JP2800911B2 - 制御用の地震動の強度測定方法 - Google Patents

制御用の地震動の強度測定方法

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JP2800911B2 JP15243394A JP15243394A JP2800911B2 JP 2800911 B2 JP2800911 B2 JP 2800911B2 JP 15243394 A JP15243394 A JP 15243394A JP 15243394 A JP15243394 A JP 15243394A JP 2800911 B2 JP2800911 B2 JP 2800911B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制御用地震計等に利用す
る地震動強度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地震が発生した場合に、その強度に応じ
て各種のシステムを制御して、被害の拡大や二次災害の
発生を防止するための装置として制御用地震計があり、
制御用地震計は交通機関、都市ガス、電力、水道等の各
種施設等において、大地震時における自動緊急停止装置
として組み入れられている。
【0003】このような制御用地震計においては構造物
の被害の程度と相関の高い制御を行うために、例えば特
公平4−35035号公報に示されるように、SI値を
地震動の強度の尺度として測定する方法が提案され、実
施されている。この地震動強度測定方法は、1自由度振
動系の運動方程式を満たす演算部に地震動の加速度を入
力して速度応答を時々刻々と求め、速度応答の最大値の
スペクトル、即ち速度応答スペクトルSVから地震動の
強度としてのSI値を演算するものである。具体的に
は、この方法では、演算部は減衰定数をいずれも20
%、固有周期を夫々1.5秒、2.5秒に設定して2組
構成し、これらの演算部の出力である各固有周期の速度
応答の最大値のうち、大きい方の速度応答に定数0.7
3を乗じることで近似的にSI値を求めている。
【0004】このSI値は減衰定数20%の1自由度振
動系の速度応答スペクトルの固有周期0.1秒〜2.5
秒までの範囲の応答速度の平均値で定義されるものであ
り、このSI値を、地震計で得られる加速度をもとに定
義式通りに演算で求めようとすると非常に多くの演算が
必要となって実際的でない。従って、上記文献の方法で
は、速度応答スペクトルの固有周期1.5秒〜2.5秒
の平坦部を、固有周期1.5秒または2.5秒の値で代
表させることにより、0.1秒〜2.5秒までの範囲の
速度応答スペクトルを固有周期1.5秒の点で折れ曲が
る折線で近似してその平均値を求め、これをSI値とし
て推定しているのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は上
述した方法で求めたSI値、即ち推定SI値と、定義式
により求めたSI値、即ち真のSI値との相関関係を多
数の地震記録につき鋭意調査した結果、SI値を求める
際の地震動の速度応答スペクトルの近似において着目す
る固有周期を夫々の速度応答の大きさに応じて変更する
上記文献の方法で求めた推定SI値には系統的誤差が含
まれておらず、この観点からは精度が良いとの知見を得
ると共に、上記固有周期の変更による値のばらつきへの
影響の可能性から、値のばらつきに関する改善の可能性
の知見を得た。本発明は、このような点に鑑みて創案さ
れたもので、従来の上述した方法に比較してばらつきの
程度が小さく精度の高い地震動強度測定方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明では、地震動の加速度を入力し、設定した
減衰定数と固有周期における1自由度振動系の運動方程
式を満たす演算を行って速度応答を時々刻々求め、その
最大値を予め設定した推定式に代入して推定SI値を求
める方法において、所望の設定条件において、多数の地
震記録について定義式により求めたSI値と上記推定式
により求めた推定SI値とから、推定SI値を従属変
数、定義式から求めたSI値を独立変数とする回帰一次
方程式の回帰係数を求めると共に、この回帰係数を上記
回帰一次方程式に代入することにより、推定SI値を従
属変数、SI値の補正値を独立変数とする形の関係式を
求め、この関係式を変形することにより、SI値の補正
値を従属変数、推定SI値を独立変数とする形の補正式
