JP2000273782A - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents

漂白パルプの製造方法

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JP2000273782A
JP2000273782A JP11085743A JP8574399A JP2000273782A JP 2000273782 A JP2000273782 A JP 2000273782A JP 11085743 A JP11085743 A JP 11085743A JP 8574399 A JP8574399 A JP 8574399A JP 2000273782 A JP2000273782 A JP 2000273782A
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pulp
bleaching
acid treatment
stage
washing
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Yosuke Uchida
洋介 内田
Takafumi Yamagishi
隆文 山岸
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】所望の白色度にパルプを漂白するのに必要な漂
白薬品の使用量を大幅に削減でき、かつ排水負荷の小さ
い漂白パルプの製造方法の提供。 【解決手段】リグノセルロース物質を蒸解して得られる
未漂白パルプをアルカリ酸素漂白工程で処理し、次いで
酸処理工程で処理した後、多段漂白工程で処理して漂白
パルプを製造する方法において、各工程前に洗浄段を設
け、かつ酸処理に続き、アルカリ添加処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リグノセルロース
物質から漂白パルプを製造する方法に関する。更に詳し
く述べれば、本発明は、リグノセルロース物質を蒸解し
て得られる未漂白パルプから漂白パルプを製造する方法
において、所望の白色度にパルプを漂白するのに必要な
漂白薬品の使用量を大幅に削減し、さらに全製造工程か
らの排水負荷も大幅に削減し得る漂白パルプの製造方法
に関する。
【0002】リグノセルロース物質を製紙原料として多
くの用途に使用するためには、まず蒸解液で蒸解し、薬
品の化学作用によってパルプ化した後、或いは木材の場
合は木材チップをリファイナー等を用いて機械的作用に
よってパルプ化した後、得られるパルプを漂白薬品で漂
白して白色度を高める必要がある。例えば、クラフトパ
ルプは包装資材のように強度を必要とする用途に使う場
合を除いて、通常、アルカリ酸素漂白した後、元素状塩
素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、オゾン、過酸化
水素、苛性ソーダ等の漂白剤及び漂白助剤により漂白処
理され、パルプに含まれる着色原因物質であるリグニン
等が除去された後に漂白クラフトパルプとして使用され
るのが一般的である。
【0003】未漂白パルプから漂白パルプを製造する場
合は、パルプ繊維自体の強度を或る程度維持することが
必要であり、そのためパルプ繊維を構成するセルロー
ス、ヘミセルロース等の炭水化物の分解を最小限にとど
めるように過激な1段での漂白を避け、漂白薬品と漂白
条件を様々に組み合わせて温和に漂白する3〜6段の多
段漂白法を採用するのが一般的である。
【0004】従来から多段漂白法においては、パルプを
最初に元素状塩素で処理し、パルプ中に含有されるリグ
ニンを塩素化し、リグニンに可溶性を付加した後、次に
アルカリで塩素化リグニンを溶解抽出して、パルプ中か
らリグニンを分離除去し、更に次亜塩素酸塩、二酸化塩
素等を使用し、残留する少量のリグニンを分解除去し、
白色度の高いパルプを得る方法が採られてきた。しかし
ながら、近年、パルプの塩素化段からの漂白排水に含ま
れる有機塩素化合物の環境への影響が懸念され、パルプ
漂白に元素状塩素を用いない動きが高まってきている。
又、次亜塩素酸塩を用いた場合には、パルプの漂白時に
クロロホルムが生成し、環境に悪影響を及ぼす可能性が
あることから、次亜塩素酸塩をもパルプ漂白に使用しな
い漂白シーケンスが求められてきている。
【0005】現在、元素状塩素や次亜塩素酸塩の代替と
して、オゾン、酸素、過酸化水素、過酢酸、および過硫
酸等の酸素系の漂白薬品が注目されている。しかしなが
ら、酸素と過酸化水素を除いた上記の薬品は、未だ一般
に普及するまでには至っていない。
【0006】近年、漂白後のパルプの白色度を一定に維
持しながら使用する漂白薬品そのものを減少させる方法
として、酸処理による漂白前処理法が注目されている。
酸処理による漂白前処理法とは、漂白前のパルプを高温
かつ酸性下で処理することにより、パルプ中のキシラン
側鎖であるヘキセンウロン酸を選択的に除去し、パルプ
のカッパー価を下げる方法であり、この方法により所望
の白色度までパルプを漂白するのに要する漂白薬品を削
減できることが知られている。(例えば、Tapauni Vuor
inen等、1996 International Pulp Bleaching Conferen
ce Proceeding43〜51頁)。
【0007】本発明者らは、酸処理による漂白前処理法
の改良法として、先に、特開平10−251986号公
報において、酸素含有ガス加圧下で酸処理を行う方法を
提案している。この方法は、通常の酸処理法に較べてカ
ッパー価の低下幅が大きく、さらにパルプの増白効果も
あるため、漂白工程での漂白薬品使用量の削減効果を大
きくすることができる。
【0008】本発明者らは、先に特開平10−2988
86号公報において、窒素含有ガス加圧下で酸処理を行
う方法も提案している。この方法は、通常の酸処理法に
