JP2815136B2 - リグナン配糖体を含有してなる飲食物 - Google Patents

リグナン配糖体を含有してなる飲食物

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JP2815136B2
JP2815136B2 JP7148278A JP14827895A JP2815136B2 JP 2815136 B2 JP2815136 B2 JP 2815136B2 JP 7148278 A JP7148278 A JP 7148278A JP 14827895 A JP14827895 A JP 14827895A JP 2815136 B2 JP2815136 B2 JP 2815136B2
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健一 栗山
建夫 無類井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血中コレステロールお
よび/または血中中性脂質を低減化せしめる水溶性リグ
ナン配糖体を含有してなる飲食物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、欧米諸国をはじめわが国において
も血中のコレステロールや中性脂質(トリグリセリド)
の値が高い高脂血症疾患が増加している。高脂血症はや
がて動脈硬化等の症状をひきおこす危険因子と考えられ
ている。血中のコレステロールや中性脂質の量は生体内
で合成される内因性のものと食事成分に由来する外因性
のものとによって調節されるが、その過多を防止するた
めにニコチン酸トコフェロール等のニコチン酸誘導体、
ソイステロール、デキストラン硫酸等の高脂血症剤が開
発され、また食事由来のコレステロールや飽和脂肪酸を
主体とする動物性脂肪の摂取量を抑制することが推奨さ
れている。
【0003】日常の食事原材料のうち、とりわけ動物性
原材料中のコレステロールや脂肪を低減する方法とし
て、調理方法を工夫して脂肪およびこれと共存するコレ
ステロールを除くことがあるが、これら脂肪分を除くこ
とにより素材の風味や食感の低下をまねくことになる。
また例えば卵黄を油脂とともに乳化処理してコレステロ
ール含量を減らすことも提案されている(特開平5−3
44868号公報)が、製造コスト高になることは否め
ない。
【0004】一方、通常の食事に供される原材料の中に
は血中コレステロールや血中中性脂質を低下させる成分
を含むものがある。例えば前記ソイステロールは大豆中
に含まれる不ケン化物のステロールであり、また特開平
3−53866号公報にはゴマ油由来のリグナン類化合
物が開示されており、これを配合したバターやマヨネー
ズ等の飲食物が提案されている。これらの成分は通常の
医薬品として投与し、あるいは食事形態として摂取する
ことにより血中コレステロールや血中中性脂質を低減さ
せるものである。しかしながらこれらはいずれも油溶性
物質であり、生体に適合した形態で摂取させるには、リ
ポソーム製剤化するか、あるいは前記公報(特開平3−
53866号公報)に記載のようにリグナン類化合物を
シクロデキストリンに包接させ水系飲食物に配合するこ
とが必要であった。
【0005】ところで、ゴマ種子中には抗酸化活性を有
するセサミノール:テトラヒドロ−1−〔6−ヒドロキ
シ−3,4−(メチレンジオキシ)フェニル〕−4−
〔3,4−(メチレンジオキシ)フェニル〕−1H,3
H−フロ〔3,4−C〕フラン、P−1:テトラヒドロ
−1−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−4
−〔3,4−(メチレンジオキシ)フェニル〕−1H,
3H−フロ〔3,4−C〕フラン、セサモリノール:テ
トラヒドロ−1−〔3−メトキシ−4−ヒドロキシフェ
ノキシ〕−4−〔3,4−(メチレンジオキシ)フェニ
ル〕−1H,3H−フロ〔3,4−C〕フラン、ピノレ
ジノール:テトラヒドロ−1,4−ジ(3メトキシ−4
−ヒドロキシフェニル)−1H,3H−フロ〔3,4−
C〕フラン等のフェノール性リグナン類が含まれている
ことは周知である。これらのリグナン類の多くは糖化合
物(リグナン配糖体)としてゴマ種子またはその脱脂粕
中に存在することも知られている(Biosci.Bi
otech.Biochem.、56巻、2087〜2
088頁、1992年)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明では、食事の原材料として常用される天然物由来の
安全な物質であり、血中コレステロールおよび/または
血中中性脂質を低減させ得る物質であって、かつ水系な
いし乳化系状態で好適に利用できる物質を含有する飲食
物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討の結果、ゴマ種子の加湿物な
いし発芽体中に含まれるリグナン配糖体が安全な物質で
あり、血中コレステロールおよび/または血中中性脂質
を低減させる機能を有し、かつとりわけ水系ないし乳化
系の飲食物に都合よく配合できることを見い出し、本発
明を完成するに至ったものである。すなわち本発明の要
旨は、ゴマ種子の加湿物もしくは発芽体から得られる水
溶性リグナン配糖体またはこれを含む含有物を配合して
なる飲食物であり、ここに水溶性リグナン配糖体がより
好ましくはリグナンジグルコシドおよび/またはリグナ
ントリグルコシドを主成分とするものであり、さらに好
ましくはセサミノールジグルコシド、セサミノールトリ
グルコシドおよび下記の化学構造式(I)で示されるリ
グナン配糖体から選ばれる少なくとも1種以上を含むも
のである。
【0008】
【化5】 (式(I)中、Rはグルコース、ガラクトースおよびフ
ルクトースからなる群より選ばれる1種のグルコシル残
基を表し、mは1〜3の整数値のいずれかを表し、nは
0または1の整数値を表す。)
【0009】本発明をなすに先立ち、本発明者らは、ゴ
マ種子を原料として水溶性リグナン配糖体を多量に採取
する方法を開発し、特許出願した(特願平5−3160
79号、特願平6−336644号)。本発明で用いる
水溶性リグナン配糖体およびこれを含む含有物はこれら
に記載した方法により得ることができる。すなわち、原
料とするゴマ種子はその種類および産地のいかんを問わ
ず使用でき、これを未焙煎あるいは非加熱の状態で、水
中または水分を含有できる適当な培地、例えば寒天、石
英砂、海砂、脱脂綿、砂、土等の好ましくは滅菌処理し
た培地に均一に撒き、15〜50℃、好ましくは30〜
40℃にて、適時に水分を補いながら、5〜100時
間、好ましくは24〜72時間培養を行う。該培養は照
光下あるいは暗条件下のいずれでも構わない。かくして
水で膨潤した加湿物あるいは発芽したゴマ発芽物(ゴマ
種子の加湿物または発芽体)を得る。
【0010】本発明では、このようにして得たゴマ種子
の加湿物または発芽体を培地から分離し、これに必要に
応じて水洗浄等の適当な清浄処理を施した後、乳鉢、す
り潰し器、ミキサー、ブレンダー、ホモジナイザー等の
粉砕あるいは磨砕手段を用いて破砕して練り状の破砕物
となし、または前記加湿物またはゴマ発芽体を凍結乾燥
して乾燥物となし、さらにはこの乾燥物をミキサーやブ
レンダー等の粉砕機によって処理して粉砕物となし、こ
れらのいずれか1種以上を本発明の水溶性リグナン配糖
体を含む含有物いわば食品素材として飲食物に配合せし
めることができる。
【0011】さらに本発明では、より高濃度の水溶性リ
グナン配糖体含有物を飲食物に配合せしめることができ
る。このためには、前記のようにして得られるゴマ種子
の加湿物または発芽体から以下に述べるように抽出およ
び濃縮処理によって、より高純度の水溶性リグナン配糖
体を含む抽出物を調製し、これを用いることもできる。
【0012】すなわち、まず前記のようにしてゴマ種子
の加湿物または発芽体の破砕物、乾燥物あるいは粉砕物
を得る。ここで粉砕物等はn−ヘキサン等の有機溶媒で
油分を抽出して除去した脱脂粕としてもよい。次に水溶
性リグナン配糖体を抽出できる含水アルコール、具体的
にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール等の炭素数1〜4の直鎖
状もしくは側鎖状低級アルコールと水とを混合し、アル
コール濃度を30〜100%(容量/容量)、好ましく
は50〜95%(容量/容量)に調節したものを、原料
種子に対して1〜10倍(容量/重量)添加し、必要に
応じて磨砕および抽出操作を繰り返し行ない、濾過やデ
カンテーション等の常法により固形物を除去して水溶性
リグナン配糖体を含む含水アルコール抽出液を得る。ア
ルコールおよび水を除いた含水アルコール抽出物は、水
溶性リグナン配糖体のほか種々の糖鎖化合物を含む混合
物である。含水アルコール抽出物中の水溶性リグナン配
糖体の含有量は約2〜10重量%である。
【0013】なお前記抽出物中の水溶性リグナン配糖体
以外の不純物を除くために以下の処理を施すこともでき
る。すなわち油溶性不純物を除くために、抽出物に対し
て2〜10倍(容量/重量)の非水溶性の有機溶媒、例
えば酢酸エチルやn−ヘキサンと水とを加えて抽出し、
遠心分離等により二相に分離する。有機溶媒相を除き、
水相を濃縮乾固させる。このとき目的の水溶性リグナン
配糖体には水相側に濃縮される。また水溶性不純物を除
くために、抽出物に対して少量、好ましくは1〜5倍
(容量/重量)の前記と同じアルコールの含水物(アル
コール濃度:30〜100%(容量/容量))に分散さ
せ、これを緩やかに攪拌している比較的多量、好ましく
は10〜200倍(容量/重量)の前記と同じアルコー
ルに滴下する。静置後、遠心分離または分別濾過等によ
り沈殿物を除き、濃縮乾固する。なお必要であればこれ
らの操作を繰り返す。
【0014】かくして得られる含水アルコール抽出物の
精製物に含まれるリグナン配糖体は、公知のリグナン類
をアグリコンとする配糖体と新規なリグナンをアグリコ
ンとする配糖体との混合物である。公知のリグナン類を
アグリコンとする配糖体は、セサミノールを主成分とし
てほかにセサモリノール、P−1、ピノレジノール等の
リグナン類(リグナン類中、セサミノール:80〜90
重量%、セサモリノール、P−1、ピノレジノール:2
0重量%未満)とグルコース、ガラクトース等の糖類
(糖類中、グルコース:50〜100重量%)、特にグ
ルコースが2〜3分子結合したものである。新規なリグ
ナンをアグリコンとする配糖体は、下記の化学構造式
(I)で示されるものであり、より好ましくは下記の化
学構造式(II−a)、(II−b)または(II−
c)で示されるものである(II−a、II−bおよび
II−c三成分中の存在比、II−a:25〜35重量
%、II−b:35〜45重量%、II−c:30〜3
5重量%)。
【0015】
【化6】 (式(I)中、Rはグルコース、ガラクトースおよびフ
ルクトースからなる群より選ばれる1種のグルコシル残
基を表し、mは1〜3の整数値のいずれかを表し、nは
0または1の整数値を表す。)
【0016】
【化7】 (式(II−a)中、Glcはグルコース残基を表
す。)
【0017】
【化8】 (式(II−b)中、Glcはグルコース残基を表
す。)
【0018】
【化9】 (式(II−c)中、Glcはグルコース残基を表
す。)
【0019】公知リグナン配糖体類と新規リグナン配糖
体類の比率は、1:1.5〜3(重量比)である。これ
らはブタノール、エタノール、メタノール、水等に可溶
な水溶性の物質である。なお必要に応じてシリカゲル、
ODS等の吸着剤を用いて、セサミノールジグルコシド
やセサミノールトリグルコシド、前記化学構造式(II
−a)、(II−b)あるいは(II−c)等の個々の
成分にさらに分画、精製することもできる。リグナン配
糖体の各成分の化学構造は、前記方法で高純度に精製し
た成分を、例えば塩酸加水分解してリグナン部と糖部と
に分け、これらをそれぞれトリメチルシリル化してガス
クロマトグラフィーに供し、あるいは核磁気共鳴スペク
トロスコピー、マススペクトロスコピー等により分析し
確認できる。
【0020】かかる水溶性リグナン配糖体自体の多く
は、抗酸化性をもたないが、抗酸化性成分の前駆体とし
て存在し、糖結合の加水分解作用を受けるような、例え
ば生体内において特異的にその活性が期待される物質で
ある。また抗酸化性を有するゴマ種子由来の公知のフェ
ノール性リグナン類すなわちセサミノール、P−1、セ
サモリノール、ピノレジノール等に比較して、本発明に
係る水溶性リグナン配糖体は熱に対する安定性も高い
(50℃、24時間加温後の分解率は5%以下)。
【0021】これらリグナン配糖体は、ゴマ種子100
g中にわずか約240mgしか含まれないが、ゴマ種子を
前述のように適当な条件下で加湿すると、その膨潤ない
しは発芽とともにリグナン配糖体のゴマ種子中の含有量
が増加し、特にセサミノール配糖体を多量に生産し蓄積
する。加湿しないゴマ種子中のセサミノール配糖体含量
に比べ、例えば加湿48時間後のものからは、少なくと
も3倍(重量)以上のセサミノール配糖体を得ることが
できる。また、化学構造式(II−a)、(II−b)
および(II−c)で示される新規なリグナン配糖体
は、ゴマ種子の加湿および発芽前にはほとんど存在しな
い成分であり、膨潤ないしは発芽とともに新たに生成、
増加し加湿物あるいは発芽体中に蓄積する。これらの結
果、例えばゴマ種子の発芽体中のリグナン配糖体の総量
は、発芽前のゴマ種子に比べ5〜6倍(重量)以上とな
り、ゴマ発芽体の乾燥物当たり約3重量%に達する。
【0022】なお本発明に用いる水溶性リグナン配糖体
類は、以上に述べたようにゴマ種子の加湿物または発芽
体の破砕物、乾燥物あるいはその粉砕物としてそのまま
用いるか、これらから水溶性リグナン配糖体を前記のよ
うに抽出する方法が簡便であるが、水溶性リグナン配糖
体が前記の構造および組成をもつものであれば、これに
限定されるものではない。
【0023】本発明においては、前記の方法によって得
られる水溶性リグナン配糖体または水溶性リグナン配糖
体を含有する、ゴマ種子の加湿物もしくは発芽体の破砕
物、乾燥物またはこれの粉砕物、あるいはこれらの抽出
物(含水アルコール抽出物またはこの精製物)を必須成
分として配合してなる飲食物が提供される。ここに飲食
物の種類は特に限定されないが、配合せしめるリグナン
配糖体またはこれを含む前記含有物の性状が水溶性ない
し水分散性であるため、これらを均一に溶解ないしは分
散させて含有せしめるには水系あるいは乳化系飲食物が
好適である。具体的には水(飲料水)、果汁、野菜汁、
ジュース、炭酸飲料、清涼飲料、各種栄養成分を配合し
たドリンク類、スープ、醤油、ソース、その他液体調味
料、アイスクリーム、ヨーグルト、豆乳、牛乳、バタ
ー、マーガリン、クリーム、サラダドレッシング、ノン
オイルサラダドレッシング、マヨネーズ、マヨネーズ様
