JP2788920B2 - 原稿画像から複製画像を製作するときの階調変換方法 - Google Patents

原稿画像から複製画像を製作するときの階調変換方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、複製画像を製作するときに作業の案内的役
割を演じる濃度領域をもたない原稿画像から合理的に複
製画像を製作する方法を提供しようとするものである。
更に詳しくは、本発明は原稿画像中に、白か黒の何れ
かの一方の領域しかもたない、あるいはその双方の領域
をもたないカラーフィルム原稿(透過原稿)などの連続
階調の原稿画像から所望する濃度階調(グラデーショ
ン)と色調(トーン)を備えた網点階調などの複製画像
を製作する方法、特にその基礎技術である階調変換方法
に関するものである。
(従来の技術) 連続階調の原稿画像から各種の複製技術により印刷画
像,複写画像,プリンター画像などの複製画像が製作さ
れている。これら複製画像の製作において原稿画像のも
つ濃度階調(gradation)と色調(tone)を複製画像上
に作業規則性をもって合理的、効率的にかつ忠実に再現
させることは、極めて重要な課題である。しかし昨今の
複製技術の進歩にも拘わらず、前記した再現性を作業規
則性をもって合理的、かつ効率的に遂行することができ
ないでいるのが現状であり、特にカラー原稿画像の複製
においては不十分なものである。
この点、連続階調のカラーフィルム原稿画像(以下、
カラー原稿画像という。)から網点階調の印刷画像を製
作する技術を引用して詳しく考察してみる。
一般にカラー印刷画像の製作は、カラー原稿画像をカ
ラースキャナにより色分解を行ない、かつ多色製版(一
般にはC版,M版,Y版,K版)を行なって網点階調の印刷画
像が複製される。
現在、日本における製版時の色分解作業は殆んど全て
がカラースキャナを用いて処理されており、その稼動ス
キャナ台数は約2400台に及ぶ。また、色分解後の集版作
業などの処理も行なうことができるトータルスキャナも
約460台が使用されている。
これらのカラースキャナやトータルスキャナはメカト
ロニクス化された極めて高価な装置であるが、当業界に
おいて大きな問題の一つは、その稼動率が平均して約30
%という低い水準にあることである。このように低い稼
動率に止めている理由は、カラースキャナを操作するた
めのセットアップ時間(scanner setup time)が長いこ
と、色分解作業により得られる製品の品質が不充分なた
め再スキャン(rescan)が多いことなどである。
これを少し技術的観点から考察してみると、前述した
ように色分解作業の用具としてはメカトロニクス化され
た高度なカラースキャナ等を使用しているものの、色分
解作業の複数の要素技術、例えば色補正(Color Correc
tion)と濃度階調(Gradation)が整合性をもって体系
づけられておらず、このことがカラースキャナの低稼動
率の原因をなしている。周知の通り、前記した二つの要
素技術のうち、色補正についてはマスキング方程式やノ
イゲバウアー方程式など極めて厳密に科学的に追求され
てきたが、後者のグラデーション(これは、カラー原稿
画像中の所定画素に、どのような大きさの網点を対応さ
せるべきかという問題に帰する。)は合理的な理論の裏
付けを行なうことがないままおきざりにされてきてお
り、この部分は人間の経験と勘に大きく依存している状
態である。即ち、折角、高度化された電子的色分解装置
を使用しながら、オペレーターの推測作業、オペレータ
ーの経験と勘を排除すること(without operatorevalua
tion,without operator's guess werk)ができず、常に
安定した品質の製品を製作することができないでいる。
次に、カラースキャナなどの色分解装置の問題をはな
れて、カラー原稿画像に注目する。
一般に、カラー原稿画像においては、印刷画像を製作
するうえで作業の案内役となる白領域(原稿画像中の文
字通りの最明部をいう。なお、最明部という用語は、カ
ラー原稿画像中に白部分がない場合でも、相対的に最も
明るい部分を表現するときに用いられるので、両者を区
別するために以下の説明では白領域という用語を用い
る。)と黒領域(原稿画像中の文字通りの最暗部をい
う。)の両者を含んでいるのが通例である。
しかしながら、カラー原稿画像として、白か黒の領域
の何れか一方しか含んでいないもの、あるいはその双方
を含んでいないものも多い。このような場合、カラー原
稿画像中の所定の画素にどのような大きさの網点(前述
したグラデーションの問題である。)を対応させるべき
かについては、前述したように科学的な理論付けがなさ
れていないため、全くスキャナオペレーターの経験と勘
に依存している。これがカラースキャナのセットアップ
時間を大幅に伸ばしたり、闇雲的なスキャナ操作のため
に再スキャンの数を多くし、カラースキャナの実質的稼
動率を低下せしめているのである。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、前記した問題点を解決するためには、
これら問題の解決に先行して解決されなければならない
先行的重要技術があると考えている。
これらの先行的重要技術とは、画像の階調変換技術
(連続階調画素の調子を1:1で忠実に網点階調画像に変
換する技術)、カラー原稿画像にある色カブリ(color
cast,fog)の除去技術、さらに単純にカラー原稿画像の
調子を印刷画像に忠実に階調変換するにとどまらず、作
業規則性をもってカラー原稿画像の調子を所望する調子
を備えた印刷画像を製作する技術、などである。
本発明者らは、これら先行的重要技術の開発におい
て、本発明で使用される〈階調変換式〉の前身となる画
像の階調変換式(なお、両者においては理論的基盤は同
じであるが、その応用的な側面が相違するという点に留
意する必要がある。)が極めて有用であることを見い出
している(特願昭63−2590号,同63−114599号,同63−
207326号,同63−259360号などを参照)。
本発明は、これら先行的重要技術の核心となった画像
の階調変換式を利用しつつ、カラー原稿画像中に白領域
と黒領域の何れか一方しか有しないか、あるいはその双
方の濃度領域をもたないカラー原稿画像からでも常に作
業規則性をもって、即ち、スキャナオペレーターの経験
と勘を排除して合理的かつ効率的に印刷画像を製作する
技術を提供しようとするものである。なお、本発明は、
