JPH0538041Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は全自動で熱処理を可能としたアルミ
ニウム熱処理装置に関する。

（従来の技術） 例えばアルミニウム−銅合金（２％）のアルミ
ニウム合金を溶体化炉にて約550℃に金熱し焼入
れした後、さらに時効炉にそいて200℃程度に加
熱し、アルミニウム合金に高い強さを付与するこ
とが行われている。

この場合に用いられる熱処理装置はコンベアラ
インを介して材料投入・取出機から溶体化炉、時
効炉を経て再び材料投入機へと循環する経路を形
成したものである。

（考案が解決しようとする問題点） しかし循環経路は工場床面上を１方向に流れる
ラインであり、熱処理終了品は熱処理ラインから
押し出され、次の工程の前でストツクする構造で
あるので、万一熱処理装置に故障が発生すると、
熱処理品が局部的に停滞してしまい操業上混乱が
生じてしまう。さらに、熱処理生産量の調整も自
動的に行えない。退避用ラインを別に設けるとす
れば、このためのスペースを必要とする。

（問題点を解決するための手段） この考案は上述の問題点を解決すべく、時効炉
をエレベータにより昇降できる３階建とし、最上
階に時効炉を中下層階を逆転可能のコンベアライ
ンとし、該コンベアラインを故障時における退避
ラインとしたり空バスケツトのストツクなど多目
的に使用可能としたものである。

（作用） 時効炉に故障が発生した場合、コンベアライン
上を送られる被処理品はエレベータにより最上層
の時効炉へ送られることなく時効炉の中下層のコ
ンベアラインに送られて退避する。復旧後時効炉
中下層のコンベアラインを逆転して、再びエレベ
ータにより最上層の時効炉に送り、時効処理を行
う。さらに、生産量を調節するために被処理品を
コンベア中の全バスケツトには装入せず、適宜の
数のバスケツトを空バスケツトのままラインに流
す場合には、空バスケツトを下層のコンベアライ
ンに流して被処理品を装入したバスケツトのみを
時効炉中を通過させる。また、時効処理を要しな
い材質の物品を処理するには時効炉を通さず、下
層階を通過させる。

（実施例） 第１図にこの考案の熱処理装置の実施例の概略
図を示す。材料投入・取出機１はコンベアライン
２を経て溶体化炉３に接続する。さらに溶体化炉
はコンベアライン２を経て時効炉４に至り、さら
に再び材料投入・取出機１に戻るようになつてい
る。なお５はエレベータ、６は焼入れ水槽、７は
冷却室である。

さらに第２図により時効炉の概略について説明
する。時効炉は３階建となつていて、最上階に時
効炉部４Ａと冷却室７が配置されている。下層で
ある１階、２階はそれぞれコンベアライン２Ａ，
２Ｂとなつている。各階にはエレベータ５，５に
より各炉を結ぶコンベアライン２と接続する。９
はフアンである。材料投入・取出機１上に配置さ
れ想像線で示されるのは材料が投入されコンベア
上を移動するバスケツト８である。

本考案は第２図に示すように通常の熱処理では
最上階の時効炉４Ａ、冷却室７からエレベータ５
を経て材料投入・取出機１に達するが、故障発生
の場合積載バスケツトは、エレベータ５を経て２
階又は１階のコンベアライン２Ａ，２Ｂに退避す
る。復旧後はコンベアラインを逆転させて時効炉
部分４Ａを通過させる。時効処理を施す必要のな
い場合は、バスケツト８は２階２Ｂを通つて材料
投入・取出機１に至る。

材料取出機１に故障が発生した場合には、処理
済む品積載バスケツト８はエレベータ５を経て２
階又は１階のコンベアライン２Ａ，２Ｂに自動的
に退避する。また材料投入機１に故障が発生した
場合、処理済み品を取出機１によつて自動取出し
した後、空になつたバスケツトを、自動的に逆転
させてエレベータ５を経て２階又は１階のコンベ
アライン２Ａ，２Ｂを通過させる。

さらに熱処理生産量を調節する必要のある場合
には適宜数の空バスケツトを被処理物を装入した
バスケツトの前後に介在させることが行われる。
この場合には被処理物を装入したバスケツトは時
効炉部４Ａを通し、空バスケツトは２階２Ｂ又は
１階２Ａに導かれストツクされる。さらに１階の
コンベアライン２Ａには空バスケツトのストツク
ヤードとして使用することができる。これらの流
れは第３図に示すとおりである。

（考案の効果） この考案は上記のように、時効炉を３階建と
し、１，２階を故障時の退避地域とし、全自動に
て退避し、故障復旧後は退避地域より主ラインに
全自動で材料がもどり自動運転が続行される。

このため、省スペースを兼ねかつ同一ラインス
ペースであるための材料の収納、排出が容易にな
り、全自動が可能になつた。また、従来平面的に
は半自動では達成されていたが本考案では、エレ
ベータを介し出入を行い完全自動を達成した。故
障対応の外、作業開始終了時の予備ストツクライ
ンとしても利用することができ、効果的作業員配
置も可能となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の熱処理装置の概略図、第２
図はこの装置に用いた時効炉の概略図、第３図は
この考案の作動説明図である。 １……材料投入・取出機、２……コンベアライ
ン、２Ａ……１階のコンベアライン、２Ｂ……２
階のコンベアライン、３……溶体化炉、４……時
効炉、４Ａ……時効炉部、５……エレベータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンベアラインを介して材料投入・取出機から
   溶体化炉、時効炉を経て再び材料投入・取出機へ
   と循環する経路を形成したアルミニウム熱処理装
   置において、時効炉をエレベータにより昇降でき
   る３階建とし、最上階に時効炉を配置し、中下層
   階を逆転可能のコンベアラインとしたことを特徴
   とするアルミニウム熱処理装置。