JP2905814B2 - 内燃機関の補機駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は内燃機関の補機駆動装置に係り、特に各プ
ーリのベルト巻付け角度を充分大きく確保するととも
に、レイアウトが容易で、しかも、整備性を向上し得る
内燃機関の補機駆動装置に関する。

［従来の技術］ 車両の内燃機関には、ウォータポンプ、オルタネー
タ、エアコン用コンプレッサ等の補機類が付設されてい
る。

これ等補機類は、各補機プーリが回転することによっ
て夫々駆動されるものである。この各補機プーリにはク
ランク軸に固設したクランクプーリと共にベルトが巻掛
けられ、このクランクプーリが回転することによって各
補機プーリが回転し、そして各補機類が駆動するもので
ある。

このような補機類の駆動装置としては、例えば第５、
６図に示すものがある。即ち、第５、６図に示す如く、
内燃機関（図示せず）のクランク軸102に第１、第２ク
ランクプーリ104、106が固設され、この第１、第２クラ
ンクプーリ104、106の上方にウォータポンプのウォータ
ポンププーリ108がウォータポンプ軸110に固設され、第
１、第２クランクプーリ104、106とウオータポンププー
リ108との左方の略中間部位にオルタネータのオルタネ
ータプーリ112がオルタネータ軸114に固設され、また、
第１、第２クランクプーリ104、106の右方にエアコンの
エアコン用コンプレッサプーリ116がエアコン用プーリ
軸118に固設されている。

そして、第１クランクプーリ104とウォータポンププ
ーリ108とオルタネータプーリ112とには第１ベルト120
が巻掛けられているとともに、第２クランクプーリ106
とエアコン用コンプレッサプーリ116とには第２ベルト1
22が巻掛けられている。

また、補機駆動装置としては、例えば実開昭57−1822
27号公報に開示されている。この公報に記載のものは、
クランクプーリの両側に一対の駆動プーリを配置すると
ともに、他の一対の駆動プーリを上述の一対の駆動プー
リ間で且つ上方に配置した構成である。

［発明が解決しようとする問題点］ ところが、上述の如きエアコンが備えられた補機駆動
装置においては、クランク軸に２個のクランクプーリを
並列に設けるとともに、各プーリのベルト巻付け角度を
所定に確保する等で２本のベルトを使用する必要がある
ので、プーリやベルトを設けるために、内燃機関の全長
が大となり、狭いエンジンルーム内での周辺部位を含め
たレイアウトが困難になるという不都合がある。

また、エアコンを備えていなかった内燃機関にエアコ
ンを設置する場合に、そのレイアウト上クランクプーリ
の変更が必要であり、その変更が面倒になるという不都
合がある。

更に、オルタネータプーリ側に巻掛けた一のベルトの
交換時においては、エアコン用コンプレッサプーリ側に
巻掛けた他のベルトを取外さなければならず、整備性が
悪くなるという不都合がある。

［発明の目的］ そこで、この発明の目的は、上述の不都合を除去する
ように、内燃機関に複数の補機が備えられても、アイド
ラベルトへのベルトの取り回しを変えるだけで、ベルト
が干渉体に接するのを回避させ、また、各プーリのベル
ト巻掛け角度を充分大きく確保するとともに、レイアウ
トを容易とし、しかも整備性を向上し得る内燃機関の補
機駆動装置を実現するにある。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成すために、この発明は、内燃機関のク
ランク軸にクランクプーリを固設し、このクランクプー
リから離間した位置にフリープーリを設け、補機類の各
補機プーリを設置可能で且つ前記クランクプーリと前記
フリープーリと前記各補機プーリとにベルトを巻掛ける
内燃機関の補機駆動装置において、前記クランクプーリ
と前記フリープーリと前記各補機プーリとにより囲まれ
る領域内にアイドラプーリを設け、一本のベルトを前記
クランクプーリと前記フリープーリと前記各補機プーリ
とに巻掛けるとともに前記ベルトが前記クランクプーリ
と前記フリープーリ間で且つ前記アイドラプーリ近傍に
位置する干渉体を避けるように前記ベルトの背面を前記
各補機プーリ側から前記アイドラプーリに巻掛けて設
け、前記内燃機関に他の補機の他の補機プーリを追加す
る場合には、前記他の補機プーリを前記干渉体近傍で且
つ前記アイドラプーリから離れた位置に配設し、前記ベ
ルトを前記クランクプーリと前記フリープーリと前記各
補機プーリと前記他の補機プーリとに巻掛けるとともに
前記ベルトの背面を前記フリープーリ及び前記干渉体側
から前記アイドラプーリに巻掛けて設けたことを特徴と
する。

