JP2779059B2 - １本ハンドル水栓 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、１本のハンドルだけの使用により流量及び
冷水と湯のような２種の異なった流体の混合率の両者を
制御できる１本ハンドル水栓に関する。より特別には、
本発明は操作に経済的な１本ハンドル水栓に関する。

本発明を要約すれば、弁（10）、連結用ロッド（4
0）、及び閉鎖位置と全開位置との間を揺動し得る連結
用ロッド上のハンドル（50、160）とを具備した水栓で
ある。ハンドル（50、160）は、動き制限手段（31、6
2、180）によつて閉鎖位置と全開位置との間の中間位置
を越えて動くことを防止され、使用者操作手段（50、5
5、160、163）は該動き制限手段（31、62、180）の係合
を外しハンドル（50、160）が全開位置に動かされるこ
とを許容する。

シンク、浴槽及びシャワー用の水栓のような１本ハン
ドル水栓は、水栓の使用者が水栓から吐出する水の流量
及び温度の双方を片手で調整できるので非常に一般的に
なっている。しかし、かかる水栓は水の消費に関しては
不経済であることが見出されている。その理由の１つ
は、１本ハンドル水栓のハンドルが極めて操作容易であ
り、従って使用者はハンドルを水栓からの最大流量に相
当する位置に動かし易い傾向があることである。ある水
栓においては、水の消費を減らすため、使用者がハンド
ルをその最大流量位置に動かすことをより困難にするよ
うに、ハンドルの動きが堅くされる。しかし、使用者
は、堅さに打ち勝つようにハンドルに大きな力をかけ、
あるいは使用者はハンドルの有効長さを増すようにハン
ドルの最外端でハンドルをつかむ傾向があり、その結
果、ハンドルは再びその最大流量位置に動かされ、水の
過度の消費が生ずる。

更に、小児及び運動能力の低いその他の人々は、普通
の１本ハンドル水栓を完全開口と完全閉鎖との間の中間
位置に調整するのが困難なことが時々あり、従ってこれ
らの人達は水栓を必要以上に開き易い。更に、かかる水
栓の操作を充分に教育された小児でも、水道費用につい
ての認識が無くハンドルを最大流量位置に動かすことが
多い。

米国特許第4,708,172号は、水栓を通過する水量を最
大流量より少ない中間のレベルに制限する装置を取り付
けた水栓を開示している。使用者は、弾性トングの作用
に抗して水栓のハンドルを持ち上げることにより、水栓
からの水の吐出量をその中間レベルより増加させること
ができる。しかし、この装置は、水栓を作用させるのに
要する力が弾性トングにより増加され、流量の制御を困
難にし、且つ小児又は虚弱者にとっては大き過ぎる力を
加えることを使用者に要求するという欠点を有する。加
えて、水の流量は使用者がハンドルを放すと直ぐに中間
レベルに戻り、その為連続して大流量を得るためには、
使用者は弾性トングの力に抗してハンドルを連続的に押
さなければならない。この操作は疲れるだけでなく使用
者は片方の手が放せず、例えば手を洗うことが不可能と
なる。更に、ハンドルが中間レベルを越えて動かされる
と、湯と水の混合比を調整することができない。

従って、水栓のハンドルの動く範囲を、閉鎖位置と全
開位置との間にあり且つ水栓からの流体の流量が経済的
なレベルに限定される中間位置に、選択的に限定し得る
１本ハンドル水栓を提供することが本発明の目的であ
る。

中間位置を越えた任意の所望位置に容易に動かし得る
ハンドルを有する１本ハンドル水栓を提供することが本
発明の別の目的である。

湯と水のような２種の流体の混合ができ、且つ水栓か
らの流量の如何に拘わらず２種の流体の比率を制御でき
る１本ハンドル水栓を提供することが本発明の更に別の
目的である。

