JP2884045B2 - 鉄−ラクトフェリン複合体及びその製造法 - Google Patents
鉄−ラクトフェリン複合体及びその製造法Info
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Description
であり、かつ耐熱性を示す炭酸および/または重炭酸−
鉄−ラクトフェリン複合体及びその製造法に関する。本
発明の炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン
複合体は、鉄独特の収斂味を消し、鉄の持つ過酸化物生
成促進作用を防止するので、貧血の予防あるいは治療、
鉄強化あるいは病原菌付着防止を目的とした食品、医薬
品、飼料、化粧品原料等として有用である。
は鉄吸収促進、過酸化脂質生成抑制、抗菌、抗ウィル
ス、細胞増殖、免疫系の制御など様々な生理機能が知ら
れている。そこでLfを含有する食品、医薬品、飼料、
化粧品などを製造する試みが色々なされている。このよ
うな製品の多くは加熱殺菌されたり、使用時に熱湯と接
触する場合がある。しかしながら、Lfは熱に不安定で
あり、熱変性すると沈澱したり、鉄結合能を失いその生
理機能も失われてしまうという致命的な欠点があった。
そこで、Lfの熱安定化に関する検討が行われ、pH4に
て加熱したLfは生のLfと同等に鉄を結合する能力を
有することが報告された(Davidson and Lonnerdal, Am.
J. Physiol. 257:G930-G934, 1989) 。しかし、このよ
うにして調製されたLfは保存中に次第に変性し、その
生理機能を失うという欠点があった。また、イオン強度
の低い条件でLfを加熱すると生理活性を維持し得るこ
とが知られている(特開平4-108629号公報) 。しかし、
実際の製品の系ではイオン強度は必ずしも低くない。そ
こでpHと電気伝導度Ωの関係が、Lfの熱安定性におよ
ぼす影響が検討され、 log Ω ≦ (2.96/pH)+ 0.64 (pH<5) log Ω ≦ (29.37/pH) − 4.62 (5≦pH≦7.9) log Ω ≦−0.917 (pH>7.9) となるようにLf含有溶液を調整することによってLf
の熱安定化を図る方法が開発された(特開平4-8269号公
報) 。しかし、この条件を満たさない場合には、この条
件に調整したLf溶液と他の原料溶液を別々に殺菌し、
無菌的に両者を混合するという手段をとる必要がある。
ところが「乳および乳製品等に関する厚生省令」によれ
ば、全ての原料を混合後加熱殺菌することが定められて
おり、別々に殺菌することは実用的ではなかった。そこ
で本発明者らはさらに検討を重ねた結果、Lfに鉄を十
分量結合吸着させることで、耐熱性を賦与させることが
可能となることを発見し、その製造方法について特許出
願を行った(耐熱性ラクトフェリン−鉄結合体およびそ
の製法 特開平6-239900号)。しかし、この発明におい
ても、次のような欠点を有していた。 1.製造されたLfはpH 7.1以上の環境下では沈澱す
る。 2.製造されたLfはpH 6.5以上であってpH7以下の環
境下では可溶であり耐熱性もあるものの、Lfに結合し
ている鉄が、Lf1分子あたり 150分子を越える場合に
は製造後、pH 6.5以上であってpH7以下の環境下に保存
しておくと徐々に不溶化する。
欠点を改善することを目的としてなされたものである。
すなわち、本発明は、広いpH範囲で長期間安定で、耐熱
性も有する鉄−Lf複合体およびその製造方法を提供す
ることを課題とする。
解決するために鋭意検討したところ、 1)炭酸イオンまたは重炭酸イオンを含有する溶液にLf
類および鉄イオンを含有する溶液を加えて混合すると炭
酸または重炭酸−鉄−Lf複合体が形成されること、2)
この複合体は、炭酸イオンまたは重炭酸イオンを含有す
る溶液に、炭酸イオンまたは重炭酸イオンに対して特定
の比率のLf類および鉄を含有する溶液を加えるという
手段をとることによって初めて形成され、得られる鉄を
高い比率で含有する複合体が広いpH範囲で長期間に亘り
安定で、しかも耐熱性を有し、さらに鉄独特の収斂味を
消し、鉄の持つ過酸化物生成促進作用を防止することを
見出して本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、Lf類1分子当り、鉄を15乃至1000分子、かつ炭酸
および/または重炭酸を15分子以上含有する、炭酸イオ
ンおよび/または重炭酸イオン−鉄−Lf複合体(以
下,鉄−Lf複合体と略記する)に関する。このような
鉄−Lf複合体は、pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なく
とも1ケ月間沈澱を生じず、また加熱しても沈澱を生じ
ず、鉄独特の収斂味がないという性質を示す。
はii) 重炭酸、またはiii)炭酸および重炭酸を含む溶液
(A溶液)と、iv) 鉄およびv)ラクトフェリン類を含有
する溶液(B溶液)を混合することによって得られ、こ
のときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度は、vii)A溶液
と、B溶液の一部または全部が混合した溶液(反応溶
液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよび重炭酸イオ
ンのモル濃度の 1/3以下、好ましくは 1/10 、より好ま
しくは1/30、さらには1/60、最も好ましくは1/100であ
って、B溶液のix) ラクトフェリン類のモルの濃度は、
B溶液のx)鉄イオンモル濃度の1/15から1/1000である必
要がある。B溶液の鉄とラクトフェリン類はそれぞれ別
々に溶解した溶液をA溶液に混合して作成してもよい
し、A溶液に別々に混合しても構わない。ただし、鉄溶
液をラクトフェリン類溶液より先に添加してはならな
い。また、反応は溶液内で行われる必要があるが、添加
する鉄またはラクトフェリン類のいづれか一方が固体状
であっても構わない。さらに、反応溶液中の炭酸イオン
および重炭酸イオンモル濃度を高く保つために、あらか
じめ、溶解しきれない量の炭酸および/または重炭酸塩
をA溶液に含有させておいてもよいし、A溶液にB溶液
を添加している途中、つまり、B溶液の一部がA溶液に
添加されている階段の反応溶液にi)炭酸および/または
重炭酸塩、および/またはii) 炭酸および/または重炭
酸溶液を添加してもよい。
A溶液の炭酸および/または重炭酸塩、および/または
炭酸および/または重炭酸溶液のpHが徐々に減少する。
この際に、ごくたまに、製造中に沈澱を生じることがあ
る。B溶液のpHは8から9の間にあり、また、Lfの等
電点が同じくpH8から9であること(E.N. ベーカー、ア
ドバンス イン オーガニック ケミストリー 41,390)
から、この現象はLfおよび/または鉄−Lf複合体が
等電点沈澱をおこしている可能性がある。これを避ける
ためには、AおよびB溶液の混合溶液のpHをLfの等電
点より高い値で保つか、AおよびB溶液の混合液のpHが
Lfおよび/または鉄−Lf複合体の等電点より高いpH
で製造を終了させるか、B溶液のpHをLfの等電点以下
に調整してから、あるいは混合液のpHをB溶液添加中に
随時、等電点以下に調整することが好ましい。このよう
にすると、Lfおよび/または鉄−Lf複合体の等電点
