JP2922346B2 - 耐熱性Ti系合金 - Google Patents
耐熱性Ti系合金Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面にAl−Cr複合
拡散被覆層を有する耐熱性・耐酸化性に優れたTi系合
金の改良に関する。
拡散被覆層を有する耐熱性・耐酸化性に優れたTi系合
金の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン材料は、軽量で、機械的性質及び
耐食性にすぐれているので、特に工業用チタン及びTi
−Al系合金、例えば5Al−3Sn系や6Al−4V
系合金が多用されているが、一般に耐熱的に使用する場
合には、使用温度は約500℃が上限となる。Ti合金
を高温に加熱すると、合金は、空気及び水分と反応して
合金内に水素化合物・窒化物を形成して脆化し、また表
面に酸化物層を形成し、保持時間の経過に伴って酸化物
層は成長を続けるので、耐酸化性材料としては使用でき
ない。
耐食性にすぐれているので、特に工業用チタン及びTi
−Al系合金、例えば5Al−3Sn系や6Al−4V
系合金が多用されているが、一般に耐熱的に使用する場
合には、使用温度は約500℃が上限となる。Ti合金
を高温に加熱すると、合金は、空気及び水分と反応して
合金内に水素化合物・窒化物を形成して脆化し、また表
面に酸化物層を形成し、保持時間の経過に伴って酸化物
層は成長を続けるので、耐酸化性材料としては使用でき
ない。
【0003】このようなTi−Al系合金の耐酸化性の
改善には、合金表面のAl被覆処理が有効であることが
知られており、この処理によって、合金表面のAl被覆
層はTiAl3 相を形成して、その表面が酸化された場
合でも、酸化層は成長せず、耐酸化性を示す。また、T
iAl3 は水素透過率が低いので、Al被覆層を有する
Ti系合金は水素脆化に対して抵抗を示す。Al被覆処
理を行ったこれらTi−Al系合金は、500℃以上の
高温では、軟化して機械的強度は低下するけれども、耐
熱材料として利用することができる。
改善には、合金表面のAl被覆処理が有効であることが
知られており、この処理によって、合金表面のAl被覆
層はTiAl3 相を形成して、その表面が酸化された場
合でも、酸化層は成長せず、耐酸化性を示す。また、T
iAl3 は水素透過率が低いので、Al被覆層を有する
Ti系合金は水素脆化に対して抵抗を示す。Al被覆処
理を行ったこれらTi−Al系合金は、500℃以上の
高温では、軟化して機械的強度は低下するけれども、耐
熱材料として利用することができる。
【0004】また、耐熱性を改善したTi系合金には、
合金中Al含有量を増加した15〜36%Al−Ti系
合金がある。この合金は、Al含有量の増加に伴って、
高温強度と耐酸化性が向上し、特に金属間化合物TiA
lの組成を有する34〜36%Al−Ti合金は少量の
他成分を添加して、加工性・延性を付与し、インコネル
718相当の耐熱性がある。このTiAl合金は、ジエ
ットエンジン圧縮機のステータベーン、ガスタービンの
ブレード、或いは自動車用エンジンバルブやターボチャ
ージャーのタービンロータ等の軽量耐熱部材としての用
途が注目されているが、これら合金の使用実用温度は耐
酸化性の点から約700℃であって、700℃以上の高
温では、表面酸化が顕著となって、寿命が低下する。
合金中Al含有量を増加した15〜36%Al−Ti系
合金がある。この合金は、Al含有量の増加に伴って、
高温強度と耐酸化性が向上し、特に金属間化合物TiA
lの組成を有する34〜36%Al−Ti合金は少量の
他成分を添加して、加工性・延性を付与し、インコネル
718相当の耐熱性がある。このTiAl合金は、ジエ
ットエンジン圧縮機のステータベーン、ガスタービンの
ブレード、或いは自動車用エンジンバルブやターボチャ
ージャーのタービンロータ等の軽量耐熱部材としての用
途が注目されているが、これら合金の使用実用温度は耐
酸化性の点から約700℃であって、700℃以上の高
温では、表面酸化が顕著となって、寿命が低下する。
【0005】このような高Al−Ti合金にアルミニウ
ム浸透被覆処理をして、その表面に60〜70%Alの
Ti−Al金属間化合物層を形成せしめて、高温大気中
での表面酸化を抑制する技術が知られている(特開平1
