 開閉器
JP2918752B2 (ja) 開閉器
JP2898491B2 (ja) 開閉器
JP2996807B2 (ja) 開閉器
JP3955702B2 (ja) 回路遮断器
JP2925869B2 (ja) 開閉器
JPH06162908A (ja) 開閉器
CN107799339A (zh) 用于电开关的灭弧单元和电开关
JP3034697B2 (ja) 開閉器
CA1333183C (en) Moving mains arc movement loop
KR100475069B1 (ko) 회로차단기의 소호장치
JPH06139907A (ja) 開閉器
JPH0574318A (ja) 開閉器
JPH0629867Y2 (ja) ガス遮断器
JPH06139898A (ja) 開閉器
JPS58901Y2 (ja) ガス絶縁開閉器
JP2548529B2 (ja) 開閉器
JPH0521285B2 (ja)
JPH04315728A (ja) 回路遮断器
JPS62165828A (ja) 開閉器

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080507

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090507

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100507

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100507

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110507

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110507

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120507

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees