JP2815501B2 - 改良された紡糸口金 - Google Patents

改良された紡糸口金

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融紡糸に使用する紡
糸口金に関し、さらに詳しくは、高ドラフト紡糸を行う
ことのできる改良された紡糸口金に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融紡糸において、繊維の配向結晶化挙
動を支配する大きな要素として繊維の巻取り速度があ
り、今日、紡速5,000〜7,000m/分クラスの
高速紡糸が実用化されている。この高速紡糸は、延伸
工程の省略、高速化による生産性アップといった生産
性向上のメリットのほかに、通常のFOYに比べて結晶
が大きく、非晶部がルーズであるなど繊維構造自体が異
なるため、易染性、ソフト、ドレープ性、易起毛
性などの特長を有し、これらの特長を生かした差別化商
品の開発も進められている。
【0003】一方、近年、素材開発の多様化が進み、単
なる合理化というだけでなく新素材開発という観点か
ら、紡糸技術の分野においても巻取り速度以外の要素で
繊維の配向結晶化をコントロールする技術も検討されて
いる。例えば、ポリマーの吐出面を突き出して冷却効果
により低伸度化させる方法、あるいは吐出孔にピンを挿
入し、ピンを伝わせながらポリマーを押し出す方法を挙
げることができる。
【0004】しかしながら、前者の場合は、単に口金面
を冷却するということだけであるので、冷却によりポリ
マーの弱糸化が顕著に進むため、ドラスチックな冷却を
付与することはできず、結果として配向結晶化を充分に
コントロールすることはできなかった。一方、後者は、
極めて有効な手段であり、ポリマーの配向結晶化をドラ
スチックに変えることはできるが、挿入するピンの精
度、挿入した後のガタという生産管理的な問題があり、
より簡便な方法が望まれていた。
【0005】ポリマーの配向結晶化をコントロールする
ために古くから行われている、より簡便な代表的な方法
としては、高ドラフト紡糸を挙げることができる。この
技術は、大孔径の吐出孔より溶融ポリマーをゆっくりと
した速度で押出し、口金と巻取りローラーの間で大きな
ドラフトを発生させ、配向結晶化を促進させようとする
試みである。
【0006】この方法によると、確かに配向結晶化は促
進されるが、単に孔径を大きくしていくと吐出孔内のポ
リマーの流れが極めて不安定となり、ひいては巻き取る
ことができなくなってしまう。従って、高ドラフト紡糸
といっても限界があり、ドラフトの値として高々2,0
00〜3,000のレベルであり、ドラフト効果だけで
繊維構造をドラスチックに変えるまでに至ってはいなか
った。
【0007】すなわち、高ドラフト紡糸という概念はあ
ったが、繊維構造をドラスチックに変えることができる
程の高ドラフト紡糸、例えば数万〜数十万の高ドラフト
紡糸が可能な紡糸口金は存在しなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維構造を
ドラスチックに変えることができる程の高ドラフト、例
えば数万〜数十万の高ドラフト紡糸を容易に行うことが
できる改良された紡糸口金を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、紡糸ドラフトとして
は5,000以上、好ましくは10,000以上、さら
に好ましくは数万〜数十万の高ドラフトとし、吐出孔
内のポリマー流の背圧低下を抑えて安定な流れを形成さ
せるならば上記目的を達成できると考え、本発明に到達
した。
【0010】すなわち、本発明は、吐出断面積が連続的
に拡大する形状である吐出孔を有する紡糸口金であり、
該吐出孔が下記(1) 〜(3) を同時に満足することを特徴
とする改良された紡糸口金である。 (1) 該断面積が拡大を開始する地点(A)の断面積(S
A )が0.001963mm2 以上、0.7850mm
2 以下。 (2) 該断面積が最大となる地点(B)の断面積(SB
が少なくとも7.065mm2 。 (3) 連続的に拡大する角度(θ)が3°以上、40°以
下。
【0011】以下、本発明を図面を用いて説明する。本
発明に用いる、「吐出孔の断面積が連続的に拡大する吐
出孔」とは、例えばその1態様を図1に示すような吐出
孔である。もちろん、ポリマーの層流状態を乱さなけれ
ば段階状であっても本発明に用いることができる。この
吐出孔の断面積をみると、ポリマーの導入部1の終了点
である地点2、すなわち地点Aにおける断面積SA から
連続的に拡大し溶融ポリマーが吐出孔を離れる地点3、
すなわち地点Bにおいて最大となる特徴を有しており、
この点が図5に示される通常の吐出孔と大きく異なる点
である。
【0012】一般に、溶融ポリマーに及ぼす紡糸ドラフ
トの効果は、溶融ポリマーが吐出される地点の吐出孔の
断面積に依存するが、これもドラフトの程度によるもの
で、例えば図5に示される通常の吐出孔の場合、確かに
みかけ上(計算上)の紡糸ドラフトは大きくなるが、地
点2′の孔径LA2=地点3′の孔径LB2であるため、L
A2、LB2を極めて大きくすると、LA2とLB2との間を流
れるポリマーの背圧が不充分となり、LA2とLB2との間
の流れの状態が不安定になり、その結果、吐出斑を生じ
るだけでなく、有効なドラフトが作用しなくなるため、
B2の値を大きくすることだけでは限界があった。
【0013】一方、本発明の図1の吐出孔の場合、地点
2で絞ってまず大きな背圧をかけておき次第に拡大する
ため、地点2の孔径LA1〜地点3の孔径LB1の間の背圧
は極めてスムーズに連続的に変化し、しかもその流れの
速度は連続的に減速する。従って、通常の丸孔口金に比
べて背圧低下の程度が極めて小さくなるため(丸孔口金
の数千倍の背圧アップの効果がある)、LA1〜LB1間の
ポリマーの流れは極めて安定となり、地点3では有効な
紡糸ドラフトを取り出すことが可能となるのである。
【0014】すなわち、本発明はみかけの紡糸ドラフト
が少なくとも5,000以上、好ましくは数千〜数万、
さらに好ましくは10万以上という極めて大きい紡糸ド
ラフトを用いることを可能とする紡糸口金に関し、高ド
ラフト紡糸という概念からみても、本発明の紡糸口金
は、ドラフト率が高々2,000〜3,000までとい
う従来の高ドラフト紡糸口金とは一線を画するものであ
る。
【0015】かくの如き高ドラフト効果によって、はじ
めて繊維構造をドラスチックに変えることができるので
ある。
【0016】かくの如き高ドラフト効果を達成するに
は、上記に加えて、地点2、すなわち地点Aにおける断
面積(SA )、地点3、すなわち地点Bにおける断面積
(SB )、さらにテーパー角(θ)が前述の(1)〜(3)
に示す値を満足することが必要である。
【0017】すなわち、(1) 断面積(SA )は、0.0
01963mm2 (丸孔換算0.05mmφ)以上で、
0.7850mm2 (丸孔換算1.0mmφ)以下であ
ることが肝要であり、0.01766mm2 (丸孔換算
0.15mmφ)以上、0.5024mm2 (丸孔換算
0.80mmφ)未満が好ましい結果を与える。
【0018】断面積(SA )が0.001963mm2
未満の場合は地点2での絞りが極めて大きくなり、背圧
アップという観点からは好ましいが、押し出し時の圧
力が高くなりすぎること、地点2に小さな異物が入り
つまってしまう、といった操業性、生産性の観点から好
ましくない。一方、断面積(SA )が0.7850mm
2 を超える場合は絞り効果が不充分となり、背圧アップ
効果が小さく、安定した流れを形成しなくなり好ましく
ない。
【0019】次に、(2) 地点3における断面積(SB
は、少なくとも7.065mm2 (丸孔換算3.0mm
φ)であり、好ましくは12.56mm2 (丸孔換算
4.0mmφ)以上、特に好ましくは19.63mm2
(丸孔換算5.0mmφ)以上である。
【0020】断面積(SB )はドラフト効果そのものに
影響を及ぼすものであり、断面積(SB )が7.065
mm2 未満の場合は繊維構造をドラスチックに変えるだ
けのドラフトにはならないので好ましくない。断面積
(SB )の上限は必ずしも限定されるものではないが、
例えば断面積(SB )の値が176.6mm2 (丸孔換
算15mmφ)を超えると1ホール当たりの吐出孔断面
積が大きくなるため、多ホール化口金を作成する場合は
ホール数を増やすことができなくなるので、断面積(S
B )の上限は176.6mm2 程度にするのが好まし
い。ただモノフィラメント用口金として使用する場合
は、もちろんこの限りでないことはいうまでもない。
【0021】さらに、本発明の紡糸口金において重要な
ことは、連続的に拡大するテーパー角(θ)をある特定
の領域に設定することである。すなわち、(3) テーパー
角(θ)は3°以上、40°以下とする必要があり、好
ましくは5°以上30°以下とする必要があり、さらに
好ましくは10°以上20°以下とする必要がある。
【0022】テーパー角(θ)が3°未満の場合は、背
圧アップという観点からは好ましいが、押し出し時の
圧力が大きくなりすぎること、ランド部の長さ
(LC1)が極めて大きくなり、特に断面積(SB )が大
孔径になった場合はより顕著になり、口金自体極めて厚
くなるので実用性、操業性の面でも好ましくない。
【0023】テーパー角(θ)が40°を超える場合
は、背圧アップの効果はそれほど大きくはなく、特に断
面積(SB )を大きくした場合は、地点2〜3のポリマ
ー流が極めて不安定になってくるため、紡糸性が大きく
低下し、目的とする高ドラフト紡糸を行うことはできな
い。
【0024】本発明の紡糸口金の吐出孔の断面形状とし
ては、丸孔について述べてきたが、その形状は必ずしも
丸孔に限定されるものではなく、各種の形状、例えば連
続的に断面が拡大する三角断面形状、連続的に断面形状
が拡大する六角断面形状、あるいは連続的に断面形状が
拡大する中空形成能を有する吐出孔など、各種の異形お
よび中空吐出孔に適用できることはいうまでもない。
【0025】なお、本発明の紡糸口金は地点2で一度大
きく絞ることを特徴とするが、この際、口金の製造上の
理由で地点2の部分が最初から大きく絞るのではなく、
多少の部分は同一径でそれから拡大するような口金でも
目的を達成することができるのはいうまでもない。
【0026】さらに、本発明の紡糸口金は、本発明の吐
出孔のみを有する紡糸口金の他に他の形状の吐出孔を含
む紡糸口金としても使用できる。例えば、図2〜4のよ
うな組合せとしても使用することができる。これらの場
合は、紡糸段階から有用な構造を有する混繊糸を合理的
に作ることができるため、混繊糸の製造上極めて有効な
手段となる。
【0027】図2〜4の如き紡糸口金を使用して巻き取
られた未延伸糸は、通常のとおり延伸してシルキー調の
嵩高繊維として使用することができる。また、通常のと
おり(延伸)仮撚すると差別化加工糸としても使用する
ことができる。
【0028】本発明の改良された紡糸口金を使用するに
あたっては、その生産設備、生産条件などは従来公知の
ものを用いることができる。
【0029】また、本発明の紡糸口金に使用できる重合
体としては、特に限定されるものではなく、各種の熱可
塑性重合体、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリオ
レフィンを挙げることができる。具体的にポリエステル
としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
ヘキサメチレンテレフタレートを、ポリアミドとして
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46を、ポリ
オレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンを
挙げることができる。
【0030】
【作用】本発明の改良された紡糸口金を使用した場合、
極めて大きなドラフトをかけることができるため、繊維
の配向結晶化挙動をドラスチックに変えることができ
る。例えば、ポリエチレンテレフタレートの溶融紡糸に
おいては、力学的性質の改良の観点から見ると、紡速
1,000m/分程度の低紡速でも容易に低伸度化でき
る。さらに、紡速を中程度の紡速の3,000m/分程
度にすると、通常の紡糸口金を使用した場合、6,00
0m/分以上の超高速紡糸にして初めて達成することが
できる結晶サイズの大きく発達した結晶を有する繊維を
容易に作ることができるため、耐熱性(寸法安定性)に
優れたポリエチレンテレフタレート繊維を得ることがで
きる。
【0031】さらに、上記の力学的性質、耐熱性のほか
に、染色性の面でも従来の口金を使用して得られる糸に
比べて極めて良く染まるため、屈折率が高く、他素材に
比べて鮮明感の劣るポリエチレンテレフタレート繊維の
色彩改良の極めて有効な手段となる。また、アルキルス
ルホン酸ソーダなどを含む改質ポリエチレンテレフタレ
ートを使用した制電性ポリエステル繊維の紡糸において
は、その高ドラフト効果で上記の剤が極めて細く筋状に
分布するため制電性に優れた制電性繊維を得ることがで
きる。
【0032】さらに、本発明の紡糸口金を用いると、溶
融ポリマーの細化過程での伸長の程度を大きくすること
ができるので、分子鎖の引き伸しを容易にできるため、
通常の紡糸口金よりも温度を下げて紡糸することがで
き、その結果、長時間紡糸しても口金面に付着する異物
の量が少ないといった、生産技術の面でのメリットも有
する。
【0033】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、本実施例において、各物性は下記の
方法で測定したものである。 固有粘度〔η〕 35℃、o−クロロフェノール中における測定によっ
た。 強度、伸度 オートグラフ(定速伸長型引張試験機)を用い、つかみ
間隔の距離を20cmとし、標準初荷重のもとで試料を
とりつけ、引張速度100%/分で引っ張り、荷重伸長
曲線を描き、荷伸曲線の最大応力点をその試料の切断強
力および伸度とした。なお、測定回数は5回とし、平均
値を求めた。また、強度(g)は、デニールあたりの強
さを求めて強度(g/デニール)とした。
【0034】沸水収縮率 軽荷重(1/30g/デニール)をかけ、処理前の試長
(L0 )をスケール板上で測定したのち、沸騰水中で3
0分間処理し、1時間放置後、軽荷重をかけて処理後長
(L1 )を測定し、下記式1より収縮率を求めた。
【式1】収縮率(%)=〔(L0 −L1 )/L0 〕×1
00 自然延伸倍率(NDR) 未延伸糸の応力−伸度曲線より、応力が立ち始める点の
伸度から求めた。
【0035】紡糸ドラフト 巻取り速度(V)とポリマーの吐出線速度(T)の比V
/Tより求めた。 比重 n−ヘプタン/四塩化炭素系密度勾配管により、25℃
で測定した。
【0036】融点 理学電機社製、DSC−10Aを使用し、N2 雰囲気
中、昇温速度10℃/分の条件で融点を測定した。 染色性(L値) マクベス社製、分光光度計、Macbeth(登録商
標)Color−EYE(登録商標)を用いて測定し
た。
【0037】実施例1 固有粘度〔η〕が0.64のポリエチレンテレフタレー
トを溶融し、図1に示す形状の吐出孔を有する紡糸口金
(吐出孔数36)より吐出量11.1g/分で押し出し
た。使用した吐出孔の各部の寸法を表1に記す。
【0038】
【表1】
【0039】次いで、押し出されたポリマー流に、温度
26℃、湿度60%の冷却風を30cm/秒の線速度で
吹きつけ、冷却固化させたのち、オイリングローラーで
油剤を付与し、引取り速度1,000m/分で巻き取
り、100デニール/36フィラメントの未延伸糸を得
た。紡糸ドラフトは53,000と極めて高ドラフトで
あったが、非常に安定して紡糸でき、5時間連続して巻
いてみたが、この間単糸切れ、糸切れが全く発生しなか
った。得られた未延伸糸の糸特性を表2に示す。
【0040】比較例1 図5に示す吐出孔を有する従来公知の紡糸口金(LA
B =0.30mmφ、LC =0.60mmφ、孔数3
6、紡糸ドラフト190)を用いて実施例1と同様にし
て得られる未延伸糸の糸特性を表2に併せて示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかなように、本発明の紡糸口
金を用いると、1,000m/分程度の低紡速でも、公
知の紡糸口金を使用した場合と比較して、伸度、NDR
とも極めて小さくすることができることがわかる。な
お、実施例1で得られた糸特性値は公知の紡糸口金では
3,000m/分以上の高速によって得られる値に相当
する。
【0043】実施例2 実施例1で使用した紡糸口金を用い、吐出量33.3g
/分とした以外は実施例1と同じ要領で紡速3,000
m/分で巻取り、100デニール/36フィラメントの
未延伸糸を得た。得られた未延伸糸の糸特性を表3に示
す。
【0044】比較例2 比較例1で使用した紡糸口金を用いて、吐出量33.3
g/分、紡速3,000m/分で巻き取った100デニ
ール/36フィラメントの未延伸糸の糸特性を表3に併
せて示す。
【0045】
【表3】
【0046】表3から明らかなように、本発明の紡糸口
金を用いた場合は、公知の紡糸口金を用いた場合と比べ
て、極めて結晶化が進んでいることが比重の値からわか
り、また、その結晶が大きく成長していることが高融点
の結果からわかる。すなわち、本発明の紡糸口金を用い
ると、高結晶性ポリエステル繊維を容易に得ることがで
きる。