沈澱と思われる沈澱がおさえられ、特に工業規模で行う
生産の場合にはより確実に安定的に鉄−Lf複合体を製
造することができる。
酸、またはii) 重炭酸、またはiii)炭酸および重炭酸、
かつiv) ラクトフェリン類を含む溶液(A溶液)と、
v) 鉄を含有する溶液(B溶液)を混合することによっ
ても得られ、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度
は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合した
溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよ
び重炭酸イオンのモル濃度の1/3 以下、好ましくは 1/1
0 、さらに好ましくは1/30、さらには1/60、最も好まし
くは1/100 以下であって、A溶液のix) ラクトフェリン
類のモルの濃度は、B溶液のx)鉄イオンモル濃度の1/15
から1/1000である必要がある。この製法においても、等
電点付近で極くまれに起こる沈澱を防止するため、前記
した方法を使用することが好ましい。
ウシなどの哺乳類の乳などの分泌液から分離されるラク
トフェリン、または血液や臓器などから分離されるトラ
ンスフェリン、卵などから分離されるオボトランスフェ
リンなどがある。これらはすでに大量に分離する方法が
いくつも知られているが、どのような方法で分離された
ものであってもよい。また、遺伝子操作によって微生
物、動物細胞あるいはトランスジェニック動物から生産
されたものであってもよい。また、これらLf類は酵素
分解したものであってもよい。Lf類は完全に分離され
ている必要はなく、他の成分が含まれていても構わな
い。
オンとして15モル以上、より好ましくは30モル以上、さ
らに好ましくは60モル以上であり、上限は1000モル以
下、好ましくは 480モル以下である。製造に要する時間
を短くするため又は、収率を落とさないためには 240モ
ル以下が好ましい。加える鉄量が前記の上限を越えると
鉄が沈澱してくる。使用する鉄剤は、脱イオン水に溶解
した時のpHが4以下を示す鉄塩、例えば塩化第2鉄、硝
酸第2鉄、硫酸第2鉄など、主に3価の鉄剤を例示でき
る。脱イオン水に溶解した時のpHが4を越える鉄塩、例
えば硫酸第1鉄などでは鉄−Lf複合体を形成すること
ができない。また、この時にpHを4以下に下げても鉄−
Lf複合体を形成することはできない。
験例にて示す。
pH 8.3の溶液1リットル (B1溶液)各種鉄剤を鉄として5ミリモル含む溶液
0.2リットル (B2溶液)Lf(オレオフィナ社製)33マイクロモル
を含む溶液 0.8リットル B1溶液とB2溶液を混合後(B溶液)、A溶液にB溶
液を加え、鉄を結合したLfを作成した。この溶液を分
子量5000カットの限外濾過膜で脱塩・濃縮後、最終濃度
0.05モル/リットルのイミダゾール、0.15モル/リット
ルの食塩を含むpH 7.5の液状食品を模倣した緩衝液 (模
擬緩衝液) で 3.6ミリモル/リットルの鉄濃度となるま
で希釈し、90℃10分間加熱し、Lfの沈澱の生成を観察
した。その結果を表1に示す。
剤を使用しないと本発明の鉄−Lf複合体は形成できな
い。また、脱イオン水に溶解した時のpHが4を越える場
合に、そのpHを4以下に調整しても本発明の鉄−Lf複
合体は形成できない。
炭酸水、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭
酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム溶液およ
びそれらの混合溶液などを例示することが出来る。これ
らにpH調整剤として水酸化ナトリウム、アンモニア、水
酸化カリウム、塩酸、クエン酸、乳酸などを混合して使
用することができる。また、このA溶液には、それ以外
の物質、例えば、糖、蛋白質、脂肪などが含まれていて
も構わない。
度と、炭酸イオンおよび重炭酸イオン濃度の比が、鉄−
Lf複合体の熱安定性に影響を及ぼす点である。このこ
とに関する試験例を示す。
トル (B1溶液)塩化第二鉄を含む溶液 0.2リットル (B2溶液)Lf1ミリモルを含む溶液 0.8リットル B1溶液とB2溶液を混合して溶液Bを作成し、A溶液
にB溶液を1リットル加えて鉄を結合したLfを作成し
た。なお、B溶液は脱イオン水で希釈したものも用い
た。最終重炭酸イオンモル濃度を 0.6以上とする場合に
はA溶液とB溶液混合時に重炭酸ナトリウムを添加する
か、あらかじめA溶液に必要量の重炭酸ナトリウムを添
加し、飽和の溶液とした。この溶液を分子量5000カット
の限外濾過膜にて加水脱塩し、さらに濃縮した。そし
て、模擬緩衝液で 3.6ミリモル/リットルの鉄濃度とな
るまで希釈し、90℃10分間加熱し、Lfの沈澱生成を観
察した。その結果を表2に示す。なお、表の最小重炭酸
イオン鉄イオン比は、A溶液とB溶液混合後の重炭酸イ
オンモル濃度を、B溶液の鉄イオンモル濃度で除して算
出した。
つれて、AB混合溶液の重炭酸イオン濃度を高める必要
がある。このように、本発明の鉄−Lf複合体の調製に
あたっては、A溶液にB溶液を添加して行く過程におい
て、添加した鉄1分子の周囲には少なくとも3分子、好
ましくは10分子以上の炭酸および/または重炭酸分子が
常に存在している必要がある。さらにいえば、Lf1分
子に 200分子を越える量の鉄分子を結合させる場合に
は、鉄1分子の周囲には30分子以上、好ましくは60分子
以上、より好ましくは 100分子以上の炭酸イオンおよび
/または重炭酸イオン分子が存在しているとよい。
くらいの炭酸および/または重炭酸が結合しているかに
ついて次の検討を行った。
トル (B1溶液)塩化第二鉄 100ミリモルを含む溶液 0.2リ
ットル (B2溶液)Lf1ミリモルを含む溶液 0.8リットル B1溶液とB2溶液を混合後(B溶液)、A溶液にB溶
液を加え、4℃および37℃にて各反応時間、ゆっくり撹
拌して鉄を結合したLfを調製した。この溶液を模擬緩
衝液で 3.6ミリモル/リットルの鉄濃度となるまで希釈
し、90℃、10分間加熱し、Lfの沈澱生成を観察した。
さらに、 192時間反応後の溶液を分子量5000カットの限
外濾過膜にて鉄を結合したLfと水溶液を分離し、膜を
透過した溶液中の炭酸イオンおよび重炭酸イオン濃度を
イオンクロマト法により分析した。その結果を表4及び
表5に示す。
と炭酸イオンおよび重炭酸イオン/鉄イオン比が1であ
っても本発明の鉄−Lf複合体を形成できる。しかし、
これ以上の低濃度であると長時間反応させても製造でき
ない。さらに 192時間反応後の限外濾過膜透過液中の炭
酸イオンおよび重炭酸イオン濃度が、最小重炭酸イオン
/鉄イオン比が1以下の場合、脱イオン水の濃度と同じ
であることより、A溶液中の重炭酸は全て鉄−Lf複合
体と結合したものと考えられる。また、37℃で反応させ
た場合には、炭酸イオンおよび重炭酸イオン/鉄イオン
比が2以下では本発明の鉄−Lf複合体は形成できな
い。
は炭酸および/または重炭酸イオンが結合鉄あたり1分
子以上含有しているものと考えられる。さらにこの鉄−
Lf複合体形成の反応速度を上げるためには炭酸イオン
および/または重炭酸イオン濃度を高めることが効果的
であることも明らかとなった。また、この例から、B溶