印刷画像の製作に限定されず、あらゆる種類の複製画像
の製作に応用されることは後述する通りである。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明を概説すれば、本発明は、白領域と黒領域のい
ずれか一方しか持たない連続階調の原稿画像、またはそ
の双方の濃度領域を持たない連続階調の原稿画像、を使
用して網点階調などの複製画像を製作するときの階調変
換方法において、 (i).原稿画像の白領域(濃度値Hn)から黒領域(濃
度値Sn)に至る濃度特性を仮定的に示す仮定個別濃度特
性曲線を、 (a)白領域しか持たない原稿画像の場合には、黒領域
を仮定することにより、 (b)黒領域しか持たない原稿画像の場合には、白領域
を仮定することにより、 (c)白領域と黒領域の双方を持たない原稿画像の場合
には、白領域と黒領域を仮定することにより、 それぞれ規定し、 (ii).一方、複製画像の製作において、白領域(濃度
値Ho)と黒領域(濃度値So)の双方を持つ標準的な原稿
として使用される標準原稿の基準濃度特性曲線を規定
し、 (iii).前記(i)の原稿画像の仮定個別濃度特性曲
線(仮定濃度域Hn〜Sn=DRn)を、前記(ii)の標準原
稿の基準濃度特性曲線(濃度域Ho〜So=DRo)に調整す
るとともに、仮定個別濃度特性曲線上の任意の点の濃度
情報値(仮定Dn)に対応する調整後の基準濃度特性曲線
上の濃度情報値(Do)を求め、 (iv).前記Do値から、下記<階調変換式>により原稿
画像の濃度情報値を網点面積%などの階調強度値(y)
に変換する階調変換曲線を規定し、 (v).前記(iv)で求めた階調変換曲線に基づいて、
原稿画像上の任意の画素の実測して得られる濃度情報値
(実測Dn)を網点面積%などの階調強度値(y)に変換
すること、 からなることを特徴とする原稿画像から複製画像を製作
するときの階調変換方法。
<階調変換式> y=yH+[α/(α−β)]・(1−10−k・(Do−Ho))・(yS−yH) 但し、前記<階調変換式>において、各記号は次のこ
とを意味する; (Do−Ho):原稿画像上の任意の画素の濃度情報値(実
測Dn)に対応する調整後の濃度情報値(Do)から、標準
原稿画像の白領域濃度値(Ho)を差し引いて求めた基礎
濃度値。
y :原稿画像上の任意の画素に対応した複製画
像上の画素の網点面積%などの階調強度値。
yH :原稿画像中に実在する白領域、あるいは仮
定された白領域に対応する複製画像上の最明部に予め設
定される網点面積%などの階調強度値。
yS :原稿画像中に実在する黒領域、あるいは仮
定された黒領域に対応する複製画像上の最暗部に予め設
定される網点面積%などの階調強度値。
α :複製画像を表現するために用いる基材の表
面反射率。
β :β=10-rにより求められる数値。
k :γ/(So−Ho)により求められる数値。
γ :任意の係数。
以下、本発明の構成について詳しく説明する。
なお、引きつづき本発明に係る原稿画像から複製画像
を製作するときの階調変換方法を、複製画像としてカラ
ー印刷画像を製作するケースを引用して説明することに
する。従って、これは説明の便宜上のことであり、本発
明がカラー印刷画像の複製にのみ適用されることを意味
するものではない。
現在、カラー印刷画像の複製作業において、カラース
キャナ色分解装置が極く一般的に使用されていることは
前述した通りであり、該装置により色分解処理されるカ
ラー原稿画像が標準的なものである場合には、スキャナ
オペレーターが変わっても割合に安定した画質の印刷画
像が製作される。即ち、カラー原稿画像として、カラー
原稿画像中に白と黒の両領域が存在し、かつ濃度域(De
nsity Range=D,R)が適切であるもの(以下、標準原稿
という。)を使用する場合、割合に調子の整ったカラー
印刷画像を製作することができる。
ここで、標準原稿を含めてカラー印刷画像の製作のた
めに使用されるカラー原稿画像の特性を、カラーフィル
ムの写真感材の濃度特性曲線に基づいて説明する。第1
図はカラーフィルム写真感材の濃度特性曲線(F社製カ
ラーフィルム)を示すものであって、縦軸はカラー原稿
画像上の被写体濃度(D)であり、横軸は露光量(X)
を示す。
第1図に示されるようにカラーフィルム写真感材の濃
度特性曲線は、概略的には下に凸の足の部分(AB間)、
略直線状の部分(BC間)、上に凸の肩の部分(CD間)を
有するものである。そして、該カラーフィルム写真感材
の濃度特性曲線上に、標準原稿を含めて各個別のカラー
原稿画像の濃度特性曲線が規定される。これは、撮影ず
みのカラーフィルムの現像条件を一定にすれば(この条
件は一定に維持されていると見なして差しつかえな
い。)、個々の原稿画像の濃度特性を規定するのは露光
量の相違によるからである。
即ち、第1図に示されるカラーフィルム写真感材の濃
度特性曲線は、各個別原稿の濃度特性を規定する基本的
なものであり、以下、これを基本濃度特性曲線と称す。
そして、各個別原稿の濃度特性は、該基本濃度特性曲線
上に、概略、次のようにして規定することができる。
(i)標準原稿 適正露光であり、基本濃度特性曲線のBC間に位置づけ
される(最明部濃度Hoと最暗部濃度Soを有する)。標準
原稿としては、例えば濃度計測定値がHo=0.3,So=2.80
のものがあげられる。
(ii)オーバー露光された原稿 オーバー露光のため、最明部がA点、最暗部がBC間に
位置づけられる(最明部濃度Hnを有する)。
(iii)アンダー露光された原稿 アンダー露光のため、最暗部がD点、最明部がBC間に
位置づけられる(最暗部濃度Snを有する)。
これら前記カラー原稿画像のうち、(i)の標準原稿
はともかく、(ii)のカラー原稿画像中に白(または最
明部)領域が第1図のBを超えてHo〜Hnの領域に入りこ
み、黒領域がSo値の近傍にないものや、あるいは(ii
i)の黒領域が第1図のCを超えてSo〜Snの領域に入り
こみ、白領域がHo値の近傍にない、いわゆる非標準原稿
をカラースキャナで処理する場合、合理的にスキャナ色
分解を行なうことができず、良好な画質をもつ印刷画像
の製作にはオペレーターの経験と勘に大きく依存せざる
を得ない。ましてやカラー原稿画像中に白領域と黒領域
の双方をもたない場合(但し、相対的な最明部と最暗部
を有することはいうまでもない。)、製版作業を遂行す
ることは極めて困難である。ここにおいて、白領域とは
標準原稿中の最明部Ho(具体的には濃度計測定値で約0.