較べてカッパー価の低下幅が大きく、さらにパルプ粘度
の低下も抑制できるため、この方法を用いれば漂白工程
での漂白薬品使用量の削減効果を大きくできるだけでな
く、パルプ強度も高く保持することができる。
【0009】本発明者らは、先に特願平10−1190
51号明細書において、炭素数が1〜3のアルコール
類、アルデヒド類およびアセトンから選ばれた少なくと
も一つ以上の薬品を存在させて酸処理を行う方法も提案
している。この方法は、通常の酸処理法に較べてカッパ
ー価の低下幅が大きく、さらにパルプ粘度の低下も抑制
できるため、この方法を用いれば漂白工程での漂白薬品
使用量の削減効果を大きくできるだけでなく、パルプ強
度も高く保持することができる。
【0010】本発明者らは、先に特願平10−2813
41号明細書において、酸処理による漂白前処理を効果
的に行うために、酸処理に先立ち、アルカリ酸素漂白工
程を連続した複数の反応装置を用いて行う方法も提案し
ている。この方法は、通常のアルカリ酸素漂白後のパル
プにくらべて、カッパー価が低く、かつ白色度も高くな
るため、酸処理後のパルプカッパー価もより低く、白色
度はより高くなり、その結果、漂白工程での漂白薬品使
用量もより大幅に削減できる。
【0011】一方、本発明者らは酸処理について検討を
重ねた結果、酸処理工程を設けることで多段漂白工程か
らの漂白排水負荷は大幅に削減できるものの、意外なこ
とに酸処理工程からの排水のCOD負荷が著しく高いこ
とを見いだした。したがって、漂白パルプの製造工程か
らの排水負荷を低減するためには、酸処理工程からの排
水を系内に回収する必要があるが、通常、酸処理工程か
らの排水は酸性であり、蒸解黒液やアルカリ酸素漂白排
水とともに系内回収するのは困難であり、単独で回収す
るには特別な回収装置を新たに設けなければならないと
いう問題があった。
【0012】特開平6−101186号公報および特開
平158573号公報には、それぞれ蒸解後あるいはア
ルカリ酸素漂白後のパルプを酸処理した後、脱水機によ
り酸処理排水を分離し、分離した酸処理排水を酸処理工
程および/または蒸解工程後もしくはアルカリ酸素漂白
処理後のパルプの洗浄に使用でき、場合によっては蒸解
工程にリサイクルできることが記述されている。しかし
ながら、上記したように、酸処理排水をそのままの状態
で蒸解廃液やアルカリ酸素漂白排水とともに系内回収す
るのは困難であり、単独で回収するには特別な回収装置
を新たに設けなければならないという問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、酸処理工程からの排水を蒸解黒液やアルカ
リ酸素漂白排水とともに容易に回収する方法について種
々検討を重ねた結果、酸処理工程が終了する直前にアル
カリを添加してpHを高くすれば、酸処理工程からの排
水を蒸解黒液やアルカリ酸素漂白排水とともに容易に回
収できるだけでなく、多段漂白工程での漂白薬品の削減
効果もさらに大きくなることを見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0014】本発明の目的は、リグノセルロース物質を
蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白工程
でし、次いで多段漂白工程で処理して漂白パルプを製造
する方法において、所望の白色度に漂白するのに必要な
漂白工程での漂白薬品の使用量を大幅に削減し、さらに
全製造工程からの排水負荷を大幅に削減し得る漂白パル
プの製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の各発明を含有する。 (1)本発明は、リグノセルロース物質を蒸解して得ら
れる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白工程で処理し、次
いで酸処理工程で処理した後、多段漂白工程で処理して
漂白パルプを製造する方法において、前記各工程前に洗
浄段を設け、かつ該酸処理工程において、酸処理に続
き、洗浄することなく、アルカリ添加処理することを特
徴とする漂白パルプの製造方法である。
【0016】(2)本発明は、前記多段漂白工程直前の
洗浄段からの排水を酸処理工程直前の洗浄段の洗浄水と
して用い、さらに酸処理工程直前の洗浄段からの排水を
アルカリ酸素漂白工程直前の洗浄段の洗浄水として用い
る(1)項記載の漂白パルプの製造方法である。
【0017】(3)本発明は、前記酸処理工程中の酸処
理に硫酸を用い、かつアルカリ添加処理に苛性ソーダ、
および酸化されたクラフト白液から選ばれた少なくとも
一つ以上の薬品を用いる(1)項および(2)項記載の
漂白パルプの製造方法である。
【0018】(4)本発明は、前記酸処理工程中の酸処
理を加圧ガスによる加圧下で行う(1)項〜(3)項記
載の漂白パルプの製造方法である。
【0019】(5)本発明は、前記アルカリ酸素漂白工
程が連続した複数の反応装置を用いて行われる(1)項
〜(4)項記載の漂白パルプの製造方法である。
【0020】(6)本発明は、前記リグノセルロース物
質が広葉樹材である(1)項〜(5)項記載の漂白パル
プの製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるリグノセルロ
ース物質としては、特に限定されるものではなく、ケナ
フ、麻、バガス、イネ等の非木材の植物であっても、針
葉樹木材あるいは広葉樹木材でもよいが、効果の面から
は広葉樹木材が好適に使用される。本発明に使用される
化学パルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸
解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサル
ファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができる
が、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラ
フト蒸解法が好適に用いられる。例えば、木材をクラフ
ト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75
%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶
乾木材重量当たり5〜30重量%、好ましくは10〜2
5重量%、蒸解温度は140〜170℃で、蒸解方式
は、連続蒸解法或いはバッチ蒸解法のどちらでもよく、
連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修
正蒸解法でもよく、特にその方式は特に問わない。
【0022】蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤
として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、
ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナン
トロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ
等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であ
るアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合
物、更にはディールスアルダー法によるアントラキノン
合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,
10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた
1種或いは2種以上が添加されてもよく、その添加率は
木材チップの絶乾重量当たり0.001〜1.0重量%
である。本発明では、公知の蒸解法により得られた未漂
白化学パルプは粗選工程及び精選工程を経て、さらに洗
浄段(以下、W1段と表記する)を経てアルカリ酸素漂
白工程へ送られる。
【0023】本発明のアルカリ酸素漂白工程では、公知
のアルカリ酸素漂白法が適用できるが、現在汎用的に用
いられている中濃度法が好適に用いられる。前記アルカ
リ酸素漂白工程において、アルカリとしては苛性ソーダ
或いは酸化されたクラフト白液を使用することができ、
酸素ガスしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Press
ure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Sw
ing Adsorption)からの酸素等が使用できる。酸素ガス
とアルカリはミキサーによってパルプスラリーに添加さ
れ混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及び
アルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ
る。本発明においては、複数のミキサーを用いて、アル
カリと酸素ガスがパルプスラリーに複数回添加、混合さ
れ、複数の反応塔を用いて処理されるのが好ましい実施
形態である。さらに、本発明においては、複数の反応塔
の間に洗浄段を設けて処理するのも好ましい実施形態の
一つである。酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ重量当た
り0.5〜3重量%、アルカリ添加率は0.5〜4重量
%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜10
0分であり、この他の条件は公知のものが適用できる。
アルカリ酸素漂白されたパルプは洗浄段(以下、W2段
と表記する)を経て、酸処理工程に送られる。
【0024】本発明の酸処理工程は、酸処理後、アルカ
リ添加処理を行うことが特徴である。本発明の酸処理工
程の酸処理は、pH2〜4、好ましくは2.5〜3.
5、温度50〜120℃、好ましくは70〜110℃、
保持時間5〜120分、好ましくは20〜90分の条件
下で行われる。本発明の酸処理に用いられる酸は、酸処
理時のpHを2〜4に調整できるものであれば無機酸、
有機酸のいずれでも良いが、硫酸、硝酸、塩酸、亜硫
酸、亜硝酸等の無機酸、中でも硫酸が入手と取り扱いが
容易であり、また排水からの系内回収が容易であるため
好適に用いられる。
【0025】本発明の酸処理においては、酸素含有ガス
あるいは窒素含有ガスを用いて加圧することもできる。
酸処理時に加圧のために用いられる酸素含有ガスとして
は、深冷分離法からの酸素、PSAからの酸素、VSA
からの酸素等のように工業規模での利用が可能で、現在
アルカリ酸素漂白に使用されている酸素純度が85容量
%以上の酸素或いは酸素含有ガス、前記モレキュラーシ
ーブを用いた酸素製造設備を用いて酸素の含有量を21
容量%を超えて調整された酸素含有ガス、前記酸素純度
が85容量%以上の酸素含有ガスと空気を混合して製造
される酸素富化ガス、酸素含有量が20容量%以上の空
気等を挙げることができ、これらの中から適宜選択して
用いることができる。また、多段漂白処理工程において
オゾン漂白段を有する場合には、酸素を含有するその排
ガスも好適に使用することができる。本発明の酸処理段
時に使用される窒素含有ガスとしては、窒素ガス含有率
が95%以上のガスであればいかなるガスでもよいが、
経済的見地から、アルカリ酸素漂白に使用される深冷分
離法からの酸素、PSAからの酸素、VSAからの酸素
等の酸素ガスを製造する際に副生する窒素含有ガスが好
適に用いられる。酸処理時の酸素含有ガス、あるいは窒
素含有ガスによる酸処理時の加圧圧力は0.05〜0.