−111858号)。この場合、表面のAl被覆層はT
iAl3 相となり、700℃以上の高温中であってもA
l被覆層の酸化量を低下させて、耐酸化性を改善したも
のである。
ム浸透被覆処理をして、その表面に60〜70%Alの
Ti−Al金属間化合物層を形成せしめて、高温大気中
での表面酸化を抑制する技術が知られている(特開平1
−111858号)。この場合、表面のAl被覆層はT
iAl3 相となり、700℃以上の高温中であってもA
l被覆層の酸化量を低下させて、耐酸化性を改善したも
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のAl被覆層を表
面に成形した高Al−Ti合金においても、900℃以
上の高温で使用される場合には、表面でのAl被覆層中
のTiの酸化はなお無視し得ないほど進行し、Al被覆
層の層厚が減少して、その結果、表面肌荒れやスケール
を生じて寸法減少を生じるので、精密な耐熱部品におい
ては十分な耐酸化性を有するとは言えない。本発明は、
上記問題に鑑み、表面に有するAl被覆層の耐酸化性特
性を改善した高Al−Ti合金その他の耐熱性Ti系合
金を提供せんとするものである。
面に成形した高Al−Ti合金においても、900℃以
上の高温で使用される場合には、表面でのAl被覆層中
のTiの酸化はなお無視し得ないほど進行し、Al被覆
層の層厚が減少して、その結果、表面肌荒れやスケール
を生じて寸法減少を生じるので、精密な耐熱部品におい
ては十分な耐酸化性を有するとは言えない。本発明は、
上記問題に鑑み、表面に有するAl被覆層の耐酸化性特
性を改善した高Al−Ti合金その他の耐熱性Ti系合
金を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の耐熱性Ti系合
金は、Ti系合金母材の表面にAl−Cr拡散被覆層を
有する耐熱性Ti系合金であって、該Al−Cr拡散被
覆層は、母材のTi系合金中にAlが50〜65wt%
とCrが0.5〜7wt%含まれていることを特徴とす
るものである。また、本発明は、Ti系合金母材の表面
にAlが90〜99.5wt%とCrが0.5〜10w
t%とから成るAl−Cr合金層が形成された耐熱性T
i系合金であって、高温下の使用過程で当該Al−Cr
合金層がTi系合金母材へ拡散してAl−Cr拡散被覆
層を形成し、該Al−Cr拡散被覆層にAlが50〜6
5wt%とCrが0.5〜7wt%含まれるようにした
ことを特徴とする耐熱性Ti系合金が含まれる。
金は、Ti系合金母材の表面にAl−Cr拡散被覆層を
有する耐熱性Ti系合金であって、該Al−Cr拡散被
覆層は、母材のTi系合金中にAlが50〜65wt%
とCrが0.5〜7wt%含まれていることを特徴とす
るものである。また、本発明は、Ti系合金母材の表面
にAlが90〜99.5wt%とCrが0.5〜10w
t%とから成るAl−Cr合金層が形成された耐熱性T
i系合金であって、高温下の使用過程で当該Al−Cr
合金層がTi系合金母材へ拡散してAl−Cr拡散被覆
層を形成し、該Al−Cr拡散被覆層にAlが50〜6
5wt%とCrが0.5〜7wt%含まれるようにした
ことを特徴とする耐熱性Ti系合金が含まれる。
【0008】本発明のTi系合金には、工業用純チタ
ン、Ti−6Al−4V系合金やTi−8Al−Sn系
合金などのTi系合金や耐熱性のTi−14〜36Al
系合金などが対象になる。
ン、Ti−6Al−4V系合金やTi−8Al−Sn系
合金などのTi系合金や耐熱性のTi−14〜36Al
系合金などが対象になる。
【0009】Al−Cr拡散被覆層の形成には、Al粉
の粉末法による拡散被覆法、溶射法、肉盛法、PVD
(物理的気相成長)法又はCVD(化学的気相成長)法
が適用できる。粉末法では、Al粉、Cr粉及びAl2
O3 粉に少量の塩化アンモニウムを配合して加熱したポ
ット中に、Ti合金材料を埋設して保持する方法であ
り、保持過程で、表面に析出したAl及びCrは内部に
浸透してAl−Cr拡散被覆層を形成する。
の粉末法による拡散被覆法、溶射法、肉盛法、PVD
(物理的気相成長)法又はCVD(化学的気相成長)法
が適用できる。粉末法では、Al粉、Cr粉及びAl2
O3 粉に少量の塩化アンモニウムを配合して加熱したポ
ット中に、Ti合金材料を埋設して保持する方法であ
