JP2831918B2 - 超電導素子の製造方法 - Google Patents

超電導素子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導体薄膜を
利用した超電導素子の製造方法に係り、特に薄膜端面に
ジョセフソン接合を形成した超電導素子の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、超電導素子としては、Pbある
いはNb等の金属超電導体を用いて、超電導電子対がトン
ネルできる程度の薄い絶縁層を挟み込んだ積層構造のト
ンネル型ジョセフソン接合素子等が知られている。この
ような従来のトンネル型ジョセフソン素子は、液体ヘリ
ウム温度に近い極低温での動作が必要とされている。ま
た、トンネル型ジョセフソン接合に特有なヒステリシス
を持つ電流−電圧特性を示すために、回路構成が複雑に
なる等の問題を有しており、広く実用に供されるまでに
は至っていない。
【0003】一方、金属超電導体を用いた、ヒステリシ
ス特性を持たないジョセフソン接合素子として、金属超
電導体からなる主電極間を、これと積層した薄い金属に
よって接続した、いわゆるブリッジ型接合の開発も進め
られている。しかし、このようなブリッジ型接合は、上
述したトンネル型接合の場合と同様に、液体ヘリウム温
度に近い極低温での動作が必要であると共に、ブリッジ
部の抵抗が小さく、かつ金属超電導体の超電導ギャップ
自体も小さいために、大きな出力電圧を得ることが困難
であった。
【0004】このような状況の下で、液体窒素温度以上
の高温で超電導特性を示す酸化物超電導材料が発見さ
れ、大きな注目を集めている。酸化物超電導体は、超電
導ギャップの大きさが従来の金属超電導体に比べて 1桁
程度大きく、また金属的伝導から絶縁体までの広範囲の
特性を示す酸化物材料と積層し得る可能性を有してい
る。このような酸化物超電導体を用いて、トンネルジョ
セフソン接合、あるいは出力電圧の大きな、ヒステリシ
スを持たないSNS(超電導体/常電導体/超電導体)
型接合を作製することが可能になれば、上述した従来の
金属超電導体を用いて構成したジョセフソン接合に比
べ、少なくとも極低温動作の必要がなくなり、また大き
い出力電圧が得られることから、広範囲な応用が期待さ
れる。
【0005】しかし、酸化物超電導体はその特性に大き
な異方性を持ち、コヒーレンス長の短いc軸方向を基板
に垂直とした積層構造では、実用上十分な超電導電流を
積層界面を通して流すことができないという本質的な問
題を有している。一方、酸化物超電導体のc軸を基板と
平行とし、これと平行な界面を持つ積層構造では、酸化
物超電導体固有のc軸方向の熱膨脹率が異常に大きいと
いう性質により、高温での製膜後の冷却時に、基板結晶
との間に大きな歪みを生じ、酸化物超電導体薄膜にクラ
ックが生じ易いという問題がある。また、これを防止す
るために、c軸を基板面内の複数の結晶方位に分散させ
た双晶構造膜を用いると、実効的なロンドン侵入距離が
大きくなり、極めて微細な接合を作製しない限り、良好
な特性が得られないという問題がある。
【0006】上述したような問題を解決するための手段
として、c軸が基板面と垂直となるように形成した酸化
物超電導体薄膜を、基板面と角度を成すようにエッチン
グして、このエッチング端面に接合を形成する方法が検
討されている。このような接合はエッジ接合と呼ばれ、
酸化物超電導体の持つ異方性の問題を回避できる可能性
があるものとして期待されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の酸化物超電導体薄膜を用いたエッジ接合におい
ては、その製造工程に起因して、以下に示すような問題
が発生している。すなわち、従来のエッジ接合の製造工
程においては、図4に示すように、酸化物基板1上に第
1の酸化物超電導体薄膜2と絶縁体膜3とを順に形成し
(図4−a)、この積層膜を基板面と所望の角度を成す
ようにエッチングし(図4−b)、第1の酸化物超電導
体薄膜2の端面を露出させている。このエッチングの際
に、露出した酸化物基板1の一部も除去されてしまい、
基板1が段差1aを生じてしまう。そして、このような
段差1aが生じた基板1上に、絶縁体や常伝導体からな
る接合バリア層4と第2の酸化物超電導体薄膜5とを順
に形成して、エッジ接合をしている(図4−c)。
【0008】ここで、酸化物超電導体をエピタキシャル
