JP2812056B2 - リグノセルロース物質の漂白方法 - Google Patents

リグノセルロース物質の漂白方法

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JP2812056B2
JP2812056B2 JP4102401A JP10240192A JP2812056B2 JP 2812056 B2 JP2812056 B2 JP 2812056B2 JP 4102401 A JP4102401 A JP 4102401A JP 10240192 A JP10240192 A JP 10240192A JP 2812056 B2 JP2812056 B2 JP 2812056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リグノセルロース物質
の漂白方法に関する。さらに詳しく述べれば、本発明
は、リグノセルロース物質から得られるパルプを塩素漂
白を含む多段漂白シーケンスで漂白する際に、該パルプ
を塩素漂白に先立ち塩素漂白段からのろ液を混合して処
理した後前記多段漂白する方法に関する。
【0002】
【従来技術】リグノセルロース物質を多くの用途に使用
するためには、蒸解のような化学的作用によってリグノ
セルロース物質をパルプとした後、或いは機械的作用に
よってパルプとした後、さらに該パルプを漂白して白色
度を高める必要がある。例えば、クラフトパルプは、包
装資材のように強度を必要とする用途に使う場合を除い
て、通常、塩素、次亜塩素酸塩(ハイポ)、二酸化塩
素、酸素、過酸化水素、苛性ソーダ等の漂白剤及び漂白
助剤により漂白して、未晒パルプの着色原因物質である
残留リグニン等を除去した後に使用されるのが一般的で
ある。
【0003】強度を要求される化学パルプの漂白におい
ては、パルプの繊維自体の強度を高く保つために、炭水
化物(セルロース等)の分解におよぼす影響を最小にす
るように、過激な一段の漂白を避け、温和に漂白剤と漂
白条件を変えていく多段漂白工程(シーケンス)を採る
のが一般的である。
【0004】通常、多段漂白シーケンスにおいては、最
初に塩素でパルプ中に含有されるリグニンを塩素化し、
リグニンに可溶性を付加した後、次にアルカリでリグニ
ンを溶解抽出して、パルプからリグニンを分離する。そ
の後さらに、次亜塩素酸塩、二酸化塩素等を用いて、残
留する少量のリグニンを分解除去し、白色度の高いパル
プを得る。
【0005】塩素処理を(C)、アルカリ処理を
(E)、次亜塩素酸塩処理を(H)、二酸化塩素処理を
(D)、過酸化水素処理を(P)として表わすと、これ
らの漂白剤を組み合わせた漂白シーケンスとしては、使
用する漂白剤および/または漂白助剤の順序に従い、C
−E−H−E−D、C−E−D−E−D、C−E−H−
P−D等をもっとも一般的なものとして挙げることがで
きる。
【0006】通常、ハンター白色度で80〜90%の完
全漂白パルプを得るには、5段或いは6段の漂白段が必
要であったが、近年塩素段では、塩素と二酸化塩素を併
用する塩素化の方法、即ち、C/D、C或いはD
の方法、或いは塩素段に続くアルカリ抽出段において
は、酸素(E)、又は過酸化水素(E)又は次亜塩
素酸塩(E)或いはそれらを同時に併用する(例えば
po )技術が開発されたこと、さらには酸素漂白技
術との組合せ等によって、漂白段を3段ないし4段に短
縮出来るようになった。
【0007】その例として、1986 Pulping
Coference Proceedings、15
3頁,167頁,489頁及び491頁には、C/D−
po−D、C/D−Epo−D−P、O−C/D−
−D及びC−E−D等のシーケンスが、198
7 Pulping Coference Proce
edings15頁にはC−E−H−P、C−E