【0047】実施例3 実施例2で得られた未延伸糸は、3,000m/分の中
紡速であるが、強度2.9g/d、伸度78%、収縮率
3%と延伸熱処理操作を付与させなくても使用できるも
のであったので、そのまま筒編みを施したのち、下記染
色条件で染色した。次いで、還元洗浄処理して過剰の染
料を除去し、水洗、乾燥後、染色性測定用試料として、
染色性(L値)を測定した。結果を表4に示す。
【0048】染色条件 染料:Eastman Polyester Blue GLF 染料比:筒編物に対して4重量% 助剤:モノゲン0.5%/l 浴比:1/100 温度×時間:100℃×60分
【0049】還元洗浄処理条件 浴組成: ハイドロサルファイト 2g/l NaOH 2g/l アシラジン−D 2g/l 温度×時間:80℃×20分
【0050】比較例3 比較例1で使用した紡糸口金を使用して、紡速5,00
0m/分で巻き取った100デニール/36フィラメン
ト(ドラフト190、強度3.5g/d、伸度68%)
の未延伸糸を実施例3と同様に筒編みし、染色後還元洗
浄処理を行い、染色性を調べた。結果を表4に併せて示
す。
【0051】
【表4】
【0052】表4から明らかなように、公知の紡糸口金
を使用して紡速5,000m/分で得られた繊維は非常
によく染まるが、本発明の紡糸口金を使用し、紡速3,
000m/分で得られた繊維はさらによく染まり、優れ
た染色性を示すことがわかる。
【0053】実施例4〜6、比較例4〜8 各部の寸法を表5に示すように種々に変更した口金に
て、実施例1と同様にして溶融したポリエチレンテレフ
タレートを押し出し、紡速1,000m/分で巻き取っ
た。紡糸状況、得られた繊維の物性を表5に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
【発明の効果】本発明の紡糸口金を使用すると、数万〜
数十万の高ドラフト紡糸を容易に行うことができ、配向
結晶化挙動をドラスチックに変更された繊維を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の改良された紡糸口金で、断面積が連続
的に拡大する吐出孔の1つの模式図である。
【図2】本発明の吐出孔を用いた混繊糸の製造方法に使
用できる吐出孔の組合せを示すもので、断面積が変化し
ない吐出孔(A)と断面積が連続的に拡大する吐出孔
(B)との組合せを示す。
【図3】本発明の吐出孔を用いた混繊糸の製造方法に使
用できる吐出孔の組合せを示すもので、断面積が連続的
に縮小する吐出孔(A)と断面積が連続的に拡大する吐
出孔(B)との組合せを示す。
【図4】本発明の吐出孔を用いた混繊糸の製造方法に使
用できる吐出孔の組合せを示すもので、断面積が両者と
も連続的に拡大する吐出孔の組合せを示す。
【図5】従来の紡糸口金の吐出孔の模式図である。
【符号の説明】
1、1′ ポリマーの導入部 2 ポリマー導入部の終了点であり、断面積が拡大を
開始する地点(A) 2′ ポリマー導入部の終了点 3、3′ 吐出孔の断面積が最大となる点(B) LA1、LA2 それぞれ2、2′における孔径 LB1、LB2 それぞれ3、3′における孔径 LC1、LC2 それぞれ2〜3、2′〜3′の距離 θ LA1、LB1、LC1で決められるテーパーの角度
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−282407(JP,A) 特開 昭63−120109(JP,A) 特開 昭62−53420(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01D 4/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出断面積が連続的に拡大する形状であ
    る吐出孔を有する紡糸口金であり、該吐出孔が下記(1)
    〜(3) を同時に満足することを特徴とする改良された紡
    糸口金。 (1) 該断面積が拡大を開始する地点(A)の断面積(S
    A )が0.001963mm2 以上、0.7850mm
    2 以下。 (2) 該断面積が最大となる地点(B)の断面積(SB
    が少なくとも7.065mm2 。 (3) 連続的に拡大する角度(θ)が3°以上、40°以
    下。
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