JP2801833B2 - 加工性および耐孔食性に優れたFe−Cr合金 - Google Patents
加工性および耐孔食性に優れたFe−Cr合金Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工性、耐食性、特に耐
孔食性、またさらに耐酸性、耐酸化性などに優れるFe
−Cr合金に関する。
孔食性、またさらに耐酸性、耐酸化性などに優れるFe
−Cr合金に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にFe−Cr合金は耐食性に優れた
材料として知られているが、耐食性および加工性の改善
も含めてFe−Cr合金の物性の改良が以下の例示のご
とくに各種提案されている。
材料として知られているが、耐食性および加工性の改善
も含めてFe−Cr合金の物性の改良が以下の例示のご
とくに各種提案されている。
【0003】特公昭63−58904号公報ではCr含
量11.0〜16.0重量%のFe−Cr合金で、特に
Ti含量を特定量とした張り出し性および二次加工性に
優れたフェライト系ステンレス鋼を提案している。
量11.0〜16.0重量%のFe−Cr合金で、特に
Ti含量を特定量とした張り出し性および二次加工性に
優れたフェライト系ステンレス鋼を提案している。
【0004】特公昭64−6264号公報ではCr含量
8.0〜35.0重量%のFe−Cr合金で、特にS
i、MnおよびMbを各々特定量含有した耐銹性に優れ
たステンレス鋼光輝焼鈍材を提案している。
8.0〜35.0重量%のFe−Cr合金で、特にS
i、MnおよびMbを各々特定量含有した耐銹性に優れ
たステンレス鋼光輝焼鈍材を提案している。
【0005】特公平2−1902号公報ではCr含量が
20.0重量%を越え25重量%以下のFe−Cr合金
で、特にMo、MnおよびMbを各々特定量含有せした
め溶接時の耐高温割れ性および溶接部靱性に優れた耐食
性フェライトステンレス鋼を提案している。
20.0重量%を越え25重量%以下のFe−Cr合金
で、特にMo、MnおよびMbを各々特定量含有せした
め溶接時の耐高温割れ性および溶接部靱性に優れた耐食
性フェライトステンレス鋼を提案している。
【0006】特開昭61−186451号公報ではCr
含量が25〜50重量%のFe−Cr合金で、特にS
i、MnおよびMoを特定量含有せしめた耐サワー性に
優れた合金を提案している。
含量が25〜50重量%のFe−Cr合金で、特にS
i、MnおよびMoを特定量含有せしめた耐サワー性に
優れた合金を提案している。
【0007】特開昭62−267450号公報でCr含
量16〜19重量%のFe−Cr系合金であって、特に
Moを特定量含有せしため耐粒界腐食性に優れる高純度
フェライト系ステンレス鋼を提案している。
量16〜19重量%のFe−Cr系合金であって、特に
Moを特定量含有せしため耐粒界腐食性に優れる高純度
フェライト系ステンレス鋼を提案している。
【0008】特開平2−232344号公報ではCr含
量25.0〜30.0重量%のFe−Cr系合金であっ
て、特にMoを特定量含有せしめた耐生物付着性および
耐海水性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提案して
いる。
量25.0〜30.0重量%のFe−Cr系合金であっ
て、特にMoを特定量含有せしめた耐生物付着性および
耐海水性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提案して
いる。
【0009】特開平3−2355号公報ではCr含量1
6.0〜25.0重量%のFe−Cr合金であって、特
にNbをCとNの合計量との比において特定量含有せし
めた冷間加工性、靱性、耐食性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼を提案している。
6.0〜25.0重量%のFe−Cr合金であって、特
にNbをCとNの合計量との比において特定量含有せし
めた冷間加工性、靱性、耐食性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼を提案している。
【0010】特開平1−287253号公報ではCr含
量15〜26重量%、Al含量4〜6重量%のFe−C
r−Al合金であって、希土類元素を少量特定量含有せ
しめた耐酸化性および製造性に優れたAl含量フェライ
ト系ステンレス鋼を提案している。
量15〜26重量%、Al含量4〜6重量%のFe−C
r−Al合金であって、希土類元素を少量特定量含有せ
しめた耐酸化性および製造性に優れたAl含量フェライ
ト系ステンレス鋼を提案している。
【0011】特開平3−2355号公報ではCr含量1
6.0〜25.0重量%のFe−Cr合金であって、特
にNbをCとNの合計量との比において特定量含有せし
めた冷間加工性、靱性、耐食性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼を提案している。
6.0〜25.0重量%のFe−Cr合金であって、特
にNbをCとNの合計量との比において特定量含有せし
めた冷間加工性、靱性、耐食性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼を提案している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】これらFe−Cr合金
は、まずは耐食性を重要視するので、Crを比較的多量
に使用する。その結果、延性が低下し加工性が必ずしも
充分でなく自動車外装材、建築用外装材や構造物などの
加工性が必要な用途に適用しようとする場合加工時に割
れが生じたり、あるいは加工条件が厳しく非常に加工し
にくいという問題が生じておりより一層の加工性の向上
が望まれていた。
は、まずは耐食性を重要視するので、Crを比較的多量
に使用する。その結果、延性が低下し加工性が必ずしも
充分でなく自動車外装材、建築用外装材や構造物などの
加工性が必要な用途に適用しようとする場合加工時に割
れが生じたり、あるいは加工条件が厳しく非常に加工し
にくいという問題が生じておりより一層の加工性の向上
が望まれていた。
【0013】さらに、これらFe−Cr合金は耐食性に
優れるが、なお不充分で、特に耐孔食性が要請される自
動車外装材や建築用外装材の用途、更には耐酸性が要求
される化学プラント用構造材には改善が要望されてい
る。
優れるが、なお不充分で、特に耐孔食性が要請される自
動車外装材や建築用外装材の用途、更には耐酸性が要求
される化学プラント用構造材には改善が要望されてい
る。
【0014】さらに、これらFe−Cr合金は、高温で
の強度および耐酸化性も十分でなく高温に晒される自動
車排ガス用パイプなどの用途に用いようとする場合は更
なる改善が求められていた。
