JP2748847B2 - 切削工具 - Google Patents

切削工具

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JP2748847B2
JP2748847B2 JP3618094A JP3618094A JP2748847B2 JP 2748847 B2 JP2748847 B2 JP 2748847B2 JP 3618094 A JP3618094 A JP 3618094A JP 3618094 A JP3618094 A JP 3618094A JP 2748847 B2 JP2748847 B2 JP 2748847B2
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博 下村
正治 滝口
彰 金星
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にエンジンのシリン
ダーヘッドにおけるバルブ穴の加工等に用いて最適な切
削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】このようなシリンダーヘッドのバルブ穴
では、穴の開口部の周縁にバルブが頻繁に当たることに
なるため、この部分には焼結合金等の硬質部材を嵌装し
て耐久性を得るようにしている。そこで、このバルブ穴
を加工する切削工具としては、穴自体を仕上げ加工する
ガンリーマ等の穴加工工具と上記開口部周縁を加工する
切刃チップとを備えたものが使われている。しかも、上
記開口部はバルブヘッドの形状に合わせてテーパ面状に
形成されることが多く、このためかかる面の切削が可能
なように、上記切刃チップは当該切削工具の回転軸線に
対して斜交する方向にスライド可能に取り付けられるの
が望ましい。
【0003】図5および図6は、このようなバルブ穴の
加工に用いられていた従来の切削工具の一例を示すもの
である。これらの図において工具本体1は略円錐状をな
し、アダプタ2を介して図示しない工作機械の主軸端等
に装着され、その軸線O回りに回転されて切削加工に供
される。また、この工具本体1の先端には上記軸線Oに
沿ってブッシュ3が装着されており、このブッシュ3に
上述したガンリーマ等の穴加工工具(図示略)のシャン
クを嵌挿して、工具本体1ごと回転しつつ該穴加工工具
を前進させることにより、上記穴自体の仕上げ加工が可
能とされている。なお、この穴加工工具の前進は、後述
するスライド軸の内部に同軸に挿通された軸4により行
われるようになっている。
【0004】さらに、工具本体1の先端部外周には3つ
の切刃チップ5…が設けられており、これらの切刃チッ
プ5…によってバルブ穴の上記開口部周縁が加工される
ようになされている。ただし、図5においては一の切刃
チップ5Aだけが図示され、他の二つの切刃チップ5
B,5Cは図示が略されている。ここで、これらの切刃
チップ5…のうち、上記二つの切刃チップ5B,5Cは
工具本体1に直接的に固定される一方、上記一の切刃チ
ップ5Aは上述のようにスライド可能に取り付けられて
いる。すなわち、工具本体1にはそのなす円錐形状の母
線の方向に沿って、つまり軸線Oに斜交する方向に沿っ
て図6に示すようにT溝6が形成されており、このT溝
6にはスライダー7が摺動自在に嵌挿されていて、上記
切刃チップ5Aはこのスライダー7に着脱自在に固定さ
れているのである。
【0005】一方、工具本体1およびアダプタ2の内部
には、それぞれ軸線Oに沿って穴1a,2aが形成され
ており、これらの穴1a,2aにはスライド軸8および
カップリング部材9が挿通されている。このカップリン
グ部材9はキー9aを介して上記穴1aに嵌着されてお
り、これによって工具本体1とカップリング部材9とは
上記軸線O回りに一体的に回転可能、かつスライド軸8
を進退させることによって上記穴1a内を進退可能とさ
れている。さらに、工具本体1の上記T溝6と穴1aと
は、T溝6の底面に開口する穴6aを介して連通されて
いる。またスライダー7にはこの穴6aを通って穴1a
に突出する連結ピン10が取り付けられており、この連
結ピン10の先端がカップリング部材9に形成された斜
孔9bに嵌挿されることにより、スライダー7とカップ
リング部材9とが連結されていている。そして、スライ
ド軸8を介してカップリング部材9を進退させることに