成長させることが可能な酸化物基板1を用いた場合で
も、一般に酸化物超電導体との格子整合性は十分ではな
いことから、基板1に段差1aが生じていると、段差部
分の基板面に対する傾斜が十分に緩くないかぎり、例え
ば第2の酸化物超電導体薄膜5の基板1の主面上に成長
する部分5aと傾斜面上に成長する部分5bとの成長方
位が異なり、第2の酸化物超電導体薄膜5に結晶粒界6
が発生してしまう。このような結晶粒界6は、ジョセフ
ソン接合として振る舞うため、傾斜角の大きいエッジ接
合では、エッジ部の接合にさらに粒界接合が直列に挿入
された形となり、十分な特性を得ることができなくな
る。
【0009】このようなことから、従来のエッジ接合で
は、エッジ部の傾斜が十分に緩くなるように製造する必
要があった。これは、接合の実効面積を増大させること
となり、高温動作に要求される高臨界電流密度、高接合
抵抗のジョセフソン接合の実現の妨げとなっていた。換
言すると、臨界温度の高い酸化物超電導体を用いたエッ
ジ型ジョセフソン接合の開発は、産業上大きな貢献を果
たすものと期待されているが、これを実用に供するため
の安定したエッジ部の製造方法の開発が課題とされてい
る。
【0010】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、酸化物超電導体薄膜を用いたエッジ
型ジョセフソン接合をエッジ部の傾斜を自在に設定した
上で実現でき、その結果として、臨界電流密度が大き
く、かつ大きい出力電圧を有するジョセフソン接合をは
じめとする各種超電導素子を再現性よく製造することを
可能にした超電導素子の製造方法を提供することを目的
としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の超電導素子の製
造方法は、基板上に、PrBaCuで組成が実
質的に表される薄膜と、REBaCu(REは
Prを除く希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元
素を示す)で組成が実質的に表される第1の酸化物超電
導体薄膜とを、順に積層して形成する工程と、前記積層
膜上に絶縁体膜を形成した後、前記PrBa Cu
薄膜の一部が除去されるまで、前記積層膜を前記基板
面と角度を成して部分的に除去し、前記第1の酸化物超
電導体薄膜の端面と前記PrBaCu薄膜の表
面を露出させる工程と、少なくとも前記第1の酸化物超
電導体薄膜の端および前記PrBa Cu 薄膜
の露出させた表面を被覆するように、絶縁体または常伝
導体の薄膜と、REBaCuで組成が実質的に
表される第2の酸化物超電導体薄膜とを、順に積層して
形成する工程とを有することを特徴としている。
【0012】本発明の超電導素子の製造方法において
は、まず基板上にPrBa2 Cu3 O 7 膜と、第1の超電導電
極となるREBa2 Cu3 O 7 膜(第1の酸化物超電導体薄
膜)とを積層する。これら薄膜の組成(モル比)は、厳
密にその比率を満足させなければならないものではな
く、所望の特性、例えば酸化物超電導体薄膜においては
超電導特性が得られる範囲であれば多少の変動は許容さ
れる。なお、酸化物超電導体の酸素量は、通常、最適な
超電導特性が得られるように調整される。上記積層膜と
しては、REBa2 Cu3 O 7 膜上に、さらにPrBa2 Cu3 O 7
膜を積層形成することが好ましい。
【0013】上記積層膜作製時の基板温度や基板材料等
は、積層膜のc軸が基板面と垂直となるように選定す
る。積層は、同一製造装置内で真空を破らずに行うこと
が高品質の超電導膜を得る上で望ましいが、必ずしもこ
れに限定されるものではない。次に、上記積層膜上に絶
縁体膜を形成する。この絶縁体膜は、後の積層膜端面の
露出のためのエッチング工程をフォトレジストをマスク
として行う場合には、積層膜上全面に形成する。また、
エッチング工程に用いるマスクとして、絶縁体膜を用い
る場合には、フォトレジストを用いたリフトオフ工程に
より、積層膜上に選択的に絶縁体を形成してもよい。ま
た、この両者を併用し、積層膜上全面に第1の絶縁体膜
を形成した後、さらにその上に選択的に第2の絶縁膜を
形成する方法を採用することもできる。
【0014】これらの絶縁体膜は、結晶化したもので
も、非晶質のものでも同様に用いることができる。ただ
し、フォトレジストを用いたリフトオフ工程を採用する