液のi)鉄イオンモル濃度が、ii) A溶液と、B溶液の一
部または全部が混合した溶液(反応溶液)のiii)炭酸イ
オンおよび重炭酸イオンモル濃度と同等であっても、鉄
−Lf複合体を形成可能であることが明らかとなった。
しかしながら、この条件では、製造に極端に時間を要す
るため、実用的ではない。
子のモル数を分析し、本発明の鉄−Lf複合体の特徴を
示す。モノクローナル抗体により精製した純度99%のウ
シLf(東洋紡績社)はLf溶液を 0.1%エチレンジア
ミン四酢酸を含む0.1 モル/リットル クエン酸溶液
(超純水)に対して分子量 10000カットの透析膜(スペ
クトロポア社)で3日間透析し、脱鉄し、超純水に対し
てさらに4日間透析を行い、完全に鉄を除去し、さらに
凍結乾燥を行った。1モル/リットルの重炭酸ナトリウ
ムを含むpH 8.3の溶液10ミリリットル(A溶液)、塩化
第二鉄を 300マイクロモル含む溶液を2ミリリットル
(B1溶液) 、Lf 2.5マイクロモルを含む溶液8ミリリ
ットル(B2溶液)を調製した。B1溶液にB2溶液を混合し
(B溶液)、A溶液にB溶液10ミリリットルを加え、鉄
−Lf複合体を調製し、試料1とした。同様にして、B1
溶液の塩化第二鉄を1.75ミリモルとして作製した鉄−L
f複合体を試料2とした。また、脱鉄した未処理のLf
を試料3とし、試料1、2および3は超純水に対して、
5日間分子量10000 カットの透析膜 (スペクトロポア
社) で透析し、凍結乾燥した。さらに、メノウ乳鉢で良
く粉化した後、45℃、48時間真空乾燥機により、水分を
除去した。得られた試料は原子吸光分析機 (ICP)により
鉄含有量、 CHN元素分析機により炭素含有量を分析し
た。
(試料3)1モルあたりの総炭素原子モル数)2) 試料の総鉄原子モル数
Lf複合体には通常のLfよりも多量の炭素原子および
鉄原子が結合していることが明らかとなった。また、本
実験系において、炭素原子が増えたのは、重曹から供給
されているとしか考えられず、炭酸イオンまたは重炭酸
イオンが鉄原子と結合していることが本試験例で示され
た。鉄分子に対する炭素原子の割合は 0.1以上であった
ことから、鉄原子1に対して炭酸イオンまたは重炭酸イ
オンが 0.1分子以上の割合で結合していることがわか
る。また、試験例3において鉄1分子に対して重炭酸イ
オンが1分子結合していることが考えられたので、製造
条件より鉄、炭素原子の結合割合は変化していると思わ
れる。いずれにしても、本試験例から、炭酸および/ま
たは重炭酸イオン、および鉄イオンが鉄−Lf複合体に
結合していることは明らかである。なお、試料3では鉄
原子は検出されず、透析により遊離の鉄はほとんどすべ
て除去されていることを確認した。
を添加した後、アルカリを加えてpHを上げ、次いでその
溶液から遊離の鉄を除去した後、溶液を蒸発させ、Lf
粉末として取り出すことからなるLf1グラム当たり
2.1グラム以上の鉄を安定な状態で保持する鉄/Lf粉
末の製造方法について開示されている。また、特開平4-
141067号公報ではLf1グラムに対して少なくとも 1.5
ミリグラム以上の割合の鉄に相当する鉄化合物を添加
し、Lfと鉄を反応させて鉄/Lf溶液を調製する製造
方法について開示されている。本試験例ではこれらの鉄
/Lf溶液と本発明の鉄−Lf複合体との構造上の違い
について試験例で示す。
脱鉄したものを使用した。本発明の鉄−Lf複合体は実
施例4の試料1と同様に調製し、試料1とした。特開平
7-17875号公報の鉄/Lf溶液はLf 2.5マイクロモル
を含む溶液20ミリリットルに塩化第二鉄を100 マイクロ
モル添加した。さらに、この溶液に1モルの水酸化ナト
リウム水溶液を微量ずつゆっくり滴下し、pHが9になる
まで調製し、試料2とした。特開平4-141067号公報の鉄
/Lf溶液はLf 2.5マイクロモルを含む溶液20ミリリ
ットルに鉄として硫酸第一鉄七水和物を 300マイクロモ
ル添加して作製し、試料3とした。さらに対照として脱
鉄したLfを同じく実施例4の方法で調製し、試料4と
した。得られた4つの試料は試験例4と同様に脱塩、凍
結乾燥、真空乾燥したのち、鉄原子を原子吸光分析機に
より、窒素、炭素および水素原子を CHN元素分析機によ
り分析した。
(試料4)1モルあたりの総炭素原子モル数)2) (試料1モルあたりの総水素原子モル数)−(Lf
(試料4)1モルあたりの総水素原子モル数)3) (試料1モルあたりの総窒素原子モル数)−(Lf
(試料4)1モルあたりの総窒素原子モル数)4) (試料1モルあたりの総鉄原子モル数)
(試料1)は、通常のLfと比較して炭素原子、水素原
子、および鉄原子が通常のLfよりも極めて多量に結合
していることがわかる。このことから、本発明の鉄−L
f複合体は通常のLfとは異なる構造体を形成している
ことが明らかである。一方、特開平 7-17875号公報に開
示された鉄/Lf溶液(試料2)では水素原子で結合水
等の影響が出るため、ややばらつきが認められるもの
の、炭素原子、水素原子、窒素原子ともに通常のLfと
同じであり、鉄原子のみが増加していることから、本発
明の鉄−Lf複合体とは異なる状態で鉄が存在している
ことがわかる。さらに、特開平4-141067号公報の鉄/L
f溶液も同様に、炭素原子、水素原子、窒素原子ともに
通常のLfと同じであり、鉄原子のみが若干増加してい
ることがわかる。以上のことから、構造上、本発明の鉄
−Lf複合体は特開平 7-17875号公報および特開平4-14
1067号公報の鉄/Lf溶液とは全く構造上違うものであ
ることが明らかである。
と鉄飽和型Lfが生成することは、従来から知られてい
る。LfはNロープと呼ばれる領域とCロープと呼ばれ
る類似した領域との二つの領域で構成されている。鉄は
この二つの領域のそれぞれに1分子づつ結合する。すな
わち、Nロープでは、Asp60, Tyr192, Tyr192, His253
の4個のアミノ酸残基に1分子の鉄イオンが結合し、さ
らにこの鉄にCO3 2-が1個結合している。Cロープに
おける同様な鉄結合部位はAsp395, Tyr435, Tyr528, Hi
s597である(B.F. Anderson et al., J. Mol. Biol. 20
9:711-734, 1989)。したがって、通常鉄飽和型Lfと
いうのは、Lf1モル当たり鉄が2モル、CO3 2-が2
モル結合している。また、鉄飽和型Lfは鉄の結合して
いないLfに比べると若干安定性が増すが、65℃以上で
加熱すると沈澱してしまう。ところが本発明による鉄−
Lf複合体は鉄の結合量、炭酸および/または重炭酸の
結合量がいわゆる鉄飽和型Lfよりはるかに多い。
fに多量の鉄を添加すると鉄がLfに結合し非遊離状態
となり、鉄が安定化されることが示されているが、鉄を
多量に添加することによってLfに耐熱性が付与される
ことは何ら示されていない。また、同公報では炭酸イオ
ンまたは重炭酸イオンの必要性や炭酸・炭酸塩・重炭酸
塩を用いるということも何ら示されておらず、全ての実
施例においても炭酸・炭酸塩・重炭酸塩が使用されてい
ない。さらに、試験例5から鉄原子、炭素原子、水素原
子数が本発明の鉄−Lf複合体と明らかに異っている。
したがって本発明による鉄−Lf複合体とは全く異な
る。
または重炭酸の結合量、および鉄結合量がいわゆる鉄を
2分子結合した通常鉄飽和型Lfより遥に多い。炭酸お
よび/または重炭酸、および鉄がLfの高次構造(3
