JP4044470B2 - 低温母材靭性および低温haz靭性に優れた高靭性鋼板、並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温での母材靭性に優れ、且つ溶接性(大入熱HAZ靭性、耐溶接割れ性)に優れた490MPa以上の引張強度を有する鋼板(以下、490MPa級以上の鋼板」という)に関するものである。本発明の鋼板は、主として船舶、海洋構造物などの溶接構造物に適用される。
【0002】
【従来の技術】
船舶や海洋構造物などに適用される鋼板(厚鋼板)では、高い母材強度と共に、その適用環境から、低温での母材靭性に優れていることが求められる。また、このような分野に適用される鋼板では、溶接性(大入熱HAZ靭性や耐溶接割れ性)も重要な特性として要求されている。
【0003】
こうした鋼板において、母材靭性の確保を考慮しつつHAZ(溶接熱影響部)靭性(特に大入熱HAZ靭性)を高める技術は種々提案されているが、例えば、特許文献1には、HAZにおける酸化物系介在物のピンニングを利用してオーステナイト粒の微細化を図り、HAZ靭性を確保する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、固溶Bによって粒界フェライトの生成を抑制し、鋼組織をアシキュラーフェライト主体として母材靭性を確保すると共に、CaSやMnSのフェライト核生成能を利用して、HAZ靭性向上を図る技術が開示されている。
【0005】
これらの技術は、−20℃レベルや−40℃レベルでの母材靭性およびHAZ靭性を確保しているが、最近では、上記分野に適用される鋼板の母材靭性やHAZ靭性では、例えば、−60℃レベルでの要求も出てきており、特許文献1や特許文献2に開示の鋼板では、こうした要求に十分応え得るものではない。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−89825号公報
【特許文献2】
特開2002−235114号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温(例えば−60℃)での靭性(母材靭性および大入熱HAZ靭性)に優れた490MPa以上の強度を有する鋼板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の高靭性鋼板は、C:0.010〜0.070%(質量%の意味、以下同じ),Si:0.8%以下,Mn:1.0〜1.9%,Nb:0.032%以下(0%を含む),Ti:0.005〜0.10%,B:0.0006〜0.0050%,N:0.0020〜0.010%,を満たす鋼からなり、KP<2.4を満足すると共に、鋼組織の50体積%以上がベイナイトであり、且つ平均結晶粒径が8μm以下であるところに要旨を有するものであり、低温での靭性(母材靭性および大入熱HAZ靭性)に優れている。
【0009】
ここで、上記KPは、下式(1)で表される。
KP=[Mn]+1.5×[Cr]+2×[Mo] (1)
《式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を意味する。》。
【0010】
本発明の高靭性鋼板では、さらに、Ni:2.0%以下、またはCu:2.0%以下;さらに、Cr:1.0%以下、またはMo:0.30%以下、またはV:0.10%以下;さらに、Al:0.20%以下;P:0.020%以下、S:0.010%以下;さらに、Ca:0.0050%以下;さらに、Mg:0.005%以下、またはREM(希土類元素):0.02%以下、またはZr:0.050%以下を含有したり、P:0.020%以下、S:0.010%以下に抑えられている場合も有効であり、これらの成分の種類に応じて高靭性鋼板の特性が更に改善される。このような本発明の高靭性鋼板は、肉厚が50mm以上のものでも良好な特性を有するものである。
【0011】
なお、本発明に係る上記高靭性鋼板の化学組成は、典型的には上記元素の他は残部Feおよび不可避不純物からなるが、その他の化学成分についても、本発明の効果を阻害しない範囲内で含有されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、特に低温(例えば−60℃)の母材靭性および大入熱HAZ靭性に優れる490MPa級以上の鋼板(厚鋼板)を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の如く本発明を完成するに至った。