の強度および耐酸化性も十分でなく高温に晒される自動
車排ガス用パイプなどの用途に用いようとする場合は更
なる改善が求められていた。
【0015】かくして、本発明の主目的は加工性が改善
されかつ耐孔食性に優れたFe−Cr合金を提供するこ
とである。
されかつ耐孔食性に優れたFe−Cr合金を提供するこ
とである。
【0016】本発明の他の目的は上記特性の改善に加え
て、耐酸性に於いても改善されたFe−Cr合金を提供
することにある。
て、耐酸性に於いても改善されたFe−Cr合金を提供
することにある。
【0017】本発明のさらに他の目的は、加工性に優れ
しかも耐酸性および耐酸化性に優れたFe−Cr合金を
提供することである。
しかも耐酸性および耐酸化性に優れたFe−Cr合金を
提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成すべく鋭意研究を行った結果、意外にも従来のFe−
Cr合金に存在していたC,N,O,P,Sなどの不純
物量が極めて少ないFe−Cr合金が著しく延性に於い
て優れることおよび耐食性に於いても優れることを見い
出した。
成すべく鋭意研究を行った結果、意外にも従来のFe−
Cr合金に存在していたC,N,O,P,Sなどの不純
物量が極めて少ないFe−Cr合金が著しく延性に於い
て優れることおよび耐食性に於いても優れることを見い
出した。
【0019】そして上記不純物量の低下したFe−Cr
合金に特定量のMoを添加することにより著しく耐孔食
性が向上すること、更にNi、Co、Cuの一種以上を
特定量加えることにより耐酸性が著しく向上することを
見い出した。
合金に特定量のMoを添加することにより著しく耐孔食
性が向上すること、更にNi、Co、Cuの一種以上を
特定量加えることにより耐酸性が著しく向上することを
見い出した。
【0020】そして、Al,SiおよびMnから選択さ
れる1種以上を特定量および/またはCa,Mgおよび
REMから選択される1種以上を特定量さらに添加する
と耐酸化性が著しく向上することを知見し本発明を完成
するに至った。
れる1種以上を特定量および/またはCa,Mgおよび
REMから選択される1種以上を特定量さらに添加する
と耐酸化性が著しく向上することを知見し本発明を完成
するに至った。
【0021】すなわち、本発明によれば、Cr含量が5
〜60重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が10
0ppm以下、Mo含量が0.5〜20重量%であり、
残部Feおよび不可避的不純物からなるFe−Cr合金
が提供される。
〜60重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が10
0ppm以下、Mo含量が0.5〜20重量%であり、
残部Feおよび不可避的不純物からなるFe−Cr合金
が提供される。
【0022】また、本発明によれば、Cr含量が5〜6
0重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が100p
pm以下、Mo含量が0.5〜20重量%、さらにN
i、Cu、Coから選択される1種以上を下記式(1)
を満たす量含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする加工性、耐孔食性および耐食性に
優れたFe−Cr合金が提供される。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1)
0重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が100p
pm以下、Mo含量が0.5〜20重量%、さらにN
i、Cu、Coから選択される1種以上を下記式(1)
を満たす量含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なることを特徴とする加工性、耐孔食性および耐食性に
優れたFe−Cr合金が提供される。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1)
【0023】また、本発明によれば、Cr含量が5〜6
0重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が100p
pm以下、Mo含量が0.5〜20重量%であり、かつ
Al,SiおよびMnから選択される一種以上を下記式
(2)を満たす量および/またはCa,Mgおよび希土
類元素(REM)から選択される一種以上を下記式
(3)を満たす量含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなることを特徴とする加工性、耐孔食性および耐
酸化性に優れたFe−Cr合金が提供される。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
0重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が100p
pm以下、Mo含量が0.5〜20重量%であり、かつ
Al,SiおよびMnから選択される一種以上を下記式
(2)を満たす量および/またはCa,Mgおよび希土
類元素(REM)から選択される一種以上を下記式
(3)を満たす量含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなることを特徴とする加工性、耐孔食性および耐
酸化性に優れたFe−Cr合金が提供される。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
【0024】さらに、本発明によれば、Cr含量が5〜
60重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が100
ppm以下、Mo含量が0.5〜20重量%、さらにN
i、Cu、Coから選択される1種以上を下記式(1)
を満たす量含有し、かつAl,SiおよびMnから選択
される一種以上を下記式(2)を満たす量および/また
はCa,Mgおよび希土類元素(REM)から選択され
る一種以上を下記式(3)を満たす量含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする加工
性、耐孔食性、耐酸性および耐酸化性に優れたFe−C
r合金が提供される。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
60重量%、C,N,O,PおよびSの合計量が100
ppm以下、Mo含量が0.5〜20重量%、さらにN
i、Cu、Coから選択される1種以上を下記式(1)
を満たす量含有し、かつAl,SiおよびMnから選択
される一種以上を下記式(2)を満たす量および/また
はCa,Mgおよび希土類元素(REM)から選択され
