JP2776174B2 - 高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法 - Google Patents
高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法Info
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Description
どの鋼構造物に利用される溶接性と低温靱性に優れた微
細ベイナイト組織を有する60〜100kgf/mm2 級の厚
鋼板の製造法に関するものである。
型化に伴い使用される鋼材には高強度化、厚肉化が求め
られている。一方構造物の安全性、即ち脆性破壊防止の
観点から溶接性と低温靱性の優れた高強度厚鋼板が求め
られている。しかしながら、一般に高強度化にともない
溶接性および低温靱性は低下する傾向にあり、引張り強
さが60kgf/mm2 以上の高張力鋼で、良好な溶接性と低
温靱性を兼備することは容易ではない。
特開平2−27407号公報にあるように、オーステイ
ナイト温度域からの焼入れ、および焼き戻しによる熱処
理法を適用することによって高強度と高靱性を具備させ
ることが公知である。一方、従来からのもう一つの高強
度厚鋼板の製造方法として、特開平2−48606号公
報にあるように、非調質の制御圧延・加速冷却法が公知
である。
前者の方法では、オフライン処理である再加熱処理によ
る製造効率の低下とコスト高が問題とされてきた。一
方、後者の方法では、粗いベイニティックフェライトが
比較的高温で生成するとともに、微細な炭化物をベイニ
ティックフェライト内部に析出させることができず、十
分な靱性が得られないことが問題であった。
度化する方法が必要であり、低温で微細なベイナイト組
織を生成させることによって、その高い強度を活かしつ
つ、高靱化することが必要である。本発明は,ベイナイ
ト組織を微細化することによって、非調質で溶接性と低
温靱性に優れた60〜100kgf/mm2 級高張力鋼を製造
する方法を提供することを目的とするものである。
た高強度・高靱性厚鋼板の製造方法の問題点に鑑み、本
発明者等が、化学成分を適切に調整し、さらに未再結晶
オーステナイト域で、50%以上の累積圧下を加えた
後、冷却中にベイナイト変態させ、その後等温保持又は
冷却速度を変化させることによってベイナイト組織中に
炭化物を微細に分散させたベイナイト変態を行わせ、靭
性を阻害する島状マルテンサイトの生成を避けることに
よって、高強度・高靱性厚鋼板の製造が可能であるとい
う知見を得て完成されたもので、その要旨は、以下のと
おりである。
%、Si :0.05〜0.6%、Mn :0.6〜2.0%、
Nb :0.005〜0.08%、Ti :0.005〜0.0
3%、B:0.0005〜0.0020%、sol Al:
0.05%以下、およびN:0.008%以下を含み、残
部がFe および不可避不純物からなる素材鋼を、100
0〜1250℃の温度に加熱したのち、900℃以下の
温度で累積圧下率50%以上の圧下を加え、Ar3点以上
800℃以下の温度で圧延を完了し、その後、直ちに5
80℃以下450℃以上の温度まで10℃/s以上の冷
却速度で冷却し、冷却後、580℃以下450℃以上の
温度において、10s以上100s以下の時間を等温保
持するか、または、580℃以下450℃以上の温度に
おいて、10s以上100s以下の時間を0.5℃/s
以下の冷却速度で冷却することを特徴とする高張力・高
靱性微細ベイナイト鋼の製造法。
下、Cr :0.5%以下、および、Mo :0.5%以下、
V:0.1%以下のいずれか1種以上を含むことを特徴
とする(1)記載の高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の
製造法。
むことを特徴とする(1)または(2)記載の高張力・
高靱性微細ベイナイト鋼の製造法。
結果等に基づいて詳述する。まず、鋼の組成の限定理由
について説明する。 C:0.01〜0.20% Cは強度上昇に有効な元素であり、そのためには0.0
1%以上が必要である。しかし、靱性の確保および耐溶
接割れ性の低下防止の観点から上限を0.20%とする
必要がある。
上の添加が必要である。しかし、0.6%を越えると溶
接熱影響部の低温靱性を低下させるため上限を0.6%
とする必要がある。
0.6%以上の添加が必要である。しかし、2.0%を越
えて添加すると靱性が劣化するため、上限を2.0%と
する必要がある。
005〜0.03% Nb およびTiは結晶粒の微細化に有効な元素であり、
そのためには、それぞれ0.005%以上の添加が必要
である。しかし、Nbについては0.08%、Tiにつ
いては0.03%を越えて添加すると靱性が劣化するた
め、上限をそれぞれ、Nbについては0.08%、Ti
については0.03%とする必要がある。
でありそのためには、0.0005%以上の添加が必要
である。しかし0.0020%を越えて添加すると靱性
が劣化するため、上限を0.0020%とする必要があ
る。
化にも有効であるが、過量のAl は、材質に有害な介在
物を生成するので、上限を0.05%とする必要があ
る。
有効であるが、過量のNは、溶接部の靱性を損なうの
で、上限を0.008%とする必要がある。
添加は、靱性を低下させるため、上限を1.5%とする
必要がある。
経済性の観点から上限を1%とする。
V:0.1%以下 Cr ,Mo,Vは強度上昇に有効な元素であるが、過量
の添加は靱性を低下させるため、それぞれ、添加量の上
限をCr,Moについては0.5%とし、Vについては
0.1%とする必要がある。
る。鋼片加熱温度については、加熱時のオーステナイト
結晶粒の粗大化を防止するため、上限温度を1250℃
とし、圧延中の結晶粒の微細化および圧延後の析出強化
に有効なNb を固溶させるため、下限温度1000℃と
する。圧延により金属組織の微細化を図るためには、9
00℃以下の温度で累積圧下率50%以上で圧延する必
要がある。
温度での圧延完了では、細粒組織を得ることができず、
また圧延完了温度Ar3点未満では、靱性が劣化する。こ
