JP2907624B2 - 新規含フッ素フタロシアニン化合物、その製造方法、およびそれらを含んでなる近赤外線吸収材料 - Google Patents

新規含フッ素フタロシアニン化合物、その製造方法、およびそれらを含んでなる近赤外線吸収材料

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JP2907624B2
JP2907624B2 JP4042586A JP4258692A JP2907624B2 JP 2907624 B2 JP2907624 B2 JP 2907624B2 JP 4042586 A JP4042586 A JP 4042586A JP 4258692 A JP4258692 A JP 4258692A JP 2907624 B2 JP2907624 B2 JP 2907624B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なフタロシアニン
化合物およびその製造方法、ならびに近赤外域に吸収を
もち、溶媒への溶解性の高い近赤外線吸収材料に関する
ものである。本発明にかかる新規なフタロシアニン化合
物は、650〜900nmの近赤外域に吸収を有し溶解性
に優れており、またフタロシアニンが元来保有している
耐光性にも優れているので、半導体レーザーを使う光記
録媒体、液晶表示装置、光学文字読取機等における書き
込みあるいは読み取りの為の近赤外線吸収色素、近赤外
光増感剤、感熱転写、感熱紙、感熱孔版等の光熱変換
剤、近赤外線吸収フィルター、眼精疲労防止剤あるいは
光導電材料等、さらには組織透過性の良い長波長域の光
に吸収を持つ腫瘍治療用感光性色素さらには自動車ある
いは建材の熱線遮光剤として用いる際に優れた効果を発
揮するものである。
【0002】さらに、本発明は可視に吸収をもつ可視光
吸収材料として、例えば、撮像管に用いる色分解フィル
ター、液晶表示素子、カラーブラウン管選択吸収フィル
ター用色素、カラートナー、インクジェット用インク、
改ざん偽造防止用バーコード用インクなどに用いる際に
優れた効果を発揮するものである。
【0003】
【従来の技術】近年、コンパクトディスク、レーザーデ
ィスク、光メモリーディスク、光カード等の光記録媒
体、液晶表示装置、光学文字読取機等における書込みあ
るいは読み取りの為に、半導体レーザーが光源として用
いられることにより、又、光導電材料、近赤外線吸収フ
ィルター、眼精疲労防止剤、感熱転写・感熱紙、感熱孔
版等の光熱変換剤、近赤外光増感剤、組織透過性の良い
長波長域の光に吸収を持つ腫瘍治療用感光性色素あるい
は自動車あるいは建材の熱光遮光剤など近赤外線を吸収
する物質、いわゆる近赤外線吸収色素への開発要求が高
まっている。なかでも光、熱、温度等に対して安定であ
り堅牢性に優れているフタロシアニン系化合物について
は、用途に応じて必要とする吸収波長に制御すべく、ま
た用途に応じて必要とする溶剤に溶解すべく、数多く検
討されている。
【0004】すなわち、近年デバイスの多様化に伴い、
また用途に応じて様々な吸収特性をもつ色素が要求され
ているが、フタロシアニン系化合物の吸収波長を制御す
ることは困難であった。また実用上、蒸着あるいは樹脂
への分散といった煩雑な工程を用いないで色素を薄膜化
する方法、その際デバイスで用いる基板を侵さない溶媒
を用いること、あるいは一緒に用いる樹脂へ溶解性する
こと等を必要としている理由から各々の用途に応じた各
種の溶媒に高濃度に溶解する色素が要求されているが、
しかしながら、フタロシアニン系化合物の大多数は溶媒
不溶性のものであった。
【0005】一方、実用上有利となる溶解性を有するフ
タロシアニン化合物も最近開示されている。例えば、
3,6−オクタアルコキシフタロシアニン(特開昭61
−223056号)があげられるが、吸収波長の制御が
低波長側に限定されるという問題点を有しており、また
製造工程が複雑で安価なフタロシアニンを得ることがで
きないという問題を有している。
【0006】特開昭60−209583号、同昭61−
152685号、同昭63−308073号、および同
昭64−62361号にはフタロシアニン骨格にチオエ
ーテル基等を多数置換させることにより、溶解度を向上
させると同時に、吸収波長を長波長化させた化合物が開
示されている。その中で、特開昭60−209583
号、および同昭61−152685号では、フタロシア
ニン骨格特に3,6−位にチオエーテル基を導入する合
成例が開示されている。その方法は、フタロシアニン骨
格の3,6位にクロル原子を有するフタロシアニン化合
物と有機チオール化合物をキノリン溶媒中、KOH存在
下加熱して3,6−位にチオエーテル基を有するフタロ
シアニンを得ている。しかし、いずれも収率が20〜3
0%程度であり製造効率に問題を有している。しかも依
然として溶解性が不十分でありまた吸収波長の範囲が限
られている。
【0007】また、特開昭60−209583号、同昭
61−152685号および特開昭64−62361号
にはフタロシアニン骨格に8〜16個のチオエーテル基
を多数導入する合成例も開示されている。
【0008】その方法は、フタロシアニン骨格のベンゼ
ン核に8〜16個のクロル原子および/またはブロム原
子を有するフタロシアニン化合物と有機チオール化合物
とをキノリン溶媒中、KOH存在下加熱してフタロシア
ニン骨格のベンゼン核に8〜16個のチオエーテル基を
有するフタロシアニンを得ている。しかし、前述のもの
と同じくいずれも収率が20〜30%程度であり製造効
率に問題を有している。
【0009】すなわち、クロル原子またはブロム原子の
チオエーテル基への置換性が悪い為に低収率となり、例
えば、クロル原子がチオエーテル基に全く置換されてい
ないままの未反応フタロシアニンあるいは一部のクロル
原子がチオエーテル基に置換した未反応型フタロシアニ
ンが生成する。これらの未反応型のフタロシアニンと目
的物質のフタロシアニンとを互いに分離するのは実際上
困難であるために、実質的には種々の組成のフタロシア
ニンの混合物しか得られないのが実情である。
【0010】事実、特開昭64−62361号ではシリ
カゲルカラムで分離後でもポリチオール置換混合縮合型
フタロシアニン組成物として記載されており未反応型が
残存しているのを物語っている。なお、クロル原子が一
部残存した場合それらの溶解性は著しく低下する為、近
赤外線吸収色素として溶解させて薄膜化させるには不利
となる。
【0011】特開昭63−308073号では、モノブ
ロモテトラデカクロロフタロシアニンと2−アミノチオ
フェノールおよび4−メチルフェニルチオールの有機チ
オール混合物とをDMF溶媒中でKOH存在下加熱して
チオエーテル置換基を導入し、フタロシアニンを42%
の収率で得ている。しかし、この方法は異なる有機チオ
ール混合物を同時に加えて反応させているので、一種の
組み合せのチオエーテル置換基を有しているフタロシア
ニン混合物が得られることになり単一な特性が得られず
吸収波長を制御する必要がある用途、例えばシアン色イ
ンクジェット用インクあるいは近赤外線吸収色素として
使う際に用途が限定されるという問題を有している。ま
た溶解性を有しているが、まだ低レベルであり薄膜化あ
るいは樹脂への溶解性の点で不充分である。
【0012】特願昭64−42283号および特開平3
−62878号には、フタロシアニン核にアルコキシル
基、アルキルチオ基を導入した近赤外吸収色素が提案さ
れているが、大半が実用性の乏しい3,6位に置換基を
有している出発原料を用いており実用的には問題があ
る。また、溶解性が低レベルであり、かつ吸収波長の制
御されたフタロシアニンを誘導するには限界があるとい
う問題を有している。また4,5位へ置換基を導入する
ために4,5位を塩素化した物からフタロシアニンを誘
導するためその置換性の悪さから溶解性を落とす要因と
なる塩素原子が残存しているという問題点も有してい
る。
【0013】一方、アルコール類に溶解するフタロシア
ニンが特開昭63−295578号に開示されている。
この公報によれば、モノブロモテトラデカクロロ銅フタ
ロシアニンと2−アミノチオフェノールおよび4−メチ
ルフェニルチオールの有機チオール混合物とを反応して
得られる、ヘプタ(4−メチルフェニルチオ)−テトラ
(1−アミノ−2−チオフェニル−1,2−イレン)−
銅フタロシアニン等の置換チオ銅フタロシアニン混合物
を発煙硫酸によりスルホン化して平均10個のスルホン
酸基を有するフタロシアニンを得、その後テトラブチル
アミン等の塩基性物質で処理してスルホンアミド基等に
変えることによりアルコール性溶媒に対して溶解性を有
するフタロシアニンを得ている。
【0014】しかしながら、この方法は次の様な問題点
を有している。 クロル原子が一部残存し易く、クロル原子が一部残存
した場合それらの溶解性は著しく低下する。 フタロシアニンが混合物で得られており近赤外線吸収
色素として使う際単一な特性が得られず、よって用途が
限定される。 非常に工程が煩雑であり、各々の工程の収率が低い。 スルホン化反応を水系で行い、ついで生成物を透析に
より精製を行っており工業的製造方法としては問題があ
る。 本発明者らはこれらの欠点を解決するために特願平1−
209599号、特願平2−125518号、及び特願
平2−144292号において、オクタデカフルオロフ
タロシアニンのフッ素を選択的にアルキルチオ基あるい
はアリールチオ基で置換することにより吸収の長波長化
および溶媒溶解性の向上を試み、ある程度の効果を上げ
た。それらの溶解性は必ずしも満足できるものではな
く、さらに、溶解性の向上した化合物が要求されてい
る。また、吸収波長もさらに長波長化することが好まし
い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の有
する前記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、