3の近傍値)あるいはそれに近い濃度値を有する領域の
ことであり、また黒領域とは標準原稿中の最暗部濃度So
(具体的には濃度計測定値で約2.8の近傍値)あるいは
それに近い濃度値を有する領域のことである。
これは、非標準原稿において、欠落している白(また
は最明部)領域あるいは黒(または最暗部)領域、ある
いは両者にどのような大きさの網点を対応させればよい
か、及び両者の間の濃度勾配をどのように設定すれば良
いかを決定する合理的な手段を欠いているためである。
なお、基本濃度特性曲線上の特定レンジに規定される標
準原稿の濃度特性曲線を基準濃度特性曲線と称し、第1
図においてはBC間にセットされている。また、前記した
非標準原稿の濃度特性曲線も基本濃度特性曲線上の別の
レンジのところに規定され、個別濃度特性曲線と称す
る。
本発明者らは、前述したようにカラースキャナを使用
する色分解作業を自動化することを目標に種々の研究を
重ねており、その結果、 (1)連続階調の原稿画像の調子(濃度階調と色調)を
作業規則性をもって1:1の対応関係をもって忠実に網点
階調の複製画像に変換することが出来る階調変換技術
(これは、本発明の前記〈階調変換式〉の基礎をなすも
のである。特願昭63−2590号,同63−114599号)、 (2)カラー原稿画像の個別的濃度特性曲線を標準原稿
の基準濃度特性曲線に数学的処理を施すことにより調整
し、即ちカラー原稿画像中の任意の画素の濃度情報値を
標準原稿の基準濃度特性曲線上の対応する濃度値に調整
させ、次いで前記(1)の階調変換技術により処理し、
常に標準原稿から得られるものと同質の印刷画像を作成
する技術(特願昭63−207326号)、 を開発した。
本発明はカラー原稿画像として、画像中に白領域と黒
領域の何れか一方しか有しないか、またはその双方の濃
度領域をもたないという極めて不適切なカラー原稿画像
を用いて、原稿画像の調子の再現性に優れた印刷画像を
合理的に製作する方法を提供しようとするものである。
そのためは、本発明は本発明者らが先に提案した前記し
た(1),(2)の技術を駆使するものであるが、ここ
では、本発明が処理対象とするカラー原稿画像の特質に
ついてさらに説明することにする。
本発明者らは、カラー原稿画像中に白領域あるいは黒
領域の何れか一方しか有せず、またはその双方を欠落し
ているカラー原稿画像を用いて、合理的に色分解作業を
行なうには、次のような仮定に立脚することが重要であ
ると考えている。
即ち、処理の対象となる特定のカラー原稿画像中に白
領域と黒領域があると仮定し、該カラー原稿画像上の濃
度域を特定することができればよいと考える。
何んとなれば、このように仮定された特定濃度域の値
から、第1図に示されるカラー原稿画像のカラーフィル
ム写真感材の濃度特性曲線(基本濃度特性曲線)上に仮
定の個別濃度特性曲線(前記した個別濃度特性曲線と区
別するため、仮定個別濃度特性曲線という。)を規定す
ることができ、そこから色分解を行なうのに必要にして
十分な画像の濃度情報が得られるからである。このよう
仮定したあとは、前記したように本発明者らが先に提案
した個別濃度特性曲線を基準濃度特性曲線へ調整する技
術、さらには調整後の画像の濃度情報を用いて常に標準
画像から得られるものと同等の画質の印刷画像を製作す
ることを保証する階調変換技術を組合わせれば良い。
例えば、白領域を有し黒領域(前述したように標準原
稿のSoに近い濃度値をもつ領域)をもたないカラー原稿
画像をカラースキャナにより色分解する場合、該カラー
原稿画像の最暗部(これは相対的な最暗部であり、黒領
域でないことに留意する必要がある。)に、どの程度の
大きさの網点を設定すべきは、常に考慮しなければなら
ない重要な点である。
本発明においては、標準画像の濃度域(第1図にHo〜
So=DRoのものが示されている。)を念頭に、標準原稿
のSoに設定される網点の大きさとの関係で、該カラー原
稿画像の(相対的)最暗部にどのような大きさの網点を
設定すべきかを合理的に決定しようとするものであり、
スキャナーオペレーターの推量作業、経験、勘を完全に
排除しようとするものである。
前記した特定のカラー原稿画像の仮定濃度域を決定す
るには、白領域と黒領域を併有する多くのカラー原稿画
像の濃度差がほぼ一定の値をとるという客観的事実を利
用すれば良い。
但し、カラー原稿画像中の白と黒領域の濃度差は、カ
ラーフィルムの銘柄、被写体の種類、白黒領域の判定基
準、写真撮影等の露光条件などによって0.10〜0.20の相
違が生じてくる。従って、白と黒領域の濃度差を精確に
把握しておくためには、各フィルム銘柄毎に、そのカラ
ー原稿画像中の白領域と黒領域の濃度値を集積、整理、
加工して濃度域や濃度勾配の特定のための資料を入手す
る必要がある。
仮定個別濃度特性曲線の設定例を図により説明する。
第2図はカラー原稿画像の白領域(最明部)濃度値また
は黒領域(最暗部)濃度地から、該カラー原稿画像の濃
度域を仮定して、仮定個別濃度特性曲線を設定する方法
を説明する図である。
前記した白領域と黒領域を有するカラー原稿画像の調
査により、F社製カラーフィルムの場合、撮影時の露光
量が多い(オーバー露光)淡い調子のカラー原稿画像や
標準露光(適性露光)のカラー原稿画像の濃度域が約2.
