JP2844265B2 - シート搬送機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、紙、ＯＨＰシート、封
筒等のシートを搬送してそのシート上に記録を行なう複
写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に用
いられるシート搬送機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】昨今、カセット内から搬送される紙、Ｏ
ＨＰシート、封筒等の被記録媒体（シート）に記録を行
なう複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装
置は、低価格化と言う面と、被記録媒体の斜行搬送を押
さえると言う面から被記録媒体の辺を機器本体内の搬送
ガイドにつき当てながら搬送する斜送搬送が提案されて
いる。

【０００３】この斜送搬送方式では被記録媒体の一辺側
のみに搬送ローラー（搬送手段）を配置するだけでよい
ため、製造コストを押さえられると共に、搬送ガイドに
つき当てながら搬送する為、原理的に斜行が生じないと
言った利点がある。

【０００４】また同様に、カセットから１枚づつ被記録
媒体を分離搬送する際にも搬送ローラーと、分離ヅメ
（分離手段）が被記録媒体の一辺側のみに配置されてい
れば被記録媒体の搬送方向先端側を押上げる加圧部材に
より、当該被記録媒体を均等に押圧すれば分離が可能で
あり、カセットも製造コストを低く押さえる事が出来
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このようにシ
ートの一辺側にみに対応して分離ヅメを配置した場合、
非基準側即ち、シートの他辺側に関しては被記録媒体の
押さえがない為、低湿度下に放置した際、非基準側の被
記録媒体のコーナー部がそって分離性能が低下したり、
被記録媒体が機器本体に引掛ってカセットそのものが機
器本体から取り出せなくなると言った不具合があった。

【０００６】また、分離ヅメが１個になったにもかかわ
らず、加圧部材を介して被記録媒体に加圧力を与える押
圧部材（バネなど）は搬送方向に直交して複数個必要で
あるため、製造コストの低下の割合はまだまだ小さかっ
た。

【０００７】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、カセットを機器本体に装着した際に、カセット内の
シートの非加圧側、即ち他辺側と機器本体との間に所定
の隙間を確保できるとともに、加圧部材を押圧する押圧
部材を可及的に減少したシート搬送機構を提供すること
を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
この発明は、機器本体へ向けて搬送されるシートを収納
し、かつ、機器本体への着脱が自在なカセットを備え、
シートの前記搬送方向に沿った平行な二辺のうち、一方
の辺が接触する搬送ガイドを当該一方の辺側に設け、こ
の搬送ガイドの近傍に、シートの一方の辺側の上面に接
触して当該シートをカセット内から機器本体へ向けて搬
送する搬送手段と、搬送されるシートを一枚づつに分離
する分離手段とを設けてなるシート搬送機構において、
前記カセット内に、シートの下面であって搬送方向の先
端側に接触し、かつ搬送方向に直交した板状の加圧部材
を設け、この加圧部材を前記一辺側が高位となり、他辺
側が低位となるように傾斜状態で保持するとともに、加
圧部材の高位側を搬送手段へ向けて押圧する単一の押圧
部材を設けたことを特徴とする。

【０００９】また、前記加圧部材の高位側の端部には、
搬送方向の軸心を中心として回転できる可動部を設けて
もよい。

【００１０】

【作用】上記構成に基づくこの発明の作用は、カセット
を機器本体に対して装着すると、カセット内のシートは
押圧部材によって保持されており、その搬送方向先端側
の一辺側が単一の押圧部材の押圧力で押上げられて高位
にあり、機器本体内の搬送手段が所定の圧力で接触して
いる。また、シートの搬送方向先端の他辺側は低位にあ
り、機器本体に対して所定の隙間が確保されている。搬
送手段が作動するとカセット内のシートは分離手段によ
って一枚づつに分離され、最上位のシートから機器本体
内へ向けて搬送され、その一辺側が搬送ガイドに接触し
て斜行が防止される。

【００１１】更に、加圧部材の可動部は軸心を中心とし
て回転してシートの下面と平行な状態となり、押圧部材
の押圧によりシートの一辺側下面に対して面接触するこ
ととなる。

【００１２】

【実施例】図２に本発明を適用したレーザービーム走査
露光・転写方式の電子写真レーザービームプリンター
（ＬＢＰ）を示した。

【００１３】１はプロセスカートリッジ２内に配置さ
れ、支軸１ａを中心に所定の周速度で回転駆動されるド
ラム型電子写真感光体であり（以下ドラムと略す）、ド
ラム型基体の周面に有機あるいは無機の光導電体層を主
体とする感光体を具備させたものである。