−H−D、C−E−H−H等のシーケンスが提案さ
れ、一部のシーケンスは実機で稼働している。
【0008】最近、漂白排水中に含まれる有機塩素化合
物、例えばジベンゾ−パラ−ジオキサン(通称ダイオキ
シン)などの毒性が問題にされている。ダイオキシンの
人体に対する影響は、まだ明らかにされているわけでは
ないが、有機塩素化合物を削減するため、種々の方法が
採用されている。
【0009】最近開発された修正連続蒸解(Modif
ied Continuous Cooking、以下
MCCと称する)法は、木材チップをクラフト法で蒸解
する際に、1)蒸解中にアルカリ濃度を比較的均一にす
る、2)特に脱リグニンが最も進行する段階の初期にお
いて、水硫化イオン(SH−)濃度をできるだけ高くす
る、3)特に、蒸解後期において、蒸解液中に存在する
溶解リグニン濃度を低くする、4)蒸解初期及び後期に
おいて温度を低くする等によって、パルプ品質の指標と
なるパルプ粘度は、通常のクラフト蒸解から得られるパ
ルプ並の水準においてリグニン量が30%程度少ない未
晒パルプを製造することができる(1987 Pulp
ing Conference Proceeding
s,P249)。
【0010】その結果、漂白段に持ち込まれるパルプ中
の残留リグニン量は減少しているので、漂白排水の汚濁
負荷量、とりわけ有機塩素の排出量を通常より大幅に低
減できるといわれている(EUCEPA Sympos
ium preprintsp16(1980),Pa
peri yaa Puu65(4):227(198
3),TappiJ.66(9):97(198
3))。
【0011】また、近年開発された酸素漂白法は、未晒
パルプのリグニン量をほぼ半減できるので、その後に続
く塩素段での塩素添加率を一層減少させることができ、
その結果排水中に含まれる有機塩素化合物の量も低減で
きる。そのため、わが国も含め世界の紙パルプを製造す
る主要国において多数の酸素漂白装置が稼働しており、
今後益々稼働数が増加するものと予想されている。
【0012】前記した酸素漂白法(O段)は、従来の
塩素系の漂白法と組み合わされ、完全漂白パルプのみな
らず、半晒パルプの製造に応用されている。例えば、特
公昭47−7202号公報にはO−C/D−Eの漂白
シーケンスが、特公昭47−10241号公報にはC/
D−O−D−E−Dの漂白シーケンスが、特公昭47
−44441号公報にはO−Dc−O−Eの漂白シ
ーケンスが、特公昭51−17605号公報にはO
D/C−E−Dの漂白シーケンスがそれぞれ提案されて
いる。
【0013】さらに、漂白段に入るパルプの残留リグニ
ン量を大幅に減少させるためには、MCC法による蒸解
と酸素漂白法(O段)を組み合わせる方法が考えられ
る。例えば1987 Pulping Confere
nce Proceedings,453頁には、MC
C蒸解されたパルプを酸素漂白した後、C/D−E
Dの3段で、白色度90%ISOの漂白パルプを得るこ
とができ、塩素添加率を大幅に低減できたと述べられて
いる。
【0014】また、MCC蒸解を稼働している外国の工
場では、針葉樹パルプを酸素漂白した後、(C/D)−
E−D−E−Dのシーケンスで白色度90%ISOの漂
白パルプを製造しているが、この方法により、有機塩素
化合物の量を2.4kg/tonパルプから1.6kg
/tonパルプに低減できると報告されている(Sve
nsk Papperstidn.87(10):30
(1984)453頁、Oxgen Delignif
ication Symposium Proceed
ings,88頁(1985))。
【0015】従来から酸素段において、パルプに残留す
るリグニン量の指標となるカッパー価を酸素段に受け入
れるパルプのカッパー価の半分以下にすると、パルプ粘
度が大幅に低下し、パルプ強度が著しく低下するので、
