JP2764176B2

JP2764176B2 - 再加熱装置を組込んだ連続焼鈍炉

Info

Publication number: JP2764176B2
Application number: JP1030857A
Authority: JP
Inventors: 洋一小沢; 良樹中村; 浩手塚; 一徳小林
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 1989-02-09
Filing date: 1989-02-09
Publication date: 1998-06-11
Anticipated expiration: 2013-06-11
Also published as: JPH02209457A

Description

【発明の詳細な説明】（産業の利用分野）本発明は連続焼鈍炉に係り、更に詳細には、アルミニ
ウム合金、特にベークハード型アルミニウム合金の熱処
理に適する連続焼鈍炉に関する。

（従来の技術及び解決しようとする課題）一般に、アルミニウム合金用の連続焼鈍炉は、第１図
に示すように、巻戻し機１、シャー２、接合機３、緩衝
装置４、加熱装置５、冷却装置６、緩衝装置７、巻取り
機10をこの順序に配置するライン構成を有しているが、
第２の緩衝装置７の出側に矯正機８を設けたり、巻取り
機10の出側に板用フライングシャー11及びパイラー12を
設ける場合もある。

このような連続焼鈍炉においてアルミニウム圧延材を
熱処理する場合、経過時間に伴う材料温度の変化の一例
をみるならば、加熱装置において400〜600℃に加熱さ
れ、冷却装置で100℃以下に下げられる。冷却装置で100
℃以下に下げるのは、冷却装置の出側の緩衝装置などに
用いられているロールがゴム又は樹脂でライニングされ
ているので、100℃以上に上げることが難しいためであ
る。したがって、緩衝装置などを経過する間に空中で冷
却されるので、巻取り機では、通常、50℃以下の温度と
なる。

従来、自動車部品や他の用途に使用されるアルミニウ
ム合金材料に塗装した塗膜に強度をもたせるために、塗
装後加熱（ベーキング）することが行われ、併せてこの
加熱を利用してアルミニウム合金材料の強度を向上させ
ることが行われている。このようなアルミニウム合金材
料としては、6009、6010などが使用されており、そして
塗膜の焼付けは、200℃の如く高い温度で60〜90分程度
保持するという高温長時間処理のため、6009、6010など
は強度が向上する効果があった。

しかし、最近になって、省エネルギー化及びベーキン
グ時のコストダウンのために、ベーキング温度を下げ、
且つ加熱時間を短縮化する傾向にあり、例えば、ベーキ
ング条件として、175℃×30分という低温短時間でも上
記の効果が得られる技術の開発が試みられている。

例えば、本件出願人が先に提案（特開昭62−89852
号）したように、特定成分のアルミニウム合金の冷延板
に調質処理（焼入）として、加熱速度100℃／分以上で4
80〜580℃に急速加熱し、この温度に３秒以上保持した
後、100℃までの冷却速度を300℃／分以上で急冷する熱
処理を施した後、更に72時間以内に最終熱処理（40〜12
0℃×８〜36時間）を行う方法がある。この方法によれ
ば、175℃×30分というベーキング処理で優れた焼付け
硬化性が得られる。しかし、その後の研究で、最終熱処
理までの経過時間が長くなると、また、その間の温度が
低いと、効果が少なくなることが判明している。

例えば、これを実生産において実施するためには、従
来の連続焼鈍炉ではコイル巻取り温度が室温近くに冷え
てしまい、特に冬季においては10℃程度下ってしまう。
そのため、速やかに再加熱することが必要であるが、バ
ッチ炉へ搬入し、入炉し、加熱するまでの時間が長くな
るため、効果がなくなるという問題がある。

本発明は、かゝる従来技術の問題点を解決するために
なされたものであって、アルミニウム合金圧延板、特に
低温短時間のベーキング処理で所期の効果が得られるよ
うな連続熱処理を可能にする技術を提供することを目的
とするものである。

（課題を解決するための手段）本発明者は、先の提案による方法が実生産への適用が
困難であることに鑑みて、連続焼鈍炉での連続熱処理条
件を見い出すべく鋭意研究を重ねた。