9MPa(ゲージ圧力)であり、好ましくは0.15〜
0.7MPaである。
【0026】本発明の酸処理においては、過酸化物を添
加することもできる。添加される過酸化物は、過酸化物
であればいかなるものでも良いが、過酸化水素、過酢
酸、過ギ酸、過硫酸、ジオキシラン等のように比較的取
り扱いが容易であり、好適に用いられる。これらの過酸
化物は単独で用いても良く、混合して用いても良い。前
記薬品の添加率はパルプ絶乾重量当たり0.01%〜
1.0%であり、好ましくは0.05%〜0.5%であ
る。
【0027】本発明の特徴である酸処理後のアルカリ添
加処理は、酸処理後(pH2〜4)のパルプスラリーに
直接アルカリを添加して行われる。本発明のアルカリ添
加処理におけるアルカリ添加後のpHは5〜11、好ま
しくは6〜8、保持時間は0.1〜30分、好ましくは
1〜10分である。処理温度は特に限定するものではな
い。アルカリ添加処理において添加されるアルカリは、
特に限定されるものではないが、排水からの系内回収お
よび再生が容易であるという理由から苛性ソーダ、酸化
したクラフト白液、白液から分離した苛性ソーダ、緑液
から分離した炭酸ソーダ等が好適に用いられる。
【0028】本発明の酸処理工程におけるパルプ濃度は
5〜40重量%、好ましくは8〜35重量%、更に好ま
しくは10〜25重量%の範囲である。本発明の酸処理
工程においては、効果的に処理を行うために、パルプス
ラリーと酸、あるいはパルプスラリーとアルカリを均一
に混合する必要がある。均一な混合を得るには、低濃度
ミキサー、中濃度ミキサー、高濃度ミキサー、中濃度ポ
ンプ等の中から処理時のパルプの種類と濃度に応じて適
宜選択して用いることができる。前記酸処理工程を経た
パルプは、洗浄段(以下、W3段と表記する)を経て多
段漂白処理工程に送られる。
【0029】本発明の多段漂白処理工程で用いられる漂
白薬品としては、元素状塩素(C)、苛性ソーダ
(E)、次亜塩素酸塩化合物(H)、二酸化塩素
(D)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン
(Z)、有機過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤からなる
漂白薬品を挙げることができ、これらの中から適宜選択
されて漂白薬品として用いられる。本発明における多段
漂白処理工程での漂白シーケンスとして、例えばC−E
/O−H−D、 C/D−E/O−H−Dのように元素
状塩素と塩素系漂白薬品を含む漂白シーケンスを用いる
こともできるし、D−E−D、D−E/O−D、E/O
−D、E−O−D、Z−D、のように元素状塩素を含ま
ない漂白シーケンスを用いることもできる。また、Z−
E−P、Z−E/O−P、E/OP−PO等のように元
素状塩素と塩素系漂白薬品を一切用いない漂白シーケン
スを用いることもできる。また、多段漂白工程中にキシ
ラン分解酵素、リグニン分解酵素等による酵素処理段
や、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチ
レントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレー
ト剤処理段を挿入してもよいことは言うまでもない。
【0030】本発明では、多段漂白処理工程において、
酸素と過酸化水素から選択された酸化系薬品を公知のア
ルカリ抽出段に添加してE/O、E/P、E/OPある
いはPOのようなシーケンスを少なくとも一段用いる漂
白シーケンスで漂白した場合に漂白後の白色度がさらに
向上するという特徴がある。酸素及び/又は過酸化水素
を添加したアルカリ抽出は、アルカリ酸素漂白法に準じ
て加圧下で行ってもよく、最初の5〜15分間だけ加圧
して、その後は圧力を大気開放して保持する方法でもよ
い。
【0031】本発明の各工程前の洗浄段(W1段、W2
段、W3段)に用いられる洗浄機、および多段漂白工程
中の洗浄段に使用される洗浄機としては、プレッシャー
ディフューザー、ディフュージョンウオッシャー、加圧
型ドラムウオッシャー、水平長網型ウオッシャー、プレ
ス洗浄機等を挙げることができ、特に限定されるもので
はない。本発明の各洗浄段では、一機の洗浄機でまかな
うこともできるし、複数の洗浄機を使用することもでき
るが、次工程、次段へのキャリーオーバーができるだけ
少なくなるように留意して選択して使用される。
【0032】本発明の各工程前の洗浄段(W1段、W2
段、W3段)からの排水は回収し、最終的には蒸解黒液
として、あるいは蒸解黒液と共に一緒に回収ボイラーへ
送り、そこに含まれる有機物は熱エネルギーとして利用
することができる。同時に、ナトリウムと硫黄はリサイ
クルして蒸解白液、酸化白液、苛性ソーダ、硫酸等とし
て再度使用することができる。また、本発明では多段漂
白処理工程において、漂白薬品として元素状塩素を用い
ない漂白シーケンスで、更には元素状塩素と塩素系漂白
薬品の両方を用いない漂白シーケンスで漂白パルプを製
造することができるため、漂白からの排水も回収して多
段漂白処理工程をクローズド化し、漂白パルプの全製造
工程もクローズド化することもできる。
【0033】本発明の酸処理工程において、酸処理後、
アルカリ添加処理を行うことにより、酸処理工程からの
排水の系内回収が容易になるだけでなく、所望の白色度
に漂白するのに必要な多段漂白工程における漂白薬品の
削減量がさらに大きくなる理由については現時点では明
確には断定できないが、本発明者らは、以下のように推
察している。第一に、通常の酸処理工程後の酸性下での
洗浄ではパルプから除去されなかったリグニン分解物が
アルカリ添加処理により洗浄pHが高くなることで除去
され、酸処理工程後のパルプ中のリグニン含量が減少し
たこと、第二に、アルカリ添加処理を行うことにより、
通常の酸処理工程後のパルプにくらべてpHが高くな
り、多段漂白工程における最初の漂白段での反応pHが
最適化されたことに起因しているものと考えられる。
【0034】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。以下に示す実施例1〜5およ
び比較例1、2は、広葉樹未漂白クラフトパルプをアル
カリ酸素漂白し、次いで酸処理した後、D1−E/O−
D2漂白した結果を示す。また、特に示さない限り、カ
ッパー価の測定、パルプ粘度の測定、白色度の測定、全
工程を通したパルプ収率はそれぞれ以下のように算出し