る一種以上を下記式(3)を満たす量含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする加工
性、耐孔食性、耐酸性および耐酸化性に優れたFe−C
r合金が提供される。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
【0025】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。 (I)まず、加工性および耐孔食性に優れた本発明のF
e−Cr合金について説明する。図1に、Fe−18%
Cr合金の冷延焼鈍板に関して、JIS Z−2241
に規定された引張試験により得られた伸びの変化および
降状強度の変化に及ぼすC,N,O,P,Sの合計量の
影響を示すが、C,N,O,PおよびSの合計量が10
0ppm以下の場合延性に於いて著しく優れ、なおか
つ、YSも低く軟質化することが明らかである。
e−Cr合金について説明する。図1に、Fe−18%
Cr合金の冷延焼鈍板に関して、JIS Z−2241
に規定された引張試験により得られた伸びの変化および
降状強度の変化に及ぼすC,N,O,P,Sの合計量の
影響を示すが、C,N,O,PおよびSの合計量が10
0ppm以下の場合延性に於いて著しく優れ、なおか
つ、YSも低く軟質化することが明らかである。
【0026】図1中、伸びの変化(%)、耐力(降状強
度)の変化(N/mm2)を、各合金成分についてC+N+O
+S+P=500ppmのものとの引張特性の差を示す
ものである。基本となる引張特性は、以下の通りであ
る。 Fe−18Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び30
%、耐力330N/mm2 Fe−30Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び25
%、耐力450N/mm2
度)の変化(N/mm2)を、各合金成分についてC+N+O
+S+P=500ppmのものとの引張特性の差を示す
ものである。基本となる引張特性は、以下の通りであ
る。 Fe−18Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び30
%、耐力330N/mm2 Fe−30Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び25
%、耐力450N/mm2
【0027】図2には、C,N,O,PおよびSの合計
量が100ppm以下のFe−16%Cr合金の冷延焼
鈍板に関してMoの含有量と孔食電位(JIS G 0
577に準拠して測定)の関係を示したが、Mo含有量
が0.5重量%以上となると孔食電位が著しく向上し、
耐孔食性に優れることが明らかである。
量が100ppm以下のFe−16%Cr合金の冷延焼
鈍板に関してMoの含有量と孔食電位(JIS G 0
577に準拠して測定)の関係を示したが、Mo含有量
が0.5重量%以上となると孔食電位が著しく向上し、
耐孔食性に優れることが明らかである。
【0028】次に、本発明合金の組成について説明す
る。 Cr:5〜60重量%好ましくは10〜40重量%であ
る。Cr含量がこの範囲であることにより耐食性に優れ
る。過剰のCrの含有は耐食性の改善効果が飽和し、経
済的合理性を欠くばかりか、たとえ(S+P+O+N+
C)≦100ppmとしても加工性の低下がCr自身の
固溶強化により生じ易くなるので好ましくない。
る。 Cr:5〜60重量%好ましくは10〜40重量%であ
る。Cr含量がこの範囲であることにより耐食性に優れ
る。過剰のCrの含有は耐食性の改善効果が飽和し、経
済的合理性を欠くばかりか、たとえ(S+P+O+N+
C)≦100ppmとしても加工性の低下がCr自身の
固溶強化により生じ易くなるので好ましくない。
【0029】C,N,O,P,S:これらの元素の合計
量は100ppm以下である。上記で説明したように、
100ppm以下であることにより優れた延性を示し、
加工性に於いて優れる。
量は100ppm以下である。上記で説明したように、
100ppm以下であることにより優れた延性を示し、
加工性に於いて優れる。
【0030】Mo:0.5〜20重量%、好ましくは
0.5〜5重量%である。0.5重量%以上であれば耐
孔食性に優れるが、過剰の含有は不経済となり好ましく
ない。以上の条件を充足するFe−Cr合金は加工性に
優れ、しかも耐孔食性に優れる。
0.5〜5重量%である。0.5重量%以上であれば耐
孔食性に優れるが、過剰の含有は不経済となり好ましく
ない。以上の条件を充足するFe−Cr合金は加工性に
優れ、しかも耐孔食性に優れる。
【0031】(II)次に、加工性、耐孔食性および耐酸
性に優れた本発明のFe−Cr合金について説明する。
図3には、C,N,O,PおよびSの合計量が100p
pm以下であって、Fe−16%Cr合金板の0.3重
量%HCl水溶液中での腐食速度と(Ni+Co+2C
u)重量%との関係を示した。このグラフから(Ni+
Co+2Cu)の値が0.01重量%以上となると腐食
速度が低下し、耐酸性が向上することが明らかである。
性に優れた本発明のFe−Cr合金について説明する。
図3には、C,N,O,PおよびSの合計量が100p
pm以下であって、Fe−16%Cr合金板の0.3重
量%HCl水溶液中での腐食速度と(Ni+Co+2C
u)重量%との関係を示した。このグラフから(Ni+
Co+2Cu)の値が0.01重量%以上となると腐食
速度が低下し、耐酸性が向上することが明らかである。
【0032】Cr、C,N,O,P,S,Moの含有量
に関しては(I)に記載したことがそのまま適用され
る。(II)の態様の合金は、さらにNi、Cu、Coの
少なくとも一種を含有し、そしてその含有量が下記の
(1)式を、好ましくは(1a)式を満たすことによ
り、耐酸性に於いても優れる合金である。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) 0.1重量%≦Ni+Co+2Cu≦4重量% ……(1a)
に関しては(I)に記載したことがそのまま適用され
る。(II)の態様の合金は、さらにNi、Cu、Coの
少なくとも一種を含有し、そしてその含有量が下記の
(1)式を、好ましくは(1a)式を満たすことによ
り、耐酸性に於いても優れる合金である。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) 0.1重量%≦Ni+Co+2Cu≦4重量% ……(1a)
【0033】Ni、Co、Cuの(1)式を超えての過
剰の配合は、これら元素はオーステナイト安定化元素で
あるため最終的にフェライト単相組織を得るのに不都合
が生じるので好ましくない。
剰の配合は、これら元素はオーステナイト安定化元素で