半分以上の脱リグニン量を酸素段で得ることは困難であ
った。
【0016】しかしながら、酸素漂白段の前で二酸化窒
素を用いて前処理すると、酸素段での脱リグニン性が向
上することが報告されており、この方法は、まだ実機ス
ケールでは稼働していないが、パイロットプラントのテ
ストでは、通常の酸素漂白に較べてカッパー価を酸素漂
白前の36%に減少でき、有機塩素化合物の量を41%
減少できたと報告されている(紙と周辺技術、季刊1
号、1988)。
【0017】ところが、この前処理法は、毒性のある二
酸化窒素を使う点に問題がある。また酸素漂白の前段
に、亜硫酸或いは硫酸で前処理すると、二酸化窒素前処
理と同様に酸素段での脱リグニン性が向上することも報
告されている(「The Bleachg of Pu
lp」3rd Edition TAPPI PRES
S、177頁)。しかしながらこの方法も、硫黄バラン
スの関係で排酸を回収ボイラー送りとして系内に回収す
ることが困難なためほとんど実用化されていない。
【0018】塩素段で塩素添加率を低下させる方法とし
ては、塩素段で二酸化塩素を併用し、その使用比率を増
加させることを挙げることができる。近年、わが国のパ
ルプ製造工場では、二酸化塩素の使用比率を増加させて
操業されている例が多く報告されているが、工場の既設
の設備で二酸化塩素を発生させる能力には限度があり、
必要な二酸化塩素の量が限定されること、及び二酸化塩
素の製造コストが高いことから、塩素に対して30%以
上の二酸化塩素の使用比率に増加させることは経済的で
はない。
【0019】また、塩素段での塩素添加率を減少させ、
塩素段での脱リグニン不足を補うため、次のアルカリ抽
出段で、酸素(E)、過酸化水素(E)、ハイポ
(E)等のいずれかを併用する方法があるが、酸素を
使う場合には、パルプとの混合が重要なため特殊なミキ
サーが必要であり、過酸化水素は高価であり、ハイポの
場合には、粘度低下が大きくなるという欠点がある。
【0020】したがって簡便な方法で、塩素添加率をさ
らに減少し得る方法、言い替えれば、簡単な前処理によ
って、塩素段での脱リグニン性を一層向上させる方法が
望まれている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記し
た問題点について鋭意検討した結果、リグノセルロース
物質から得られたパルプを多段漂白するに際し、塩素漂
白に先立ち塩素漂白段からのろ液を用いて特定されたp
H及び温度において特定時間パルプを前処理した後に塩
素漂白すると塩素段での脱リグニン性が著しく向上する
という驚くべき事実を見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0022】この結果、塩素段での塩素添加率を減少さ
せることができるので、排水中の有機塩素化合物の量を
大幅に低減できる。即ち、本発明は、塩素漂白段での脱
リグニンが向上するので、各漂白段での薬品添加率或い
はとりわけ塩素段での薬品添加率を通常の漂白法の水準
以下に下げても、通常の漂白法並のパルプ白色度を得る
ことが出来、薬品コストの低減ができる。また、塩素段
での薬品添加率を下げた場合、排水中への有機塩素化合
物の量を減少できる他に、漂白パルプの退色性も改善で
き、パルプの強度も向上できる。またMCC蒸解法との
組み合わせ、通常のクラフト法と酸素漂白法の組合せ、
或いはMCC蒸解法と酸素漂白法との組合せによって得
られるリグノセルロース物質からのパルプをを本発明に
よって漂白する場合には、排水への汚濁負荷量がもっと
も減少するばかりではなく、塩素段からの塩素化合物の
排出量自体が減少するので、排水の質の面でも大きく改
善され、さらにパルプ白色度の向上、薬品添加率の大幅
な低減が具現化可能となる。
【0023】従って、本発明の目的は、排水汚濁負荷が
少なく、薬品添加率が低減でき、強度と退色性が向上し