た。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は絶
乾パルプ重量当たりの重量%示す。
【0035】1.カッパー価の測定 カッパー価の測定は、JIS P 8211に準じて行
った。
【0036】2.パルプ粘度の測定 パルプ粘度の測定は、J.TAPPI 44に準じて行
った。
【0037】3.パルプ白色度の測定 パルプを離解した後、Tappi試験法T205os−
71(JIS P 8209)に従って坪量60g/m
2のシートを作製し、JIS P 8123に従ってパルプ
の白色度を測定した。
【0038】4.全工程におけるパルプ収率 アルカリ酸素漂白工程、酸処理工程および漂白工程にお
けるパルプ゜収率は、それぞれ工程前後のパルプの絶乾重
量から式(1)により算出し、全工程におけるパルプ収
率は式(2)に従って算出した。 各工程におけるパルプ゜収率(%)={(工程後のパルプ絶乾重量)/工程前のパ ルプ絶乾重量}×100…(1) 全工程におけるパルプ゜収率(%)=アルカリ酸素漂白工程におけるパルプ収率( %)×酸処理工程におけるパルプ収率(%)×多段漂白工程におけるパルプ収率 (%)/10000…(2)
【0039】実施例1 国内産広葉樹材30%とユーカリ材70%からなる広葉
樹混合木材チップを絶乾 500g採取し、液比4、絶乾
チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度
25%、蒸解温度160℃、蒸解時間120分の条件下
で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸
解した。蒸解後、蒸解黒液とパルプを脱水分離し、イオ
ン交換水を用いて洗浄した後(W1段)、パルプを10
カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリー
ンで精選し、広葉樹未漂白クラフトパルプ(白色度;3
7.1%、カッパー価;17.0、パルプ粘度;28.
8mPa・s)を絶乾重量で220g得た。この広葉樹
未漂白クラフトパルプを90.0g採取し、絶乾パルプ
重量当たり苛性ソーダを1.5%添加し、次いでイオン
交換水で希釈してパルプ濃度を10%に調整し、ステン
レス製2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入
れ、ゲージ圧力が0.5MPaとなるように純度が9
9.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、100℃で6
0分間反応させ、アルカリ酸素漂白を行った。得られた
パルプをイオン交換水で洗浄した後、脱水した(W2
段)。絶乾重量88.3g、白色度が45.8%、カッ
パー価9.3、パルプ粘度が22.8mPa・sのパル
プを得た。
【0040】このパルプを絶乾重量で80.0g採取
し、イオン交換水と希硫酸を添加してpH3.0,パル
プ濃度10%のパルプスラリーとした後、ステンレス製
2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、95
℃で120分間、酸処理を行った。得られたパルプスラ
リーを洗浄することなく、プラスチック袋に入れ、絶乾
パルプ重量当たり苛性ソーダを0.50%添加し、よく
攪拌した後、1分間、室温で放置し、アルカリ添加処理
を行った。このパルプスラリーをプラスチック袋から取
り出し、脱水して濾液を分取した後、イオン交換水で洗
浄、脱水した(W3段)。 絶乾重量79.2gの白色
度が46.3%、カッパー価4.5、パルプ粘度が1
8.1mPa・sのパルプを得た。また、分取した酸処
理濾液のpHは7.5であった。
【0041】このパルプを絶乾重量で70.0g採取
し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパル
プ濃度を10%に調整した後、絶乾パルプ重量当たり二
酸化塩素を0.31%添加し、温度が70℃の恒温水槽
に30分間浸漬してD1段の漂白を行った。得られたパ
ルプをイオン交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパル
プにイオン交換水を加えて、パルプ濃度が10%のパル
プスラリーに調整した後、絶乾パルプ重量当たり苛性ソ
ーダを0.53%添加し、ステンレス製2リットル容の
間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧力が0.1
5MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧縮酸
素ガスで加圧し、70℃で20分間反応させた。その
後、パルプスラリーをオートクレーブから取り出し、プ
ラスチック袋に移した後、D1段と同様にして温度70
℃で70分間処理し、E/O段の抽出を行った。得られ
たパルプをイオン交換水を用いて洗浄、脱水した。続い
て、E/O段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオ
ン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾
パルプ重量当たり二酸化塩素を0.2%添加し、D1段
と同様にして温度70℃で180分間処理し、D2段の
漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて
洗浄、脱水し絶乾重量69.6g、白色度85.0%、
パルプ粘度が16.9mPa・sの漂白パルプを得た。
アルカリ酸素漂白後および酸処理工程後のパルプのカッ
パー価、パルプ白色度、パルプ粘度および酸処理工程後
の濾液のpHを表1に、多段漂白工程におけるD1段薬
品添加率とE/O段薬品添加率、および全工程を通した
パルプ収率と漂白後のパルプ粘度と白色度を表2に示し
た。
【0042】実施例2 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後の広葉樹クラフト
パルプ(白色度;45.8%、カッパー価;9.3、パ
ルプ粘度;22.8mPa・s)を絶乾重量で80.0
g採取し、アルカリ添加処理時の苛性ソーダの添加率を
0.8%に替えた以外は実施例1と同様に酸処理および
アルカリ添加処理を行った。処理後、脱水して濾液を分
取した後、イオン交換水で洗浄、脱水した(W3段)。
絶乾重量79.1の白色度が47.0%、カッパー価
4.2、パルプ粘度が17.8mPa・sのパルプを得