60であること、露光量が少い(アンダー露光)濃い調子
のカラー原稿画像の濃度域が約2.50であるという一般的
傾向をつかみとることができる。これらの経験的事実が
第2図の作図に生かされている。即ち、白領域H1を有す
るカラー原稿画像においては黒濃度をS1=H1+2.60にな
るように仮定して仮定個別濃度特性曲線(H1〜S1)を規
定し、黒領域S2を有するカラー原稿画像においては、白
濃度H2=S2−2.50になるように仮定して仮定個別濃度特
性曲線(H2〜S2)を規定している。
また、カラー原稿画像中に、白領域と黒領域の双方が
欠落する場合(勿論、相対的な最明部と最暗部は存在す
ることはいうまでもないことである。)、該カラー原稿
画像の個別濃度特性曲線は、カラー原稿画像中の相対的
な最明部と最暗部の濃度を測定することにより基本濃度
特性曲線上に規定することができる。このようなカラー
原稿画像の個別濃度特性曲線は、標準原稿の基準濃度特
性曲線上の特定レンジで規定されることになる。という
のは、いずれか一方が標準原稿の濃度域の両端の濃度値
を超える場合には、前記した白領域あるいは黒領域のい
ずれか一方を欠落するカラー原稿画像のカテゴリーに属
するからである。本発明において、上記三つの例で説明
した仮定濃度特性曲線の濃度域は、任意に設定すること
ができることはいうまでもないことである。
なお、カラー原稿画像が反射原稿の場合(前記した説
明は、透過原稿を前提にしたものである点に留意する必
要がある。)、例えば、カラーペーパー、イラスト画、
水彩画などをカラースキャナにより色分解する場合、基
本濃度特性曲線は略直線状のものになり、この場合もカ
ラー原稿画像の個別濃度特性曲線は該直線状の基本濃度
特性曲線上の任意な所定のレンジにより規定されること
になる。例えば、カラーペーパーや画用紙などの白濃度
と絵具や黒インキ、布などの黒濃度の濃度域間に設定さ
れることになる。
従って、前記した白領域(標準原稿のHoに近傍した濃
度値をもつ領域)と黒領域(標準原稿のSoに近傍した濃
度値をもつ領域)の双方を欠落したカラー原稿画像の仮
定個別濃度特性曲線は、透過原稿の場合は標準画像の基
準濃度特性曲線と仮定することができ、反射原稿の場合
は直線状の基本濃度特性であると仮定することができ
る。即ち、色分解作業にあたり白領域と黒領域の双方を
有しないカラー原稿画像の場合、仮定個別濃度特性曲線
を基準濃度特性曲線に調整する手続が省略される。そし
て、このようなカラー原稿画像の場合、後述する本発明
の(iii)〜(v)工程が大幅に省略されて、そのまま
〈階調変換式〉を用いて色分解すればよいことになる。
というのは標準原稿を該〈階調変換式〉のもとで色分解
すると、常に作業規則性をもって人間の視覚にとって自
然な調子の印刷画像が得られること、そしてこのような
カラー原稿画像の個別濃度特性曲線が基準濃度特性曲線
上に規定されるためである。なお、前記した白領域と黒
領域の双方の欠落したカラー原稿画像の個別濃度特性曲
線を、基準濃度特性曲線のレンジ内で任意に移動させる
ことができることはいうまでもない。これは該カラー原
稿画像において、適正な露光条件で製作されたものでな
い場合(このような場合、基準濃度特性曲線上のレンジ
内に個別濃度特性曲線を規定しうるものがある。)適正
な露光条件に合致させようとするときに必要な手段であ
る。
以上のようにして、カラースキャナによる色分解作業
の対象となる個別のカラー原稿画像において、仮定濃度
域が特定され、かつ仮定個別濃度特性曲線が特定され
る。即ち、本発明の前記した(i)〜(ii)の工程が終
了する。
次に、仮定個別濃度特性曲線を基準濃度特性曲線に調
整する方法(本発明の前記した(iii)工程)を説明す
る。この調整方法は、本発明者らが先に提案したもので
あり(特願昭63−207326号)、その調整方法の要点は次
のとおりである。
仮定個別濃度特性曲線を基準濃度特性曲線に調整する
原理を第3図に示す。
まず、調整を数学的に行なうために、基本濃度特性曲
線を関数規定することが必要である。これは例えば、下
記第1表に示されるD=fD(X)の関数で規定すること
ができる。なお、第1表の基本濃度特性曲線の関数規定
は一例と解すべきで、任意に規定することができること
はいうまでもない。また、第1表には露光量(X)から
濃度値(D)を求めるD=fD(X)のほかに、この逆関
数である濃度値(D)から露光量(X)を求めるX=fX
(D)が示されている。
第3図に示されるように、カラーフィルム写真感材の
基本濃度特性曲線上に、標準原稿の基準濃度特性曲線と
カラー原稿画像の仮定個別濃度特性曲線を規定し、カラ
ー原稿画像の濃度値DHn〜DSnをX軸に投影し、そのX軸
におけるカラー原稿画像の値域(XHn〜XSn)を標準濃度
特性曲線のX軸上の値域(XHO〜XSO)に整合させる。
次に該基準濃度特性曲線のD軸上の濃度値DHOSO
求める。こようにしてカラー原稿画像の仮定濃度域の濃
度情報値(Dn)を基準濃度特性曲線上の濃度情報値(D
o)に調整させることができる。当然のことながら、カ
ラー原稿の仮定個別濃度特性曲線が基準濃度特性曲線と
一致する場合には、両者の整合は不必要であることはい
うまでもない。
仮定個別と基準濃度特性曲線の整合手段として、一般
にXRO(標準原稿の基準濃度特性曲線の露光量レンジ)
とXRn(非標準的な個別原稿の仮定個別濃度特性曲線の
露光量レンジ)とは一致しないことが常態であることか
ら、両特性曲線を数学的に比例整合させることが必要に
なる。勿論、単純にレンジの始点(または終点)を一致
させるような単純整合させるような方法を採用してもよ
い。これは前記したように白と黒領域の双方を欠落し、
その個別濃度特性曲線が基準濃度特性曲線内に規定され
るカラー原稿画像において、該個別濃度特性曲線を基準
濃度特性曲線内を移動させようとするときに必要な手段
である。
このほか、上記調整手続きを簡素化するために仮定個
別濃度特性曲線を直接X軸に投影し、X軸上での値をそ
のまま濃度値に読みかえてもよいし、あるいは該読みか
え濃度値を同様にして読みかえた基準濃度特性曲線の濃