食品、等を例示できる。
【0024】これら飲食物中の水溶液リグナン配糖体の
含有量は概ね0.002重量%以上、好ましくは0.0
02〜30重量%である。水溶性リグナン配糖体を含
む、ゴマ種子の加湿物または発芽体の破砕物の場合は1
重量%以上、好ましくは1〜70重量%であり、ゴマ種
子の加湿物または発芽体の乾燥物やその粉砕物の場合は
0.02重量%以上、好ましくは0.02〜50重量%
であり、またかかる破砕物、乾燥物あるいは粉砕物から
の抽出物の場合には、前記含水アルコール抽出物のと
き、0.01重量%以上、好ましくは0.01〜40重
量%であり、該含水アルコール抽出物から油溶性不純物
および/または水溶性不純物を除去した水溶性リグナン
配糖体混合物や例えばセサミノールジグルコシド、セサ
ミノールトリグルコシド、前記化学構造式(II−
a)、(II−b)、(II−c)のような個々の精製
リグナン配糖体のとき0.002重量%以上、好ましく
は0.002〜30重量%である。前記下限値未満では
血中コレステロールおよび/または血中中性脂質の低減
効果が小さい。また前記上限値を超えて含有せしめても
よいが、この場合は多量の含有量に見合う血中コレステ
ロールおよび/または血中中性脂質のさらなる低減効果
は期待できない。水溶性リグナン配糖体またはこれを含
む前記抽出物等を飲食物に配合せしめる方法は特に限定
されないが、水相に予め溶解ないしは分散させておき、
ついで常法により飲食物を調製するのがよい。
【0025】
【実施例】
参考例1 予め滅菌した石英砂を300cm2 のステンレス製バット
に厚さ5mmで均一に敷き、これに中国産ゴマ種子100
gを撒き、蒸留水を十分に噴霧しながら、40℃の恒温
槽中で48時間培養し、発芽させた。発芽率は80%で
あった。発芽状態が同程度の一定量の発芽体をサンプリ
ングし、ゴマ発芽物とした。ゴマ発芽物を水洗後、粉砕
器で磨砕しゴマ発芽物の破砕物を得た。またゴマ発芽物
を凍結乾燥機で乾燥し、ゴマ発芽物の乾燥物を得た。さ
らにこのゴマ発芽物の乾燥物を粉砕機で粉砕し、ゴマ発
芽物の乾燥粉砕物を得た。ゴマ発芽物の乾燥粉砕物10
gを100mlの含水エタノール(エタノール濃度:80
%(容量/容量))とともにブレンダーで磨砕した。残
渣を濾別し、濾液を濃縮乾固した後、得られた固形物(
含水エタノール抽出物) をn−ヘキサンおよび酢酸エチ
ルで2度ずつ洗浄して含水エタノール抽出物の精製混合
物を得た。含水エタノール抽出物の精製混合物を100
mlの含水エタノールに再溶解し、HPLCに供して組成
を分析した。
【0026】HPLC装置は、ポンプ(CCPM、東ソ
ー社製)にカラム(Soken Pak ODS−W
5μ、10mmφ×250mm)、紫外吸収検出器(UV−
8000、東ソー社製)を接続し、溶出は水:メタノー
ルが90:10から60分後に同10:90となる直線
グラジェントを用い、流速を1ml/min 、検出波長は2
88nmとした。
【0027】また含水エタノール抽出物を前記条件下で
分取HPLCに繰り返して供し、各成分が単一になるま
で精製した後、各成分を構成するリグナンおよび糖を次
の方法で分析した。すなわち各成分の精製物に1N塩酸
を加え、100℃で30分間加水分解せしめた後、酢酸
エチルで抽出し、酢酸エチル層および水層に分けた。酢
酸エチル層は40℃以下で濃縮乾固後、TMS−PZ
(東京化成工業社製)でトリメチルシリル化処理し、ガ
スクロマトグラフィー(GLC)に供してリグナンを定
量分析した(外標準:セサミン)。
【0028】GLC条件は次のとおり。GLC装置:ヒ
ューレットパッカード社製5890、カラム:DB−1
7HT(15m×0.319mm、film thickness:0.