本発明の目的は650〜900nmの近赤外域に吸収を有
し溶解性、特にアルコール性溶媒に対して溶解性に優れ
た新規なフタロシアニン化合物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は該フタロシアニン化合物を効
率よく、しかも高純度で製造する方法を提供することに
ある。
【0016】さらに、本発明の他の目的は近赤外域に吸
収を有し溶解性(特にアルコール溶媒に対して)にすぐ
れた新規フタロシアニン化合物を含有してなる近赤外線
吸収材料を提供することにある。そして、本発明のさら
なる目的として、各種の吸収波長に制御された近赤外吸
収フタロシアニン化合物を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フタロシ
アニン骨格の4,5位の少なくともどちらかにエーテル
アリール基あるいはチオエーテルアリール基を有し、残
位に場合によってはフッ素原子、エーテルアリール基、
チオエーテルアリール基、エーテルアルキル基、チオエ
ーテルアルキル基のいずれかを有し、3,6位にフッ素
原子を有するフタロシアニン化合物をスルホン化するこ
とにより前記目的を満足する化合物が得られることを見
出して本発明を完成させた。
【0018】すなわち、本発明によれば、下記一般式
(I):
【化3】
【0019】〔式中、Xは相互に独立にフッ素原子、O
1 Za〜d,SR2 Ze〜h,OR 3 、又はSR
4 (ただし、R1 及びR2 は相互に独立にフェニル基又
はベンジル基であって、該フェニル基又はベンジル基は
炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシル基、カルボキ
シル基、アルコキシカルボニル基又はハロゲンで置換さ
れていてもよく、R3 及びR4 は相互に独立にC1〜C
20のアルキル基、又はC4〜C6のシクロアルキル基
を表し、Zはスルホン基を表す)を表わし、Yは相互に
独立にOR5 Zi〜l、又はSR6 Zm〜p(R5 及び
6 は相互に独立にフェニル基又はベンジル基であっ
て、該フェニル基又はベンジル基は炭素数1〜4のアル
キル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシ
カルボニル基又はハロゲンで置換されていてもよく、Z
はスルホン基を表す)を表し、a〜pは0〜7の整数で
ありかつa〜pの総和は1以上であり、Mは無金属、金
属、金属酸化物、金属カルボニルまたは金属ハロゲン化
物を表わす〕で示される新規含フッ素フタロシアニン化
合物が提供される。
【0020】このような含フッ素フタロシアニンとして
は、例えばXが、フッ素原子、XにおけるOR3 がメト
キシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、
シクロヘキシルオキシ基;OR1 がフェノキシ基、カル
ボキシルフェノキシ基、メトキシカルボニルフェノキシ
基、エトキシカルボニルフェノキシ基、ベンジルオキシ
基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、フッ素もしく
はクロル原子で置換しているフェノキシ基、
【0021】SR4 がメチルチオ基、エチルチオ基、ブ
チルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基;
SR2 がフェニルチオ基、カルボキシルフェニルチオ
基、メトキシカルボニルフェニルチオ基、エトキシカル
ボニルフェニルチオ基、ベンジルチオ基、トリルチオ、
キシリルチオ、フッ素もしくはクロル原子で置換してい
るフェニルチオ基であり、
【0022】また、YにおけるOR5 がフェノキシ基、
カルボキシルフェノキシ基、メトキシカルボニルフェノ
キシ基、エトキシカルボニルフェノキシ基、ベンジルオ
キシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、フッ素も
しくはクロル原子で置換しているフェノキシ基;SR6
がフェニルチオ基、カルボキシルフェニルチオ基、メト
キシカルボニルフェニルチオ基、エトキシカルボニルフ
ェニルチオ基、トリルチオ、キシリルチオ、フッ素もし
くはクロル原子で置換しているフェニルチオ基であり、
【0023】MがCu,Zn,Fe,Ni,Co,Fe
カルボニル、Niカルボニル、Coカルボニル、AlC
l,AlI,InCl,InBr,GaCl,TiO,
VO,SnCl2,GeCl2等であり、フタロシアニ
ン分子1モルに対して1〜16個のスルホン基が導入し
ている化合物等が挙げられる。
【0024】本発明の前記一般式(I)で示される含フ
ッ素フタロシアニン化合物は例えば、下記一般式(I
I):
【化4】
【0025】〔式中、X1 は相互に独立にフッ素原子、
OR1 ,SR2 ,OR3 、又はSR4 (ただし、R1
びR2 は相互に独立にフェニル基又はベンジル基であっ
て、該フェニル基又はベンジル基は炭素数1〜4のアル
キル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシ
カルボニル基もしくはハロゲンで置換されていてもよ
く、R3 及びR4 は相互に独立にC1〜C20のアルキ
ル基、又はC4〜C6のシクロアルキル基を表す。)を
表わし、Y1は相互に独立にOR5 又はSR6 (R 5
びR6 は相互に独立にフェニル基又はベンジル基であっ
て、該フェニル基又はベンジル基は炭素数1〜4のアル
キル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシ
カルボニル基又はハロゲンで置換されていてもよい)を
表し、Mは無金属、金属、金属酸化物、金属カルボニル
または金属ハロゲン化物を表わす。〕で示されるフタロ
シアニン誘導体を、有機溶媒中でスルホン化剤を用いて
スルホン化することにより製造することができる。
【0026】以下、本発明の製造方法について詳細に説
明する。本発明で使用される前記一般式(II)で示され
る含フッ素フタロシアニンは、具体的には以下のような
フタロシアニン化合物で、中心金属として好ましくは、
銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニ
ル、クロロインジウム、クロロアルミニウム、ジクロロ
錫、コバルトカルボニル、鉄カルボニルを用いるのが良
い。
【0027】A)タイプ 4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−オクタ
フルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhS)8 4,5−オクタキス(o−メチルフェニルチオ)−3,
6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MePhS)8 4,5−オクタキス(p−メチルフェニルチオ)−3,
6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−MePhS)8 4,5−オクタキス(o−メトキシフェニルチオ)−
3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MeOPhS)8
【0028】4,5−オクタキス(p−メトキシフェニ
ルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−MeOPhS)8 4,5−オクタキス(o−カルボキシルフェニルチオ)
−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−cPhS)8 4,5−オクタキス(p−カルボキシルフェニルチオ)
−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−cPhS)8
【0029】B)タイプ 4−テトラキス(フェノキシ)−3,5,6−ドデカフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF12(PhO)4 4−テトラキス(o−メチルフェノキシ)−3,5,6
−ドデカフルオロフタロシアニン 略称;PcF12(o−MePhO)4 4−テトラキス(p−メチルフェノキシ)−3,5,6
−ドデカフルオロフタロシアニン 略称;PcF12(p−MePhO)4 4−テトラキス(o−メトキシフェノキシ)−3,5,
6−ドデカフルオロフタロシアニン 略称;PcF12(o−MeOPhO)4
【0030】4−テトラキス(p−メトキシフェノキ
シ)−3,5,6−ドデカフルオロフタロシアニン 略称;PcF12(p−MeOPhO)4 4−テトラキス(o−カルボキシルフェノキシ)−3,
5,6−ドデカフルオロフタロシアニン 略称;PcF12(o−cPhO)4 4−テトラキス(p−カルボキシルフェノキシ)−3,
5,6−ドデカフルオロフタロシアニン 略称;PcF12(p−cPhO)4
【0031】C)タイプ 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(フェ
ニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(PhS)4 4−テトラキス(o−メチルフェノキシ)−5−テトラ
キス(o−メチルフェニルチオ)−3,6−オクタフル
オロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MePhO)4(o−MePh
S)4 4−テトラキス(o−メトキシフェノキシ)−5−テト
ラキス(o−メトキシフェニルチオ)−3,6−オクタ
フルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MeOPhO)4(o−MeOP