あるため最終的にフェライト単相組織を得るのに不都合
が生じるので好ましくない。
【0034】以上の条件を満たす(II)態様の合金は加
工性に優れると共に、耐孔食性、耐酸性に於いて著しく
優れる。
工性に優れると共に、耐孔食性、耐酸性に於いて著しく
優れる。
【0035】本発明の(I)および(II)に記載のFe
−Cr合金を製造するには原料として、まず、高純度電
解鉄、電解Cr、金属Mo、電解Ni、電解Cu、金属
Coを用いる。いずれの原料も主たる不純物は酸素であ
り、この酸素を除去するために10-7torrより高い
超高真空下で溶解、鋳造することにより本発明のFe−
Cr合金を製造することができる。
−Cr合金を製造するには原料として、まず、高純度電
解鉄、電解Cr、金属Mo、電解Ni、電解Cu、金属
Coを用いる。いずれの原料も主たる不純物は酸素であ
り、この酸素を除去するために10-7torrより高い
超高真空下で溶解、鋳造することにより本発明のFe−
Cr合金を製造することができる。
【0036】また、本発明合金は、熱延焼鈍板、冷延焼
鈍板でのその効果が得られるのは言うまでもない。さら
に最終的な表面仕上げは、BA、2B、2D、HL、研
磨などいずれでも十分にその効果が生じる。
鈍板でのその効果が得られるのは言うまでもない。さら
に最終的な表面仕上げは、BA、2B、2D、HL、研
磨などいずれでも十分にその効果が生じる。
【0037】(III)さらに、加工性、耐孔食性および耐
酸化性に優れた本発明のFe−Cr合金について説明す
る。図4は、Fe−(15〜30)%Cr合金に関し、
耐酸化性試験(大気中1350K、12hrスケール除
去後の重量減)の結果を示すグラフである。(3Al+
2Si+Mn)が0.1重量%以上で耐酸化性に優れて
いることが明白である。
酸化性に優れた本発明のFe−Cr合金について説明す
る。図4は、Fe−(15〜30)%Cr合金に関し、
耐酸化性試験(大気中1350K、12hrスケール除
去後の重量減)の結果を示すグラフである。(3Al+
2Si+Mn)が0.1重量%以上で耐酸化性に優れて
いることが明白である。
【0038】図5は、Fe−(15〜30)%Cr合金
に関し、耐酸化性試験(大気中1350K、12hrス
ケール除去後の重量減)の結果を示すグラフである。
(4Ca+4Mg+REM)が0.001重量%以上で
耐酸化性に優れていることが明白である。
に関し、耐酸化性試験(大気中1350K、12hrス
ケール除去後の重量減)の結果を示すグラフである。
(4Ca+4Mg+REM)が0.001重量%以上で
耐酸化性に優れていることが明白である。
【0039】以下、本発明の合金組成および態様につい
て説明する。本発明の加工性、耐孔食性および耐酸化性
に優れたFe−Cr合金については下記の三態様があ
り、それぞれについて説明する。
て説明する。本発明の加工性、耐孔食性および耐酸化性
に優れたFe−Cr合金については下記の三態様があ
り、それぞれについて説明する。
【0040】(1)本発明の第1の態様 Cr:5〜60重量%、好ましくは5〜45重量%含有
する。上記範囲であれば本発明の他の条件と結合して、
耐酸化性に優れた合金となるが、60重量%を越えての
過剰の含有はコスト高となり好ましくない。
する。上記範囲であれば本発明の他の条件と結合して、
耐酸化性に優れた合金となるが、60重量%を越えての
過剰の含有はコスト高となり好ましくない。
【0041】C,N,O,P,S;これらの元素の合計
量は100ppm以下、好ましくは85ppm以下であ
る。この条件により合金の延性、即ち加工性が改善され
ると同時に、前記で規定したCr含量の条件と結合して
耐酸化性に優れる。合計量が100ppmを越えるとこ
のような優れた効果を示さない。
量は100ppm以下、好ましくは85ppm以下であ
る。この条件により合金の延性、即ち加工性が改善され
ると同時に、前記で規定したCr含量の条件と結合して
耐酸化性に優れる。合計量が100ppmを越えるとこ
のような優れた効果を示さない。
【0042】Mo:Mo含量は0.5〜20重量%、好
ましくは0.5〜5重量%である。Moをこの範囲で合
金中に含有させることにより耐孔食性が向上する。20
重量%を越えての過剰の含有はコスト高となり好ましく
ない。
ましくは0.5〜5重量%である。Moをこの範囲で合
金中に含有させることにより耐孔食性が向上する。20
重量%を越えての過剰の含有はコスト高となり好ましく
ない。
【0043】Al,Si,Mn:これらの元素の一種以
上を含有するが、その含量は下記式(2)、好ましく
は、(2a)を満たすよう添加される。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.3重量%≦3Al+2Si+Mn≦30重量% ……(2a) これらの元素を上記範囲含有することにより耐酸化性が
著しく向上する。しかしながら過剰に添加して3Al+
2Si+Mnの値が50重量%を越えると加工性が劣化
するため好ましくない。なお、Al,SiまたはMnの
各々の好ましい含量は以下の如くである。 Al:0.1〜4重量% Si:0.3〜3重量% Mn:0.5〜10重量%
上を含有するが、その含量は下記式(2)、好ましく
は、(2a)を満たすよう添加される。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.3重量%≦3Al+2Si+Mn≦30重量% ……(2a) これらの元素を上記範囲含有することにより耐酸化性が
著しく向上する。しかしながら過剰に添加して3Al+
2Si+Mnの値が50重量%を越えると加工性が劣化
するため好ましくない。なお、Al,SiまたはMnの
各々の好ましい含量は以下の如くである。 Al:0.1〜4重量% Si:0.3〜3重量% Mn:0.5〜10重量%
【0044】(2)本発明の第2の態様 Cr含量、C,N,O,PおよびSの含量、Moの含量
に関しては第1の態様で記載したことが本態様において
も適用される。第2の態様の合金においては、Ca,M
gおよびREMから選択される1種以上を含有せしめ
る。
に関しては第1の態様で記載したことが本態様において
も適用される。第2の態様の合金においては、Ca,M
gおよびREMから選択される1種以上を含有せしめ
る。
【0045】Ca,Mg,REM:これらの元素は、本
発明の合金に於いて、下記式(3)を満たすよう含有せ
しめることにより一層耐酸化性が向上し、好ましい結果
を得る。 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3) なお、Ca,MgまたはREMの各々の好ましい含量は
以下の如くである。 Ca :0.0002〜0.03重量% Mg :0.0003〜0.03重量% REM:0.0005〜0.15重量%
発明の合金に於いて、下記式(3)を満たすよう含有せ