度値に整合させたりするなど、所望の処理を加えてから
前記〈階調変換式〉を用いて画像の階調変換を行なって
もよい。
第3図に示されるように、数学的な比例整合作業に使
用する関係式、即ち、仮定個別濃度特性曲線の濃度情報
値(Dn)から、基本濃度特性曲線D=fD(X)に代入し
て調整を加えたカラー原稿の濃度情報値(DO)を入手す
るためのX値を求める関係式は、次のようになる。
但し、 m:必要平行移動量 XRo:X軸上の標準原稿の基準濃度特性曲線の露光量レン
ジ XRn:X軸上の非標準的な個別原稿の仮定個別濃度特性曲
線の露光量レンジ 前記した仮定個別濃度特性曲線を基準濃度特性曲線に
整合する作業が終了すると、仮定個別濃度特性曲線上の
全ての濃度情報値(Dn)から、調整を加えたカラー原稿
の濃度情報値(Do)を求めることができる。そしてこの
ようにして得られたDo値を前記〈階調変換式〉に代入す
ると色分解カーブ、即ちカラー原稿画像の濃度情報値
(連続階調の濃度値)とカラー印刷画像の画像情報値
(網点階調の網点面積%の数値)との相関関係を律する
階調変換曲線(これは網点階調特性曲線ともいわれる)
が得られる。この工程は、本発明の前記した(iv)に該
当するものである。
これで、カラー原稿画像中に白領域あるいは黒領域の
何れか一方、またはその双方をもたない連続階調のカラ
ー原稿画像を、カラースキャナを用いて色分解する準備
作業は全て完了することになる。あとは本発明の前記し
た(v)に該当する工程を残すのみである。この(v)
の工程はカラー原稿画像をスキャンして得られる原稿画
像上の任意の画素の濃度情報値(実測Dn)を前記したよ
うに調整を加え(実測Dn→Do)、調整後のDo値を前記
〈階調変換式〉に代入し、網点面積%(y値)に変換す
ることにより遂行される。
以上の通り、本発明の前記した〈階調変換式〉を使用
することを前提として、カラー原稿画像の仮定個別濃度
特性曲線、および所望の画質を備えた印刷画像を作成す
るための要件を満たす標準原稿の基準濃度特性曲線を設
定し、その両者を数学的処理などの合理的方法によって
結びつけるならば、カラー原稿画像が、その複製上、作
業の案内役となる白領域と黒領域の両者を同時に含まな
いものであっても、常に作業規則性をもって、所望した
画質(人間の視覚にとって自然な調子のもの)をもつ印
刷画像を作成することができる。
なお、本発明の前記〈階調変換式〉のパラメーターに
おいて、一見して多くのパラメーターがあるため〈階調
変換式〉の運用に恣意性が入りこむのではないかという
疑問が生じる。しかしながら、印刷画像などの複製技術
において、前記〈階調変換式〉のyH,ySのパラメーター
はほとんど常数化されており、例えば、印刷画像の場
合、C版のyHに5%,ySに95%という網点面積%が使用
される。なお、前記〈階調変換式〉の運用において、濃
度値に濃度計測定値を使用し、yHとySに百分率数値を用
いると、y値も百分率数値で算出される。αは印刷用紙
の表面反射率であり、α=1.0としてもよいものであ
る。
本発明において、特徴的なパラメーターはγ値であ
る。これは標準原稿の色分解時においては黄インキのベ
タ濃度値を採用し、γ=0.9〜1.0の値に固定することが
できるものである。そして、多くの事例においてγ=0.
9〜1.0の値により優れた結果を得ている。本発明におい
てはカラーフィルム原稿画像の仮定個別濃度特性曲線を
標準画像の基準濃度特性曲線に調整する手段を構じてい
るため、γ値を前記した値に固定してもよい。このγ値
を定数化できることの意義は重要で、前記〈階調変換
式〉の項をほとんど定数化できること、従って〈階調変
換式〉の計算やそのための機構を簡素化できる。なお、
これらパラメーターの数値設定は、所与のカラー原稿画
像の調子をあくまでも忠実に印刷画像に再現させるとい
う立場と、意識に調子の相違した印刷画像を製作しよう
とする立場により相違してくる。例えばγ値を変化させ
ることにより色分解カーブの形状を所望のものに変える
ことができるため、種々の調子の印刷画像が得られる。
なお、多色製版(一般にC版,M版,Y版,K(黒)版の四
版が一組と考えられている。)に本発明の前記〈階調変
換式〉を運用して、それぞれの色分解カーブを設定する
には、次のようにすれば良い。前記〈階調変換式〉は多
色製版のうち、一番重要な版であるC版を合理的に決め
るという観点から導出されている。従って、前記〈階調
変換式〉の運用により導出されるのはC版用の色分解カ
ーブであり、あとのM版,Y版用の色分解カーブはグレー
バランスやカラーバランスを維持するように適切な調整
値を乗じることにより決めればよい。K(墨)版用分解
カーブはC,M,Yインキの消費量を減らす観点などから当
業界の常法に従って決めればよい。
次に、本発明の前記〈階調変換式〉の運用面、本発明
の階調変換方法の応用面などの特徴について説明する。
本発明の前記〈階調変換式〉の運用において、濃度情
報値とは原稿画像(本発明は、前記したようにカラー印
刷画像を作成するときのカラー原稿画像に限定されな
い。)の各画素のもっている濃度に関する物理量を反映
するものであればいずれでも良く、最広義に解釈される
べきである。同義語としては、反射濃度、透過濃度、輝
度、強度、光量、振幅、電流・電圧値、などがある。
本発明の前記〈階調変換式〉の運用において、次のよ
うに変形して利用することはもとより、任意の加工、変
形、誘導するなどして使用することも自由である。
前記の変形例は、α=1としたものである。これは、
例えば印刷画像を表現するために用いられる印刷用紙
(基材)の表面反射率を100%としたものである。αの
値としては、任意の値を取り得るが、実務上1.0として
構わない。このことはビデオ画像などの輝度画像におい
ても同じである。
また、前記変形例(α=1.0)によれば、印刷画像上
の最明部H(即ち標準画像のHo部)にyHを、最暗部S
(即ち標準画像のSo部)にysを予定した通りに設定する
ことができ、これは本発明において大きな特徴をなして
いる。このことは、印刷画像上の最明部Hにおいては、