hS)4 4−テトラキス(o−カルボキシルフェノキシ)−5−
テトラキス(o−カルボキシルフェニルチオ)−3,6
−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−cPhO)4(o−cPhS)4 4−テトラキス(o−メトキシフェノキシ)−5−テト
ラキス(o−メチルフェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MeOPhO)4(o−MePh
S)4
【0032】4−テトラキス(p−メトキシフェノキ
シ)−5−テトラキス(o−メチルフェニルチオ)−
3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−MeOPhO)4(o−MePh
S)4 4−テトラキス(o−メチルフェノキシ)−5−テトラ
キス(o−メトキシフェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MePhO)4(o−MeOPh
S)4 4−テトラキス(o−メチルフェノキシ)−5−テトラ
キス(p−メトキシフェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MePhO)4(p−MeOPh
S)4 4−テトラキス(o−カルボキシルフェノキシ)−5−
テトラキス(o−メチルフェニルチオ)−3,6−オク
タフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−cPhO)4(o−MePhS)
4 4−テトラキス(o−カルボキシルフェノキシ)−5−
テトラキス(p−メチルフェニルチオ)−3,6−オク
タフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−cPhO)4(p−MePhS)
【0033】4−テトラキス(p−カルボキシルフェノ
キシ)−5−テトラキス(o−メチルフェニルチオ)−
3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−cPhO)4(o−MePhS)
4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(o−
メチルフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロ
シアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−MePhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(p−
メチルフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロ
シアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−MePhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(m−
メチルフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロ
シアニン 略称;PcF8(PhO)4(m−MePhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(2,
4−ジメチルフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロ
フタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(2,4−MePhS)4
【0034】4−テトラキス(フェノキシ)−5−テト
ラキス(o−メトキシフェニルチオ)−3,6−オクタ
フルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−MeOPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(p−
メトキシフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタ
ロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−MeOPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(o−
フルオロフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタ
ロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−FPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(p−
フルオロフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタ
ロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−FPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(テト
ラフルオロフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフ
タロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(F4PhS)4
【0035】4−テトラキス(フェノキシ)−5−テト
ラキス(p−カルボキシルフェニルチオ)−3,6−オ
クタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−cPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(o−
カルボキシルフェニルチオ)−3,6−オクタフルオロ
フタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−cPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(p−
メトキシカルボニルフェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−mcPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(o−
メトキシカルボニルフェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−mcPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(p−
エトキシカルボニルフェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−ecPhS)4
【0036】4−テトラキス(フェノキシ)−5−テト
ラキス(o−エトキシカルボニルフェニルチオ)−3,
6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−ecPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(m−
エトキシカルボニルフェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(m−ecPhS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(メチ
ルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(MeS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(エチ
ルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(EtS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(プロ
ピルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(PrS)4
【0037】4−テトラキス(フェノキシ)−5−テト
ラキス(n−ブチルチオ)−3,6−オクタフルオロフ
タロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(BuS)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(te
rt−ブチルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシ
アニン 略称;PcF8(PhO)4(t−BuS)4 4−テトラキス(o−メチルフェノキシ)−5−テトラ
キス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロ
シアニン 略称;PcF8(o−MePhO)4(PhS)4 4−テトラキス(m−メチルフェノキシ)−5−テトラ
キス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロ
シアニン 略称;PcF8(m−MePhO)4(PhS)4 4−テトラキス(p−メチルフェノキシ)−5−テトラ
キス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロ
シアニン 略称;PcF8(p−MePhO)4(PhS)4
【0038】4−テトラキス(o−フルオロフェノキ
シ)−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オク
タフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−FPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(p−フルオロフェノキシ)−5−テト
ラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタ
ロシアニン 略称;PcF8(p−FPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(o−メトキシフェノキシ)−5−テト
ラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタ
ロシアニン 略称;PcF8(o−MeOPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(p−カルボキシルフェノキシ)−5−
テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロ
フタロシアニン 略称;PcF8(p−cPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(o−カルボキシルフェノキシ)−5−
テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロ
フタロシアニン 略称;PcF8(o−cPhO)4(PhS)4
【0039】4−テトラキス(m−カルボキシルフェノ
キシ)−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オ
クタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(m−cPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(p−メトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−mcPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(o−メトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−mcPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(m−メトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(m−mcPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(p−エトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−ecPhO)4(PhS)4
【0040】4−テトラキス(o−エトキシカルボニル
フェノキシ)−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,
6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−mcPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(m−エトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(m−mcPhO)4(PhS)4 4−テトラキス(メトキシ)−5−テトラキス(フェニ
ルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(MeO)4(PhS)4 4−テトラキス(エトキシ)−5−テトラキス(フェニ
ルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(EtO)4(PhS)4 4−テトラキス(n−ブトキシ)−5−テトラキス(フ
ェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(BuO)4(PhS)4
【0041】4−テトラキス(t−ブトキシ)−5−テ
トラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフ
タロシアニン 略称;PcF8(t−BuO)4(PhS)4 4−テトラキス(n−ヘキシルオキシ)−5−テトラキ
ス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシ
アニン 略称;PcF8(HxO)4(PhS)4 4−テトラキス(n−オクチルオキシ)−5−テトラキ
ス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシ
アニン 略称;PcF8(OxO)4(PhS)4 4−テトラキス(n−デシルオキシ)−5−テトラキス
(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシア
ニン 略称;PcF8(DeO)4(PhS)4 4−テトラキス(n−ヘキサデシルオキシ)−5−テト
ラキス(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタ
ロシアニン 略称;PcF8(HdO)4(PhS)4 4−テトラキス(ベンジルオキシ)−5−テトラキス
(フェニルチオ)−3,6−オクタフルオロフタロシア
ニン 略称;PcF8(BzO)4(PhS)4
【0042】D)タイプ 4,5−オクタキス(フェノキシ)−3,6−オクタフ
ルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)8 4,5−オクタキス(o−メチルフェノキシ)−3,6
−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MePhO)8 4,5−オクタキス(p−メチルフェノキシ)−3,6
−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−MePhO)8 4,5−オクタキス(o−メトキシフェノキシ)−3,
6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−MeOPhO)8 4,5−オクタキス(p−メトキシフェノキシ)−3,
6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−MeOPhO)8
【0043】4,5−オクタキス(o−カルボキシルフ
ェノキシ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(o−cPhO)8 4,5−オクタキス(p−カルボキシルフェノキシ)−
3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(p−cPhO)8 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(o−
メチルフェノキシ)−3,6−オクタフルオロフタロシ
アニン 略称;PcF8(PhO)4(o−MePhO)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(p−
メチルフェノキシ)−3,6−オクタフルオロフタロシ
アニン 略称;PcF84(PhO)4(p−MePhO)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(o−
メトキシフェノキシ)−3,6−オクタフルオロフタロ
シアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−MeOPhO)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(p−
フルオロフェノキシ)−3,6−オクタフルオロムフタ
ロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−FPhO)4
【0044】4−テトラキス(フェノキシ)−5−テト
ラキス(テトラフルオロフェノキシ)−3,6−オクタ
フルオロムフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(F4PhO)4 4−テトラキス(p−カルボキシルフェノキシ)−5−
テトラキス(フェノキシ)−3,6−オクタフルオロフ
タロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−cPhO)4 4−テトラキス(m−カルボキシルフェノキシ)−5−
テトラキス(フェノキシ)−3,6−オクタフルオロフ
タロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(m−cPhO)4 4−テトラキス(o−メトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェノキシ)−3,6−オクタフル
オロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−mcPhO)4 4−テトラキス(m−メトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェノキシ)−3,6−オクタフル
オロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(m−mcPhO)4
【0045】4−テトラキス(p−エトキシカルボニル
フェノキシ)−5−テトラキス(フェノキシ)−3,6
−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(p−ecPhO)4 4−テトラキス(o−エトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェノキシ)−3,6−オクタフル
オロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(o−ecPhO)4 4−テトラキス(m−エトキシカルボニルフェノキシ)
−5−テトラキス(フェノキシ)−3,6−オクタフル
オロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(m−ecPhO)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(メト
キシ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(MeO)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(n−
ブトキシ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(BuO)4
【0046】4−テトラキス(フェノキシ)−5−テト
ラキス(n−オクチルオキシ)−3,6−オクタフルオ
ロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(OxO)4 4−テトラキス(フェノキシ)−5−テトラキス(ベン
ジルオキシ)−3,6−オクタフルオロフタロシアニン 略称;PcF8(PhO)4(BzO)4 等が挙げられる。
【0047】本発明の一般式(1)で示される含フッ素
フタロシアニンは上記一般式(II)で示される含フッ素
フタロシアニンをスルホン化することによって得られる
が、その際の本発明で使用するスルホン化剤としては、
硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫
酸、アミド硫酸、三酸化硫黄錯体などが挙げられ、好ま
しくは硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄錯体、
クロロ硫酸、フルオロ硫酸であり、特に好ましくはクロ
ロ硫酸である。
【0048】本発明で使用する有機溶媒は、出発原料を
溶解ないしスラリー化しうる溶媒であればいずれでもよ
く、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭
素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロ
エタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロ
ゲン系溶媒、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル等の芳香
族溶媒あるいは二硫化炭素などである。なかでもジクロ
ロメタン、1,2,2−ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラクロロエタン
等のハロゲン系溶媒は出発原料の溶解性に優れスルホン
化反応を円滑に遂行できるので特に好ましい。
【0049】反応温度は原料の種類、溶媒、その他の条
件により適宜決定されるが、通常、室温から200℃、
好ましくは40℃から150℃の範囲から選択される。
【0050】本発明の新規含フッ素フタロシアニン化合
物は、有機溶媒、特にアルコール性溶媒に対しての溶解
度が高い。アルコール性溶媒としてはメタノール、エタ
ノール、プロパノール等の炭素数1〜12の直鎖もしく
は分岐状アルコール類;エチルセロソルブ等のセロソロ
ルブ類;モノエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル等のグリコール類;ジアセトンアルコール;テトラフ
ルオロプロパノール等のハロゲン化アルコール類を挙げ
ることができる。
【0051】本発明においては、アルコール性溶媒に対
して適度な溶解度をもたせるために原料のフタロシアニ
ン中のアリール基位をスルホン化するが、その際、スル
ホン酸基をフタロシアニン1分子に対して少なくとも1
個、好ましくは1個〜16個、特に好ましくは1個〜1
0個導入するのが好ましい。本発明では単にフタロシア
ニン中にスルホン酸基を導入することでアルコール性溶
媒に対しての溶解性が高いが、更にスルホン酸基をアン
モニアあるいは有機アミン類等と反応させてアンモニウ
ム塩、スルホンアミド基に変えて溶解性を高めることが
できる。
【0052】また、本発明の含フッ素フタロシアニン化
合物は、水に対する溶解性も有している。そして、水に
対する溶解性をさらに高めるためにスルホン酸基とアル
カリ金属等の金属とを反応させてスルホン酸基の金属塩
に変えることは有効な手段である。
【0053】なお、本発明の出発原料である含フッ素フ
タロシアニン(一般式II)は、例えば下記の合成法
(1)〜(4)のいずれかの方法に従って合成できる。
すなわち、合成法(1)は、二段階の反応で4位と5位
に同一かまたは相異なる置換基を導入し、その後にフタ
ロシアニン化する方法であり、合成法(2)は合成法
(1)における第二ステップを省略することによって骨
格中にフッ素原子が12個残ったフタロシアニンを合成
する方法であり、合成法(3)および(4)は一段の反
応で4位および5位に同一の置換基を導入した後にフタ
ロシアニン化する方法である。これらの合成法のうち
(1),(2)および(4)の第一ステップ、(1)の
第三ステップ、(2)の第二ステップおよび(4)の第
二ステップについては、本発明者らは既に特願昭63−
65806号、特願平1−103554号、特願平1−
103555号および特願平1−209599号等に開
示している。
【0054】
【化5】
【0055】
【化6】
【0056】
【化7】
【0057】
【化8】
【0058】なお、各合成法の各ステップにおける構造
式中のR5 ,R6 およびX1 は一般式(II)中のR5
6 およびX1 (但しX1 中フッ素原子は除く)と同一
である。また、合成法(1)の第一および第二ステッ
プ、合成法(2)、合成法(3)および合成法(4)の
第一ステップにおいては、反応溶媒としてアセトニトリ
ル等の二トリル類を、また縮合剤としてフッ化カリウム
等を用いることができる。合成法(1)の第二ステップ
における反応条件は、合成法(1)あるいは合成法
(2)における第一ステップと同様である。合成法
(3)の第一ステップにおける反応条件は、ROHおよ
びKFとテトラフルオロフタロニトリルの仕込比率の差
以外は、合成法(1),(2)あるいは合成法(4)に
おける第一ステップと同様である。おなじように、合成
法(3)の第二ステップの反応条件は合成法(1)の第
三ステップあるいは合成法(2),(4)の第二ステッ
プと同様である。
【0059】合成法(1)において第一ステップの反応
条件を緩和して4位がORに完全に置換されずに4位の
一部にフッ素原子が残存したものを第二ステップの原料
に用いることもできる。また、第二ステップにおいても
反応条件を緩和して5位がORあるいはSRに完全に置
換されずに5位の一部にフッ素原子が残存したものを第
三ステップの原料に用いることもできる。
【0060】また合成法(2),(3),(4)におい
ても第一ステップの反応条件を緩和して4位もしくは5
位がORもしくはSRに完全に置換されずにフッ素原子
が一部残存したものを第二ステップの原料に用いること
もできる。これらの場合、最終目的物であるフタロシア
ニン中に3,6位のフッ素原子以外に4,5位に未置換
のフッ素原子を含有したものが存在することになるが、
溶解性等の物性に影響をあたえない範囲でこのものを含
有していても構わない。
【0061】
【発明の効果】本発明の新規フタロシアニン化合物は、
従来知られているアルコール性溶媒に溶解するフタロシ
アニン化合物(例えば、特開昭63−295578号に
開示の化合物)に比べ、スルホン化物を更にスルホンア
ミド化しなくてもアルコール性溶媒に対して溶解性が高
い。もちろん、本発明の化合物もスルホンアミド化する
ことにより更にアルコール性溶媒に対して溶解性を高め
ることが可能である。また、本発明の化合物は650〜
900nmの近赤外域に吸収を有する。
【0062】これらの特異な諸機能は、フタロシアニン
環の3,6位の2個のフッ素原子と、4位のフッ素原
子、エーテルアリール基、チオエーテルアリール基、エ
ーテルアルキル基あるいはチオエーテルアルキル基、あ
るいは5位のエーテルアリール基あるいはチオエーテル
アリール基およびそれらに結合したスルホン酸基の共動
作用によってもたらされたものと推察される。
【0063】本発明の製造方法に拠れば、用途に応じた
近赤外線の吸収波長域または溶解性を変えた化合物の分
子設計が可能となり、その際、複雑な製造工程を経る必
要もなく工業的に有利である。即ち本発明ではフタロシ
アニン環にエーテル置換基あるいはチオエーテル置換基
を目的に応じて導入でき、しかも純度のよいフタロシア
ニンを収率良く製造できる。また特開昭63−2955
78号の如く、溶解性を悪くさせるクロル原子、ブロム
原子を含有しておらず、本発明の新規化合物中のフッ素
原子はむしろ溶解性を高める効果を有している。以上述
べた如く、本発明の新規化合物は、有機溶媒、特にアル
コール性溶媒への溶解性が高く、水に対しても溶解性を
有しており、また、650〜900nmの近赤外域に吸収
を有するので、近赤外線吸収色素として実用的に使用で
きる。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。 A) PcF8(RS)8タイプ実施例1 ZnPcF8(PhS)8(SO3H)
15 出発原料の合成例(1) ZnPcF8(PhS)
200mlの4ツ口フラスコにテトラフルオロフタロニト
リル19.6g(98ミリモル)、チオフェノール2
1.6g(196ミリモル)、フッ化カリウム(17.