より、スライダー7がT溝6に沿って摺動し、切刃チッ
プ5Aが軸線Oに斜交する方向にスライドするようにな
されている。
【0006】このような構成の切削工具によって上述し
たようなバルブ穴の加工を行うには、上記ブッシュ3に
ガンリーマ等の穴加工工具を装着して軸4により工具本
体1の基端側に引き込み、その上で工具本体1を回転さ
せるとともに軸線O方向に送りを与えて、まず上記二つ
の切刃チップ5B,5Cとによりバルブ穴の開口部の面
取りを行う。次いで工具本体1を一旦僅かに後退させて
から、工具本体1を回転させつつ、スライド軸8および
カップリング部材9を前進させて、連結ピン10および
スライダー7を介して切刃チップ5Aをスライドさせる
ことにより、バルブ穴の開口部周縁に上述したようなテ
ーパ面を形成する。しかる後、工具本体1を回転させた
まま上記軸4によって穴加工工具を前進させ、当該バル
ブ穴の内部(バルブガイド穴)の仕上げ加工を行うので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構成の
切削工具では、上述のようにバルブ穴の開口部周縁にテ
ーパ面を形成する際には、切刃チップ5Aに作用する切
削負荷はスライダー7を介して工具本体1のT溝6の壁
面(特に工具回転方向を向く壁面)により受けとめられ
ることになるため、長期の使用のうちにはこのような切
削負荷によってT溝6の壁面に摩耗や変形が生じてしま
う。また、スライダー7がT溝6を摺動することによっ
ても壁面は摩耗してしまう。そして、このような摩耗に
よってスライダー7にガタつきが発生し、これによって
切刃チップ5Aによる加工精度が損なわれてしまうおそ
れがある。具体的には、スライダー7が真直ぐにスライ
ドせずに、摩耗の生じた部分で凹んでスライドしてしま
い、これによって上記テーパ面も正確な円錐面とならず
に鼓状に膨らんだ曲面となってしまう。
【0008】ここで、上記構成の切削工具においてこの
ような摩耗が生じた場合には、T溝6を研磨等によって
拡幅、修正して新たな壁面を形成し直すとともに、この
新たなT溝6に応じた寸法、形状のスライダー7を再製
作するようにして、工具本体1等の再利用を図ってい
る。しかしながら、このような手段を採った場合には、
摩耗が生じる度にT溝6の修正やスライダー7の再製作
を行わなければならないため、作業が煩雑となることは
避けられず、しかもスライダー7については再製作する
度にその寸法、形状が変化してしまうので設計もやり直
さなければならない。このため、工具本体1を再利用す
ることが結果的に不経済な事態となってしまうおそれが
あった。さらに、摩耗が生じた場合には、直ちにT溝6
を再研磨し、またスライダー7を交換しなければなら
ず、比較的頻繁に保守作業を行なわざるを得ないという
問題もあった。
【0009】また、上記構成の切削工具では、T溝6と
これに嵌挿されるスライダー7との係合によって切刃チ
ップ5Aの位置決めがなされているため、T溝6やスラ
イダー7の成形誤差を調整する余地がなく、所望の加工
精度を得るためには、これらT溝6やスライダー7につ
いても高い精度で成形しなければならず、成形が困難で
あった。さらに、スライダー7の取付剛性を高めるにも
限度があって、これがスライダー7のガタつきを惹起せ
しめる一因ともなっていた。本発明は、このような背景
の下になされたものであって、摩耗が生じた際の凹溝の
再研磨やこれに合わせたスライダーの再製作といった事
態を避けることができるのは勿論のこと、摩耗が生じて
もある程度は保守作業を省略することができ、さらには
スライダーの取付剛性の向上を図ることが可能な切削工
具を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決してこの
ような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回
転される略円錐状の工具本体に、この円錐の母線に沿っ
て凹溝が形成され、この凹溝内には切刃チップを備えた
スライダーが該凹溝に沿って摺動自在に装着されるとと
もに、上記工具本体の内部には、該工具本体と一体に回
転可能、かつ上記軸線に沿って進退自在とされて、上記
スライダーに係合して該スライダーを摺動せしめるカッ
プリング部材が装入されて成る切削工具であって、上記
凹溝の互いに対向する一対の壁面のうち、一方の壁面と