しめることにより一層耐酸化性が向上し、好ましい結果
を得る。 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3) なお、Ca,MgまたはREMの各々の好ましい含量は
以下の如くである。 Ca :0.0002〜0.03重量% Mg :0.0003〜0.03重量% REM:0.0005〜0.15重量%
【0046】以上の条件を充足する(II)に記載の本発
明の合金は加工性に優れ、しかも耐孔食性および耐酸化
性に優れるので自動車排ガス用パイプなどの用途に好適
である。
明の合金は加工性に優れ、しかも耐孔食性および耐酸化
性に優れるので自動車排ガス用パイプなどの用途に好適
である。
【0047】本発明のFe−Cr合金を製造するには原
料として、まず超高純度電解鉄と電解Crを用いる。い
ずれの原料も主たる不純物は酸素であり、この酸素を除
去するために10-7torrよりも高い超高真空下で溶
解、鋳造することにより本発明のFe−Cr合金を製造
することができる。
料として、まず超高純度電解鉄と電解Crを用いる。い
ずれの原料も主たる不純物は酸素であり、この酸素を除
去するために10-7torrよりも高い超高真空下で溶
解、鋳造することにより本発明のFe−Cr合金を製造
することができる。
【0048】(3)本発明の第3の態様 前記で前述した本発明の第1の態様の合金の条件および
第2の態様の合金の条件のいずれをも満たす合金、すな
わち、Cr含量が5〜60重量%、C,N,O,Pおよ
びSの合計量が100ppm以下であり、Mo含量が
0.5〜20重量%であり、かつ、Si,MnおよびA
lから選択される1種以上を前記式(2)を満たす量含
有し、しかも、Ca,Mgおよび希土類元素(REM)
から選択される1種以上を前記式(3)を満たす量含有
するFe−Cr合金も一層優れた耐酸化性および加工性
を有する合金であり、前記の用途に好ましく用いられ
る。
第2の態様の合金の条件のいずれをも満たす合金、すな
わち、Cr含量が5〜60重量%、C,N,O,Pおよ
びSの合計量が100ppm以下であり、Mo含量が
0.5〜20重量%であり、かつ、Si,MnおよびA
lから選択される1種以上を前記式(2)を満たす量含
有し、しかも、Ca,Mgおよび希土類元素(REM)
から選択される1種以上を前記式(3)を満たす量含有
するFe−Cr合金も一層優れた耐酸化性および加工性
を有する合金であり、前記の用途に好ましく用いられ
る。
【0049】これら3種の態様を包含する本発明のFe
−Cr合金を製造するには原料として、超高純度電解
鉄、電解クロム、ゾーンメルト法シリコン、融解塩電解
マンガン、融解塩電解アルミニウム、融解塩電解カルシ
ウム、電解還元マグネシウム、電解還元希土類金属を用
いる。いずれの原料も主たる不純物は酸素であり、この
酸素を除去するために10-5torrよりも高い超高真
空下で溶解、鋳造することにより本発明のFe−Cr合
金を製造することができる。
−Cr合金を製造するには原料として、超高純度電解
鉄、電解クロム、ゾーンメルト法シリコン、融解塩電解
マンガン、融解塩電解アルミニウム、融解塩電解カルシ
ウム、電解還元マグネシウム、電解還元希土類金属を用
いる。いずれの原料も主たる不純物は酸素であり、この
酸素を除去するために10-5torrよりも高い超高真
空下で溶解、鋳造することにより本発明のFe−Cr合
金を製造することができる。
【0050】(IV)最後に、加工性、耐孔食性に加え、
耐酸性および耐酸化性に優れた本発明のFe−Cr合金
について説明する。本発明のこの合金は、(II)で述べ
た時に耐酸性に優れた合金組成に加え、(III)で述べた
時に耐酸化性に優れた合金組成を加味したものである。
したがって、以下にはその態様のみを示し、詳細な説明
は(II)および(III)において説明した通りであるので
省略する。
耐酸性および耐酸化性に優れた本発明のFe−Cr合金
について説明する。本発明のこの合金は、(II)で述べ
た時に耐酸性に優れた合金組成に加え、(III)で述べた
時に耐酸化性に優れた合金組成を加味したものである。
したがって、以下にはその態様のみを示し、詳細な説明
は(II)および(III)において説明した通りであるので
省略する。
【0051】この発明には(III)の発明と同様に三態様
があり、C+N+O+P≦100ppmであり、Cr:
5〜60重量%であり、Mo:0.5〜20重量%であ
り、0.01%≦Ni+Co+2Cu≦6%であること
に加えて、変化する部分のみを以下に各態様ごとに説明
する。
があり、C+N+O+P≦100ppmであり、Cr:
5〜60重量%であり、Mo:0.5〜20重量%であ
り、0.01%≦Ni+Co+2Cu≦6%であること
に加えて、変化する部分のみを以下に各態様ごとに説明
する。
【0052】(1)本発明の第1の態様 Ni,CoおよびCuから選択される1種以上を下記式
(1)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) Si,MnおよびAlから選択される1種以上を下記式
(2)を満たす量含有する。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2)
(1)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) Si,MnおよびAlから選択される1種以上を下記式
(2)を満たす量含有する。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2)
【0053】(2)本発明の第2の態様 Ni,CoおよびCuから選択される1種以上を下記式
(1)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) Ca,Mgおよび希土類元素(REM)から選択される
1種以上を下記式(3)を満足する量含有する。 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
(1)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) Ca,Mgおよび希土類元素(REM)から選択される
1種以上を下記式(3)を満足する量含有する。 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
【0054】(3)本発明の第3の態様 Ni,CoおよびCuから選択される1種以上を下記式
(1)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) Si,MnおよびAlから選択される1種以上を下記式
(2)を満たす量含有する。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) Ca,Mgおよび希土類元素(REM)から選択される
