JP2778892B2 - 超電導素子の製造方法 - Google Patents

超電導素子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導体薄膜を
利用した超電導素子の製造方法に係り、特に大きい超電
導電流を流せる方向を基板と垂直方向に設定した積層型
の超電導素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導素子としては、従来から、Pbある
いはNb等の金属超電導体を用いて、超電導電子対がトン
ネルできる程度の薄い絶縁層を挟み込んだ積層構造のト
ンネル型ジョセフソン接合素子等が知られている。この
ような従来のトンネル型ジョセフソン素子は、液体ヘリ
ウム温度に近い極低温での動作が必要とされている。ま
た、トンネル型ジョセフソン接合に特有なヒステリシス
を持つ電流−電圧特性を示すために、回路構成が複雑に
なる等の問題を有しており、広く実用に供されるまでに
は至っていない。
【0003】一方、金属超電導体を用いた、ヒステリシ
ス特性を持たないジョセフソン接合素子として、金属超
電導体からなる主電極間を、これと積層した薄い金属に
よって接続した、いわゆるブリッジ型接合の開発も進め
られている。しかし、このようなブリッジ型接合は、上
述したトンネル型接合の場合と同様に、液体ヘリウム温
度に近い極低温での動作が必要であると共に、ブリッジ
部の抵抗が小さく、かつ金属超電導体の超電導ギャップ
自体も小さいために、大きな出力電圧を得ることが困難
であった。
【0004】このような状況の下で、最近、液体窒素温
度以上の高温で超電導特性を示す酸化物超電導材料が発
見され、大きな注目を集めている。酸化物超電導体は、
超電導ギャップの大きさが従来の金属超電導体に比べて
1桁以上大きく、また金属的伝導から絶縁体までの広範
囲の特性を示す酸化物材料と積層し得る可能性を有して
いる。このような酸化物超電導体を用いて、積層型のト
ンネルジョセフソン接合、あるいは出力電圧の大きな、
ヒステリシスを持たないSNS(超電導体/常電導体/
超電導体)型接合を作製することが可能になれば、上述
した従来の金属超電導体を用いて構成したジョセフソン
接合に比べ、少なくとも極低温動作の必要がなくなり、
またさらに大きい出力電圧が得られることから、広範囲
な応用が期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化物
超電導体はその特性に大きな異方性を持ち、コヒーレン
ス長の短いc軸方向を基板に垂直とした積層構造では、
実用上十分な超電導電流を積層界面を通して流すことが
できないという本質的な問題を有している。一方、酸化
物超電導体のc軸を基板と平行とし、これと平行な界面
を持つ積層構造では、酸化物超電導体固有のc軸方向の
熱膨脹率が異常に大きいという性質により、高温での製
膜後の冷却時に、基板結晶との間に大きな歪みを生じ、
酸化物超電導体薄膜にクラックが生じ易いという問題が
ある。
【0006】換言すると、臨界温度の高い酸化物超電導
体を用いたジョセフソン接合の開発は、産業上大きな効
果をもたらすものと期待されているが、実用に供するた
めの安定した積層構造の製造方法の開発が課題とされて
いた。
【0007】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、c軸が基板面と平行となる酸化物超
電導体薄膜ならびにその積層構造を、クラック等の発生
を防止し、かつ表面平坦性に優れた形で実現でき、その
結果として、制御性に優れ、大きい出力電圧を有する、
ジョセフソン接合をはじめとする各種の超電導素子を再
現性よく製造することを可能にした超電導素子の製造方
法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の超電導素子の製
造方法は、立方晶または正方晶の結晶構造を有する酸化
物材料を、その 4回対称を有する結晶面に対してほぼ平
行に切り出した後、前記 4回対称結晶面に含まれ、互い
に直交する等価な 2つの結晶主軸の方向に沿って、それ
ぞれ前記 4回対称結晶面に対して角度を成して研磨する
ことにより、表面に網目状の原子ステップを有する基板
を作製する工程と、前記基板の網目状原子ステップを設
けた表面に、RE-AE-Cu-O系(ただし、REは希土類元素か
ら選ばれる少なくとも 1種の元素を、AEはアルカリ土類