を求め、この補正式に、対象とする地震動の加速度を入
力して得られた推定SI値を代入することにより補正S
I値を求めることを特徴としている。
【0007】そして本発明では、上記方法における減衰
定数として、SI値の定義式と同様に20%とする他、
20%以外に設定することを提案する。
【0008】そして本発明は、上記の方法において固有
周期として1.5秒〜2.5秒までのいずれか1点を設
定して、この点の値により速度応答スペクトルの平坦部
を代表させ、推定式は、速度応答スペクトルを固有周期
1.5秒の点で折れ曲がる折線により近似して固有周期
0.1秒〜2.5秒の区間の速度応答の平均を求める式
とすること、そして特に固有周期を1.5秒またはその
付近の点に設定することを提案する。
【0009】また本発明では、上記の方法において固有
周期は0.1秒〜2.5秒までの複数点を選択すると共
に、推定式は、速度応答スペクトルを上記各点の値を結
ぶ折線により近似して固有周期0.1秒〜2.5秒の区
間の速度応答の平均を求める式とすることを提案する。
【0010】そして本発明では、上記の方法において少
なくとも1.5秒と2.5秒の固有周期を選択するこ
と、また固有周期を1.5秒と2.5秒に1秒以下の1
点を加えた3点とすることを提案する。
【0011】
【作用】SI値を求める際の地震動の速度応答スペクト
ルの近似において、予め設定した固有周期を変更せずに
求めた推定SI値には系統的誤差が存在し、この系統的
誤差は設定した固有周期の数が2つ以下では比較的大き
くなるが、ばらつきの程度は、設定した固有周期が1点
の場合においても、上記文献の方法で求めた推定SI値
のばらつきの程度よりも小さい。
【0012】上記系統的誤差は、推定SI値を従属変
数、定義式から求めたSI値を独立変数とする回帰一次
方程式の回帰係数を用いた補正式により補正して容易に
除去することができる。
【0013】従ってSI値の演算に際して設定する固有
周期の数が少なくても対象とする地震に対してばらつき
の程度が小さく精度の高い地震動強度を求めることがで
き、また設定する固有周期の数を多くすることにより更
にばらつきの程度が小さくなり、更に高精度に地震度強
度を求めることができる。
【0014】
【実施例】次に本発明を図面を参照して詳細に説明す
る。図1は本発明を適用する制御用地震計の構成を概念
的に示したもので、符号1は加速度計、2は推定SI値
演算部、3は回帰補正部、4は制御部である。推定SI
値演算部1は、加速度計1で検出した地震動の加速度
を、例えば1/100秒程度のサンプリング時間毎に入力し
て、予め設定した減衰定数と固有周期における1自由度
振動系の運動方程式を満たす演算を行って各サンプル毎
に速度応答を時々刻々と求める過程と、速度応答の最大
値を求め、この最大値を後に詳述する推定式に代入して
推定SI値を求める過程とを有しており、これらの過程
は、例えば上記文献に開示されているような各種の演算
部やフィルタ等の演算要素をハードウエア的に組み合わ
せて実現したり、マイクロコンピュータを適用した装置
等によりソフトウエア的に実現することができる。また
回帰補正部3は、後述するように推定SI値を従属変
数、真のSI値を独立変数とする回帰一次方程式の回帰
係数をデータとして保持し、推定SI値演算部1により
求めた推定SI値を回帰係数を用いた補正式により補正
する演算を行う構成で、これもマイクロコンピュータを
適用した装置等によりソフトウエア的に実現することが
できる。そして制御部4は、回帰補正部3において補正
された補正SI値に基づき、構造物に被害を及ぼす可能
性の高い地震発生時に各種のシステムを制御して自動的
に運転を停止させる等の安全措置を講ずることができ
る。このような制御の具体的方法としては、上記文献に
記載されているように、最大加速度を考慮して制御を行
う等の適宜の方法を適用することができる。
【0015】本発明は上述したとおり、設定した固有周
期を変更せずに地震動の速度応答スペクトルを近似して
SI値の推定を行うものであり、固有周期の設定方法に
関して、固有周期は1.5秒〜2.5秒までのいずれ
か1点を設定して速度応答スペクトルの平坦部を代表さ
せ、推定式は、速度応答スペクトルを固有周期1.5秒
の点で折れ曲がる折線により近似して固有周期0.1秒
〜2.5秒の区間の速度応答の平均を求める式とする方
法と、固有周期は0.1秒〜2.5秒までの複数点を
選択すると共に、推定式は、速度応答スペクトルを上記
各点を結ぶ折線により近似して固有周期0.1秒〜2.