［作用］ この発明は、上述の構成により、内燃機関に複数の補
機が設けられても、アイドラプーリへのベルトの取り回
しを変えるだけで、ベルトが干渉体に接するのを回避さ
せ、また、各プーリのベルト巻掛け角度を充分大きく確
保することができるので、ベルトにスリップが生ずるこ
とがない。

また、クランク軸には一のクランクプーリを設けると
ともに、各補機を一本のベルトで駆動させるので、内燃
機関の全長が大きくなるのを回避し、レイアウトを容易
にするとともに、ベルトの交換を容易として整備性を向
上させることができる。

［実施例］ 以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体
的に説明する。

第１、２図は、この発明の第１実施例を示すものであ
る。図において、２は内燃機関、４はシリンダブロッ
ク、６はシリンダヘッド、８はオイルパンである。

前記シリンダブロック４には、第１図の正面図に示す
如く、内燃機関２の長手方向に延設されたクランク軸10
が回転可能に保持されている。内燃機関２の正面側に突
出したクランク軸10の端子部には、クランクプーリ12が
固設されている。

内燃機関２においては、第１図に示す如く、クランク
軸10から離間した上方で且つクランク軸10の軸心O1を通
る垂直線（シリンダ軸心）VL付近にテンショナ14のテン
ショナプーリ16が配設されている。このテンショナプー
リ16は、フリープーリであり、テンショナプーリ軸18に
回転自在に設けられている。このテンショナ軸18の軸心
O3は、垂直線VLよりも少許右側に位置している。

また、内燃機関２には、第１図において垂直線VLの一
側で且つこの垂直線VLよりも大きく左方に離れた位置
に、一の補機であるオルタネータ20が設けられている。
このオルタネータ20は、クランクプーリ12とテンショナ
プーリ16間で且つ垂直線VLから大きく離れた箇所に位置
し、オルタネータプーリ22が固設されたオルタネータプ
ーリ軸24の回転によって駆動される。前記オルタネータ
プーリ軸24の軸心O4は、垂直線VLから距離Ｍだけ離間し
ている。

第１図において、前記内燃機関２の垂直線VLの右側に
おいて、クランクプーリ12とテンショナプーリ16間で且
つ垂直線VLから所定の距離だけ離れてウォータポンププ
ーリの頭部を逃がしたタイミングカバーの凸部等の干渉
体26が設けられている。

また、前記クランクプーリ12とテンショナプーリ16と
オルタネータプーリ22との間には、アイドラプーリ28が
配設される。このアイドラプーリ28は、アイドラプーリ
軸30に回転自在に設けられている。このアイドラプーリ
軸30の軸心O2は、クランクプーリ12とテンショナプーリ
16とオルタネータプーリ22間に位置し、つまり、クラン
ク軸10の軸心O1を通る垂直線VLから距離Ｎだけ離間する
とともにクランク軸10の軸心O1を通る水平線HLから距離
Ｈだけ離間した箇所に位置している。

そして、クランクプーリ12とアイドラプーリ28とテン
ショナプーリ16とオルタネータプーリ22とには、一本の
ベルト32を巻掛ける。このとき、アイドラプーリ28に巻
掛けられるベルト32は、該ベルト32が干渉体26を避ける
ように、オルタネータプーリ22が位置する側から巻掛け
られる。つまり、アイドラプーリ28は、ベルト32の背面
を垂直線VL側から押圧すべく配置されている。