1g(294ミリモル)およびアセトニトリル100ml
を仕込み50℃で12時間攪拌下保った。その後室温に
冷却し得られた黄色の固型物を濾過し、得られたケーキ
をメタノールついで温水で洗浄して精製し、3,6−ジ
フルオロ−4,5−ビスフェニルチオフタロニトリルを
34.55gを得た。
【0065】100mlのフラスコに、先に得られた3,
6−ジフルオロ−4,5−ビスフェニルチオフタロニト
リル10g(26.2ミリモル)、ヨウ化亜鉛31.4
g(9.8ミリモル)およびα−クロロナフタレン50
mlを仕込み、ついで200℃で5時間攪拌下保った。そ
の後冷却しエタノール200ml中に反応生成物を注ぎ込
み、得られた緑色の固型物を濾過し、ついでメタノー
ル、ベンゼン、水の順番でソックスレーを使って洗浄
し、ZnPcF8(PhS)8 32.1gが得られ
た。
【0066】ZnPcF8(PhS)8(SO3 H)1
5の製造 100mlの4ツ口フラスコ中に上記合成例1で得られた
オクタフルオロオクタキス(フェニルチオ)亜鉛フタロ
シアニン1.59g(1ミリモル)と1,1,2,2−
テトラクロロエタンを20mlを仕込み攪拌しながら80
℃に保った。そこへ、10mlのテトラクロロエタンに溶
かしたクロロスルホン酸3.12g(24ミリモル)を
徐々に滴下した。滴下終了後140℃に昇温し更に2時
間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し濾過し得ら
れた暗茶色のケーキをテトラクロロエタン100mlで2
回洗浄することにより目的とするスルホン化フタロシア
ニン2.09gを得た。このフタロシアニンは分析の結
果1分子中に15個のスルホン酸基を有していることが
判明した。
【0067】可視吸収スペクトル 最大吸収波長 メタノール中 ;725.0nm(ε
=1.84×105 ) 水中 ;700nm(ε=9.52×104 ) 溶解度 メタノール ;10wt% エチルセロソルブ;19wt% 水 ;12wt% 元素分析 H C N S F 理論値 1.98 34.28 4.00 26.31 5.42 分析値 2.01 35.67 4.11 25.05 5.62 この化合物の赤外吸収スペクトルを図1に示す。
【0068】実施例2 ZnPcF8(PhS)8
(SO3 H)5の製造 実施例1において、クロロスルホン酸を0.52g(4
mmol)を用いた以外実施例1と同様に操作して目的とす
るスルホン化フタロシアニン1.81gを得た。このス
ルホン化フタロシアニンは分析の結果1分子中に5個の
スルホン酸基を有していることが判明した。
【0069】可視吸収スペクトル 最大吸収波長 エチルセルソルブ中 698.5nm(ε
=1.14×105 ) 溶解度 エチルセルソルブに対して 10wt% 元素分析(スルホン酸基を5個含むとして) H C N S F 理論値 2.03% 48.35% 5.64% 20.97% 7.65% 分析値 2.18% 48.22% 5.48% 21.11% 7.58% この化合物の赤外吸収スペクトルを図2に示す。
【0070】実施例3 VOPcF8(PhS)8
(SO3 H)1の製造 実施例1において、オクタフルオロオクタキス(フェニ
ルチオ)亜鉛フタロシアニンのかわりにオクタフルオロ
オクタキス(フェニルチオ)バナジルフタロシアニンを
用い、クロロスルホン酸を0.13g(1mmol)用いた
以外実施例1と同様に操作して目的とするスルホン化フ
タロシアニン1.39gを得た。このスルホン化フタロ
シアニンは分析の結果1分子中に1個のスルホン酸基を
有していることが判明した。
【0071】可視吸収スペクトル 最大吸収波長 エチルセルソルブ中 745.0nm(ε
=1.25×105 ) 溶解度 エチルセルソルブ; 8wt% 元素分析(スルホン酸基を1個含むとして) H C N S F 理論値 2.42% 57.78% 6.71% 17.29% 9.11% 分析値 2.59% 57.55% 6.57% 17.31% 8.94% この化合物の赤外吸収スペクトルを図3に示す。
【0072】実施例4〜10 実施例1において、オクタフルオロオクタキス(フェニ
ルチオ)亜鉛フタロシアニンのかわりに表1のフタロシ
アニンを用い、クロロスルホン酸を表1の量、用いた以
外実施例1と同様に操作して表1のスルホン化数のフタ
ロシアニンを得た。得られたこれらのスルホン化フタロ
シアニンの吸収波長および溶媒に対する溶解度を表1に
示す。
【0073】
【表1】
【0074】実施例11 Fe(CO)2PcF8
(PhS)8(SO3 H)12 出発原料の合成例(2) F8(PhS)8PcF
e(CO)2 100mlの4ツ口フラスコに3,6−ジフルオロ−4,
5−ビスフェニルチオフタロニトリル5g(13.2mm
ol)とメチルナフタレン50mlを仕込みN2 気流下20
0℃に攪拌下保った。そこでペンタカルボニル鉄0.7
1g(3.6mmol)を溶解したメチルナフタレン20ml
を約30分かけて滴下し、そのまま4時間200℃を保
った。冷却後、反応生成物をリグロイン500mlに入れ
攪拌後ろ過しベンゼン、アセトンの順に洗浄し、乾燥し
て深緑色のケーキ3.28g(対3,6−ジフルオロ−
4,5−ビスフェニルチオフタロニトリル粗収率60.
9%)が得られた。
【0075】Fe(CO)2PcF8(PhS)8(S
3 H)12の製造 実施例1において、オクタフルオロオクタキス(フェニ
ルチオ)亜鉛フタロシアニンのかわりに上記合成例2で
得られたオクタフルオロオクタキス(フェニルチオ)鉄
カルボニルフタロシアニン1.63g(1ミリモル)を
用い、クロロスルホン酸を1.04g(8ミリモル)を
用いた以外実施例1と同様に操作して目的とするスルホ
ン化フタロシアニンを2.59g得た。得られたこれら
のスルホン化フタロシアニンは分析の結果1分子中に1
2個のスルホン基を有していることが判明した。
【0076】可視吸収スペクトル 最大吸収波長 エチルセルソルブ中 699.5nm(ε
=1.01×105 ) 溶解度 エチルセルソルブ; 19wt% 元素分析(スルホン酸基を12個含むとして) H C N S F 理論値 1.54% 37.56% 4.32% 24.69% 5.86% 分析値 1.45% 38.20% 4.13% 24.17% 5.71% この化合物の赤外吸収スペクトルを図4に示す。
【0077】B) PcF12(RO)4タイプ実施例12 CuF12(PhO)4(SO3 H)
出発原料の合成例(3) CuF12(PhO)4 200mlの4ツ口フラスコにテトラフルオロフタロニト
リル20.0g(100ミリモル)、フェノール9.4
g(100ミリモル)、KF5.8gおよびアセトニト
リル100mlを仕込み5℃で3時間攪拌下保った。その
後固型物を瀘過し、濾液を蒸発乾固し、3,4,6−ト
リフルオロ−5−フェノキシフタロニトリルを22.5
gを得た。
【0078】100mlのフラスコに、先に得られた3,
4,6−トリフルオロ−5−フェノキシフタロニトリル
5g(18.4ミリモル)、塩化第一銅0.95g
(9.1ミリモル)およびN−メチル−2ピロリドン5
0mlを仕込み、ついで175℃で5時間攪拌下保った。
その後冷却後し水500ml中に反応物を注ぎ込み、得ら
れた紫色の固型物を瀘過し、ついでメタノール洗浄し、
CuF12(PhO)42.6gがえられた。
【0079】CuF12(PhO)4(SO3 H)4の
製造 100mlの4ツ口フラスコ中にドデカキスフルオロテト
ラ(フェノキシ)銅フタロシアニン1.16g(1ミリ
モル)と1,1,2,2−テトラクロロエタン20mlを
仕込み攪拌しながら80℃に保った。そこへ、10mlの
テトラクロロエタンに溶かしたクロロスルホン酸1.0
4g(8ミリモル)を徐々に滴下した。滴下終了後14
0℃に昇温し更に2時間反応させた。反応終了後、室温
まで冷却し得られた暗茶色のケーキをテトラクロロエタ
ン100mlで2回洗浄することにより目的とするスルホ
ン化フタロシアニン1.18gを得た。このフタロシア
ニンは分析の結果1分子中に5個〜6個のスルホン酸基
を有していることが判明した。
【0080】 可視吸収スペクトル 最大吸収波長 エチルセルソルブ中 652.5nm(ε=6.55×104 ) 水中 636.5nm(ε=4.75×104 ) 溶解度 エチルセルソルブに対して 25wt% 元素分析(スルホン酸基を8個含むとして) H C N S F 理論値 1.36% 45.43% 7.57% 8.66% 15.40% 分析値 1.64% 45.17% 7.33% 8.48% 15.24% この化合物の赤外吸収スペクトルを図5に示す。
【0081】実施例13 VOF12(PhO)4
(SO3 H)5の製造 100mlの4ツ口フラスコ中にドデカキスフルオロテト
ラ(フェノキシ)オキシバナジウムフタロシアニン1.