た漂白パルプを製造し得る漂白法を提供することにあ
る。
【0024】
【発明が解決するための手段】本発明は、リグノセルロ
ース物質より得られたパルプを塩素、苛性ソーダ、次亜
塩素酸塩(ハイポ)、二酸化塩素、酸素、過酸化水素か
らなる多段漂白シーケンスの組合せにより漂白する方法
において、塩素漂白に先立ち塩素漂白段からのろ液を用
いて該パルプをpH2〜5の範囲及び温度40〜80℃
の範囲及び時間30〜120分の範囲に維持して前処理
した後、洗浄、脱液することなく、前記多段漂白シーケ
ンスの塩素段で漂白することを特徴とするリグノセルロ
ース物質の漂白方法である。
【0025】本発明で用いられるリグノセルロース物質
は、通常のクラフトパルプ(KP)、アルカリパルプ
(AP)、サルファイトパルプ(SP)等の化学パルプ
は勿論、修正連続蒸解(MCC)法で得られたアルカリ
性パルプ、通常のクラフト法で蒸解後、酸素漂白された
パルプ、及び前記MCC法で蒸解後、酸素漂白された化
学パルプのいずれでも良い。更には木材(針葉樹及び広
葉樹)パルプ、非木材パルプのいずれにも適用可能であ
ることは言うまでもない。
【0026】本発明の、塩素段で使われる塩素化合物
は、塩素および二酸化塩素で、それらは単独或いは任意
の割合で併用して使用できる。塩素段における塩素と二
酸化塩素の添加方法は、両者を混合しても良く、二酸化
塩素添加後数秒以内に塩素を添加してもよい。また二酸
化塩素の一部を添加し、その後二酸化塩素の残りと塩素
を混合し添加してもよい。
【0027】活性塩素量で表わされる塩素化合物の対絶
乾パルプ添加率は、未晒パルプ中に含有されるのリグニ
ン量に比例し、1〜5%の範囲内で適宜選択して用いら
れる。塩素段における反応温度は30℃〜60℃の範
囲、反応時のパルプ濃度は1〜10%の範囲、反応時間
は5〜60分の範囲、終pHは2〜4の範囲である。塩
素段の漂白工程が終了した後で、公知の方法によりパル
プは洗浄と脱水或いは圧縮が行なわれ、次の工程へ送ら
れる。
【0028】本発明の塩素段に先立ちパルプを前処理す
る工程で使われる液は、前記の塩素段からのろ液であ
り、この液に含まれる塩素化合物の種類は問わないが、
pHは2〜5の範囲、好ましくは2〜4の範囲である。
pH2未満ではヘミセルロースのような多糖類が溶出
し、セルロースの一部が加水分解を受けるので繊維の損
傷が発生し、pHが5を超えると脱リグニンを促進する
効果がなくなるので適さない。
【0029】前処理工程における温度は、高いほど脱リ
グニンの促進の点では効果があるが、パルプの品質の点
から40〜80℃、好ましくは50〜60℃の範囲であ
る。塩素段を40℃以下の温度で操業している場合に
は、この塩素段からのろ液を本発明のパルプの前処理工
程に用いようとすれば、加温が必要である。しかしなが
ら、今日、通常の蒸解、洗浄工程を経てきた未晒パルプ
の温度は、一般に40〜60℃の範囲にあり、更に、公
知の酸素漂白法で処理されたパルプの温度は、60〜8
0℃の範囲にあるので、前記前処理における温度を確保
するにはスタートアップの時だけ加温が必要となる。温
度が40℃未満では、前処理を施した効果が得られにく
くなるので、その場合は加温をする必要があり、80℃
を超える温度では、パルプ品質の悪化並びに熱経済的に
コスト高を招くので適さない。
【0030】前記前処理工程におけるパルプ濃度は、中
濃度乃至高濃度の範囲が望ましいが、濃度は高いほどパ
ルプ同士の接触が増加し、塩素段での脱リグニンを阻害
する成分が除去され易いが、濃度が高すぎると濾液とパ
ルプの混合が悪化するので所望の効果が得られない。ま
た、パルプ濃度が低すぎても所望の効果が得られない。
本発明における望ましいパルプ濃度は10〜20%の範
囲で、この中から適宜他の条件との組合せで選択して用
いられる。