その結果、調質処理（焼入）後、継続して低温加熱を
行えば、例えば175℃×30分という低温短時間のベーキ
ング処理においても強度が向上することを知見した。

そこで、本発明者は、従来の連続焼鈍炉を改善して、
ここに焼入（加熱、急冷）→低温加熱という熱処理を連
続的に可能とする連続焼鈍炉を開発し、本発明をなした
ものである。

すなわち、本発明は、少なくとも巻戻し機、加熱装
置、冷却装置及び巻取り機をこの順序に配置してなるア
ルミニウム圧延板の連続焼鈍炉において、前記冷却装置
の出側と巻取り機との間にアルミニウム圧延板を連続的
に低温加熱する再加熱装置を設けたことを特徴とする再
加熱装置を組込んだ連続焼鈍炉を要旨とするものであ
る。

以下に本発明を更に詳細に説明する。

第２図は本発明に係る連続焼鈍炉の一例を示すライン
構成である。

第２図に示すラインでは、加熱装置５の入側に緩衝装
置４のみが示されているが、緩衝装置４の入側に巻戻し
機、シャー、接合機等を配列すること、並びに加熱装置
５の出側に冷却装置６を配列することは、従来と同様で
ある。また、冷却装置６の出側に緩衝装置７、シャー
９、巻取り機10等々を配列することも、従来と同様であ
る。

しかし、本発明では、冷却装置６の出側、すなわち、
冷却装置６と巻取り機10との間に再加熱装置13を設ける
構成とするのである。この再加熱装置13は、加熱装置５
及び冷却装置６により焼入（加熱、冷却）された圧延板
を巻取り前に再加熱するためのものである。

再加熱装置13を設ける個所は、コイル巻取り機10の近
くが最も良い。これは、移送ロールを高温ダメージから
守るため、また巻取りまでに冷却されることが少ないた
めである。図示の場合、緩衝装置７とシャー９の間に設
けられている。しかしながら、場所的な制約などの理由
で、冷却装置６の出側の他の個所、例えば、緩衝装置７
の中に入れることもできる。

勿論、冷却装置６と緩衝装置７との間、更には緩衝装
置７の出側に矯正機８を設ける場合にはこの矯正機８の
出側に設けるようにすることもできる。

また、再加熱装置13は通常１台であるが、１台でな
く、複数台して、被加熱材を常に限度温度Ty（第５図参
照）以上に保つようにすることも可能である。複数台の
場合には、同一個所に連続して設けても、或いはそれぞ
れを任意の別の個所に設けてもよい。

再加熱装置13は、圧延板（コイル）温度を50〜150℃
程度の低温に加熱する加熱手段を備えたものであればよ
い。加熱手段としては、種々の方法があり、熱風加熱方
法、赤外線ヒーターによる輻射加熱法、誘導コイルによ
る加熱法、ヒートロールによる加熱法、蒸気を吹き付け
法などが挙げられる。勿論、他の加熱方法も可能であ
る。これらの加熱方法にはそれぞれ長所、短所があるの
で、加熱条件等々を考慮して適宜の方法を採用すればよ
い、なお、上記加熱方法の幾つかについて、以下に具体
的に説明する。

熱風加熱方法バーナーにより燃料を燃焼させ、その燃焼ガスを板表
面に吹き付ける方法であり、経済性に優れるが、ダクト
などによる排気ガスの処理が必要である。電気ヒーター
の使用も可能である。

赤外線ヒーターによる輻射加熱法コンパクトで場所をとらず、クリーンであるなどの長
所がある。しかし、アルミニウム材料（被処理材）の反
射率が高いので、熱効率が低い。第３図に一例を示すよ
うに、被処理材の通板レベルの上下に赤外線ヒーター14
と反射板15を設ける構成である。