【0013】
大入熱HAZ靭性の確保に当たっては、Cを低Cに制限した上で、HAZの組織の微細化に寄与し得るTiや、フェライトの核生成サイトを形成し得るBを適量添加することとし、さらに、HAZ靭性を比較的劣化させない炭化物非生成元素(Mnや、好ましくはCu,Ni,Crなど)の添加、あるいは微量のNbの添加によって母材強度を490MPa以上とした。ところが、上記(1)式で表されるKPが特定値を超えると、低温HAZ靭性が劣化することが判明した。そこで、さらにこのKPを制御することで低温HAZ靭性の確保も達成した。また、低温での母材靭性については、固溶B量の制御および圧延条件の最適化によって結晶粒の微細化を達成し、これにより、優れた低温母材靭性を確保できた。
【0014】
固溶Bは焼入れ性を高ることから、強度確保には有効であるが、同時に、低Cでは結晶粒を粗大化させる作用を有することが判明した。他方、上記の通り、BはHAZの高靭化に大きく寄与する元素でもあるため、Bの添加量を制限することは好ましくない。そこで、圧延条件を最適化することで、固溶B量の制御と共に、加工オーステナイトの制御を行い、焼入れ性(すなわち母材強度)、結晶粒の微細化(すなわち母材靭性、特に低温での母材靭性)、および低温HAZ靭性の全てを高いレベルで確保することに成功した。以下、本発明の鋼板の基本成分および組織について説明する。
【0015】
C:0.010〜0.070%
Cは、溶接時におけるHAZ部の耐溶接割れ性と母材強度を両立させ、且つ大入熱HAZ靭性を改善するために重要な元素である。Cが0.070%を超えると高冷却速度側で低温変態ベイナイトでなくマルテンサイトが生成するようになり、耐溶接割れ性が改善されない。また、低冷却速度側(大入熱HAZ)ではマルテンサイトとオーステナイトの複合組織(以下、「MA」という)が多量に生成するようになり、大入熱HAZ靭性が改善されない。好ましくは0.060%以下、さらに好ましくは0.055%以下である。なお、0.010%未満では必要最小限の母材強度が得られない。好ましくは0.020%以上、さらに好ましくは0.030%以上である。
【0016】
Si:0.8%以下
Siは脱酸剤として有用な元素であるが、0.8%を超えて添加すると溶接性および母材靭性が低下するので、上限を0.8%と規定した。好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
【0017】
Mn:1.0〜1.9%
Mnは焼入れ改善作用を有すると共に、結晶粒を微細化して母材靭性を改善する効果を有する。ただし、1.9%を超えるとHAZ部の耐溶接割れ性が低下する。好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.60%以下である。他方、Mnが1.0%未満では十分な母材強度が得られない。好ましくは1.20%以上、さらに好ましくは1.3%以上である。
【0018】
Nb:0.032%以下(0%を含む)
NbはBとの複合効果により焼入れ性を大幅に改善する作用を有するが、0.032%を超えると、結晶粒が粗大化し、母材靭性およびHAZ靭性が低下する。好ましくは0.025%以下、さらに好ましくは0.018%以下である。他方、Nbの添加効果を有効に発揮させるためには、0.005%以上とすることが好ましく、0.008%以上とすることがより好ましい。
【0019】
Ti:0.005〜0.10%
TiはNと窒化物を形成してHAZ部のγ粒を微細化すると共に、BNの生成サイトとなり、粒内フェライトの生成を促進し、HAZ靭性を大幅に改善する効果を有するが、0.005%未満では、こうした効果が十分に確保できない。好ましくは0.007%以上、より好ましくは0.009%以上である。他方、Tiが0.10%を超えると、HAZ靭性、母材靭性共に劣化する。好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.020%以下である。
【0020】
B:0.0006〜0.0050%