上記スライダーとの間に、上記母線の方向に延びる係合
部を備えたスペーサーを着脱自在に介装するとともに、
このスペーサーに当接せしめられる上記スライダーの一
の側面には、上記係合部に係合する被係合部を形成する
一方、上記一対の壁面のうち他方の壁面と上記スライダ
ーとの間には、上記凹溝の底面側に押し込まれることに
よって上記スライダーを上記一方の壁面側に押圧して上
記係合部と被係合部とを係合せしめるクサビ部材を着脱
自在に介装し、さらに、このクサビ部材に、該クサビ部
材を上記凹溝の底面側に付勢する付勢手段を設けたこと
を特徴とする。
【0011】
【作用】このような構成の切削工具では、互いに対向す
るスライダーの側面と凹溝の壁面との間にスペーサーと
クサビ部材とが着脱自在に介装されており、このため切
刃チップからスライダーに作用した切削負荷は、これら
スペーサーやクサビ部材を介して上記壁面に受けとめら
れることとなるから、かかる切削負荷による摩耗や変形
もスペーサーやクサビ部材に発生することとなる。ま
た、スライダーの摺動による摩耗もこれらスペーサーや
クサビ部材に発生することになるので、このような摩耗
や変形が生じても、凹溝を形成し直したり、スライダー
を再製作したりすることなく、これらの部材を交換する
ことによってきわめて容易かつ経済的に加工精度を維持
することが可能となる。
【0012】さらに、上記切削工具では、凹溝の一対の
壁面のうち他方の壁面側に配されたクサビ部材を押し込
むことにより、スライダーが一方の壁面側に押圧されて
係合部と被係合部とが強く係合し、スライダーおよび切
刃チップの位置決めがなされる。このため、スライダー
や凹溝に生じる成形誤差をある程度までは許容すること
が可能となり、その成形に伴う労力の軽減を図ることが
できるとともに、スライダーの取付剛性を向上させるこ
とができる。しかもクサビ部材には、これを凹溝の底面
側に付勢する付勢手段が設けられており、この付勢手段
によってクサビ部材は常に凹溝の底面側に付勢され、従
ってスライダーも常に凹溝の一方の壁面側に押圧される
こととなる。このため、スペーサーとスライダーとの係
合部と被係合部との間に多少の摩耗が生じても、上記付
勢手段による付勢力でスライダーがスペーサー側に押し
付けられることにより、スライダーのガタつきを抑えて
切削加工を続行することが可能となる。
【0013】
【実施例】図1ないし図3は本発明の一実施例を示すも
のであるが、この実施例は基本的構成については図5に
示した従来の切削工具と同様であるので、共通する部分
については同一の符号を配して説明を簡略化する。ま
た、これらの図においてはアダプタ2およびスライド軸
8は図示が略されている。本実施例では、従来の切削工
具の工具本体1に形成されたT溝6に代えて、互いに平
行な一対の対向する壁面11a,11bと、これらの壁
面11a,11bに直交する底面11cとにより画成さ
れる凹溝11が、略円錐状をなす工具本体1の母線の方
向に沿って形成され、この凹溝11内の工具回転方向
(図2において反時計回り方向)Tを向く壁面11a側
にはスペーサー12が、また工具回転方向Tの後方側を
向く壁面11b側にはクサビ部材13が、それぞれクラ
ンプボルト14…,15…により着脱自在に取り付けら
れている。なお、クサビ部材13を取り付けるクランプ
ボルト15…は、後述する付勢手段の調整ボルトを兼ね
ている。そして、これらスペーサー12と、クサビ部材
13と、凹溝11の底面11cとにより画成される間隙
部に、上記母線方向すなわち軸線Oに斜交する方向に摺
動自在にスライダー16が嵌挿されている。
【0014】スペーサー12は、工具本体1への装着状
態において凹溝11の略全長に亙って延びるように形成
された板状の部材であって、凹溝11の上記壁面11a
および底面11cに密着するように取り付けられている
とともに、凹溝11の内側、すなわち工具回転方向Tを
向く側面には、上記母線方向に沿って延びるように断面
波型のセレーション溝12aが形成されていて、本実施
例における係合部とされている。また、クサビ部材13
もスペーサー12と同様、工具本体1への装着状態にお
いて凹溝11の全長に亙って延びるように形成されてお
り、その工具回転方向T側を向く面13aが上記壁面1
1bに密着するようにして取り付けられるとともに、凹
溝11の内側、すなわち工具回転方向Tの後方側を向く