場合には、絶縁体膜形成時の基板温度を低く抑える必要
があるため、非晶質の絶縁体膜を用いることが好まし
い。
【0015】接合部を形成するためのエッチング工程
は、フォトレジスト、あるいは上述した選択的に形成さ
れた絶縁体膜をマスクとして、例えばイオンミリング法
により行う。エッチングで露出させる積層膜端面と基板
面との角度は、例えばエッチングのためのイオンの照射
角度を適宜選択することで、正確に制御することができ
る。
【0016】本発明の超電導素子の製造方法において
は、上記エッチングを基板と接しているPrBa2 Cu3 O 7
膜の少なくとも表面が露出するように行う。実際の工程
においては、REBa2 Cu3 O 7 膜を確実にエッチングする
必要があることから、PrBa2 Cu3 O 7 膜の一部までエッ
チングを進行させた後に、エッチングを停止することが
好ましい。このため、露出した積層膜端面の下端には、
PrBa2 Cu3 O 7 の断差を生じることになるが、基板面自
体が露出することはない。
【0017】次に、接合のバリアとなる絶縁体または常
伝導体の薄膜と、第2の超電導電極となるREBa
膜とを、エッチングで露出させた少なくとも第
1の酸化物超電導体薄膜の端面、実際上は積層膜端面
およびPrBa Cu 薄膜の表面を被覆するよう
に形成する。この際、予めエッチング端面のダメージ層
を除去するために、低エネルギーのイオンによるクリー
ニングを行うことが、再現性のよい接合を得る上で好ま
しい。また、露出させた積層膜端面の傾斜が急俊である
場合には、接合バリア層となる物質と第2の超電導電極
となるREBaCuの被着を、傾斜角に応じて
斜め方向から行うことが好ましい。
【0018】また、上記接合バリア層は、酸化物超電導
体と格子整合性のよい材料で形成する必要があり、ペロ
ブスカイト型あるいはこれと類似の結晶構造を有する酸
化物を用いることが望ましい。とりわけ、SNS型接合
を得る際には、酸化物超電導体の同一の結晶構造を有す
る常伝導体、例えばPrBa2 Cu3 O 7 膜を採用すること
で、本発明の効果を十分に発揮させることができる。
【0019】本発明の製造方法による超電導素子は、フ
ォトレジストをマスクとして、第2の超電導電極である
REBa2 Cu3 O 7 膜を所定の接合面積が得られる幅にエッ
チングにより加工することで完成する。
【0020】
【作用】従来のエッジ型接合の作製においては、基板上
に直接形成した酸化物超電導体の端面をエッチング工程
により基板面から傾斜させて露出させ、この露出端面上
に接合を形成していた。この場合、エッチングにより基
板面を露出させる際に、基板の一部も除去され、結果と
して接合部下端には基板材料からなる断差が形成されて
しまう。基板材料として、 SrTiO3 MgO、 LaAlO3 等が
広く用いられているが、一般にこれらの材料と酸化物超
電導体との格子整合性は完全ではなく、このような段差
部上に第2の超電導電極となる酸化物超電導体薄膜を形
成すると、段差部分に結晶粒界が形成されてしまい、エ
ッジ接合と直列に粒界接合が含まれる構造となってしま
う。粒界接合の形成は、エッジ部の傾斜を極めて小さく
することで防ぐことが可能であるが、このような手段を
用いると、接合面積の増大を生じると共に、エッチング
工程の制御が難しいものとならざるを得ない。
【0021】これに対して、本発明の超電導素子の製造
方法においては、基板上に直接酸化物超電導体を形成せ
ず、REBa2 Cu3 O 7 組成の酸化物超電導体と同じ結晶構
造を有し、かつ常伝導体ないしは絶縁体として振る舞う
PrBa2 Cu3 O 7 膜をまず形成する。そして、この上に積
層形成された酸化物超電導体薄膜の端面を露出させる際
には、基板上のPrBa2 Cu3 O 7 膜を全て除去することな
く、その少なくとも一部を残存させる。その結果、エッ
ジ部下端に形成される段差は、PrBa2 Cu3 O 7膜中に存
在することとなる。
【0022】PrBa2 Cu3 O 7 は、REBa2 Cu3 O 7 と極め
て高い格子整合性を持つと共に、結晶構造自体が同一で
あるために、段差部が極めて高く形成されていない限
り、露出端面が急俊な傾斜を有していても、PrBa2 Cu3
O 7 膜の平面部上に成長するREBa2 Cu3 O 7 と、傾斜部
上に成長するREBa2 Cu3 O 7 の結晶方位を同一とするこ
とができ、よってREBa2 Cu3 O 7 膜中の粒界発生を防止