1種以上を下記式(3)を満足する量含有する。 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
(1)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) Si,MnおよびAlから選択される1種以上を下記式
(2)を満たす量含有する。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) Ca,Mgおよび希土類元素(REM)から選択される
1種以上を下記式(3)を満足する量含有する。 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
【0055】なお、この発明合金の製法等については上
記と全く同様であるので、詳細な説明は省略する。
記と全く同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例1)発明合金1〜10、比較合金1〜7に対応
…請求項1、2に対応 表1に示す化学組成を有する合金を10kg真空溶解炉
で溶製、鋳造し、熱間圧延により板厚4mmの熱延板と
し、再結晶を目的とした熱延板焼鈍を施し、脱スケール
後冷間圧延により板厚0.7mmの冷延板として、最終
的に再結晶焼鈍し、冷延焼鈍板とした。
明する。 (実施例1)発明合金1〜10、比較合金1〜7に対応
…請求項1、2に対応 表1に示す化学組成を有する合金を10kg真空溶解炉
で溶製、鋳造し、熱間圧延により板厚4mmの熱延板と
し、再結晶を目的とした熱延板焼鈍を施し、脱スケール
後冷間圧延により板厚0.7mmの冷延板として、最終
的に再結晶焼鈍し、冷延焼鈍板とした。
【0057】このようにして得られた合金板について以
下の試験を行った。
下の試験を行った。
【0058】(加工性)発明合金1、6と比較合金1、
6を用いてJIS Z−2241に準拠した引張試験に
よる伸びの値の測定と、50%冷間圧延後、C方向に1
80℃密着曲げ試験を行った時の割れの状態観察を行っ
た。評価は以下の如く行った。 ○ 全く割れなし △ 微小割れあり × 割れ大その結果を表2に示す。
6を用いてJIS Z−2241に準拠した引張試験に
よる伸びの値の測定と、50%冷間圧延後、C方向に1
80℃密着曲げ試験を行った時の割れの状態観察を行っ
た。評価は以下の如く行った。 ○ 全く割れなし △ 微小割れあり × 割れ大その結果を表2に示す。
【0059】C,N,O,PおよびSの合計量が100
ppm以下では、50%冷間圧延後のC方向密着曲げに
より全く割れが生じていないのに対し、100ppmを
超えると割れが生じ、加工性が低下することがわかる。
また、伸びも同一Cr、同一Mo量で比較するとC,
N,O,PおよびSの合計量が100ppmを超えると
7〜8%程度低下することもわかる。
ppm以下では、50%冷間圧延後のC方向密着曲げに
より全く割れが生じていないのに対し、100ppmを
超えると割れが生じ、加工性が低下することがわかる。
また、伸びも同一Cr、同一Mo量で比較するとC,
N,O,PおよびSの合計量が100ppmを超えると
7〜8%程度低下することもわかる。
【0060】(耐孔食性および耐酸性)比較合金2、発
明合金1、7の試験片表面をエメリー#500で研磨
し、耐孔食性を、30℃、(2%FeCl3 +1/20
HCl)水溶液中で4時間浸漬した後の腐食減量より算
出した腐食速度で評価し、耐酸性を0.1重量%HCl
水溶液中で4時間浸漬した後の腐食減量より算出した腐
食速度で評価した。表2に結果を示す。
明合金1、7の試験片表面をエメリー#500で研磨
し、耐孔食性を、30℃、(2%FeCl3 +1/20
HCl)水溶液中で4時間浸漬した後の腐食減量より算
出した腐食速度で評価し、耐酸性を0.1重量%HCl
水溶液中で4時間浸漬した後の腐食減量より算出した腐
食速度で評価した。表2に結果を示す。
【0061】比較合金5、発明合金10、発明合金6に
つき上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を30
℃、(5%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中
で4時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度
で評価し、耐酸性を0.3重量%HCl水溶液中で4時
間浸漬した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価し
た。表2に結果を示す。
つき上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を30
℃、(5%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中
で4時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度
で評価し、耐酸性を0.3重量%HCl水溶液中で4時
間浸漬した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価し
た。表2に結果を示す。
【0062】比較合金4、発明合金4、発明合金5につ
き上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を30℃、
(5%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中で4
時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度で評
価し、耐酸性を、0.3重量%HCl水溶液中で4時間
浸漬した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価し
た。表2に結果を示す。
き上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を30℃、
(5%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中で4
時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度で評
価し、耐酸性を、0.3重量%HCl水溶液中で4時間
浸漬した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価し
た。表2に結果を示す。
【0063】比較合金3、発明合金2、発明合金8につ
き上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を80℃、
(5%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中で4
