JP2845914B2 - 麻酔薬の再使用のための方法及び装置 - Google Patents

麻酔薬の再使用のための方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は吸入麻酔における麻酔薬の再使用のための方
法及び装置に関する。
吸入麻酔は麻酔の一般的型式であり、麻酔薬は通常、
単純なハロゲン化炭化水素、パラフィンまたはエーテル
である。これらは室温で液状であり吸入前にガス化され
る。一般的な麻酔薬はHalotanまたはFluotan（２−ブロ
モ−２−クロロ−1,1,1−トリフロロエタン）、Enflura
nまたはEfran（1,1,2−トリフロロ−２−クロロエチル
ジフロロメチルエーテル）、またはIsofluranまたはFor
en（2,2,2−トリフロロ−１−クロロエチルジフロロメ
チルエーテル）である。このようなハロゲン化炭化水素
より得られる影響は、通常、50乃至70容量％の濃度にお
ける笑気（N2O）の添加で増大される。
開発の傾向は精製された麻酔薬に益々向けられている
が、しかし、これは高価格でしか得られないという不利
益をもたらしている。
さらに、麻酔薬は、もし手術室に洩れると手術に携わ
るスタッフには有害である。
患者の吐く空気には吸収されない酸素、笑気、水蒸
気、吸収されない麻酔ガスおよび４乃至６容量％のCO2
が含まれる。
麻酔ガスはいくつかのいろいろの技術とシステムで患
者に服用させることができる。その系は完全にオープン
であるが、再呼吸およびCO2吸着でクローズされている
か、またはそれらの組合わせが可能である。
吸入麻酔の一つの形式では、麻酔のために気化器を接
続した呼吸運動器が使用され、所定の濃度、例えば、０
乃至５容量％で、例えば酸素と笑気との混合物中で麻酔
薬を放出する。患者に適用されたと同じガスの流れが麻
酔薬気化器を通過する。患者によって吸収されない麻酔
薬は、患者が息を吐いた時には吸い込み出口を通って失
われる。麻酔薬を含む新しいガスが常に供給され、その
結果、手術スタッフに対する有害な影響に加えて、高価
な麻酔薬の大きな損失をもたらす。
さらに他のシステムでは、麻酔薬気化器は患者に導入
しまた患者から導出する導管に接続され、高濃度の麻酔
薬を有し、また麻酔薬気化器から発散する少量の新しい
ガスの流れは呼吸運動器からの大量のガス流に加えられ
る。このシステムにおいても、また、吸収されていない
麻酔薬を含む呼気が環境に吐き出され、常に新しいガス
で代替される。
ガスが患者に再循環されるようにする麻酔回路を採用
することも可能である。この場合、吸収器が一般に使用
され、これによって患者が生成する炭酸ガスが除かれ
る。この方法は著しいガス節約を可能にするが、吸収器
の他に、高価なバルブシステムを必要とする。従って、
麻酔薬を節約する他の方法に対し関心が集まるのであ
る。
本発明の目的は麻酔薬の再使用によって合理的なコス
トで高価な麻酔薬を再利用することが可能となる方法と
装置とを提供するものである。
本発明によれば、患者によって吸収されない麻酔薬が
呼気に際してフィルターに吸着され、次にフィルターか
ら脱着され、吸入気流中へ再導入、即ち、麻酔薬の選択
的反射（selective reflection）を受けるという麻酔薬
節約に対する新しい方法と新しい装置が提供される。
第１図は、本発明による装置の一つの態様で、装置が
呼吸運動器に接続されている態様を説明する。
第２図〜第４図は本発明による装置に使用されるに適
した吸着フィルターのいろいろな態様を説明する。
本発明は、かくして、新しいガスを患者２へ導き、ま
た患者２から導出される捕集導管１中にある麻酔薬蒸発
器３からの高濃度の麻酔薬と混合するという、吸入麻酔
における麻酔薬の再使用についての方法を有するもので
ある。この方法の特徴は、患者が息を吐く時、吐出ガス
は吸気吐気の捕集導管１中に配置され、かつ、患者２か
ら見て麻酔薬蒸発器３から出口４に関して遠方に備えら
れた吸着フィルター５を通過し、麻酔薬は吸着フィルタ
ー５中の吸着用物質６によって吸着され、一方、残りの
吐出ガスは装置から去り、吸着された麻酔薬は、患者が
吸入する時に吸着用物質６から脱着されて、再び患者に
運ばれるというものである。
フィルターの吸着用物質は、水や炭酸ガスよりも麻酔
薬を好むようなものであるべきである。本発明での使用
に適した吸着用物質の例は無機ケイ素アルミニウム化合
物、ゼオライト、活性炭、シリコーンプラスチック、多
孔質担体上のシリコーン油、シリカゲル、高度に多孔性
のプラスチック物質、微孔質のシリケートなどである。
本発明はまた、患者２に接続される捕集導管１、およ
び、出口４を経由して捕集導管１に接続する麻酔薬蒸発
器３とを含む、吸入麻酔における麻酔薬の再使用のため
の装置を有するものである。この装置は、麻酔薬の吸着
と脱着のための吸着用物質６を含み、捕集導管１中に患
者２から見て麻酔薬蒸発器３から出口４に関して遠方に
配置された吸着フィルター５によって特徴付けられる。
麻酔用の通常の装置におけるように、本発明による装
置にCO2の吸収に対する別の装置を設けることもでき
る。
本発明に用いられるフィルターは好適な方法にどのよ
うにも設計し得る。例えば、吸着用物質がある型式のネ
ットワーク配置によって保持され、導入導出ガス流が吸
着用物質を強制的に通過するようになる単純な容器とす
ることもできる。フィルターの態様のいくつかの例を第
２図乃至第４図に示す。
吸着用物質は、例えば、フィルター中の圧力低下およ
び吸着脱着速度の変動を容易にするためにペレットの形
にしてもよい。吸着用物質もまた担体によって支持さ
れ、例えば紙担体へ付着することができる。