た。また、分取した酸処理工程濾液のpHは10.5で
あった。
【0043】このパルプを絶乾重量で70.0g採取
し、プラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二
酸化塩素の添加率を0.27%に替えた以外は実施例1
と同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオ
ン交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラス
チック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を1
0%に調整した後、絶乾パルプ重量当たりの苛性ソーダ
の添加率を0.46%に替えた以外は実施例1と同様に
E/O段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水で洗浄、脱水した。続いて、E/O段後のパルプをプ
ラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白を
行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、
脱水し、絶乾重量69.7g、白色度85.1%、パル
プ粘度17.0mPa・sの漂白パルプを得た。アルカ
リ酸素漂白後および酸処理工程後のパルプのカッパー
価、パルプ白色度、パルプ粘度および酸処理工程後の濾
液のpHを表1に、多段漂白工程におけるD1段薬品添
加率とE/O段薬品添加率、および全工程を通したパル
プ収率と漂白後のパルプ粘度と白色度を表2に示した。
【0044】実施例3 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後の広葉樹クラフト
パルプ(白色度;45.8%、カッパー価;9.3、パ
ルプ粘度;22.8mPa・s)を絶乾重量で80.0
g採取し、イオン交換水と希硫酸を添加してpH3.
0,パルプ濃度10%のパルプスラリーとした後、ステ
ンレス製2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入
れ、ゲージ圧力が0.5MPaとなるように純度が9
9.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、95℃で12
0分間反応させ、酸処理を行った。得られたパルプスラ
リーを洗浄することなく、プラスチック袋に入れ、絶乾
パルプ重量当たり苛性ソーダを0.50%添加し、よく
攪拌した後、1分間、室温で放置し、アルカリ添加処理
を行った。このパルプスラリーをプラスチック袋から取
り出し、脱水して濾液を分取した後、イオン交換水で洗
浄、脱水した(W3段)。 絶乾重量79.0gの白色
度が48.8%、カッパー価4.0、パルプ粘度が1
7.3mPa・sのパルプを得た。また、分取した酸処
理工程濾液のpHは7.5であった。
【0045】このパルプを絶乾重量で70.0g採取
し、プラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二
酸化塩素の添加率を0.20%に替えた以外は実施例1
と同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオ
ン交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラス
チック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を1
0%に調整した後、絶乾パルプ重量当たりの苛性ソーダ
の添加率を0.34%に替えた以外は実施例1と同様に
E/O段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水で洗浄、脱水した。続いて、E/O段後のパルプをプ
ラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白を
行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、
脱水し、絶乾重量69.8g、白色度85.1%、パル
プ粘度16.8mPa・sの漂白パルプを得た。アルカ
リ酸素漂白後および酸処理工程後のパルプのカッパー
価、パルプ白色度、パルプ粘度および酸処理工程後の濾
液のpHを表1に、多段漂白工程におけるD1段薬品添
加率とE/O段薬品添加率、および全工程を通したパル
プ収率と漂白後のパルプ粘度と白色度を表2に示した。
【0046】実施例4 実施例1と同様の広葉樹未漂白クラフトパルプ(白色
度;37.1%、カッパー価;17.0、パルプ粘度;
28.8mPa・s)を絶乾重量で90.0g採取し、
絶乾パルプ重量当たり苛性ソーダを1.5%添加し、次
いでイオン交換水で希釈してパルプ濃度を10%に調整
し、間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧力が
0.5MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧
縮酸素ガスで加圧し、100℃で30分間反応させた。
その後、ゲージ圧力が0.05MPa以下になるまで減
圧し、パルプをオートクレーブから取り出し、イオン交
換水を用いて洗浄、脱水した。このパルプに再度、苛性
ソーダを1.5%添加し、次いでイオン交換水で希釈し
てパルプ濃度を10%に調整した後、間接加熱式オート
クレーブに入れ、ゲージ圧力が0.5MPaとなるよう
に純度が99.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、1
00℃で30分間反応させ、アルカリ酸素漂白を行っ
た。得られたパルプをイオン交換水で洗浄した後、脱水し
た(W2段)。絶乾重量88.2g、白色度が48.3
%、カッパー価8.4、パルプ粘度が22.5mPa・
sのパルプを得た。
【0047】前記アルカリ酸素漂白後のパルプを絶乾重
量で80.0g採取し、実施例1と同様に酸処理および
アルカリ添加処理を行った。処理後、脱水して濾液を分
取した後、イオン交換水で洗浄、脱水した(W3段)。
絶乾重量79.3gの白色度が49.0%、カッパー価
3.6、パルプ粘度が17.5mPa・sのパルプを得
た。また、分取した酸処理工程濾液のpHは7.4であ
った。
【0048】このパルプを絶乾重量で70.0g採取