使用者が水栓のハンドルを離したとき、その設定位置
を保つ１本ハンドル水栓を提供することが本発明のなお
別の目的である。

ハンドル設定の何処位置のどこにおいてもハンドルの
円滑な操作ができる１本ハンドル水栓を提供することが
本発明の更に別の目的である。

現在の１本ハンドル水栓を、中間位置へのハンドルの
動きを選択的に制限し得る水栓にするように改造できる
操作ハンドルを提供することが本発明の更に別の目的で
ある。

本発明による１本ハンドル水栓は、制御弁、制御弁に
連結された連結用ロッド、及び連結用ロッドを動かすハ
ンドルを具備し、特許請求の範囲内容を特徴とする。

添付図面を参照して本発明による多くの好ましい実施
例を説明する。第１図は第１の実施例の縦方向断面図で
ある。これは、湯又は水の管のような図示されていない
流体供給源に接続された通常の混合弁10を有する。この
実施例を応用し得る１本ハンドル水栓及び混合弁の一形
式は、例えば米国特許第4,357,957号に示され、これは
湯と水との混合流量を弁の軸線方向の動きによつて制御
する。この実施例を応用できる別形式の１本ハンドル水
栓が米国特許第4,478,249号に示され、これは混合比及
び流量の制御に摺動円盤型の構成を使用する。上述の両
特許の弁ではハンドルを上下に回す動きで流量を制御
し、横方向に回す動きで混合比を制御する。

弁10は、その外側に取り付けられた蛇口20と連通す
る。蛇口20は固定式でもよいし、又は蛇口20を垂直軸線
の回りにいかなる所望方向にでも旋回させ得るように弁
10に回転可能に取り付けてもよい。弁10は、弁10の頂部
を覆うドーム30を備えそしてその上端に開口を有する水
栓本体により囲まれる。

第１図の線II−IIに沿って得られた横方向断面図であ
る第２図を参照すれば、円周方向に延びているリム31が
ドーム30の頂部開口の縁に沿って形成されている。リム
31はその全周に沿って一定の半径を有していてもよい
し、あるいは第２図に示されるように異なった半径を有
する複数部分に分割してもよい。

弁10の作用は、連結用ロッド40によつて弁10に連結さ
れたハンドル50により制御される。連結用ロッド40の上
端はハンドル50に連結され、下端は弁10に連結されてい
る。ハンドルを上下させると連結用ロッド40が水平軸41
の回りで回動し、弁10が蛇口20を通る水の流量を変える
ように作動する。また、弁10は、連結用ロッド40の側方
から側方への動き又は旋回運動により、蛇口20を通る湯
と水との混合比を変えるようにも作動する。２種の異な
った方向へのハンドルの旋回運動に応じて水栓からの流
体の流量を制御する弁は良く知られており、この形式の
いかなる通常の弁をも使用することができる。適切な弁
の幾つかの付加的な例が、フリードリッヒ・グロー（Fr
iedrich Grohe）によって商品名ユーロプラス（Europlu
s）（モデル33060、モデル33065、モデル33235等）、及
びアイデアルスタンダードバルブ（Ideal Standard Val
ves）（モデルA1515、モデルA1516、モデルA1519、等）
で製造されている。

第１図乃至第５図に示された実施例においては、ハン
ドル50は、ノブ51、ノブ51の中心に緩く連結されたスリ
ーブ53、及びノブ51の周囲に連結されたレバー52を備え
ている。ノブ51、スリーブ53、及びレバー52は、適宜の
耐久性のある材料で作ることができ、かつ単一部品とし
て一体に成形することができる。本発明に関して、動き
制限手段が設けられており、これによってハンドルの動
きは流量を制限するために限定されるが、これは希望す
るならば全流量を得るように乗り越すことができる。こ
の目的のために、ノブ51の下側から下方に延びているス
リーブ53は空所55を有し（第３図）、これはスリーブ53
の下端にて開口し、そして穴57によりノブ51の上面と連
通している。空所55は連結用ロッド40の上端と緩く嵌合
し、その結果、スリーブ53、従って全ハンドル50は連結
用ロッド40に沿って上下に滑ることができる。ノブ51の
穴57を緩く通り連結用ロッド40の上端にねじ込まれたね
じ58により、ノブ51が連結用ロッド40から完全に分離す
ることが防止される。ノブ51は、通常は、連結用ロッド
40に沿って上昇位置に弾性的に付勢されており、この上
昇位置では、ノブ51の上面とねじ58の頭部とが接触す
る。つる巻きばね43の形態の押し上げ用部材がねじ58を
取り巻いて空所55内に配置されている。第３図に示され
るように、ばね43用の座42を定めるように空所を連結用
ロッド40の上端内に形成することができる。