り、保持過程で、表面に析出したAl及びCrは内部に
浸透してAl−Cr拡散被覆層を形成する。
【0010】溶射法では、Al粉とCr粉との混合粉
を、例えば、Arガスによるプラズマ溶射法により、合
金材料表面に溶射してAl−Cr合金層を形成する。次
いで使用前に非酸化性の高温雰囲気中で加熱してTi合
金の材料母材と拡散合金化して、Al−Cr拡散被覆層
を形成せしめる。
を、例えば、Arガスによるプラズマ溶射法により、合
金材料表面に溶射してAl−Cr合金層を形成する。次
いで使用前に非酸化性の高温雰囲気中で加熱してTi合
金の材料母材と拡散合金化して、Al−Cr拡散被覆層
を形成せしめる。
【0011】また、本発明におけるAl−Cr合金層
は、上記の溶射法により形成され、Ti系合金の表面
に、Al90〜99.5wt%、Cr0.5〜10wt
%から成る合金層に調製するものである。そして、上記
の拡散合金化の処理を省略して、そのまま使用に供され
るので、当該Al−Cr合金層は高温下の使用過程で上
記組成範囲のAl−Cr拡散被覆層に形成されるのであ
る。
は、上記の溶射法により形成され、Ti系合金の表面
に、Al90〜99.5wt%、Cr0.5〜10wt
%から成る合金層に調製するものである。そして、上記
の拡散合金化の処理を省略して、そのまま使用に供され
るので、当該Al−Cr合金層は高温下の使用過程で上
記組成範囲のAl−Cr拡散被覆層に形成されるのであ
る。
【0012】Al−Cr拡散被覆層の厚みは15μm以
上であって、実用的には300μm以下とするが、好ま
しくは150μm程度とするのが適当である。また、予
めAl−Cr合金層を形成する場合もその厚みは、同様
に15〜300μmとする。
上であって、実用的には300μm以下とするが、好ま
しくは150μm程度とするのが適当である。また、予
めAl−Cr合金層を形成する場合もその厚みは、同様
に15〜300μmとする。
【0013】
【実施例】本発明の耐熱性Ti系合金の実施例を以下に
示す。 (実施例1)供試材としては、Ti−34%Al合金
で、直径8mm、長さ10mmの形状の試片を用いた。
示す。 (実施例1)供試材としては、Ti−34%Al合金
で、直径8mm、長さ10mmの形状の試片を用いた。
【0014】Al−Cr拡散被覆層の成形には、以下に
示す粉末法に依った。Al粉10〜30wt%、Cr粉
0〜60wt%、塩化アンモニウム0.5wt%及び残
部アルミナ粉から成る種々の組成の拡散浸透処理剤を調
整した。この処理剤を耐熱性ポットに入れ、上記試片を
埋設して、700℃〜1300℃の温度で10〜20時
間加熱保持して、Al拡散浸透処理とAl−Cr複合拡
散浸透処理を行った。
示す粉末法に依った。Al粉10〜30wt%、Cr粉
0〜60wt%、塩化アンモニウム0.5wt%及び残
部アルミナ粉から成る種々の組成の拡散浸透処理剤を調
整した。この処理剤を耐熱性ポットに入れ、上記試片を
埋設して、700℃〜1300℃の温度で10〜20時
間加熱保持して、Al拡散浸透処理とAl−Cr複合拡
散浸透処理を行った。
【0015】この拡散浸透処理においては、Al−Cr
拡散被覆層中のAl濃度が50〜65%になるように、
またAl−Cr拡散被覆層の厚みを50μmの薄膜と1
50μm厚膜の二水準に層別するように狙い、各水準に
おいて、Al−Cr拡散被覆層中のCr濃度が0〜10
wt%の範囲に変化するように処理剤中のAl粉とCr
粉の配合量を調整した。この処理後、各試験片を切断研
磨して、顕微鏡観察を行いAl−Cr拡散被覆層の厚み
を測定し、EPMA分析によるAl−Cr拡散被覆層の
Al及びACrの濃度測定を行った。
拡散被覆層中のAl濃度が50〜65%になるように、
またAl−Cr拡散被覆層の厚みを50μmの薄膜と1
50μm厚膜の二水準に層別するように狙い、各水準に
おいて、Al−Cr拡散被覆層中のCr濃度が0〜10
wt%の範囲に変化するように処理剤中のAl粉とCr
粉の配合量を調整した。この処理後、各試験片を切断研
磨して、顕微鏡観察を行いAl−Cr拡散被覆層の厚み
を測定し、EPMA分析によるAl−Cr拡散被覆層の
Al及びACrの濃度測定を行った。
【0016】図1は、Al−Cr拡散被覆層厚さ150
μm、表面Cr濃度0.5wt%の試片について、高温
酸化試験前の表層部断面の顕微鏡写真を示すが、表層部