5秒の区間の速度応答の平均を求める式とする方法とを
含むものである。次にこれらの方法を、実施例につき詳
細に説明する。
【0016】まず本発明において推定SI値演算部1に
設定するSI値の推定式を、SI値の定義式と、上記文
献に係るSI値の推定式と共に以下に説明する。まず、
上述したとおりSI値は減衰定数20%の1自由度振動
系の速度応答スペクトルSVの固有周期0.1秒〜2.
5秒までの範囲の応答速度の平均値で定義されるもの
で、次式のように表わされるものである。
【数1】
【0017】一方、上記文献に示されているSI値の推
定方法、即ち減衰定数20%で、固有周期1.5秒、2.
5秒の1自由度振動系の速度応答の最大値のうち、大き
い方の速度応答に定数を乗じることでSI値を推定する
方法における推定SI値の推定式は次式のように表す。 SIk(20)=max[SV(2.5),SV(1.5)]×1.7/2.4 ここで、SV(1.5)とSV(2.5)は、夫々固有周期1.5秒
と2.5秒における速度応答の最大値であり、max[a.
b]は、aまたはbの大きい方の値を採用するための作
用素、SIk(20)の"20"は減衰定数として20%を採用し
ていることを強調するためのもので、以下の式でも同様
である。
【0018】一方、本発明における上記、の方法に
より求める推定SI値は次式のように表す。但し、次式
は減衰定数20%を適用する場合である。 固有周期は0.1秒〜2.5秒までのいずれか1点を
設定する方法 SI1(20)=SV(T)×1.7/2.4 Tは設定した固有周期で、1.5秒〜2.5秒までの値
であり、例えば1.5秒の場合には次式のように表され
る。 SI1(20)=SV(1.5)×1.7/2.4 この方法では、図2に概念的に示すように速度応答スペ
クトルSVの平坦部を、固有周期Tにおける速度応答の
最大値で代表させ、速度応答スペクトルを固有周期1.
5秒の点で折れ曲がる折線により近似して固有周期0.
1秒〜2.5秒の区間の速度応答の平均を演算すること
により推定SI値を求めるものである。
【0019】固有周期は0.1秒〜2.5秒までの複
数点を選択して設定する方法
【数2】 上式は図3の概念図に示すように、選択して設定した複
数の固有周期の各点の値を結ぶ折線により、速度応答ス
ペクトルの固有周期0.1秒〜2.5秒の区間を近似し
て、この区間の速度応答の平均を求める一般式であり、
Tj+1の最大値は2.5(秒)である。この方法において設定
する固有周期を1.5秒と2.5秒の2点とした場合に
は、次式のように表され、図4のように示される。 SI2(20)=[SV(1.5)×0.7+{SV(1.5)+SV(2.5)}×
0.5]/2.4
【0020】以上の式で表される推定SI値及び定義式
のSI値を多数の地震記録について求めた結果を以下に
示す。尚、地震記録は「地震時の緊急措置判断のための
情報に関する研究報告書」(平成3年4月、社団法人日
本ガス協会)で用いられている記録に基づき、被害との
関係が整理されている有名な地震において観測された地
震記録40例を用いている。
【0021】まず図5から図7は上述した地震記録につ
き求めた夫々SIk(20)、SI1(20)、SI2(20)を、定
義式により求めたSI値(以降、単にSI又はSI値と
表す。)と比較して示すものである。これらの図におい
ては横軸をSI値としており、従って推定SI値がSI
値と直線関係、特に勾配1の直線関係がある場合には推
定精度が良く、系統的誤差が存在しないことになる。図
5から、SIk(20)は比較的ばらつきが大きいものの、
SIとの関係を平均的に直線で近似すると、直線Lkの勾
配は略1となり、系統的誤差が含まれていないことがわ
かる。尚、以降、勾配1の直線はL0として示す。次に図
6、図7から、SI1(20)やSI2(20)は、SIとの関係