ノブ51の上面は着脱可能な保護キャップ59によつて覆
われている。スリーブ53の下降運動は、ハンドル50が押
し下げられると連結用ロッド40の上端に当たるスリーブ
53の端部壁60によつて制限される。

本発明を完成するために、軸41の回りでのハンドル50
の上下旋回運動を限定するために外方に延びている停止
具と当たる突起62がスリーブ53の下端に形成されてい
る。第２図に示すように、突起62は、これがリム31と接
触したときに連結用ロッド40がその長手方向軸線の回り
で回動できるように、リム31の湾曲半径よりも小さいか
又は等しい湾曲半径の曲がった外周面を有することが好
ましい。突起62はリム31と突き合わせになる第１の表面
62a、及び第１の表面62aに接続しそして第１の表面に対
して傾斜した第２の表面62bを有する。

第１図は、蛇口からの水の流れが無く且つハンドル50
が連結用ロッド40に対して軸線方向で上昇した位置にあ
る閉鎖位置における水栓を示す。使用者が水栓を回した
いとき、使用者は、ハンドル50のレバー52により、連結
用ロッド40を軸41の回りで第１図において反時計方向に
回す。連結用ロッド40とレバー52とを閉鎖位置から第４
図に示す中間位置に角度αだけ旋回させると、突起62が
ドーム30のリム31と当たり、ハンドル50のそれ以上の回
動運動を防ぐ。突起62の寸法により決定される角度α
は、この角度における蛇口20からの水の流量が、手洗
い、ひげそり、又はコップへの注水のような小流量しか
要求しない代表的な使用については十分であるように選
定される。角度αの値に制限は無く、任意の値を使用で
きる。例えば、これを流量が水栓の最大流量の約1/2で
あるような角度とすることができる。

連結用ロッド40とハンドル50とが第４図の中間位置に
あるとき、突起62の第１の表面62aの曲線状の形状のた
めに、突起62はドーム30のリム31に対して自由に摺動で
きる。従って、使用者は、レバー52を連結用ロッド40の
長手方向軸線の回りで旋回させることにより、一定流量
を維持しながら湯と水の混合を調整できる。

使用者がハンドル50の中間位置における流量より大流
量を望むときには、使用者は第５図の矢印15の方向にキ
ャップ59を押し下げる。キャップ59を押し下げる力が全
ハンドル50を連結用ロッド40に沿って軸方向下方に滑ら
せる。連結用ロッド40の上端がスリーブ53内の空所55の
端壁60と接触するとき又はその前の或る位置において、
突起62の第１の表面62aはリム31の下端を越える。使用
者がキャップ59を下方に押しながら、ハンドル50を矢印
16で示されるように第５図において反時計方向に少し旋
回させると、突起62の第２の表面62bがリム31の下の縁
と係合し、これによつて使用者がキャップ59を解放した
ときにハンドル50がその上昇位置に戻ることが防止され
る。キャップ59を押しそしてハンドル50を反時計方向に
少し回す操作は片手を使って容易に実行できる。

突起62の第２の表面62bがリム31と係合すると、ハン
ドル50は第４図の中間位置と第６図に示された全開位置
との間の任意の位置に軸41の回りを反時計方向に旋回す
ることができ、従って使用者は任意の希望値に水の流量
を設定できる。突起62の第２の傾斜面62bはドーム30の
リム31に対して自由に摺動でき、従ってハンドル50は軸
41の回りを容易に旋回できる。更に、ハンドル50は、い
つでも湯と水の混合を調整できるように、連結用ロッド
40の長手方向軸線の回りでこれを自由に回転させること
ができる。

水の流量は、ハンドル50を第６図に示す位置から時計
方向に回すことにより減らすことができる。ハンドル50
が第４図の中間位置に達すると、突起62の第１の表面62
aはリム31の下方の縁を越し、ばね43の付勢力がハンド
ル50を連結用ロッド40に沿って上昇位置に上向きに摺動
させる。従って、水栓が閉じられたときはいつでも、突
起62は連結用ロッド40の回転を制限できる位置に自動的
に復帰する。

第２図に示すように、この実施例においては、水栓が
連結された給水源の通常の圧力に応じて、突起62がリム
31に当たる角度値αを使用者が調整できるように、ドー
ム30のリム31は異なった半径を有する２つの異なった部
分64及び66を備えている。ドーム30は、リム31の２つの
部分のどちらかが突起62と向き合うように弁10に取り付
けることができる。