することができる。とりわけ、エッジ接合として有用性
の高いPrBa2 Cu3 O 7 等の酸化物超電導体と整合性の高
いバリア材料を用いた場合には、この効果を顕著に得る
ことができる。このため、本発明の製造方法では、エッ
ジ部の傾斜を従来法に比べて急俊にすることができ、そ
の結果として、容易に微小面積のジョセフソン素子等が
実現できると共に、製造工程の制御性を高めることがで
きる。
【0023】なお、本発明の超電導素子の製造方法にお
いて、積層膜として酸化物超電導体薄膜上にも予めPrBa
2 Cu3 O 7 膜を形成しておくことにより、上部PrBa2 Cu
3 O7 膜のエッジ部を被覆する酸化物超電導体薄膜中に
おける粒界の発生を防止することができる。ただし、上
部PrBa2 Cu3 O 7 膜上の絶縁体膜並びに絶縁体膜上面部
の上の酸化物超電導体薄膜には結晶粒界が発生してしま
うが、これらの粒界部は上部PrBa2 Cu3 O 7 膜の厚さ分
だけエッジ接合から離れており、また超電導電流の経路
としては利用されないため、エッジ接合の特性に影響を
及ぼすことはない。すなわち、第1の酸化物超電導体薄
膜上に形成する上部PrBa2 Cu3 O 7 膜は、素子の活性領
域であるエッジ接合部を、第2の超電導電極となる酸化
物超電導体薄膜の一部に必然的に形成される粒界部から
一定距離だけ隔絶する作用をする。なお、上部PrBa2 Cu
3 O 7 膜を形成しない場合においても、直接的な超電導
電流の経路に粒界が形成されることはないため、エッジ
接合の特性に直接影響を及ぼすことはない。
【0024】第2の超電導電極における粒界の発生を最
小とするためには、上部PrBa2 Cu3O7 膜上には絶縁体膜
を形成しないことが望ましいが、PrBa2 Cu3 O 7 膜は多
量の局在準位を含む絶縁体であり、高温においてはこの
局在準位を介しての漏れ電流が問題となる。とりわけ、
本発明の超電導素子の製造方法で作製される微小面積の
エッジ接合では、エッジ部以外での寄生的な電流パスの
形成を防止することが不可欠であるため、上部PrBa2 Cu
3 O 7 膜上に絶縁体膜を形成して、漏れ電流を防止する
ことが好ましい。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0026】図1は、本発明の超電導素子の製造方法を
適用した一実施例の製造工程を示す図である。同図は、
基板材料として SrTiO3 結晶を (100)面に平行に研磨し
たものを、超電導電極材料として YBa2 Cu3 O 7 を、エ
ッジ部のバリア層材料としてPrBa2 Cu3 O 7 を用いた、
SNS型のエッジ接合の製造工程を示している。
【0027】まず、図1(a)に示すように、 SrTiO3
(100) 基板11上に、多元反応性スパッタ法により、下
部PrBa2 Cu3 O 7 膜12、第1の超電導電極となる YBa
2 Cu3 O 7 膜13、および上部PrBa2 Cu3 O 7 膜14を
連続して積層形成した。この際、製膜時の基板温度は、
これら積層膜のc軸が基板面に垂直に配向する 780℃に
一定に保っており、また各層の厚さは下部PrBa2 Cu3 O
7 膜12を 100nm、第1の YBa2 Cu3 O 7 膜13を 300
nm、上部PrBa2 Cu3 O 7 膜14が 200nmに設定した。
【0028】次いで、上部PrBa2 Cu3 O 7 膜14上に、
同一真空容器中で絶縁体膜であるMgO薄層15を20nm成
長させた。このようにして得られた積層膜中の YBa2 Cu
3O7 膜13の超電導転移温度は 89Kであった。
【0029】積層膜の形成後、通常の光学露光法でポジ
型レジストのパターンを所定の位置に作製し、電子銃を
用いた蒸着法により、厚さ 500nmの MgOを低温で堆積し
た後、レジストを溶解除去することによって、図1
(b)に示すように、非晶質 MgO層の島状パターン16
を形成した。
【0030】上記非晶質 MgO層の島状パターン16をマ
スクとして、イオンミリング法により MgO薄層15、上
部PrBa2 Cu3 O 7 膜14、第1の YBa2 Cu3 O 7 膜13
を、下部PrBa2 Cu3 O 7 膜12が露出するまで連続的に
エッチングし、エッジ端部を形成した(図1(c))。
エッジ部の基板面に対する傾斜角は、ミリングを行うイ
オンの照射角で制御した。この実施例では、エッジ部の