Bは固溶することにより焼入れ性を改善する作用を有するが、固溶量が多過ぎる場合には却って靭性を損なう。また、HAZにおいては、BNとなりフェライトの核生成サイトとして働き、HAZ靭性を向上させる効果を有する。B量が0.0006%未満では、Bの添加効果が十分に確保できない。好ましくは0.0010%以上、さらに好ましくは0.0012%以上である。他方、B量が0.0050%を超えると、却って焼入れ性が低下すると共に、母材靭性、HAZ靭性が劣化する。好ましくは0.0030%以下、さらに好ましくは0.0025%以下である。
【0021】
N:0.0020〜0.010%
Nは、Tiと窒化物を形成してHAZ部のγ粒径を微細化すると共に、Bと窒化物を形成してHAZ部のフェライトの生成を促進し、HAZ靭性を改善する効果を有するが、N量が0.010%を超えると、母材靭性、HAZ靭性共に劣化する。好ましくは0.0060%以下である。他方、N量が0.0020%未満では、Tiとの窒化物形成によるHAZ靭性改善効果が不十分となる。好ましくは0.0030%以上である。
【0022】
KP<2.4
KPは、低炭素ベイナイトでのMAのでき易さを示す指標であり、KPが2.4以上になると、MAの生成量が多くなり過ぎてHAZ靭性(特に低温HAZ靭性)が劣化する。KPは、HAZ靭性改善の観点からは、その値が小さいほど望ましく、例えば2.0以下、より好ましくは1.7以下であることが推奨される。
【0023】
ベイナイト分率:50体積%以上
ベイナイトは母材強度を高める上で有効な組織であり、鋼組織のベイナイト分率が高いほど、母材強度は向上する。すなわち、ベイナイト分率が50体積%未満では、十分な母材強度が確保できない。好ましくは75体積%以上、より好ましくは90体積%以上である。なお、本発明でいうベイナイトには、焼戻しされたベイナイト組織も含まれる。
【0024】
平均結晶粒径:8μm以下
上述した通り、鋼板中の平均結晶粒径が小さいほど、母材靭性が良好なものとなる。すなわち、平均結晶粒径が8μmを超えると、母材靭性が不十分となる。好ましくは6.5μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0025】
なお、本発明でいう「平均結晶粒径」は、鋼板の圧延方向に平行な断面において、FE−SEM−EBSP(電解放出型走査電子顕微鏡を用いた電子後方散乱回折像法)によって測定される値である。具体的には、EBSP解析装置(TexSEM Laboratries社製のEBSP解析装置など)をFE−SEMと組み合わせて用い、傾角(結晶方位差)が10度以上の境界を結晶粒界として、結晶粒径を決定する。測定条件としては、測定領域は100μm、測定ステップは0.4μm間隔とし、測定方位の信頼性を示すコンフィテンス・インデックス(Confidence Index)が0.1以下の測定点は解析対象から削除する。このようにして求められる結晶粒径の平均値を算出、本発明の平均結晶粒径とする。なお、結晶粒径が1.2μm以下のものについては、測定ノイズと判断し、結晶粒径の平均値計算の対象から除外することとする。
【0026】
さらに本発明では、種々の特性の向上を目指して、下記の元素を積極的に添加すること、あるいはその含有量を抑制することが推奨される。
【0027】
Ni:2.0%以下
Niは母材靭性向上に有用な元素であるが、2.0%を超えて含有させるとHAZ靭性が却って劣化する傾向にあるため、その上限を2.0%とすることが好ましい。より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは0.9%以下である。
【0028】
Cu:2.0%以下
Cuは固溶強化および析出強化により母材強度を向上させると共に、焼入れ性向上作用を有する。ただし、2.0%を超えると大入熱HAZ靭性が低下する傾向にあるため、上限を2.0%とすることが好ましい。より好ましくは1.2%以下、さらに好ましくは0.9%以下である。
【0029】
Cr:1.0%以下
Crは焼入れ性改善により母材強度を向上させる作用を有するが、1.0%を超えるとMAの生成量が増えてHAZ靭性が劣化する傾向にあるため、その上限を1.0%とすることが好ましい。より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
【0030】
Mo:0.30%以下