には明瞭なAl−Cr拡散被覆層が認められる。
μm、表面Cr濃度0.5wt%の試片について、高温
酸化試験前の表層部断面の顕微鏡写真を示すが、表層部
には明瞭なAl−Cr拡散被覆層が認められる。
【0017】図2は、同一試片の表層部のAl濃度及び
Cr濃度のEPMAによる分析結果であって、表面近傍
内側に約63%Alの第一層と、その内部に53%Al
の第二層とが認められ、さらに内側に母材中のAl濃度
まで漸減する拡散層がある。第一層についてはTiAl
3 相と、第二層はTiAl2 相と同定した。Cr濃度に
ついては、表面から母材界面に向けてほぼ一様に漸減し
ている。
Cr濃度のEPMAによる分析結果であって、表面近傍
内側に約63%Alの第一層と、その内部に53%Al
の第二層とが認められ、さらに内側に母材中のAl濃度
まで漸減する拡散層がある。第一層についてはTiAl
3 相と、第二層はTiAl2 相と同定した。Cr濃度に
ついては、表面から母材界面に向けてほぼ一様に漸減し
ている。
【0018】次に、上記各試片を大気中で1000℃の
温度で100時間加熱保持して、高温酸化試験を行い、
試片の重量変化から酸化増量を算出し、耐酸化性の評価
を行った。以上の結果をまとめて表1に示した。
温度で100時間加熱保持して、高温酸化試験を行い、
試片の重量変化から酸化増量を算出し、耐酸化性の評価
を行った。以上の結果をまとめて表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】表1から、処理材中のAl粉配合量が10
%の場合では、Al−Cr拡散被覆層の厚みは、40〜
90μmと薄く、Al濃度は60%以下でTiAl2 相
である(表中試料番号3〜9)が、Al粉配合量20〜
30%の場合では、Al濃度は約63%に増加し、Ti
Al3 相が現れることがわかる(表中試料番号10〜1
4)。
%の場合では、Al−Cr拡散被覆層の厚みは、40〜
90μmと薄く、Al濃度は60%以下でTiAl2 相
である(表中試料番号3〜9)が、Al粉配合量20〜
30%の場合では、Al濃度は約63%に増加し、Ti
Al3 相が現れることがわかる(表中試料番号10〜1
4)。
【0021】図3には、1000℃の温度で100時間
加熱保持後の試片につき、表層部断面の顕微鏡写真を示
すが、図3(A)は、表1中の試料番号9の試片であっ
て、Al−Cr拡散被覆層の表面に酸化スケールが生成
していることが判る。これに対して、同図(B)は、試
料番号7の試片であるが、酸化層は殆ど生じていない。
加熱保持後の試片につき、表層部断面の顕微鏡写真を示
すが、図3(A)は、表1中の試料番号9の試片であっ
て、Al−Cr拡散被覆層の表面に酸化スケールが生成
していることが判る。これに対して、同図(B)は、試
料番号7の試片であるが、酸化層は殆ど生じていない。
【0022】図4は、Al−Cr拡散被覆層の厚みを4
0〜90μmの薄膜と140〜150μmの厚膜に層別
して、Al−Cr拡散被覆層のCr濃度と1000℃×
100時間加熱後の酸化増量との関係を示したものであ
る。この図から、Al−Cr拡散被覆層が厚膜である方
が薄膜に比して酸化増量が少ないが、ともに表面のCr
濃度が0.5%以上となると酸化増量は低下し、耐酸化
性付与に有効であり、約8%以上に増加すれば返って酸
化増量は増加する。表面のCr濃度が0.5〜7.0%
の範囲が耐酸化性にとってよいことが判る。特に3〜5
%Crの濃度において、上記範囲の層厚に影響されず
に、耐酸化性はもっとも優れている。
0〜90μmの薄膜と140〜150μmの厚膜に層別
して、Al−Cr拡散被覆層のCr濃度と1000℃×
100時間加熱後の酸化増量との関係を示したものであ
る。この図から、Al−Cr拡散被覆層が厚膜である方
が薄膜に比して酸化増量が少ないが、ともに表面のCr
濃度が0.5%以上となると酸化増量は低下し、耐酸化
性付与に有効であり、約8%以上に増加すれば返って酸
化増量は増加する。表面のCr濃度が0.5〜7.0%
の範囲が耐酸化性にとってよいことが判る。特に3〜5
%Crの濃度において、上記範囲の層厚に影響されず
に、耐酸化性はもっとも優れている。
【0023】(実施例2)次にTiAl3 合金粉末のプ
ラズマ溶射法による実施例を示す。純Tiの形状50×
100×5mmの基材の表面に、TiAl3 粉末97%