このように、クランクプーリ12とアイドラプーリ28と
ベルトテンショナプーリ16とオルタネータプーリ22との
配置において、上述の如きベルト32をクランクプーリ12
及びアイドラプーリ28側からベルトテンショナプーリ16
及びオルタネータプーリ22側に順次巻掛けることによ
り、第２図に示す如く、クランクプーリ12のベルト巻付
け角度α１、アイドラプーリ28のベルト巻付け角度α
２、ベルトテンショナプーリ16の巻付け角度α３、オル
タネータプーリ22の巻付け角度α４の如く、各プーリの
巻付けけ角度を充分大きく確保させる構成である。

次に、この第１実施例の作用を説明する。

クランクプーリ12とアイドラプーリ28とベルトテンシ
ョナプーリ16とオルタネータプーリ22とにベルト32を巻
掛ける際には、先ず、ベルト32をクランクプーリ12に巻
掛け、そして、オルタネータプーリ22側からベルト32の
背面をアイドラプーリ28に巻掛け、次いで、ベルトテン
ショナプーリ16の外方から巻掛け、次に、オルタネータ
プーリ22の外方から巻掛ける。

従って、第２図に示す如く、クランクプーリ12のベル
ト巻掛け角度α１、アイドラプーリ28のベルト巻掛け角
度α２、ベルトテンショナプーリ16のベルト巻掛け角度
α３、そしてオルタネータプーリ22のベルト巻掛け角度
α４を充分大きく確保することができるとともに、アイ
ドラプーリ28によってベルト32にバックテンショナを付
与させるので、ベルト32にスリップが発生するのを効果
的に防止し、動力伝達を確実に行わせることができる。

また、クランク軸10には一のクランクプーリ12を設
け、且つ一のベルト32を設けるだけなので、内燃機関２
の全長が大になるのを回避させ、狭いエンジンルームに
おいても、レイアウトを容易に行わせることができる。

更に、クランクプーリ12とテンショナプーリ16間に干
渉体26が存在する場合でも、ベルト32をアイドラプーリ
28に巻掛けることによって干渉体26にベルト32が接する
のを回避させ、干渉体26を避けたレイアウトが容易とな
る。

第３、４図は、この発明の第２実施例を示すものであ
る。以下の実施例においては、上述の第１実施例と同一
機能を果す箇所には同一符号を付して説明する。

この第２実施例の特徴とするところは、以下の点にあ
る。即ち、内燃機関２には、垂直線VLの他側の補機であ
るエアコン40を設けるに伴って、アイドラプーリ28に巻
掛けるベルト32の取り回しを変更する点にある。

前記エアコン40のエアコン用コンレッサプーリ42は、
内燃機関２の正面端から突設し、また、干渉体26近傍で
且つアイドラプーリ28から離れた位置に設けられてい
る。このエアコン用コンプレッサプーリ42は、コンプレ
ッサプーリ軸44に固設されている。

また、アイドラプーリ28には、ベルト32の背面がベル
トテンショナプーリ16及び干渉体26側から巻掛けられ
る。従って、アイドラプーリ28は、ベルト32をクランク
プーリ12とオルタネータプーリ22間から押圧するもので
ある。

この第２実施例の構成によれば、内燃機関２に他の補
機であるエアコン40を取付けた場合においても、第４図
に示す如く、ベルト32をクランクプーリ12及びアイドラ
プーリ28側からオルタネータプーリ22、ベルトテンショ
ナプーリ16及びエアコン用コンプレッサプーリ42側に順
次に巻掛けることにより、クランクプーリ12のベルト巻
付け角度α１、アイドラプーリ28のベルト巻付け角度α
２、ベルトテンショナプーリ16の巻付け角度α３、オル
タネータプーリ22のベルト巻付け角度α４、そしてエア
コン用コンプレッサプーリ42の巻付け角度α５を充分に
大きく確保することができ、ベルト32にスリップが生ず
るのを効果的に防止することができる。

また、エアコン40を設けたにも拘らず、クランクプー
リ12の位置の変更を不要とし、また、ベルト32の交換を
容易にして整備性を向上させることができる。

更に、エアコン40を設けても、二段プーリ、つまり、
クランク軸に２個のクランクプーリを設ける必要がな
く、内燃機関２の全長が大になるのを回避し、エンジン
ルーム内でのレイアウトを容易に果せしめる。