次、4次)変化を起こしたり、炭酸および/または重炭
酸、および鉄がLfの周囲を取り囲んでいたりするもの
と考えられる。実際、通常鉄飽和Lfを認識する抗Lf
抗体による本発明の鉄−Lf複合体の認識の程度は炭酸
および/または重炭酸と鉄がLfに結合するに従って、
低くなっていく。その様子を次に示す。
4酢酸を含むクエン酸緩衝液に対して透析し、脱鉄した
後、水に対して透析して凍結乾燥したものを用いた。1
モル/リットルの重炭酸ナトリウムを含むpH 8.3の溶液
1リットル(A溶液)、塩化第二鉄を鉄イオンとして0
から 480ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶
液)、Lf1ミリモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を調製した。B1溶液とB2溶液を混合後、1〜 1
00倍に脱イオン水で希釈した(B溶液)。A溶液にB溶
液1リットルを加え、鉄を結合したLfを調製した。こ
の溶液を模擬緩衝液で倍々に希釈した。一方、 ELISA用
プレートに抗ウシLf抗体をコートした後に、ブロック
エース(大日本製薬(株)販売)でブロッキングした。
先に調製したLf溶液を添加し、室温にて1時間反応さ
せた後、パーオキシダーゼを標識した抗ウシLf抗体を
反応させた。よく洗浄した後にABTS基質を加え、405nm
の吸光度を測定した。このように、鉄がLfに対して2
分子結合しているときは、鉄がない場合と同様に認識さ
れるのに対して、鉄量が増えるにしたがって、抗体で認
識されなくなった。その結果を表8に示す。なお、表の
認識率とは、鉄を結合したLfの溶液に含有されるLf
量に対する、本測定法で定量されるLf量の比率をい
う。
6-239900号あるいは特開平4-141067号の鉄/LfとpH安
定性の面でも異なっている。このことを次の試験例で示
す。
と同様に行った。特開平6-239900号の鉄−Lf結合体
は、Lf 33.75マイクロモル/リットルの水溶液に塩化
第2鉄を鉄として 0.5〜16.2ミリモル/リットルとなる
よう添加し、重炭酸ナトリウムでpHを 6.2に調整して作
製した。特開平4-141067号の鉄/Lf溶液は、12.5マイ
クロモル/デシリットルとなるようLfを溶解した水溶
液に硫酸第1鉄7水和物を鉄として 187〜6000マイクロ
モル/デシリットル溶解して作製した。この際、炭酸イ
オンおよび/または重炭酸イオンを発生する炭酸・炭酸
塩・重炭酸塩などは使用していない。このように3つの
方法で作製した各試料を分子量5000カットの限外濾過膜
にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝液(pH 6.4あるいは 7.2)
にて、Lfとして125 マイクロモル/リットルとなるよ
う希釈した。pHを 6.5と 7.3にそれぞれ調整し、ネジ口
付き試験管に密封した後、90℃、10分間加熱し、室温ま
で自然冷却した後に、3,000rpm、10分間遠心分離し、上
清中のLf含量を測定した。なお、この測定にはBioRad
社製 Protein Assay Kitを使用した。上清に残存してい
るLfの割合を表9に示す。
7.3のいずれにおいても耐熱性を示したが、特開平6-239
900号ではpH 6.5では耐熱性を示したものの、pH 7.3で
は耐熱性を示さなかった。また、特開平4-141067号では
pH 6.5および 7.3のいずれにおいても耐熱性を示さなか
った。
熱性があることが知られている(特開平4-8269号)。以
下に、本発明の鉄−Lf複合体のみが塩濃度の高い領域
で耐熱性があることを示す。本発明の鉄−Lf複合体の
作製は、試験例6と同様に行った。特開平6-239900号の
鉄−Lf結合体および、特開平4-141067号の鉄/Lf溶
液の作製は試験例7と同様に行った。また、特開平7-17
875 号の鉄/Lf溶液は、AおよびB法の2通りについ
て作製した。A法では12.5マイクロモル/デシリットル
となるようLfを溶かした水溶液に、塩化第二鉄を鉄と
して 0.5〜16.2ミリモル/リットルとなるように添加
し、さらに1N水酸化ナトリウムでpHを 9.0に調整して作
製した。B法では12.5マイクロモル/デシリットルとな
るようにLfを溶かした50ミリモル/リットル シュウ
酸アンモニウム溶液(pH8.0)に溶解し、塩化第二鉄を
0.5〜16.2ミリモル/リットルとなるように添加し、1N
水酸化ナトリウムでpHを 9.0に調整し作製した。このよ
うに5つの方法で作製した各試料を分子量分画10,000カ
ットの限外濾過膜(アドバンテック社)にて脱塩、濃縮
し、Lfとして 250マイクロモル/リットルとなるよう
に超純水で希釈した。この時の電気伝導度は 0.2ミリジ
ーメンス/センチメートルであった。さらに模擬緩衝液
(pH7.0)で4倍に希釈し、さらに塩濃度を上げるために
30ミリモル/リットルになるように食塩をそれぞれ添加
した。ネジ口付き試験管に密封した後、90℃、10分間加
熱し、Lfの沈澱生成を観察した。沈澱の認められない
ものを0、沈澱のやや認められるものを1、沈澱の多い
もの、および鉄/Lf溶液作成中にすでに沈澱を生じた
ものを2とした。
ることが既に開示されている(特開平4-8269号)。この
なかで、Lf水溶液又は鉄結合型Lfの加熱殺菌が可能
な電気伝導度範囲を以下の式によって開示している。 LogΩ≦2.96/pH+0.64 (pH<5) LogΩ≦29.37/pH-4.62 (5≦pH≦7.9) LogΩ≦-0.917 (pH>7.9) ただし、Ωは電気伝導度(ミリジーメンス/センチメー
トル)を示す。例えば、本試験例で脱塩後のpHは約 7.0
であったので、pH 7.0における通常のLfの加熱殺菌可
能な電気伝導度範囲を計算すると、以下の通りになる。
式より LogΩ≦29.37/7-4.62 ≦-0.42 これより Ω≦10-4.62 ≦0.38
/センチメートル以下であれば、殺菌することが可能で
あることが既に明らかとなっている。従って、通常の脱
塩処理によって、Lfは加熱殺菌が可能となる。各試料
は異なる調製法であるため、一度全て脱塩し、再度食塩
にて塩濃度を上げて同一条件で、その耐熱性試験を行っ
た。今回行った脱塩処理では 0.2ミリジーメンス/セン
チメートルまで脱塩し、0.03モル/リットルの食塩を添
加し、耐熱性試験を行ったものである。この時の電気伝
導度は0.53ミリジーメンス/センチメートルであった。
この値はよりも高い値であり、通常のLfでは耐熱性
が認められない領域である。表10から、本発明の鉄−
Lf複合体においては沈澱が認められず、熱に対して通
常のLfとは異なる高い熱安定性をもつことを示した。
また、特開平6-239900号でも通常のLfと異なる高い熱
安定性を示したが、Fe/Lf比が高いところでは不安定に
なった。特開平4-141067号および、特開平7-17875 号で
はいずれも沈澱したことから、通常のLfと同程度の耐
熱性しかもたないことが示された。このことから、本発
明の鉄−Lf複合体は通常のLfおよび他の開示された
鉄/Lf溶液とは異なる構造をとって高い耐熱性を示し
ていることがわかる。
度における耐熱性については試験例9に示す。
製した。ただし、B1液の鉄含量は1000ミリモルまでと