誘導コイルによる加熱法誘導コイルの中を被処理材を通板させることにより加
熱する方法であり、温度制御が可能である。しかし、設
備投資額が大きくなる欠点がある。

（作用）第２図に示したライン構成の連続焼鈍炉は以下のよう
に作用する。

巻取り機より巻戻され、緩衝装置４を介して供給され
るアルミニウム圧延板は、加熱装置５により400〜600℃
まで加熱され、冷却装置６により急速冷却され、出口温
度は50〜100℃程度になる。次いで緩衝装置７を通過す
る間に外気（０〜40℃）により更に冷却され、再加熱装
置13の入側では20〜50℃程度になるので、これを再加熱
（例、50〜150℃）し、コイル巻取り機10で50〜150℃に
て巻取られる。取り出されたコイルは適当な保温方法に
より必要時間、必要な温度にキープされる。

なお、本発明を適用可能なアルミニウム材料として
は、ベークハード型アルミニウム合金のみに限られず、
焼入後に引き続き低温加熱する必要がある材質のもので
あることは云うまでもない。

（実施例）次に本発明の実施例を示す。

実施例１第２図に示した連続焼鈍炉を使用し、先の提案に係る
アルミニウム合金圧延板（コイル）を熱処理した。

第４図に時間の経過に伴う材料温度の変化を示す。

まず、コイルは、外気温度Taで連続焼鈍炉に入り、巻
戻されて加熱装置５によりT_M（400〜600℃）まで急速加
熱（100℃／分以上）され、この温度に３秒以上保持し
た後、冷却装置６により急速冷却（100℃までの冷却速
度300℃／分以上）し、T₀（50〜100℃程度）になり、更
に空冷され、T₁（20〜50℃程度）になる。これを再加熱
装置13により加熱してT₂（50〜150℃）に上昇させ、コ
イル巻取り後、必要時間（ｘ時間）、限度温度（Ty）以
上に保持される。

実施例２本例は、第５図に示す酔うに、再加熱装置を緩衝装置
に入れた例である。

この場合の時間の経過に伴う材料温度の変化は、第６
図に示すように、冷却装置出側での温度T₀のアルミニウ
ム圧延板は移送と共に空冷されるが、緩衝装置内の再加
熱装置13₂によりT₃に再加熱され、その後、同様に空冷
されるが、別の再加熱装置13₁によりT₄に再加熱され、
コイル巻取り、コイル払出しされる。再加熱温度のT₃と
T₄は同一温度或いは異なる温度のいずれでもよいが、限
度温度以下にならないうちに再加熱する。

（発明の効果）以上詳述したように、本発明によれば、アルミニウム
圧延板の連続焼鈍において加熱装置、冷却装置の他に再
加熱装置を設けたので、焼入等の加熱、冷却の熱処理後
に引き続き低温加熱が可能となり、特に低温短時間のベ
ーキング処理で所期の効果が得られるような連続焼鈍を
行うことができる。また、従来のライン構成に再加熱装
置を追加するだけでよいので、経済的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の連続焼鈍炉のライン構成を示す図、第２図は本発明に係る再加熱装置を組み込んだ連続焼鈍
炉のライン構成の一例を示す図、第３図（ａ）、（ｂ）は再加熱装置の一例を示す図、第４図及び第６図は連続焼鈍炉における材料温度の時間
経過に伴う変化を示す図、第５図は本発明に係る再加熱装置を組み込んだ連続焼鈍
炉のライン構成の他の例を示す図である。１……巻戻し機、２……シャー、３……接合機、４……
緩衝装置（入側）、５……加熱装置、６……冷却装置、
７……緩衝装置（出側）、８……矯正機、９……シャ
ー、10……巻取り機、11……板用フライングシャー、12
……パイラー、13……再加熱装置、14……赤外線ヒータ
ー、15……反射板。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭58−6939（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−89852（ＪＰ，Ａ) 実開昭63−177952（ＪＰ，Ｕ)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも巻戻し機、加熱装置、冷却装置
及び巻取り機をこの順序に配置してなるアルミニウム圧
延板の連続焼鈍炉において、前記冷却装置の出側と巻取
り機の間に、巻取り時の温度が50〜150℃となるように
アルミニウム圧延板を連続的に再加熱する再加熱装置を
設けたことを特徴とする再加熱装置を組込んだ連続焼鈍
炉。