更にまた、アイドラプーリ28が適正位置に設けられて
いるので、ベルト32が干渉体26を回避するように各プー
リに巻掛けられ、これにより、ベルト32が干渉体26を避
けるレイアウトが容易となる。

［発明の効果］ 以上詳細な説明から明らかなように、この発明によれ
ば、クランクプーリとフリープーリと各補機プーリとに
より囲まれる領域内にアイドラプーリを設け、一本のベ
ルトをクランクプーリとフリープーリと各補機プーリと
に巻掛けるとともにベルトがクランクプーリとフリープ
ーリ間で且つアイドラプーリ近傍に位置する干渉体を避
けるようにベルトの背面を各補機プーリ側からアイドラ
プーリに巻掛けて設け、内燃機関に他の補機の他の補機
プーリを追加する場合には、他の補機プーリを干渉体近
傍で且つアイドラプーリから離れた位置に配設し、ベル
トをクランクプーリとフリープーリと各補機プーリと他
の補機プーリとに巻掛けるとともにベルトの背面をフリ
ープーリ及び干渉体側からアイドラプーリに巻掛けて設
けたことにより、内燃機関に複数の補機が設けられて
も、ベルトが干渉体に接するのを回避させ、また、各プ
ーリのベルト巻掛け角度を充分大きく確保させ、ベルト
にスリップが生ずるのを未然に防止し得る。

また、クランク軸には一のクランクプーリを設けると
ともに、各補機を一本のベルトで駆動させるので、内燃
機関の全長が大きくなるのを回避してレイアウトを容易
にするとともに、ベルトの交換を容易として整備性を向
上させ得る。

【図面の簡単な説明】

第１、２図はこの発明の第１実施例を示し、第１図はエ
アコンが備えられていない内燃機関の補機駆動装置の正
面図、第２図はエアコンが備えられていない補機駆動装
置の説明図である。 第３、４図はこの発明の第２実施例を示し、第３図はエ
アコンが備えられた内燃機関の補機駆動装置の正面図、
第４図はエアコンが備えられた補機駆動装置の説明図で
ある。 第５、６図は従来の補機駆動装置を示し、第５図はエア
コンが備えられた補機駆動装置の説明図、第６図は第５
図の矢印VIによる底面図である。 図において、２は内燃機関、４はシリンダブロック、６
はシリンダヘッド、10はクランク軸、12はクランクプー
リ、16はベルトテンショナプーリ、24はオルタネータプ
ーリ、28はアイドラプーリ、そしてVLはクランク軸の軸
心を通る垂直線である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内燃機関のクランク軸にクランクプーリを
   固設し、このクランクプーリから離間した位置にフリー
   プーリを設け、補機類の各補機プーリを設置可能で且つ
   前記クランクプーリと前記フリープーリと前記各補機プ
   ーリとにベルトを巻掛ける内燃機関の補機駆動装置にお
   いて、前記クランクプーリと前記フリープーリと前記各
   補機プーリとにより囲まれる領域内にアイドラプーリを
   設け、一本のベルトを前記クランクプーリと前記フリー
   プーリと前記各補機プーリとに巻掛けるとともに前記ベ
   ルトが前記クランクプーリと前記フリープーリ間で且つ
   前記アイドラプーリ近傍に位置する干渉体を避けるよう
   に前記ベルトの背面を前記各補機プーリ側から前記アイ
   ドラプーリに巻掛けて設け、前記内燃機関に他の補機の
   他の補機プーリを追加する場合には、前記他の補機プー
   リを前記干渉体近傍で且つ前記アイドラプーリから離れ
   た位置に配設し、前記ベルトを前記クランクプーリと前
   記フリープーリと前記各補機プーリと前記他の補機プー
   リとに巻掛けるとともに前記ベルトの背面を前記フリー
   プーリ及び前記干渉体側から前記アイドラプーリに巻掛
   けて設けたことを特徴とする内燃機関の補機駆動装置。