した。この溶液を分子量5000カットの限外濾過膜で脱塩
・濃縮した後、模擬緩衝液でLf含量として 625マイク
ロモル/リットルとなるよう希釈した。この場合の模擬
緩衝液は、pH 2.0〜3.5 はグリシン−塩酸、pH 3.5〜6.
0 は酢酸、pH 6.0〜7.8 はイミダゾール−塩酸、pH 7.8
〜 9.3はホウ酸−塩化カリウム−水酸化ナトリウムを緩
衝剤とした。また、電気伝導度の調整は塩化ナトリウム
を用いた。これをネジ口付き試験管に密封した後、90
℃、10分間加熱し、室温まで自然冷却した後に、3,000r
pm、10分間遠心分離、上清中のLf含量を測定した。な
お、この測定にはBioRad社製 Protein Assay Kitを使用
した。上清に残存しているLfの割合を表11及び表1
2に示す。
分子以上1000分子以下でないと耐熱性が得られず、この
範囲内であれば、pH2.1 から9.0 の範囲で耐熱性が確認
された。さらに言えば、Lf1分子に対して、鉄が15
分子よりも30分子のほうが耐熱性が高く、30分子よ
りも60分子、60分子よりも120分子のほうがさら
に耐熱性が高い。また、Lf1分子に対して、鉄が1000
分子よりも480 分子、480 分子よりも240 分子のほうが
耐熱性が高い。Lf1分子に対して、鉄が1000分子結合
している場合は、pH5以下よりpH5を超える場合のほう
が耐熱性が高い。特開平6-239900号の方法にて製造され
た鉄−Lf結合体は鉄が720 分子以上Lfに結合するこ
とができず沈澱するが、本発明では1000分子の鉄を結合
することができるので、この点からも本発明の鉄−Lf
複合体と特開平6-239900号の方法にて製造された鉄−L
f結合体は異なっているといえる。特開平4-8269号では
Lfの配合された飲料を殺菌する場合、製品の最終pHは
電気伝導度Ωの関係が、 log Ω(ミリジーメンス/センチメートル)> (2.96/p
H)+ 0.64 (pH<5) log Ω> (29.37/pH) − 4.62 (5≦pH≦7.9) log Ω> −0.917 (pH>7.9) であるような場合でないと沈澱を生じたり、Lfが鉄を
結合できなくなるような変性を受けるとしている。
配合した製品を製造する場合、150ミリジーメンス/セ
ンチメートルであって、pHが2.1 から9.0 の範囲であっ
ても耐熱性を有する極めて安定な鉄−Lf複合体である
ため、ΩとpHの関係が上に記した関係以外の場合であっ
ても製造上、全く問題を生じない。
7-17875 号及び特開平4-141067号との保存安定性の違い
を示す。
様に鉄−Lf複合体、鉄−Lf結合体および鉄/Lf溶
液を作製し、試験例9と同様に脱塩して5ミリジーメン
スとなるよう電気伝導度を調整した。遠心処理した各試
料を密封して90℃、10分間加熱した後、室温(37℃) で
一ヵ月保存した。その後の沈澱量を目視にて判定した。
沈澱の認められないものを0、沈澱がやや認められるも
のを1、沈澱が多いものを2とした。なお、特開平7-17
875 号については、保存期間3週間で行った。試験例7
の鉄−Lf結合体および鉄/Lf溶液の結果を表13
に、試験例9の鉄−Lf複合体の結果を表14に、それ
ぞれ示す。
複合体はpH 2.1から 9.0の範囲において、90℃、10分の
熱ストレスを与えた後であっても、常温で高い保存安定
性を有していた。表13から本発明の鉄−Lf複合体
は、他の特許に開示されたLfにはない保存安定性があ
ることがわかる。特開平6-239900号ではpH 6.5ではFe/L
f モル比が150以下であれば安定であるが、pH 7.3では
保存安定性がないことがわかる。また、特開平4-141067
号のLf溶液はpH 6.5および 7.3において、すでに耐熱
性がないため、当然のことながら保存安定性を欠いてい
た。また、特開平7-17875 号においても、AおよびB法
ともに保存安定性は認められなかった。
品を製造する場合、その製造工程については特に制限は
ない。殺菌は、通常実施されている工程に従い処理し、
加熱殺菌あるいは滅菌する。加熱処理は65℃、30分間の
低温殺菌、 120℃、2〜3秒間、 140〜 150℃、3〜5
秒間、あるいはレトルト処理も可能である。また、乾燥
すればLf含有粉末製品を得ることが出来る。凍結乾燥
でもよいが、大量に処理する場合には乾燥コストの安い
噴霧乾燥が適している。再溶解させることを目的とした
場合には、脱脂乳、乳清、カゼイン、ゼラチン、ショ
糖、澱粉などに混合すると溶解性が向上する。このよう
にして得られたLf含有製品は鉄が含まれているので、
貧血予防あるいは治療を目的とした食品、飼料、医薬品
に特に適している。特に、鉄の収斂味を完全に抑えるの
で、鉄強化食品や経口投与の医薬品への鉄材として優れ
ている。さらに鉄の過酸化物生成促進作用を防止する性
質もあるため、脂肪など酸化され易い食品などへの鉄材
として利用価値が高い。
鉄−Lf結合体および鉄/Lf溶液を調製した。但し、
Lfの終濃度は13.2マイクロモル/リットルとし、添加
した鉄剤の終濃度は鉄量として1.98ミリモル/リットル
となるよう調製した。なお、鉄剤としては、本発明の鉄
−Lf複合体及び特開平6-239900号の鉄−Lf結合体で
は塩化第二鉄を使用し、特開平4-141067号のLf溶液で
は硫酸第一鉄を使用した。また、対照として、1.98ミリ
モル/リットル塩化第二鉄水溶液、1.98ミリモル/リッ
トル硫酸第一鉄水溶液、1.98ミリモル/リットル塩化第
二鉄を含む13.2マイクロモル/リットルLf水溶液を調
製した。試料番号7は、1.98ミリモル/リットル塩化第
二鉄及び13.2マイクロモル/リットルLfを重炭酸ナト
リウム水溶液に同時に添加したものであり、本発明の製
造法に従わずに製造した試料である。得られた各試料
は、分子量10000 カットのモルカット(ミリポア社)に
1ミリリットル添加し、脱塩した。それぞれの試料につ
いて、リテンテート量が0.2 ミリリットルになったとこ
ろで1ミリリットル加水し、総計6ミリリットル加水し
た。得られたリテンテート及びパーミエートについて
は、原子吸光分析機(ICP)により鉄含量を測定し
た。なお、示したモル濃度は全て終濃度で示した。ま
た、リテンテート鉄残存率は次式より求めた。 リテンテート鉄残存率(%)={リテンテート鉄総量÷
(リテンテート鉄総量+パーミエート鉄総量)}×10
0
試料を限外濾過膜で処理する前に試験した。結果を表1
5に示す。 試料1:本発明の鉄−Lf複合体 試料2:特開平6-239900号の鉄−Lf結合体 試料3:1.98ミリモル/リットル塩化第二鉄含有13.2マ
イクロモル/リットルLf水溶液 試料4:特開平4-141067号のLf溶液 試料5:1.98ミリモル/リットル塩化第二鉄水溶液 試料6:1.98ミリモル/リットル硫酸第一鉄水溶液 試料7:1.98ミリモル/リットル塩化第二鉄及び13.2マ
イクロモル/リットルLf含有重炭酸ナトリウム水溶液
ミエートに移行しており、水溶液中で使用した鉄剤が分
子量10000 カットの膜を透過したことが判った。一方、
試料1及び試料2では全ての鉄がリテンテートに残存し
ており、鉄がLfと結合し、分子量10000 カットの膜を
透過しなかったことが判った。また、試料3は鉄及びL
f混合物を重炭酸ナトリウム水溶液に添加する前の状態
を示すものであるが、多くの鉄が遊離状態で存在し、鉄