元素から選ばれる少なくとも 1種の元素を示す)の酸化
物超電導体薄膜を、その単位格子のa軸またはb軸が前
記基板表面とほぼ垂直になるように配向させて形成する
工程とを有することを特徴としている。
【0009】本発明の超電導素子の製造方法において
は、まず立方晶または正方晶の結晶構造を有する酸化物
基板の表面に、網目状の原子ステップ、すなわち互いに
直交する結晶格子間隔に近い段差を持ったミクロな階段
状構造を形成する。この網目状原子ステップは、まず基
板材料として、立方晶または正方晶の対称性を有する結
晶構造の酸化物材料を用い、その 4回対称を有する結晶
面とほぼ平行な主面を持つように切り出す。次いで、上
記 4回対称結晶面に含まれ、互いに直交する等価な 2つ
の結晶主軸の方向に沿って、それぞれ 4回対称結晶面と
角度を成すように各方向に研磨する。
【0010】具体的には、まず 4回対称結晶面に含まれ
る 1つの結晶主軸に沿って、 4回対称結晶面と角度を成
すように研磨する。この第1段階の研磨により、基板面
には当該結晶主軸方向にミクロな階段状構造が形成され
る。次に、他方の結晶主軸に沿って、同様に 4回対称結
晶面と角度を成すように研磨する。この第2段階の研磨
は、第1段階の研磨によるマクロに見た場合の研磨面を
基準面として実施する。この第2段階の研磨により、先
に形成された階段状構造の各面に対して、当該結晶主軸
方向にミクロな階段状構造が形成される。これらによ
り、基板面には網目状の原子ステップが形成される。
【0011】この基板面(研磨面)に形成された原子ス
テップと原子ステップの間には、それぞれ 4回対称面が
露出しているため、上記基板面にRE-AE-Cu-O系の酸化物
超電導体薄膜を製膜すると、上記 4回対称面が露出して
部分での酸化物超電導体のc軸は、 4回対称面に含まれ
る 2つの等価な結晶主軸のいずれかに整合し、a軸ある
いはb軸が基板面に対して垂直方向に立った成長が行わ
れる。ここで、酸化物超電導体のc軸は、直交する 2つ
の等価な結晶主軸に対し、ほぼ当確率で整合して成長す
るため、酸化物超電導体のc軸方向の特異な熱膨張率を
緩和することができる。
【0012】なお、 4回対称面そのものを表面とした基
板を用いることによっても、その上に製膜した酸化物超
電導体薄膜は、基板表面上でランダムに核成長を開始
し、a軸あるいはb軸が基板面に対して垂直方向に立っ
た構造は得られるものの、c軸方位の異なる結晶粒の大
きさは不定であり、その結果として結晶粒間の高さが大
きく異なってしまう。これにより、薄膜表面の凹凸は大
きくなり、著しい場合には、例えば 300nmの平均膜厚に
対して、50nm以上の高低差を生じる場合がある。これに
対して、本発明の製造方法においては、基板表面に互い
に直交する網目状のステップ構造(ステップ−ステップ
間の結晶面は結晶格子の数個〜数10個分程度)を設ける
ことにより、酸化物超電導体の核成長の起点となるステ
ップ部をほぼ等間隔に分散させているため、成長初期過
程を制御することができる。このため、c軸方位の異な
る結晶粒は小さく分散し、よってそれらの間の高低差を
著しく小さく押さえることが可能となる。そして、その
結果として、表面平滑性に優れた酸化物超電導体薄膜が
得られる。
【0013】上記した基板研磨における 4回対称結晶面
との角度は、それぞれ10度以下とすることが好ましい。
研磨角度が10度を超えると、他の配向、すなわち酸化物
超電導体結晶の [110]方向が基板面に対して垂直な結晶
粒等が発生する可能性が生じ、表面凹凸の増大や超電導
特性の低下等を招く。すなわち、研磨角度が10度以下で
あれば、実用に足る厚さの積層構造を形成しても、結晶
粒間の凹凸を極めて小さくすることが可能となる。より
好ましい研磨角度は、それぞれ 2〜 6度の範囲である。
【0014】本発明における酸化物超電導体薄膜は、RE
-AE-Cu-O系酸化物超電導体からなるものであり、具体的
には 化学式:REAE2 Cu3 O 7 ………(1) (式中、REは Y、La、Sc、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu等の希土類元素から選ばれる少なくとも
1種の元素を、AEはBa、Ca、Sr等のアルカリ土類元素か
ら選ばれる少なくとも 1種の元素を示す)で実質的に表
される組成を有するものが例示される。なお、通常酸素