【0031】さらに、前記前処理工程における保持時間
は、30〜120分間である。保持時間が30分未満で
は反応が十分でなく、120分を超える保持時間では、
設備的にコスト高を招くので適さない。この前処理段で
のパルプのフローはアップフローでもダウンフローでも
良い。本発明ではこの前処理の後で混合接触させた液は
除去しないで、即ち前処理を施したパルプは洗浄を行な
うことなく、続く塩素段に送られる。この工程で洗浄、
脱液を行うと、塩素段での漂白性が低下するばかりでは
なく、液中に溶出したヘミセルロースのような多糖類が
パルプ繊維より外れて系外に排出されるので、収率が低
下する欠点もあり、洗浄、脱液をしてはならない。
【0032】本発明の漂白系のアルカリ抽出段に使用さ
れるアルカリ及びその添加率は、公知のものから選ぶこ
とが出来る。アルカリとして苛性ソーダを用いる場合、
パルプ絶乾重量当りのアルカリ添加率は、NaOH表示
で0.5〜3%の範囲である。
【0033】アルカリ抽出段で酸素を併用する場合は、
酸素ガス或いは酸素富化ガスのいずれも使用可能であ
り、公知の方法で加圧下または大気圧下で行わされる。
一般に酸素の添加率は、パルプの絶乾重量当り0.5〜
3%の範囲である。反応温度は、40〜70℃の範囲、
反応時のパルプ濃度は、5〜20%の範囲、反応時間
は、30〜120分の範囲、終pHは、8〜12の範囲
である。また、過酸化水素或いはハイポをアルカリ抽出
段で併用しても良い。アルカリ抽出を終了したパルプ
は、その後公知の方法で洗浄或いは圧縮脱液が行なわ
れ、続いて次の工程へ送られる。
【0034】本発明の漂白系の次亜塩素酸塩(ハイポ)
段で使用される次亜塩素酸塩は、ナトリウム塩、カルシ
ュウム塩等の公知の次亜塩素酸塩から選ぶことができ、
次亜塩素酸塩の添加率は、パルプの絶乾重量当り0.1
〜2%の範囲、反応温度は、30〜70℃の範囲、反応
時のパルプ濃度は3〜20%の範囲、反応時間は、15
〜200分の範囲であり、初期pHは10前後が最適で
ある。反応後公知の方法で洗浄或いは圧縮脱液が行われ
る。
【0035】本発明の漂白系の二酸化塩素段で使用され
る二酸化塩素は、公知の二酸化塩素発生法より得られる
二酸化塩素が用いられ、二酸化塩素の添加率は、二酸化
塩素換算でパルプの絶乾重量当り0.2〜3%の範囲、
反応温度は、40〜90℃の範囲、反応時のパルプ濃度
は、3〜20%の範囲、反応時間は、15〜300分の
範囲である。終pHが2〜6の範囲に入るように補助ア
ルカリを加えても良い。二酸化塩素段後は、前記の段と
同様に公知の方法で洗浄或いは圧縮脱液が行なわれる。
【0036】本発明の漂白方法は、単独の漂白工程とし
て行なうことが出来ることは勿論のこと、従来の漂白シ
ーケンスにおける工程の一部として代替してもよい。
尚、高い白色度のパルプを要求されない場合には、処理
工程が塩素段とアルカリ抽出段だけで良いことは言うま
でもない。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
に説明するが、勿論本発明はこれによってなんら限定さ
れるものではない。 以下に示す実施例において、パル
プの漂白条件及びパルプの物理的性質の測定は、次の操
作手段によった。
【0038】(1)塩素段からのろ液による前処理 酸素漂白された広葉樹クラフトパルプ(国内材と外材の
混合材、混合比率50/50)の絶乾重量50gをプラ
スチック袋に採り、塩素段の濾液をパルプ濃度が15%
になるように添加し、よく撹拌後50℃の恒温槽につ
け、90分間保持した。
【0039】(2)塩素漂白段 塩素段のろ液で前処理した後洗浄、脱液していないパル
プ、及び塩素段からのろ液で処理されていないパルプ絶
乾重量50g夫々をプラスチック袋に採り、カッパー価
に比例(カッパー価×0.2%)した所定の有効塩素量
(塩素量と二酸化塩素量の総和)を加え、更にパルプ濃