し、プラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二
酸化塩素の添加率を0.18%に替えた以外は実施例1
と同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオ
ン交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラス
チック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を1
0%に調整した後、絶乾パルプ重量当たりの苛性ソーダ
の添加率を0.31%に替えた以外は実施例1と同様に
E/O段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水で洗浄、脱水した。続いて、E/O段後のパルプをプ
ラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白を
行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、
脱水し、絶乾重量69.8g、白色度85.1%、パル
プ粘度17.1mPa・sの漂白パルプを得た。アルカ
リ酸素漂白後および酸処理工程後のパルプのカッパー
価、パルプ白色度、パルプ粘度および酸処理工程後の濾
液のpHを表1に、多段漂白工程におけるD1段薬品添
加率とE/O段薬品添加率、および全工程を通したパル
プ収率と漂白後のパルプ粘度と白色度を表2に示した。
【0049】実施例5 W2段の洗浄水としてW3段の洗浄濾液を用い、W1段
の洗浄水として前記W2段の洗浄濾液を用いた以外は実
施例1と同様にクラフト蒸解工程、アルカリ酸素漂白工
程および酸処理工程を順次行った。絶乾重量79.2の
白色度が46.1%、カッパー価4.6、パルプ粘度が
18.0mPa・sのパルプを得た。また、分取した酸
処理工程濾液のpHは7.5であった。
【0050】このパルプを絶乾重量で70.0g採取
し、プラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二
酸化塩素の添加率を0.33%に替えた以外は実施例1
と同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオ
ン交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラス
チック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を1
0%に調整した後、絶乾パルプ重量当たりの苛性ソーダ
の添加率を0.56%に替えた以外は実施例1と同様に
E/O段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水で洗浄、脱水した。続いて、E/O段後のパルプをプ
ラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白を
行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、
脱水し、絶乾重量69.6g、白色度85.0%、パル
プ粘度16.8mPa・sの漂白パルプを得た。アルカ
リ酸素漂白後および酸処理工程後のパルプのカッパー
価、パルプ白色度、パルプ粘度および酸処理工程後の濾
液のpHを表1に、多段漂白工程におけるD1段薬品添
加率とE/O段薬品添加率、および全工程を通したパル
プ収率と漂白後のパルプ粘度と白色度を表2に示した。
【0051】比較例1 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後の広葉樹クラフト
パルプ(白色度;45.8%、カッパー価;9.3、パ
ルプ粘度;22.8mPa・s)を絶乾重量で80.0
g採取し、実施例1と同様に酸処理を行ったがアルカリ
添加処理は行わなかった。酸処理後、脱水して濾液を分
取した後、イオン交換水で洗浄、脱水した(W3段)。
絶乾重量79.3の白色度が45.9%、カッパー価
4.9、パルプ粘度が18.3mPa・sのパルプを得
た。また、分取した酸処理工程濾液のpHは3.1であ
った。
【0052】このパルプを絶乾重量で70.0g採取
し、プラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二
酸化塩素の添加率を0.41%に替えた以外は実施例1
と同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオ
ン交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラス
チック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を1
0%に調整した後、絶乾パルプ重量当たりの苛性ソーダ
の添加率を0.70%に替えた以外は実施例1と同様に
E/O段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水で洗浄、脱水した。続いて、E/O段後のパルプをプ
ラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白を
行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、
脱水し、絶乾重量69.4g、白色度85.0%、パル
プ粘度16.1mPa・sの漂白パルプを得た。アルカ
リ酸素漂白後および酸処理工程後のパルプのカッパー
価、パルプ白色度、パルプ粘度および酸処理工程後の濾
液のpHを表1に、多段漂白工程におけるD1段薬品添
加率とE/O段薬品添加率、および全工程を通したパル
プ収率と漂白後のパルプ粘度と白色度を表2に示した。
【0053】比較例2 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後の広葉樹クラフト
パルプ(白色度;45.8%、カッパー価;9.3、パ
ルプ粘度;22.8mPa・s)を絶乾重量で80.0
g採取し、アルカリ添加処理後に洗浄をしなかった以外
は実施例1と同様に酸処理およびアルカリ添加処理を行
った(W3段なし)。
【0054】このパルプスラリーをプラスチック袋に入
れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸化塩素の添加率を0.