量は、最適な超電導特性が得られるように調整される。
また、各元素のモル比は厳密に上記比率を満足させなけ
ればならないものではなく、超電導特性が得られる範囲
であれば多少の変動は許容される。
【0015】
【作用】一般に、酸化物超電導体薄膜を形成するには、
薄膜形成に必要な 700℃前後の温度で酸化物超電導体と
の反応がなく、かつ結晶格子の寸法が近い材料からなる
基板を用いる必要がある。このような基板としては、 S
rTiO3 やこれと類似のペロブスカイト構造の酸化物が広
く用いられている。これらの基板は、図7に示すよう
に、室温では酸化物超電導体のc軸とよい格子整合性を
示すが、製膜が行われるような高温ではその整合性が悪
い。これは、酸化物超電導体のc軸方向の熱膨張率が特
異な温度依存性を示すためである。
【0016】この特異な温度依存性は、酸化物超電導体
中の銅と酸素原子が 1次元の秩序構造を作り、結晶系が
高温での正方晶から、低温での斜方晶に変化する現象と
対応している。従って、高温での製膜時には基板上の酸
化物超電導体膜は圧縮力を受けながら成長することにな
る。また、製膜が終了した後に、基板を冷却していく
と、酸化物超電導体膜は収縮し、圧縮力が引張り力に変
化する。この結果、酸化物超電導体のc軸が基板面と平
行で、かつc軸を 1方向に揃えて成長させると、室温ま
で冷却する過程で、酸化物超電導体膜にはクラックが発
生する。
【0017】上記したクラックは、酸化物超電導体膜の
c軸を互いに直交するような 2方向に、同様な割合でミ
クロに分散させて成長させ、応力を緩和することで防止
することができる。ただし、c軸の方位の異なる結晶粒
が成長初期において乱雑に発生すると、結晶粒間のアン
バランスによって、酸化物超電導体膜表面には多大な凹
凸が生じてしまう。換言すれば、立方晶あるいは正方晶
の結晶構造を持つ材料を基板とし、その 4回対称を有す
る結晶面上に酸化物超電導体薄膜を作製することで、a
軸ないしはb軸が基板面に垂直に立った酸化物超電導体
膜を作製することは可能であるが、その表面モフォロジ
ーは積層型のジョセフソン接合を作製するには不十分な
ものとならざるを得ない。
【0018】そこで、本発明の製造方法においては、ま
ず基板表面に結晶格子間隔程度の段差を、基板結晶の 4
回対称面の互いに直交する等価な 2つの結晶主軸方向に
多数形成している。このような網目状の段差が基板表面
に存在すると、酸化物超電導体膜は段差部分から成長を
開始することになる。従って、段差密度を制御(研磨角
度で制御)することにより、成長初期におけるc軸方位
の異なる結晶粒の密度を人為的に制御することが可能と
なる。そして、段差密度を十分に大きく設定しておくこ
とによって、c軸方位の異なる結晶粒を微細に、かつ 2
つの結晶主軸に対してほぼ等確率で、a軸またはb軸が
基板面とほぼ垂直になるように配向させて成長させるこ
とができる。これによって、結晶粒間の成長を均等に行
わせることができるため、表面平滑性に優れた酸化物超
電導体薄膜が得られる。
【0019】このように、本発明の超電導素子の製造方
法を用いることによって、酸化物基板上にc軸が基板面
とほぼ平行となるように配向させた、RE-AE-Cu-O系酸化
物超電導体薄膜を、膜中に大きな応力を残存させずに形
成することができ、その結果として、クラックの発生や
超電導転移温度の低下等を防止することが可能となる。
また、実用的なジョセフソン接合に必要な厚さの積層構
造を作製しても、その表面凹凸は十分に小さくすること
ができるため、超電導電極間の短絡等、従来の積層構造
で問題となっていた不良を大幅に減ずることが可能とな
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0021】図1は、本発明の超電導素子の製造方法を
適用した一実施例の製造工程を示す図である。同図は、
超電導電極材料として YBa2 Cu3 O 7 、中間バリア層材
料としてPrBa2 Cu3 O 7 、また基板材料として SrTiO3
単結晶体を用いた 3層積層SNS型のジョセフソン接合
素子の製造工程を示している。同図を参照して、以下に
SNS型ジョセフソン接合素子の製造工程について説明
する。
【0022】まず、 SrTiO3 単結晶体を、 4回対称を有
する (100)結晶面とほぼ平行な主面を持つようにウエハ
ー状に切り出す。次いで、上記 (100)結晶面に含まれ、
互いに直交する等価な 2つの結晶主軸、すなわち [010]