度が10%になるように所定量の水を加え、よく撹拌後
50℃の恒温槽に浸漬し、30分間保持した。反応終了
後試料を取り出し、遠心脱水洗浄した。
【0040】(3)アルカリ抽出段 遠心脱水洗浄したC段パルプをプラスチック袋に採り、
カッパー価に比例(カッパー価×0.1%)した所定の
アルカリ量を加え、更にパルプ濃度が10%になるよう
所定量の水を加え、よく撹拌した後、パルプを袋から取
出して2リットル容量の縦型式オートクレーブの中へ袋
から取り出してパルプを入れ、60℃まで加温後酸素を
1.5kg/cm2になるまで圧入した。10分間加圧
下で撹拌した後、大気圧まで減圧した後、更に50分間
反応させた。反応終了後試料を取り出し、遠心脱水洗浄
した。
【0041】(4)次亜塩素酸塩(ハイポ)段 遠心脱水洗浄したアルカリ抽出した後のパルプをプラス
チック袋に採り、次亜塩素酸ソーダを絶乾パルプ重量当
り0.3%添加し、初期pHが9.5〜10になるよう
に所定量のアルカリを添加し、更にパルプ濃度が10%
になるよう所定量の水を加え、よく撹拌後45℃の恒温
槽で、2時間保持した。反応終了後試料を取り出し、遠
心脱水洗浄した。
【0042】(5)二酸化塩素段 遠心脱水洗浄した次亜塩素酸塩段からのパルプをプラス
チック袋に採り、二酸化塩素基準でパルプの絶乾重量当
り0.3%の二酸化塩素を添加し、更にパルプ濃度が1
0%になるよう所定量の水を加え、よく撹拌後70℃の
恒温槽で、3時間保持した。反応終了後試料を取り出
し、遠心脱水洗浄した。
【0043】(6)パルプの物理的性質の測定 白色度:遠心脱水洗浄したパルプを、離解後Tappi
試験法T205os−71(JIS P 8209)に
従って坪量250g/ の手抄きシートを作製し、J
IS P 8123に従って測定した。 粘度:遠心脱水洗浄したパルプを、手で細かくほぐした
後、Tappi試験法T230 に従って測定した。 裂断長及び比引裂き強さ:遠心脱水洗浄したパルプをP
FIミルでフリーネス450ml(カナダ標準フリーネ
ス)に叩解し、前記と同様な方法によって坪量60g/
のシートを作製し、製紙用パルプの強さ試験法(J
IS P 8123)に従って測定した。退色試験:漂
白後のパルプを105℃の送風循環式恒温槽で2時間加
熱して退色させた後、白色度の測定の場合と同様に、J
IS P8123に従って退色前後の白色度を測定し、
クベルカ・ムンクの式に従って色戻り(PC価)を算出
した。 カッパー価:Scan試験法C−1:77に従って測定
した。
【0044】実施例1及び比較例1〜3 実施例1及び比較例1〜3は、通常のクラフト法によっ
て蒸解し、その未晒パルプを酸素漂白した広葉樹クラフ
トパルプ(カッパー価:10.2、国内材:外材=5
0:50の混合材)を4段で完全漂白した場合の実験を
示す。実施例1は、酸素漂白後のクラフトパルプを塩素
段からのろ液で温度50℃で前処理し、洗浄、脱液せず
に続いて前記した手法によりC−E/O−H−Dのシー
ケンスで漂白した例であり、比較例1は、温度30℃
で、比較例2は、温度100℃で前記パルプをそれぞれ
実施例1と同じく前記ろ液で前処理し、洗浄、脱液せず
に前記と同じ漂白シーケンスで漂白した例である。ま
た、比較例3は、同じ酸素漂白した広葉樹クラフトパル
プを塩素段からのろ液で前処理せずに、実施例1と同じ
シーケンスで漂白した例である。実施例1及び比較例1
〜3で得られた結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】実施例2及び比較例4〜6 実施例2は、実施例1と同様に酸素漂白した広葉樹晒ク
ラフトパルプ(カッパー価:9.3、国内材:国外材=
50:50)を用い、塩素段からのろ液を用いてpH
3.0で前処理し、洗浄、脱液せずに続いて前記した手
法によりC−E/O−H−Dのシーケンスで漂白した例