Moは焼入れ性を改善して母材強度を向上させる作用を有するが、他方、HAZ靭性を大幅に劣化させる作用も有するため、その上限を0.30%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.15%以下、さらに好ましくは0.10%以下である。
【0031】
V:0.10%以下
Vは少量の添加により、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める作用を有するが、0.10%を超えると母材靭性やHAZ靭性が低下する傾向にあるため、その上限を0.10%とすることが好ましい。より好ましくは0.06%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。
【0032】
Al:0.20%以下
Alは有効な脱酸元素であるが、0.2%を超えて含有させると母材靭性やHAZ靭性が低下する傾向にあるため、その上限を0.20%とすることが好ましい。より好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.05%以下である。
【0033】
P:0.020%以下、S:0.010%以下
PおよびSは不純物であり、夫々0.020%以下、0.010%以下に抑えることが好ましい。より好ましくはP:0.010%以下、S:0.005%以下である。
【0034】
Ca:0.0050%以下
CaはMnSを球状化し、介在物の異方性を低減する効果を有する。この効果を十分に発揮させるためには、Caを0.0005%以上添加することが好ましい。より好ましくは0.001%以上である。他方、Ca量が0.0050%を超えると母材靭性が低下する傾向にあるため、その上限を0.0050%とすることが好ましい。より好ましくは0.003%以下である。
【0035】
Mg:0.005%以下、REM:0.02%以下、Zr:0.05%以下
これらの元素はHAZ靭性を向上させる作用を有するが、過剰に含有させると却ってHAZ靭性が劣化する傾向にあるため、Mg:0.005%以下、REM:0.02%以下、Zr:0.05%以下とすることが好ましい。より好ましくは、Mg:0.003%以下、REM:0.01%以下、Zr:0.03%以下である。なお、本発明の鋼板で含有されることのあるREMは、周期律表3属に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)およびランタノイド系列希土類元素(原子番号57〜71)の元素のいずれをも用いることができる。
【0036】
上記の化学組成および組織を有する本発明の鋼板は、上記の通り、所謂490MPa級以上の鋼板であり、具体的な母材強度は、後述の実施例で測定される引張強さで490MPa以上であることが好ましい。また、引張強さがあまり大き過ぎると、伸びが低下傾向にあるため、引張強さの上限は690MPaであることが推奨される。
【0037】
本発明の鋼板を製造するに当たっては、上記の化学組成を有する鋼を用い、上述の組織(ベイナイト分率および平均結晶粒径)を満足するさせるための製造条件を考慮する他は、通常用いられる鋼板(厚鋼板)の製造工程および条件(温度、時間など)を適宜採用すればよい。以下に、上述のベイナイト分率および平均結晶粒径を確保するために好適な製造方法を説明する。
【0038】
まず、熱間圧延工程(本圧延工程)前に均質化圧延工程を設ける。この均質化圧延工程は、熱間圧延工程において固溶B量を制御するための前処理工程として設けるものである。この工程では、TiあるいはNbに固定されているNを、できるだけ分解させて、熱間圧延工程においてBNを形成させ易くすることで固溶B量の制御を可能とする。すなわち、熱間圧延工程では、後述するように、鋼板の靭性確保の観点から加熱温度の上限をある程度抑えることが好ましいが、このような温度では、TiやNbに固定されているNを分解させることが困難であるため、熱間圧延工程に先立って設ける均質化圧延工程で、Nが分解可能な温度まで鋼板を加熱し、該Nを、次の熱間圧延工程の加熱温度域でBNを形成し易くなる形態とするのである。このような観点から、均質化圧延工程での加熱温度は1150℃以上とすることが好ましい。また、加熱温度の上限は1350℃とすることが推奨される。
【0039】