面13bは、凹溝11の底面11c側に向かうに従い上
記側面13a側に向かう傾斜面とされている。
【0015】一方、上記スライダー16は、図1に示す
ように「く」字状に曲折する角柱状部材であって、その
基端側が凹溝11内に配置されるとともに、先端部には
上記切刃チップ5Aが着脱自在に取り付けられている。
そして、このスライダー16の基端部には、工具本体1
への取付状態において上記壁面11a側を向く一の側面
に、スペーサー12のセレーション溝16に密着する断
面波型のセレーション溝16aが形成されていて本実施
例における被係合部とされる一方、上記一の側面とは反
対側の壁面11b側を向く他の一の側面16bは、クサ
ビ部材13の上記側面13bがなす傾斜に合わせて、凹
溝11の底面11c側に向かうに従い上記セレーション
溝16aが形成された一の側面の側から離間する傾斜面
とされている。そして、このスライダー16は図3に示
すように、上記セレーション溝16aをスペーサー12
のセレーション溝12aに合致させて係合させるととも
に、上記他の一の側面16bをクサビ部材13の側面1
3bに、またその底面16cを凹溝11の底面11cに
それぞれ密着させて、上記間隙部に摺動自在に嵌挿され
ているのである。
【0016】さらに、上記クサビ部材13には付勢手段
17が設けられており、本実施例ではこの付勢手段17
は、調整ボルトとしての上記クランプボルト15と、こ
のクランプボルト15の頭部15aの裏面に配置される
ワッシャ18と、このワッシャ18とクサビ部材13と
の間に介装されるバネ部材としての皿バネ19とから構
成されている。すなわち、凹溝11の底面11cの壁面
11b側には、該底面11cに垂直にネジ穴11dが形
成されており、一方、クサビ部材13には上述した装着
状態においてこのネジ穴11dと同軸となるように挿入
孔20が貫設されている。この挿入孔20は、凹溝11
の底面11c側(図3において下側)から工具本体1の
外周側(図3において上側)に向かうに従い3段に拡径
するように形成されており、上記クランプボルト15は
最も小径の下段の孔部20aにその軸部15bを嵌挿さ
せて当該挿入孔20を貫通し、上記ネジ穴11dに螺着
されている。また、上記頭部15aは、この挿入孔20
の最も大径の上段の孔部20aに収納されている。
【0017】そして、上記皿バネ19は、クランプボル
ト15の軸部15bに緩挿され、かつ圧縮された状態
で、挿入孔20の中段の孔部20c内に収納されてお
り、その上端が上記ワッシャ18に当接するとともに、
下端は挿入孔20の中段の孔部20cの円環状の底面に
当接せしめられている。従って、皿バネ19が伸長しよ
うとする弾性力で孔部20cの上記底面は常時押し付け
られ、これに伴いクサビ部材13も凹溝11の壁面11
bに沿って底面11c側に常に押し付けられて付勢され
ることとなる。しかも、調整ボルトである上記クランプ
ボルト15をネジ穴11dに締め込んだり緩めたりする
ことにより、皿バネ19が凹部20cの底面を押し付け
る押圧力は適宜に調整可能であり、すなわち当該付勢手
段17がクサビ部材13を付勢する付勢力も調整可能と
される。
【0018】また、本実施例では上記ネジ穴11dの底
部が円筒孔状に形成されるとともに、クランプボルト1
5の先端部がこれよりも小径の円柱軸状に形成されてお
り、このクランプボルト15の先端をネジ穴11dの底
に突き当てて当接せしめることにより、クランプボルト
15の最大締め込み量を調節することが可能となる。従
って本実施例によれば、このクランプボルト15の長さ
を調節することにより、クランプ力の調整も可能とな
る。ただし、その場合は、クランプボルト15と上記ネ
ジ穴11dは、上述のように突き当て可能なボルト形状
および本体形状とされる。なお、本実施例では、このよ
うな付勢手段17が上記母線方向に沿ってクサビ部材1
3に3組設けられているが、この付勢手段17の数は工
具本体1の大きさや加工条件等によって適宜に設定すれ
ばよく、少なくとも一の付勢手段17がクサビ部材13
に設けられていればよい。また、バネ部材として皿バネ
19の代わりにコイルスプリングを用いたりしてもよ
い。
【0019】一方、本実施例でも工具本体1の先端には
3つの切刃チップ5…が取り付けられており、このうち
の一の切刃チップ5Aが上記スライダー16に装着され
ていて、スライド可能となっている。これに対して、他