定義により(Do−Ho)=0となること、また最暗部Sに
おいては(Do−Ho)=〔基準画像濃度域〕となること、
即ち、 従って、−k・〔(Do−Ho)〕=−γとなることから明
らかである。このように、本発明の〈階調変換式〉(α
=1の変形例)を利用するに当り、常に予定した通りの
yHとySを印刷画像上に設定することができることは、利
用者が作業結果を考察する上で極めて重要なことであ
る。例えば、印刷画像におけるyHとySに所望する値を設
定し、γ値を変化させると(但し、α=1.0)、各種の
色分解カーブが得られる。そして、これらの色分解カー
ブのもとで得た印刷画像をγ値との関係で容易に評価す
ることができる。
また、本発明の前記〈階調変換式〉をベースとした画
像特性の変換処理方は、原稿画像の階調や色調の再現、
即ち原稿画像の調子を作業規則性をもって印刷画像に1:
1に再現させるうえで極めて有用であるが、その有用さ
はこれに限定されるものではない。前記したように本発
明の前記〈階調変換式〉は、原稿画像の特性の忠実な再
現性以外にも、α,β,γ値、更にはyH,yS値を適宜選
択することによりカラー原稿画像の画像特性を合理的に
変更したり修正したりするうえで極めて有用なものであ
る。
本発明の前記〈階調変換式〉の運用を、これまで特に
印刷画像の作成との関連で説明してきたが、その応用面
は、こと印刷画像の作成に限定されるものではない。
即ち、本発明の〈階調変換式〉の応用面としては、 (i)既に詳しく説明した凸版、平版、網点グラビヤ、
シルク・スクリーンなどの印刷画像、あるいは、ドット
の大きさを変える(多値化)ことができる溶融転写型感
熱転写画像などにみられる網点(ドット)の大きさで複
製画像の階調や色調を表現しようとする場合(これは面
積階調法ともいわれる。)はもとより、 (ii)昇華転写型感熱転写画像、(銀塩利用)熱現像転
写画像、コンベンショナル・グラビヤ画像などにもみら
れる一定面積の画素当り(例えば1ドット当り)に付着
させる印刷インキなどの顔料、染料(色素)などの濃淡
により階調や色調を表現しようとする場合に(これは濃
度階調法ともいわれる。)、 (iii)デジタル式の複写機(カラーコピーなど)、プ
リンター(インキジェット式、バブルジェット式な
ど)、あらゆるファクシミリなどにみられる一定面積当
りの記録密度、例えばドット数、インキの粒の数や大小
などを変化させることにより階調を表現しようとする場
合(これは、前記(i)の面積階調と類似したものであ
る。)、 (iv)ビデオ信号、テレビ信号、ハイビジョン信号など
の画像情報に関する電気信号より、単位面積の輝度の強
弱を調整して画像を表現するCRT画像やこれから階調の
ある印刷物やハードコピーなどを得ようとする場合、 (v)前記したほぼ同等の濃度(輝度、照度)領域にお
ける原稿画像と複製画像との間の画像の変換処理の場合
だけでなく、空間的、輝度的、波長的および時間的不可
視域における撮影、例えば原画像のコントラストが極め
て低いため原画像と複製画像との間の濃度域差が小さ
い、低照度領域における画像情報の入力変換(高感度カ
メラによる撮像など)の場合(このような場合、画像の
階調の変換というより画像のコントラストの強調変換に
力点がある。)、 (vi)この他、濃度表示とともに網点面積%などをも表
示させるようにした通常・階調変換機構つき濃度計、色
分解事前点検用(例えば校正用カラープルーフ)や色分
解教育用シュミレータなどの印刷関連危機など、 に応用することができる。
本発明の〈階調変換式〉を用いた画像特性の変換処理
法を、前記した種々の応用分野に適用する際、連続階調
(ハードな原稿もソフトな原稿も含む。)から入手され
る画像濃度に関する画像情報及び/又は画像情報電気信
号(アナログでもディジタルでもいずれでも良い。)
を、前記した各種応用分野の機器の画像変換処理部(階
調変換部)で行ない、その処理値であるy値(階調強度
値)に対応させて機器の記録部(記録ヘッド)の電流値
や電圧値、あるいはその印加時間などを制御し、網点面
積、一定面積(1画素)当りのドット数、一定面積(例
えば1ドット)当りの濃度などを変化させて原画像の濃
度階調を1:1に対応させた網点階調などの複製画像を出
力するようにすれば良い。
例えば、本発明の〈階調変換式〉をベースとした画像
特性の変換処理法を用いて、網点階調画像である印刷画
像の原版、すなわち印刷用原版を製作するには、当業界
において周知である既存システムを利用すれば良く、市
販の電子的色分野装置(カラー・スキャナー、トータル
・スキャナー)等の色分解・網かけ機構に、本発明の画
像の変換処理法を組み込むことにより達成される。より
具体的には、カラー写真などの連続階調画像である原稿
画像に対して小さなスポット光を照射し、この反射光あ
るいは透過光(画像情報信号)を光電変換部(フォトマ
ル)で受光し、光の強弱を電圧の強弱に変換し、得られ
た画像信号電気信号(電気値)をコンピュータによって
所望の整理・加工を行ない、コンピュータからアウトプ
ットされる加工した画像情報電気信号(電圧値)に基づ
いて露出用光源光の制御を行ない、次いで生フィルムに
レーザーのスポット光をあて印刷用原版を作成する周知
の既存システムにおいて、例えば原稿画像の画像情報電
気信号を整理・加工するためのコンピュータの計算処理
機構部で仮定個別濃度特性曲線を基準濃度特性曲線に調
整させるとともに、本発明の〈階調変換式〉を利用して
連続階調の画像情報電気信号を網点階調の画像情報電気
信号となすことができるソフトを組み込めば良いだけで
ある。このようなソフトとしては、本発明の仮定個別濃
度特性曲線を基準濃度特性曲線に調整するとともに前記
の〈階調変換式〉のアルゴリズムをソフトウェアとして
保有しかつA/D(アナログ−デジタル変換)、D/AのI/F
(インターフェース)を有する汎用コンピュータ,アル
ゴリズムをロジックとして汎用ICにより具体化した電気
回路、アルゴリズム演算結果を保持したROMを含む電気
回路、アルゴリズムを内部ロジックとして具現化したPA
L、ゲートアレイ、カスタムIC等々種々の形態をとるこ