と [001]の 2方向に沿って、それぞれ (100)結晶面に対
して 3度づつ傾けて、上記単結晶ウエハーを 2段階で研
磨することにより、図1(a)に示すように、表面に網
目状の原子ステップ2を設けた SrTiO3 基板1を作製す
る。
【0023】この基板1の作製工程について、図2〜図
4を参照して詳述する。まず、図2に示すように、 SrT
iO3 (100)ウエハー11に対して、 (100)結晶面に含ま
れる等価な 2つの結晶主軸の一方、例えば [010]方向に
(100)結晶面を 3度(図中、θ1 で示す)傾けて研磨を
行う。この第1段階の研磨による研磨面は、 (100)結晶
面に対して 3度傾いたものとなるが、この研磨面をミク
ロに見ると、図3に示すように、 [010]方向に階段状の
原子ステップ12aが形成されていることになる。図中
11aは、この第1段階の研磨により得られた、マクロ
に見た場合の研磨面を示している。
【0024】次に、 (100)結晶面に含まれる 2つの結晶
主軸の他方、すなわち [001]方向に(100)結晶面を 3度
(図中、θ2 で示す)傾けて研磨を行う。ただし、この
第2段階の研磨は、第1段階の研磨により得られた研磨
面を基準面として行う。この第2段階の研磨によって、
図4に示すように、 [001]方向にも階段状の原子ステッ
プ12bが形成される。そして、この第2段階の研磨
を、第1段階の研磨による研磨面を基準面として行って
いるため、階段状の原子ステップ12a、12bは、網
目状に形成されることになる。これら原子ステップ12
a、12bの間の面は、いずれも (100)結晶面となる。
【0025】このようにして、2段階の研磨を行うこと
により、図1(a)に示したように、表面に網目状の原
子ステップ2(12a、12b)が設けられた SrTiO3
基板1が得られる。
【0026】次に、上記 SrTiO3 基板1の網目状の原子
ステップ2が設けられた表面1a上に、図1(b)に示
すように、多元反応性スパッタ法によって、下部電極と
なる厚さ 300nmの YBa2 Cu3 O 7 膜3を形成する。この
下部電極の形成にあたっては、 Y、Cu、Ba2 CuO 3 の各
ターゲットを用い、各ターゲットに印加する高周波電力
を制御することで、 Y、Ba、Cuの組成比を所定の 1:2:3
としている。この実施例では、製膜時の基板温度は、酸
化物超電導体膜のa軸が SrTiO3 基板1の (100)面に垂
直に配向する 680℃に保っているが、製膜初期には幾分
基板温度を低く設定したり、同時に基板との間にPr-Ba-
Cu-O膜等のバッファー層を設けて、配向性をより確実な
ものとする手法等を併用することも可能である。
【0027】次いで、上記下部電極層3の上に、同一真
空容器中でPr、Cu、Ba2 CuO 3 をターゲットとして厚さ
25nmのPrBa2 Cu3 O 7 膜からなる中間バリア層4、さら
に厚さ 100nmの YBa2 Cu3 O 7 膜からなる上部電極層5
を、図1(b)に示したように順次成長させる。
【0028】このようにして得られた積層膜の超電導転
移温度は 83Kであった。なお、この転移温度が理想的な
Y-Ba-Cu-O膜の持つ 92Kに比べて若干低いのは、製膜時
の基板温度が低いためである。また、得られた積層膜の
表面は、極めて平滑であり、高分解能の電子顕微鏡によ
ってもクラック等の発生は一切観察されず、原子間力顕
微鏡による測定で得られた結晶粒間の凹凸は、 2μm 角
のスキャン範囲で最大3nmであった。
【0029】また、本発明との比較として、基板として
SrTiO3 (100) 面そのものを使って、上記実施例と同様
に積層膜を作製したところ、結晶粒間に20nm以上の凹凸
が観測され、結晶粒の大きさも上記実施例より大きかっ
た。このことは、本発明の効果を明瞭に示すものであ
る。
【0030】積層膜形成後の加工工程は、通常の半導体
素子の作製に用いられるものと同様である。すなわち、
図1(c)に示すように、表面の保護のために厚さ 100
nmの金蒸着膜6を形成した後、光学露光法で接合部のパ
ターンをレジスト膜に転写し、次いでレジストをマスク
としてイオンミリング法により、上部電極層5と中間バ
リア層4をエッチングする。接合面積は10μm 角とし
た。
【0031】次に、図1(d)に示すように、上部電極
層5および下部電極層3への配線を互いに絶縁するため