16g(1ミリモル)と1,1,2,2−テトラクロロ
エタン20mlを仕込み攪拌しながら80℃に保った。そ
こへ、10mlのテトラクロロエタンに溶かしたクロロス
ルホン酸1.04g(8ミリモル)を徐々に滴下した。
滴下終了後140℃に昇温し更に2時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し得られた暗茶色のケーキをテ
トラクロロエタン100mlで2回洗浄することにより目
的とするスルホン化フタロシアニン1.32gを得た。
このフタロシアニンは分析の結果1分子中に5個〜6個
のスルホン酸基を有していることが判明した。
【0082】 可視吸収スペクトル 最大吸収波長 メタノール中 700.5nm(ε=5.38×104 ) 水中 668.0nm(ε=2.75×104 ) 溶解度 メタノールに対して 25wt% エチルセロソルブに対して 23wt% ジアセトンアルコールに対して 15wt% 水に対して 18wt% 元素分析(スルホン酸基を5個含むとして) H C N S F 理論値 1.36% 45.33% 7.55% 8.64% 15.36% 分析値 1.58% 44.92% 7.08% 8.32% 14.98% この化合物の赤外吸収スペクトルを図6に示す。
【0083】実施例14 CuF12(PhO)4
(SO3 H)2の製造 実施例13において、ドデカキスフルオロテトラ(フェ
ノキシ)銅フタロシアニン1.16g(1ミリモル)を
用い、またクロロスルホン酸を0.26g(2mmol)用
いた以外実施例13と同様に操作して目的とするスルホ
ン化フタロシアニン0.92gを得た。このスルホン化
フタロシアニンは分析の結果1分子中に2個のスルホン
酸基を有していることが判明した。
【0084】 可視吸収スペクトル 最大吸収波長 エチルセルソルブ 648.5nm(ε=7.21×104 ) 溶解度 エチルセルソルブに対して 26wt% 元素分析(スルホン酸基を2個含むとして) H C N S F 理論値 1.53% 50.94% 8.49% 4.86% 17.27% 分析値 1.71% 51.19% 8.32% 5.28% 19.97% この化合物の赤外吸収スペクトルを図7に示す。
【0085】実施例15〜19 実施例13において、ドデカキスフルオロテトラ(フェ
ノキシ)オキシバナジウムフタロシアニンのかわりに表
2のフタロシアニンを用い、クロロスルホン酸を表2の
量、用いた以外実施例13と同様に操作して表2のスル
ホン化数のフタロシアニンを得た。得られたこれらのス
ルホン化フタロシアニンの吸収波長および溶媒に対する
溶解度を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】C) PcF8(RO)4(RS)4タイ
実施例20 CoF8(PhO)4(PhS)4
(SO3 H)4 出発原料の合成例(4) CoF8(PhO)4
(PhS)4 3,5,6−トリフルオロ−4−フェノキシフタロニト
リル5.10g(20mmol)、フッ化カリウム1.16
g(20mmol)、およびアセトニトリル20mlを100
ml4ツ口フラスコに仕込みその後、チオフェノール2.
20g(20mmol)を加え還流条件下4時間反応させ
た。反応終了後、フッ化カリウムを瀘別しアセトニトリ
ルを留去することにより目的物の淡黄色ケーキ6.22
gを得た(収率85.3%)。
【0088】4−フェノキシ−5−フェニルチオ−3,
6−ジフルオロフタロニトリル5.00g(13.7mm
ol)、無水塩化第一コバルト5.54g(4.12mmo
l)、およびベンゾニトリル50mlを100ml4ツ口フ
ラスコに仕込み175℃で4時間反応させた。反応終了
後、生成した固形分を瀘別し、残った固形分をメタノー
ルで洗浄することにより目的物の暗緑色ケーキ4.49
gを得た(収率86.5%)。
【0089】 吸収波長 クロロホルム中 709.5nm(ε=7.92×104 ) 塗膜 719.5nm 溶解度 クロロホルム 1.2wt% トルエン 0.8wt%
【0090】CoF8(PhO)4(PhS)4(SO
3 H)4の製造 100mlの4ツ口フラスコ中にドデカキスフルオロテト
ラ(フェノキシ)コバルトフタロシアニン1.45g
(1ミリモル)と1,1,2,2−テトラクロロエタン
20mlを仕込み攪拌しながら80℃に保った。そこへ、
10mlのテトラクロロエタンに溶かしたクロロスルホン
酸1.04g(8ミリモル)を徐々に滴下した。滴下終
了後140℃に昇温し更に2時間反応させた。反応終了
後、室温まで冷却し得られた暗茶色のケーキをテトラク
ロロエタン100mlで2回洗浄することにより目的とす
るスルホン化フタロシアニン2.01gを得た。このフ
タロシアニンは分析の結果1分子中に5個〜6個のスル
ホン酸基を有していることが判明した。
【0091】 可視吸収スペクトル 最大吸収波長 エチルセルソルブ 691.5nm(ε=3.04×104 ) 水中 678.0nm(ε=1.58×104 ) 溶解度 メタノールに対して 26wt% 元素分析(スルホン酸基を8個含むとして) H C N S F 理論値 1.93% 45.92% 5.35% 12.26% 7.26% 分析値 2.08% 45.50% 5.01% 11.87% 6.94% この化合物の赤外吸収スペクトルを図8に示す。
【0092】実施例21〜23 実施例20において、ドデカフルオロテトラ(フェノキ
シ)コバルトフタロシアニンのかわりに表3のフタロシ
アニンを用い、クロロスルホン酸を表3の量、用いた以
外実施例20と同様に操作して表3のスルホン化数のフ
タロシアニンを得た。得られたこれらのスルホン化フタ
ロシアニンの吸収波長および溶媒に対する溶解度を表3
に示す。
【0093】
【表3】
【0094】D) PcF8(RO)8タイプ実施例24 CoPcF8(PhO)8(SO
3 H)6 出発原料の合成例(5) CoPcF8(PhO)
200mlの4ツ口フラスコにテトラフルオロフタロニト
リル20.0g(100ミリモル)、フェノール18.