の二つの切刃チップ5B,5Cは、図2に示すように工
具本体1の先端部に固定されていて、3つの切刃チップ
5…は工具本体1の周方向に等間隔となるように、また
工具本体1の軸線O方向には互いにずらされて配置され
ている。ここで、図4はこれらの切刃チップ5A,5
B,5Cが描く軸線O回りの回転軌跡を示すものである
が、この図4に示されるように上記二つの切刃チップ5
B,5Cは、その切削に供される切刃部分5b,5cが
上記回転軌跡において互いに鈍角に交差するように配置
されている。そして、切刃チップ5Aは上記回転軌跡に
おいて、スライダー16を摺動させることによりその切
刃部分5aが描く移動軌跡Rが切刃チップ5B,5Cの
上記切刃部分5b,5cが挟む部分にあって、両切刃部
分5b,5cに鈍角に交差するように配置されている。
【0020】このような構成の切削工具においても、工
具本体1はその先端にガンリーマ等の穴加工工具が装着
された上で、アダプタ等を介して工作機械の主軸端に取
り付けられて切削加工に供される。すなわち、まず上記
穴加工工具を基端側に引き込んだ状態で、工具本体1を
その軸線O回りに回転しつつ該軸線O方向に送りを与
え、切刃チップ5B,5Cによって図4に示すように穴
の開口部に面取りC,Cを形成する。ただし、図4にお
いて符号Sで示すのは、上述したようにバルブ穴等の開
口部周縁に嵌装される焼結合金等の硬質部材である。そ
して、こうして面取りC,Cが形成された後に、工具本
体1を回転させたまま一旦工具本体1を僅かに後退さ
せ、次いで図示しないスライド軸を突き出してカップリ
ング部材9を前進させることにより、連結ピン10を介
しスライダー16を上記母線方向にスライドさせて切刃
チップ5Aを移動軌跡Rに沿って移動させることによ
り、穴の開口部にテーパ面Pを形成する。しかる後、な
お工具本体1を回転させたまま、上記ガンリーマ等の穴
加工工具を前進させてバルブ穴の内部に挿入し、このバ
ルブ穴自体の仕上げ加工を行うのである。
【0021】しかして上記構成の切削工具では、テーパ
面Pを形成する際に切刃チップ5Aに作用する切削負荷
は、スライダー16を介して、主としてその工具回転方
向Tの後方側に位置するスペーサー12により受けとめ
られることとなる。従って、かかる切削負荷による摩耗
や変形は、このスペーサー12に生じることになり、凹
溝11すなわち工具本体1が摩耗したり変形したりする
ようなことはない。また、スライダー16を摺動させる
ことによって生じる摩耗も、このスペーサー12やクサ
ビ部材13に生じ、工具本体1が損傷するようなことは
ない。そして、これらスペーサー12やクサビ部材13
は、何れもクランプボルト14,15…によって工具本
体1に着脱自在に取り付けられているので、摩耗や変形
が生じた場合にはこれらの部材を交換することによっ
て、きわめて容易に加工精度等を回復することができ
る。しかも交換する部材は、交換前の部材と同一の規格
のものを用意すればよく、摩耗が生じる度に部材を設計
し直す必要がないためきわめて経済的である。これはス
ライダー16を交換する場合についても同様である。
【0022】また上記構成の切削工具では、クサビ部材
13を凹溝11の底面11c側に押し込むことにより、
互いに傾斜して密着するスライダー16の側面16bと
クサビ部材13の側面13bとによって両者の間にクサ
ビ効果が作用し、これによってスライダー16が凹溝1
1の壁面11a側に押圧されて、そのセレーション溝
(被係合部)16aがスペーサー12のセレーション溝
(係合部)12aに当接、係合せしめられる。そして、
これにより両セレーション溝12a,16aの係合度を
強めることができるため、切刃チップ5Aの位置精度の
向上を図ることができる。しかも、上記構成の切削工具
では、このクサビ部材13に付勢手段17が設けられて
おり、この付勢手段17によってクサビ部材13は常に
凹溝11の底面11c側に向けて付勢されているため、
上述のクサビ効果も切削時、非切削時に係わらずに常時
作用していて、スライダー16は付勢手段17の皿バネ
19の弾性力に応じて凹溝11の上記壁面11a側に押
圧された状態を保持する。
【0023】従って、上記構成の切削工具によれば、た
とえ切削負荷やスライダー16の摺動に伴う摩耗や変形
がスペーサー12側の係合部(セレーション溝12a)
やスライダー16側の被係合部(セレーション溝16