が直線関係となるものの、直線L1,L2の勾配は1とは異
なり、従って系統的誤差が含まれていることがわかる。
このため、これらの値を、そのまま推定SI値として利
用することはできない。しかしながら、値のばらつきに
ついてはSIk(20)よりも小さいことがわかる。因み
に、SI2(20)とSIk(20)を比較するために、図8に示
すように、SI2(20)/SIを横軸、SIk(20)/SIを縦
軸として表すと、前者は1.0を中心にばらついている
が、後者は略1.0を中心にばらついており、またばらつ
きの範囲は後者の方が大きいことがわかる。尚、これら
の数値的な点、及びSIi(20) (i≧3)については後述す
る。
【0022】次に回帰補正部3に設定して上記系統的誤
差を除去するための補正式を説明する。まず定義式によ
り求めたSI値に対して、SIi(20) (但し、i=k,1,2,
…)の中央値をSIiと表した場合、回帰分析により求め
た回帰一次方程式を、SIi=aSI+bとすると、S
Ii(20)の確立変数[SIi(20)]は次式で表せる。 [SIi(20)]=aSI+b+ε (但しεは残差の確立変数) そして上記回帰一次方程式の回帰係数a,bは、最小二
乗法を適用し、多数の地震記録についてのSIi(20)と
SIiの差の二乗の和が最小となる値として求めること
ができる。逆に、上記回帰一次方程式の回帰係数a,b
が決定されれば、個々の推定SI値と、それから系統的
誤差を除去した補正SI値siiとの関係は、 SIi(20)=asii+b と、推定SI値を従属変数、補正SI値siiを独立変
数とする形の関係式で表すことができる。これを補正S
I値siiを従属変数、推定SI値を独立変数とする形
の補正式に変形した次式が回帰補正部3に設定する補正
式である。 sii=SIi(20)/a−b/a
【0023】図9〜図11は、図5〜図7に示した推定
SI値、SIk(20)、SI1(20)、SI2(20)を補正式に
より補正した値、即ちsik、si1、si2を、SIと
比較して示すものである。またこれらの図には、上記残
差εの標準偏差σを記入してばらつきの程度を示してい
る。
【0024】図10、図11に示されるように、SI
1(20)、SI2(20)の系統的誤差は補正式により除去さ
れ、これらsi1、si2の、SIとの関係を平均的に直
線で近似すると、これらの直線L2′,L3′の勾配は1と
なり、直線L0と重なる。また図9に示されるように、s
ikとSIとの関係を示す直線Lk′は、補正前のSIk(2
0)と同様に直線L0と重なり、またsikとSIk(20)は、
ばらつきの程度も同様である。そしてsik、si1、s
2のばらつきの程度を示す上記標準偏差は、夫々8.79
(cm/s)、6.43(cm/s)、3.38(cm/s)であり、sikが最も
ばらつきがあることがわかる。
【0025】従ってこれらのことから、本発明の方法の
うち、設定する固有周期を1点とした場合でも、補正を
行うことにより、対象とする地震に対してばらつきの程
度が小さく精度の高い地震動強度を求めることができる
こと、そして固有周期を2点とし、これらの点の値によ
り速度応答スペクトルを折線近似するものでは、更にば
らつきの程度が小さく、より精度の高い地震動強度を求
めることができることがわかる。
【0026】そこで次に、SIi(20) (i≧3)についての
実施例を図12〜図15について説明する。まず図12
はSI3(20)(設定固有周期T(秒):1.0、1.5、2.5)を
補正式で補正して得られるsi3とSIとの関係を示す
ものである。また図13は、SI3(20)(設定固有周期
T(秒):0.7、1.5、2.5)を上記補正式で補正して得ら
れるsi3とSIとの関係を示すものである。また図1
4は、SI4(20)(設定固有周期T(秒):0.44、0.8、1.