好適であると証明された吸着用物質の一型式は結晶性
アルミニウムシリケートであるゼオライトである。その
構造と化学組成のため、これらの化合物は化学的に安定
で不活性である。超安定な（ultrastable）即ち、アル
ミニウムを除いたゼオライトはこれ迄のうちゼオライト
の最高の形であることが証明された。超安定なゼオライ
トは、主として親水性の環境下でも疎水性物質に対する
高度の吸着能力を有する。この特徴と、ゼオライトがあ
る程度まで低脱着エネルギーを持つという事実はいわゆ
る麻酔薬の反射を可能にする。
吸着媒体を選択するとき、フィルターを通った後の圧
力低下とデッドボリューム（dead volume）が可能な限
り低いということが重要である。さらに、麻酔薬が、本
発明の目的のために、フィルターを通過する時に本質的
な化学変化を受けないということである。
本発明は吸入麻酔の総べての型式、即ち、呼吸運動器
で制御された麻酔、即ち、ブラダー（bladder）で制御
される麻酔および自発的（spontaneous）呼吸に用いる
ことができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明する。
実施例１ この実施例では、本発明によるフィルター、いわゆる
反射フィルターを用い、吸着用物質をフィルターベッド
として配置したプラスチック物質の容器を含むものであ
る。いろいろな幾何学的設計がこのフィルターに対して
考えられるが、単純化のため、実質的に円筒形のプラス
チック物質による容器で約5cmの径を持ったものを用い
た。その容器には吸着用物質が3cmの厚さの層の形で配
置され、容器と断面積が一致する２つのネット（net）
の間に保持されていた。実施例には、ゼオライト超安定
Ｙ、即ちモルデナイト（mordenite）とシリカライト（s
ilicalite）が使用され、その中で超安定Ｙが最良であ
ると証明された。ゼオライトから粒子のありうべき移動
を防ぐために、ダストフィルターを反射床の両サイドに
置くこともできる。フィルターのデッドボリュームは10
0mlを超えるものであった。
使用された麻酔薬はIsofluranおよびHalotanであり、
後者はIsofluranよりも効果が少いが著しく安価であっ
た。これらの２つの麻酔薬の間の反射速度の差は観察で
きなかった。
この実験においてフィルターの通過前後に麻酔薬を分
析し、麻酔薬におけるいかなる著しい化学変化も観察で
きなかった。
実験結果によれば、麻酔薬の約80乃至95％が回収さ
れ、約80乃至95％の反射率が得られた。
１/sの流れで、2cm以下の水カラムの圧力低下（＝0.2
Kpa）を測定した。麻酔薬以外の他ガス例えば、H2Oおよ
びCO2の反射を検査し、非常に低いことが分った。
実施例２ 実施例１の実験を動物試験で繰り返した。フィルター
を豚で試験した。用いられた麻酔薬は非常に高価である
が優れた麻酔薬であるIsofluranであった。
これらの動物実験で得られた実際的な節約は従来の麻
酔における麻酔薬の消費に較べて50％を超えるものであ
るのが証明された。
総括すると、本発明は、包含されるコストに大きく左
右されることなく、単純で、複雑でないやり方で最も有
効で安全な麻酔薬を利用できるようにすることが評価さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トマソン，ロニエ スエーデン国ルンド、グレーネガタン、 ３アー、 (72)発明者 プサロス，ゲオルギオス スエーデン国トゥリンゲ、セグストゥー ゲベーゲン、31 (56)参考文献 特開 昭59−85659（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−58286（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−94692（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) A61M 16/01 A61M 16/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】新鮮なガスを、患者（２）へ導入し、か
    つ、患者（２）から導出する捕集導管（１）中の麻酔薬
    蒸発器（３）からの高濃度麻酔薬と混合する吸入麻酔に
    おける麻酔薬の再使用のための吐出ガスの処理方法にお
    いて、患者（２）が吐気するときに吐出ガスが、導入導
    出捕集導管（１）中に配置され、患者（２）から見て、
    麻酔薬蒸発器（３）から出口（４）に対し遠方に配置さ
    れた吸着フィルター（５）を通過し、患者によって吸収
    されない麻酔薬は吸着フィルター（５）中の吸着用物質
    （６）によって吸着され、一方、残りの吐気は装置を出
    て、吸着された麻酔薬は患者が吸入するとき吸着用物質
    （６）から脱着されて患者に再び運ばれることを特徴と
    する麻酔薬の再使用のための吐出ガスの処理方法。
  2. 【請求項２】患者に接続される捕集導管（１）および出
    口（４）を経由して捕集導管（１）に接続される麻酔薬
    蒸発器（３）とを有する吸入麻酔における麻酔薬の再使
    用のための装置において、麻酔薬の吸着および脱着のた
    めの吸着用物質（６）を含み、捕集導管（１）中に患者
    （２）から見て、麻酔薬蒸発器（３）から出口（４）に
    対して遠方に配置された吸着フィルター（５）を有する
    ことを特徴とする麻酔薬の再使用のための装置。
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