とができる。特に最近においてはモジュール化が発達し
ており、本発明の仮定個別濃度特性曲線を基準濃度特性
曲線に調整するとともに前記〈階調変換式〉をベースと
して濃度領域における画像特性の変換処理を行なうこと
ができる演算実現機構は、専用のIC、LSI、マイクロプ
ロセッサー、マイクロコンピューターなどのモジュール
として容易に製作することができる。そして、光電走査
用のスポット光を順次、点に分割しながら進行させ、一
方、レーザー露光部もこれと同期するように行なえば、
前記〈階調変換式〉により導き出される網点面積パーセ
ントの数値(y)を持つ網点階調の印刷用原版を容易に
作成することができる。
(実施例) 以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発
明はこれら実施例のものに限定されない。
実験に際して、 ○カラー原稿画像の実測濃度域を所定の仮定濃度域に調
整する作業、 ○該仮定濃度域をもつ仮定個別濃度特性曲線を基準濃度
特性曲線に調整する作業、 ○カラー原稿画像上の所定の画素の実測濃度値(Dn)を
基準濃度特性曲線上の対応する濃度値(Do)に変換する
作業、 ○Dn値の調整後のDo値を用いて前記〈階調変換式〉を運
用した色分解カーブを作成する作業、 という一連の作業をソフトウエア化し、NEC社製PC−9
800型パーソナルコンピューターで所要の計算をやらせ
た。
(実施例1) 原稿として、F社製4″×5″の複製対象画像が室内
静物であるカラー原稿画像を用いた。
該カラー原稿画像は、画像中に白領域(濃度値0.17)
だけがあり、画像中の相対的に最も暗い最暗部(黒領域
ではない。)の濃度値は2.40であった。
該カラー原稿画像の濃度域を2.70と仮定し、仮定濃度
域を0.17から2.87とした。
この仮定濃度域をもつ仮定個別濃度特性距線を第3図
に示されるようにして基本濃度特性曲線(F社製のカラ
ーフィルム濃度特性曲線を基本濃度特性曲線とし、その
関数表示は第1表に示されるものである。)上に規定し
た。一方、該基本濃度特性曲線上に、第3図に示される
ようにして濃度域0.30〜2.90の基本濃度特性曲線を規定
した。
次に、該仮定個別濃度特性曲線を基準濃度特性曲線に
調整し、本発明の〈階調変換式〉を用いて色分解カーブ
(C版用)を作成した。なお、色分解カーブの作成時の
パラメーターの条件は以下の通りである。
yH=5%, yS=95%, α=1.00, γ=1.00,β=10−γ=0.10,k=1/2.60, 次に、色分解用のカラースキャナとしてマグナスキャ
ンM−645(クロスフィールド社製)を使用して色分解
を行ない、デュポン社のクロマリン校正法によってカラ
ー校正印刷画像を製作し、画質の評価を行なった。な
お、M版,Y版としては、yH=3%,yS=90%,中間調領
域がC版より10%少なくなるように網点を設定するよう
にし、K版は常法に従った。
以上のようにして製作された校正印刷画像は、全体と
して予期した通りの調子であり、グレーバランスも良く
整い、かつ暗部の濃度も適切なものであった。即ち、校
正印刷画像の調子は、カラー原稿画像の調子と比べ全体
的に濃度が濃くなり、特にハイライト部でのコントラス
トが強調され、複製対象画像の調子をより忠実に再現し
ているものであった。因みに、カラー原稿画像上で濃度
が2.40であった最暗部には、約92%の網点が入ってい
た。
なお、本実験過程で、〈階調変換式〉のもつ特質か
ら、パラメーターyH,yS,α,k,γの数値を適切に設定す
ることにより、校正印刷画像の調子を予定した通りに規
則性をもって調整できることが確かめられた。
(実施例2) 原稿として複製対象画像が白領域を含まない森の中で
の静物のカラー原稿画像を用いた。該カラー原稿画像の
黒領域の濃度値は3.06、相対的な最明部の濃度値は0.87
であった。
該カラー原稿画像の濃度域を2.50とし、仮定濃度域を
0.56から3.06とした。
次に、実施例1と同様にしてカラー原稿画像の濃度情
報を基準濃度特性曲線(濃度域0.30〜2.90)上の濃度情
報に変換,調整するとともに、カラー校正印刷画像を製
作した。
このようにして製作したカラー校正印刷画像は、事前
に予測していた調子の画像が得られ、シャドウ部からハ
イライト部にかけての濃度勾配が人間の視覚感覚にとっ
て自然なものであり満足すべきものであった。即ち、カ
ラー原稿画像に比べ全体的に調子が明るくなり、しかも
シャドウ部の調子が良く表現されていた。因みに、カラ
ー原稿画像上で濃度が0.87であった部分には、約23%の
網点が入っていた。
(実施例3) 原稿として白領域と黒領域の双方が欠落した水彩画を
使用した。この水彩画の最明部濃度値は0.50、最暗部濃
度値は1.19であった。周知のように水彩画は反射原稿で
あり、その濃度特性曲線は直線で規定されるものであ
る。また実施例1及び2で規定した基準濃度特性曲線
(濃度域0.30〜2.90)も略直線状とみなして差しつかえ
ないので、水彩画の濃度特性曲線は基準濃度特性曲線上
に規定されるとみなす。従って、このまま色分解すれば
よいわけであるが、ここでは〈階調変換式〉の特質、即
ち、yH,yS,α,γ,kを適切に設定することにより印刷画
像の調子を任意かつ作業規則性をもって調整することが
できるという特質を活用して実験を進めた。
そのため、校正印刷画像の調子を全体的に濃くし(こ
の場合、γ値を大きい数値とすればよいことは、該〈階
調変換式〉の特質から誘導されることである。)、かつ
ハイライト部分のコントラストを強めにする(この場
合、ySを小さい数値とする。)という要求を実現するた
めに、各パラメーターの数値を以下のように設定した。
yH=5%,yS90%,α=1.00, γ=1.20,β=10−γ=0.063、k=1.20/2.60 以上の条件でスキャナ色分解、色校正を行なってカラ
ー校正印刷画像を製作した。このようにして製作したカ
ラー校正印刷画像の調子は、全く予定した通りのもので
あり、濃度勾配も人間の視覚感覚にとって自然のもので
あり、かつカラーバランスも整っていた。なお、γ=1.