【００１４】ドラム１はその回転過程でプロセスカート
リッジ２内の不図示の一次帯電器により正、又は負の所
定電位の均一帯電を受け、次いで露光部３にてレーザー
スキャナー４によるレーザービームＬで目的画像情報の
走査書き込みを受ける。これによりドラム１の表面に目
的画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されてい
く。

【００１５】５はレーザースキャナー４から出力された
レーザービームＬをドラム１の露光部３へ偏向させるレ
ーザービーム折り返しミラーである。

【００１６】ドラム１の表面に形成された潜像は、プロ
セスカートリッジ２内の不図示の現像装置により顕画材
（トナー）の適用を受けてトナーが像として顕像化され
る。なお、プロセスカートリッジ２の下流側には定着器
１０，排紙ローラー対１１，排紙トレイ１２を設けてあ
る。

【００１７】次に、機器本体５０に装着されるカセット
としての給紙カセット２０を図１に基づいて説明する。
給紙カセット２０は上部を開口した箱形をしており、機
器本体５０の装着口６０に対して矢印Ｂ方向に沿って挿
入装着される。そして、給紙カセット２０の挿入方向の
後端には円弧状に湾曲したガイド２０ａを設けてある。
一方、機器本体５０の装着口６０の上部には、反転ガイ
ド３１が複数設けてある。また、給紙カセット２０の一
辺側に対応する位置には図示しない駆動源によって駆動
される給紙ローラー（搬送手段）２１を設けてあるとと
もに、基準ガイド（搬送ガイド）３３を立設してある。
更に、基準ガイド３３の側面には搬送ローラー２７、第
１斜送コロ２５，第２斜送コロ２６を設けてある。

【００１８】前記給紙カセット２０の挿入後端側、即ち
記録紙８の搬送方向Ａの先端側に相当する底部には、搬
送方向Ａに直交して板状の加圧部材としての中板２３を
設けてある。この中板２３は、給紙ローラー２１側（一
辺側）が高位となり、反対側（他辺側）が低位となる傾
斜状態で保持してあるとともに、低位側のヒンジ３４を
中心として回転自在に構成してある。また、中板２３の
一辺側、即ち高位側の上面には、ゴム等からなる分離シ
ート３５を設けてある。更に、給紙カセット２０の一辺
側には、収納される記録紙８の上面に接触する分離手段
としての分離ヅメ２２を設けてある。更にまた、給紙カ
セット２０の底部の一辺側、即ち、給紙カセット２０を
機器本体５０へ装着した状態において、搬送ローラー２
１の真下に相当する位置には、押圧部材としての加圧バ
ネ２４一本のみを設けてある。この加圧バネ２４は中板
２３、特に一辺側を搬送ローラー２１へ向けて押圧する
弾性力を備えている。

【００１９】次に上記実施例の作用を説明する。

【００２０】給紙カセット２０を機器本体５０へと図２
のように装着すると、給紙カセット２０内の最上面の記
録紙８の搬送方向Ａの先端側の一辺側の隅部は、中板２
３を介して伝達される押圧バネ２４の弾性力によって所
定の圧力で搬送ローラー２１に接触している。他方、記
録紙８の他辺側は低位にある。

【００２１】ここで、記録紙８の満載状態、本実施例で
は１００枚であるが、中板２３は角度θ0 の状態で給紙
ローラー２１に記録紙８が接触し、記録紙８が搬送され
て減少するに従ってヒンジ３４を中心として図１（Ａ）
において時計方向へ作動していき、最後、記録紙が１枚
のときは中板２３はθ1 の角度の状態で、記録紙８が給
紙ローラー２１に接しているわけである。Ｈは中板角度
θ1 〜θ0 によって生じる記録紙８満載時の高さ方向の
段差であり、機器本体５０に対して所定の隙間を確保で
きる。また、中板角度θ1 〜θ0 によってこの値は変化
する。この段差Ｈにより分離ヅメ２２によって記録紙８
の隅部が押さえられていない他辺側の隅部が周囲の湿度
変化によって上方に反った場合でも機器本体に記録紙８
の隅部等が干渉する事はなく、搬送不良や給紙カセット
２０の抜き取り不良が発生することを未然に防止でき
る。

【００２２】駆動ローラー２１が作動すると、給紙カセ
ット２０内の最上面の記録紙８だけが分離ヅメ２２によ
って分離される。そして、搬送ローラー２７によって搬
送されるとともに、その一辺側が基準ガイド３３に接触
して斜行が防止されつつドラム１と転写ローラー６の間
に至って画像が転写される。その後、記録紙８は定着器
１０を経て排紙トレイ１２上へと排紙される。