a)、あるいはスライダー16とクサビ部材13との間
に生じても、その係合力や側面16b,13b同士の密
着を維持することができ、スライダー16にガタつきが
生じるのを防ぐことができる。このため、僅かな摩耗が
生じたくらいでは何等支障なく切削作業を続行すること
が可能であり、これによりスペーサー12やクサビ部材
13、あるいはスライダー16の交換間隔を延長して工
具寿命の延長を図ることができるとともに、保守等に要
する労力を軽減することが可能となる。
【0024】しかも、このようにスライダー16を付勢
手段17によって常に一定の付勢力で側面11a側に付
勢することにより、スライダー16自体の取付剛性の向
上を図ることができ、摩耗や変形ばかりでなく過大な切
削負荷などが作用しても、強固にスライダー16を保持
してガタつきを防止し、安定した加工を行なうことがで
きる。また、このようにスライダー16の取付剛性が向
上することから、スライダー16の取付精度を高めるこ
とができ、これによって切刃チップ5Aの位置精度も高
められるため、当該切削工具による加工精度の向上をな
すことも可能となる。
【0025】さらに、本実施例の付勢手段17において
は、上述のようにクランプボルト15を緩めたりねじ込
んだりして皿バネ19による押圧力を調節することによ
り、当該付勢手段17による付勢力が調整可能とされて
おり、これによってクサビ部材13がスライダー16を
押圧する押圧力も適宜に調整可能とされている。またこ
れに加えて本実施例では、クランプボルト15の先端を
ネジ穴11dの底に突き当てることでその最大締め込み
量を調節することができるため、クランプボルト15の
長さを適当に設定することで皿バネ19による押圧力を
一定に保持することができる。従って、このような突き
当て方式を採用することにより、自在に付勢力を調整す
ることができ、また特に組立時に誰にでもばらつきなく
一定の付勢力を得ることができる。そして、このように
付勢手段17による付勢力を調整可能とすることによ
り、過大な押圧力によってスライダー16の摺動が阻害
されたりするような事態を防ぐことができる一方、上記
係合部と被係合部に摩耗等が生じた場合には付勢力を増
してスライダー16を強く押圧し、係合部と被係合部と
の係合をより強固にしてスライダー16のガタつきを一
層確実に防止することが可能となり、工具寿命のさらな
る延長を図ることが可能となる。
【0026】さらにまた本実施例では、スペーサー12
の係合部とスライダー16の被係合部とが、互いに密着
可能な断面波型のセレーション溝12a,16aであ
り、これによって両者の接触面積を大きくしてスライダ
ー16の取付剛性を高めることができるので、切刃チッ
プ5Aの位置精度をさらに向上させて、より高い精度の
切削加工を行うことが可能となる。なお、本実施例では
係合部および被係合部を断面波型のセレーション溝12
a,16aとしたが、例えばこれを断面鋸刃型のセレー
ション溝としても接触面積の増大を図ってスライダー1
6の取付剛性を向上を図ることができる。また、単にキ
ー状の突部とキー溝状の凹部とによって係合部および被
係合部を構成するようにしても、スペーサー12および
付勢手段15が備えられていれば、スライダー16交換
時の経済性や摩耗に対するガタつき防止等の効果を得る
ことが可能である。
【0027】また、上記実施例では凹溝11の対向する
壁面11a,11bを平行とし、クサビ部材13の側面
13bとスライダー16の側面16bとを傾斜面とし
て、クサビ部材13によりスライダー16を押圧するよ
うにしたが、これを、凹溝11の壁面11bとこれに密
着するクサビ部材13の工具回転方向T側を向く側面1
3aとを、底面11c側に向かうに従い壁面11a側に
接近する傾斜面とするとともに、スライダー16の側面
16bおよびクサビ部材13の側面13bは工具本体1
への装着状態において壁面11aに平行となるようにし
てもよい。このような構成の切削工具では、スライダー
16に傾斜面を形成する必要がないため、その製造を容
易に行えるという利点が得られる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、切
刃チップからスライダーを介して作用する切削負荷やス
ライダーの摺動による摩耗や変形は、主としてスライダ
ーと凹溝の壁面との間に介装されるスペーサーに生じる