時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度で評
価し、耐酸性は、5重量%HCl水溶液中で4時間浸漬
した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価した。表
2に結果を示す。
き上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を80℃、
(5%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中で4
時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度で評
価し、耐酸性は、5重量%HCl水溶液中で4時間浸漬
した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価した。表
2に結果を示す。
【0064】比較合金7、発明合金3、発明合金9につ
き上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を80℃、
(10%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中で
4時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度で
評価し、耐酸性を5重量%HCl水溶液中で4時間浸漬
した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価した。表
2に結果を示す。
き上記と同様にサンプルを作製し、耐孔食性を80℃、
(10%FeCl3 +1/20N HCl)水溶液中で
4時間浸漬した後の腐食減量により算出した腐食速度で
評価し、耐酸性を5重量%HCl水溶液中で4時間浸漬
した後の腐食減量より算出した腐食速度で評価した。表
2に結果を示す。
【0065】Moを本発明の範囲で含有することにより
耐孔食性は著しく改善され、さらにNi、Co、Cuを
本発明の範囲で含有することによりさらに耐酸性が改善
されることがわかる。
耐孔食性は著しく改善され、さらにNi、Co、Cuを
本発明の範囲で含有することによりさらに耐酸性が改善
されることがわかる。
【0066】(実施例2)発明合金11〜25、比較合
金8〜11に対応…請求項3に対応 表1に示す組成の合金を超高純度電解鉄と電解Crおよ
び高純度金属素材を用いて10-7Torr以上の超高真
空中にて溶製した。
金8〜11に対応…請求項3に対応 表1に示す組成の合金を超高純度電解鉄と電解Crおよ
び高純度金属素材を用いて10-7Torr以上の超高真
空中にて溶製した。
【0067】これを約1200℃に加熱後、熱間圧延に
て約5mm厚に仕上げ、最終的に1.0〜2.0 tmmに
冷間圧延後、再結晶と結晶粒径の調整のための焼鈍を5
00〜1100℃で施した。
て約5mm厚に仕上げ、最終的に1.0〜2.0 tmmに
冷間圧延後、再結晶と結晶粒径の調整のための焼鈍を5
00〜1100℃で施した。
【0068】これから、室温および高温での引張試験片
を切り出し、JISに準拠してそれぞれの試験を行った
(室温引張試験片はJIS 5号として、高温引張はJ
ISG0567に従った)。
を切り出し、JISに準拠してそれぞれの試験を行った
(室温引張試験片はJIS 5号として、高温引張はJ
ISG0567に従った)。
【0069】また、酸化試験は1350kで12hr大
気雰囲気の電気炉で加熱し、その後室温まで空冷し、試
片表面のスケールを除去した際の重量減を測定し、耐酸
化性の指標とした。Al,Si,MnまたはCa,M
g,REMあるいはその両者を本発明範囲で含有するこ
とにより耐酸化性が著しく向上することが分かる。
気雰囲気の電気炉で加熱し、その後室温まで空冷し、試
片表面のスケールを除去した際の重量減を測定し、耐酸
化性の指標とした。Al,Si,MnまたはCa,M
g,REMあるいはその両者を本発明範囲で含有するこ
とにより耐酸化性が著しく向上することが分かる。
【0070】(実施例3)発明合金26、27…請求項
4に対応 表1に示す組成の合金を超高純度電解鉄と電解Crおよ
び高純度金属素材を用いて10-7Torr以上の超高真
空中にて溶製した。
4に対応 表1に示す組成の合金を超高純度電解鉄と電解Crおよ
び高純度金属素材を用いて10-7Torr以上の超高真
空中にて溶製した。
【0071】これを約1200℃に加熱後、熱間圧延に
て約5mm厚に仕上げ、最終的に1.0〜2.0 tmmに
冷間圧延後、再結晶と結晶粒径の調整のための焼鈍を5
00〜1100℃で施した。上記実施例と同様に、耐酸
性、耐酸化性と評価した。本発明合金はすぐれた特性を
示すことが明白である。試験結果を表2に示す。
て約5mm厚に仕上げ、最終的に1.0〜2.0 tmmに
冷間圧延後、再結晶と結晶粒径の調整のための焼鈍を5
00〜1100℃で施した。上記実施例と同様に、耐酸
性、耐酸化性と評価した。本発明合金はすぐれた特性を
示すことが明白である。試験結果を表2に示す。
【0072】(伸びおよび耐力の変化)上記全ての実施
例で得られた供試材につき、伸びの変化(%)、耐力
(降状強度)の変化(N/mm2)を、各合金成分についてC
+N+O+S+P=500ppmのものとの引張特性の
差を示すものである。基本となる引張特性は、以下の通
りである。 Fe−18Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び30
%、耐力330N/mm2 Fe−30Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び25
%、耐力450N/mm2
例で得られた供試材につき、伸びの変化(%)、耐力
(降状強度)の変化(N/mm2)を、各合金成分についてC
+N+O+S+P=500ppmのものとの引張特性の
差を示すものである。基本となる引張特性は、以下の通
りである。 Fe−18Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び30
%、耐力330N/mm2 Fe−30Cr,C+N+O+S+P=500ppmで伸び25
%、耐力450N/mm2
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【発明の効果】本発明の合金は、加工性、耐孔食性に優
れ、さらにこれらに加えて耐酸性および/または耐酸化
性に優れるので自動車排ガス用パイプなどの用途に好適
に用いられる。
れ、さらにこれらに加えて耐酸性および/または耐酸化
性に優れるので自動車排ガス用パイプなどの用途に好適
に用いられる。
【図1】 C,N,O,PおよびSの合計量と引張特性