65%に替えた以外は実施例1と同様にD1段の漂白を
行った。得られたパルプをイオン交換水で洗浄、脱水し
た。D1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン
交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、絶乾
パルプ重量当たりの苛性ソーダの添加率を1.11%に
替えた以外は実施例1と同様にE/O段の抽出を行っ
た。得られたパルプをイオン交換水で洗浄、脱水した。
続いて、E/O段後のパルプをプラスチック袋に入れ、
実施例1と同様にD2段の漂白を行った。得られたパル
プをイオン交換水を用いて洗浄、脱水し、絶乾重量7
8.4g、白色度85.0%、パルプ粘度16.1mP
a・sの漂白パルプを得た。アルカリ酸素漂白後のパル
プのカッパー価、パルプ白色度、パルプ粘度を表1に、
多段漂白工程におけるD1段薬品添加率とE/O段薬品
添加率、および全工程を通したパルプ収率と漂白後のパ
ルプ粘度と白色度を表2に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】表1の実施例1、2および5と比較例1、
2を比較することから明らかなように、酸処理後、アル
カリ添加処理を行い、かつ洗浄することにより、酸処理
後のパルプ白色度を高くし、パルプのカッパー価を低く
することができる。その結果、表2から明らかなよう
に、所望の白色度に漂白するのに必要な多段漂白工程で
の漂白薬品の使用量を削減することができ、全工程にお
けるパルプ収率を上げることもでき、さらには酸処理工
程からの排水を容易に回収することも可能である。ま
た、上記効果は、加圧ガスによる加圧下で酸処理するこ
と(実施例3)、あるいは連続した複数の反応装置を用
いてアルカリ酸素漂白工程を行うこと(実施例4)によ
り大きくすることが可能である。
【発明の効果】リグノセルロース物質を蒸解して得られ
る未漂白パルプをアルカリ酸素漂白工程で処理し、次い
で酸処理工程で処理した後、多段漂白工程で処理して漂
白パルプを製造する方法において、各工程前に洗浄段を
設け、かつ酸処理工程が終了する直前にアルカリを添加
してアルカリ添加処理することにより、酸処理工程から
の排水を蒸解黒液やアルカリ酸素漂白排水とともに容易
に回収でき、さらに所望の白色度に漂白するのに必要な
多段漂白工程での漂白薬品の使用量が削減でき、排水負
荷の少ない漂白パルプの製造方法を提供することが可能
となった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグノセルロース物質を蒸解して得られ
    る未漂白パルプをアルカリ酸素漂白工程で処理し、次い
    で酸処理工程で処理した後、多段漂白工程で処理して漂
    白パルプを製造する方法において、前記各工程前に洗浄
    段を設け、かつ該酸処理工程において、酸処理に続き、
    アルカリ添加処理することを特徴とする漂白パルプの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記多段漂白工程直前の洗浄段からの排
    水を酸処理工程直前の洗浄段の洗浄水として用い、さら
    に酸処理工程直前の洗浄段からの排水をアルカリ酸素漂
    白工程直前の洗浄段の洗浄水として用いることを特徴と
    する請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酸処理工程中の酸処理に硫酸を用
    い、かつアルカリ添加処理に苛性ソーダ、および酸化さ
    れたクラフト白液から選ばれた少なくとも一つ以上の薬
    品を用いることを特徴とする請求項1、2記載の漂白パ
    ルプの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸処理工程中の酸処理を加圧ガスに
    よる加圧下で行うことを特徴とする請求項1〜3記載の
    漂白パルプの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ酸素漂白工程が連続した複
    数の反応装置を用いて行われることを特徴とする請求項
    1〜4記載の漂白パルプの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記リグノセルロース物質が広葉樹材で
    あることを特徴とする請求項1〜5記載の漂白パルプの
    製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007308815A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Oji Paper Co Ltd 漂白パルプの製造方法
JP2010012406A (ja) * 2008-07-03 2010-01-21 Oji Paper Co Ltd 灰の処理方法
JP2010270410A (ja) * 2009-05-21 2010-12-02 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc Ecf漂白方法

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JP2010012406A (ja) * 2008-07-03 2010-01-21 Oji Paper Co Ltd 灰の処理方法
JP2010270410A (ja) * 2009-05-21 2010-12-02 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc Ecf漂白方法

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