5、2.5)を補正式で補正して得られるsi4とSIとの
関係を示すものである。また図15は、SI5(20)(設
定固有周期T(秒):0.44、0.8、1.5、2.0、2.5)を補正
式で補正して得られるsi5とSIとの関係を示すもの
である。
【0027】これらの図から、設定する固有周期の数を
増加し、3点以上とすることにより、ばらつきの程度が
更に減少してSIとの相関が高くなることがわかる。そ
して図12、図13に示されるように、設定する固有周
期が同数であっても、それらの固有周期の点の位置によ
りばらつきの程度が変化することがわかる。また図1
4、図15に示されるように、設定する固有周期の数が
4、さらに5となると、SIとの相関は非常に高くなる
ため、それ以上の数の固有周期を設定することは、推定
SI値演算部2における演算の所要時間との兼ね合いで
得策でないことがわかる。しかしながら、推定SI値演
算部2における演算速度に十分な余力がある場合には、
設定する固有周期の数を更に増やしてより良い相関性を
得ることもできる。
【0028】複数の固有周期を設定する場合において、
各固有周期は0.1〜2.5秒までの適宜の点に設定す
ることも可能であるが、速度応答スペクトルSVの平坦
部が1.5秒又はその近傍において始まることと、SI
値の定義式を考慮すると、設定する複数の固有周期に
は、少なくとも1.5秒と2.5秒を含ませることが好
ましい。またこれ以外の固有周期、特に1.5秒以下で
はSV値の小さい0.1秒近傍よりも、長周期側の点を
選択するのが好ましい。
【0029】以上の各実施例における推定SI値のばら
つきの程度及び上記回帰一次方程式の各回帰係数a,b
の値を表1に示す。また回帰補正前及び補正後の推定S
I値のばらつきの程度と固有周期の設定数との関係を図
16に示す。但し、この表1及び図16では、ばらつき
の程度は上記標準偏差σではなく、この標準偏差σを上
記地震記録40例のSI値の平均値(μ=38cm/秒)で
割った値、即ち変動係数(σ/μ)で表している。また
図16において、×印は補正前の変動係数、■は補正後
の変動係数、□は上記文献による推定SI値の変動係数
である。
【表1】
【0030】この表1及び図16から次のことが明らか
である。 固有周期の設定数が1点の場合は、その推定SI値の
変動係数は、上記文献に記載の方法による推定SI値の
変動係数よりも大きいが、回帰係数a,bにより補正す
ることにより、後者の変動係数よりも小さくすることが
できる。 固有周期の設定数が2点の場合は、その推定SI値の
変動係数は、上記文献に記載の方法による推定SI値の
変動係数よりも僅かに小さい程度であるが、回帰係数
a,bにより補正することにより、後者の変動係数より
も更に小さくすることができる。 固有周期の設定数が3点以上の場合は、それらの推定
SI値の変動係数は、そのままで上記文献の方法による
推定SI値の変動係数よりも非常に小さく、また回帰係
数a,bにより補正することにより、後者の変動係数よ
りも更に小さくすることができる。
【0031】尚、図16中の破線は、推定SI値のばら
つきの基準値を求めるために導入した基準的変動係数で
あり、この基準的変動係数は、上記地震記録40例を、
夫々SI値が1となるように速度応答スペクトルを基準
化して、統計的に処理して基準化速度応答スペクトルを
求め、その平均値から求まるSI値と(平均値+標準偏
差)から求まるSI値の差をばらつきの基準とするもの
である。即ち、図17は上記地震記録40例から求めた
基準化速度応答スペクトルであり、実線は平均値、破線
は平均値±標準偏差である。夫々の基準化速度応答スペ
クトルには、これらから定義式により求めたSI値を記
入しており、基準化速度応答スペクトルの標準偏差分だ
けずれが、SI値にして約25%の変化に対応している
ことがわかる。そこで、地震記録の全てのデータが25
%だけばらついているとして算出したSI値の標準偏差
σ=10.79(cm/s)となり、平均値μ=38cm/秒から、変動
係数(σ/μ)は0.284となり、これを上記基準的変動係
数としている。
【0032】図18は上記基準化速度応答スペクトルの
ばらつきの標準偏差を常用対数上で表したもので、図か
ら基準化速度応答スペクトルのばらつきは固有周期1.