はパーミエートに移行している。さらに、試料7におい
ては、単に塩化第二鉄、Lf及び重炭酸ナトリウムを同
時に接触させるだけでは遊離の鉄が多量に存在すること
を示している。
を調製するに際しては、重炭酸ナトリウム水溶液が必要
であり、かつ、その調製手順も重要であることが改めて
確認された。なお、試料4においては、鉄は殆どパーミ
エートに移行しており、遊離の状態であることが判っ
た。鉄の収斂味(鉄味)については、試料1及び試料2
では認められなかったが、他の試料では認められた。
た各種鉄/Lf混合溶液を分子量5000カットの限外濾過
膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝液(pH 6.8)にて鉄イオ
ンとして 13 ミリグラム/100ミリリットルおよび26ミリ
グラム/100ミリリットルとなるよう蒸留水で希釈した。
このようにして得られた試料について、以下のような官
能評価試験を行った。男5女5名のパネラーに模擬緩衝
液を対照として各試料の収斂味を感じるかどうかを判定
させた。パネラーには目隠しをし、外見による判断要因
を与えないよう配慮した。一試料のための試験は、対
照、試料の順に試飲させ、一試料評価後、最低一日の間
隔をあけて、次の試料を評価するための試験を実施し
た。また、試料評価の日間偏差をなくすため、各パネラ
ー毎に試料評価の順番をランダム化した。その結果、パ
ネラー10人のうちで収斂味を感じた人数を表16に示
す。
感じさせない優れたマスキング効果を有することが明ら
かとなった。また、特開平6-239900号では鉄濃度が26ミ
リグラム/100ミリリットルであってFe/Lfモル比が 150
を超える場合に収斂味を感じるパネラーが認められ、特
開平4-141067号では全ての場合においてパネラー10人全
員が収斂味を認めた。
量5000カットの限外濾過膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝
液にて、鉄イオンとして26ミリグラム/100ミリリットル
となるよう希釈し、90℃10分間の殺菌を施した。こ
のようにして得た試料を試験例12と同様の方法にて官
能評価試験した。
は、Lf1分子に対して鉄が15分子以上1000分子以下
結合したものであれば、それを取り巻く環境がpH2.1 か
らpH9.0 の範囲であれば、鉄の収斂味を抑制する効果を
持っていた。この時、Lf1分子に対して鉄が480 分子
以上結合し、pH2.1 からpH5.0 の範囲で若干の収斂味を
数名が感じたが、鉄含量を13ミリグラム/100 ミリリッ
トルとすると10名のパネラーの内、収斂味を感じたも
のはいなかった。
社製)10マイクロモルを含む溶液1リットル(A)。
硫酸第二鉄を鉄イオンとして1.5 ミリモルを含む溶液1
リットル(B)を作成した。AにBを加え、鉄を結合し
たLfを作成した。この試料を分子量5000カットの限外
濾過膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝液(pH8.9)にて、鉄
濃度が26ミリグラム/100 ミリリットルとなるよう希
釈した。これをネジ口付き試験管に密封した後、90℃
10分間加熱し、室温まで自然冷却した後、室温にて1
か月保存した。沈澱を肉眼にて判定したところ、全く認
められなかった。さらに試験例12と同様の方法にて官
能評価試験を実施したところ、パネラー10名のうちで
収斂味を感じたものは一名も認められなかった。
ウム 1.2モルを含む溶液1リットルを塩酸にてpH 7.8に
調製した(A溶液)。硫酸第二鉄を鉄イオンとして 1.5
ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶液)、トラン
スフェリン(アポ型、高純度、牛血漿製、和光純薬工
業)10マイクロモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を作成した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液
にB1/B2混合液を加え、鉄を結合したトランスフェ
リンを形成させた。鉄−トランスフェリン結合溶液を分
子量5000カットの限外濾過膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩
衝液(pH 6.8)にて、鉄濃度が26ミリグラム/200ミリリ
ットルとなるよう希釈した。これをネジ口付き試験管に
密封した後、90℃、10分間加熱し、室温まで自然冷却し
た後、37℃にて1か月保存した。沈澱を肉眼にて判定し
たところ、全く認められなかった。さらに試験例12と同
様の方法にて官能評価試験を実施したところ、パネラー
10名のうちで収斂味を感じたものは1名も認められなか
った。
0.7モルを含む溶液1リットルを酢酸にてpH 8.3に調製
した(A溶液)。硝酸鉄(III) を鉄イオンとして 1.5ミ
リモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶液)、オボトラ
ンスフェリン(タイプIV、粗、卵白製、無鉄、シグマ
社)10マイクロモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を作成した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液
にB1/B2混合液を加え、鉄を結合したオボトランス
フェリンを作成した。鉄−オボトランスフェリン結合溶
液を分子量5000カットの限外濾過膜にて脱塩・濃縮し
た。これを模擬緩衝液 (pH 6.2) にて、鉄濃度が26ミリ
グラム/200ミリリットルとなるよう希釈した。これをネ
ジ口付き試験管に密封した後、90℃、10分間加熱し、室
温まで自然冷却した後、37℃にて1か月保存した。沈澱
を肉眼にて判定したところ、全く認められなかった。さ
らに試験例12と同様の方法にて官能評価試験を実施した
ところ、パネラー10名のうちで収斂味を感じたものは1
名も認められなかった。
ットルを作製した(A溶液)。塩化第二鉄を鉄イオンと
して1ミリモルを含む溶液 0.2リットル (B1溶液) 、ウ
シラクトフェリン(ULN社製)10マイクロモルを含む 0.8
リットル (B2溶液) を作製した。B1とB2を混合後、A溶
液にB1/B2 混合液を加えた。溶液のpHを 8.5に維持する
ために、適時重炭酸ナトリウムを添加し、鉄−Lf複合
体を作製した。得られた、鉄−Lf複合体を脱塩を行わ
ずに90℃10分間加熱し、室温まで自然冷却した。この状
態で沈澱は認められなかった。さらに、37℃で一ヵ月間
保存し、再び、沈澱を肉眼で判定したところ、全く認め
られなかった。さらに、試験例12と同様の方法にて官能
評価試験を実施したところ、パネラー10名のうちで収斂
味を感じたものは1名も認められなかった。
ットルを作製した(A溶液)。硫酸第二鉄を鉄イオンと
して1ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶液) 、ウ
シラクトフェリン(ULN社製) 10マイクロモルを含む 0.8
リットル (B2溶液) を作製した。B1とB2を混合後、A溶
液にB1/B2 混合液を加え、鉄−Lf複合体を作製した。
得られた鉄−Lf複合体を脱塩を行わずに90℃10分間加