とCr粉末3%との混合微粉を、Ar−H2 混合ガスを
搬送ガスとしてプラズマ溶射を行った。溶射条件は、搬
送ガスAr6.3×10-4Nm3 /sec とH2 5.5×
10-5Nm3 /sec の供給速度で、粉末の供給量0.1
3g/sec で、雰囲気圧力20.0KP、基材の移動速
度5mm/sec であった。溶射後の被覆層の厚みは約1
50μmであった。
ラズマ溶射法による実施例を示す。純Tiの形状50×
100×5mmの基材の表面に、TiAl3 粉末97%
とCr粉末3%との混合微粉を、Ar−H2 混合ガスを
搬送ガスとしてプラズマ溶射を行った。溶射条件は、搬
送ガスAr6.3×10-4Nm3 /sec とH2 5.5×
10-5Nm3 /sec の供給速度で、粉末の供給量0.1
3g/sec で、雰囲気圧力20.0KP、基材の移動速
度5mm/sec であった。溶射後の被覆層の厚みは約1
50μmであった。
【0024】次に、溶射材を真空中で1200℃に72
時間加熱焼鈍して被覆層の拡散均一化処理を行った。X
線回析により、被覆層の生成物を同定してほぼ均一なT
iAl3 相のAl−Cr拡散被覆層が形成されていた。
またEPMAによる分析によりCr濃度は表面層で2.
7%であった。
時間加熱焼鈍して被覆層の拡散均一化処理を行った。X
線回析により、被覆層の生成物を同定してほぼ均一なT
iAl3 相のAl−Cr拡散被覆層が形成されていた。
またEPMAによる分析によりCr濃度は表面層で2.
7%であった。
【0025】また、Cr粉末を配合しないで、TiAl
3 粉末のみを、上記実施例と同一条件でプラズマ溶射と
熱処理をした材料を比較材とした。拡散被覆層はTiA
l3相から成り、Crは検出されなかった。
3 粉末のみを、上記実施例と同一条件でプラズマ溶射と
熱処理をした材料を比較材とした。拡散被覆層はTiA
l3相から成り、Crは検出されなかった。
【0026】本試験材及び比較材を、大気中1000℃
で100時間加熱保持して、表面酸化の状態を観察し
た。本試験材は、表面が褐色に変色していたのに対し
て、比較材は厚さ約100μm程度のスケールが生成
し、スケールが剥離しているのが見られた。
で100時間加熱保持して、表面酸化の状態を観察し
た。本試験材は、表面が褐色に変色していたのに対し
て、比較材は厚さ約100μm程度のスケールが生成
し、スケールが剥離しているのが見られた。
【0027】
【作用及び効果】Ti系合金母材の表層のAl−Cr拡
散被覆層は、Al50〜65%含有するのでTiAl3
相又はTiAl2 相によって形成されているが、高温の
酸化性雰囲気中にあって、Alが酸化され、Ti酸化物
を含むアルミナ相の酸化物薄膜となる。Al−Cr拡散
被覆層にCrを少量含むと、1000℃の酸化性高温雰
囲気中にあっても、最表面のアルミナ相からTiAl3
相への酸素の拡散移動を阻止して、アルミナ相の酸化物
層は成長せず、かつ緻密安定であるから剥離しない。A
l−Cr拡散被覆層中のCr濃度が約8%以上に増加す
ると、アルミナ相の酸化層は成長して、耐酸化性を悪く
する。この原因は表面に肌荒れを生じ、表面近傍が多孔
性となるので、均一なアルミナ層が形成されないためと
考えられる。
散被覆層は、Al50〜65%含有するのでTiAl3
相又はTiAl2 相によって形成されているが、高温の
酸化性雰囲気中にあって、Alが酸化され、Ti酸化物
を含むアルミナ相の酸化物薄膜となる。Al−Cr拡散
被覆層にCrを少量含むと、1000℃の酸化性高温雰
囲気中にあっても、最表面のアルミナ相からTiAl3
相への酸素の拡散移動を阻止して、アルミナ相の酸化物
層は成長せず、かつ緻密安定であるから剥離しない。A
l−Cr拡散被覆層中のCr濃度が約8%以上に増加す
ると、アルミナ相の酸化層は成長して、耐酸化性を悪く
する。この原因は表面に肌荒れを生じ、表面近傍が多孔
性となるので、均一なアルミナ層が形成されないためと
考えられる。
【0028】また、Ti系合金母材の表層にAl−Cr
合金層を形成しておけば、高温の酸化性雰囲気中での使
用過程で、当該Al−Cr合金層は合金母材と拡散反応
して、Al50〜65%含有するのでTiAl3 相又は
TiAl2 相から成るAl−Cr拡散被覆層を形成し
て、耐酸化性を発現する。
合金層を形成しておけば、高温の酸化性雰囲気中での使