5秒付近で最も小さいことがわかる。このため、SI
1(20)算出における固有周期は1.5秒又はその近傍と
するのが最も精度が良くなることがわかる。
【0033】以上の説明では、設定する減衰定数はSI
値の定義式における20%を設定しているが、上述した
ように回帰係数を用いた補正式により補正する手法を用
いることにより、場合によっては20%以外の値を減衰
定数として設定することができる。
【0034】
【発明の効果】本発明は以上のとおりであるので以下に
示すような効果がある。 固有周期1.5秒又は2.5秒の速度応答の最大値の
大きい方の値を選択して推定SI値を求める上記文献の
方法と比較して、推定SI値のばらつきを小さくするこ
とができると共に回帰補正により系統的誤差を除去する
ことにより、地震動強度を高精度に測定することができ
る。 設定する固有周期の数を1点とすることにより、SI
値の推定に要する演算時間を短縮することができる。 設定する固有周期の数を3点またはそれ以上とするこ
とにより、精度を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を適用する制御用地震計の構成を
概念的に示す系統図である。
【図2】本発明の方法における速度応答スペクトルの第
1の近似方法を示す説明図である。
【図3】本発明の方法における速度応答スペクトルの第
2の近似方法を示す説明図である。
【図4】本発明の方法における速度応答スペクトルの第
3の近似方法を示す説明図である。
【図5】SIk(20)とSIとの関係を示す説明図であ
る。
【図6】SI1(20)とSIとの関係を示す説明図であ
る。
【図7】SI2(20)とSIとの関係を示す説明図であ
る。
【図8】SIk(20)とSI2(20)との関係を示す説明図で
ある。
【図9】回帰補正したSIk(20)とSIとの関係を示す
説明図である。
【図10】回帰補正したSI1(20)とSIとの関係を示
す説明図である。
【図11】回帰補正したSI2(20)とSIとの関係を示
す説明図である。
【図12】回帰補正したSI3(20)とSIとの関係を示
す説明図である。
【図13】図12のSI3(20)とは固有周期を異ならせ
たSI3(20)を回帰補正してSIとの関係を示す説明図
である。
【図14】回帰補正したSI4(20)とSIとの関係を示
す説明図である。
【図15】回帰補正したSI5(20)とSIとの関係を示
す説明図である。
【図16】回帰補正前及び補正後の推定SI値のばらつ
きの程度と固有周期の設定数との関係を示す説明図であ
る。
【図17】地震記録40例から求めた基準化速度応答ス
ペクトルを示す説明図である。
【図18】図17の基準化速度応答スペクトルのばらつ
きの標準偏差を示すものである。
【符号の説明】
1 加速度計 2 推定SI値演算部 3 回帰補正部 4 制御部

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地震動の加速度を入力し、設定した減衰
    定数と固有周期における1自由度振動系の運動方程式を
    満たす演算を行って速度応答を時々刻々求め、その最大
    値を予め設定した推定式に代入して推定SI値を求める
    方法において、所望の設定条件において、多数の地震記
    録について定義式により求めたSI値と上記推定式によ
    り求めた推定SI値とから、推定SI値を従属変数、定
    義式から求めたSI値を独立変数とする回帰一次方程式
    の回帰係数を求めると共に、この回帰係数を上記回帰一
    次方程式に代入することにより、推定SI値を従属変
    数、SI値の補正値を独立変数とする形の関係式を求
    め、この関係式を変形することにより、SI値の補正値
    を従属変数、推定SI値を独立変数とする形の補正式を
    求め、この補正式に、対象とする地震動の加速度を入力
    して得られた推定SI値を代入することにより補正SI
    値を求めることを特徴とする制御用の地震動強度測定方
  2. 【請求項2】 減衰定数は、SI値の定義式における2
    0%を設定することを特徴とする請求項1記載の制御用
    の地震動強度測定方法
  3. 【請求項3】 減衰定数は、SI値の定義式における2
    0%以外を設定することを特徴とする請求項1記載の制
    御用の地震動強度測定方法
  4. 【請求項4】 固有周期は1.5秒〜2.5秒までのい
    ずれか1点を設定して、この点の値により速度応答スペ
    クトルの平坦部を代表させ、推定式は、速度応答スペク
    トルを固有周期1.5秒の点で折れ曲がる折線により近
    似して固有周期0.1秒〜2.5秒の区間の速度応答の
    平均を求める式とすることを特徴とする請求項1〜3記
    載の制御用の地震動強度測定方法
  5. 【請求項5】 固有周期は1.5秒またはその付近の点
    を設定することを特徴とする請求項4記載の制御用の地
    震動強度測定方法
  6. 【請求項6】 固有周期は0.1秒〜2.5秒までの複
    数点を選択すると共に、推定式は、速度応答スペクトル
    を上記各点の値を結ぶ折線により近似して固有周期0.
    1秒〜2.5秒の区間の速度応答の平均を求める式とす
    ることを特徴とする請求項1〜3記載の制御用の地震動
    強度測定方法
  7. 【請求項7】 少なくとも1.5秒と2.5秒の固有周
    期を選択することを特徴とする請求項6記載の制御用の
    地震動強度測定方法
  8. 【請求項8】 固有周期は1.5秒と2.5秒に1秒以
    下の1点を加えた3点とすることを特徴とする請求項7
    記載の制御用の地震動強度測定方法
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