こととなり、従ってそのような場合には、これらの部材
を交換することにより、容易にスライダーの取付精度や
位置精度を回復して加工精度を維持することができると
ともに、これらの部材は交換の度ごとに規格が変わるよ
うなこともないので、経済的である。また、このスペー
サーとスライダーとの間には、互いに係合する係合部と
被係合部が形成されているため、スライダーの取付剛性
を向上させることができる。さらに、付勢手段によって
クサビ部材が常に凹溝の底面側に付勢され、これに伴い
スライダーも常にスペーサー側に付勢されているため、
スペーサーの係合部とスライダーの被係合部との間に多
少の摩耗が生じてもスライダーのガタつきを抑えて切削
加工を続行することができ、工具寿命の延長を図るとと
もに保守等に要する労力を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図2】図1に示す実施例の正面図である。
【図3】図1に示す実施例のXX断面図である。
【図4】図1に示す実施例の切刃チップ5A,5B,5
Cの軸線O回りの回転軌跡である。
【図5】従来の切削工具を示す断面図である。
【図6】図5に示す従来例のZZ断面図である。
【符号の説明】
1 工具本体 5A,5B,5C 切刃チップ 11 凹溝 11a,11b 凹溝11の壁面 11c 凹溝11の底面 12 スペーサー 12a セレーション溝(係合部) 13 クサビ部材 15 クランプボルト(調整ボルト) 16 スライダー 16a セレーション溝(被係合部) 17 付勢手段 19 皿バネ(バネ部材) 20 挿入孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝口 正治 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社 筑波製作所 内 (72)発明者 金星 彰 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社 筑波製作所 内 (56)参考文献 特開 平6−315810(JP,A) 特開 平6−320318(JP,A) 米国特許5044841(US,A) 米国特許2896308(US,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転される略円錐状の工具本
    体に、この円錐の母線に沿って凹溝が形成され、この凹
    溝内には切刃チップを備えたスライダーが該凹溝に沿っ
    て摺動自在に装着されるとともに、上記工具本体の内部
    には、該工具本体と一体に回転可能、かつ上記軸線に沿
    って進退自在とされて、上記スライダーに係合して該ス
    ライダーを摺動せしめるカップリング部材が装入されて
    成る切削工具であって、 上記凹溝の互いに対向する一対の壁面のうち、一方の壁
    面と上記スライダーとの間には、上記母線の方向に延び
    る係合部を備えたスペーサーが着脱自在に介装されると
    ともに、このスペーサーに当接せしめられる上記スライ
    ダーの一の側面には、上記係合部に係合する被係合部が
    形成される一方、上記一対の壁面のうち他方の壁面と上
    記スライダーとの間には、上記凹溝の底面側に押し込ま
    れることによって上記スライダーを上記一方の壁面側に
    押圧して上記係合部と被係合部とを係合せしめるクサビ
    部材が着脱自在に介装されており、このクサビ部材に
    は、該クサビ部材を上記凹溝の底面側に付勢する付勢手
    段が設けられていることを特徴とする切削工具。
  2. 【請求項2】 上記付勢手段は、上記クサビ部材を貫通
    して上記凹溝の底面に形成されたネジ穴に螺着される調
    整ボルトと、この調整ボルトの頭部と上記クサビ部材と
    の間に介装されて該クサビ部材を上記凹溝の底面側に押
    圧するバネ部材とを備えていることを特徴とする請求項
    1記載の切削工具。
  3. 【請求項3】 上記係合部と被係合部とが、上記母線の
    方向に沿って延びるセレーション溝であることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の切削工具。
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