【００２３】上記作用中、中板２３を押上げているのは
単一の加圧バネ２４であるため構造も簡単で製造コスト
を低減し得る。更に、記録紙８の積載数が少なくなった
場合であっても、分離シート３５との摩擦力によって最
下面の記録紙８は適正な力で保持されることとなり、安
定した分離性能を維持できる。

【００２４】更にまた、ガイド２０ａは記録紙８が１枚
になった時の中板２３の角度θ1 に平行の角度をもって
立ち上がり部２０ｂが形成されスムースに給紙搬送が行
われると共に、だだちに中板２３の角度θ1 〜θ0 を是
正しながら次の搬送ローラー２７と第１斜送コロ２５の
ニップ部に送られる。

【００２５】図３（Ａ), (Ｂ）は他の実施例を示してい
る。

【００２６】前記実施例では中板２３が常時角度θ1 〜
θ0 によって傾斜しているため、給紙ローラー２１と記
録紙８の一辺側との面接触しにくい状態にある。このた
め、記録紙８が満載状態か、もしくは満載時の半分程度
の枚数積載されている場合は記録紙８がクッション的に
働き、記録紙８と給紙ローラー２１との接触角度が是正
され、実質的な悪影響は無い。しかし最後の１枚か、そ
れに近い状態の場合では記録紙８と給紙ローラー２１と
の接触角度が大きくなって摩擦力が確保されず、給紙カ
セット２０からの給紙搬送が不安定になる可能性があ
る。

【００２７】そこで、図３（Ａ), (Ｂ）に示すように中
板２３の高位側端部に、中板２３のヒンジ２４と平行に
別のヒンジ（軸心）３７を設けた分離部材（可動部）３
６を付加して常時記録紙８の下面に対して平行な状態を
維持できるようにしておけば、記録紙８が最後の１枚
か、それに近い状態の場合での記録紙８と給紙ローラー
２１との接触角度を是正して面接触させることも可能で
ある。また、分離部材３６はＰＰ（ポリプロピレン）な
どの樹脂材料により中板２３と一体で成形するように構
成しても実施可能である事は明白である。

【００２８】また、前記二つの実施例では記録紙８が満
載時にＨの段差が出来るようにヒンジ３４を設定した
が、記録紙８の湿度変化による反り等が少ない場合では
図３（Ｃ）に示すようにヒンジ３４の位置を上方に移動
した関係で中板２３のヒンジ３４を構成しても実施可能
である。

【００２９】なお、本実施例ではレーザービームプリン
タについて説明したが、複写機，ファクシミリにも適用
可能である。

【００３０】

【発明の効果】この発明は以上のように構成したもので
あるから、シートの隅部にそりが発生したとしても、機
器本体に引掛ったり、カセットが抜き出せなくなったり
することはない。また、単一の押圧部材でよいため構造
が簡単となり、製造コストも低減し得る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本発明の実施例で用いる給紙カセット
の断面図、（Ｂ）は同カセットの斜視図、（Ｃ）は同実
施例の給紙搬送系を示す斜視図である。

【図２】本発明を適用した電子写真方式のレーザービー
ムプリンタの全体構成を示す断面図である。

【図３】（Ａ）,(Ｂ）は本実施例に係る中板の他の構成
例を示す平面図及び部分的側面図、（Ｃ）は同実施例の
中板の更に他の構成例を示す部分的側面図である。

【符号の説明】

８ 記録紙（シート） ２０ 給紙カセット ２１ 駆動ローラー（搬送手段） ２２ 分離ヅメ（分離手段） ２３ 中板（加圧部材） ３３ 基準ガイド（搬送ガイド）

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機器本体へ向けて搬送されるシートを収
   納し、かつ、機器本体への着脱が自在なカセットを備
   え、シートの前記搬送方向に沿った平行な二辺のうち、
   一方の辺が接触する搬送ガイドを当該一方の辺側に設
   け、この搬送ガイドの近傍に、シートの一方の辺側の上
   面に接触して当該シートをカセット内から機器本体へ向
   けて搬送する搬送手段と、搬送されるシートを一枚づつ
   に分離する分離手段とを設けてなるシート搬送機構にお
   いて、前記カセット内に、シートの下面であって搬送方
   向の先端側に接触し、かつ搬送方向に直交した板状の加
   圧部材を設け、この加圧部材を前記一辺側が高位とな
   り、他辺側が低位となるように傾斜状態で保持するとと
   もに、加圧部材の高位側を搬送手段へ向けて押圧する単
   一の押圧部材を設けたことを特徴とするシート搬送機
   構。
2. 【請求項２】 前記加圧部材の高位側の端部には、搬送
   方向の軸心を中心として回転できる可動部を設けてある
   請求項１記載のシート搬送機構。