のため、圧延完了温度は800℃〜Ar3点の温度範囲に
限定する。圧延後の冷却速度については、組織の細粒化
およびこの冷却中でのベイナイト組織生成による強度の
上昇が十分得られる条件として、10℃/s以上の冷却
速度で580〜450℃の温度まで加速冷却する必要が
ある。
るために、580〜450℃の温度範囲において10s
以上100s以下の時間を等温保持するか、または58
0〜450℃の温度範囲において10s以上100s以
下の時間を0.5℃/s以下の冷却速度で徐冷する必要
がある。100sを越える保持によって、ベイニティッ
クフェライト内部に析出している炭化物が粗大化し、靱
性を劣化させるため、保持時間は100s以下と限定す
る必要がある。
に実施例について説明する。供試鋼板は、表1に示す化
学成分を有する鋼を常法により溶製、鋳造し得られた素
材鋼片を表2に示す製造条件に従い、加工熱処理を行っ
たものである。なお、板厚は20mm〜50mmである。こ
れらの鋼片から試験片を採取し、引張り試験および2mm
Vノッチシャルピー衝撃試験を行った。
本発明例では、引張り強さ60kgf/mm2 以上で、−80
℃におけるシャルピー吸収エネルギー13kgf ・m 以上
の高靱性が得られている。これに対し、比較例では、引
張り強さかシャルピー吸収エネルギーのいずれかが満足
できる水準まで達していない。
造方法は、その構成によって、引張り強さ60〜100
kgf/mm2 を具備し、かつ低温靱性の優れた微細ベイナイ
ト組織をもつ鋼を製造することができるという優れた効
果を奏するものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量比にて、C:0.01〜0.20%、
Si :0.05〜0.6%、Mn :0.6〜2.0%、 Nb
:0.005〜0.08%、Ti :0.005〜0.03
%、B:0.0005〜0.0020%、 sol Al:0.
05%以下、およびN:0.008%以下 を含み、残部
がFe および不可避不純物からなる素材鋼を、1000
〜1250℃の温度に加熱したのち、900℃以下の温
度で累積圧下率50%以上の圧下を加え、Ar3点以上8
00℃以下の温度で圧延を完了し、その後、直ちに58
0℃以下450℃以上の温度まで10℃/s以上の冷却
速度で冷却しベイナイト変態させた後、冷却後、580
℃以下450℃以上の温度において、10s以上100
s以下の時間を等温保持するか、または、580℃以下
450℃以上の温度において10s以上100s以下の
時間を0.5℃/s以下の冷却速度で冷却することによ
り微細なベイナイトを生成させることを特徴とする高張
力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法。 - 【請求項2】 素材鋼がさらにCu :1.5%以下、Cr
:0.5%以下、Mo :0.5%以下およびV:0.1%
以下のいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項
1記載の高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法。 - 【請求項3】 素材鋼がさらにNi:1%以下を含むこ
とを特徴とする請求項1または2記載の高張力・高靱性
微細ベイナイト鋼の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4269688A JP2776174B2 (ja) | 1992-09-11 | 1992-09-11 | 高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4269688A JP2776174B2 (ja) | 1992-09-11 | 1992-09-11 | 高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0693332A JPH0693332A (ja) | 1994-04-05 |
JP2776174B2 true JP2776174B2 (ja) | 1998-07-16 |
Family
ID=17475808
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4269688A Expired - Lifetime JP2776174B2 (ja) | 1992-09-11 | 1992-09-11 | 高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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JP4787141B2 (ja) * | 2005-11-30 | 2011-10-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 溶接熱影響部の靭性に優れ、軟化が小さい厚鋼板 |
KR102090224B1 (ko) * | 2018-08-31 | 2020-03-17 | 주식회사 포스코 | 강도 및 수소지연파괴 저항성이 우수한 비조질 선재, 이를 이용한 가공품 및 그 제조방법 |
KR102386308B1 (ko) * | 2020-06-18 | 2022-04-15 | 한국재료연구원 | 고강도-고인성 비조질강 및 그의 제조방법 |
CN112981215B (zh) * | 2021-02-02 | 2022-04-12 | 北京科技大学 | 一种热稳定性良好含铌纳米贝氏体钢的制备方法 |
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-
1992
- 1992-09-11 JP JP4269688A patent/JP2776174B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH0693332A (ja) | 1994-04-05 |
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