次に熱間圧延工程であるが、加熱温度を1050〜1150℃とすることが好ましい。加熱温度が低すぎると、B,Nb,Tiが固溶せず、焼入れ性が低下する場合がある。他方、加熱温度が高すぎると、加熱時のγ粒径が粗大化して、靭性を劣化させる場合がある。
【0040】
熱間圧延時の圧下率は、1000℃から900℃まででの累積圧下率(該温度域での圧下前厚みに対する比率、以下同じ)を40%以上とし、さらに900℃から700℃まででの累積圧下率を60%以上とすることが望ましい。1000℃から900℃まででの累積圧下率を40%以上とすることで、加熱γ粒を再結晶化することができ、γ粒の微細化および異常粒成長抑制が可能となる。また、900℃から700℃まででの累積圧下率を60%以上とすることで、再結晶しないγ粒の扁平度が増加すると共に、γ粒界が湾曲して、ベイナイトの核生成サイトが増加する。その結果、結晶粒が微細化し、良好な母材靭性が確保できるようになる。
【0041】
熱間圧延の圧延終了温度は、850〜700℃とすることが望ましい。850℃以上では圧延で導入されたベイナイトの核生成サイト(γ粒界の湾曲など)が減少し、靭性の劣化を引き起こす傾向にある。また、700℃以下ではフェライトが生成するため、母材強度が確保できなくなる場合がある。
【0042】
熱間圧延後の冷却では、冷却速度を3℃/秒以上とすることが好ましく、また、冷却停止温度は500℃以下が好ましい。冷却速度が3℃/秒未満であったり、冷却停止温度が500℃を超える場合には、フェライトが多量に生成して母材強度が劣化傾向にあると共に、ベイナイトの核生成駆動力が低いために結晶粒が粗大化し、靭性も劣化する傾向にある。
【0043】
本発明の鋼板では、焼戻し処理は行わなくてもよいが、焼戻し処理を実施する場合には、焼戻し温度を400〜600℃とすることが望ましい。焼戻し温度が400℃未満では、MAが分解せず、強度低下のみで靭性が向上しないため、焼戻し処理の効果が確保できない。他方、600℃を超えると、結晶粒が成長して粗大化し、母材靭性が劣化する。
【0044】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】
表1に示す化学組成の鋼(鋼種番号1〜29)を通常の溶製法により溶製し、スラブとした後、表2および3に示す条件で均質化圧延、熱間圧延、および焼戻し処理を行い、所定の板厚からなる評価用鋼板(表2の評価用鋼板No.1〜22、表3の評価用鋼板No.23〜39)を製造した。
【0046】
このようにして得られた評価用鋼板No.1〜39について、下記の各測定を行った。結果を表4および5に示す。
【0047】
[母材特性]
引張試験:各評価用鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、引張試験を行うことにより引張強さ(TS)、0.2%伸長時の耐力(0.2%耐力)、引張伸び(EL)を測定した。このうち、引張強さについては、490MPa≦TS<690MPaを合格とした。
【0048】
衝撃試験:各評価用鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、シャルピー衝撃試験を行うことにより延性破面率を求め、破面遷移温度を算出した。破面遷移温度(vTrs)は−80℃以下を合格とした。
【0049】
なお、母材特定に合格したものについては、下記の溶接性試験を実施した。
【0050】
[溶接性]
HAZ靭性:各評価用鋼板を1400℃に加熱して5秒保持した後、800℃から500℃まで500秒で冷却する熱サイクル処理(70kJ/mmの入熱でサブマージアーク溶接したときのHAZの熱履歴に相当)を施した後、板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、シャルピー衝撃試験を行うことにより吸収エネルギー(vE−60)を測定した。vE−60≧70Jを合格とした。
【0051】
耐溶接割れ性:JIS Z 3158に記載のy形溶接割れ試験法に基づいて、入熱1.7kJ/mmで被覆アーク溶接を行い、ルート割れ防止予熱温度を測定した。25℃以下を合格とした。
【0052】
[ベイナイト組織評価]
各評価用鋼板の板厚1/4位置で、圧延方向に平行な断面において、2%ナイタール液(2%硝酸−エタノール液)を用いてエッチングを行い、光学顕微鏡を用いて200μm×150μmの範囲を400倍で10箇所写真撮影し、この写真を画像解析装置によって画像解析し、ベイナイト分率を測定した。