15μm、J&W SCIENTIFIC社製)、注入
法:スプリット法(スプリット比1/10)、カラム温
度:270℃、キャリヤーガス:ヘリウム。
【0029】また水層をHPLC用前処理フィルター
(孔径:0.2μm、マイショリディスク W−13−
2、東ソー社製)で濾過し、濾液にアセトン5mlを加え
て減圧下で濃縮乾固後、TMS−PZ(前出と同じ)で
トリメチルシリル化処理し、これをGLCに供して糖を
定量分析した(外標準:グルコース、ガラクトース、フ
ルクトース)。
【0030】GLC条件は、カラム:DB−1701
(15m×0.25mm、film thickness:1.0μm、
J&W SCIENTIFIC社製)、注入法:スプリ
ット法(スプリット比1/50)、カラム温度:180
℃とする以外は前記リグナン分析の場合と同様である。
【0031】この結果、前記含水エタノール抽出物中の
水溶性リグナン配糖体含有量は5.5重量%であり、ま
た前記HPLC分析サンプル(含水エタノール抽出物の
精製混合物)中のリグナン配糖体含有量は、播種したゴ
マ種子100gあたり1460mgであり、水溶性リグナ
ン配糖体の比率として、前記の化学構造式(II−a)
で示されるリグナン配糖体:20.9重量%、同じく
(II−b)で示されるリグナン配糖体:28.1重量
%、同じく(II−c)で示されるリグナン配糖体:2
4.2重量%、セサミノールトリグルコシド:7.8重
量%、セサミノールジグルコシド:14.4重量%、セ
サモリノール配糖体、P−1配糖体およびピノレジノー
ル配糖体の合計4.6重量%のリグナン配糖体を主成分
とする水溶性のものであった。
【0032】試験例1 4週令のSD系雄性ラット7匹を1試験区とし、A群は
試験物質(参考例1に記載の方法で得たゴマ発芽物の破
砕物、ゴマ発芽物の乾燥粉砕物)を各10重量%配合し
た試験群、B群は試験物質(参考例1に記載の方法で得
た含水アルコール抽出物、該抽出物の精製混合物、各リ
グナン配糖体精製物)を各0.3重量%配合した試験
群、および試験物質を添加しない対照群に分けて飼育試
験を行った。なお試験飼料は表1に示す成分に、後述す
る実施例1に記載のミネラル水100mlに各試験物質
(A群は100g、B群は3g)を溶解ないし分散させ
た水溶液あるいは水懸濁液10重量%を添加し、混練し
たものとした。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週
間飼育した後、各群ラットの血中および肝臓中の総コレ
ステロール、中性脂質およびリン脂質各量を測定した。
この結果を表2および表3に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】ゴマ発芽物の破砕物、乾燥粉砕物、含水ア
ルコール抽出物、該抽出物の精製混合物、各リグナン配
糖体精製物の各試験物質を添加した区では、血中の総コ
レステロール、中性脂質およびリン脂質の各濃度は前記
試験物質を添加しない区(対照群)と比べていずれも有
意に低い値を示した(表2)。またこれらの試験物質を
添加すると、肝臓中の総コレステロールおよび中性脂質
の各濃度が対照群に比べて有意に低下した(表3)。こ
れらの結果から、前記の化学構造式(II−)、(II
−b)、(II−c)で示されるリグナン配糖体または
セサミノール配糖体を主成分として含む水溶性リグナン
配糖体、あるいは該配糖体を含有するゴマ種子の発芽物
の破砕物、乾燥物、乾燥粉砕物、含水アルコール抽出
物、該抽出物の精製混合物、各リグナン配糖体精製物を
配合せしめてなる飼料は、これを摂取することにより血
中コレステロール値および血中中性脂質値を低下させる
ことが明らかになった。
【0037】
【実施例】
実施例1 市販のミネラルウォーター100mlに、参考例1に記載
の方法で得た含水アルコール抽出物、該抽出物の精製混
合物、セサミノールジグルコシドおよびセサミノールト
リグルコシド各0.3重量%を加え、ゆるやかに攪拌し
て溶解させ、本発明の水溶性リグナン配糖体含有飲料水
を得た。
【0038】実施例2 下記の表に示した成分配合比でフレンチドレッシングを
調製した。
【表4】 すなわち、キサンタンガムおよびゴマ発芽物の乾燥粉砕
物を水、酢および砂糖の半分量を溶解したものに加え、
激しく撹拌しつつ15分間かけて水和した。大豆サラダ
油を除く残りの成分を全て混ぜてこれに加えた。さらに
大豆サラダ油を少量ずつ加えた後、コロイドミルに通
し、安定性の高い本発明の水溶性リグナン配糖体含有ド
レッシングを得た。
【0039】実施例3 蒸煮丸大豆3kgを5倍重量の80℃の熱水中でホモミキ
サーを用いて磨砕した。得られた呉を、さらにホモナイ
ザーで処理した後、これをプレート間接殺菌(130
℃、20秒)し、オカラを遠心分離で除去して豆乳を得
た。この豆乳に参考例1に記載の方法で得た含水アルコ
ール抽出物を1重量%加え、溶解させ、本発明の水溶性
リグナン配糖体含有豆乳を得た。