水栓を典型的な水圧を有する建物に設置するときに
は、ドーム30は、第１の部分64がスリーブ53の突起62と
向き合うように取り付けられる。水栓を水圧のより低い
建物に設置するときには、ドーム30は、第２の部分66が
スリーブ53の突起62と向き合うように取り付けられる。
第２の部分66は第１の部分64よりも大きな直径を有する
ので、突起62がリム31の第２の部分66と接触するときの
ハンドル50の角度αは、リム31の第１の部分64と接触す
るときの角度よりも大きく、これにより低い水圧を補償
し適切な水の流量が得られる。第２図のリム31は２つの
部分64及び66にだけに分割されているが、典型的な弁に
おいては、連結用ロッド40のその軸回りの最大回転は一
般に180゜より相当小さく制限され、従ってリム31を異
なった半径の３つ又はそれ以上の部分に分割することが
可能である。

第１図の実施例においては、スリーブ53の突起62は一
定の寸法であるため、突起62がリム31に当たる角度αの
値は与えられたリムに対しては一定である。しかし、突
起62がスリーブ53から突出する量を変えるように、調整
可能な部材を突起62が備えることもできる。かかる調整
可能な部材は、突起62内にねじ込まれそしてハンドル50
が図において反時計方向に回されたときリム31に当たる
頭部を有するねじの形式のものとすることができる。ス
リーブ53の中、又は外にねじを取り付けることにより、
スリーブ53からのねじ頭部の距離は角度αの値を調整す
るために変更できる。

第７図乃至第11図は、本発明の別の実施例の断面図で
ある。第７図は閉鎖位置におけるこの実施例の垂直断面
図である。第１図の実施例と同様に、これは、ドーム30
によつて囲まれ旋回可能な連結用ロッド40の動きによっ
て操作される図示されない弁を備えている。この実施例
は、米国特許第3,422,849号に開示された球形弁の形式
の弁に使用できる。この弁においては、球形の弁部材が
球形のソケット内に受け入れられ、そして連結用ロッド
40は、ハンドル160を上下させることにより水の流量を
変え、ハンドル160を側方から側方に動かすことによつ
て湯と水との混合を変えるように旋回可能である。ハン
ドル160はノブ161を備え、更にノブ161の外周に固定さ
れたレバー162を有し、ハンドル160を第７図の閉鎖位置
と第11図の開口位置との間を昇降させることにより水の
流量を制御する。

本発明により、ハンドルがその全開位置に動くことを
防止し、且つ希望するならば全流量を得ることができる
ように、動き制限手段の組み合わせを外せるような動き
制限手段が提供される。この目的のために、ノブ161
は、第７図及び第９図に示すような左側位置又は後方位
置から第10図に示されたような右側位置又は前方位置と
の間をロッド40上で相対的な動きができるように取り付
けられている。更に、ノブ161には空所163が形成され、
ここに連結用ロッド40の上端に嵌合するカラー170が受
け入れられる。カラー170は、取り付け用ねじ174のよう
な適宜の手段により、連結用ロッド40に固定される。カ
ラー170はノブ161内に形成された空所163内に摺動可能
に受け入れられ、従ってハンドル160のノブ161は、前方
位置（第７図、第９図）と後方位置（第10図）との間を
連結用ロッド40を横切る方向に動くことができる。カラ
ー170が取り付け用ねじ174によつて連結用ロッド40に固
定されている場合には、取り付け用ねじ174のための接
近用の穴164をノブ用の空所163とノブ161の外周との間
でノブ161に形成することができる。付勢用つる巻きば
ね175がカラー170と空所163の内面との間に配置されて
いる。ばね175は第７図において空所163の左端をカラー
170の左端から遠ざかる方向に押し、その結果、空所163
の右端はカラー170の右端に押し付けられ、ノブ161は後
方位置に弾性的に押される。ばね座173がカラー170の端
部に形成され、ばね175の一方の端部を受け入れる。ノ
ブの空所163の下方部分はノブ161の下面で開口し、連結
用ロッド40と向かい合う傾斜カム面166を有する。カラ
ー170に加えて、ノブ161内に形成された凹所163内には
動き制限部材180が、垂直方向に動くことができるよう
に摺動可能に取り付けられ、これはノブ61の前方位置に
おいては第７図及び第９図に示すような下降位置に滑
り、この位置において水栓のドーム30又はハウジング31
のリム31の内周の縁に設けられた停止部と係合する。動
き制限部材180はリング181を備え、これは連結用ロッド
40の回りに緩く適合し、部材180を連結用ロッド40の軸
線方向に滑り得るようにする。