用過程で、当該Al−Cr合金層は合金母材と拡散反応
して、Al50〜65%含有するのでTiAl3 相又は
TiAl2 相から成るAl−Cr拡散被覆層を形成し
て、耐酸化性を発現する。
【0029】本発明の耐熱性Ti系合金を実施すれば、
耐酸化性にすぐれた耐熱合金が得られる。特にTi−1
4〜36%Al合金を母材にすれば、実用的な使用温度
1050℃程度の耐熱材料として利用することができ
る。
耐酸化性にすぐれた耐熱合金が得られる。特にTi−1
4〜36%Al合金を母材にすれば、実用的な使用温度
1050℃程度の耐熱材料として利用することができ
る。
【図1】Al−Cr拡散被覆層が形成されたTi−Al
合金の高温酸化試験前における断面の金属組織を示す光
学顕微鏡写真(倍率;100、腐食液;塩酸1.5ml
+硝酸2.5ml+フッ酸1ml+水95mlの混合
液)。
合金の高温酸化試験前における断面の金属組織を示す光
学顕微鏡写真(倍率;100、腐食液;塩酸1.5ml
+硝酸2.5ml+フッ酸1ml+水95mlの混合
液)。
【図2】Al−Cr拡散被覆層と近接する母材のEPM
A分析によるAlとCrの濃度曲線図。
A分析によるAlとCrの濃度曲線図。
【図3】Al−Cr拡散被覆層が形成されたTi−Al
合金の高温酸化試験をした後の断面金属組織を示す光学
顕微鏡写真(倍率;100、腐食液;図1同様混合
液)。
合金の高温酸化試験をした後の断面金属組織を示す光学
顕微鏡写真(倍率;100、腐食液;図1同様混合
液)。
【図4】加熱処理後の酸化増量とCr濃度との関係を示
す図。
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 利平 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本 カロライズ工業株式会社内 (72)発明者 末安 正信 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本 カロライズ工業株式会社内 (56)参考文献 特公 昭55−10662(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 10/14 - 14/16 C23C 10/28 - 10/58
Claims (3)
- 【請求項1】 Ti系合金母材の表面にAl−Cr拡散
被覆層を有する耐熱性Ti系合金であって、該Al−C
r拡散被覆層は、母材のTi系合金中にAlが50〜6
5wt%とCrが0.5〜7wt%含まれていることを
特徴とする耐熱性Ti系合金。 - 【請求項2】 Ti系合金母材の表面にAlが90〜9
9.5wt%とCrが0.5〜10wt%とから成るA
l−Cr合金層が形成された耐熱性Ti系合金であっ
て、高温下の使用過程で当該Al−Cr合金層がTi系
合金母材へ拡散してAl−Cr拡散被覆層を形成し、該
Al−Cr拡散被覆層にAlが50〜65wt%とCr
が0.5〜7wt%含まれるようにしたことを特徴とす
る耐熱性Ti系合金。 - 【請求項3】 当該Ti系合金母材が、14〜36wt
%のAlを含有してなる請求項1又は2記載の耐熱性T
i系合金。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27016591A JP2922346B2 (ja) | 1991-09-21 | 1991-09-21 | 耐熱性Ti系合金 |
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JP27016591A Expired - Fee Related JP2922346B2 (ja) | 1991-09-21 | 1991-09-21 | 耐熱性Ti系合金 |
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-
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- 1991-09-21 JP JP27016591A patent/JP2922346B2/ja not_active Expired - Fee Related
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