【0040】実施例4 オレンジ、ぶどう、リンゴおよびトマトの搾汁各100
mlに、参考例1に記載の方法で得た含水アルコール抽出
物各10gを加え、溶解させ、本発明の水溶性リグナン
配糖体含有ジュースを得た。
【0041】実施例5 バターオイル20重量部、大豆硬化油10重量部、レシ
チン0.2重量部およびグリセリン脂肪酸エステル(花
王(株)製、「エキセルO−95R」0.2重量部を油
相部とし、一方、脱脂粉乳3重量部、ソルビトール5重
量部、生クリーム10重量部、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステル(坂本薬品(株)製、「SYグリスター MS−
310」)0.5重量部および水51.1重量部に参考
例1に記載の方法で得た含水アルコール抽出物の精製混
合物15重量部を加え、溶解させて水相部とした。つい
で、80℃に加温した水相部に同温度に加温した油相部
を加え、70〜75℃で予備乳化後、ホモジナイザーを
用いて圧力50kg/cm2 で処理して均質化した後、室温
まで冷却して本発明の水溶性リグナン配糖体含有水中油
型クリームを得た。
【0042】実施例6 大豆硬化油/調合サラダ油=2/3(重量比)からなる
油脂83重量部に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビ
タミン(株)製、「エマルジーMU」)0.5重量部、
レシチン0.1重量部およびβ−カロチン微量を加え、
さらに参考例1に記載の方法で得たセサミノールジグル
コシドおよびセサミノールトリグルコシドの等重量混合
物5gを水100mlに溶解させた水溶液15重量部およ
び食塩1.4重量部を加えて乳化させた後、急冷しなが
ら練りあわせて、本発明の水溶性リグナン配糖体含有マ
ーガリンを得た。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、ゴマ種子とりわけその
加湿物ないし発芽体を原料として容易に得ることがで
き、安全性の点で懸念がなく、かつ摂取することにより
血中コレステロールおよび/または血中中性脂質を低減
させる作用をもつ水溶性リグナン配糖体を含有する飲食
物、とくに水系ないし乳化系各種飲食物を提供できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23L 1/36 A23L 1/36 2/52 A61K 31/70 ADN A61K 31/70 ADN 35/78 35/78 A23L 2/00 F (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/30 C07H 17/04 CA(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴマ種子の加湿物もしくは発芽体から得
    られる水溶性リグナン配糖体またはこれを含む含有物を
    配合してなる飲食物。
  2. 【請求項2】 水溶性リグナン配糖体を含む含有物がゴ
    マ種子の加湿物もしくは発芽体またはこれらの乾燥物で
    ある請求項1に記載の飲食物。
  3. 【請求項3】 水溶性リグナン配糖体を含む含有物がゴ
    マ種子の加湿物もしくは発芽体の含水低級アルコール抽
    出物または該抽出物の濃縮物である請求項1に記載の飲
    食物。
  4. 【請求項4】 水溶性リグナン配糖体がリグナンジグル
    コシドおよび/またはリグナントリグルコシドを主成分
    とするものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    飲食物。
  5. 【請求項5】 リグナンジグルコシドおよび/またはリ
    グナントリグルコシドがセサミノールジグルコシド、セ
    サミノールトリグルコシド、下記の化学構造式(I) 【化1】 (式(I)中、Rはグルコース、ガラクトースおよびフ
    ルクトースからなる群より選ばれる1種のグルコシル残
    基を表し、mは1〜3の整数値のいずれかを表し、nは
    0または1の整数値を表す。)で示されるリグナン配糖
    体から選ばれる少なくとも1種以上である請求項4に記
    載の飲食物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の化学構造式(I)で示
    されるリグナン配糖体が下記の化学構造式(II−
    a)、(II−b)または(II−c) 【化2】 (式(II−a)中、Glcはグルコース残基を表
    す。) 【化3】 (式(II−b)中、Glcはグルコース残基を表
    す。) 【化4】 (式(II−c)中、Glcはグルコース残基を表
    す。)で示されるリグナン配糖体である請求項5に記載
    の飲食物。
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