熱し、室温まで自然冷却した。この状態で沈澱は認めら
れなかった。さらに、37℃で一ヵ月間保存し、再び、沈
澱を肉眼で判定したところ、全く認められなかった。さ
らに、試験例12と同様の方法にて官能評価試験を実施し
たところ、パネラー10名のうちで収斂味を感じたものは
1名も認められなかった。
トルに2N塩酸でpHを 8.0まで下げてA溶液を作製した。
硫酸第二鉄を鉄イオンとして1ミリモルを含む溶液 0.2
リットル (B1溶液) 、ウシラクトフェリン(ULN社製) 10
マイクロモルを含む 0.8リットル (B2溶液) を作製し
た。B1とB2を混合後、A溶液にB1/B2 混合液を加え、鉄
−Lf複合体を作製した。得られた、鉄−Lf複合体を
脱塩を行わずに90℃10分間加熱し、室温まで自然冷却し
た。この状態で沈澱は認められなかった。さらに、37℃
で一ヵ月間保存し、再び、沈澱を肉眼で判定したとこ
ろ、全く認められなかった。さらに、試験例12と同様の
方法にて官能評価試験を実施したところ、パネラー10名
のうちで収斂味を感じたものは1名も認められなかっ
た。
トル(溶けきらない塩が沈澱している)を調製した(A
溶液)。塩化第二鉄を鉄イオンとして20ミリモルを含む
溶液2リットル(B1溶液)、ラクトフェリン (タツア
バイオロジックス社製) 100マイクロモルを含む溶液8
リットル(B2溶液)を作成した。B1溶液とB2溶液
を混合後、A溶液を良く撹拌しながら、A溶液にB1/
B2混合液を加え、鉄を結合したラクトフェリンを形成
した。この溶液を分子量5000カットの限外濾過膜にて加
水脱塩後、同様の膜で1リットルにまで濃縮した。これ
を20リットルの還元脱脂乳(脱脂粉乳 100グラムを水1
リットルの比率で還元)に、鉄濃度が26ミリグラム/200
ミリリットルとなるよう添加した。これを撹拌混合後、
プレート型殺菌機を用いて 120℃にて2秒間殺菌し直ち
に5℃に冷却した後、低温(10℃)にて2週間保存し
た。一部を3,000rpm、10分間遠心分離し沈澱を肉眼にて
判定したところ、全く認められなかった。さらに試験例
10と同様の方法にて官能評価試験を実施した。ただし、
対照は還元脱脂乳を同様の条件にて殺菌・保存したもの
を用いた。パネラー10名のうちで収斂味や味・香りなど
に異常を感じたものは1名も認められなかった。
混合溶液を20リットルの生乳に、鉄濃度が26ミリグラム
/200ミリリットルとなるよう添加した。これを均質化し
た後に 150℃4秒間滅菌し直ちに4℃に冷却し 250ミリ
リットルづつ紙容器に無菌的に充填した。37℃にて3ヶ
月保存後、遠心分離し沈澱物の有無を調べたが、沈澱は
全く認められなかった。また、大腸菌数および一般細菌
数共に0であった。また、鉄が存在しているために保存
中に褐変が進行する恐れがあったが、全く褐変は認めら
れなかった。さらに試験例12と同様の方法にて官能評価
試験を実施した。ただし、対照は生乳を同様の条件にて
殺菌・保存したものを用いた。パネラー10名のうちで収
斂味や味・香りなどに異常を感じたものは1名も認めら
れなかった。
複合体溶液(試験群)または硫酸第1鉄溶液(対照群
1)を、鉄濃度が20ミリグラム/100ミリリットルとなる
よう、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウム
をビタミンCとして 6.2ミリグラム/100グラム含む生理
的リン酸緩衝液(pH 7.2)に溶解し、90℃、10分間の殺
菌をしたものを試験試料とした。対照群2として、ビタ
ミンCを添加した生理的リン酸緩衝液を殺菌したものも
作成した。離乳直後、21日齢のウィスター系雌ラット
(日本チャールスリバー)の中、体重が45から50グラム
のものを選び、除鉄食(オリエンタル酵母,鉄含量0.25
ミリグラム/100グラム飼料)を2週間与え、血中ヘモグ
ロビン値が7グラム/100ミリリットル以下の貧血ラット
を作成した。ラットは1群4匹として、その後も除鉄食
を与え続けながら、試験試料を1ミリリットル/日、6
週間、強制経口(ゾンデ)投与した。試験試料投与後6
週間目に、尾静脈より採血し、自動血球計測装置(東亜
医用電子)でヘモグロビン値を測定した。その結果を表
18に示す。
貧血治療効果を示し、さらに、その効果は無機鉄である
硫酸第一鉄よりも優れていたことが明らかとなった。
f複合体溶液を、アスコルビン酸およびアスコルビン酸
ナトリウムをビタミンCとして30ミリグラム/200ミリリ
ットル添加した生乳に、鉄濃度が15ミリグラム/200ミリ
リットルとなるよう添加し、約200ミリリットル容量の
耐熱ガラス瓶にヘッドスペース10ミリリットル以下とな
るよう充填した(試験群)。対照として、鉄−Lf複合
体の代わりにクエン酸鉄ナトリウムを添加したビタミン
C強化乳を用いた(対照群)。これをF値4でレトルト
滅菌し、37℃で2週間保存し、残存するビタミンC含量
をビタミンC測定器(TOA電子社製)にて定量した。
ビタミンC残存率は測定値を初期値で割った百分率とし
た。その結果を表19に示す。
比べてビタミンCの破壊の程度が低く、酸化および過酸
化物生成能の低い鉄材としても有効であることが明らか
となった。
方法にて官能評価試験を実施した。ただし、対照は鉄を
添加していないビタミンC強化乳を同様の条件にてレト
ルト処理したものを用いた。パネラー10名のうちで収斂
味などに異常を感じたものは1名も認められなかった。
ル/リットルの酢酸緩衝液(pH4)に溶解し、ペプシン
(シグマ社) 26000ユニット添加し、37℃、2時間反応
後、水酸化ナトリウムでpH 7.5とした。これにトリプ
シン(シグマ社)200000ユニットを添加して、37℃、2
時間反応させた。このようにして得た分解Lfは電気泳
動により、主に分子量50000, 40000, 30000 カットの分
解物となっていることを確認した。重炭酸ナトリウムを
1.3モル含む溶液1リットル(溶けきらない塩が沈澱し
ている)を調製した(A溶液)。塩化第二鉄を鉄イオン
として 1.2ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶
液)、ラクトフェリン分解物を分解前のラクトフェリン
として10マイクロモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を作成した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液
を良く撹拌しながら、A溶液にB1/B2混合液を加
え、鉄を結合したラクトフェリン分解物を作成した。こ
れをネジ口付き試験管に密封した後、90℃、10分間加熱
し、室温まで自然冷却した後、37℃にて1か月保存し
た。沈澱を肉眼にて判定したところ、全く認められなか
った。さらに試験例12と同様の方法にて官能評価試験を
実施したところ、パネラー10名のうち、収斂味を感じた
ものは1名も認められなかった。
Claims (6)
- 【請求項1】 次の性質を示す炭酸および/または重炭
酸−鉄−ラクトフェリン複合体。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分子
および、炭酸および/または重炭酸15分子以上を含有す
ること、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。 - 【請求項2】 鉄−ラクトフェリン複合体に結合してい