傾斜角が45度となるように設定した。
【0031】次に、 60Vの低電圧で加速したArイオンを
数分間照射して、エッチング時に生じた歪み領域を除去
した後、直ちに多元スパッタ装置に装着し、酸素雰囲気
中で加熱することで、エッジ端部に残留した歪みを回復
させた。
【0032】この後、接合バリア層となるPrBa2 Cu3 O
7 膜17を 5nm、および第2の超電導電極となる YBa2
Cu3 O 7 膜18を 300nm積層した。上部超電導電極の加
工には、通常のリソグラフィ工程とArイオンによるエッ
チングを用い、最終的にエッジ部に幅 5μm の接合を作
製した(図1(d))。従って、この実施例における接
合面積は、 0.4× 5μm である。
【0033】このようにして得た超電導素子の液体ヘリ
ウム温度における電流−電圧特性を図2に示す。バリア
層としてのPrBa2 Cu3 O 7 膜17が常伝導的性質を有す
るために、ヒステリシスのないSNS型ジョセフソン接
合としての特性を示しており、また上下の超電導電極の
マイクロショートによるリーク電流は存在しないことが
確認された。ジョセフソン接合による臨界電流は 2mA、
素子の出力電圧であるIc ・Rn 積として約 5mVが得ら
れている。
【0034】また、図3はこの実施例によるエッジ接合
が均一なジョセフソン特性を示すことを確認するために
行った臨界電流の印加磁界依存性を示す図である。図3
から分かるように、作製した素子は理想的なフラウンホ
ファーパターンを示した。このようなジョセフソン特性
は 50Kの温度でも確認され、この温度でのジョセフソン
電流として 100μA 、Ic ・Rn 積は 250μV が得られ
た。これは、本発明の製造方法を用いて作製した超電導
素子が高温で動作し得ることを検証するものである。
【0035】このように、本発明の製造方法を適用する
ことによって、例えば45度という傾斜角を有する積層膜
端面に対しても、安定して特性に優れたエッジ接合を形
成することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、酸
化物高温超電導体を利用した高温で動作し得る微小面積
のジョセフソン接合素子をはじめとした各種の超電導素
子を、安定にかつ再現性よく作製することが可能とな
り、産業上多大の寄与をすることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による超電導素子の製造工
程を模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施例により得た超電導素子の電
流−電圧特性を示す図である。
【図3】 本発明の一実施例により得た超電導素子の臨
界電流の印加磁界依存性を示す図である。
【図4】 従来のエッジ接合の製造工程を模式的に示す
断面図である。
【符号の説明】
11…… SrTiO3 (100) 基板 12……下部PrBa2 Cu3 O 7 膜 13……第1の YBa2 Cu3 O 7 膜 14……上部PrBa2 Cu3 O 7 膜 15…… MgO薄層 17……接合バリア層となるPrBa2 Cu3 O 7 膜 18……第2の YBa2 Cu3 O 7

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、PrBaCuで組成
    が実質的に表される薄膜と、REBaCu
    (REはPrを除く希土類元素から選ばれる少なくとも
    1種の元素を示す)で組成が実質的に表される第1の酸
    化物超電導体薄膜とを、順に積層して形成する工程と、 前記積層膜上に絶縁体膜を形成した後、前記PrBa
    Cu 薄膜の一部が除去されるまで、前記積層膜を
    前記基板面と角度を成して部分的に除去し、前記第1の
    酸化物超電導体薄膜の端面と前記PrBaCu
    薄膜の表面を露出させる工程と、少なくとも 前記第1の酸化物超電導体薄膜の端および
    前記PrBa Cu 薄膜の露出させた表面を被覆
    するように、絶縁体または常伝導体の薄膜と、REBa
    Cuで組成が実質的に表される第2の酸化物超
    電導体薄膜とを、順に積層して形成する工程とを有する
    ことを特徴とする超電導素子の製造方法。
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