更に本発明に従って、ハンドル160の後方位置から前
方位置への横方向の動きによりなされるカム運動によっ
て、リム31を通り過ぎそしてハンドル160を全開位置に
旋回できるように、部材180を第10図に示す位置に全体
的に持ち上げることができる。この目的のために、部材
180は、連結用ロッド40から離れるように延びそしてノ
ブの空所163のカム面166の傾斜面と適合する傾斜面のあ
る第１のカム面182を有する。部材180は、部材180の第
１のカム面182とノブ161のカム面166とにより、ノブ161
によって持ち上げられ、その結果、ノブ161が連結用ロ
ッド40を横切る方向に動かされると、部材180は連結用
ロッド40に沿って軸方向に動かされ、これによりリム31
に対して持ち上げられる。第１の平坦部分183が第１の
カム面182の基面に隣接し、連結用ロッド40から離れる
ように延びている突起184が第１の平坦部分183の下端に
隣接する。突起184の外周は立面図に見られるように垂
直である。しかし、第７図の線VIII−VIIIに沿って得ら
れた断面図である第８図に示されるように、突起184の
周囲は平面図で見たとき曲線であることが好ましい。突
起184の湾曲した平面形状のため、突起184はリム31に対
して横方向に動くことができ、従って連結用ロッド40
は、突起184がドーム30のリム31と接触したとき、制御
弁の構成に応じて側方から側方へ移動でき又はその長手
方向軸線の回りで回転できる。傾斜した第２のカム面18
5が突起184の下端に続き、第２の平坦面186が第２のカ
ム面185と隣接する。部材180は、例えば金型によって一
体部材として形成されるのが好都合である。

第７図の実施例は、まずカラー170のばね座173につる
巻きばね175を取り付け、次いでカラー170とばね175と
をノブの空所163の上方部分内に挿入して組み立てるこ
とができる。次に、部材180の第１のカム面182をノブの
空所163の下方部分内に差し込み、次いで連結用ロッド4
0を部材180のリング181を通してカラー170の穴171内に
滑らせるように、部材180とノブ161とを連結用ロッド40
の上端に下降させる。次に接近用の穴164を通して挿入
した取り付け用ねじ174によつて連結用ロッド40にカラ
ー170を固定する。

使用者が水栓を回したいときは、第７図の閉鎖位置か
らハンドル160を持ち上げると、水は水栓から流れ始め
る。ハンドル160が第９図に示す中間位置の方に閉鎖位
置に対して角度αだけ回されると、部材180の突起184が
ドーム30のリム31によつて形成された停止部に当たり、
連結用ロッド40の水の流量を増加させる方向へのそれ以
上の動きを防止する。先の実施例におけるように、突起
184の寸法は、角度αにおいて正常な状態下での蛇口20
からの水の流量が小流量だけを必要とする典型的な使用
に対して充分であるように選定される。

使用者がハンドル160の中間位置において可能である
よりも大きな流量を望む場合には、使用者はハンドル16
0を手前に、即ち矢印17で示されたように第９図で右に
引く。引っ張る力により、ハンドル160のノブ161は連結
用ロッド40の上端に対して横方向に摺動する。ノブ161
が右に動くと、ノブの空所163のカム面166は部材180の
第１のカム面182に力を加え、この力は部材180を連結用
ロッド40に沿って上方に滑らせる。ノブの空所163の左
端がカラー170の左端に接触するとき又はそれ以前の或
る点において、部材180の突起184は第10図に示すように
ドーム30のリム31を通過する。このとき、もはや突起18
4はリム31に当たらないので、使用者はハンドル160を第
９図の中間位置を越えて反時計方向に回して、蛇口20か
らの水の流量を増加させることができる。部材180の突
起184がリム31を通過すると、ハンドル160を第９図に示
す中間位置と第11図に示す全開位置との間の任意の位置
に調整できる。更に、連結用ロッド40が中間位置を少し
でも通り過ぎて時計方向に回されると直ぐに、使用者は
もはやハンドル160を引っ張る必要がなくなる。使用者
がハンドル160を手前に引きことを止めると、ばね175が
ハンドル160のノブ161を図において左方に押し、ノブ16
0のカム面166と部材180の第１のカム面182との間に隙間
が形成される。従って、部材180は、部材180の第２のカ
ム面185がドーム30のリム31と接触するまで、重力で連
結用ロッド40を滑り落ちる。ハンドル160が第10図に示
す位置から時計方向に回されると、リム31が部材180の
第２のカム面185にカム作用力を加え、部材180を連結用
ロッド40に沿って円滑に上方に滑らせる。