る炭素原子および鉄原子について、((請求項1記載の
鉄−ラクトフェリン複合体1モルあたりの総炭素原子モ
ル数)−(鉄を結合していないラクトフェリン1モルあ
たりの総炭素原子モル数))/(請求項1記載の鉄−ラ
クトフェリン複合体1モルあたりの総鉄原子モル数)の
値が 0.1以上である請求項1記載の複合体。 - 【請求項3】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
炭酸および重炭酸を含む溶液(A溶液)に、iv) 鉄およ
びv)ラクトフェリン類を含有する溶液(B溶液)を混合
することによって得られ、次の1)から4)の性質を示
す炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合
体。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度
は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合した
溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよ
び重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、B溶液
のix) ラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)鉄イ
オンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分
子、かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上含有する
こと、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。 - 【請求項4】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
炭酸および重炭酸、かつiv) ラクトフェリン類を含む溶
液(A溶液)に、v)鉄を含有する溶液(B溶液)を混合
することによって得られ、次の1)から4)の性質を示
す炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合
体。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度
は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合した
溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよ
び重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、ix) A
溶液のラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)鉄イ
オンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分
子、かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上含有する
こと、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。 - 【請求項5】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
炭酸および重炭酸を含む溶液(A溶液)に、iv) 鉄およ
びv)ラクトフェリン類を含有する溶液(B溶液)を混合
することを特徴とする、次の1)から4)の性質を示す
炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合体
の製造法。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル
濃度は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合
した溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオン
および重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、B
溶液のix) ラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)
鉄イオンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄15乃至1000分子、
かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上を含有するこ
と、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
澱が生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。 - 【請求項6】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
炭酸および重炭酸、かつiv) ラクトフェリン類を含む溶
液(A溶液)に、v)鉄を含有する溶液(B溶液)を混合
することを特徴とする、次の1)から4)の性質を示す
炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合体
の製造法。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル
濃度は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合
した溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオン
および重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、A
溶液のiX) ラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)
鉄イオンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分
子、かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上含有する
こと、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。
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- 1995-03-17 JP JP7086023A patent/JP2884045B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2008146710A1 (ja) | 2007-05-25 | 2008-12-04 | Snow Brand Milk Products Co., Ltd. | 美白剤 |
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