00,yH=5%,yS=95%の条件で色分解したものの網点の
大きさをハイライト部からミドルトーンにかけて調べて
みると、本実験の場合には2〜3%程度大きくなり、観
察結果と一致した。
〔発明の効果〕
本発明の階調変換方法の応用面は多岐にわたるが、印
刷画像の製作に適用されたときには次のような効果を奏
する。
現在、印刷画像の製作にはメカトロニクス化された高
価なスキャナ装置が使用されているが、極めて低い稼動
率の状態におかれている。これはカラー原稿などの原稿
画像をどのような条件で色分解するかを決定するスキャ
ナのセットアップ時間が長いことや再スキャンの割合が
多いことなどが大きな要因をなしている。
本発明によれば、スキャナオペレーターの恣意性、経
験、勘などが入り込み再スキャンを強いられるカラー原
稿画像、特に白または黒のいずれか一方、またはその双
方に対応した濃度部分のないカラー原稿画像であっても
自動的に処理することができる。従って、このようなカ
ラー原稿画像に対するセットアップ時間を大幅に短縮す
ることができるため、スキャナの稼動率を顕著に向上さ
せることができる。また、再スキャンの低減化により資
材と労力の無駄を省くことができることはいうまでもな
い。
さらに、本発明は前記したようにスキャナによる色分
解技術を、日常生活している具体的な問題に自動的に対
応することを可能としているため、スキャナ分解技術の
全自動化を確立するうえで重要なものである。
その他、本発明の階調変換方法をベースとした印刷画
像の製作において、その核心となる階調変換作業を理論
と実務を整合させる〈階調変換式〉を用いて行なってい
るため、製作技術の教育、実習を合理的に行なうことが
できる。即ち、本発明の〈階調変換式〉のもとで、原稿
画像の調子(濃度階調と色調)を1:1に忠実に印刷画像
に再現させる以外に、調子を変更した印刷画像の製作な
どのクリエイティブな作業を行なうことができるので、
製版技術を幅広く教育、実習させることができる。
本発明の階調変換方法は、前記した印刷画像の製作に
とどまらず、多岐にわたる複製画像の製作時において適
用され、前記したと同様の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、カラーフィルム写真感材(F社製)の濃度特
性曲線(基本濃度特性曲線)を示す。第2図は、基本濃
度特性曲線上に基準濃度特性曲線と仮定個別濃度特性曲
線を設定する方法を示す。第3図は、カラー原稿画像の
仮定個別濃度特性曲線と基準濃度特性曲線の整合の原則
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03F 5/00 G03F 3/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】白領域と黒領域のいずれか一方しか持たな
    い連続階調の原稿画像、またはその双方の濃度領域を持
    たない連続階調の原稿画像、を使用して網点階調などの
    複製画像を製作するときの階調変換方法において、 (i).原稿画像の白領域(濃度値Hn)から黒領域(濃
    度値Sn)に至る濃度特性を仮定的に示す仮定個別濃度特
    性曲線を、 (a)白領域しか持たない原稿画像の場合には、黒領域
    を仮定することにより、 (b)黒領域しか持たない原稿画像の場合には、白領域
    を仮定することにより、 (c)白領域と黒領域の双方を持たない原稿画像の場合
    には、白領域と黒領域を仮定することにより、 それぞれ規定し、 (ii).一方、複製画像の製作において、白領域(濃度
    値Ho)と黒領域(濃度値So)の双方を持つ標準的な原稿
    として使用される標準原稿の基準濃度特性曲線を規定
    し、 (iii).前記(i)の原稿画像の仮定個別濃度特性曲
    線(仮定濃度域Hn〜Sn=DRn)を、前記(ii)の標準原
    稿の基準濃度特性曲線(濃度域Ho〜So=DRo)に調整す
    るとともに、仮定個別濃度特性曲線上の任意の点の濃度
    情報値(仮定Dn)に対応する調整後の基準濃度特性曲線
    上の濃度情報値(Do)を求め、 (iv).前記Do値から、下記<階調変換式>により原稿
    画像の濃度情報値を網点面積%などの階調強度値(y)
    に変換する階調変換曲線を規定し、 (v).前記(iv)で求めた階調変換曲線に基づいて、
    原稿画像上の任意の画素の実測して得られる濃度情報値
    (実測Dn)を網点面積%などの階調強度値(y)に変換
    すること、 からなることを特徴とする原稿画像から複製画像を製作
    するときの階調変換方法。 <階調変換式> y=yH+[α/(α−β)]・(1−10−k・(Do−Ho))・(yS−yH) 但し、前記<階調変換式>において、各記号は次のこと
    を意味する; (Do−Ho):原稿画像上の任意の画素の濃度情報値(実
    測Dn)に対応する調整後の濃度情報値(Do)から、標準
    原稿画像の白領域濃度値(Ho)を差し引いて求めた基礎
    濃度値。 y:原稿画像上の任意の画素に対応した複製画像上の画素
    の網点面積%などの階調強度値。 yH:原稿画像中に実在する白領域、あるいは仮定された
    白領域に対応する複製画像上の最明部に予め設定される
    網点面積%などの階調強度値。 yS:原稿画像中に実在する黒領域、あるいは仮定された
    黒領域に対応する複製画像上の最暗部に予め設定される
    網点面積%などの階調強度値。 α:複製画像を表現するために用いる基材の表面反射
    率。 β:β=10-rにより求められる数値。 k:γ/(So−Ho)により求められる数値。 γ:任意の係数。
  2. 【請求項2】白領域(濃度値Hn)しか持たない原稿画像
    の場合、黒領域の濃度値SnをSn=Sn+(2.20〜3.00)で
    仮定する請求項第1項に記載の階調変換方法。
  3. 【請求項3】黒領域(濃度値Sn)しか持たない原稿画像
    の場合、白領域の濃度値HnをHn=Sn−(2.20〜2.80)で
    仮定する請求項第1項に記載の階調変換方法。
  4. 【請求項4】原稿画像が、カラー原稿またはモノクロ原
    稿である請求項第1項に記載の階調変換方法。
  5. 【請求項5】原稿画像が、反射原稿、透過原稿、電気的
    または磁気的に記録された記録画像から選ばれたもので
    ある請求項第1項に記載の階調変換方法。
  6. 【請求項6】原稿画像が、カラーフィルム原稿(透過原
    稿)である場合、写真感材の濃度特性曲線(露光量とフ
    ィルム濃度の相関関係を示す曲線)上に仮定個別濃度特
    性曲線と基準濃度特性曲線を規定するものである請求項
    第1項に記載の階調変換方法。
  7. 【請求項7】原稿画像が、反射原稿である場合、略直線
    状の濃度特性曲線上に仮定個別濃度特性曲線と標準濃度
    特性曲線を規定するものである請求項第1項に記載の階
    調変換方法。
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