第９図の中間位置と第11図の全開位置との間の任意の
ハンドル位置において、使用者は水と湯との混合を調整
するために連結用ロッド40を回すことができる。

使用者がハンドル160を第９図の中間位置を通り越し
て戻るように時計方向に回すと、部材180は、部材180の
第１のカム面182がノブ161のカム面166と接触するま
で、連結用ロッド40に沿って滑り落ちるであろう。この
位置において、連結用ロッド40が水栓からの水の流量を
制限するように反時計方向に再び回されると、部材180
の突起184はリム31に当たるであろう。

本発明による１本ハンドル水栓は、弁の連結用ロッド
の動きを閉鎖位置と全開位置との間の中間位置に自動的
に限定する。連結用ロッドの中間位置は弁からの経済的
な流量に対応するように設定でき、従って水栓使用者が
不注意で水栓のハンドルに大きな力を加えた場合でも、
水栓からの流量は低いレベルに限定される。使用者が水
量をより高いレベルに増加させたいならば、大きな力又
は連続的な力を加える必要なしに、簡単なハンドル操作
によりこれを行うことができる。更に、使用者は、水栓
からの流量とは関係なしに、湯と冷水との混合のような
水栓から流れる複数の流体の混合を調整できる。本発明
による水栓は、１本ハンドル水栓の適切な経済的な設定
ができない小児による使用に特に適している。

普通の１本ハンドル水栓は、普通の水栓のハンドルと
ドームとを、本発明のようなハンドルとドームとで単純
に置換することにより、本発明による１本ハンドル水栓
に容易に転換できる。

以上の実施例においては、本発明による１本ハンドル
水栓は湯と水とを混合する水栓のような複数流体用の形
式の水栓である。しかし、本発明は単一流体用の１本ハ
ンドル水栓とすることもできる。

本発明の主な特徴及び実施態様は以下のとおりであ
る。

1.制御弁（10）と、 該制御弁（10）を操作する可動の連結用ロッド（40）
と、 レバー（52,162）を備え、制御弁を通る流体の流量を
制御するために閉鎖位置と全開位置との間を動き得る前
記連結用ロッドから延びているハンドル（50,160）、 とを備えた水栓であって、 係合したときに、前記レバー（52,162）が閉鎖位置と
全開位置との間の中間位置を越えて動かされることを防
ぐ動き制限手段（31;62,180）と、 該動き制限手段（31;62,180）の係合を外しそして前
記レバー（52,162）を全開位置に動かし得るようにする
ための使用者操作手段（50,55,160,163）、 とを備えていることを特徴とする水栓。

2.前記使用者操作手段は、前記動き制限手段（31,62）
の係合を外すために、前記連結用ロッド（40）に対する
ハンドル（50）の軸線方向の動き（15）を与えることを
特徴とする上記第１項に記載の水栓。

3.前記使用者操作手段は、前記動き制限手段（31,180）
の係合を外すために、前記連結用ロッド（40）に対する
ハンドル（160）の横方向の動き（17）を与えることを
特徴とする上記第１項に記載の水栓。

4.ハウジング（30）を有し、 前記動き制限手段（31;62,180）は、一方では連結用
ロッドに隣接してハウジング（30）に設けられた停止部
（31）と、他方では連結用ロッド（40）に沿って配置さ
れた突起（62,184）とを備え、 前記レバー（52,162）の動きの際、停止部（31）の突
起（62,184）との係合が、レバー（52,162）の位置をそ
の閉鎖位置と全開位置との中間に規定することを特徴と
する上記第１項に記載の水栓。