【0053】
[平均結晶粒径測定]
ベイナイト組織評価を実施した箇所と同じ箇所において、EBSP解析装置(TexSEM Laboratries社製)およびPhilips社製FE−SEM(電解放出型走査電子顕微鏡)「XL30S−FEG」を用いて測定した。傾角が10度以上の境界を結晶粒界として、結晶粒径を決定した。測定領域は100μm、測定ステップは0.4μm間隔とし、測定方位の信頼性を示すコンフィテンス・インデックス(Confidence Index)が0.1以下の測定点は解析対象から削除した。また、結晶粒径が1.2μm以下のものについては、測定ノイズと判断し、結晶粒径の平均値計算の対象から除外した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
表4および5から、次のように考察できる。評価用鋼板No.3,4,6、12〜22は、いずれも化学成分が良好な表1の鋼種番号1〜12を用いると共に、表4に示すように組織が良好であり、低温母材靭性、低温HAZ靭性を始めとする各種母材特性および溶接性が良好であった。これに対し、評価用鋼板No.1,2,5,7〜11,23〜39は、表2に示すように製造条件が不適であるために表4に示すように組織が不適であるか(評価用鋼板No.1,2,5,7〜11)、化学成分が不適な表1の鋼種番号13〜29を用いているために表5に示すように組織が不適(評価用鋼板No.23〜39)であり、以下の不具合を有している。
【0060】
No.1の評価用鋼板は熱間圧延前に均質化圧延処理を施していない例、No.2の評価用鋼板は均質化圧延処理時の加熱温度が低い例である。No.5の評価用鋼板は焼戻し温度が高い例である。No.7の評価用鋼板は1000から900℃までの累積圧下率が低い例、No.8の評価用鋼板は900から700℃までの累積圧下率が低い例である。No.9の評価用鋼板は熱間圧延後の冷却速度が遅い例、No.10の評価用鋼板は熱間圧延後の冷却停止温度が高い例である。No.11の評価用鋼板は熱間圧延時の加熱温度が高い例である。これらの評価用鋼板では、平均結晶粒径が大きく、低温母材靭性が劣っており、さらにNo.9および10の評価用鋼板では、母材強度も劣っている。
【0061】
No.23の評価用鋼板はC量が少ない例であり、ベイナイト分率が低く、平均結晶粒径が大きい。その結果、母材強度および低温母材靭性が劣っている。No.24の評価用鋼板はC量が多い例であり、低温HAZ靭性が劣っている。
【0062】
No.25の評価用鋼板はSi量が多い例であり、低温母材靭性および低温HAZ靭性が劣っている。
【0063】
No.26の評価用鋼板はMn量が少ない例であり、ベイナイト分率が低く、平均結晶粒径が大きい。その結果、母材強度および低温母材靭性が劣っている。
【0064】
No.27の評価用鋼板はMn量が多い例、No.28および29の評価用鋼板はKPが高い例、No.30の評価用鋼板はCr量が好ましい範囲を超えており且つKPが大きい例、No.31の評価用鋼板はMo量が多い例である。これらの評価用鋼板では、低温HAZ靭性が劣っている。
【0065】
No.32の評価用鋼板はNb量が多い例、No.33の評価用鋼板はV量が好ましい範囲を超える例である。これらの評価用鋼板では、平均結晶粒径が大きく、低温母材靭性および低温HAZ靭性が劣っている。
【0066】
No.34の評価用鋼板はNiおよびCuが多い例であり、低温HAZ靭性が劣っている。
【0067】
No.35の評価用鋼板はB量が少なく、ベイナイト分率が低い例であり、母材強度が劣っている。No.36の評価用鋼板はB量が多く、平均結晶粒径が大きい例であり、低温母材靭性および低温HAZ靭性が劣っている。
【0068】
No.37の評価用鋼板はN量が多い例、No.39の評価用鋼板はTi量が多い例であり、これらの評価用鋼板では平均結晶粒径が大きく、低温母材靭性および低温HAZ靭性が劣っている。No.38の評価用鋼板はTi量が少ない例であり、低温HAZ靭性が劣っている。
【0069】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されており、特定の化学組成(特にKP)に加えて、鋼組織のベイナイト分率および平均結晶粒径を特定の範囲とすることで、低温母材靭性および低温HAZ靭性(大入熱HAZ靭性)に優れた490MPa級以上の鋼板を提供することができた。本発明の鋼板は、例えば、船舶や海洋構造物など、特に低温環境下に曝される構造物(溶接構造物)用途に好適である。