の絶縁膜7を積層し、接合部上部のみに穴7aのあいた
形に加工する。この絶縁膜7としては、種々のものが利
用できるが、この実施例では工程を簡略化する目的でネ
ガレジストを利用した。この後、上部電極層5への配線
8をAuによって形成することで、積層型ジョセフソン素
子が完成する。
【0032】図5は、この実施例で得られた超電導素子
の液体ヘリウム温度における電流−電圧特性である。上
下超電導電極間のマイクロショートによる超電導リーク
電流は存在せず、ジョフソン接合による臨界電流として
1.4mA、素子の出力電圧であるIc ・Rn 積として 4.1
mVが得られた。酸化物超電導体に期待される出力電圧20
mVに比べて低いのは、中間バリア層4の厚さが最適化さ
れていないためであり、Pr-Ba-Cu-O膜4を薄くすること
で、さらに良好な特性を得ることができる。
【0033】また図6は、この実施例の超電導素子が実
際に均一なジョセフソン特性を示すことを確認するため
に行った臨界電流の印加磁界依存性を示す図である。こ
の図から分かるように、作製した素子は理想的なフラウ
ンホファーパターンを示した。このようなジョセフソン
特性は液体窒素温度でも確認され、本発明の製造方法を
用いて作製した超電導素子が高温で動作し得ることを検
証できた。
【0034】なお、上記実施例においては、超電導電極
材料として Y-Ba-Cu-O酸化物超電導体、中間バリア層材
料としてPr-Ba-Cu-O常電導体を用いた例について説明し
たが、本発明の製造方法はこれらを用いた場合に限られ
るものではなく、他の超電導電極材料と中間バリア層材
料との組合せにおいても、製膜条件の制御や製膜方法の
適切な選択等により実施可能である。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
酸化物高温超電導体を利用した高温で動作し得るジョセ
フソン接合素子をはじめとして、積層構造を有する各種
の超電導素子を、安定にかつ再現性よく作製することが
可能となり、産業上多大の寄与をすることが期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による超電導素子の製造工程
を示す断面図である。
【図2】図1に示す製造工程の要部を示す図であって、
SrTiO3 単結晶体に対する第1段階の研磨工程を説明す
るための図である。
【図3】図1に示す製造工程の要部を示す図であって、
SrTiO3 単結晶体の第1段階の研磨工程後の状態を示す
図である。
【図4】図1に示す製造工程の要部を示す図であって、
SrTiO3 単結晶体の第2段階の研磨工程後の状態を示す
図である。
【図5】本発明の一実施例により得た超電導素子の電流
−電圧特性を示す図である。
【図6】本発明の一実施例により得た超電導素子の臨界
電流の印加磁界依存性を示す図である。
【図7】Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体および基板用酸化
物の熱膨張率の温度依存性を示す図である。
【符号の説明】
1……網目状の原子ステップを有する SrTiO3 基板 2、12a、12b……原子ステップ 3……下部電極層 4……中間バリア層 5……上部電極層 11… SrTiO3 (100)ウエハー

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立方晶または正方晶の結晶構造を有する
    酸化物材料を、その4回対称を有する結晶面に対してほ
    ぼ平行に切り出した後、前記 4回対称結晶面に含まれ、
    互いに直交する等価な 2つの結晶主軸の方向に沿って、
    それぞれ前記4回対称結晶面に対して角度を成して研磨
    することにより、表面に網目状の原子ステップを有する
    基板を作製する工程と、 前記基板の網目状原子ステップを設けた表面に、RE-AE-
    Cu-O系(REは希土類元素から選ばれた少なくとも 1種の
    元素を、AEはアルカリ土類元素から選ばれた少なくとも
    1種の元素を示す)の酸化物超電導体薄膜を、その単位
    格子のa軸またはb軸が前記基板表面とほぼ垂直になる
    ように配向させて形成する工程とを有することを特徴と
    する超電導素子の製造方法。
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