5.突起（62,184）を停止部（31）との係合から外しそし
てレバー（52,162）が前記中間位置を通過してその全開
位置に動けるように、前記使用者操作手段（50,55,160,
163）は動き制限手段（31;62,180）の要素を作動させる
ことを特徴とする上記第４項に記載の水栓。

6.前記突起（62,184）は、ハンドル（50）及び／又はレ
バー（52,162）によって制御されることを特徴とする上
記第４項は第５項に記載の水栓。

7.ハンドルを閉鎖に相当した第１の位置又は中間位置に
付勢するために、弾性的付勢手段（43,175）がハンドル
（50,160）と連結用ロッド（40）との間に配置されてい
ることを特徴とする上記第１項乃至第６項のいずれか１
項に記載の水栓。

8.ハウジング（30）における停止部（31）はリム面を有
し、突起（62）の係合部分はカム面（62a,62b）を有
し、更に両方の面は互いに接触したとき互いに対して滑
り得ることを特徴とする上記第１項乃至第７項のいずれ
か１項に記載の水栓。

9.停止部のリム面は異なった半径を有する複数の部分
（64、66）を有し、ハンドル（50）の回動運動の際、前
記リムの部分のいずれかが突起（62）と係合し得ること
を特徴とする上記第１項乃至第８項のいずれか１項に記
載の水栓。

10.ハンドル（160）はカム面（166）を有し、 動き制限手段は、第１の（係合した）位置と第２の
（係合を外された）位置との間を動くように連結用ロッ
ド（40）に取り付けられたスリーブ（180）を備え、 該スリーブは、ハンドル（160）を横方向に動かしたと
き、カム面（166）と係合する突起部分（182）を有する
ことを特徴とする上記第３項に記載の水栓。

11.ハンドル（50、160）がその閉鎖位置に向かう動きの
際に中間位置を通り越したとき、動き制限手段（31;62,
180）は再び自動的に係合することを特徴とする上記第
１項乃至第10項のいずれか１項に記載の水栓。

12.ハンドル（50）がその中間位置と全開位置との間で
動かされる限り、動き制限手段（31;62,180）は係合を
外された状態に保たれることを特徴とする上記第１項に
記載の水栓。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による水栓の第１の実施例の閉鎖位置
における縦方向断面図。 第２図は、第１図の線II−IIに沿って得られた断面図。 第３図は、第１図の実施例のハンドルと連結用ロッド上
端との間の連結部の縦方向拡大断面図。 第４図は、第１図の実施例の部分的開口位置にある縦方
向断面図。 第５図は、第１図の実施例のハンドルが押し下げられた
ときの縦方向断面図。 第６図は、第１図の実施例の全開位置における縦方向断
面図。 第７図は、本発明の別の実施例の閉鎖位置における縦方
向断面図。 第８図は、第７図の線VIII−VIIIに沿って得られた横方
向断面図。 第９図は、第７図の実施例の部分的開口位置における縦
方向断面図。 第10図は、ハンドルが第９図に示された位置から使用者
によって手前に引っ張られたときの第７図の実施例の縦
方向断面図。 第11図は、第７図の実施例の全開位置における縦方向断
面図。 図中、10……弁、20……蛇口、30……ドーム、31……リ
ム、40……連結用ロッド、43,175……ばね、50,160……
ハンドル、51,161……ノブ、52,162……レバー、53……
スリーブ、55,163……空所、59……保護キャップ、62,1
84……突起、62a……第１の表面、62b……第２の表面、
64……第１の部分、66……第２の部分、166……傾斜カ
ム面、170……カラー、180……動き制限部材、181……
リング、182……第１のカム面、183……第１の平坦部
分、185……第２のカム面、である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】制御弁（10）と、 該制御弁（10）を操作する可動の連結用ロッド（40）
   と、 レバー（52,162）を備え、制御弁を通る流体の流量を制
   御するために閉鎖位置と全開位置との間を動き得る前記
   連結用ロッドから延びているハンドル（50,160）、 とを備えた水栓であって、 係合したときに、前記レバー（52,162）が閉鎖位置と全
   開位置との間の中間位置を越えて動かされることを防ぐ
   動き制限手段（31;62,180）と、 該動き制限手段（31;62,180）の係合を外しそして前記
   レバー（52,162）を全開位置に動かし得るようにするた
   めの使用者操作手段（50,55,160,163）、 とを備えていることを特徴とする水栓。