との関係を示すグラフである。
との関係を示すグラフである。
【図2】 Moの含有量と孔食電位の関係を示すグラフ
である。
である。
【図3】 (Ni+Co+2Cu)重量%と耐酸性の関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図4】 (3Al+2Si+Mn)と耐酸化性の関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図5】 (4Ca+4Mg+REM)と耐酸化性の関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢 沢 好 弘 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 加 藤 康 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 大和田 哲 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭61−186451(JP,A) 特開 平3−53025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C22C 27/06 C22C 30/00
Claims (4)
- 【請求項1】Cr含量が5〜60重量%、C,N,O,
PおよびSの合計量が100ppm以下、Mo含量が
0.5〜20重量%であり、残部Feおよび不可避的不
純物からなることを特徴とする加工性および耐孔食性に
優れたFe−Cr合金。 - 【請求項2】Cr含量が5〜60重量%、C,N,O,
PおよびSの合計量が100ppm以下、Mo含量が
0.5〜20重量%、さらにNi、Cu、Coから選択
される1種以上を下記式(1)を満たす量含有し、残部
Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする加
工性、耐孔食性および耐酸性に優れたFe−Cr合金。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) - 【請求項3】Cr含量が5〜60重量%、C,N,O,
PおよびSの合計量が100ppm以下、Mo含量が
0.5〜20重量%であり、かつAl,SiおよびMn
から選択される一種以上を下記式(2)を満たす量およ
び/またはCa,Mgおよび希土類元素(REM)から
選択される一種以上を下記式(3)を満たす量含有し、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る加工性、耐孔食性および耐酸化性に優れたFe−Cr
合金。 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3) - 【請求項4】Cr含量が5〜60重量%、C,N,O,
PおよびSの合計量が100ppm以下、Mo含量が
0.5〜20重量%、さらにNi、Cu、Coから選択
される1種以上を下記式(1)を満たす量含有し、かつ
Al,SiおよびMnから選択される一種以上を下記式
(2)を満たす量および/またはCa,Mgおよび希土
類元素(REM)から選択される一種以上を下記式
(3)を満たす量含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなることを特徴とする加工性、耐孔食性、耐酸性
および耐酸化性に優れたFe−Cr合金。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ……(1) 0.1重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ……(2) 0.001重量%≦4Ca+4Mg+REM≦0.2重量% ……(3)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5103932A JP2801833B2 (ja) | 1992-04-30 | 1993-04-30 | 加工性および耐孔食性に優れたFe−Cr合金 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11143092 | 1992-04-30 | ||
JP4-141656 | 1992-06-02 | ||
JP14165692 | 1992-06-02 | ||
JP4-111430 | 1992-06-02 | ||
JP5103932A JP2801833B2 (ja) | 1992-04-30 | 1993-04-30 | 加工性および耐孔食性に優れたFe−Cr合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0649604A JPH0649604A (ja) | 1994-02-22 |
JP2801833B2 true JP2801833B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=27310107
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5296245A (en) * | 1987-02-26 | 1994-03-22 | Bio Polymers Pty. Ltd. | Plant gum material and use thereof in food products |
JP3480698B2 (ja) | 1999-05-27 | 2003-12-22 | 兼次 安彦 | 高温における強度−延性バランスに優れるCr基合金 |
FR2851774B1 (fr) * | 2003-02-27 | 2006-08-18 | Inst Francais Du Petrole | Aciers faiblement allies anticokage a teneur accrue en silicium et en manganese, et leur utilisation dans des applications du raffinage et de la petrochimie |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61186451A (ja) * | 1985-02-13 | 1986-08-20 | Nippon Steel Corp | 耐サワ−性の優れた合金 |
JPH0757890B2 (ja) * | 1989-07-18 | 1995-06-21 | 新日本製鐵株式会社 | 高耐熱耐食性フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
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