であり、比較例4は、パルプの前処理をpH1.5で行
い、比較例5は、パルプの前処理をpH6.0で行い、
それぞれ実施例2と同じく前処理後洗浄、脱液をせずに
前記と同じ漂白シーケンスで漂白した例である。また、
比較例6は、同じ広葉樹クラフトパルプを実施例2と同
じ条件で、塩素段ろ液で前処理した後、充分に洗浄、脱
液し、その後、実施例2と同じシーケンスで漂白した例
である。実施例2及び比較例4〜6で得られた結果を表
2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】実施例3及び比較例7 実施例3及び比較例7は、国内材と国外材(50:5
0)の混合物をMCC法によってクラフト蒸解し、その
未晒パルプを酸素漂白して得られた広葉樹パルプ(カッ
パー価:8.9)をC−E/O−H−Dのシーケンスで
漂白した場合の実験を示す。実施例3は、酸素漂白後の
パルプを塩素段からのろ液で前処理し、洗浄、脱液せず
に漂白した例、比較例7は、酸素漂白後のパルプを塩素
段からのろ液で前処理せずに漂白した例である。実施例
3及び比較例7で得られた結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】表1〜表3から明らかな如く、本発明方法
は、塩素段における脱リグニンを促進するので、同じ薬
品添加率を用いると、クラフト法−酸素漂白パルプ(実
施例1及び2)及びMCC法−酸素漂白パルプ(実施例
3)ともパルプの白色度が高く仕上がり、退色性が著し
く改善され、パルプ粘度、パルプ強度(引張り強度及び
引裂強度)が向上する。それ故、二者択一的に、本発明
法では従来法からのパルプと同じ白色度及びパルプ強度
を有するパルプを得る場合、薬品使用量が大幅に減少で
きるので、薬品コストを低減できる。そして、この薬品
使用量の減少を塩素段に添加する塩素に限定すれば、排
水中への有機塩素化合物の量の発生を減少し得るので排
水の質を大きく改善することができる。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は従来法と比較して、パルプの白色度及び強度が優れ、
更に完全漂白パルプの場合は退色し難いパルプを得るこ
とができ、二者択一的に、同じ白色度のパルプとする
と、薬品使用量が大幅に減少するので、これを塩素段に
適用すれば、排水中への有機塩素化合物の量の排出を減
少し得る方法を提供するという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 洋介 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子 製紙株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−121691(JP,A) 特開 昭61−12992(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21C 9/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグノセルロース物質より得られたパル
    プを塩素、苛性ソーダ、次亜塩素酸塩(ハイポ)、二酸
    化塩素、酸素、過酸化水素からなる多段漂白シーケンス
    の組合せにより漂白する方法において、塩素漂白に先立
    ち塩素漂白段からのろ液を用いて該パルプをpH2〜5
    の範囲及び温度40〜80℃の範囲及び時間30〜12
    0分の範囲に維持して前処理した後、洗浄、脱液するこ
    となく、前記多段漂白シーケンスの塩素段で漂白するこ
    とを特徴とするリグノセルロース物質の漂白方法。
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