8g(100ミリモル)、KF10.8gおよびアセト
ニトリル100mlを仕込み5℃で3時間攪拌下保った。
その後固型物を濾過し、濾液を蒸発乾固し、3,6−ジ
フルオロ−4,5−ビスフェノキシフタロニトリルを2
7.4gを得た。
【0095】100mlのフラスコに、先に得られた3,
6−ジフルオロ−4,5−ビスフェノキシフタロニトリ
ル6.7g(19.3ミリモル)、塩化コバルト0.7
5g(5.8ミリモル)およびベンゾニトリル50mlを
仕込み、ついで175℃で6時間攪拌下保った。その後
冷却しアセトン200ml中に反応物を注ぎ込み、得られ
た紫色の固型物を瀘過し、ついでアセトン洗浄し、Co
PcF8(PhO)83.0gが得られた。
【0096】CoPcF8(PhO)8(SO3 H)6
の製造 100mlの4ツ口フラスコ中にオクタフルオロオクタキ
ス(フェノキシ)コバルトフタロシアニン1.45g
(1ミリモル)と1,1,2,2−テトラクロロエタン
20mlを仕込み攪拌しながら80℃に保った。そこへ、
10mlのテトラクロロエタンに溶かしたクロロスルホン
酸0.52g(4ミリモル)を徐々に滴下した。滴下終
了後140℃に昇温し更に2時間反応させた。反応終了
後、室温まで冷却し得られた暗茶色のケーキをテトラク
ロロエタン100mlで2回洗浄することにより目的とす
るスルホン化フタロシアニン1.26gを得た。このフ
タロシアニンは分析の結果1分子中に5個のスルホン酸
基を有していることが判明した。
【0097】 可視吸収スペクトル 最大吸収波長 エチルセルソルブ 690.0nm(ε=1.22×105 ) 溶解度 エチルセルソルブに対して 12wt% 元素分析(スルホン酸基を5個含むとして) H C N S F 理論値 2.34% 55.72% 6.50% 9.30% 8.81% 分析値 2.51% 55.89% 6.31% 9.58% 8.64% この化合物の赤外吸収スペクトルを図9に示す。
【0098】実施例25〜27 実施例24において、オクタフルオロオクタキス(フェ
ノキシ)コバルトフタロシアニンのかわりに表4のフタ
ロシアニンを用い、クロロスルホン酸を表4の量、用い
た以外実施例24と同様に操作して表4のスルホン化数
のフタロシアニンを得た。得られたこれらのスルホン化
フタロシアニンの吸収波長および溶媒に対する溶解度を
表4に示す。
【0099】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られた化合物の赤外線吸収
スペクトルを示す。
【図2】図2は実施例2で得られた化合物の赤外線吸収
スペクトルを示す。
【図3】図3は実施例3で得られた化合物の赤外線吸収
スペクトルを示す。
【図4】図4は実施例11で得られた化合物の赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図5】図5は実施例12で得られた化合物の赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図6】図6は実施例13で得られた化合物の赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図7】図7は実施例14で得られた化合物の赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図8】図8は実施例20で得られた化合物の赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図9】図9は実施例24で得られた化合物の赤外線吸
収スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02F 1/13 500 B41M 5/26 Y (72)発明者 小野崎 美穂 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株式会社日本触媒筑波研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 487/22 B41M 5/26 B41M 5/30 C09B 47/24 C09K 3/00 G02F 1/13 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): 【化1】 〔式中、Xは相互に独立に、フッ素原子、OR1 Za〜
    d,SR2 Ze〜h,OR3 、又はSR4 (ただし、R
    1 及びR2 は相互に独立にフェニル基又はベンジル基で
    あり、該フェニル基又はベンジル基は炭素数1〜4のア
    ルキル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキ
    シカルボニル基又はハロゲンで置換されていてもよく、
    3 及びR4 は相互に独立にC1〜C20のアルキル
    基、又はC4〜C6のシクロアルキル基を表し、Zはス
    ルホン基を表す)を表わし、Yは相互に独立に、OR5
    Zi〜l、又はSR6 Zm〜p(R5 及びR6 は相互に
    独立にフェニル基又はベンジル基であって、該フェニル
    基又はベンジル基は炭素数1〜4のアルキル基、アルコ
    キシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又
    はハロゲンで置換されていてもよく、Zはスルホン基を
    表す)を表し、a〜pは0〜7の整数でありかつa〜p
    の総和は1以上であり、Mは無金属、金属、金属酸化
    物、金属カルボニルまたは金属ハロゲン化物を表わす〕
    で示される新規含フッ素フタロシアニン化合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(II): 【化2】 〔式中、X1 は相互に独立にフッ素原子、OR1 ,SR
    2 ,OR3 又はSR4 (ただし、R1 及びR2 は相互に
    独立にフェニル基又はベンジル基であって、該フェニル
    基又はベンジル基は炭素数1〜4のアルキル基、アルコ
    キシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又
    はハロゲンで置換されていてもよく、R3 及びR4 はC
    1〜C20のアルキル基、又はC4〜C6のシクロアル
    キル基を表す)を表わし、Y1 は相互に独立にOR5
    又はSR6 (R5 及びR6 は相互に独立にフェニル基又
    はベンジル基であって、該フェニル基又はベンジル基は
    炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシル基、カルボキ
    シル基、アルコキシカルボニル基又はハロゲンで置換さ
    れていてもよい)を表し、Mは無金属、金属、金属酸化
    物、金属カルボニルまたは金属ハロゲン化物を表わす〕
    で示されるフタロシアニン誘導体を、有機溶媒中でスル
    ホン化剤を用いてスルホン化することにより請求項1記
    載の化合物を得ることを特徴とする、新規含フッ素フタ
    ロシアニン化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の650〜900nmの範囲
    に吸収を有する新規含フッ素フタロシアニン化合物を含
    有してなる近赤外線吸収材料。
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