Claims (14)
- C:0.010〜0.070%(質量%の意味、以下同じ),Si:0.8%以下,Mn:1.3〜1.9%,Nb:0.032%以下(0%を含む),Ti:0.005〜0.10%,B:0.0006〜0.0050%,N:0.0020〜0.010%,Al:0.20%以下,P:0.020%以下,S:0.010%以下,残部:Feおよび不可避的不純物を満たす鋼からなり、
KP<2.4を満足すると共に、
鋼組織の50体積%以上がベイナイトであり、且つ平均結晶粒径が8μm以下であり、残部がフェライト、マルテンサイト、またはマルテンサイトとオーステナイトの複合組織であることを特徴とする低温母材靭性および低温HAZ靭性に優れた高靭性鋼板。
ただし、
KP=[Mn]+1.5×[Cr]+2×[Mo]
《式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を意味する。》 - C:0.010〜0.055%である請求項1に記載の高靭性鋼板。
- さらに、Ni:2.0%以下、またはCu:2.0%以下を含有するものである請求項1または2に記載の高靭性鋼板。
- さらに、Cr:1.0%以下、またはMo:0.30%以下、またはV:0.10%以下を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の高靭性鋼板。
- さらに、Ca:0.0050%以下を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の高靭性鋼板。
- さらに、Mg:0.005%以下、またはREM:0.02%以下、またはZr:0.050%以下を含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の高靭性鋼板。
- 肉厚が50mm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の高靭性鋼板。
- C:0.010〜0.070%,Si:0.8%以下,Mn:1.0〜1.9%,Nb:0.032%以下(0%を含む),Ti:0.005〜0.10%,B:0.0006〜0.0050%,N:0.0020〜0.010%,Al:0.20%以下,P:0.020%以下,S:0.010%以下,残部:Feおよび不可避的不純物を満たし、且つ、KP<2.4を満足する鋼を用い、
1150〜1350℃の温度で加熱する均質化圧延工程と、
1050〜1150℃の温度で加熱し、1000〜900℃の温度で累積圧下率40%以上の圧下を加え、900〜700℃の温度で累積圧下率60%以上の圧下を加えた後、850〜700℃の温度で圧延を終了する熱間圧延工程と、
3℃/秒以上の冷却速度で500℃以下の温度まで冷却する冷却工程と、
を順次包含することを特徴とする高靭性鋼板の製造方法。
ただし、
KP=[Mn]+1.5×[Cr]+2×[Mo]
《式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を意味する。》 - 前記冷却工程の後に、さらに400〜600℃の温度で焼き戻しを行う請求項8に記載の高靭性鋼板の製造方法。
- 前記鋼は、さらに、Ni:2.0%以下、またはCu:2.0%以下を含有するものである請求項8または9に記載の高靭性鋼板の製造方法。
- 前記鋼は、さらに、Cr:1.0%以下、またはMo:0.30%以下、またはV:0.10%以下を含有するものである請求項8〜10のいずれかに記載の高靭性鋼板の製造方法。
- 前記鋼は、さらに、Ca:0.0050%以下を含有するものである請求項8〜11のいずれかに記載の高靭性鋼板の製造方法。
- 前記鋼は、さらに、Mg:0.005%以下、またはREM:0.02%以下、またはZr:0.050%以下を含有するものである請求項8〜12のいずれ かに記載の高靭性鋼板の製造方法。
- 肉厚が50mm以上である請求項8〜13のいずれかに記載の高靭性鋼板の製造方法。
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